特許第5683239号(P5683239)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5683239
(24)【登録日】2015年1月23日
(45)【発行日】2015年3月11日
(54)【発明の名称】LED駆動装置
(51)【国際特許分類】
   H01L 33/00 20100101AFI20150219BHJP
【FI】
   H01L33/00 J
【請求項の数】3
【全頁数】18
(21)【出願番号】特願2010-267459(P2010-267459)
(22)【出願日】2010年11月30日
(65)【公開番号】特開2011-249760(P2011-249760A)
(43)【公開日】2011年12月8日
【審査請求日】2013年4月18日
(31)【優先権主張番号】特願2010-104575(P2010-104575)
(32)【優先日】2010年4月28日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】391016358
【氏名又は名称】東芝情報システム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100074147
【弁理士】
【氏名又は名称】本田 崇
(72)【発明者】
【氏名】大知 正直
(72)【発明者】
【氏名】菅原 悠平
(72)【発明者】
【氏名】山縣 友紀
(72)【発明者】
【氏名】田村 豊
【審査官】 森口 忠紀
(56)【参考文献】
【文献】 特開2006−244848(JP,A)
【文献】 特開2008−059811(JP,A)
【文献】 国際公開第01/045470(WO,A1)
【文献】 特開2006−147933(JP,A)
【文献】 特開2009−230973(JP,A)
【文献】 国際公開第2010/141684(WO,A1)
【文献】 国際公開第2010/013172(WO,A1)
【文献】 特開2005−199476(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 33/00−33/64
H05B 37/00−39/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
それぞれLEDを備えた、第1群、第2群、・・・、第n(n:2以上の整数)群のLED回路と、
前記第1群、第2群、・・・、第n群のLED回路のいくつかを直列に接続した複数の接続状態に切り換えて通電するための複数のスイッチ手段と、
電源部の電圧を、前記複数の接続状態となったLED回路の通電に要する電圧と比較するコンパレータ部と、
コンパレータ部による比較結果に応じて前記複数のスイッチ手段をオンオフ制御するセレクタと、
前記スイッチ手段により接続状態とされたLED回路に流れる電流が適正値を超えた場合に前記セレクタの出力を停止する信号に基づき前記セレクタの出力を制御し、前記セレクタの出力が停止されるまで発振回路のパルスが前記セレクタを通過するようにして前記スイッチ手段をPWM制御によりオンオフし、LED群を流れる電流を所定に制御するPWM制御手段と
を具備することを特徴とするLED駆動装置。
【請求項2】
電源部が、ダイオードブリッジ、サイリスタ或いはトライアックを含んで構成される整流回路であることを特徴とする請求項1に記載のLED駆動装置。
【請求項3】
各群のLED回路は、1以上のLEDを備え、
電流経路における最も下流側のLEDに接続されるコイルと、
前記コイルと電流経路における最上流のLEDに接続されるダイオードと
負荷回路を構成することを特徴とする請求項1または2に記載のLED駆動装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、LED駆動装置に関するものであり、特に整流回路の出力を電源として用いる場合に好適なLED駆動装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、交流電源を整流器により整流してLEDを点灯させる回路として、交流電源と整流器の間に蛍光灯安定器を接続し、各LEDによる順方向下降電圧の総量が上記蛍光灯安定器に適合するランプの点灯電圧に対応するようにLEDの直列接続個数を調整したものが知られている(特許文献1参照)。
【0003】
この特許文献1の回路は、LEDの直列接続個数を完璧に調整することは理論上の事項であり、実際には、図11に示すような回路となる。つまり、交流電源101と、交流電源101の交流を直流とするダイオードブリッジ102と、ダイオードブリッジ102の出力側に接続された定電流素子(或いは抵抗器)103から構成される。定電流素子103の出力をLEDが複数個直列接続されたLED群104に与えて点灯を行う。
