(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記組成物が、ヘアスタイリングポリマー、ヘアコンディショニング剤、ヘアクリーニング剤、又はそれらの混合物から選択される少なくとも1つの化粧用毛髪処理剤を更に含む、請求項1に記載の方法。
ヘアーアイロンである高温表面ヘアケア器具の熱による毛髪の処理時における毛髪の保護及び毛髪の損傷の低減のための、請求項1〜5のいずれか一項に記載のヘアケア組成物の使用。
【発明を実施するための形態】
【0010】
第1の態様によれば、本発明は、熱による毛髪処理時における毛髪の損傷を低減する方法に関し、本方法は、
−熱安定性シリコーン材料及び化粧用として許容可能なキャリアを含む、ヘアケア組成物を準備する工程と、
−毛髪を処理するために、十分な量のヘアケア組成物を毛髪上に塗布する工程と、
−熱発生ヘアケア器具を準備する工程と、
−熱発生ヘアケア器具を使用して十分な時間毛髪を処理する工程とを含む。
【0011】
驚くべきことに、熱発生ヘアケア器具を使用して毛髪を処理する前に、熱安定性シリコーン材料を含むヘアケア組成物を塗布することにより、熱による処理時において生じる恐れのあるいかなる損傷からも毛髪を保護し得ることが、本発明者らによって発見された。実際に、熱発生ヘアケア器具、特に高温表面ヘアケア器具は、50℃、又は更には100℃を超える温度を発生させる場合がある。そのような高温は、毛髪繊維の構造を変質させることにより、毛髪に損傷を与える恐れがある。理論に束縛されるものではないが、熱安定性シリコーン材料、及びそのような材料を含むヘアケア組成物は、高温にさらされたときに蒸発せず、分解及び/又は副生成物を形成することもないため、熱による処理時における毛髪の保護及び/又は毛髪の損傷の低減に適しているものと考えられる。したがって、熱安定性シリコーン材料、具体的には、以下に説明するポリジメチルシロキサン(P)が、ヘアケア組成物の塗布後に毛髪繊維に残留し、毛髪繊維に対する熱の影響を制限するものと考えられる。
【0012】
本発明の方法は、熱安定性シリコーン材料及び化粧用として許容可能なキャリアを含むヘアケア組成物を準備する工程を含む。
【0013】
本明細書で用いる「熱安定性シリコーン材料」という表現は、高温であっても安定なシリコーン材料を意味する。本明細書で用いる「高温」という表現は、最大300℃の温度、好ましくは最大280℃の温度、より好ましくは最大250℃の温度を意味する。本明細書で用いる「安定」という表現は、シリコーン材料が高温まで熱せられたときに分解、及び/又は副生成物を生じさせることがなく、及び/又は蒸発しないことを意味する。具体的には、熱安定性シリコーン材料を毛髪繊維などの基材上に塗布するとき、「安定」という表現は、シリコーン材料が蒸発せずにその基材上に残留することを意味する。シリコーン材料の熱安定性については、熱重量分析、具体的には、Netsch製の装置TG 209を使用して取得できる。
【0014】
熱安定性(heat-silicone)シリコーン材料は、熱安定性ポリジメチルシロキサンであることが好ましい。
【0015】
より好ましくは、熱安定性ポリシロキサンは、アミノアルキル基を有するポリジメチルシロキサン(P)であり、且つポリジメチルシロキサン(P)中少なくとも0.1meq/gのアミン価を有し、次式I
R
1aR
2bSiO
(4-a-b)/2(I)、
(式中R
1は、1〜40の炭素原子を有する、任意にハロゲン置換されたアルキル基、又は−OR若しくは−OH基であり、
Rは、1〜40の炭素原子を有する、任意にハロゲン置換されたアルキル基であり、
R
2は、次式IIのアミノアルキル基であり
−R
3−NR
4R
5(II)、
R
3は、1〜40の炭素原子を有する二価の炭化水素基であり、
R
4は、1〜40の炭素原子を有する一価の炭化水素基であるか、又はHであり、
R
5は、次式IIIの基であり
−(R
6−NR
4)
xR
4 (III)、
R
6は、次式IVの二価の基であり
−(CR
4R
4−)
y (IV)、
xは0、又は1〜40の値であり、yは1又は2であり、aは0、1、2又は3であり、bは0、1、2又は3であり、且つa+bの平均は1.5〜2.5であり、
基R
1の9mol%以下が、OH又はORである)の単位を有する。
【0016】
アルキル基R
1及びRは、直鎖状、環状、分枝鎖状、飽和又は不飽和であってよい。アルキル基R
1及びRは、好ましくは1〜18の炭素原子、具体的には1〜6の炭素原子を有し、特にメチル基又はエチル基が好ましい。好ましいハロゲン置換基は、フッ素及び塩素である。特に好ましい基R
1は、メチル基、メトキシ基、エトキシ基又は−OHである。
【0017】
二価の炭化水素基R
3は、ハロゲン置換、直鎖状、環状、分枝鎖状、芳香族、飽和又は不飽和であってよい。基R
3は、好ましくは1〜6の炭素原子を有し、アルキレン基、具体的にはプロピレンが特に好ましい。好ましいハロゲン置換基は、フッ素及び塩素である。
【0018】
一価の炭化水素基R
4は、ハロゲン置換、直鎖状、環状、分枝鎖状、芳香族、飽和又は不飽和であってよい。基R
4は、好ましくは1〜6の炭素原子を有し、アルキル基が特に好ましい。好ましいハロゲン置換基は、フッ素及び塩素である。特に好ましい置換基R
4は、メチル、エチル、シクロヘキシル及びHである。
【0019】
ポリジメチルシロキサン中で、bは好ましくは0又は1の値を有し、a+bは好ましくは1.9〜2.2の平均値を有する。ポリジメチルシロキサン中で、xは、好ましくは0又は1〜18の値であり、最も好ましくは、1〜6である。
【0020】
特に好ましいR
2基は、−CH
2N(R
4)
2、−(CH
2)
3N(R
4)
2及び−(CH
2)
3N(R
4)(CH
2)
2N(R
4)
2である。
【0021】
ポリジメチルシロキサン(P)は、少なくとも3、具体的には少なくとも10個の一般式(I)の単位から構成される。
【0022】
a対bの比率は、ポリジメチルシロキサン(P)が、ポリジメチルシロキサン(P)中少なくとも0.1meq/g、好ましくはポリジメチルシロキサン(P)中少なくともと0.6meq/gのアミン価を有するように選択される。ポリジメチルシロキサン(P)中のアミン価は、ポリジメチルシロキサン(P)中7meq/g以下であることが好ましい。
