(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
上記重心位置算出手段で求めた被加工物の重心位置とワークモデルの重心位置とを一致させて、被加工物とワークモデルとを比較して、研削スピンドルの削り込み量を演算する削り込み量演算手段を備える請求項1記載の研削装置。
上記加工ステージが、小型の被加工物をそれぞれ保持可能な複数の第一の保持台と、大型の被加工物を保持可能な第二の保持台との何れか一方を選択して設置できるよう設けられており、
上記基準部位が、第一の保持台が設置される際に第一の保持台に保持される小型の被加工物と、第二の保持台が設置される際に第二の保持台に保持される大型の被加工物との何れの被加工物の外形よりも外側に配置されている請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の研削装置。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
そこで、本発明は、携帯電話などの携帯端末の表示画面に用いられる薄板ガラス等の被加工物の端面研削を行う研削装置において、カメラの撮影データを利用して研削加工を行うことで、精度よく加工しつつも、被加工物の表面に目印等を設けずに、研削加工を行うことができる研削装置及び研削方法並びに薄板状部材の製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
この発明の研削装置は、
薄板状の被加工物の端面研削を行う研削装置であって、
上記被加工物を加工状態で保持する加工ステージと、
上記加工ステージに設けられ、保持された被加工物を加工する際の加工基準となる基準部位と、
上記被加工物と略直交する位置に設置され、上記被加工物及び上記基準部位を撮影するカメラと、
上記被加工物の端部を研削する研削スピンドルとを備え、
被加工物のワークモデルのデータを予め記憶する記憶手段、
上記カメラで取り込んだ基準部位の撮影データから、加工ステージの機械原点を算出する機械原点算出手段、
上記カメラで取り込んだ被加工物の撮影データから、被加工物の重心位置を求める重心位置算出手段、
上記加工ステージの機械原点と被加工物との重心位置とを比較して、被加工物のズレ量を演算するズレ量演算手段、
このズレ量演算手段で演算したズレ量に応じて、上記研削スピンドルの研削経路を演算する研削経路演算手段、
及びこの研削経路演算手段で演算した研削経路に従って研削スピンドルを作動させる作動制御手段
を備える研削装置である。
【0014】
当該研削装置は、予めワークモデルのデータを記憶手段に記憶しておき、カメラで取り込んだ撮影データから加工ステージの機械原点と、被加工物(実ワーク)の重心位置とを算出して、この機械原点と重心位置とを比較することによって、被加工物(実ワーク)のズレ量(縦方向のズレ量X、横方向のズレ量Y、回転方向のズレ量θ)を演算する。こうして、演算によって求めたズレ量に応じて、研削スピンドルの研削経路を演算して、この研削経路に従って研削スピンドルを作動させて、被加工物(実ワーク)の端面研削を行うことになる。
【0015】
このため、被加工物自体に「基準となるマーク(印)」等を形成しなくても、加工ステージに設けた基準部位で「機械原点」を求め、被加工物のズレ量を把握することができ、この把握したズレ量によって、マーク(印)等のない被加工物を正確に研削することができる。
【0016】
また、この発明の研削方法は、
薄板状の被加工物の端面を研削スピンドルによって研削する研削方法であって、
上記被加工物を加工状態で加工ステージに保持する保持工程、
上記加工ステージに設けられた基準部位と、加工ステージに保持された被加工物とをカメラによって撮影する撮影工程、
上記カメラで取り込んだ基準部位の撮影データから、加工ステージの機械原点を算出する機械原点算出工程、
上記カメラで取り込んだ被加工物の撮影データから、被加工物の重心位置を求める重心位置算出工程、
上記加工ステージの機械原点と被加工物の重心位置とを比較して、被加工物のズレ量を演算するズレ量演算工程、
このズレ量演算工程で演算したズレ量に応じて、上記研削スピンドルの研削経路を演算する研削経路演算工程、
及びこの研削経路演算工程で演算した研削経路に従って研削スピンドルを作動させる研削工程
を有する研削方法である。
【0017】
当該研削方法は、予めワークモデルのデータを記憶手段に記憶しておくことで、カメラで取り込んだ撮影データから加工ステージの機械原点と、被加工物の重心位置とを算出して、この機械原点と重心位置とを比較することによって、被加工物のズレ量を演算する。こうして、演算によって求めたズレ量に応じて、研削スピンドルの研削経路を演算して、この研削経路に従って研削スピンドルを作動させて、被加工物の端面研削を行う。このため、被加工物自体に「基準となるマーク」等を形成しなくても、加工ステージに設けた基準部位で「機械原点」を求め、被加工物のズレ量を把握することができ、この把握したズレ量によって、マーク等のない被加工物を正確に研削することができる。
【0018】
なお、機械原点を求める「基準部位」は、カメラ側に向かって立設する「基準ピン」であっても良いし、加工ステージの一部を突出させた「基準突出部」であっても良い。さらに、一部を着色した「基準部」であってもよい。また、この「基準部位」はワークの影響を受けないようにワークと重ならない位置、すなわち、ワークの外形よりも外側に設置するのが望ましい。さらに、研削スピンドルを作動させる「作動制御装置」を設ける場合、この作動制御装置を「加工ステージ」と同時に作動させるように構成して、研削スピンドルと加工ステージとを作動させて、被加工物を研削してもよい。
【0019】
当該発明にあっては、上記重心位置算出手段で求めた被加工物の重心位置とワークモデルの重心位置とを一致させて、被加工物とワークモデルとを比較して、研削スピンドルの削り込み量を削り込み量演算手段によって演算する構成を採用することが好ましい。これにより、被加工物(実ワーク)の重心位置とワークモデルの重心位置とを一致させて、被加工物(実ワーク)とワークモデルとを比較して、被加工物(実ワーク)を、どの程度削り込むかを演算して、削り込み量を決定することになる。つまり、被加工物(実ワーク)がワークモデルに対してどの程度大きいか(例えば、長さ方向の差分と幅方向の差分を検出して、この「差分」の大きさ)を判断して、この大きさに応じて削り込み量を変化させることができる。
【0020】
このため、被加工物の削り込み量を、各ワーク毎で変化させることになり、より正確な形状及び寸法に、被加工物を加工できる。
【0021】
よって、各ワーク毎で変化する被加工物の削り込み量を、より正確に掴んで研削加工を行うことになるため、複数の被加工物を精度よく加工することができる。
【0022】
また、当該発明にあっては、上記重心位置算出手段が、被加工物の外形の重心位置を求める外形重心算出手段と、被加工物の穴部形状の重心位置を求める穴部重心算出手段とを備えることが好ましい。これにより、被加工物の外形の重心位置と被加工物の穴部形状の重心位置とを算出することによって、穴部がある薄板ガラスであっても、確実にワークモデルに即した形状(穴部の位置等)で、薄板ガラスを研削することができる。よって、穴部があるような複雑な形状の薄板ガラスであっても、正確に研削位置を規定でき、精度良く薄板ガラスを研削することができる。
【0023】