【0004】
この回路においては、LED群104を点灯させるために要する電圧をダイオードブリッジ102の出力波形と共に描くと、LED群104におけるLED数が少ない場合には図12に示すようにVthDとなり、LED群104におけるLED数が多い場合には図13に示すようにVthUとなる。装置の構造によって、LED数が少ない場合には交流周期における点灯時間が長くなるためちらつきが抑制されるが、斜線以外の面積により表される損失が大きくなる。一方、LED数が多い場合には交流周期における点灯時間が短くなるためちらつきが増大するが、斜線以外の面積により表される損失が小さくなる。
【0005】
また、複数のLEDが直列接続された回路において、交流電源を整流した信号の電圧を基準電圧と比較し、その比較結果に応じてLEDアレイ中の各LEDへの駆動電流のオンオフを制御し、交流電源電圧が大きなときにはより多くの数のLEDを点灯させるように構成したLED駆動装置が知られている(特許文献2参照)。
【0006】
上記特許文献2に記載のLED駆動装置によれば、電力効率を改善することができるものの、交流周期において点灯するLEDの数が1個単位で変動し、ちらつきや輝度むらが生じるという問題がある。
【0007】
更に、電源の余裕に応じて点灯するLED数を変動させるものは、多く知られている(特許文献3参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2009−238579号公報
【特許文献2】特開2008−59811号公報
【特許文献3】特開2006−286591号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
上記に対し、点灯時間を安定させてちらつきを抑制するために、平滑用の電解コンデンサ105を設けて回路構成を図14に示すようにすることが考えられる。しかしながら、この構成によると高耐圧かつ大容量の電解コンデンサ105を設ける必要が生じ、構成が大型化し、またコスト高を招来するという問題がある。更に、電解コンデンサ105は他の部品に比べて寿命が短いため、回路全体の寿命が短縮されるという問題もある。
【0010】
本発明は、このようなLED駆動装置の現状に鑑みてなされたもので、その目的は、電力効率が高く、点灯消灯によるちらつきを抑制し、構成が大型化したりコスト高となったりすることなく、しかも寿命が短縮されることのないLED駆動装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明に係るLED駆動装置は、それぞれLEDを備えた、第1群、第2群、・・・、第n(n:2以上の整数)群のLED回路と、前記第1群、第2群、・・・、第n群のLED回路のいくつかを直列に接続した複数の接続状態に切り換えて通電するための複数のスイッチ手段と、電源部の電圧を、前記複数の接続状態となったLED回路の通電に要する電圧と比較するコンパレータ部と、コンパレータ部による比較結果に応じて前記複数のスイッチ手段をオンオフ制御するセレクタと、前記スイッチ手段により接続状態とされたLED回路に流れる電流が適正値を超えた場合に前記セレクタの出力を停止する信号に基づき前記セレクタの出力を制御し、前記セレクタの出力が停止されるまで発振回路のパルスが前記セレクタを通過するようにして前記スイッチ手段をPWM制御によりオンオフし、LED群を流れる電流を所定に制御するPWM制御手段とを具備することを特徴とする。

【0014】
本発明に係るLED駆動装置は、電源部が、ダイオードブリッジ、サイリスタ或いはトライアックを含んで構成される整流回路であることを特徴とする。
【0015】
本発明に係るLED駆動装置では、各群のLED回路は、1以上のLEDを備え、電流経路における最も下流側のLEDに接続されるコイルと、前記コイルと電流経路における最上流のLEDに接続されるダイオードと負荷回路を構成することを特徴とする。
【発明の効果】
【0016】
本発明に係るLED駆動装置は、電源部の電圧と、複数の接続状態となったLED回路の通電に要する電圧を比較し、この比較結果に応じて前記複数のスイッチ手段をオンオフ制御することにより、第1群、第2、・・・、第n(n:2以上の整数)群の直列及びまたは並列の接続回路に給電を行う構成であるから、電力効率が高く、点灯消灯によるちらつきを抑制できる。また電解コンデンサを用いないので、構成が大型化したりコスト高となったりすることなく、しかも寿命が短縮されることもない。
【0018】