【0023】
ポリジメチルシロキサン(P)の粘度は、25℃で、1〜100,000mPa・s、特に、10〜10,000mPa・sであることが好ましい。
【0024】
この組成物は、この毛髪処理組成物の総重量の0.001%〜50%、好ましくは0.01%〜30%、より好ましくは0.1%〜20%、更により好ましくは0.1%〜5%のポリジメチルシロキサン(P)を含んでいてよい。
【0025】
ポリジメチルシロキサン(P)、及びそのエマルション又は分散液は、本明細書に参考として引用される米国特許出願公開第2006/0041026(A1)号に記載されている。本発明に好適なポリジメチルシロキサン(P)の水中油型エマルションが、Wacker−Chemie AG(Germany)からWacker(登録商標)HC 303 VPの商標で販売されている。
【0026】
好ましい実施形態では、組成物はエマルションであり、MQシリコーン樹脂を含有している。このMQシリコーン樹脂は、少なくとも80mol%、好ましくは少なくとも95mol%の、次の一般式(V)及び(VI)
R
73SiO
1/2(V)、
SiO
4/2(VI)、
(式中R
7は、1〜40の炭素原子を有する、任意にハロゲン置換された炭化水素基若しくはH、−OR又は−OH基であり、一般式(V)及び(VI)の単位の比率は、0.5〜2.0、好ましくは0.5〜1.5であって、基R
7の3重量%以下、好ましくは2.5重量%以下が、−OR及び−OHである)の単位を含有する。
【0027】
MQシリコーン樹脂の残余の単位は、次の一般式(VII)及び(VIII)
R
72SiO
2/2(VII)、
R
7SiO
3/2(VIII)の単位であることが好ましい。
【0028】
一価の炭化水素基R
7は、ハロゲン置換、直鎖状、環状、分枝鎖状、芳香族、飽和又は不飽和であってよい。基R
7は、好ましくは1〜6の炭素原子を有し、アルキル基及びフェニル基が特に好ましい。更にハロゲン置換基は、フッ素及び塩素である。特に好ましい置換基R
7は、メチル、エチル、フェニル及びHである。エマルションは、1〜200重量部、特に好ましくは5〜100重量部のMQシリコーン樹脂を含有することが好ましい。
【0029】
ヘアケア組成物は、プロトン化剤を更に含んでいてもよい。プロトン化剤は、一塩基酸若しくは多塩基酸で、水溶性若しくは非水溶性の酸、及び/又は有機酸若しくは無機酸であってよい。好ましくは、プロトン化剤は、ギ酸、酢酸、硫酸、塩酸、クエン酸又はそれらの混合物から選択される。好ましくは、プロトン化剤は、基R
2の塩基性窒素原子のモルあたり、0.05〜2molの酸性プロトン量で添加される。
【0030】
プロトン化剤が混合された上記ポリジメチルシロキサン(P)を有利に使用して、ヒトの毛髪を処理するための化粧用組成物を製造することができる。
【0031】
プロトン化剤と共にポリジメチルシロキサン(P)を用いて毛髪を処理することにより、処理された毛髪は撥水性となる。これにより、ヒトの毛髪の乾燥時間を短縮するための、ポリジメチルシロキサン(P)及びプロトン化剤の使用が可能となる。またこれにより、ヒトの毛髪の乾燥時間を短縮するための、ポリジメチルシロキサン(P)及びプロトン化剤、並びにこれらの構成成分を含むヘアケア組成物の使用も可能となる。
【0032】
乾燥時間の短縮を可能にするヘアケア組成物を準備することは、本発明の方法において特に有用である。実際、このような組成物は、熱発生ヘアケア器具を使用する毛髪処理の際に必要な時間を短縮させることができるため、熱による毛髪の処理時における毛髪の保護及び/又は毛髪の損傷の低減にも更に貢献する。
【0033】
ヘアケア組成物は、化粧用として許容可能なキャリアも含む。化粧用として許容可能なキャリアは、毛髪上への塗布に適した組成物中に、熱安定性シリコーン材料を配合するのに好適な、任意のキャリアであってよい。化粧用として許容可能なキャリアは、水性媒質又は水性アルコール媒質のいずれかから選択されてよい。キャリアが水性アルコールのキャリアである場合、このキャリアは水及びアルコールを含む。キャリアが水性キャリアである場合、このキャリアは本質的に水からなり、アルコールは実質的に含まれない。この組成物は、総組成物の重量比で0.1%〜99%、好ましくは1%〜99%、より好ましくは10%〜99%、更により好ましくは30%〜99%の水を含んでいてもよい。
【0034】
ヘアケア組成物は、エマルション、溶液、分散液の形態、又は毛髪上への塗布に適した任意の他の形態であってよい。エマルションの形態である場合、このエマルションは、油中水型エマルション、水中油型エマルション、又は多相エマルションであってよい。
【0035】
ヘアケア組成物は、残留型組成物又は洗い流し組成物であってよい。
【0036】
ヘアケア組成物は、シャンプー、ヘアコンディショニング組成物、ヘアスタイリング組成物、又はそれらの混合物から選択されてよい。ヘアスタイリング組成物である場合、前記組成物は、ゲル組成物、機械式スプレー装置及び/又は少なくとも1つの噴射剤を使用して必要に応じて分与されるスプレーゲル組成物、好適な機械操作式スプレー装置を用いて必要に応じて分与される非エアゾールヘアスプレー、起泡用の装置を使用して必要に応じて分与される起泡性組成物、ヘアワックス組成物、ヘアローション組成物、ヘアクリーム組成物、又は、それらの組み合わせであってよい。
【0037】
ヘアケア組成物は、濡れた毛髪上及び/又は乾いた毛髪上に塗布され得る。
【0038】
ヘアケア組成物は、ヘアスタイリングポリマー、ヘアコンディショニング剤、ヘアクリーニング剤、又はそれらの混合物から選択される、少なくとも1つの化粧用ヘア処理剤を更に含んでいてよい。
【0039】
ヘアケア組成物は、任意の好適な従来のヘアスタイリングポリマーを含んでよい。具体的には、ヘアスタイリングポリマーは、非イオン性ヘアスタイリングポリマー、アニオン性ヘアスタイリングポリマー、双性イオン性及び/又は両性(amphoretic)ヘアスタイリングポリマー、カチオン性ヘアスタイリングポリマー、又はそれらの混合物から選択されてよい。好適なヘアスタイリングポリマーは、CTFA International Cosmetics Ingredient Dictionary and Handbook,「Hair Fixatives」,12
