特許第5683946号(P5683946)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許5683946ドップラー光コヒーレンス・トモグラフィを用いた血流測定のための方法とシステム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5683946
(24)【登録日】2015年1月23日
(45)【発行日】2015年3月11日
(54)【発明の名称】ドップラー光コヒーレンス・トモグラフィを用いた血流測定のための方法とシステム
(51)【国際特許分類】
   A61B 5/0285 20060101AFI20150219BHJP
   A61B 3/10 20060101ALI20150219BHJP
   A61B 3/12 20060101ALI20150219BHJP
【FI】
   A61B5/02 340H
   A61B3/10 R
   A61B3/12 E
【請求項の数】29
【全頁数】23
(21)【出願番号】特願2010-503212(P2010-503212)
(86)(22)【出願日】2008年4月10日
(65)【公表番号】特表2010-523286(P2010-523286A)
(43)【公表日】2010年7月15日
(86)【国際出願番号】US2008059954
(87)【国際公開番号】WO2008124845
(87)【国際公開日】20081016
【審査請求日】2010年6月3日
(31)【優先権主張番号】60/910,871
(32)【優先日】2007年4月10日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】60/975,114
(32)【優先日】2007年9月25日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】61/035,871
(32)【優先日】2008年3月12日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】301040556
【氏名又は名称】ユニヴァーシティー オブ サザン カリフォルニア
(74)【代理人】
【識別番号】100058479
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴江 武彦
(74)【代理人】
【識別番号】100108855
【弁理士】
【氏名又は名称】蔵田 昌俊
(74)【代理人】
【識別番号】100091351
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 哲
(74)【代理人】
【識別番号】100088683
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100109830
【弁理士】
【氏名又は名称】福原 淑弘
(74)【代理人】
【識別番号】100075672
【弁理士】
【氏名又は名称】峰 隆司
(74)【代理人】
【識別番号】100095441
【弁理士】
【氏名又は名称】白根 俊郎
(74)【代理人】
【識別番号】100084618
【弁理士】
【氏名又は名称】村松 貞男
(74)【代理人】
【識別番号】100103034
【弁理士】
【氏名又は名称】野河 信久
(74)【代理人】
【識別番号】100140176
【弁理士】
【氏名又は名称】砂川 克
(72)【発明者】
【氏名】ファング、デイビッド
(72)【発明者】
【氏名】ワン、イミン
【審査官】 野田 洋平
(56)【参考文献】
【文献】 特表2002−503134(JP,A)
【文献】 特表2005−506120(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2006/0187462(US,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2004/0088123(US,A1)
【文献】 米国特許第06944551(US,B1)
【文献】 米国特許第05830147(US,A)
【文献】 特開平11−337475(JP,A)
【文献】 特開2007−054251(JP,A)
【文献】 Cameron J. Pedersen et al,Measurement of absolute flow velocity vector using dual-angle, delay-encoded Doppler optical coherence tomography,OPTICS LETTERS,2007年 3月 1日,Vol. 32, No. 5,p506 - p508
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 5/02− 5/03
A61B 3/10− 3/18
JMEDPlus(JDream2)
Scopus
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ドップラー・フーリエ・ドメイン光コヒーレンス・トモグラフィ(OCT)を用いて、対象物の所定の領域内の体内血流を測定するための方法であって、
OCTデータを得るために、前記領域内の複数の血管に交差している少なくとも2つの面を有する走査パターンで、前記領域を走査することと、
前記少なくとも2つの面が同一の血管に対して交差している走査パターン内の、前記少なくとも2つの面に対応するデータ相互を比較し、ドップラシフトを解析することとを含み、血管と血管内の血液の流れる方向とを示すベクルトを決定するように、前記得たOCTデータを解析することと、
前記血管とこの血管に入射させた走査ビームとの間のドップラー角を算出することと、
前記血管に対応した前記ドップラーシフトと前記ドップラー角とを用いて血液の体積流量を決定することと、
を具備する方法。
【請求項2】
記走査パターンは、前記領域に出入りするすべての血管に交差することができる走査パターンである、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
記走査パターンは、前記血管に直交していない角度で前記血管交差している、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記走査パターンは、同心複数円、平行線、もしくは弧から選択された走査パターンである、請求項1ないし3のいずれか1に記載の方法。
【請求項5】
前記同心複数円の走査パターンは、二重円形の走査パターンである、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記走査パターンは、1心周期内で完了され得る走査パターンである、請求項4に記載の方法。
【請求項7】
前記走査パターンは、走査面間に300μmより短い距離を有する、請求項4の方法。
【請求項8】
前記血液の体積流量は、1心周期にわたって平均的な単位時間当たりの、前記領域に出入りする血流の体積である、請求項1ないし7のいずれか1に記載の方法。