また、本発明に係るLED駆動装置は、前記スイッチ手段をPWM制御によりオンオフして、LED群を流れる電流を所定に制御するPWM制御手段を備えるので、LED群に所定の順電流を流すことができ、LEDを適切に駆動することができる。
【0019】
本発明に係るLED駆動装置は、電源部が、ダイオードブリッジ、サイリスタ或いはトライアックを含んで構成される整流回路であるため、整流された電圧変動を有する電源を用いて、適切な群数に給電を行って高い電力効率で駆動を行うことができる。
【0020】
本発明に係るLED駆動装置では、各群のLED回路は、1以上のLEDを備え、電流経路における最も下流側のLEDに接続されるコイルと、前記コイルと電流経路における最上流のLEDに接続されるダイオードと負荷回路を構成するので、LEDに流れる電流変化をコイルにより規制しながら、コイルにより発生する逆起電力をダイオードにより吸収して適切なLED駆動が確保される。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】本発明に係るLED駆動装置の第1の実施形態を示す構成図。
図2】本発明に係るLED駆動装置の第1の実施形態の要部を示す構成図。
図3】発明に係るLED駆動装置の第1の実施形態におけるPWM制御において用いられるパルス波形の一例を示す図。
図4】本発明に係るLED駆動装置の負荷回路の変形例を示す構成図。
図5】本発明に係るLED駆動装置の第2の実施形態を示す構成図。
図6】本発明に係るLED駆動装置の第2の実施形態の1つのLED点灯時における回路構成を示す構成図。
図7】本発明に係るLED駆動装置の第2の実施形態の1つのLED点灯時における点灯区間を示す図。
図8】本発明に係るLED駆動装置の第2の実施形態の2つのLED点灯時における回路構成を示す構成図。
図9】本発明に係るLED駆動装置の第2の実施形態の2つのLED点灯時における点灯区間を示す図。
図10】本発明に係るLED駆動装置の第2の実施形態における全体の点灯区間を示す図。
図11】従来例に係る第1のLED駆動装置を示す構成図。
図12】従来例に係る第1のLED駆動装置による駆動電圧を示す図。
図13】従来例に係る第1のLED駆動装置による駆動電圧を示す図。
図14】従来例に係る第2のLED駆動装置を示す構成図。
図15】本発明に係るLED駆動装置の第3の実施形態を示す構成図。
図16】本発明に係るLED駆動装置の第3の実施形態の要部を示す構成図。
図17】発明に係るLED駆動装置の第3の実施形態におけるスイッチのオンオフ制御において実現されるLEDの接続状態の一例を示す図。
図18】発明に係るLED駆動装置の第3の実施形態におけるスイッチのオンオフ制御において実現されるLEDの接続状態の一例を示す図。
図19】発明に係るLED駆動装置の第3の実施形態におけるスイッチのオンオフ制御において実現されるLEDの接続状態の一例を示す図。
図20】発明に係るLED駆動装置の第3の実施形態におけるスイッチのオンオフ制御において実現されるLEDの接続状態の一例を示す図。
図21】発明に係るLED駆動装置の第3の実施形態におけるスイッチのオンオフ制御において実現されるLEDの接続状態の一例を示す図。
図22】発明に係るLED駆動装置の第3の実施形態における要部に適用する回路例を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下添付図面を参照して、本発明に係るLED駆動装置の実施例を説明する。各図において、同一の構成要素には同一の符号を付して重複する説明を省略する。本発明の実施形態に係るLED駆動装置は、それぞれLEDを備えた、第1群、第2群、・・・、第n(n:2以上の整数)群のLED回路と、前記第1群、第2群、・・・、第n群のLED回路のいくつかを直列及びまたは並列に接続した複数の接続状態に切り換えて通電するための複数のスイッチ手段と、電源部の電圧を、前記複数の接続状態となったLED回路の通電に要する電圧と比較するコンパレータ部と、コンパレータ部による比較結果に応じて前記複数のスイッチ手段をオンオフ制御するセレクタとを具備する。
【0023】
図1には、第1の実施形態に係るLED駆動装置の構成図が示されている。このLED駆動装置は、電源部10として、例えば商用交流100Vの交流電源11と、この交流電源11による交流を全波整流する整流回路としてのダイオードブリッジ12と、定電圧源13が用いられる。整流回路としては、サイリスタやトライアックなどを用いることもできる。
【0024】
ダイオードブリッジ12の出力側には、定電圧源13が設けられ、ダイオードブリッジ12の出力電圧を定電圧のVDDとして出力している。定電圧源13からは、コンパレータ部20とセレクタ30へ電力が供給されている。