また、当該発明にあっては、上記基準部位の被撮影ポイントを、カメラからの距離が被加工物と略一致するように設定することが好ましい。このように、基準部位の被撮影ポイント(例えば、基準ピンの場合に先端部)からカメラまでの距離と、被加工物のカメラからカメラまでの距離とを略一致させることによって、カメラのピントを両者に合わせることができる。これにより、確実に、基準部位と被加工物とを同時に撮影することができ、被加工物のズレ量をより正確に演算することができる。
【0024】
また、当該発明にあっては、上記基準部位を、少なくとも被加工物を挟んだ両側位置に設ける構成を採用することが好ましい。これにより、基準部位を少なくとも薄板ガラスの両側位置に設けることで、少なくとも2つの基準部位を結んだ線上に形成される点を「機械原点」とすることができ、これにより被加工物の重心位置に近い位置を機械原点とすることができる。
【0025】
このため、より正確に、被加工物のズレ量を演算することができる。すなわち、「機械原点」が被加工物の重心位置に近くなるため、ズレ量の演算の際の誤差を少なくでき、これにより正確なズレ量を演算することができる。よって、より精度の高い被加工物の研削加工を行うことができる。
【0026】
また、当該発明にあっては、上記加工ステージが、小型の被加工物をそれぞれ保持可能な複数の第一の保持台と、大型の被加工物を保持可能な第二の保持台との何れか一方を選択して設置できるよう設けられており、上記基準部位が、第一の保持台が設置される際に第一の保持台に保持される小型の被加工物と、第二の保持台が設置される際に第二の保持台に保持される大型の被加工物との何れの被加工物の外形よりも外側に配置された構成を採用することが好ましい。
【0027】
これにより、加工ステージに複数の第一の保持台を設置できるので、小型の被加工物であれば、一つの加工ステージに複数の被加工物を保持させることができる。また、加工ステージに第一の保持台及び第二の保持台を選択して設置することができるため、被加工物の大きさに応じた保持台によって被加工物を適切且つ確実に保持することができる。
【0028】
さらに、第一の保持台及び第二の保持台の何れを加工ステージに設置した場合であっても、基準部位は被加工物の外形よりも外側に位置するため、基準部位が被加工物に隠されることがない。このため、第一の保持台及び第二の保持台の一方を他方に変更して設置する際に、上記のように大型及び小型の何れの被加工物よりも外側に位置する基準部位を取り換え等する必要がなく、加工ステージの構造をシンプルにすることができる。
【0029】
また、当該発明にあっては、上記加工ステージが被加工物をそれぞれ保持する複数の保持台を備え、上記基準部位が複数設けられ、この複数の基準部位が、上記複数の保持台に保持される各被加工物の外形の外側にそれぞれ配置されている構成を採用することが好ましい。
【0030】
これにより、加工ステージに複数の保持台を設置でき、一つの加工ステージに複数の被加工物を保持させることができる。
【0031】
また、各保持台に保持される各被加工物の外側に基準部位が設けられるため、被加工物に近接した位置に基準部位が位置することになり、このため、「機械原点」が被加工物の重心位置に近くなり、ズレ量の演算の際の誤差を少なくできる。
【0032】
なお、当該発明は上記研削装置及び研削方法のみを対象とするものではなく、上記研削方法を具備した薄板状部材の製造方法も対象とするものである。
【0033】
さらに、当該発明において、カメラの設置位置である「被加工物と略直交する位置」とは、カメラの撮影方向軸が薄板状の被加工物の平面と完全に直交する場合のみならず、一定範囲で傾斜しているような場合も含む。つまり、上記「略直交」とは、要求される加工精度やカメラの撮影精度などとの関係によって定められるものであり、カメラによって撮影された撮影データを利用して当該発明のように研削した結果、要求される端面の加工精度を満たす範囲であれば、カメラの撮影方向軸が被加工物の平面に対して傾斜していても良い。
【発明の効果】
【0034】
以上説明したように、当該発明にあっては、薄板ガラス等の被加工物自体に基準となるマーク(印)等を形成しなくても、加工ステージに設けた基準部位で「機械原点」を求めて、被加工物のズレ量を把握することができる。そして、この把握したズレ量によって、マーク(印)等のない被加工物を研削加工することができる。よって、例えば携帯電話などの携帯端末の表示画面に用いられる薄板ガラスの端面研削を行う場合であっても、カメラの撮影データを利用して研削加工を行うことによって、精度よく加工しつつも、被加工物の表面に目印等を設けることなく、研削加工を行うことができる。
【発明を実施するための形態】
【0036】
以下、図面に基づいて本発明の実施形態を詳述する。
【0037】
<第一実施形態>
まず、研削装置の全体構成について
図1〜
図3を参照しつつ説明する。なお、各図において、具体的には描いていないが、この研削装置でも、周知のように、作業者の安全性を確保するため、周囲にガード板を設けている。
【0038】
この研削装置Mは、
図2、
図3に示すように、下部に略矩形状で格子状に組まれたベーススレーム1を備え、この上面に研削加工を行うための様々なユニットを設置している。
【0039】
ベーススレーム1は、周知の鋼製の角材11、12、13を、左右方向、前後方向、及び上下方向に組むことで、上部の各ユニットを強固に支持するよう構成している。
【0040】
ベーススレーム1の上面には、鉄属製の平板材14が載置され固定されている。この平板材14によって、ベーススレーム1の角材11、12、13の間の目隠しを行う共に、ベーススレーム1上に各ユニットを設置できる。
【0041】
なお、ベーススレーム1内には、電子制御ユニット15が設置され、研削加工を行う各種ユニットの制御を行うようにしている。また、詳細には記載しないが、この電子制御ユニット15内には加工情報等を記憶する記憶手段を備えている。さらに、図示しないものの、この電子制御ユニット15に対して作業者Hが情報を入力するための制御盤も設けている。
【0042】
図1に示すように研削装置Mの上部(ベースフレーム1上)に設置されるユニットは、中央に設置される搬送ロボット2と、その周囲に設置される四つの加工ユニット3A、3B、3C、3Dと、搬送ロボット2の前方に設置される投入取出ステージ4と、搬送ロボット2の左右両側位置で前後方向に延びるように設置される照明移動ユニット5とで、構成されている。
【0043】
上述の搬送ロボット2は、いわゆる水平方向に動く三関節のスカラロボットで構成されている。
図1〜
図3では、搬送ロボット2が動いていない基準状態で示しているが、動作状態については
図4〜
図6によって後に説明する。
【0044】
搬送ロボット2には、その前端に上下スライド軸20が設けられている。この上下スライド軸20の下端には、被加工物である略方形状の薄板ガラスW(ワーク)を吸着保持する吸着ハンド21を設けている。また、上下スライド軸20の上端には、取付ブラケットを介して、画像取り込み用のカメラ23を取り付けている。このように、搬送ロボット2に取り付けられることによって、カメラ23は撮影時にワークWの撮影箇所(ワークWの真上)に移動できるように設けられている。
【0045】