【請求項9】
前記血液の体積流量は、静脈中の血流の体積を総計することによって決定される、請求項1ないし7のいずれか1に記載の方法。
【請求項10】
組織運動によって生じる走査データ中のエラーを修正する工程を更に具備する請求項1ないし9のいずれか1に記載の方法。
【請求項11】
位相の非相関を修正する工程を更に具備する請求項1ないし10のいずれか1に記載の方法。
【請求項12】
前記位相の非相関を修正する工程は、各軸走査間の流量対走査ステップサイズの標準曲線を構築することと、前記標準曲線に従って流量を修正することとを有する、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記対象物の所定の領域は、対象物の目の視神経円板である、請求項1ないし11のいずれか1に記載の方法。
【請求項14】
前記対象物は、人間である、請求項1ないし13のいずれか1に記載の方法。
【請求項15】
前記血液の体積流量を決定することは、前記血管の断面に対応する2D速度分布を得ることと、パルス係数を算出することと、サンプリングされた前記血管に交差しているOCT面とこの血管と直交した面との間の角度を算出することとのうち、少なくとも1つを含んでいる、請求項1に記載の方法。
【請求項16】
この方法は、コンピュータによって実現される、請求項1ないし15のいずれか1に記載の方法。
【請求項17】
各々が少なくとも1つの血管と交差した1対の面の1面に対応し、ドップラーシフト信号を有する少なくとも1対のドップラー走査イメージを得ることと、
前記血管に入射させた走査ビームの方向に対応したベクトルと、血流の方向に対応したベクトルとを、前記ドップラー走査イメージ中の血管の座標を用いて規定することと、
前記走査ビームの方向に対応したベクトルと前記血流の方向に対応したベクトルとを用いて、前記走査ビームと血管との間の入射の角を算出することと、
前記血管のドップラーシフト信号と、対応した前記入射の角とを用いて、血流量を決定することと、
を具備する、ドップラー・フーリエ・ドメイン光コヒーレンス・トモグラフィによる対象物の体内の局部的な血流量を決定するための方法。
【請求項18】
前記1対の面は、円形、リニア形状、弧から選択された走査パターンを決定するように対象物の体の一部と交差している、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記1対の面は、前記対象物の所望の位置を囲んでいる、請求項17に記載の方法。
【請求項20】
前記対象物の所望の位置は、対象物の目の視神経円板である、請求項19に記載の方法。
【請求項21】
体積流量、前記囲まれた位置から出て行く血流を算出することによって決定される、請求項19の方法。
【請求項22】
位相の非相関を修正する工程を更に含んでいる、請求項17ないし21のいずれか1に記載の方法。
【請求項23】
前記ドップラー走査は、少なくとも4Hzのフレームレートを有する、請求項18に記載の方法。
【請求項24】
分光計に基づいたドップラー・フーリエ・ドメイン光コヒーレンス・トモグラフィ装置と、
この装置に動作可能なように接続されており、請求項17ないし23のいずれか1に記載の方法を実行するように構成されている処理装置とを具備する、
局部的な血流を測定及び監視するためのシステム。
【請求項25】
請求項17ないし23のいずれか1に記載の方法を実行するための装置をコード化している、コンピュータ可読媒体。
【請求項26】
視神経円板全体を囲んでいる2つ以上の同心円を有している円形パターンで、ドップラーFD−OCTイメージを得るように対象物の前記視神経円板を走査することと、
前記視神経円板から出るすべての静脈を特定するようにドップラーFD−OCTイメージを解析し、各々が静脈とこの静脈に入射するOCT走査光との間の角度であるそれぞれのドップラー角を算出することと、
全網膜の血流量に達するように、各静脈に対する体積流量を決定し、この体積流量を総計することと、
を具備する、ドップラー・フーリエ・ドメイン光コヒーレンス・トモグラフィ(ドッブラーFD−OCT)を用いて対象物の前記全網膜の血流量を測定するための方法。
【請求項27】
前記走査パターンは、二重円形走査パターンである、請求項26に記載の方法。
【請求項28】
前記円形パターンは、回転軸を中心として回転する走査ビームによって行われる二重円錐形のパターンであり、前記ドップラー角は、次式によって得られる、請求項26に記載の方法
【数1】
ここで、hは、前記円錐形の頂点である目中の節点と全網膜との間の距離であり、静脈の2つの座標位置は、夫々(r、θ、z)とP(r、θ、z)とであらわされ、ここでr、rは、二重円錐形の夫々の円形の底面の半径であり、rは、r=(r1+r2)/2と近似され、ベクトルrは、静脈のベクトルで、Δx=rcosθ−rcosθ、Δy=rsinθ−rsinθ、Δz=z−zで表わされ、ベクトルsは、cosθ,rsinθ,−hで表わされる。
【請求項29】
走査密度による位相の非相関の影響に対する修正の工程を更に含む、請求項26に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【連邦政府による委託研究および開発の供述】
【0001】
本発明は、少なくとも一部が、国立衛生研究所からの助成金(NIH助成金、R01EY013516、並びに、P30EY03040)の援助によって成り立っている。政府は、本発明における確かな権利を有している。
【関連特許】
【0002】
本出願は、以下の米国仮出願に対する優先権を請求している。タイトルが「全網膜の血流測定のための方法」である、2007年4月10日提出の、仮出願番号60/910,871と、タイトルが「乳頭周辺のフーリエ・ドメイン・ドップラー光コヒーレンス・トモグラフィによる全網膜の血流測定」である、2007年9月25日提出の、仮出願番号60/975,114と、タイトルが「全網膜の血流測定のための方法」である、2008年3月12日提出の、仮出願番号61/035,871。これによって、米国仮出願の米国特許法119条(e)に基づいた利益が、請求されている。上記の優先権出願は、ここに、参考として取り入れられる。
【技術分野】
【0003】
本発明は、光コヒーレンス・トモグラフィの分野に属する。より詳しくは、本発明は、ドップラー光コヒーレンス・トモグラフィを用いて、網膜及び他の体の部位中の血流を測定するための方法とシステムとに関わる。
【背景技術】
【0004】
精度良く、非侵襲性で、定量的構造の、生体内の体の部位の血流測定を提供できる機具は、医学的な診断及び治療の進歩状況の監視のような適用において、非常に望ましい。この観点から、光コヒーレンス・トモグラフィ(OCT)は、このような能力を提供するための期待されるテクノロジーと見なされてきている。
【0005】