th(2008)に見出すことができる。例えば、好適なヘアスタイリングポリマーは、本明細書に参考として引用される、2008年2月11日出願の欧州特許出願第08151246.9号の12頁5行目〜19頁1行目に開示されているような材料である。
【0040】
ヘアケア組成物は、組成物の総重量の0.01%〜10重量%、好ましくは0.1%〜8%、より好ましくは0.1%〜5%のヘアスタイリングポリマーを含んでよい。
【0041】
非イオン性ヘアスタイリングポリマーは、天然又は合成ポリマーであってよい。好適な非イオン性ヘアスタイリングポリマーは、ビニルピロリドン;ビニルカプロラクタム;ビニルエステル;ビニルアルコール;ビニルアセテート;(メタ)アクリルアミド、及び/又はその誘導体;(メタ)アクリル酸、その塩、及び/又はその誘導体;プロピレン及び/又はエチレングリコール酸;クロトン酸;又はそれらの混合物から選択される少なくとも1つの種類のモノマーの重合から得たポリマーであってよい。例えば、そのようなポリマーは、商標名Luviskol(登録商標)又はLuviset Clear(登録商標)で入手できる。
【0042】
好適なアニオン性ヘアスタイリングポリマーは、アクリル酸/アルキルアクリレート/N−アルキルアクリルアミドのターポリマー;ビニルアセテート/クロトン酸のコポリマー;C1〜C5のアルキルアクリレート/(メタ)アクリル酸のコポリマー;ポリスチレンスルホン酸ナトリウム;ビニルアセテート/クロトン酸/ビニルアルカン酸のコポリマー;ビニルアセテート/クロトン酸/ビニルネオデカン酸のコポリマー;アミノメチルプロパノールアクリレートのコポリマー;ビニルピロリドン/(メタ)アクリル酸のコポリマー;メチルビニルエーテル/マレイン酸モノアルキルエステルのコポリマー;アリルメタクリレートのアミノメチルプロパノール塩/(メタ)アクリレートのコポリマー;エチルアクリレート/メタクリル酸のコポリマー;ビニルアセテート/モノ−n−ブチルマレエート/イソボルニルアクリレートのコポリマー;オクチルアクリルアミド/(メタ)アクリル酸のコポリマー;ジグリコール、シクロヘキサンジメタノール、イソフタル酸及びスルホイソフタル酸、のポリエステル;又はそれらの混合物から選択されてよい。
【0043】
好適な双性イオン性及び/又は両性ヘアスタイリングポリマーは、アルキルアクリルアミド/アルキルアミノアルキルメタクリレート/(メタ)アクリル酸のコポリマー;四級アミン基を有する少なくとも1つの第1種類のモノマー、及び酸基を有する少なくとも1つの第2種類のモノマーから形成されるコポリマー;脂肪族アルコールアクリレートのコポリマーであって、アルキルアミンオキシドメタクリレート並びにアクリル酸及びメタクリル酸から選択される少なくとも1つのモノマーのコポリマー;メタクリロイルエチルベタイン/メタクリル酸及び/又はエステルのコポリマー;ポリクオタニウム−47;ポリクオタニウム−43;四級クロトンベタイン又は四級クロトンベタインエステルから調製し得るオリゴマー又はポリマー;又はそれらの混合物から選択されてよい。
【0044】
好適なカチオン性ヘアスタイリングポリマーは、ホモポリマー又はコポリマーから選択されてよく、ここで四級窒素基は、ポリマー鎖中に、又は1つ以上のモノマー上の置換基として存在する。アンモニウム基を含有するこれらモノマーは、非カチオン性モノマーと共重合化され得る。好適なカチオン性モノマーは、不飽和のフリーラジカル重合可能な化合物であって、少なくとも1つのカチオン性基、具体的には、例えばトリアルキルメタクリルオキシアルキルアンモニウム、トリアルキルアクリルオキシアルキルアンモニウム、ジアルキルジアリルアンモニウムなどのアンモニウム置換ビニルモノマー、及び、ピリジニウム、イミダゾリウム、又は四級ピロリドン、例えば、アルキルビニルイミダゾリウム、アルキルビニルピリジニウム、又はアルキルビニルピロリドン塩などの環状カチオン性窒素含有基を有する四級ビニルアンモニウムモノマーを有していてよい。これらのモノマーのアルキル基は、低級アルキル基、例えば、C1〜C7のアルキル基であるのが好ましく、特に好ましいのはC1〜C3のアルキル基である。好適な非カチオン性モノマーは、(メタ)アクリルアミド、それらの誘導体;アクリレート、その誘導体;ビニルカプロラクトン、ビニルカプロラクタム、ビニルピロリドン、ビニルエステル、ビニルアルコール、プロピレングリコール、又はエチレングリコールから選択されてよい。例えば、好適なカチオン性ヘアスタイリングポリマーは、商標名Gafquat(登録商標)755 N、Gafquat(登録商標)734、Gafquat(登録商標)HS 100、Luviquat(登録商標)HM 550、Merquat(登録商標)Plus 3300、Gaffix(登録商標)VC 713、Aquaflex(登録商標)SF 40で入手できる。
【0045】
カチオン性ヘアスタイリングポリマーは、天然ポリマーから誘導されてもよく、好ましくは、セルロース、デンプン及び/又はグアー;キトサン、その塩、及び/又はその誘導体;又はそれらの混合物のような多糖類のカチオン誘導体から選択される天然ポリマーである。例えば、好適な従来のポリマーは、ポリクオタニウム−4、ポリクオタニウム−10、ポリクオタニウム−24、グアーヒドロキシプロピル塩化トリモニウム、キトソニウムピロリドンカルボキシレートである。
【0046】
更にヘアケア組成物は、好適な従来のヘアコンディショニング剤を任意に含んでよい。本明細書の「ヘアコンディショニング剤」という用語は、毛髪に光沢を与え、毛髪をより扱いやすくし、毛髪の感触を改善し、櫛の通りを改善し、及び/又は毛髪をボリュームアップさせるような、毛髪への化粧用効果を有する、化粧用として許容可能な任意の化合物を意味する。好適なヘアコンディショニング剤は、CTFA International Cosmetics Ingredient Dictionary and Handbook,「Hair conditioning agents」,12
th(2008)に見出すことができる。ヘアコンディショニング剤は、カチオン性界面活性剤、非イオン性界面活性剤、シリコーンコンディショニング剤、有機油性コンディショニング剤、又はそれらの混合物から選択されてよい。好適なヘアコンディショニング剤は、例えば、本明細書に参考として引用される、2008年2月11日出願の欧州特許出願第08151246.9号の19頁3行目〜27頁33行目に開示されているような材料である。
