【課題を解決するための手段】
【0028】
本発明の対象は、ポリアクリレート、特に、モノマー混合物の重合によって得られ、アクリル酸を少なくとも5重量%含むポリアクリレート感圧接着剤の架橋方法であり、その際ポリアクリレートの架橋のための架橋剤として少なくとも1つのエポキシシクロヘキシル誘導体が、促進剤なしで使用される。したがって、架橋すべきポリマーには、促進剤、特にプロトン受容体、電子対供与体(ルイス塩基)および/または電子対受容体(ルイス酸)が存在せず、特に添加されていない。この場合、存在しないとは特に、外部から添加された(すなわち重合導入されていない、またはポリマー骨格に組み込まれていない)促進剤に関することであるが、外部から添加されもせず、重合もしていないことが特に好ましく、促進剤が全く存在しないことが極めて好ましい。
【0029】
前述のように架橋したポリアクリレートは、弾性成分が80%を、好ましくは85%を、非常に好ましくは90%を超えているのが有利である。
【0030】
弾性成分に関するあらゆるデータは、本明細書の実験の部に示された測定方法H3に従って求めた値に関係している。そのためにポリマー層は、本発明による接着テープ内に存在するポリマー層に対応して単独層として厚さ23μmのPETフィルム上で方法H3に従って測定され、弾性成分が決定される。
【0031】
さらに本発明の対象は、上面および下面を有する少なくとも1つの第一粘弾性ポリマー層と、粘弾性ポリマー層の上面にあり特に第一ポリマー層に直接接している少なくとも1つの第二ポリマー層とを含む、接着テープであって、
−粘弾性ポリマー層は、
65〜97重量%のエチルヘキシルアクリレートおよび/またはブチルアクリレート、
0〜30重量%のメチルアクリレート、
3〜15重量%のアクリル酸
のモノマー組成物の重合によって得ることができるポリアクリレートをベースとし、
粘弾性ポリマー層が架橋しており、
−第二ポリマー層は、
85〜95重量%のエチルヘキシルアクリレートおよび/またはブチルアクリレート、
5〜15重量%のアクリル酸
のモノマー組成物の重合によって得ることができるポリマーをベースとし、
第二ポリマー層はエポキシシクロヘキシル誘導体を加えながら促進剤なしで、特に、プロトン受容体、電子対供与体、(ルイス塩基)および/または電子対受容体(ルイス酸)なしで熱架橋されている、接着テープである。
【0032】
第二ポリマー層は、少なくとも形成された接着テープ結合内で外側に向けて感圧接着特性を有するので、第二ポリマー層は以下で感圧接着剤層とも呼ぶ。
【0033】
本発明は、上面および下面を有する第一粘弾性ポリマー層(さらに両面接着テープでは「中間層」とも呼ばれる)と、中間層の上面にある第二ポリマー層および中間層の下面にある第三ポリマー層を含む、特に両面の接着テープであって、
−粘弾性中間層は、
65〜97重量%のエチルヘキシルアクリレートおよび/またはブチルアクリレート、
0〜30重量%のメチルアクリレート、
3〜15重量%のアクリル酸
のモノマー組成物の重合によって得ることができるポリアクリレートをベースとし、
粘弾性中間層が架橋しており、
−少なくとも第二ポリマー層は、
85〜95重量%のエチルヘキシルアクリレートおよび/またはブチルアクリレート、
5〜15重量%のアクリル酸
のモノマー組成物の重合によって得ることができるポリマーをベースとし、
第二ポリマー層は、エポキシシクロヘキシル誘導体を加えながら促進剤なしで、特に、プロトン受容体、電子対供与体、(ルイス塩基)および/または電子対受容体(ルイス酸)なしで熱架橋されている、接着テープである。
【0034】
この場合も、第二ポリマー層は感圧接着剤層であり、したがって少なくとも形成された接着テープ結合内で外側に向けて感圧接着特性を有する。
【0035】
さらに、第三ポリマー層も両面接着テープ内で非常に好ましくは接着性特性を、特に感圧接着性特性を備えている。
【0036】
本発明による接着テープの第二ポリマー層面における(すなわち接着テープ上面での接着力)鋼への接着力は(鋼への接着力のすべての詳細は、本明細書の実験の部に示された90°接着力試験;測定方法V1;によって求めた値に関係している)、特に好ましくは少なくとも10N/cm以上、特に好ましくは少なくとも15N/cm以上、非常に好ましくは17N/cm以上である。