【0025】
また、ダイオードブリッジ12の出力側には、プラス側ラインにアノードを向けるように接続された1または複数個のLEDが例えば直列接続された第1群のLED回路41−1、第2群のLED回路41−2、・・・、第n群のLED回路41−nが直列に接続されている。ここで、nは2以上の整数である。各LED回路41−1、41−2、・・・、41−nにおけるLED数は全て同じであっても異なっても良く、また、その数は1以上であれば良い。
【0026】
第1群のLED回路41−1は、コイル42−1、ダイオード43−1と共に第1群の負荷回路40−1を構成し、第2群のLED回路41−2は、コイル42−2、ダイオード43−2と共に第2群の負荷回路40−2を構成し、・・・、第n群のLED回路41−nは、コイル42−n、ダイオード43−nと共に第n群の負荷回路40−nを構成している。
【0027】
各ダイオード43−1〜43−nは、そのカソードがLED回路中において、電流経路の最上流のLED45に接続され、コイル42−1〜42−nは、各LED回路41−1〜41−nにおける最下流のLED46−1、46−2、・・・、46−nと、上記ダイオード43−1〜43−nのアノードの間に接続されている。
【0028】
上記ダイオード43−1〜43−nのアノードは、それぞれスイッチ手段であるFET(例えば、NチャネルMOSFET)47−1〜47−n及び抵抗48−1〜48−nを介して、ダイオードブリッジ12の出力のマイナス側ラインに接続されている。このFET47−1〜47−nは、第1群、第2群、・・・、第n群のLED回路のいくつかを直列及びまたは並列に接続した複数の接続状態に切り換えて通電するための複数のスイッチ手段である。
【0029】
更に、FET47−1〜47−nと対応する抵抗48−1〜48−nの接続点は、コンパレータ部20に接続されている。
【0030】
コンパレータ部20には、ダイオードブリッジ12の出力のプラス側ラインから出力電圧VOUTが供給され、図2に示す比較器21に与えられている。比較器21は、上記出力電圧VOUTと、第1群まで(41−1)、第1群から第2群まで(41−1、41−2)、・・・、第1群から第n群まで(41−1〜41−n)のLED回路の点灯に要する閾値電圧Vth1〜Vthnとを比較し、それぞれの閾値電圧を超えた場合に、第1群までを指示する信号S1のみを出力し、第1群から第2群までを指示する信号S2のみを出力し、・・・、第1群から第n群までを指示する信号Snのみをセレクタ30へ出力する。つまり、制御信号S1〜Snは、選択的に1つのみが出力される。
【0031】
また、コンパレータ部20には、抵抗48−1〜48−nに接続された比較器22−1〜22−nが備えられている。比較器22−1〜22−nは抵抗48−1〜48−nにより得られる電圧をそれぞれ、第1群まで(41−1)、第1群から第2群まで(41−1、41−2)、・・、第1群から第n群まで(41−1〜41−n)のLED回路に流れる電流が適正値を超えた場合に相当する閾値電圧V1〜Vnと比較し、閾値電圧V1〜Vnを超えた場合に停止信号SS1〜SSnを出力する。なお、閾値電圧V1〜Vnは全て同じ電圧であっても良い。
【0032】
図2に示すようにセレクタ30には、FET47−1〜47−nのゲートにFET47−1〜47−nをオンオフする制御信号DR1〜DRnを出力する制御回路31−1〜31−nが設けられていると共に、発振回路32が設けられている。発振回路32は、交流電源11の半周期(100Hz)より遥かに高い周波数(例えば、200kHz)の、例えば図3に示すようなパルスを出力し、各制御回路31−1〜31−nへ与える。
【0033】
各制御回路31−1〜31−nのイネーブル端子ENには、比較器21から出力される信号S1〜Snが与えられ、また、各制御回路31−1〜31−nの停止端子STにはそれぞれ、比較器22−1〜22−nから出力される停止信号SS1〜SSnが与えられている。各制御回路31−1〜31−nのイネーブル端子ENへ与えられる信号がイネーブル(例えばハイ)であるときに、発振回路32のパルスを、停止信号SS1〜SSnがアクティブ(例えば、ロウ)となるまで通過させるPWM制御手段として動作する。
【0034】
上記制御回路31−1〜31−nによるPWM制御によって、第1群まで(41−1)、第1群から第2群まで(40−1、40−2)、・・・、第1群から第n群まで(41−1〜41−n)のLED回路に流れる電流が適正値に抑えられてLEDの駆動が行われる。
【0035】