【0047】
好適なカチオン性界面活性剤は、好ましくはアミノ部分又は四級アンモニウム部分を含有する。例えば、カチオン性界面活性剤は、次式
[NR4、R5、R6、R7]
+・X
-
(式中、R4〜R7は独立して、1〜22の炭素原子の脂肪族基;1〜22の炭素原子を有する芳香族、アルコキシ、ポリオキシアルキレン、アルキルアミド、ヒドロキシアルキル、アリール又はアルキルアリール基であり、X
-は塩生成アニオンである)の界面活性剤であってよい。好適なカチオン性界面活性剤は、セチルトリメチルアンモニウム塩;ベヘニルトリメチルアンモニウム塩;ジメチルジタローアンモニウム塩;ステアリルアミドプロピルジメチルアミン;(ジ)エステル四級化合物;クオタニウム8、14、15、18、22、24、26、27、30、33、37、53、60、61、72、78、80、81、82、83、84、及び/又は91;又はそれらの混合物から選択されてよい。
【0048】
好適な非イオン性界面活性剤は、HLB値が8未満の界面活性剤であってよい。好適な非イオン性界面活性剤は、グリセリルエステル;糖エステル;アルキルポリグルコシドエーテル;オレイル−又はイソステアリルポリグルコシド;ポリオキシエチレン(20)モノステアリン酸ソルビタン;又はそれらの混合物から選択されてよい。
【0049】
好適なシリコーンコンディショニング剤は、揮発性若しくは不揮発性及び/又は可溶性若しくは不溶性のシリコーンであってよい。例えば、好適なシリコーンコンディショニング剤は、商標名SF 1075のメチルフェニル流体(Electric company);DC200 Fluid、DC244、DC245、DC345、DC556 Cosmetic Grade Fluid、DC1248(Dow Corning)で入手できる。
【0050】
好適な有機油性コンディショニング剤は、不揮発性、非水溶性、有機の油又は脂肪であってよい。有機油性コンディショニング剤は、炭化水素油及び脂肪エステルから選択されてよい。
【0051】
好適な脂肪アルコールは、不揮発性の低融点脂肪アルコールであってよい。
【0052】
種々の追加的な任意成分を本発明の組成物中に混和してもよい。それら追加的な成分の非限定的な例は、防腐剤、酸化防止剤、金属イオン封鎖剤、溶媒、芳香剤及び&香料、充填剤、スクリーニング剤、臭気吸収剤、着色材料、脂質小胞、洗浄性界面活性剤、増粘剤及び懸濁化剤、粘度調整剤、真珠光沢助剤、紫外線フィルター及び日焼け止め剤、抗フリーラジカル剤、ポリビニルアルコール、pH調整剤、塩、着色剤、ポリマー可塑剤、直接染料、又はそれらの混合物から選択されてよい。
【0053】
ヘアケア組成物は、少なくとも1つの直接毛髪染料を更に含んでいてもよい。組成物は、総組成物の重量比で0.01%〜15%、好ましくは0.1%〜10%、より好ましくは0.5%〜8%の直接染毛剤を含んでいてもよい。
【0054】
ヘアケア組成物は、少なくとも1つの粘度調整物質を更に含んでいてもよい。組成物は、総組成物の重量比で0.01%〜20%、好ましくは0.05%〜10%、より好ましくは0.1%〜5%の粘度調整物質を含んでいてもよい。
【0055】
ヘアケア組成物は、少なくとも1つの、ヘアコンディショニング剤ではない乳化剤及び/又は界面活性剤を更に含んでいてもよい。乳化剤及び/又は界面活性剤は、非イオン性界面活性剤、アニオン性界面活性剤、両性(amphoretic)界面活性剤、又はそれらの混合物から選択されてよい。組成物は、総組成物の重量比で0.01%〜50%、好ましくは0.05%〜20%、より好ましくは0.1%〜15%の乳化剤及び/又は界面活性剤を含んでいてもよい。
【0056】
ヘアケア組成物は、少なくとも1つの顔料を更に含んでいてもよい。顔料は、天然顔料、合成顔料、又はそれらの混合物から選択されてよい。顔料は、有機顔料、無機顔料、又はそれらの混合物から選択されてよい。顔料は、着色顔料、真珠光沢顔料、又はそれらの混合物から選択されてよい。組成物は、総組成物の重量比で0.01%〜25%、好ましくは5%〜15%の、未溶解形態で製品本体中に存在する顔料を含んでいてもよい。
【0057】
ヘアケア組成物は、少なくとも1つの粒子状物質を更に含んでいてもよい。粒子状物質は、シリカ;ケイ酸塩;アルミネート;粘土;雲母;不溶性の塩、特に不溶性の無機金属塩;金属酸化物;鉱物;不溶性ポリマー粒子;又はそれらの混合物から選択されてよい。ヘアケア組成物は、総組成物の重量比で0.01%〜10%、好ましくは0.05%〜5%の、少なくとも1つの粒子状物質を含んでいてもよい。
【0058】
ヘアケア組成物は、少なくとも1つの光防護性物質を更に含んでいてもよい。組成物は、総組成物の重量比で0.01%〜10%、好ましくは0.1%〜5%、より好ましくは0.2%〜2%の光防護性物質を含んでいてもよい。
【0059】
ヘアケア組成物は、少なくとも1つの防腐剤を更に含んでいてもよい。組成物は、総組成物の重量比で0.01%〜5重量%、より好ましくは0.05%〜1%の、少なくとも1つの防腐剤を含んでいてもよい。
【0060】
ヘアケア組成物の粘度は、25℃で、0.1mPa・s〜1,000,000mPas、好ましくは1mPa・s〜80,000mPa・s、より好ましくは5mPa・s〜3,500mPa・sであってよい。別途規定しない限り、粘度は、DIN 53019(MV−DIN、SV−DIN)に従い、冷却/加熱容器及びセンサーシステムを備えるHAAKE回転粘度計VT 550により測定可能で、剪断速度は12.9s
-1である。
【0061】
ヘアケア組成物のpH値は、2.0〜12.0、好ましくは3.0〜9.0、より好ましくは4.5〜7.5であってよい。特定のpH値を達成するために、前記組成物は、アルカリ化剤及び/又はpH値の調整剤を更に含んでいてよい。
【0062】
好ましい実施形態では、本方法は、少なくとも1つの熱安定性シリコーン材料、少なくとも1つの100℃超での揮発性成分、及び化粧用として許容可能なキャリアを含むヘアケア組成物を準備して塗布する工程を含む。好ましくは、前記組成物は、少なくとも1つの熱安定性シリコーン材料、少なくとも1つの100℃超での揮発性成分、及び化粧用として許容可能なキャリアから本質的になる。より好ましくは、前記組成物には、熱不安定性の構成成分が実質的に含まれない。