【0037】
上面および下面という概念は、本明細書の枠内では第一ポリマー層の2つの表面の場所の違いを表すためのものにすぎず、それ以上の別の方向情報は含んでいない。「上面」とはすなわち、特に対応する層の一方の面を意味し、下面とは対応する層の他方の面を意味している。
【0038】
従属請求項は、本発明の有利な発展形態および実施形態に関する。
【0039】
ポリマー層の性質およびその物理的特性(例えば粘弾性、凝集性、弾性成分)は、架橋の種類および程度の影響を受ける。
【0040】
本発明の教示は、それに対応してさらに、アクリル酸含有量の高い(すなわち少なくとも5重量%のアクリル酸を含むモノマー組成物の重合によって得られる)ポリアクリレート、特にポリアクリレート感圧接着剤を、それも1つまたは複数のエポキシシクロヘキシル誘導体を、特に単独で、ただし場合によっては他の架橋剤と組み合わせて使用しながら、ただしいずれにせよ促進剤物質、特にプロトン受容体、電子対供与体(ルイス塩基)および/または電子対受容体(ルイス酸)なしで、エポキシシクロヘキシル誘導体で架橋させるべき層内で熱架橋させるという着想を含んでいる。
【0041】
そのような方法により、第二ポリマー層を卓越して作製することができる。
【0042】
架橋剤として1つまたは複数のエポキシシクロヘキシルカルボキシレートを、特に好ましくは(3,4−エポキシシクロヘキサン)メチル−3,4−エポキシシクロヘキシルカルボキシレート(CAS2386−87−0)を使用すると特に有利であることが判明した。
【0043】
この1つまたは複数のエポキシシクロヘキシル誘導体架橋剤は、架橋すべき感圧接着剤中にあり、好ましくは総量が最大0.4重量部、非常に好ましくは最大0.3重量部(それぞれ架橋すべきポリマー100重量部に対して[感圧接着剤にその他の添加剤または充填剤が加えられていなければ、架橋すべき感圧接着剤100重量部に対して])である。100重量部のポリマーに対して0.3重量部を超える量の架橋剤を加えると、次第に接着力が失われることを考慮に入れなければならない。典型的な架橋剤の量は、(ポリマー100重量部に対し)例えば0.15〜0.25重量部の範囲、特に、0.2重量部である。
【0044】
粘弾性ポリアクリレート層(粘弾性中間層)も、好ましくは熱架橋され、そうすると粘弾性層は非常に均質に形成される。特に好ましくは、1つまたは複数のグリシジルエーテル、特に1つまたは複数のポリグリシジルエーテル、非常に好ましくはペンタエリトリットテトラグリシジルエーテル(CAS 3126−63−4)を架橋剤として使用して熱架橋を行う。架橋は、特に有利には、1つのアミンまたは1つのアミド、特に好ましくはトリエチレンテトラアミン(CAS 112−24−3)を促進剤として組み合わせて行う。粘弾性ポリアクリレート層用の架橋剤は、架橋すべきポリアクリレートに、(架橋すべきポリマー100重量部に対して)好ましくは最大1.0重量部、非常に好ましくは最大0.8重量部の量を添加する。典型的な架橋剤の量は、(ポリマー100重量部に対し)例えば0.1〜0.6重量部、特に、0.15から0.5重量部の範囲である。
【0045】
促進剤は、有利には(ポリマー100重量部に対し)0.1〜0.3重量部の量である。
【0046】
粘弾性ポリアクリレート層内にアミン促進剤が存在することは、特に3つ以上の層が形成される場合には問題ではない。なぜなら中間層はこの場合、外側にある接着剤または感圧接着剤層によって、空気中の酸素のような酸化物質から十分に保護されるからである。
【0047】
粘弾性ポリマー層は、非常に高粘性の液体と見なされ、圧力負荷の下で流れ挙動(「クリープ」とも呼ばれる)を示す。本発明による第一粘弾性ポリマー層の意味での粘弾性ポリマーは、好ましくはすでに重力によって、つまり自重による負荷によって程度の差はあるがゆっくりと流れ、特に基材上へと流れる能力を有する。しかし少なくともこの作用は外部からの圧力の作用下に起こる。例えば基材上で接着テープを押すことによる圧力上昇は、この挙動を格段に加速させる可能性がある。