この搬送ロボット2は、薄板ガラスW(Wo,Wi)を、投入取出ステージ4から各加工ユニット3A、3B、3C、3Dへ、また、各加工ユニット3A、3B、3C、3Dから投入取出ステージ4へ、それぞれ搬送する。このワークWの搬送作業は、上述した吸着ハンド21を利用して行う。また、この搬送ロボット2では、上述したカメラ23によって、載置され保持した薄板ガラスWを加工ユニット3A、3B、3C、3Dの上方から撮影することができる。
【0046】
上述の四つの加工ユニットは、搬送ロボット2の前後左右にそれぞれ設けられ、第一加工ユニット3Aと、第二加工ユニット3Bと、第三加工ユニット3Cと、さらに、第四加工ユニット3Dとして設置されている。
【0047】
各加工ユニット3A、3B、3C、3Dの構成要素は、全て同じもので設定しており、全て同じの研削作業を行えるようにしている。例えば、第一加工ユニット3Aで示すように、構成要素には、ワークWを研削状態で吸着保持する加工ステージ30と、加工ステージ30の上方からワークWを研削する研削スピンドル31と、加工ステージ30に隣接して複数の研削ツール(砥石)を保持するツールマガジン32とを備える。
【0048】
そして、このうち、加工ステージ30には、中央の加工テーブル33を左右方向にスライド移動させる左右スライド機構34を設けている。加工テーブル33の左右両側には樹脂製のジャバラカバー35を設けている(加工テーブル33の右側のジャバラカバーは研削スピンドル等で隠れており図示していない)。このジャバラカバー35によって、左右スライド機構34に研削用冷却水が侵入するのを防止している。また、加工テーブル33の上面には、矩形ボックス状で上方が開放したキャッチパン36を設けており、このキャッチパン36によって研削用冷却水が飛散するのを防止している。また、詳細には図示しないが、研削用冷却水をワークWに噴射する冷却水プレート37を、キャッチパン36に隣接して設けている。
【0049】
また、研削スピンドル31は、前後方向にスライド移動する前後スライド機構38を備えている。そして、研削スピンドル31と前後スライド機構38との間に、上下方向に移動する上下ガイド機構39を設けている。こうして、研削スピンドル31が前後方向のみならず上下方向にも自由に移動するように構成されている。
【0050】
なお、前後スライド機構38は、
図2に示すように、前後方向に延びる大型角材のサイドフレーム16に対して強硬に固定している。これにより、研削スピンドル31の支持剛性が高められて、研削精度を高めることができる。
【0051】
ツールマガジン32は、最大五本の研削ツール6(砥石、
図2、
図3参照)が保持できるように構成している。ツールマガジン32には、径の異なる砥石や研磨材の異なる砥石など、複数の研削ツール6が保持されている。この複数の研削ツール6は、加工内容に応じて選択されて研削スピンドル31に取り付けられる。なお、複数の研削ツール6は、研削スピンドル31に自動的に交換されるように設けられている。
【0052】
上述の投入取出ステージ4は、作業者Hが開閉操作する開閉扉40と、開閉扉40と連動して動く長方形形状のカートリッジ設置台41と、カートリッジ設置台41に着脱自在に設置されるワークカートリッジ42とを備えている。
【0053】
開閉扉40は、下端に水平方向に延びるヒンジ軸43(
図3参照)を設けた横長長方形の鋼板によって構成され、上部外面には、平面視略U字形状のハンドル部44を設けている。この開閉扉40を作業者Hがハンドル部44を持ってヒンジ軸43を中心に手前側に回動させることによって、投入取出ステージ4を開放することができ、研削装置M内へワークWの出し入れを行うことができる。
【0054】
カートリッジ設置台41は、その両側端が、開閉扉40の上部に連結されたリンク機構45に連結されている。また、カーシリッジ設置台41は、下部を前後方向に延びるスライドレール46(
図3参照)にスライド可能に載置されている。このため、作業者Hが開閉扉40を開放操作すると、開閉扉40にリンク機構45を介して連結されたカートリッジ設置台41が研削装置Mの外側方向にスライド移動する。また作業者Hが開閉扉40を閉鎖操作すると、カートリッジ設置台41が研削装置Mの内側方向にスライド移動する。
【0055】
ワークカートリッジ42は、左右方向に四列でワークWの積層体が並ぶように、樹脂壁47で仕切った積層部48を、四つ備えている。このうち、右側二つの積層部48には、未加工のワークWiを積層して、左側二つの積層部48には、加工済のワークWoを積層するように設定されている。このワークカートリッジ42は、作業者Hがカートリッジ設置台41から容易に取り外しできるように、持ち運びする際の把持部49を両端に設けている。
【0056】
作業者Hが、このワークカートリッジ42に未加工のワークWをセット(載置)して、このワークWをセットしたワークカートリッジ42をカートリッジ設置台41に置き、開閉扉40を閉鎖することで、加工前準備を整えることができる。
【0057】
上述の照明移動ユニット5は、搬送ロボット2の両側位置で前後方向に延びる移動スライドレール50と、この移動スライドレール50に上下移動機構51を介して支持された略四角形の照明枠52とを備えている。この照明枠52は、撮影時にワークWを照明する照明手段として機能し、本実施形態においては上記構成より、照明手段は、撮影時の照明位置と待機位置との間を移動可能に設けられている。
【0058】
移動スライドレール50は、前端と後端とを、支持ブラケット50a、50aを介して金属製の平板材14に固定して設置されている。この移動スライドレール50の後端は、後側の加工ユニット(第二加工ユニット3B及び第四加工ユニット3D)のツールマガジン32の位置まで延設している。このため、照明枠52が研削装置Mの後側に大きく移動することになり、照明枠52を使用しない待機タイミング(例えば各加工ユニット3A、3B、3C、3Dで研削加工を行っているタイミング)では、照明枠52を後側の位置まで後退させることができる。
【0059】
照明枠52は、各枠部52aの内周面に、図示しないLEDを複数埋め込むことによって、枠内を照射するように構成している。この照明枠52は、カメラ23でワークWを撮影する際に、加工ステージ30のキャッチパン36に移動して、LEDでワークWを側方から照射することで、ワークWの外形形状(輪郭)を浮かび上がらせて、ワークWの撮影を容易に行えるようにしている。
【0060】
次に、搬送ロボット2について、
図4〜
図6で説明する。
【0061】
搬送ロボット2は、上述のように水平方向に移動する三関節のスカラロボットで構成されており、水平方向に移動可能に構成されている。具体的には
図4(b)に示すように、搬送ロボット2は、第一関節2Ja、第二関節2Jb及び第三関節2Jcにおいて回動可能に設けられ、左右方向に移動可能に設けられている。これにより、前側アーム24の前端の上下スライド軸20が水平方向に移動できるようになっている。
【0062】
この上下スライド軸20は、前側アーム24の前端を上下方向に貫通設置しており、上下方向にもスライド移動するようになっている。
【0063】
上下スライド軸20の下端には、上述した吸着ハンド21を設けている。この吸着ハンド21は、長方形の平板状のベースプレート25に、下側を向いた四つの吸盤26を設けている。この吸盤26に負圧を作用させることによって、吸着力を生じさせ、ワークである薄板ガラスWを吸着保持するように構成されている。
【0064】
この四つの吸盤26は、