【0063】
本明細書で用いる「100℃超での揮発性」とは、構成成分が100℃超で蒸発し、毛髪繊維のような基材上に塗布した場合に、構成成分が基材上に残留物及び/又は副生成物をまったく残存させないことを意味する。一般的な100℃超での揮発性成分は、水及びアルコールである。
【0064】
本明細書で用いる「熱不安定性」という表現は、構成成分が高温にさらされた場合に完全には蒸発せず、毛髪のような基材上に塗布した場合、高温まで熱せられたときに毛髪繊維の構造を変質させ、及び/又は毛髪の損傷を誘発する恐れのある副生成物を残存させることを意味する。
【0065】
本発明の方法はまた、毛髪処理のために十分な量のヘアケア組成物を毛髪上に塗布する工程も含む。本明細書で用いる「毛髪処理のために十分な量のヘアケア組成物」という表現は、好ましくは1gの毛髪に対して0.01g〜5gのヘアケア組成物を塗布することを意味する。組成物は、毛髪上に直接分与し、次に毛髪を擦りあわせて毛髪上にこの組成物を均一に分配することにより、毛髪上に塗布されてよい。あるいは、組成物は、手のひら及び/又は任意の好適な基材上に分与し、次に手及び/又は基材を用いて毛髪を擦りあわせて、毛髪上にこの組成物を均一に塗布して分配してもよい。
【0066】
本発明の方法はまた、熱発生ヘアケア器具を準備し、次に、この器具を使用して十分な時間毛髪を処理する工程も含む。本明細書で用いる「十分な時間」という表現は、好ましくは1分〜2時間、より好ましくは1分〜1時間、更により好ましくは1分〜20分を意味する。
【0067】
熱発生ヘアケア器具は、主要な2つの種類に分類されるが、それらはすなわち、典型的には濡れた毛髪に使用される器具、及び典型的には乾いた毛髪に使用される器具である。
【0068】
濡れた毛髪に好適に使用される器具は、本明細書において「熱風ヘアケア器具」と呼ばれる。例えば、熱風ヘアケア器具は、ヘアドライヤー及び/又は熱風ヘアスタイラーであってよい。ヘアドライヤーは、例えば、毛髪に向けて熱風を方向付け、毛髪を乾燥させる。この空気は、典型的には、適切な開口部を通じて方向付けられ、ファンにより加速される。毛髪は抵抗ヒータにより加熱されてよい。このようなヘアドライヤーはまた、乾燥用フードの形態であってもよく、その場合、ヘッドの主要部分は何らかのフード形状により覆われている。ヘアドライヤーの距離は、典型的には10cm以上である。熱風スタイラーは、櫛通し又はその他の毛髪処理のための何らかの種類の取付け具を通して熱風を方向付ける。熱風ヘアスタイラーは、典型的には、それぞれの器具が毛髪に接触することにより、スタイラー自体が毛髪の付近で使用されるよう(例えば、5又は10又は20センチメートルの距離で)使用される。従来の熱風ドライヤーは、毛髪に対してやや遠距離で(例えば20又は30又は40センチメートルの距離で)使用され、櫛又はブラシの補助と共に使用されることが多い。これら第1の分類の装置は、熱風を50〜約100℃の温度で放出する。一部の装置では、最大130℃の温度の熱風を放出する場合もあるが、一般の装置で150℃よりも熱い空気を生じさせるものはない。
【0069】
典型的には乾いた毛髪に使用される器具は、本明細書において「高温表面ヘアケア器具」と呼ばれる。例えば、高温表面ヘアケア器具は、ヘアカーラー及びヘアーアイロンであってよい。これらもまた、典型的には、抵抗加熱を利用しているが、熱は熱風を通じてではなく、毛髪との直接的な接触により移送される。この移動は、器具の金属又はセラミックス表面の一部に毛髪を接触させることによりなされることが多い。これらの装置は、毛髪を乾燥させるためには使用されない、又は少なくとも主にそのために使用されることはない。むしろ、それらはヘアスタイルの変更、典型的には、カールを作り出すか、毛髪をまっすぐに伸ばすかのいずれかのために使用される。これら装置の毛髪接触のための表面は、典型的には、130℃〜250℃の温度に達する。ほとんどの装置は、200℃〜230℃の温度となる毛髪接触表面を有する。
【0070】
米国特許第5,612,849号及び同第6,191,930号は、熱風ヘアケア器具の形態の熱発生ヘアケア器具を開示している。対応する装置は、典型的には、ヘアドライヤー又はブロードライヤーと呼ばれている。US D第383245号は、熱風ヘアケア器具の形態の別の熱発生ヘアケア器具を開示している。対応する装置は、典型的には、熱風スタイラー又はヘアスタイラーと呼ばれている。米国特許出願公開第2008/0196739号は、高温表面ヘアケア器具の形態の熱発生ヘアケア器具を開示している。対応する装置は、典型的には、ヘアーアイロンと呼ばれている。
【0071】
好ましい実施形態では、本方法は、熱風ヘアケア器具である熱発生ヘアケア器具を準備し、次に毛髪の乾燥及び/又はスタイリングのために、前記器具を使用して十分な時間20℃〜150℃の範囲の温度で毛髪を処理する工程を含む。熱風ヘアケア器具は、ヘアドライヤー及び/又は熱風ヘアスタイラーから選択されるのが好ましい。前記器具がヘアドライヤーである場合、毛髪は20℃〜110℃の範囲の温度で処理されるのが好ましい。前記器具が熱風ヘアスタイラーである場合、毛髪は50℃〜150℃の範囲の温度で処理されるのが好ましい。
【0072】
別の好ましい実施形態では、本方法は、高温表面ヘアケア器具である熱発生ヘアケア器具を準備し、次に毛髪の乾燥及び/又はスタイリングのために、前記器具を使用して十分な時間90℃〜250℃の範囲の温度で毛髪を処理する工程を含む。高温表面ヘアケア器具は、ヘアカーラー及びヘアーアイロンから選択されるのが好ましい。前記器具がヘアカーラーである場合、毛髪は90℃〜200℃の範囲の温度で処理されるのが好ましい。前記器具がヘアーアイロンである場合、毛髪は90℃〜250℃の範囲の温度で処理されるのが好ましい。
【0073】
他の実施形態では、本方法は、熱風ヘアケア器具及び高温表面ヘアケア器具である少なくとも2つの熱発生ヘアケア器具を準備し、次に、熱風ヘアケア器具、その後に高温表面ヘアケア器具を使用して毛髪を連続的に処理する工程を含む。
【0074】