【0048】
本発明による第一粘弾性ポリマー層の意味での粘弾性のポリマーは、さらに、力の作用が緩慢な状態で、それ自体に作用する力を和らげる能力を有する。粘弾性ポリマーは、力を振動および/または変形(特に、少なくとも部分的には、可逆的であり得る)へと消散させる能力があり、それゆえに作用する力が「緩衝」され、作用する力による機械的破壊が好ましくは回避され、ただし有利には少なくとも低減されるか、または破壊の発生する時点が少なくとも先に延ばされる。非常に高速で作用する力の場合、粘弾性ポリマーは通例弾性挙動、すなわち完全な可逆的変形を示し、その際、ポリマーの弾性能力を超える力は、破壊をもたらす可能性がある。
【0049】
これと対照的なのは、力の作用が緩慢な場合も上記の弾性挙動を示す弾性素材である。
【0050】
本発明による、特に両面の接着テープは、従来技術の接着テープと比べて重大な相違点を有する。
【0051】
熱架橋により、この感圧接着テープは、一方ではその層を貫く架橋プロファイルを示さない。化学放射(紫外線、電子線)によって架橋された粘弾性の層および感圧接着剤層は、それぞれの架橋した層を貫く架橋プロファイルを示す。熱架橋された接着剤層は、この挙動を示さない。なぜなら熱は層内に均等に浸透できるからである。
【0052】
促進剤物質が存在しないことは、分析によって証明できる(促進剤の存在下で架橋した系は、この促進剤の残渣を含んでいる。促進剤としてアミンまたはアミドを使用している場合は例えば窒素化合物、塩化亜鉛またはその類似物)。
【0053】
その上、本明細書の実験の部に示すように、架橋剤としてエポキシシクロヘキシル誘導体を使用して熱架橋したポリアクリレート感圧接着剤は、他の架橋剤を使用して架橋した系よりも高い接着力を有することが証明できた。この特性は、おそらく特別な架橋構造に起因する。したがって、上記の対象物は、他の架橋剤を使用した架橋後により低い接着力およびより不都合な接着技術的特性を有する接着テープとは大きく異なる。
【0054】
本発明による接着テープにとって、この違いは非常に大きな意味をもっている。上記の種類の粘弾性層を使用し、この粘弾性層の少なくとも1つの面上に、少なくとも1つのエポキシシクロヘキシル誘導体を使って熱架橋した、上記の組成のポリアクリレート感圧接着剤を施すと、この接着テープ面上の接着力は以下の系に比べ格段に高くなる。
−弾性ポリマー支持体(例えばPET、PE、PVCなどの従来のフィルム支持体)上に対応する感圧接着剤を備える系、
−または、同じ粘弾性支持体ではあるが、それ自体は(すなわち例えば弾性フィルム基材を支持体として備え)格段に感圧接着性があるものの、他の感圧接着剤を備えている系。
【0055】
驚くべきことに、接着テープの接着力にとって、外側の感圧接着剤だけではなく、粘弾性支持体もある役割を果たしており、したがって際だった接着特性を得るためには系全体が重要である。つまり、本発明の概念は、粘弾性の、比較的軟質のポリマー層と、それ自体は(すなわち例えば弾性フィルム基材を支持体として備えた)それほど感圧接着性が強くない感圧接着剤層との組合せを含んでおり、この2つの層の相互作用によって接着挙動が感圧接着剤層の面上で最適化され、したがって、それ自体感圧接着性が良好な(特に、従来の、特に弾性をもつ支持体上にある)感圧接着剤層よりも格段に優れた接着力が達成される。
【0056】
本発明によれば、それ自体の接着性は比較的わずかである凝集性の感圧接着剤を、非常に接着の強い接着テープ用の感圧接着剤として使用することに成功した。特に、非常に凝集性のある、弾性の支持体上にありどちらかと言えば比較的接着性の低いポリマー層の外部接着力(本条件下での鋼への接着力は<10N/cmまたはこれを著しく下回り、例えばおよそ<7N/cm)を、この凝集性のポリマー層に隣接して、それ自体の接着力も10N/cm未満、特に7N/cm未満である軟質の粘弾性ポリマー層を設けることにより、著しく高めることが(10N/cmを超える、好ましくは15N/cmを超える値に上昇)できる。
【0057】