図4(c)にも示すように、二つずつ、左右二箇所に配設している。それぞれ二つの吸盤26で一枚のワークWを吸着保持するようにしている。このため、一つの吸着ハンド21で二枚のワークWを一度に搬送することができる。
【0065】
また、この吸着ハンド21には、下向きに突出したピン27をベースプレート25の両端に設けている。このピン27、27は、ワークWに当接する当接部材である。つまり、ワークWを搬送する前に、搬送ロボット2の移動によりこのピン27で一旦ワークWをワークカートリッジ42内に押し込み、ワークWをワークカートリッジ42内で整列させている。
【0066】
上下スライド軸20の上端には、上述したようにカメラ23を設けている。このカメラ23は、吸着ハンド21のワークWの保持位置(ベースプレート25の突出部分)から、約90°ずらした位置に設置している。これは、カメラ23で撮影する際に、ベースプレート25が邪魔にならないようにするためである。このカメラ23は、一般的なCCDカメラで構成しており、二次元の画像データを取り込むようにしている。また、上記カメラ23は、その撮影方向軸が撮影対象である薄板状のワークWの平面と完全に直交するように位置して、ワークWを撮影できるように設けられている。
【0067】
また、このカメラ23は、取付ブラケット22を介して上下スライド軸20に取り付けている。この取付ブラケット22は、やや下向きに屈曲した腕部22aと、上下方向位置を調整可能なカメラ取付部22bと、上下スライド軸20に筒状に固定されるシャフト固定部22cとで構成されている。カメラ23は、腕部22aを介して上下スライド軸20に固定されるため、上下スライド軸20から離間して位置することになり、撮影時には、前側アーム24が映り込むのを防いでいる。
【0068】
次に、搬送ロボット2の搬送時の動作を、
図5及び
図6を利用して説明する。
【0069】
図5(a)に示すように、搬送ロボット2は、まず、基準状態から各関節を反時計廻りにわずかに回動させ、ワークカートリッジ42に積層された未加工のワークWiを吸着ハンド21で吸着する。このとき、上下スライド軸20を大きく反時計廻りに回動させることで、吸着ハンド21のベースプレート25を回動させ、左側の吸盤26で未加工のワークWiを吸着する。
【0070】
その後、
図5(b)に示すように、搬送ロボット2は、各関節を大きく反時計廻りに回動させ、第一加工ユニットの加工ステージ30に、ワークWiを搬送する。このとき、ワークWiは大体の位置に搬送されて、加工ステージ30に載置されることになる。すなわち、厳密な位置確認を行うことなく、ワークWiは加工ステージ30に搬送されて、大凡の位置に載置されるのである。
【0071】
そして、
図6(c)に示すように、搬送ロボット2は、前側アーム24をさらに反時計廻りに回動させると共に、上下スライド軸20を時計廻りに回動させることで、カメラ23を確実にワークWiの上方(真上)で且つその撮影方向軸がワークWiの平面に直交するように位置させる。こうして、搬送ロボット2は、自ら搬送して加工ステージ30に載置したワークWiを、カメラ23で撮影するようにしている。なお、ワークWの撮影手順等については、後述する。
【0072】
そして上記ワークWiの撮影終了後に、
図6(d)に示すように、搬送ロボット2は、次の未加工のワークWを搬送するために、各関節を時計廻りに戻して、ベースプレート25の左側の吸盤26で、次のワークWを吸着するようにしている。
【0073】
そして、その後、搬送ロボット2は、
図5(b)の動作を繰り返し、ワークカートリッジ42から次の加工ステージに未加工のワークWを搬送する。こうして、空いている加工ユニットの加工ステージに、次々と未加工のワークWを搬送するようにしている。
【0074】
なお、具体的には図示していないが、搬送ロボット2は、加工が終了した加工済のワークWoを、右側の吸盤26で吸着することで、加工ステージ30からワークカートリッジ42に搬送する。搬送ロボット2は、
図5(b)の動作の前に、加工ステージ30から加工済のワークWoを取り上げることで、未加工のワークWiの搬送を行いつつ、加工済のワークWoの搬送も同時に行うのである。
【0075】
次に、加工ユニットについて、主に
図7〜
図9を参酌しつつ説明する。
【0076】
加工ユニット3B(便宜上、第二加工ユニットで説明する)は、
図7に示すように、上述したワークWを保持する加工ステージ30と、ワークWを研削する研削スピンドル31と、研削ツール6を保持するツールマガジン32とを備えている。
【0077】
そして、このうち、加工ステージ30には、上述のように矩形の加工テーブル33(テーブル)と、加工テーブル33を左右に動かす左右スライド機構34と、左右スライド機構34を覆うジャバラカバー35と、加工テーブル33の上面に設置されたキャッチパン36と、研削用冷却水を噴射する冷却水プレート37とを備えている。
【0078】
さらに、この加工ステージ30は、
図8に示すように、さらに様々な構成要素を備えている。
【0079】
まず、加工テーブル33の上面には、キャッチパン36の内側中央にワークWを吸着保持するための吸着台70(保持台)を設けている。この吸着台70は、上面(受け面)70aが長方形(
図7参照)となった略T字状のブロック形状の台座で構成している。吸着台70の上面70aには、負圧を付与するために、複数の吸気口70b(
図10、
図11参照)を設けている。また、薄板ガラスであるワークWの表面に傷が生じないようにするため、吸着台70の上面70aには、平滑加工を施している。
【0080】
上記吸着台70の周囲には、研削加工の際の機械原点を算出するための二つの基準ピン71、71は、カメラ23側(上方側)に向けて立設されている。この二つの基準ピン71、71は、吸着台70にワークWを載置(保持)した状態で、上記カメラ23から撮影できるように、ワークWが重ならない位置(ワークWの外形の外側)に配置されている。また、二つの基準ピン71、71は、ワークWに対して対角に位置するように配置している。なお、ワークWが完全に透明である場合、基準ピンの位置はワークWと重なるように設定してもよい。
【0081】
そして、基準ピン71の被撮影ポイントである先端部71aは、
図8に示すように、その高さhpが吸着台70の上面70aの高さhsと同じ高さになるように設定している。つまり、基準部位の被撮影ポイントを、カメラからの距離が被加工物と略一致するように設定している。このように設定することで、カメラ23で撮影する際に、ワークWと基準ピン71との間でピントのズレが生じないため、画像データの取り込みを確実に行える。
【0082】
なお、上述の「略一致」とは、上述のように基準ピン71の先端部71aの高さhpと吸着台70の上面70aの高さhsとが同じ高さである場合のみならず、例えば、ピンの先端部71aの高さhpが吸着台70の上面の高さよりも若干(例えば1mm)低い場合も含む。つまり、上述の「略一致」とは、要求される加工精度やカメラの撮影精度などとの関係によって定められるものであり、カメラによって撮影された撮影データを利用して後述のように研削した結果、要求される端面の加工精度を満たす範囲であれば、カメラからの基準部位の被撮影ポイントまでの距離と、カメラからの被加工物の距離とが、完全に一致しなくとも良い。
【0083】