光コヒーレンス・トモグラフィ[1]は、高解像度の断面イメージングを提供できる新開発のテクノロジーであり、網膜疾患[2−4]と緑内障[5、6]との診断及び管理において一般に使用されている。形態的なイメージを得るのに加えて、OCTは、流れと移動とに関する情報を提供する、反射光のドップラーシフトを検出することができる[7−9]。多くの研究者達が、ドップラーOCTを使用して、血流の可視化と流動力学とを研究している[10−14]。フーリエ・ドメインOCTを利用できることで、ドップラーシフトの測定が可能となるが、この情報だけでは、走査ビームの方向の血流と相互関係があるのみである。この走査ビームに直交した方向の血液の移動は、ドップラーシフトでは直接には反射されない。かくして、体積流量を測定するために、前記走査ビームと血流の方向との間の、入射の角も分からなければならない。この情報は、横断面のOCTイメージからのみでは、得ることができず、従って、ドップラーOCTによる体積流量測定は、今まで不可能であった。
【0006】
このために、この分野の種々の問題を克服でき、実際的で、有用で、迅速で、敏感で、非侵襲性で、且つ、精度の良い体内血流測定を提供する方法と機具とが、依然として必要である。
【発明の概要】
【0007】
従って、本発明の目的は、リアルタイムで実行され得る、非侵襲性のやり方の、光トモグラフィに基づいた、血流量測定及び/もしくは監視の方法を提供することである。
【0008】
本発明の更なる目的は、リアルタイムの光コヒーレンス・トモグラフィによって、対象物の体内の血流を、非侵襲的に測定することを可能とするシステム及び装置を提供することである。
【0009】
好ましい実施形態の下記の詳細な説明と関連させることで、即ち、これに従うか、もしくは、これにさらに組み合わせることで比較的明白になるであろう本発明のこれら目的及び他の目的は、走査で得られたドップラーシフトのデータからドップラー角を切り離すことができるドップラー・フーリエ光コヒーレンス・トモグラフィ走査を、実行及び解析する方法の発明によって、果たされている。
【0010】
特に、一態様では、本発明は、ドップラー光コヒーレンス・トモグラフィを用いた、対象物の所定の領域における体内の血流量を測定するための方法を提供している。本発明の実施形態に係る方法は、一般に、以下の工程、即ち、(1)前記領域内の血管と交差した少なくとも2つの面を有する走査パターンで、前記領域を走査することと、(2)前記血管の各々と入射走査ビームとの間のドップラー角と、ドップラーシフトとを決定するように、得られたOCTデータを解析することと、(3)前記ビームのドップラーシフトと入射の角(即ち、ドップラー角)とを用いて、血液の体積流量を決定することとを具備している。
【0011】
前記走査パターンは、好ましくは、同心円、平行線、もしくは弧である。他の走査パターンは、これら走査パターンが、各々の血管に対するドップラー角を算出するための式の公式化を可能にする2つのドップラー走査イメージを与えることができる一般の形状を有する限り、使用され得る。
【0012】
更なる態様では、本発明は、また、ドップラー・フーリエ光コヒーレンス・トモグラフィに基づいた本発明の実施形態に係る血流測定方法を用いることによって、病気の徴候がある対象物の局部の血流量を測定及び/もしくは監視するための方法とシステムとを提供する。
更に、本発明の方法を実行するためのコンピュータシステムとコンピュータ可読媒体とが、提供される。
本発明の他の態様と効果とは、以下の説明及び添付の請求項によって、明らかになるだろう。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1a図1aは、本発明の実施形態に係る模範的なOCT走査を示し、円形の網膜OCT走査が、円錐形パターンで回転するビームによって行われ、前記円錐形の頂点が、目中の節点であることを示している。
図1b図1bは、本発明の実施形態に係る模範的なOCT走査を示し、円筒形のOCTイメージが、横軸が0度乃至360度の走査角に対応し、縦軸がビーム伝搬の軸に沿った深さのディメンションに対応している矩形のディスプレイに合うように、表されている。
図2図2は、網膜を横切って円形状に走査するOCTビームの模範的な3次元の図形表示を示し、2つの走査半径が示されている。
図3図3は、OCTビームと走査されている血管との空間的関係の、模範的な表示を示し、前記OCT面Sと前記流れ方向に対して直交した面Pとの間の角度βが、示されている。
図4a図4aは、二重円形の走査パターンの走査ビームの模範的な軌道を示している。
図4b図4bは、2つの平行した走査面を生じている2つの短い平行線の走査ビームの模範的な軌道を示している。
図5図5は、測定された血流量のサンプリング・ステップの影響を示している。
図6図6は、ドップラー周波数シフトのグレースケールディスプレイによって、模範的なドップラーOCTイメージを示している。前記水平軸は、0乃至360度の走査角を示している。(a)1.7mmの半径の円形走査、(b)1.9mmの半径の円形走査。網膜静脈分枝は、V1からVのラベル付けをされている。
図7図7は、バックグラウンドの動きによるドップラーノイズの抑制を示している。
図8図8は、図6に示された血管Vに対する、規格化された、時間ごとのピーク流速の変化を示している。
図9図9は、本発明の実施形態に係る方法のフローチャート表示を示している。
図10図10は、本発明の実施形態に係る模範的なシステムのブロック線図表示を示している。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明を十分に、且つ、完全に理解することを容易にするために、下記の理論的な議論が与えられている。しかしながら、本発明がいかなる特定の理論的もしくは数学的公式化によっても縛られないことが、当業者に認識されるであろう。下記のこの議論は、説明のみの目的で与えられており、ここに開示されている内容の以外の公式化も、同様に可能であり、本開示の恩恵を受けている分野の技術に含まれている。
【0015】
[理論]
ドップラーOCTにおいて、移動する血液によって反射された光は、プローブビームの軸に平行な流速成分に比例するドップラー周波数シフト(Δf)を受ける。前記プローブビームと血流の方向との間の角度が分かる場合、前記ドップラーシフトは、以下のように単純化できる。
【0016】
Δf=−2nVcosα/λ (1)
ここで、nが媒体の屈折率、Vが全流速、αが前記OCTビームと流れとの間の角度、Vcosαが平行な速度成分、そして、λが光の中心波長である。FD−OCT[13、14、16、17]において、この周波数シフトΔfは、ライン・カメラによって取り込まれたスペクトル干渉パターンに位相シフトΔΦを導入している。高速フーリエ変換(FFT)によって、各画素における連続した軸方向走査間の位相差角が、前記ドップラーシフトを決定するように算出される。
【0017】
位相が解明された流量測定の一制限は、逆正接関数の2πの二重性によって生じたエイリアシング現象である。この現象は、決定できる最大ドップラーシフトを、Δf=1/(2τ)に制限する。ここで、τは、連続した軸線間の時差である。かくして、検知可能な最大速度は、V=λ/(4nτcosα)となる。代わって、検知可能な最小流速は、FD−OCTシステムの位相ノイズによって決定される。この理論付けにおいて、実際の流速(式1参照)を決定するために、前記プローブビームと流れ方向との間の相対角度αを知ることが求められる。