ヘアケア組成物は、前記器具を使用して毛髪を処理する前に、毛髪上に塗布されるのが好ましい。この組成物は、好ましくは、前記器具を使用して毛髪を処理する1分〜2時間前、より好ましくは1分〜1時間前、更に好ましくは1分〜20分前に毛髪上に塗布される。
【0075】
本発明の方法は、毛髪上にヘアケア組成物を塗布する前、塗布する間、及び/又は塗布した後に、毛髪を湿潤させる工程を更に含む。この工程は、水性組成物及び/又は水を使用して実施してよい。
【0076】
本発明の方法は、熱安定性シリコーン材料を含むヘアケア組成物を洗い流す工程を更に含み得る。水及び/又は任意の好適な洗い流し用組成物を使用してよい。ヘアケア組成物の洗い流しは、前記組成物がシャンプー及び/又は洗い流しヘアコンディショニング組成物である場合に好ましい。このヘアケア組成物の洗い流し工程は、ヘアケア組成物の塗布後、好ましくは30秒〜20分、より好ましくは30秒〜5分に実施する。このヘアケア組成物の洗い流し工程はまた、熱発生ヘアケア器具を使用して毛髪を処理する前に実施するのが好ましい。
【0077】
本発明の方法はまた、毛髪をタオルで拭くことにより、及び/又は手で毛髪を絞ることにより、毛髪を乾燥させる工程も更に含み得る。この工程は、過剰な水分の除去に有用であろう。この工程は、毛髪上にヘアケア組成物を塗布した後、熱発生ヘアケア器具を使用して毛髪を処理する前に実施するのが好ましい。
【0078】
本発明の方法はまた、毛髪の櫛通し及び/又はブラッシングの工程も更に含み得る。この工程は、熱発生ヘアケア器具を使用して毛髪を処理する前及び/又は後に実施してよい。
【0079】
好ましい実施形態では、本発明は、熱による毛髪の処理時における毛髪の損傷を低減する方法に関し、この方法は、
−熱安定性ポリジメチルシロキサン(P)を含むヘアケア組成物を準備する工程と、
−毛髪1gあたり0.01g〜5gの前記組成物を毛髪上に塗布する工程と、
−任意に、前記ヘアケア組成物を毛髪上に塗布する前、塗布する間及び/又は塗布した後に、水性組成物を用いて毛髪を湿潤させる工程と、
−任意に、前記ヘアケア組成物を洗い流す工程と、
−任意に、過剰な水分を除去するために、タオルで拭くことにより、及び/又は手で毛髪を絞ることにより、毛髪を乾燥させる工程と、
−熱風ヘアケア器具及び高温表面ヘアケア器具である2つの熱発生ヘアケア器具を準備する工程と、
−実質的に毛髪を乾燥させるために、熱風ヘアケア器具を1分〜20分使用して毛髪を処理する工程と、
−その後、毛髪のスタイリングのために、高温表面ヘアケア器具を1分〜20分使用して毛髪を処理する工程と、
−任意に、熱発生ヘアケア器具で毛髪を処理する前、間及び/又は後の、毛髪の櫛通し及び/又はブラッシングの工程と、を含む。
【0080】
第2の態様によれば、本発明は、熱による毛髪の処理時において、毛髪を保護して毛髪の損傷を低減するための、上記定義のヘアケア組成物の使用に関する。好ましい実施形態では、本発明は、熱風ヘアケア器具(surface)による毛髪の処理時において毛髪を保護して毛髪の損傷を低減するための、前記ヘアケア組成物の使用に関する。別の実施形態では、本発明は、高温表面ヘアケア器具(surface)による毛髪の処理時において毛髪を保護して毛髪の損傷を低減するための、前記ヘアケア組成物の使用に関する。
【0081】
実際、熱による毛髪の処理から毛髪を保護するため、及び熱による毛髪処理によって誘発される毛髪の損傷を低減する又は更に防止するために、例えば材料Wacker HC 303中に存在する種類のポリジメチルシロキサン(P)のような熱安定性ポリジメチルシロキサンなどの熱安定性シリコーン材料を含むヘアケア組成物を使用することは、特に有利である。熱安定性シリコーン材料が、熱による毛髪の処理における毛髪の保護及び/又は毛髪の損傷の低減に有用であるのは、それらの材料、具体的には以下で説明するポリジメチルシロキサン(P)が、それらを混和したヘアケア組成物の塗布後に毛髪繊維に残留し、毛髪繊維上への熱の影響を制限すると考えられるためである。
【0082】
第3の態様によれば、本発明は、熱安定性ヘアケア組成物の調製のための、上記定義の熱安定性シリコーン材料の使用に関する。本明細書で用いる「熱安定性ヘアケア組成物」という表現は、ヘアケア組成物が、熱安定性である少なくとも1つの構成成分、すなわち、高温、典型的には300℃にまで熱せられても分解、及び/又は副生成物を生じさせることがなく、及び/又は蒸発しない少なくとも1つの構成成分を含むことを意味する。
【0083】
その一方、熱安定性ヘアケア組成物は、熱安定性ではない構成成分を更に含んでいてもよい。典型的には、前記組成物は、高温にさらされた場合、好ましくは100℃以上の温度にさらされた場合に蒸発するであろう構成成分を含んでいてもよい。100℃以上の温度にさらされた場合に蒸発する一般的な構成成分の1つは、水である。
【0084】
第4の態様によれば、本発明は、熱による毛髪処理時における毛髪の損傷を低減するためのキットに関し、このキットは、
−熱安定性シリコーン材料及び化粧用として許容可能なキャリアを含む、本発明の第1の態様によるヘアケア組成物と、
−本発明の第1の態様による熱発生ヘアケア器具、好ましくは熱風ヘアケア器具及び/又は高温表面ヘアケア器具と、を含む。
【0085】
以下の実施例は、本発明の範囲内の好ましい実施形態について更に説明し、実証するものである。本発明の範囲から逸脱することなく本発明の多くの変形形態が可能であるため、これらの実施例は単に例示を目的とするものであり、本発明を制限するものとして解釈すべきではない。
【0086】
これらの実施例で提示されるすべての重量は、活性物質(類)及び/又は溶媒及び/又は副生成物を含む市販の材料の重量である。
【0087】
300℃までのスタイリングの全範囲にわたるシリコーン材料の機能安定性の評価
以下において「TGA」と称される熱重量分析を、Netsch製の装置TG 209を使用して実施した。
【0088】
試験される組成物は、20%のWacker HC 303材料(ポリジメチルシロキサン(P)を含むエマルション)及び水(残量)を含んでいた。具体的には、組成物は5%の(活性)ポリジメチルシロキサン(P)を含んでいた。
【0089】
試験される組成物の試料を装置に装填した。
【0090】
250℃及び300℃でのそれぞれ10分間の等温段階を含む20℃(K)/分の加熱速度を使用し、20℃〜300℃の温度範囲において、Al