また、キャッチパン36の内部には、上げ底で傾斜した略四角形の背景板72を設けている。この背景板72は、全面を艶消し黒で塗付しており、カメラ23に映り込んだ際の反射を防いで、ワークWと基準ピン71の映り込みを際立たせるようにしている。また、背景板72を傾斜するように設置することによって、研削用冷却水が即座に流れ落ちるようにしている。また、この背景板72には、基準ピン71と吸着台70を挿通させるための挿通穴(具体的には図示せず)が形成されている。
【0084】
キャッチパン36の隣接位置には、キャッチパン36に流れ落ちる研削用冷却水を排水する排水管73と排水樋74とを設けている。この排水管73と排水樋74とを設けることで、研削用冷却水がキャッチパン36内に滞留することを防止している。
【0085】
左右スライド機構34は、周知のLMガイドによって、加工テーブル33が左右方向に自由にスライド移動するようになっている。そして、この左右スライド機構34は、ステッピングモータ34Mによって、スライド量が制御されるように構成されている。すなわち、左右スライド機構34によって、加工テーブル33の左右方向の位置が制御されるようになっているのである。これにより、後述する研削加工の際には、左右スライド機構34が研削経路の左右位置を規定することになる。
【0086】
ジャバラカバー35は、いわゆるアコーディオンのように左右方向に伸縮するように構成されている。このため、加工テーブル33が左右スライド機構34で左右に移動したとしても、加工テーブル33とジャバラカバー35との間で隙間が生じず、左右スライド機構34に研削用冷却水が流れ込むのを防ぐことができる。
【0087】
キャッチパン36は、上述のように上方が解放した矩形ボックス状に構成しており、外部に研削用冷却水が漏れないように設定している。具体的には、
図8に示すように、キャッチパン36の側壁36aを、基準ピン71(hp)や吸着台70(hs)よりも高い位置hcまで延ばして、研削用冷却水の漏れを防いでいる。
【0088】
冷却水プレート37は、左右方向に出没自在になるように構成しており、研削加工時には、キャッチパン36の上方を覆う位置まで突出するように構成している。そして、この冷却水プレート37の中央には、前後方向に延びる長穴状の研削挿通穴37aを設けている。この研削挿通穴37aは、研削加工時に研削ツール6を挿通するために設けている。また、具体的に図示しないものの、冷却水プレート37の裏面(下面)には複数の噴射口が設けられており、冷却水プレート37内部を流れる研削用冷却水を下方(ワークW側)に噴射するように構成している。
【0089】
研削スピンドル31は、研削を行う際の回転駆動力を発生する電動モータ31aと、電動モータ31aのスピンドル軸に研削ツール6(砥石)を固定するチャック31bとを備えている。
【0090】
研削スピンドル31は、上述したように、前後スライド機構38を備えている。この前後スライド機構38は、前後方向に延びるスライドレール38aと、このスライドレール38a上を移動するスライダー38bとを備えている。この前後スライド機構38も、ステッピングモータ38Mによってスライダー38bのスライド量が制御されるように構成しており、この前後スライド機構38によって研削スピンドル31の前後位置が制御されるようになっている。よって、研削加工の際には、この前後スライド機構38が研削経路の前後方向位置を規定することになる。
【0091】
また、研削スピンドル31と前後スライド機構38との間には、上述のように、上下ガイド機構39を設けている。この上下ガイド機構39も、上下方向に延びるレール39aと、レール上を移動する移動部材39bとを備えている。さらに、この上下ガイド機構39もステッピングモータ39Mによって移動部材39bの上下移動量が制御されるように構成されている。この上下ガイド機構39によって、研削スピンドル31の上下位置を制御するようになっている。これにより研削ツール6をワークWに位置合わせする際には、この上下ガイド機構39を使って、位置調整するようにしている。
【0092】
ツールマガジン32は、上述のように、最大五本の研削ツール6を保持できるように構成している。具体的には、
図9に示すように、研削ツール6を保持する5つのツール保持部32aを前後方向に一列に並べて、このツール保持部32aと研削スピンドル31との間で、自動的に研削ツール6のやり取りを行うように構成している。
【0093】
このため、この研削装置Mでは、研削箇所に応じて、複数の研削ツール6を自動的に交換することができ、研削自由度を高めることができる。
【0094】
研削スピンドル31の研削ツール6について、
図10及び
図11を参照しつつ以下説明する。
【0095】
上述したように、この研削スピンドル31は、チャック31bによって研削ツール6を着脱することができ、
図10に示すような大径の研削ツール6Aと、
図11に示すような小径の研削ツール6Bとを切り替えて装着することができる。
【0096】
図10に示す、大径の研削ツール6Aは、ダイヤモンド粒子60を表面に付着させた大径円柱状の加工部61(砥石)と、チャック31bに固定される上下方向に延びるシャフト部62とを備えており、加工部61の上側には外方に広がる鍔部63を設けている。また、加工部61の下部には三条で筋状に窪んだ凹部64を形成している。
【0097】
この大径の研削ツール6Aを、研削スピンドル31で回転させて、ワークWの外縁(外形)Waに凹部64を当接させることで、ワークWの外形研削や面取りを行うことができる。なお、70は吸着台である。
【0098】
このように大径の研削ツール6AによってワークWを研削することで、研削加工時に研削ツール6Aが安定して切削が行われるため、加工精度を高めることができる。また、研削ツール6Aが大径であるため、ツールの工具寿命も長くすることができ、ワークWを大量に連続して研削できる。
【0099】
図11に示す小径の研削ツール6Bは、表面にダイヤモンド粒子160を付着させた小径円柱状の加工部161と、チャック31bに固定されるシャフト部162とを備え、加工部161の上側には鍔部163を設けている。また、加工部161の下部には、三条で筋状に窪んだ凹部164を形成している。
【0100】
この小径の研削ツール6Bでは、径が小さいため、研削ツール6をワークWの穴部Wb内に差し込んで、穴部Wbの内縁Wcに凹部164を当接させることで、ワークWの穴部Wbの内形研削や面取りを行うことができる。
【0101】
このように、小径の研削ツール6BでワークWの穴部Wbの内形を研削することによって、穴部Wbの径が小さく加工しにくい場合であっても、研削加工を確実に行うことができる。
【0102】
次に、研削装置Mの制御方法について、まずワークWの研削経路を演算する際の制御方法を
図12〜
図14で説明する。
【0103】
図12のフローチャートに示すように、スタート後、まず初めに、S1で、ワークWのモデルデータ(外形、穴部等)を電子制御ユニット15に入力(インストール)する(入力工程)。この入力作業では、例えば、加工済ワークWoの設計データ(CADデータ)を、一旦別のソフトウェアに取り込んで、研削経路等の研削データに変換した上で、電子制御ユニット15に入力(インストール)する。
【0104】
こうした入力作業が終了した後、次に、S2で、実際のワークWi(以下、実ワーク)を加工ステージ30に載置(搬入)して、吸着台70にワークWiを保持させる(保持工程)。この載置作業は、上述した搬送ロボット2によって行う。この載置作業によって未加工の実ワークWiが加工ステージ30の吸着台70に載置される。
【0105】