上記の通り、比較器21では、ダイオードブリッジ12の出力のプラス側から出力電圧VOUTについて、第1群まで(40−1)、第1群から第2群まで(40−1、40−2)、・・、第1群から第n群まで(40−1〜40−n)のLED回路の点灯に要する電圧となっているか比較され、制御回路31−1〜31−nのいずれかがイネーブルとされるので、出力電圧VOUTについての変化に応じた数のLEDが点灯されるので高効率であり、しかも少ない数のLEDが点灯されるときには、交流の半周期における点灯時間が長くなり、全体としてちらつきを低減させることができる。
【0036】
なお、LED群の構成については図4に示されるように、抵抗RにLED回路41−1、41−2、・・・、41−nが直列に接続され、LED回路41−1、41−2、・・・、41−nに対する電力供給制御を行うFET47−1〜47−nが接続された回路を用いても良い。この回路構成を採用した場合には、PWM制御を行うことなくLED駆動を行うと好適である。
【0037】
次に図5に、LED回路の群数を2とし、各群のLED回路に1つのLEDを備える第2の実施形態に係るLED駆動装置の構成図を示す。このLED駆動装置において、第1群はLED45により構成され、第2群はLED46により構成されている。コイル42−1、42−2とダイオード43−1、43−2が用いられている。
【0038】
LED駆動装置は、FET47−1、47−2と、抵抗48−1、48−2を有する。コンパレータ部20Aは、図2の構成中の比較器21と比較器22−1、22−2のみを備える。更に、セレクタ30Aには、発振回路32と制御回路31−1、31−2が備えられる。セレクタ30Aからは、FET47−1、47−2のゲートにFET47−1、47−2をオンオフする制御信号DR1、DR2が出力される。その他の構成は、第1の実施形態と同様である。
【0039】
以上の構成において、ダイオードブリッジ12の出力のプラス側から出力電圧VOUTについて、第1群まで(41−1)のLED回路の点灯に要する閾値電圧Vth1を超えた場合には、第1群までを指示する信号S1が比較器21から制御回路31−1へ送られる。これにより制御回路31−1からは、制御信号DR1がFET47−1へ送られる。
【0040】
このとき、LED駆動装置における回路構成は図6に示すようになる。即ち、第1群のLED回路のLED45のみに給電が行われる回路である。このLED45に電流が流れてLED45が点灯すると共に、コイル42−1に流れる電流により逆起電力が発生し、この逆起電力による電流がダイオード43−1に流れて消費され、所要電流がLED45に流れる。
【0041】
上記LED45における点灯区間と消灯区間を全波整流された波形と共に示すと図7に示すようになる。実際には、次に説明するLED45及びLED46の点灯区間には、FET47−1がオフとなり図6の回路による駆動は行われない。なお、LED45における点灯区間においては、前述の通りにPWM制御による点灯がなされ、電流が適正値に抑えられてLED45の駆動が行われる。
【0042】
また、ダイオードブリッジ12の出力のプラス側から出力電圧VOUTについて、第1群から第2群まで(41−1、41−2)のLED回路の点灯に要する閾値電圧Vth2を超えた場合には、第1群から第2群までを指示する信号S2が比較器21から制御回路31−2へ送られる。これにより制御回路31−2からは、制御信号DR2がFET47−2へ送られる。
【0043】
この結果、LED駆動装置における回路構成は図8に示すようになる。即ち、第1群のLED回路であるLED45と第2群のLED回路であるLED46に給電が行われる回路である。このLED45及びLED46に電流が流れてLED45及びLED46が点灯すると共に、コイル42−2に流れる電流により逆起電力が発生し、この逆起電力による電流がダイオード43−2に流れて消費され、所要電流がLED45及びLED46に流れる。このLED45及びLED46の両方の点灯区間と消灯区間を全波整流された波形と共に示すと図9に示すように点灯区間が極めて短いものとなる。なお、点灯区間においては、前述の通りにPWM制御による点灯がなされ、電流が適正値に抑えられてLED45及びLED46の駆動が行われる。
【0044】
上記の動作により、全体としては図10に示すように、図7に示したLED45及びLED46の点灯区間(第2群まで点灯)の前後に、LED45の点灯区間(第1群のみ点灯)が設けられる。この図10から明らかな通り、全体の点灯区間はLED45を点灯させ得る点灯区間(図7)と等しく、長期間となるので、ちらつきを抑制することができる。また、全波整流された電圧に対し、図10に模様(パターン)により描いた領域において電力消費されるので、高効率でLED駆動を行うことができる。
【0045】