【0018】
上記の問題を解決するために、発明者達は、複数の面の走査を利用して上記相対角度を決定するための方法を考えている。本発明の方法を説明するために、二重円形走査パターン(DCSP)に基づいた模範的な微分が、用いられる。ここでも、本発明の方法を実行するために、他の走査パターンも、同様に、適切に利用され得るということが、一部の当業者に認識されるだろう。
【0019】
まず図1aには、網膜の円形パターンを走査するOCTサンプリングビームの図が、表示されている。この円形走査では、プローブビームは、走査の間、円錐形体上を移動している。この円錐形の頂点は、目中の節点である。図1bは、この走査円錐形体が交差した網膜構造を示す、模範的なOCTイメージである。図1bで、横軸は、0゜乃至360゜の角度分布θを示しており、縦軸Dは、走査円錐形体からの深さ情報を示している。周波数が0の位置が、サンプルと基準アームとの間の対応した通路長と等価であり、D=0として規定されている。かくして、図1bに示されているイメージは、周囲を取り除かれ、且つ、矩形の皮膚に平らに置かれた視神経円板のスライスであると考えられ得る。
【0020】
図2には、円形走査パターンの3次元ダイヤグラムを示している。このパターンでは、網膜は、半径rとrとにおいて、プローブビームによって、円状に走査されている。これら半径の小さな差Δr=r−rは、これら走査円間の血管(VE)が、リニアー形状に近似されるように、選択されている。図2に示された座標において、前記2つの走査円錐体上の血管(VE)の2つの位置は、それぞれ、座標P(r、θ、z)とP(r、θ、z)とである。従って、この血管のベクトルは、rb(ベクトル)(Δx=rcosθ−rcosθ、Δy=rsinθ−rsinθ、Δz=z−z)のように座標によって表され得る。OCTイメージでは、前記網膜の構造は、図1bに表されているように、(θ,D)によって規定された座標系に合わされている。前記血管VEは、2つの異なる半径に対応する2つのOCTイメージ間に、相対的位置(θ、D)と(θ、D)とを有している。図2に従えば、Δzの値は、前記血管Dの座標間の差ΔD=D−Dを、Δzに以下のように関連付けることによって、前記イメージから推定される。
【数1】
【0021】
ここで、図2に示されているように、hが前記節点から網膜までの距離であり、δが前記走査ビームと回転軸NOとの間の角度である。上記の式2によって、2つの走査円形体に交差されている前記網膜血管のベクトルが決定され得る。
【0022】
走査の間、前記プローブビームBNは、走査円錐形上にある。前記節点Nは、(0,0,h+z)の座標を有する。ここで、zは、前記網膜とXY面(図2参照)との間の距離である。前記プローブビームが角度θに走査する時、半径rにおけるOCT走査のために、前記網膜の走査点Bは、座標(rcosθ,rsinθ,−h)を有するだろう。かくして、前記走査ビームBNのベクトルは、s(ベクトル)(cosθ,rsinθ,−h)である。ベクトルsと(ベクトル)rとの値が決定されたので、OCTプローブビームと血流との間の角度aを推定するために、以下のようにベクトル解析を与えることができる。
【数2】
【0023】
ここで、Rは、ベクトルrの長さであり、また、Rは、ベクトルsの長さである。前記2つの走査円形体間の半径の差が小さいので、式(3)の半径rは、r=(r+r)/2と近似されることができる。前記走査ビームと血管との間の角度が決定されると、実際の流速は、体積流量算出のための測定されたドップラー信号を用いて、決定されることができる。
【0024】
心周期を考慮に入れると、血流の速度は、以下のように表される。
【0025】
V(x,z,t)=A(x,z)P(t) (4)
ここで、A(x,z)は、図3に示されているように、血管に直交した前記断面P内での心周期のピークモーメントでの血流速度分布である。P(t)は、ピークで1に標準化した、心周期全体にわたっての流速の変化を表している。式4における速度式を用いて、体積流量Fは、次のように算出され得る。
【数3】
【0026】
ここで、Tは、パルスの周期である。
【0027】
血管内の実際の体積流量を決定するために、血管(血流)方向と直交した面P内で積分が行われなければならない。しかし、実際は、血管に交差しているサンプリングされたドップラーFD−OCT面S図3参照)は、ほとんどの場合、面Pと異なり、そうでなければ、ドップラー信号を得られない。OCT面So内の領域の寸法σ=rΔθΔDと、面P内の領域の寸法σ=ΔxΔzとの間の関係は、σ=σ|cosβ|である。ここで、βは、面PとSとの間の角度である。この角度βが決定され得る場合、網膜の血流Fは、次のように算出され得る。
【数4】
【0028】
ここで、kは、パルス係数である。角度βの導入によって、血流に対する積分が、前記サンプルリングされたドップラーFD−OCTイメージ内の血管領域S内で、直接になされ得る。ベクトル解析に従えば、2つの面間の角度は、これら面の各々に直交した2つのベクトル間の角度と同じである。Pに関しては、これに直交したベクトルが、流れベクトルrである。図3に示されているように、FD−OCT面Soは、走査円錐形上にある。この面Soに直交した単位ベクトルrは、プローブビームNBと回転軸NOとによって決定された面にあり、且つ、NBに対して直交している。前記単位ベクトルrは、(cosδcosθ,cosδsinθ,sinδ)と推定され得る。ここで、δは、図3におけるNBとNOとの間の角度である。r(ベクトル)とr(ベクトル)とを用いれば、前記角度βは、次のように算出され得る。
【数5】
【0029】
前記2つの面のOCTスキャンから、上記のパラメータと、これらパラメータの値を決定するための模範的なアルゴリズムとが与えられると、当業者は、以下の模範的な実施形態によって更に説明されているように、血流測定に基づいたドップラーOCTの種々の方法とシステムとを実行するための技術を所有するだろう。
【0030】
[模範的な実施形態]
上記の理論的な議論は、本発明の種々の実施形態を案出するための枠組みを概説している。一般に、本発明の実施形態は、ドップラー・コヒーレンス・トモグラフィによって血流を測定するための効率的で有効なアプローチを提供する。本発明の技術に従って複数のOCT走査を採用し、これら走査を解析することによって、早く、精度の良い、非侵襲性の血流測定に到達するために必要なパラメータを得ることができる。
【0031】
好ましい一実施形態では、二重の面の走査技術が、わずかに変位した2つの面でドップラー信号を得るように採用されている。図9は、この実施形態のフローチャート表示である。
【0032】