接着力が外側にある感圧接着剤だけに起因している接着テープでは、接着と凝集性の間でしばしば折り合いを付けなければならない(冒頭部分参照)。驚くべきことに、個別に最適化が可能である2つの異なる層の特性を制御することにより、卓越した総合特性を達成することに成功した。
【0058】
本発明によれば、第二ポリマー層の鋼への接着力に関して、この層が従来の支持体上にある場合よりも、接着テープの鋼への接着力を、2倍を超えて高めることに成功した。粘弾性第一ポリマー層の鋼への接着力に関しても、本発明による接着テープの鋼への接着力は2倍を超える。これに加えて、接着テープは高温時(例えば70℃)に高いせん断寿命を有する。
【0059】
1つの層の粘弾性特性、および別の層の凝集性特性は、その弾性成分を用いて量的に記述することができる。
【0060】
非常に有利には、粘弾性第一ポリマー層は、弾性成分を80%未満、好ましくは75%未満有し、ただしさらに好ましくは50%を超えて、より好ましくは60%を超えている。
【0061】
非常に有利には、第二ポリマー層は弾性成分を80%を超えて、好ましくは85%を超えて、非常に好ましくは90%を超えて有する。
【0062】
非常に有利には、第三ポリマー層は弾性成分を80%を超えて、好ましくは85%を超えて、非常に好ましくは90%を超えて有する。
【0063】
したがって本発明は、弾性成分を最大で80%有する第一粘弾性ポリマー層と、弾性成分を少なくとも80%またはそれ以上有し、第一ポリマー層に隣接する第二ポリマー層とを特徴とする、少なくとも片面が接着性である、少なくとも二層の接着テープを含んでいる。
【0064】
本発明による接着テープの、第二ポリマー層側の鋼への接着力は、ここでも少なくとも10N/cm以上、好ましくは少なくとも15N/cm以上、特に好ましくは17N/cm以上である。
【0065】
基本的に、粘弾性第一ポリマー層にも、第二および第三ポリマー層にも、特に結果として得られる接着テープが外側への接着力に関して条件を満たしている場合、互いに無関係にすべてのポリマーが使用できる。
【0066】
粘弾性第一ポリマー層がポリアクリレートベースまたはポリウレタンベースであると特に有利であることが判明した。しかし、ゴムベース、特に天然ゴムベースの粘弾性第一ポリマー層も実現可能であり、良好な結果をもたらした。
【0067】
第二および/または第三ポリマー層用のポリマーとしては、互いに無関係にポリアクリレート、合成ゴム(例えばスチレン−ブタジエン−スチレン−ゴム;スチレン−イソプレン−スチレン−ゴム、上記のゴムの水素化誘導体)およびポリアクリレートと合成ゴムのポリマー混合物が使用できる。
【0068】
特に好ましいのは、第一および第二ポリマー層も、特に好ましくは第三ポリマー層も、ポリアクリレートをベースにしている(特に、少なくとも50%の、好ましくは少なくとも80%の、特に好ましくはアクリルモノマーおよび/またはメタクリルモノマーのみを含んでいるモノマー混合物から得られる)接着テープである。
【0069】
したがって本発明の概念を実施するためには、少なくとも二層系、すなわち粘弾性第一ポリマー層、有利には請求項1に記載されるような種類の(つまり、65〜97重量%のエチルヘキシルアクリレートおよび/またはブチルアクリレート、0〜30重量%のメチルアクリレート、3〜15重量%のアクリル酸のモノマー組成物の重合によって得ることができる架橋ポリマーをベースにした)第一ポリマー層と、第二ポリマー層(以下では、感圧接着剤層とも呼ぶが、これは接着テープ内で外側に向けて感圧接着性に作用する機能を引き受けているからである)、有利にはやはり請求項1の、この層に関して記載されるような種類の第二ポリマー層(つまり、85〜95重量%エチルヘキシルアクリレートおよび/またはブチルアクリレートおよび5〜15重量%アクリル酸のモノマー組成物の重合によって得ることができるポリマーをベースとしており、感圧接着剤層がエポキシシクロヘキシル誘導体を加えながら熱架橋されている)が有利である。
【0070】
粘弾性ポリマー層の裏面に、安定化および被覆のために例えばライナーまたは従来のフィルム素材を設け、その結果、本発明による少なくとも二層の接着系を含む、少なくとも1つの三層系が存在するようにすることができる。