その後、S3で、カメラ23によって、実ワークWiと基準ピン71、71との画像を取り込む(撮影工程)。このカメラによる撮影状態を示したものが
図13である。この
図13に示すように、研削装置Mでは、ワークWiを搬送した搬送ロボット2の高い位置に取り付けられたカメラ23によって、加工ステージ30のワークWiと基準ピン71、71とを撮影する。このように上方の離れた位置から加工ステージ30を撮影することで、取り込むワークWiや基準ピン17,17の画像データの歪みをできるだけ少なくすることができる。
【0106】
このようにして取り込んだ画像データの例が、
図14(a)に示した図である。ワークWiと二つの基準ピン71、71を、画像データとして取り込み、各々の位置データを算出するようにしている。
【0107】
そして、S4で、基準ピン71、71の位置から加工ステージ30の機械原点Cを算出する(機械原点算出工程)。ここで、機械原点Cとは、研削加工を行うための機械座標の基準であり、この機械原点Cを規定することで、正確な研削加工を行うことができる。
【0108】
機械原点Cは、
図14(b)に示すように、二つの基準ピン71、71を結んだ線Lの中点によって定めるようにしている。なお、他の例として、破線で示すように、さらに二つの基準ピンを71´、71´追加して、この追加した二つの基準ピン71´、71´を結んだ線Nと上記二つの基準ピン71、71を結んだ線Lとの交点を、機械原点Cとして規定しても良い。
【0109】
そして、S5で、取り込んだ実ワークWiのデータから、実ワークWiの外形Waの重心位置Pと、穴部Wbの重心位置Qとを算出する(重心位置算出工程)。ここで、重心位置とは、図形の重心の位置であり、ワークWの外形形状や穴部形状によって決まるものである。
図14(b)に示す黒丸P、Qが、それぞれ実ワークWの外形Waの重心位置と穴部Wbとの重心位置である。
【0110】
その後S6で、実ワークWiの重心位置(外形の重心位置P及び穴部の重心位置Q)とモデルWmの重心位置(外形の重心位置Pm及び穴部の重心位置Qm)とを一致させる。実ワークWの重心位置P、QとモデルWmの重心位置Pm、Qmとを一致させることで、実ワークWiとモデルWmとの差(位置データの差)を明確にしている。
図14(c)に示す状態が実ワークWiとモデルWm(一点鎖線)の重心位置P、Q、Pm、Qmとを一致させた状態である。このように重心位置P、Q、Pm、Qmを一致させることで、実ワークWiとモデルWmとの差を明らかにできる。
【0111】
そして、S7で、加工ステージ30の機械原点Cと実ワークWiの重心位置Pとを比較して、機械原点Cと実ワークWiの重心位置Pとのズレ量(横方向のズレ量X、縦方向のズレ量
Y)を演算する(ズレ量演算工程)。また、実ワークWiとモデルWmとを比較して、
回転方向のズレ量θも算出でき、外形差により削り込み量Δwも演算する。こうして、実ワークWiの研削量等を明確にできる。
【0112】
図14(d)が、それぞれのズレ量や削り込み量を示したものである。加工ステージの機械原点Cからの実ワークWiの重心位置Pのズレ量は、例えば、この図に示すように、左側にX、上側にY、ズレており、さらに、右側にθ、傾くように傾斜している。
【0113】
そして、削り込み量は、幅方向の削り込み量Δw1が、実ワークWiの幅寸法r1からモデルの幅寸法T1を引いて2で割ることで算出され、長さ方向の削り込み量Δw2を、実ワークWiの長さ寸法r2からモデルの長さ寸法T2を引いて2で割ることで算出される。
【0114】
こうして、幅方向と長さ方向との削り込み量Δw1、Δw2を求めた後、このうち大きな値を最終的な削り込み量Δwとして決定する。このように決定するのは、研削加工を行う際、モデル形状に相似した軌跡であり、ワーク全周を一定の削り込み量で削り込みするため、大きな値に決定しておくことで、削り込みを確実に生じさせて、モデル形状により近い形に研削できるからである。
【0115】
そして、S8で、X、Y、θのズレ量及び削り込み量Δwに応じて、ワークWiの研削経路を算出する(研削経路演算工程)。この研削経路は、実ワークWiの形状や、実ワークWiの載置位置の変動によって変化するもので、各々のワークWで異なるものである。
【0116】
その後、S9で、算出した研削経路で実ワークWiを研削する(研削工程)。この研削作業は、研削スピンドル31と加工ステージ30(加工テーブル33)とをそれぞれ移動することで行う。このワークWの研削作業では、上述の大径の研削ツール6Aや小径の研削ツール6Bを用いて研削部位に応じて行う。
【0117】
最後に、S10で、実ワークWiを加工ステージ30から取出す(搬出工程)。この取出作業も上述した搬送ロボット2で行い、加工済のワークWoを加工ステージ30から取出す。
【0118】
そして、次に、S11で作業が終了するか否かの判断を行い、作業が継続する場合(NO判断の場合)には、次のワークWを加工するために上記S2に再度移行する。一方、作業が終了する場合(YES判断の場合:電源オフの場合)には、そのままエンドに移行する。
【0119】
以上、このようなステップによって、第一実施形態の研削装置Mは制御される。
【0120】
以上のように、この第一実施形態の研削装置Mは、薄板ガラス(W)の端面研削を行う研削装置Mであって、薄板ガラスのモデルWmのデータを予めインストール(記憶)して(S1)、カメラ23で取り込んだ基準ピン71,71の撮影データから、加工ステージ30の機械原点Cを算出する(S4)。そして、カメラ23で取り込んだ薄板ガラス(実ワークWi)の撮影データから、薄板ガラス(実ワークWi)の重心位置Pを求めて(S5)、加工ステージ30の機械原点Cと薄板ガラス(W)の重心位置Pを比較して、薄板ガラスのズレ量(縦方向のズレ量X、横方向のズレ量Y、回転方向のズレ量θ)を算出し(S7)、このズレ量に応じて研削経路を演算して(S8)、この演算した研削経路に従って、研削スピンドル31を作動させるようにしている(S9)。
【0121】
このため、薄板ガラス(W)自体に「基準となるマーク(印)」等を形成しなくても、加工ステージ30に設けた基準ピン71、71によって「機械原点C」を求め、薄板ガラス(W)のズレ量(X、Y、θ)を把握することができ、この把握したズレ量によって、マーク(印)等のない薄板ガラス(W)であっても正確に研削加工することができる。
【0122】
よって、携帯電話などの携帯端末の表示画面に用いられる薄板ガラス(W)の端面研削を行う研削装置Mにおいて、カメラ23の撮影データを利用して研削加工を行うことで、精度よく加工しつつも、薄板ガラス(W)の表面に目印等を設けることなく、研削加工を行うことができる。
【0123】
なお、この実施形態では機械原点を複数の基準ピン71、71で求めるようにしたが、その他、一部を突出させた基準突出部で機械原点を求めても良いし、また、一部を着色した基準部で、機械原点を求めてもよい。
【0124】
また、この実施形態では、薄板ガラス(W)の重心位置PとモデルWmの重心位置Pmとを一致させ、薄板ガラス(W)とモデルWmとを比較して、研削スピンドル31の削り込み量Δwを演算するようにしている。すなわち、薄板ガラス(W)がモデルWmに対してどの程度大きいか(例えば長さ方向の差分と幅方向の差分を検出して、この「差分」の大きさ)を判断して、この大きさに応じて削り込み量Δwを変化させるのである。
【0125】