図9に関しては、二重円形走査パターン(図4a)のような二重面走査パターンが、対象物内の所望の領域を走査するように使用されている。フーリエ・ドメイン光コヒーレンス・トモグラフィ機構において、これら走査からの干渉信号が、これら信号の振幅と位相とについての情報を与えるために、高速のフーリエ変換によって処理される。そして、フーリエ変換されたスペクトルの振幅は、走査された領域の生理学的構造のOCTイメージを構築するように、使用される。位相の情報は、走査でのドップラーシフト信号を得るために用いられる。ドップラーシフトイメージを得る模範的な方法は、一定の間隔(例えば、軸走査ごと)だけ離間された複数の軸走査の位相差を比較することである。図6は、ドップラーシフト信号を表した模範的なイメージを示している。ドップラーシフトイメージから、血管を特定し、これら血管(これらのイメージに見られるこれら血管は、実際は、走査面に交差した血管の断面である)の直径の見積もりに達する。
【0033】
かくして、2つの平行した走査面を表している2つのドップラーシフトイメージを用いて、座標を前記血管に割り当てることができる。このように、各血管が、各走査面に対応する2組の座標を有するだろう。これら2組の座標の各々は、2つの走査面間の血管の一部の端点を定めている。従って、これら2組の座標は、座標でのドップラーシフトのサインと一緒に、この血管に対するベクトルと、この血管中の流れ方向とを規定している。
【0034】
この際、体積運動及び/もしくは組織運動(例えば、眼球走査中での眼球運動)に対する修正が、任意で適用され得る。また、公知のいかなる修正アルゴリズムも、適切に適用され得る。
【0035】
血管に対するベクトルが決定されると、前記走査ビームと血管との間の入射の角(ドップラー角)が、入射走査ビームのベクトルと血管のベクトルとの間の角度から、容易に算出されることができる。そして、血管に対するドップラー角が分かると、この血管を通る実際の血流量が、決定される。
【0036】
血液の体積流量(心周期全体にわたって平均化した単位時間当りの血流量)に達するために、式(6)で説明されたようなパルス係数を、任意で算出することができる。この分野で知られている、液体の流れを積分する他のアルゴリズムもまた、適切に使用され得る。
【0037】
最後に、サンプリング密度の修正係数もまた、体積流量に、任意で適用され得る。ここでは、このサンプリング密度は、連続した軸走査間のステップ・サイズに関係する。前記軸走査の密度が高すぎれば、この走査は、完了するのに非常に長い時間がかかる。一方で、密度が低ければ、2つの連続した走査を比較することによって算出されたドップラーシフトは、精度が良くないかもしれない。かくして、精度と速度との間のバランスを得るように、努力しなければならない。実質的な精度のロスが無く、より速い走査を可能にするために、本発明の発明者達は、比較的低いサンプリング密度によるエラーに対する修正の方法を発明している。模範的な実施形態では、(図5に示されているように)流量対サンプリング・ステップ・サイズの標準曲線が、はじめに構築される。そして、修正係数が、この曲線から推定され、体積流量に適用される。
【0038】
従って、一態様では、本発明は、ドップラー・フーリエ・ドメイン光コヒーレンス・トモグラフィを用いた、対象物の所定の領域内での、体内血流を測定するための方法を提供する。本発明の実施形態にかかる方法は、一般的に、(1)OCTデータを得るために少なくとも2つの面を有する走査パターンを用いて、対象物内の領域を走査する工程と、(2)各血管に対するドップラー角とドップラーシフトとを決定するように、得たOCTデータを解析する工程と、(3)このドップラーシフトとドップラー角とを用いて、血液の体積流量を決定する工程とを有している。
【0039】
前記走査パターンは、特に制限されない。走査パターンは、組織/臓器の位置種類と、他の要因とに応じて選択される、ということが、当業者に理解されるだろう。例えば、円形のパターンが、特に、網膜血流の走査に適している。また、リニア形のパターンが、リニア形の血流のみが考慮されれば良い走査領域(例えば、指先)に適し得る。ドップラー・フーリエ光コヒーレンス・トモグラフィを利用可能な他の領域、例えば、消化管、皮膚もまた、本発明の方法によって適切に測定され得る。
【0040】
一般に、走査パターンは、ほぼ平行な少なくとも2つの面を有している。ここで使用されているような「ほぼ」という用語は、平行からの外れが、走査マシンの所望の測定値の正確さとの相対誤差内であることを意味している。例えば、図4bは、2つの平行面が同じ血管に交差した、二重平行面走査パターンを示している(左側)。ドップラー角と血管のベクトルとは、本発明の方法を用いて、ドップラー・イメージから、容易に推定されることができる(右側)。図1aないし図3は、節点を通って回転された1回の走査ビームによって描かれた二重円形走査パターンを示している。結果として生じた走査面は、円錐形状であり、従って、これら2つの面は完全な平行ではない。しかしながら、前記2つの面間の距離が、前記節点と網膜との間の距離と比較してかなり小さいとき、正確な平行から外れる程度もまた、小さい。代表的な二重円形網膜の走査において、2つの面間の距離は、好ましくは約0.2mmであり、節点と網膜との距離は、好ましくは約17mmである。これは、約0.2/17(即ち約1%)の比である。かくして、すべての実用上の目的のために、このように少しの外れも、本発明の趣旨内の「平行」の意味の範囲内である。
【0041】
いくつかの実施形態において、所望の領域を囲む(circumscribing)面を持つ走査パターンが、好ましい。このような走査パターンは、この領域に出入りする全血管が、一回の走査の内で明らかにされる、という効果を有するだろう。また、選択された走査パターンは、一心周期内で完了され得る事が望ましい。好ましくは、この走査パターンは、4Hzもしくはそれ以上の走査フレームレートをもたらすだろう。
【0042】
前記両走査面間の距離は、これら2つの面間の血管の部分が直線によって近似され得るように、好ましくは、小さい。この距離は、好ましくは、約100μm乃至300μmであり、より好ましくは、300μmより小さい。
【0043】
更なるいくつかの他の実施形態では、サンプリング密度アーチテクトと体積運動アーチテクトとを修正するための工程も、含まれ得る。種々の実施形態は、コンピュータによって、ほとんど自動化され得る。模範的な自動化は、図9に従って方法の工程を実行するソフトウェアの指示に基づくコンピュータによって為され得る。このようなソフトウェアの開発は、本分野の技術の範囲内である。模範的なインプリメンテーションは、プログラミング言語、例えばC/C++、JAVA(登録商標)を用いて、もしくは、この分野で一般的に知られている他のソフトウェア開発ツールを用いて果たされ得る。
【0044】
本発明の方法は、循環系を有するいかなる多細胞生物にも、一般的に有効である。従って、ここで使用されているような「対象物」という用語は、循環系を有し、光コヒーレンス走査に敏感に反応するすべての多細胞生物を含んでいる。代表的な対象物は、哺乳動物、鳥類、また、動的に活動する循環系に基づいた生理機能を有する他の生物を含み得る。
【0045】
他の態様では、本発明は、病的症状の徴候がある対象物の、局部的な血流を測定及び/もしくは監視するためのシステムを提供する。本発明の実施形態に係るシステムは、一般的に、光コヒーレンス・トモグラフィ装置と、前述した本発明の方法を実行するように構成された処理装置とを有している。
【0046】