【0071】
十分に厚い粘弾性ポリマー層では、感圧接着剤層とは反対側の面、二層系内では粘弾性ポリマー層の露出している面を、侵入深度がわずかな架橋プロセスによって強力に架橋することによって安定化させ、その結果、厚い粘弾性支持層の一部だけが強力に架橋され、その一方で粘弾性接着層の別の、感圧接着剤層に対向する側の面は粘弾性特性を保持したままにすることができる。
【0072】
接着テープの適用例には、少なくとも両面接着テープを提供する、すなわち少なくとも三層の接着系を使用するのが有利であり、この三層の接着系では粘弾性第一ポリマー層の別の面(粘弾性ポリマー層の、第二ポリマー層(感圧接着剤層)とは反対側の表面上)に、間接または直接にもう1つ別の接着剤層を設ける。
【0073】
本発明による接着テープの、非常に有利な実施形態では、2つの接着剤層は上記の種類の感圧接着剤層であり、すなわち、弾性成分を80%を超えて有し、および/または特に、それぞれ1つのポリマーをベースにした感圧接着層であり、このポリマーは85〜95重量%のエチルヘキシルアクリレートおよび/またはブチルアクリレートおよび5〜15重量%のアクリル酸からなるモノマー組成物の重合によって得られ、感圧接着剤層はエポキシシクロヘキシル誘導体を加えながら熱架橋されている。
【0074】
この接着テープ系の場合、2つの面は有利な接着技術的特性を有しており、その結果この系は例えば非常に強力な接着力が必要な両面接着に使用可能である。
【0075】
一発展形態では、第二ポリマー層と第三ポリマー層(本発明による両面接着テープの2つの面上の感圧接着剤)は、化学的に、物理的にまたはその広がりが同じである。有利には、第二および第三ポリマー層は同じ添加物(特に機能性添加物および/または充填剤)および/または添加物(特に機能性添加物および/または充填剤)を同量含んでいる(2つの層とも添加物を含まないおよび/または充填剤を含まなくてもよいことも包含される)。
【0076】
非常に好都合には、第二層と第三層が(ほんのわずかな不純物、製造誤差および他の、特に意図していない側面は無視して)完全に同じであってもよい。
【0077】
本発明による接着テープの第三ポリマー層側での鋼への接着力(すなわち接着テープ下面側の接着力)は、好ましくは少なくとも10N/cm以上、特に好ましくは少なくとも15N/cm以上、極めて好ましくは17N/cm以上である。
【0078】
感圧接着剤層が樹脂を含まないと、すなわち1つまたは複数の感圧接着剤に接着力を向上させる樹脂が混ぜられていないと、非常に有利であることが明らかになった。通常接着力を向上させるために感圧接着剤に加えられる樹脂として、例えば脂肪族炭化水素樹脂、芳香族炭化水素樹脂、アルキル芳香族炭化水素樹脂、テルペン樹脂、テルペンフェノール樹脂、ロジン樹脂(特に、水素化、非水素化または不均化ロジン樹脂)、官能性炭化水素樹脂、天然樹脂および同類のものがある。本発明による感圧接着剤は、感圧接着剤それ自体が非常に凝集性であり、感圧接着性が小さいにもかかわらず、これらおよびその他の粘着樹脂が存在しなくても非常に優れた接着特性を達成できることを特色とする。
【0079】
非常に好ましい手順では、第一粘弾性ポリアクリレート層は、65〜97重量%のエチルヘキシルアクリレートおよび/またはブチルアクリレート、0〜30重量%のメチルアクリレート、3〜15重量%のアクリル酸のモノマー組成物の重合によって得ることができる、ポリマーによって形成され(すなわちその結果、粘弾性第一ポリマー層はポリマーからなり)その際、この列挙がこれで完結し、その他のモノマーがポリマー中に、および/または別の成分が粘弾性ポリアクリレート層に存在しないのが有利である。本発明の有利な実施形態では、粘弾性第一ポリマー層は添加物および/または充填剤も含まない。
【0080】