次に、本発明に係るLED駆動装置の第3の実施形態を説明する。この実施形態に係るLED駆動装置は図15に示すように、電源部10として、例えば商用交流100Vの交流電源11と、この交流電源11による交流を全波整流する整流回路としてのダイオードブリッジ12と基準電圧生成回路1とを備えている。また、基準電圧生成回路1は、コンパレータ部2及びセレクタ3と共に制御部4を構成する。整流回路としては、サイリスタやトライアックなどを用いることもできる。
【0046】
ダイオードブリッジ12における一方の出力側(図1のプラス側ラインに相当)には電圧VDが生成され、ダイオードブリッジ12における他方の出力側(図1のマイナス側ラインに相当)には電圧VSが生成される。
【0047】
電圧VDが生成されるラインには、定電流回路としての可変抵抗R1、R2、R3、R4が接続されている。この実施形態では、4群のそれぞれに一つのLEDを備えており、第1群のLED回路であるLED51、第2群の回路であるLED52、第3群の回路であるLED53、第4群の回路であるLED54が設けられている。一般的には、n(n:2以上の整数)群のLED回路を備えている。可変抵抗R1にはLED51のアノードが直接に接続され、可変抵抗R2にはLED52のアノードがスイッチSA2を介して接続され、可変抵抗R3にはLED53のアノードがスイッチSA3を介して接続され、可変抵抗R4にはLED54のアノードがスイッチSA4を介して接続されている。
【0048】
また、LED51のカソードはスイッチSC1を介して電圧VS側のラインに接続されており、LED52のカソードはスイッチSC2を介して電圧VS側のラインに接続されており、LED53のカソードはスイッチSC3を介して電圧VS側のラインに接続されており、LED54のカソードは直接に電圧VS側のラインに接続されている。
【0049】
更に、LED51のカソードはスイッチSB1を介してLED52のアノードに接続され、LED52のカソードはスイッチSB2を介してLED53のアノードに接続され、LED53のカソードはスイッチSB3を介してLED54のアノードに接続されている。
【0050】
上記スイッチSA2〜SA4、スイッチSB1〜SB3、スイッチSC1〜SC3は、CMOSFETやDMOSFETにより構成することができ、これらのスイッチは、セレクタ3によって後述の通りに、オンオフ制御される。基準電圧生成回路は、図16に示されるように構成されている。即ち、電圧VDのラインと電圧VSのラインとの間には、抵抗r1、r2の直列回路が接続され、抵抗r1、r2の接続点からはラインL0を介して電源電圧に対応する電圧VRが取り出され、コンパレータ部2のコンパレータCOMP1〜COMPmに送られる。mは、2以上の整数であり、nと同一もしくは異なる数である。
【0051】
また、電圧VDのラインと電圧VSのラインとの間には、定電圧回路55が接続されており、電圧VDと電圧VSとの電位差に基づき所定電圧VREFmを作成してラインLmを介してコンパレータ部2のコンパレータCOMPmへ送出している。ラインLmと電圧VSのラインとの間には、m個の抵抗r11〜r1mによる直列回路が接続されており、この抵抗r11〜r1mによって分圧することにより電圧VREF1、VREF2、・・・を作成してラインL1、L2、・・・を介して、それぞれコンパレータ部2のコンパレータCOMP1、COMP2、・・・へ送出している。電圧VREF1、VREF2、・・・、VREFmに関しては、VREF1<VREF2<・・・<VREFmである。
【0052】
上記の基準電圧生成回路1の構成及び作用によって、コンパレータCOMP1には電圧VREF1と電圧VRが与えられ、これらがコンパレータCOMP1により比較されてVREF1<VRである場合に出力をHレベルにする。同様に、コンパレータCOMP2には電圧VREF2と電圧VRが与えられ、これらがコンパレータCOMP2により比較されてVREF2<VRである場合に出力をHレベルにする。以下、図示しないコンパレータCOMP3からコンパレータCOMP(m-1)についても同様に動作が行われる。また、コンパレータCOMPmには電圧VREFmと電圧VRが与えられ、これらがコンパレータCOMPmにより比較されてVREFm<VRである場合に出力をHレベルにする。コンパレータCOMPmを代表として示すと、上記と逆に、VREFm≧VRである場合に、出力をLレベルとする。
【0053】
コンパレータCOMP1、COMP2、・・・、COMPmの出力はセレクタ3へ送られている。セレクタ3には、スイッチSA2〜SA4、SB1〜SB3、SC1〜SC3のそれぞれに接続され、対応のスイッチをオンオフ制御するためのドライバD1〜D9が備えられている。更にセレクタ3には、上記のドライバD1〜D9のそれぞれについて動作または非動作とするかの制御信号を作成する論理回路59が備えられている。