このため、薄板ガラス(W)の削り込み量Δwを各ワーク毎で変化させることになり、より正確な形状及び寸法に、薄板ガラス(W)を加工することができる。よって、各ワーク毎で変化する薄板ガラスの削り込み量Δwを、より正確に掴んで研削作業を行うことになり、これにより複数の薄板ガラスを精度よく加工することができる。
【0126】
また、この実施形態では、薄板ガラスの外形Waの重心位置Pと、穴部Wbの形状の重心位置Qとを求めてワークWiの重心位置を算出するようにしている。
【0127】
これにより、薄板ガラス(W)の外形Waの重心位置Pと薄板ガラスの穴部Wb形状の重心位置Qとを算出することで、穴部のある薄板ガラスであっても、確実にモデルWmに即した形状で、研削することができる。このため、穴部Wbがある複雑な形状の薄板ガラス(W)であっても、正確に研削経路を演算でき、精度良く研削することができる。
【0128】
また、この実施形態では、基準ピン71、71を、薄板ガラス(W)を挟んだ両側位置に設けている。
【0129】
これにより、機械原点Cを、上記2つの基準ピン71、71を結んだ線L上に少なくとも設定でき、薄板ガラス(W)の重心位置Pに近い位置に設定することができる。このため、より正確に薄板ガラス(W)のズレ量を演算することができる。すなわち、機械原点Cが薄板ガラス(W)の重心位置Pに近い事で、ズレ量の際の誤差を少なくできるため、正確なズレ量を演算することができる。よって、より精度の高い研削加工を行うことができる。
【0130】
また、この実施形態では、基準ピン71の先端部71aを吸着台70の上面70aと同じ高さ(hp=hs)に設定することで、カメラ23からの距離を、薄板ガラス(W)と略一致するようにしている。
【0131】
これにより、基準ピン71の被撮影ポイントである先端部71aが、薄板ガラス(W)の高さ方向の位置と略一致するため、カメラ23のピントを確実に両者に合わせることができる。このため、確実に、基準ピン71と薄板ガラス(W)とを同時に撮影することができ、薄板ガラス(W)のズレ量をより正確に演算することができる。
【0132】
<第二実施形態>
次に、本発明の第二の実施形態について、
図15〜
図21を参酌しつつ、以下、説明する。なお、上記第一実施形態と同一構成又は同一機能を有する部材等については、その説明を省略する。
【0133】
第二実施形態の研削装置Mも、
図15に示すように、第一実施形態と同様に、複数(四つ)の加工ユニット3A、3B、3C、3Dを有するが、第二実施形態においては、この複数の加工ユニット3A、3B、3C、3Dは、一列に(
図15に示す横方向に)配設されている。このように、一列に配設したことより、加工ユニット3A、3B、3C、3Dは、研削装置Mの外部側に近接して設けられるため、第一実施形態のものに比して、加工ユニット3A、3B、3C、3Dのメンテナンス等が容易となる。
【0134】
また、複数の加工ステージ30は、上記複数の加工ユニット3A、3B、3C、3Dの配設方向と交差(直交)する方向(
図15に示す縦方向)に沿って移動可能に設けられており、具体的には、各加工ステージ30は、縦方向に沿って配設されたステージ用のレール101上にスライド可能に載置されている。そして、各加工ステージ30は、レール101の一方側(
図15に示す紙面下側)が、加工ユニット3A、3B、3C、3Dによってワークを加工する加工位置として機能し、また、レール101の他方側(同紙面上側)が、待機位置として機能する。
【0135】
また、上記ステージ用のレール101と交差(直交)する方向(
図15に示す横方向)に沿って、搬送ロボット(図示省略)がスライド可能に取り付けられた搬送ロボット用のレール103が設けられている。これによって、搬送ロボットは、複数の加工ユニット3A、3B、3C、3Dの配設方向に沿って移動可能に設けられることになり、そして、搬送ロボットは、待機位置に位置する加工ステージ30とワークの受け渡しを行うことができる。
【0136】
また、上記複数の加工ユニット3A、3B、3C、3Dの側方に隣接して、ワークの投入取出ステージ4が設けられており、この投入取出ステージ4の対向位置にも他の投入取出ステージ4が設けられている。上記搬送ロボット用のレール103はこの投入取出ステージ4の設置個所付近まで延設されており、これにより、上記搬送ロボットは、投入取出ステージ4とワークの受け渡しを行うことができる。なお、上記二つの投入取出ステージ4のうち、一方を未加工のワークのみを載置する投入ステージとして利用し、他方を加工済みのワークのみを載置する取出ステージとすることも可能である。
【0137】
また、搬送ロボットには、撮影時にワークを照明する照明手段としての照明枠(図示省略)が取り付けられており、撮影時には搬送ロボットの移動によって照明枠がワークWの照明位置まで移動するように設けられている。
【0138】
また、ワークを撮影する画像取り込み用のカメラ(図示省略)が、複数の加工ユニット3A、3B、3C、3Dの配設方向に沿って移動可能に設けられており、このカメラは、撮影時に待機位置の加工ステージ30上のワークの真上に移動可能に設けられている。なお、ここで、カメラは、上記複数の加工ステージ30の待機位置に沿って、待機位置の上方に設けられたカメラ用のレール(図示省略)にスライド可能に取り付けられている。なお、このカメラ及び上記照明枠の具体的構成は上記第一実施形態のものと同様のものを用いることができる。さらに、具体的には図示していないが、加工ユニット3A、3B、3C、3Dの具体的構成や加工ステージ30の具体的構成は第一実施形態のものと略同様とすることができる。
【0139】
また、第二実施形態においては、上記加工ステージ30は、上記ステージ用のレール101にスライド可能に載置されたステージ基台105と、このステージ基台105上に着脱可能に取り付けられる保持基台107とを備えている。この保持基台107には、ワークを保持する吸着台70(保持台)が載置固定されている。
【0140】
そして、上記ステージ基台105には、複数種(三種)の保持基台107が着脱可能に取り付けられるように設けられている。具体的には、上記ステージ基台105には、
図16に示すように小型のワークをそれぞれ保持する三つの第一の吸着台70が立設固定された第一の保持基台107、
図17に示すように一つの大型のワークを保持する一つの第二の吸着台70が立設固定された第二の保持基台107、及び
図18に示すように中型のワークをそれぞれ保持する二つの第三の吸着台70が立設固定された第三の保持基台107の三つの保持基台107のうち一つを選択的に取り付けられるように設けられている。すなわち、加工ステージ30は、小型のワークをそれぞれ保持する複数の第一の吸着台70と、大型のワークを保持する第二の吸着台70と、中型のワークをそれぞれ保持する複数の第三の吸着台70との何れか一つを選択して設置できるよう設けられている。なお、各保持基台107には複数の研削ツール6が載置されている。
【0141】
上記第一の保持基台107、第二の保持基台107及び第三の保持基台107と、上記ステージ基台105とには、取り付け位置を位置決めするための位置決め手段が設けられている。具体的には、保持基台107は、各保持基台107において略同一形状である基台プレート109を下部に有しており、各基台プレート109には、両側付近に一対の位置決め孔部111が穿設されている。そして、前記ステージ基台105には、この位置決め孔部111に挿通可能な位置決めピン113が突設されている。このため、上記位置決め孔部111に位置決めピン113が挿通されることにより、基台プレート109に各保持基台107が位置決めされて載置されることになる。