代表的な疾患及び診断的適用は、眼の疾患(例えば、緑内障)、心臓病(例えば、静脈閉塞)、歯の疾患、もしくは、消化管の疾患が含まれ得るが、これらに限られない。
【0047】
図10は、本発明の実施形態に係る模範的なシステムを示している。図10を参照すると、光コヒーレンス・トモグラフィ装置は、一般に、光ファイバのような光案内器具によって案内されるように、低コヒーレンス光源10を有している。光源からの光は、ビーム・スプリッター20によって、この器具の参照アーム30を形成している参照ビームと、この器具のサンプル・アーム40を形成しているサンプル・ビームとに分けられる。干渉信号は、走査カメラ50によって検出される。そして、この検出された信号は、処理装置60によって処理され、この結果が、ディスプレイ70上で、使用者に示される。
【0048】
一実施形態では、前記処理装置は、高速フーリエ変換を含むデジタル信号処理と、上記の本発明の方法とを実行するように、構成されている。
【0049】
前記処理装置は、多目的コンピュータ、もしくは、特注設計の電子機器を含んだ、この分野で一般に知られている適切なコンピュータシステムであれば、いかなるものでも良いが、これらに限定されない。本発明の方法は、ハードウェアにハードコードされ得、もしくは、ハードドライブ、読み出し専用メモリ、CD、DVDもしくは、この分野で一般に知られている他のコンピュータ可読媒体のようなコンピュータ可読媒体にコード化されたソフトウェアの形態で提供され得る。
【0050】
本発明を概略的に説明してきたが、所定の特殊な例を参照することによって、更なる理解が得られる。これらの例は、説明のみの目的でここに与えられたのであり、他に指定のない限り、限定を意図したものではない。
【実施例】
【0051】
[材料と方法]
[模範的なセットアップ]
この実験で使用されている分光計を基にしたドップラーFD−DOCTシステムは、841nmの中心波長と49nmのバンド幅との超発光ダイオードを有している。測定された軸方向分解能(axial resolution)は、空中で7.5μmであった。組織の屈折率を考慮すると、この分解能は、組織内では、5.6μmになるだろう。横方向分解能(transverse resolution)は、目の光回折によって制限されるように、約20μmであった。光源からの光が、標準マイケルソン干渉計の参照アームに入るソース・パワーの80%と、サンプル・アームに入るソース・パワーの20%を有する80/20のカップラーを通して伝わる。前記サンプル・アームは、カスタムOCT走査光学系に適合された標準のスリットランプ生体顕微鏡のベースを有している。角膜に入射するパワーは、500μWであり、これは、拡大ビーム露光に対する米国規格協会の制限を十分下回っている。ファイバカップラーとコンポジット信号との参照光及びサンプル・アーム光との干渉は、カスタム分光計によって検出される。この分光計は、1024画素のライン走査カメラを有している。このカメラからのデータが、カメラリンクインターフェイスを介してハイエンドPCに送られる。測定されたSN比は、ゼロ経路長差の場所から200μmのところで、107dBであった。2つの連続したAライン間の時間間隔τは、56μs(50μsの積分時間と、6μsのデータ送信時間とを有する)である。決定可能な最大ドップラーシフトは、位相接続(phase unwrapping)を用いないで8.9Khzであり、2.8mm/sの、眼球内の最大速度成分(n=1.33)を与えた。測定された決定可能な最小速度は、位相ノイズのために16.3μm/sであった。
【0052】
[イメージのサンプリングと処理]
FD―OCTプローブビームは、図4aに示されているように、半径r及びrで、視神経頭の周りの網膜に、繰り返し走査された。各円でサンプリングされた3000のAラインがあった。Aラインの3つごとの位相差が、ドップラー周波数シフトを得るために算出された。この結果、各フレームが、1000の垂直なラインから構成されていた。ドップラーFD−OCTイメージングのためのフレーム速度は、リアルタイム表示に対して、毎秒4.2フレームであった。約2秒の全記録時間に対しての各流量測定のためにサンプリングされた、4対(計8つ)のドップラー・FD−OCTイメージがあった。
【0053】
前記サンプリングされたドップラーFD−OCTイメージは、データ処理のために保存された。半径rでサンプリングされたドップラーイメージは、4つあった。その他の4つのイメージは、半径rでサンプリングされた。半径rでサンプリングされたこれら4つのドップラーイメージでの、1つの網膜血管の座標が、(θ,D)として平均化された。これに対して、他の4つのドップラーイメージでの同様の血管の座標が、半径rでサンプリングされ、(θ,D)として平均化された。平均座標(θ,D)と(θ,D)とは、式(3)、(7)とに基づいて角αとβとを算出するために用いられる。前記節点Nから網膜面までの距離hは、18mmとなるように選択された。前記8つのドップラーイメージ中の、1つの血管の速度プロファイルが、算出された。これら8つの流量プロファイルでのピーク速度が、最大値に規格化され、流量パルスを示すように時間に対して、プロットされた。この曲線は、式(6)で、パルスタームkとして、積分された。解析された8つの流量プロファイルの、最大流速度プロファイルは、網膜血流(F)を算出するように、Aとして、式(6)に導入された。いくつかの小静脈に対しては、ドップラー流量信号が、心臓拡張期(心周期のうち最も血流量の少ない時)に正確に読み取るためには、小さすぎた。このため、互いに隣接する小静脈のパルス係数が、流量算出のために、代わりに使用された。
【0054】
[サンプリング密度の影響]
ドップラーOCTでは、連続した軸方向走査間の位相差が、ドップラー周波数シフトを決定するように算出される。好ましくは、この位相差は、同じ位置で比較されるべきである。しかし、網膜OCTシステムに対しては、プローブビームが網膜を横切って連続して走査し、連続した軸方向走査相互間にわずかな変位が生じる。サンプリングの位置が(ビームの直径に対して)相互に十分に近くなかったら、位相の非相関が、測定されるドップラーシフトを減じるだろう[13]。流量測定でのサンプリング・ステップの影響を評価するために、発明者達は、二重走査面方法(dual scanning plane method)を用いて、異なるサンプリング・ステップでの血管V図4a参照)に対する体積流量を測定した[15]。走査長が、1mmであった。各サンプリング・ステップでの流量が、3回測定され、平均化された。この結果は、図5に示されており、この図で、横軸がサンプリング・ステップであり、縦軸が測定された血液の体積流量を表している。測定された血流量がサンプリング・ステップの増加に伴って減少しているのが判る。この減少は、約1.4μmのサンプリング・ステップのところから、著しく生じている。従って、隣接した軸方向走査間の位相の非相関の影響を防ぐためには、前記サンプリング・ステップは、1.4μmより短くする必要がある。このFDドップラーOCTシステムでは、発明者達は、4.2Hzでのリアルタイム表示のために、3000の軸線のサンプリング密度を選択した。1.9mmの走査半径(円の長さ11.93mm)では、サンプリング・ステップは、約4.0μmであった。図5からは、4.0μmステップと0.7μmステップとでそれぞれ測定された流量の間の比が、0.683であることが分かる。隣接する軸線間の前記位相の非相関は、主に、網膜上のビーム・スポットの寸法に関係し[13]、これがシステムの係数であるため、発明者達は、固定のサンプリング・ステップに対して測定された流量の結果を訂正するように、図5の曲線を利用することができる。