【0054】
本実施形態においては、スイッチ手段であるスイッチSA2〜SA4、SB1〜SB3、SC1〜SC3のオンオフ制御によって、全群のLED回路を直列に接続する接続状態と、前記第1群、第2群、・・・、第n群のLED回路のいくつかを並列に接続した複数の接続状態に切り換える。ここでは、5つの接続状態を実現するため、m=4であり、コンパレータCOMP1、COMP2、・・・、COMP4の出力と、スイッチSA2〜SA4、SB1〜SB3、SC1〜SC3のオンオフは、次の表1の通りに制御される。
【0055】
【表1】
【0056】
以上の通りに構成されている本実施形態では、コンパレータCOMP1、COMP2、・・・、COMP4の出力が表1における状態1においては、スイッチSB1〜SB3がオン(閉成)とされ、その他のスイッチがオフ(開放)とされる。この結果、LED51〜54が図17に示されるように直列に接続され、可変抵抗R1を介して定電流駆動される。
【0057】
また、コンパレータCOMP1、COMP2、・・・、COMP4の出力が表1における状態2においては、スイッチSA4、SB1、SB2、SC3がオンとされ、その他のスイッチがオフとされる。この結果、図18に示すように可変抵抗R1とLED51〜53が直列接続され、この直列接続された回路に、可変抵抗R4とLED54が直列接続された回路が並列接続され、定電流駆動される。
【0058】
また、コンパレータCOMP1、COMP2、・・・、COMP4の出力が表1における状態3においては、スイッチSA3、SB1、SB3、SC2がオンとされ、その他のスイッチがオフとされる。この結果、図19に示すように可変抵抗R1とLED51、52が直列接続され、この直列接続された回路に、可変抵抗R3とLED53、54が直列接続された回路が並列接続され、定電流駆動される。
【0059】
また、コンパレータCOMP1、COMP2、・・・、COMP4の出力が表1における状態4においては、スイッチSA3、SA4、SB1、SC2、SC3がオンとされ、その他のスイッチがオフとされる。この結果、図20に示すように可変抵抗R1とLED51、52が直列接続され、この直列接続された回路に、可変抵抗R3とLED53が直列接続された回路及び、可変抵抗R4にLED54が直列接続された回路が並列接続され、定電流駆動される。
【0060】
更に、コンパレータCOMP1、COMP2、・・・、COMP4の出力が表1における状態5においては、スイッチSA2〜SA4、SC1〜SC3がオンとされ、その他のスイッチがオフとされる。この結果、図21に示すように可変抵抗R1にLED51が直列接続された回路、抵抗R2にLED52が直列接続された回路、可変抵抗R3にLED53が直列接続された回路及び可変抵抗R4にLED54が直列接続された回路が並列接続され、定電流駆動される。
【0061】
以上のようなスイッチに対するオンオフ制御を交流周期において繰り返し行う。これにより、電力効率を点灯するLED数が変化することがなく、ちらつきや輝度むらを少なくすることができる。
【0062】
なお、上記の実施形態では、表1の5状態としたが、これに全てのLEDを消灯する状態をく加え、状態5において図21の接続状態による点灯を維持できないときには、全てのLEDを消灯するようにしても良い。また、表1の状態1〜5の2または4の状態を設けずに点灯制御を行っても良い。
【0063】
また、上記における実施形態では、定電流回路として、図22(a)に示す可変抵抗R(R1〜R49を用いたが、これに代えて図22(b)に示されている定電流源61を用いても良い。また、定電流回路として、図22(a)に示す可変抵抗Rは、図22(c)に示されているMOSFET63とそのドレインとソースに接続した制御回路62による定電流回路に代えることができる。更に、図22(d)に示されているオペアンプ64、MOSFET65、電圧源66、抵抗67により構成した定電流回路を用いることができるが、LEDに対し電圧VS側に接続すると好適である。
【符号の説明】
【0064】
10 電源部
11 交流電源
12 ダイオードブリッジ
13 定電圧源
20、20A コンパレータ部
30、30A セレクタ
40−1〜40−n 負荷回路
41−1〜41−n LED回路
51〜54 LED
1 基準電圧生成回路
2 コンパレータ部
3 セレクタ
4 制御部
図1
図2
図3
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