2O
3溶融ポット(point)内の熱天秤で試料を蒸発させた。
【0091】
熱重量分析における100℃〜300℃の温度範囲での残留物を以下の表に示す。
【0093】
上記のデータは、試験された組成物中の、主として水である揮発性物質の94%が、150℃ですでに蒸発し、5%の安定な本体が以降の温度段階に残されたことを示している。これらのデータにより、試料を300℃まで加熱した後の残留物質は、Wacker HC303のポリジメチルシロキサン(P)であり、前記ポリジメチルシロキサンは高温で安定、すなわち高温まで熱せられても分解、及び/又は副生成物を生じさせることがなく、及び/又は蒸発しないことが証明された。
【0094】
このようなデータにより、熱による毛髪の処理前に、ポリジメチルシロキサン(P)を毛髪上に塗布することは、その高温での安定性のため、適切であることが実証される。
【0095】
本発明の方法における使用に好適な組成物
以下に例示するすべての組成物は、次の通り調製されるアミノ官能オルガノポリシロキサンを含む。
【0096】
使用するアミノ官能オルガノポリシロキサンは次の通りである。
−アミンオイル1:アミンオイル1は、25℃で約1000mm
2/sの粘度を有し、官能基は、−(CH
2)
3NH(CH
2)
2NH
2であり、アミン価は、オルガノポリシロキサン中0.6meq/gである。加えて、このオルガノポリシロキサンは、末端基として約0.75mol%の反応性OMe/OH基を含有している。
−アミンオイル2:アミンオイル2は、25℃で約1000mm
2/sの粘度を有し、官能基は、−(CH
2)
3NH(CH
2)
2NH
2であり、アミン価は、オルガノポリシロキサン中0.6meq/gである。この場合の末端基は、Me
3SiO基である。
−アミンオイル3:アミンオイル3は、25℃で約230mm
2/sの粘度を有し、官能基は、−(CH
2)
3NH(CH
2)
2NH
2であり、アミン価は、オルガノポリシロキサン中2.6meq/gである。末端基は、同様にMe
3SiO基である。
【0097】
前記アミノ官能オルガノポリシロキサンは、次の通りに、エマルションとして配合される。
−エマルションA:16.gのアミンオイル1を、6gの水、6gのエチレングリコールモノブチルエーテル及び0.17gの酢酸に、室温で攪拌しながら添加し、次に総重量が100gとなるまで、残量の水も混和する。乳白色の不透明なエマルションが得られる。このエマルションを、最終成分として、以下の実施例の活性溶液/分散液に室温で添加する。
−エマルションB:11.1gのアミンオイル2及び4.9gのMQ樹脂の混合物16.gを、6gの水、6gのエチレングリコールモノブチルエーテル及び0.17gの酢酸に、室温で攪拌しながら添加し、次に総重量が100gとなるまで、残量の水も混和する。乳白色の不透明なエマルションが得られる。このエマルションを、最終成分として、以下の実施例の活性溶液/分散液に室温で添加する。
−エマルションC:11.1gのアミンオイル3及び4.9gのMQ樹脂の混合物16.gを、6gの水、及び0.17gの酢酸に、室温で攪拌しながら添加し、次に総重量が100gとなるまで、残量の水も混和する。乳白色の不透明なエマルションが得られる。このエマルションを、最終成分として、以下の実施例の活性溶液/分散液に室温で添加する。
【0098】
以後に説明する、エマルションA、エマルションB又はエマルションCのいずれかを含むヘアケア組成物は、従来の混合法を使用して調製される。これらの製剤は、本発明の方法での使用に適している。
【0099】
液体ゲルは、2.00gのエマルションA、1.00gのLuviset(登録商標)Clear、1.50gのSurfactant 193、0.30gのカルボマー、0.30gのAMP 95%、0.20gのEumulgin L、0.15gの芳香剤、0.40gのNatrosol(登録商標)G、16.50gのエタノール、これら成分と合わせた総重量が100.00gとなるに十分な量の水を含む。
【0100】
急速乾燥ゲルは、2.90gのエマルションB、1.00gのLuviset(登録商標)Clear、1.80gのポリビニルピロリドンK 90、1.00gの直接染料、1.50gのSurfactant 193、1.00gのSynthalen(登録商標)W 2000、0.30gのAMP 95%、0.30gのPEG−25 PABA(Uvinul(登録商標)P 25)、0.15gのパンテノール、0.30gの芳香剤、34.20gのエタノール、0.10gのケラチン加水分解産物、これら成分と合わせた総重量が100.00gとなるに十分な量の水、を含む。
【0101】
ポンプ式セッティングフォームは、1.20gのエマルションC、1.80gのLuviset(登録商標)Clear、1.90gの直接染料、0.40gのコカミドプロピルヒドロキシスルタイン、0.10gのローズマリー葉抽出物(Extrapon(登録商標)Rosemary)、8.90gのエタノール、0.10gのExtrapon(登録商標)7つのハーブ−抽出物、0.10gのパンテニルエチルエーテル、0.15gの芳香剤、これら成分と合わせた総重量が100.00gとなるのに十分な量の水、を含む。この組成物を、機械操作ポンプ式起泡装置を備える輸送容器内に詰め込む。
【0102】
エアゾール式セッティングフォーム−エクストラストロングホールドは、1.20gのエマルションA、2.10gのLuviset(登録商標)Clear、0.60gのビニルアセテート/クロトン酸のコポリマー、0.50gのポリクオタニウム−7、4.00gのブタン、4.00gのプロパン、8.90gのエタノール510、0.40gのPEG−25 PABA、0.20gのパンテノール、0.20gの芳香剤、0.20gのラウレス−4、0.07gのC9〜C11パレス−8、これら成分と合わせた総重量が10.00gとなるのに十分な量の水、を含む。この組成物を、起泡用ヘッド部を備えるエアゾール缶内に詰め込む。
【0103】