【0055】
[結果]
体内の網膜血流測定は、第1の対象物の右目に対して実施された。グリーン・クロスの固視標が、走査位置を導き、そして、対象物の目の動きを減じるために、用いられた。図6は、r=1.7mm、r=1.9mmの円形走査プロトコルを用いた発明者達の実験で記録されたドップラーFD−OCTイメージを示している。これらイメージで見ることができる主な血管内の血流は、視神経頭の周りに分布していた。
【0056】
動脈は、比較的流速が速いため、極端な位相接続と信号のフェージングを引き起こすので、発明者達は、動脈よりも静脈分枝の網膜血流を測定することを選んだ。視神経頭の周りに分布した他の静脈の中からの静脈分枝の特定は、プローブビームと血管との間で算出された角度と、記録されたドップラー周波数シフトとに基づいて行われた。式(1)に従えば、同じ血管中で種々の方向に生じる流れが、後方散乱ビームに種々の周波数シフトを生じさせるだろう。この流れがプローブの方向から離れるように動く時、cosα>0であり、散乱された光は、負の周波数シフトを有するだろう。これに対して、流れがプローブビームの方向を向いている時、cosα<0であり、散乱された光は、正の周波数シフトを有するだろう。かくして、算出された角度と周波数シフトの正負の符号とから、血管中の流れの方向が決定され得る。動脈は、神経頭から網膜周辺への流れ方向を有し、静脈は、周囲にある網膜から神経頭への流れ方向を有するので、流れ方向が分かると、視神経円板の周りに分布している動脈から静脈を区別する手助けとなり得る。
【0057】
ドップラー情報は、人間の網膜の動きとOCTシステムの走査ノイズとからのモーション・アーチファクトを有している。バックグラウンドの動きにより生じるドップラーノイズが、このシステムの位相不安定性より大きいので、これが修正されなければ、測定結果に影響を及ぼすだろう。ドップラーイメージ(図6参照)の横方向で、ドップラー信号が、異なる時間でそれぞれサンプリングされる。ある部分は暗く、またある部品は明るい。従って、種々の水平な位置でのバックグラウンドの動きの信号は、相互関係を示さない。動きの影響が考慮され、局部領域で修正される。
【0058】
図6の白窓内に拡大された)血管Vを検討して、各軸線に対して、内側の網膜の境界と血管の境界との間のドップラー信号が、平均化された。この値が、局部的な組織運動によって生じるドップラー信号である。この運動値は、血流によって引き起こされた実際の信号を得るために、全軸線でのドップラー信号から減じられるであろう。図7は、バックグラウンドの除去の前後での1つの軸線のドップラー信号を示している。ドップラー信号の位置は、図6で、破線で表されている。平均の組織の運動速度は、−0.89mm/sである。図7で、実線の曲線が、本来の信号を示している。鎖線の曲線は、バックグラウンドを除去した後のドップラー信号を示している。運動信号を減じた後は、バックグラウンドの速度は0に近づいたことが判る。そして、血管の境界をサーチする必要なく体積流量を得るために、血管の領域付近で、積分が行われ得る。
【0059】
第1の血管Vは、図6に示されているように、中心で正の位相接続を有する負の周波数シフトを有していた。位相接続の後、流量プロファイルA(θ、D)が得られた。2つの連続したドップラーOCTイメージ内の測定された位置は、(θ=37.60,D=307.1μm)と(θ=37.80,D=255.3μm)とであった。前記血管のベクトルは、P(−154,−128,−71.34)として算出された。式(3)からは、前記走査ビームと血管との間の角度が、cosα=0.24、α=76.10と算出された。この信号は、負の周波数シフトを有し、cosα>0であるので、Vでの流れ方向は、PからPに動く必要がある。我々の走査パターンでは、Pが外側の円錐形上にあるのに対し、Pは、神経頭に近い内側の円錐形上にある。かくして、この流れは、視神経円板の方に向き、血管Vは、静脈である。連続した走査によって、ドップラー信号の8つのフレームが記録された。図6に示されている前記血管Vの中心部での流速が、解析された。図8は、血管Vの規格化された流速をプロットしている。パルス係数は、図8に示された曲線に基づいて、k=0.695と算出された。cosαの値を用いて算出されたVのピークの流速は、17.0mm/sであった。式(7)から、角度βは、cosβ=−0.97と算出された。これらのパラメータを用いて、血管V中の体積流量が、3.01μl/minと算出された。不十分なサンプリング密度(図5)による位相の非相関の影響を考慮すると、実際の体積流量は、4.41μl/minであった。
【0060】
視神経頭の周りの主な血管の各々の流れ方向が、同様にして解析され、そして、主な小静脈が特定され、図6に示されているようにV乃至Vとラベル付けされた。各小静脈の血流量が算出され、表1に示された。これら流量の和は、網膜からの全静脈の流量を決定し、これは53.87μl/minであった。プローブビームと血管との間での、測定された走査角は、同様に、表1に示されている。
【0061】
この実験では、7つの測定が実施され、測定ごとに、全静脈の流量が算出された。全流量の平均は、52.90μl/minであった。標準偏差が2.75μl/minであり、このことは、平均的な流量の約5.2%である。各小静脈に対する平均的な流量と標準偏差とは、表2に示されている。1つの血管における変化の流量係数は、全流量より大きいことが判る。これは、全網膜血流が安定傾向にあるが、網膜内の流量分布が、不規則的に変動することを意味している。この結果は、高速サンプリングDCSP方法が、サンプリングの時間が長くかかるために各網膜血管の個々の連続したイメージングによる検出が難しい網膜内の流量分布の力学的特性を、測定するための効果を有していることを示している。
【0062】
この方法の信頼性をテストするために、もう1つの対象物が測定された。この対象物の左目は、6回走査された。各走査は、8つのドップラーFD−OCTフレームが得られる2秒間のうちに終了した。走査半径は、r=1.8mmとr=2.0mmとであった。同様のデータ解析によって、ドップラーイメージから特定された5つの主な小静脈があった。6組のサンプルデータの解析によると、平均流量が、45.23μl/minであった。全流量の標準偏差は、3.18μl/minであり、これは、第2の対象物の平均流量の7.0%であった。両対象物の平均流量は、7.67μl/min差の、49.07μl/minであった。
【0063】
[議論]