有利には、感圧接着剤層の1つが、好ましくは2つの感圧接着剤層とも、85〜95重量%のエチルヘキシルアクリレートおよび/またはブチルアクリレート、および5〜15重量%のアクリル酸のモノマー組成物の重合によって得ることができる、それぞれ1つのポリマーから形成され(すなわちその結果、第二および/または第三ポリマー層がポリマーからなり)、その際、この列挙もこれで完結し、すなわちその他のモノマーがポリマー中に、および/またはその他の成分が感圧接着剤に存在しないのが有利である。
【0081】
この粘弾性ポリアクリレート層では、エチルヘキシルアクリレートとブチルアクリレートの比が少なくとも1:1、好ましくは2:1またはそれを超える範囲にあると有利である。
【0082】
各感圧接着剤について、エチルヘキシルアクリレートとブチルアクリレートの比が少なくとも1:1、好ましくは2:1またはそれを超える範囲にあると有利である。
【0083】
基本的に、直鎖アルキル基の比率が大きくなるほど、またアルキル基が直鎖状であるほど、望ましくない側鎖結晶化の傾向が高くなる。エチルヘキシルアクリレートとブチルアクリレートの比は、ポリマーのガラス転移温度にも影響を及ぼすことがある。
【0084】
特に、接着テープの取扱い、保管および/または提供のために、その片面または両面に、剥離材(例えばシリコーン、フィルム、シリコーン処理したフィルムまたは紙、表面処理したフィルムまたは紙および同類のもの;いわゆる ライナー)を設けてもよい。
【0085】
本発明による接着テープは、その他の層を含んでいてもよく、すなわち多層系(層シークエンスは3より大きい)である。その際、ここに記載したような粘弾性層が、特に本明細書に記載の接着力の向上および/または接着技術的特性の改善を保証するために、ここに記載したような感圧接着剤層を直接にまたは場合によっては間接に備えていると特に有利である。
【0086】
本発明による感圧接着テープは、非常に高い接着力を有する非常に厚い生成物として製造できることを特色とする。そのような生成物は、例えば建築業で、または凹凸もしくは空洞をならすべき接着において使用される。
【0087】
粘弾性層の優れた緩和挙動に基づき、本発明による接着テープは、機械的負荷、衝撃および同類の力の作用を受け止めてエネルギーを放散させるのに適している。したがって本発明による接着テープは、例えば電子工学および同類の分野における壊れやすい物体の接着といった、例えば衝撃を吸収するおよび/または振動を吸収する作用が所望される場所ではどこでも非常に適している。異なる熱膨張係数を有する材料を互いに接着することが望まれる場合に本発明による接着テープを使用すると特に有利である。なぜなら、本発明による接着テープは、その緩和特性によって、特に互いに接着された物体または表面の異なる膨張挙動によって熱を生み出す応力を放散させることができるからである。従来の接着テープは、接着された物体の膨張挙動が大きく異なる場合にしばしば機能しなくなる傾向がある。つまり接着機能が低下したりまたは接着箇所が全く破断してしまったりする。
【0088】
本発明による接着テープは、「通常の」接着テープの厚さである数ミクロン〜数百ミクロンでよいが、300μm超、例えば500μm以上、1000μm以上、1500μm以上、2000μm以上、または3000μm以上の厚さでも有利である。さらに厚い生成物も実現可能である。
【0089】
各接着テープのそれぞれの面での接着強さは、一方で当該の接着テープ面上にある感圧接着剤層の厚みの、他方ではしかしまたその下にある粘弾性第一ポリマー層の厚みの影響も受け、この影響は程度の差はあるが大きくなり得ることが確認された。
【0090】
第二および/または第三ポリマー層、特に感圧接着剤層が、好ましくは最大100μm、より良くは最大75μmの層厚に形成するのが有利である。最大50μm、またはそれより小さい層厚が特に有利なことが判明した。したがって例えば両面にそれぞれ厚さ50μmの感圧接着剤層を備える接着テープ、例えば、厚さ400μm、900μm、1400μm、1900μmまたは2400μmの粘弾性中間層を備えるそのような接着テープが実現できる。
【0091】
粘弾性第一ポリマー層、第二ポリマー層および/または第三ポリマー層に使用されるポリマーは、互いに無関係に、好ましくはそれぞれ少なくともM
w=500.000g/mol、好ましくは少なくともM