セッティングスプレーは、2.20gのエマルションB、1.00gのLuviset(登録商標)Clear、0.65gのオクチルアクリルアミド/アクリレート/ブチルアミノエチルメタクリレートのコポリマー(Amphomer(登録商標))、0.20gのCelquat(登録商標)L200、28.5gのエタノール、0.60gのアミノメチルプロパノール95%、0.25gの芳香剤、0.20gの塩化セチルトリメチルアンモニウム、これら成分と合わせた総重量が60.00gとなるのに十分な量の水、を含む。この組成物を、ポンプ式スプレー装置を備える輸送容器内に詰め込む。
【0104】
洗い落としコンディショナーは、3.00gのエマルションA、1.00gの塩化セチルトリメチルアンモニウム、1.00gのポリメチルフェニルシロキサン、0.40gのフェノキシエタノール、0.20gのPHB−メチルエステル、1.00gのDow Corning 949 Cationic Emulsion(登録商標)、5.00gのイソドデカン、0.40gの香油、これら成分と合わせた総重量が100.00gとなるのに十分な量の水、を含む。
【0105】
残留型コンディションナーは、1.80gのエマルションC、0.10gのビタミンE−アセテート、0.50gのポリメチルフェニルシロキサン、10.00gのプロピレングリコール、0.50gの塩化ベヘニルトリメチルアンモニウム、0.05gの塩化ナトリウム、0.30gのd−パンテノール、0.30gのPHB−プロピルエステル、2.00gのイソドデカン、0.20gの香油、これら成分と合わせた総重量が100.00gとなるのに十分な量の水、を含む。
【0106】
シャンプーは、0.20gのJaguar C−162、40.00gのラウレス硫酸ナトリウム(LES 28%)、5.00gのコカミドプロピルベタイン、2.00gのDow Corning 200 Fluid/350 CS、0.15gの芳香剤、6.00gのエマルションC、これら成分と合わせた総重量が100.00gとなるのに十分な量の水、を含む。
【0107】
本実施例で使用した商標名/原材料は、Goldschmidt製のAbilquat(登録商標)3270(プロピレングリコール中50%のクオタニウム−80);Rohm and Haas製のAculyn(登録商標)48(水中19%の、PEG−150/ステアリルアルコール/SMDIのコポリマー);AMP 95%(アミノメチルプロパノール95%の水溶液);Amphomer(登録商標)(オクチルアクリルアミド/アクリレート/ブチルアミノエチルメタクリレートのコポリマー);Aristoflex(登録商標)AVC(アンモニウムアクリロイルジメチルタウレート/VPのコポリマー);ISP製のAquaflex(登録商標)FX−64(水/エタノール中40%の濃度の、イソブチレン/エチルマレイミド/ヒドロキシエチルマレイミドのコポリマー);ISP製のAquaflex(登録商標)SF 40(エタノール中40%の、VP/ビニルカプロラクタム//DMAPAアクリレートのコポリマー);Advantage(登録商標)S(ビニルカプロラクタム/VP/ジメチルアミノエチルメタクリレートのコポリマー);カルボマー−カーボポール(アクリル酸ホモポリマー);Celquat(登録商標)L200(ヒドロキシエチルセルロース及び塩化ジアリルジメチルアンモニウムのコポリマー;ポリクオタニウム−4);GENAMIN CTAC 50(塩化セトリモニウム、塩化セチルトリメチルアンモニウム);ISP製のCopolymer 845(水中20%の、VP/ジメチルアミノエチルメタクリレートのコポリマー);Dehydol(登録商標)LS 4(ラウリルアルコールテトラオキシエチレンエーテル);Dekaben(登録商標)LMB(ブチレングリコール中10%の濃度のヨードプロピニルブチルカルバメート);Dekaben(登録商標)LMP(フェノキシエタノール及びヨードプロピニルブチルカルバメート);Clariant製のDiaformer Z−711(アクリレート/ラウリルアクリレート/ステアリルアクリレート/エチルアミンオキシドメタクリレートのコポリマー、40%);Dow Corning 1401(シクロメチコン中13%の高分子量ジメチコノール);Eumulgin(登録商標)L(PEG−1−PEG−9ラウリルグリコールエーテル);Flexan(登録商標)(ポリスチレンスルホン酸ナトリウム);GAFQUAT(登録商標)755 N(ポリクオタニウム−11);Jaguar C−17/162(グアーヒドロキシルプロピル塩化トリモニウム);ラウレス−4(ラウリルアルコールテトラオキシエチレンエーテル);BASF製のLuviset(登録商標)Clear(ビニルピロリドン、メタクリルアミド及びビニルイミダゾールのターポリマー);Luviskol(登録商標)VA 64(ビニルピロリドン/ビニルアセテートのコポリマー);Luviskol(登録商標)K 90 Powder(ビニルピロリドン);Luvimer(登録商標)100 P(t−ブチルアクリレート/エチルアクリレート/メタクリル酸のコポリマー);Natrosol(登録商標)G(ヒドロキシエチルセルロース);Pemulen(登録商標)(アクリレート/C10〜30アルキルアクリレートのクロスポリマー);National Starch製のStructure(登録商標)3001(水中30%の濃度の、アクリレート/セテス−20イタコネートのコポリマー);Dow Corning製のSurfactant 193(エトキシル化ジメチルポリシロキサン);Synthalen(登録商標)W 2000(水中31%の、アクリレート/パルメス−25アクリレートのコポリマー);Tego Betain L 5045(コカミドプロピルベタイン)である。
【0108】
2008年2月11日出願の欧州特許出願第08151246.9号で参照される実施例2〜7、9〜17、19〜21、23、24、26〜35、37、39〜45、及び46で開示され、本明細書に参考として引用される更なる組成物もまた、本発明による方法での使用に適するものである。
【0109】
本発明による方法での使用に好適な器具
本方法での使用に好適な熱発生ヘアケア器具は、現在市販されている任意の従来の器具である。
【0110】
本明細書に開示されている寸法及び値は、列挙した正確な数値に厳しく制限されるものとして理解すべきではない。それよりむしろ、特に指定されない限り、各こうした寸法は、列挙された値とその値周辺の機能的に同等の範囲の両方を意味することを意図する。例えば、「40mm」として開示される寸法は、「約40mm」を意味するものとする。