【0142】
さらに、上記第一の保持基台107、第二の保持基台107及び第三の保持基台107と、上記ステージ基台105とには、両者を固定するための固定手段が設けられている。具体的には、各保持基台107の基台プレート109には、複数のボルト挿通孔部(図示省略)が穿設されており、前記ステージ基台105には、このボルト挿通孔部に対応する位置にボルト115が螺着される雌ネジ117が形成されている。このため、上記ステージ基台105上に位置決めされて載置された保持基台107を、ボルト115によって固定することができる。なお、ボルト115を離脱することにより、ステージ基台105から保持基台107を離脱することができる。
【0143】
上記ステージ基台105には、複数(八つ)の基準ピン71(基準部位)71が、カメラ側(上側)を向くように立設されている。この基準ピン71は、
図16〜
図18に示すように、加工ステージ30に設置された吸着台70の上面(受け面)よりも外側に位置するように配置され、この吸着台70に保持されるワークの外形よりも外側に配置されている。なお、上記吸着台70の上面は、ワークの外形と略同様の形状で且つワークの外形よりも若干が小さい外形に設けられている。
【0144】
さらに詳述すると、この八つの基準ピン71は、ステージ基台105の上面に固定された四つの台座119に、それぞれ一対固定されている。この四つの台座119は、載置固定される保持基台107の前方、後方、右前方及び左後方に配置されている。また、加工ステージ30は、各基準ピン71に対して水滴やごみ等の付着を防ぐためにエアーを吹き付けるブロー手段(図示省略)を有している。上記台座119には、このブロー手段としてのブローノズル及びこのブローノズルに空気を供給するためのエアー供給接続口121が付設されている。
【0145】
また、基準ピン71は、上記ステージ基台105のみならず、小型のワークが保持される第一の保持基台107にも形成されている。この第一の保持基台107には、二つの基準ピン71が立設されている。この二つの基準ピン71は、中央の吸着台70の両側に配置されており、一方の基準ピン71が前方側に、他方の基準ピン71が後方側に配置されている。また、この二つの基準ピン71も、上述した台座119と同様にブローノズル及びエアー供給接続口121が付設された台座119に固定されている。
【0146】
なお、上述した各基準ピン71は、第一実施形態と同様に、被撮影ポイントである先端部の高さ(上下方向の位置)が、吸着台70の上面の高さと同じ高さになるように設定されている。
【0147】
また、各保持基台107の吸着台70には、第一実施形態と同様に上面に吸気口(図示省略)が設けられており、この吸気口を負圧にするための負圧接続口123が設けられている。本実施形態においては、
図21及び
図18に示すように、第一の保持基台107に設けられた三つの吸着台70、及び第二の保持基台107に設けられた二つの吸着台70は、その上面がそれぞれ異なる大きさに設けられている。これにより、多種の形状のワークを同一の保持基台107において保持することができる。なお、第一の保持基台107に設けられた三つの吸着台70の上面を同一形状として、各吸着台70が同一形状の複数のワークを保持できるように設けることも適宜設計変更可能な事項である。
【0148】
上記第二実施形態の研削装置にあっては、加工ステージ30に複数種類の吸着台70を選択して設置することができるので、研削対象であるワークの大きさに応じて、適切な吸着台を選択して的確に研削作業を行うことできる。さらに、第一又は第二の保持基台107を載置固定した場合には、加工ステージ30に複数の吸着台70を設置できる。これにより、保持基台107を変更することなくワークの大きさに応じたより適切な吸着台70を選択して研削作業を行うことができる。
【0149】
また、上記第二実施形態においては、複数の基準ピン71を有し、この複数の基準ピン71が、吸着台70に保持される各ワークの外形の外側にそれぞれ配置されているので、ワークに近接した位置に基準ピン71が位置することになり、このため、「機械原点」がワークの重心位置に近くなり、ズレ量の演算の際の誤差を少なくできる。さらに、上記基準ピン71は、各ワークを挟んだ両側位置に位置しているので、ワークの両側の基準ピン71を結んだ線上に形成される点を「機械原点」とすることができ、これによりワークの重心位置に近い位置を機械原点とすることができる。しかも、上記第二実施形態においては、ワークを挟んで対向する少なくとも二対の基準ピン71が配置されているので、各対の基準ピン71を結んだ線の交点を「機械原点」とすることによって、この機械原点とワークの重心位置とをより近接させることができる。このため、より正確に、ワークのズレ量を演算することができる。
【0150】
さらに、上記基台プレート109に立設した基準ピン71は、吸着台70に保持されたワークの外形よりも外側に位置するため、基準ピン71がワークに隠されることがなく、このため、第一、第二及び第三の吸着台70の何れに変更して設置しても、この基準ピン71を取り換え等する必要がなく、的確に撮影作業を行うことができる。このため、加工ステージの構造をシンプルにすることができる。
【0151】
<その他の実施形態>
なお、本発明は、上述の実施形態に限定されるものではなく、本発明の意図する範囲内において適宜設計変更可能である。
【0152】
上述の実施形態の研削装置では、ワークWを携帯電話用の薄板ガラスとしているが、例えば、携帯音響機器用の薄板ガラスであってもよいし、また、携帯ゲーム機用の薄板ガラスであってもよい。さらに、携帯ナビ用の薄板ガラス、携帯TVの薄板ガラス等であっても良い。
【0153】
また、研削装置の全体構成についても、上述の実施形態に限定されるものではなく、例えば、加工ユニットが一つであるものや、逆に、さらに五つや六つなど、多くの加工ユニットを有するものも、本発明の意図する範囲内である。
【0154】
さらに、上記第一実施形態においては、研削作業時に、ワークWの長辺方向に研削スピンドル31が移動して、ワークWの短辺方向にワーク加工テーブル33(加工ステージ30)が移動するものについて説明したが、当該発明にあっては、ワークWの平面方向においてワークWと研削スピンドル61とが相対的に移動すれば良い。例えば、研削スピンドル31のみを移動、つまり研削スピンドル31をワークWの長辺方向及び短辺方向の双方向に移動させて、ワークWを研削することも可能である。
【0155】
さらに、研削ツール6についても、この実施形態に挙げたようなものに限定されるのではなく、例えば、球型の研削ツールや、円盤型の研削ツール、また円錐型の研削ツールであってもよい。また、砥石材料についてもダイヤモンドに限定されるものではない。
【0156】
また、第二実施形態において、複数の保持台を備えた一つの保持基台をステージ基台に取り付けるものについて説明したが、例えば、複数の保持台をそれぞれステージ基台に取り付けるように設けることも可能である。この場合、各保持台の間においてステージ基台の上面から基準ピンを突設させることも可能である。また、このように保持台の間でステージ基台から基準ピンを突設させる場合には、この基準ピンをステージ基台に着脱可能に取り付ける、または、大型(又は中型)の保持基台にこの基準ピンが収容されるような孔部を形成するよう設計変更することも可能である。