w=700.000g/molの重量平均分子量(GPC;測定方法A3参照)を有する。その重量平均分子量は、好ましくは値M
w=1.700.000g/molを上回らない。
【0092】
これらのポリマー層用のポリマーは、ラジカル重合によって、好ましくは溶液中で、従来技術に従ってうまく合成できる。場合によってその後に溶融物からの加工が続く場合は、溶剤を重合後に除去する。
【0093】
粘弾性第一ポリマー層は、好ましくは溶融物から層に成形される。好ましくは、ポリマー層の熱架橋が行われる。
【0094】
第二および/または第三ポリマー層も同様に溶融物から成形可能であるが、これらの層は普通最大100μmの層厚にしか作製されないので、溶液からもうまくコーティングしその後乾燥することができる。
【0095】
粘弾性第一ポリマー層、ならびに第二、および場合によっては第三ポリマー層[感圧接着剤層]の熱架橋は、例えば第二ポリマー層および/または第三ポリマー層を、未架橋の第一ポリマー層上にコーティングするかまたはこれらを共通の方法で一緒に層に成形する場合、同時に実施することができる。
【0096】
しかし、個々の層を別々に熱架橋させることも可能であり、例えば第二ポリマー層および/または第三ポリマー層を、すでに熱架橋した第一ポリマー層上にコーティングしてから熱架橋させ場合、または第二および/または第三ポリマー層をある別の場所で成形し熱架橋させてから(例えば剥離材などの仮の支持体上で)すでに架橋した粘弾性第一ポリマー層上にラミネートする場合に可能である。そのために特に、粘弾性ポリマー層および/または第二および/または第三ポリマー層を、例えばコロナ処理および/またはプラズマ処理および/または反応性コロナ処理および/または反応性プラズマ処理(例えば、窒素、酸素、フッ素および/またはその他のガスを使用)および/または火炎処理(Flame−Treatment)によって化学的および/または物理的に事前処理するのが有利であるかもしれない。
【0097】
本発明による両面、特に三層の接着テープの製造は、特に欧州特許出願公開第05792143号(特許文献1)に示された三層または多層系の記載に対応して行うこともできる。そこに記載された製造およびコーティング方法は、同様に、本明細書の接着テープにも適用される。したがって欧州特許出願公開第05792143号(特許文献1)の開示内容は、本願における開示に明確に含まれると見なされる。同様のことが欧州特許出願公開第05792143号(特許文献1)に記載された生成物構造の記載についても適用される。
【0098】
本発明の対象は、本明細書に示された一方法に従って得られる、および/または請求項に示された少なくとも1つの方法に従って得られる接着テープをも含んでいる。本発明の対象は、特に、本明細書に示された方法の1つに従って得られる、および/または請求項に提示された少なくとも1つの方法に従って得られる、本明細書の記述に対応する、および/または請求項の少なくとも1つに対応する接着テープを含んでいる。
【0099】
本発明による接着テープは、高い透明性を有し(黄変傾向が小さい)、外側の層は光開始剤および窒素を含んでおらず、内側の層は外側の層によって酸素の影響から保護されている。
【0100】
特に、意図する使用のために接着テープの高い透明性が重要ではない場合、粘弾性ポリマー層および/または1つまたは2つの感圧接着剤層に充填剤を混合してよい。粘弾性ポリマー層の粘弾性特性を調整するためにも、または第二および/または第三ポリマー層(感圧接着剤層)の特性を調整するためにも、上記に挙げた、および/または別の充填剤を1つまたは複数混合するのが有利であり得る。
【0101】
したがって、例えば本発明による接着テープの有利な発展形態では、粘弾性ポリマー層を発泡させている。この場合、ポリマーに、ポリマー層の発泡に使用できる1つまたは複数の発泡剤を添加すると有利である。
【0102】
特に粘弾性ポリマー層またはこの層が作られるポリマーへの適切な添加剤として、および/または感圧接着剤層への適切な添加剤として、例えば発泡剤を使用することができる(その結果最終的に発泡させた接着テープ、すなわち発泡させた粘弾性ポリアクリレート層および/または発泡させた接着剤層を備える接着テープを得ることができる)。適切な発泡剤は、例えば発泡性ポリマー微小中空体(発泡していない、および/またはすでに完全にまたは部分的に前もって発泡している);特に、熱の供給および/または他のエネルギー供給によって発泡することのできる、特にガスを充てんしたおよび/または液体を充填したポリマー球(その外殻が例えばポリメチルメタクリレートまたはポリスチレンのような熱可塑性材料からなる)のような中空体である。
【0103】
本発明による接着テープの、1つまたは複数の層、特に粘弾性ポリマー層向けの適切な添加剤は、さらにポリマー中空球、ポリマー中実球、ガラス中空球、ガラス中実球、セラミック中空球、セラミック中実球、炭素中実球(「Carbon Micro Balloons」)である。
【0104】
ケイ酸、有利には沈降した、ジメチルジクロロシランで表面処理したケイ酸の添加は、該当するポリマー層の熱間せん断抵抗を調節するために(高めるために;この場合も特に、粘弾性第一ポリマー層への添加が有利である)使用される。このようなケイ酸はまた、透明な生成物への使用にも非常に適している。特に透明な接着テープには、ポリマー100重量部に対して最大15重量部のケイ酸を加えると好都合である。この場合も、粘弾性第一層への添加が好ましい。
【0105】
しかし充填剤は、それが透明性に対して全く影響しないか、ほんの少しだけおよび/または意図された使用のために邪魔にならないような影響しか与えないように選択することもできる。このために、当該ポリマー層の外観を損なわないほどその膨張が小さい、前述の充填剤および/または他の充填剤を選択することが好ましい。
【0106】
本発明による接着テープは、充填剤なしでもうまく使用することができ、その結果、粘弾性第一ポリマー層および/または第二および/または第三ポリマー層(感圧接着剤層)には充填剤および/または添加剤が添加されない。
【0107】
本発明による接着テープは、良好な耐湿性および耐湿熱性を備えている(塩の不在)。この接着テープは非常に高い接着力を備えている;優れた接着剤に不可欠の特性である流れ特性および良好な凝集性を2つの異なる層に「分配」すること、したがってこれらの特性をよりよく調整することに明らかに成功している。この種の効果は期待されていなかった。当業者はむしろ、全体の接着技術的特性に主に影響を与えているのは外側の感圧接着剤の流れ特性ではないかと推測していたはずである。しかし、粘弾性ポリアクリレート層の良好な流れ特性は、基材上への生成物全体の良好な広がりをもたらすので、感圧接着剤層は、接着テープの接着力に不利な影響を与えることなく、比較的高い凝集性を有することができる。
【0108】
実験の結果、本発明による接着テープの有利な特性がはっきりと証明された。
【0109】
本発明による、特に三層以上の接着テープ(構造用接着テープ)は、特に、強力な接着力を必要とする場所、優れた耐老化性および耐候性(ここでは特に小さい黄変傾向および良好な耐湿性および耐熱性)を必要とする場所および/または、基材の凹凸および不揃いをならすべき場所での使用が特に適している。当然ながら、本発明による接着テープは要求がより少ない場所への使用にも非常に適している。
【0110】
本発明による接着テープは、特に、(特に透明な)広告看板および/または広告パネルの接着、室内および/または屋外領域でのガラス壁接着、ならびに室内および/または屋外領域でのガラス板接着に適している。
【0111】
本発明による接着テープが非常に適している他の応用分野は、一部のみ挙げると、例えば建設分野、改築分野、建築設備分野、および建築分野(それぞれ室内および/または屋外)、日曜大工分野、モデル製作、家具製造、自動車産業、船舶および航空機製造、電子および電気事業(例えば娯楽用電子機器、白物家電、褐色物家電、優れた耐熱性により赤物も)、交通分野(道路標識および同類のもの)などがある。
【0112】
本発明による接着テープは、その優れた緩和挙動により、(特に、例えば衝撃のような機械的影響、例えば騒音のような音響的影響に対する)緩衝モジュールとしてまたは緩衝モジュールの製造のために非常に適している。