この例は、速いデータ収集時間が利用される場合に、全網膜血液流量が決定され得る、ということを示している。また、動的な網膜流量分布が、検出され得る。この測定は、特定の処理が全流量を正常な水準に戻すならば、例外的な網膜血液流量を検出し、且つ、決定するために、用いられ得る。発明者達は、中心の網膜静脈の主な分枝を、これらの寸法と速度とがドップラーFD−OCTの動的範囲内にあるので、対象にした。Rivaと同僚達とによって示されているように、全ての静脈の流量の体積が、網膜中の動脈の流量の体積と一致するので[18]、全ての静脈の流量の測定だけで、全網膜血流量を測るのに十分である。測定された平均全静脈流量が、2つの対象物に関しては、約52.9μl/min及び45.23μl/minであり、この流量は、レーザードップラー速度測定[18]によって報告された34±6.3μl/minの全静脈流量と同等であった。
【0064】
この特定の実施形態には、いくつかの制限があった。網膜血管をとらえるために必要な高いサンプリング密度が掛けられるので、多数の軸走査が、各円で必要となる。このことは、ドップラーFD−OCTのフレームレートを減じる。4.2Hzのフレームレートは、かろうじて、心周期の間の流速における変化(図8)を探知するのに足りる速さである。この理論に縛られたくはないが、発明者達は、比較的高いフレームレートが測定の精度を向上させると信じている。第2に、4.0μmの横方向のサンプリング間隔(3000の軸方向のサンプリングラインに対して1.9mmの走査直径)は、隣接する軸線相互の位相の非相関を防ぐのには十分ではない。測定された修正係数は、体積網膜流量を算出するために用いられなければならなかった。同時に、65μmより小さい直径の小静脈は、横方向のサンプリング密度が少ないために考慮に入れられなかった。さらに、もっと細かいサンプリング間隔が、位相の非相関の影響を取り除き、血流量の測定の精度を高めることが可能であった。第3に、ドップラー速度は、心臓収縮期の間にいくつかの動脈において起きるOCT信号のフェージングのために、読み取ることができなかった。発明者達は、これは、速度に係る干渉フリンジ流出(velocity-related interferometric fringe washout)、即ち、反射物が50μsの分光計の積分時間内に4分の1の波長だけ移動する場合、干渉信号のピークと谷とが平均的な線に落ち着くこと、によるものだと信じている。第4に、高い流速で、ドップラー位相シフトは、「位相接続」を生じさせるように、πを超えることができる。発明者達の位相接続アルゴリズムは、位相接続の1ピリオドまで解析することができるのみである。1ピリオド以上の位相接続を生じさせるように高い流量は、非常に複雑なために、コンピュータソフトウェアが信頼性良く解析できない。かくして、高度なピリオドの位相接続を避けることが、データ処理に対して望ましい。最後に、データ・サンプリング中の目の動きは、網膜血管の位置及び角度の測定の精度に、悪影響を与える。これは、わずかな位置の変位が流量測定に大きな影響を与え得る場合に、OCTビームにほぼ直交する血管にとって特に重大となる。
【0065】
上記制限のすべてが、イメージングの速度が速くなることによって、減じられ得る。前記分光計の有効な積分時間を減じることにより、流速の検出可能な範囲を広くすることができる。より速い速度が、時間のより細かいサンプリング(各心周期内でのより多くの時間ポイントがサンプリングされる)と、空間のより細かいサンプリング(各血管内でより多くのポイントがサンプリングされる)とに対して、可能となる。FD−OCTシステムの核となるライン・カメラの速度の連続した改良によって、これら制限は、全時間にわたって重要ではなくなるだろうということが、期待されている。
【0066】
発明者達の準備作業で、網膜血流量測定は、各網膜血管を個々に連続してイメージングすることによって実施された。しかしながら、データ・サンプリングに時間がかかり、全網膜血流の臨床測定は不可能であった。本発明では、高速データ・サンプリング(2秒以内)が、全網膜血管をとらえるDCSP方法によって、有効となった。
【0067】
本発明は、好ましくは、網膜血流を測定する既存の技術[19−24]に類似している。蛍光眼底血管造影法[21,22]は、網膜の血行動態の可視化を可能とするが、体積血流量を測定しない。パルス接眼レンズ血流量計(POBF、Paradigm Inc.)[19]が、眼圧と目の体積とに関係する強膜硬性を推量する。コヒーレンス流量測定技術[21]が、マイクロメータで眼底の動きを決定するために、角膜と網膜との両方によって部分的に反射されたレーザ光によって形成された干渉パターンを検出する。この動きは、脈絡膜血流の代用物として使用される。キャノン(登録商標)(Canon U.S.A Inc.)とハイデルベルク(登録商標)(Heidelberg engineering, GMBH, Heidelberg Germany)とによる2つの形式のレーザ・ドップラー流量計(LDF)が、売り出されている。キャノンの流量計(CF)は、絶対単位で体積流量を測定するために開発された[23,24]。しかしながら、この精度は、血管を横切る速度分布と精密な血管の寸法との情報の不足により、制限される。流速体積計算は、最大ドップラーシフトと真の平均血流速度との間の仮の関係を必要とする。更に、CFは、各血管を横切る走査の慎重な位置づけを必要とする。このため、全網膜血流量を測定することは、面倒で困難なプロセスである。ハイデルベルクの網膜流量計(HRT)[25]は、同様に、LDFの原理に基づいている。HRTは、ドップラー効果によって血流から誘導されたビート信号を検出するように、眼底を繰り返し走査するプローブビームを利用する。このHRTは、小さい領域全体にわたって、網膜毛細血管床の流量を測定する。従って、目の全体の健康状態を反映する全網膜血流量の測定は、不可能である。更に、血流量は任意の単位で測定され、この結果は、流れに無関係な組織の反射特性によって、悪影響を受け得る[26]。既存の方法のほとんどは、仮定パラメータを使用するために、任意の単位で網膜血流量を測定する。これらパラメータは、測定される目、人間、領域ごとに異なり得る。かくして、任意の測定単位を用いて動的な比較を行うのは難しい。絶対的な物理単位を用いた全網膜血流量の直接測定は、網膜において異常に高まったかん流、あるいは、減じられたかん流を検出するために望ましい。
【0068】
本発明の実施形態に係る方法は、流れベクトルを引き出すためのプローブビームに対する血管の角度を測定するために、使用され得る。これらは、解剖学もしくは流量パラメータにおける想定に頼ることなく、血管の断面の流れプロファイルを積分することによって、絶対的な流量測定を生じさせる。流量パルスは、心周期全体にわたって平均化された。報告された血流量の測定のための技術のほとんどでは、データ・サンプリングは、多くの時間を要する。模範的なDCSPの実施形態では、2秒以内にサンプリングされるデータを用いて、全網膜血流量が、算出され得る。これによって、診療所の撮影者と対象物との座っている時間が、大いに減じられるだろう。また、動的な網膜血流量分布が、検出され得る。これは、高速走査パターンを用いて、全眼底流量を高速に得る方法の、最初の説明であるだろう。体積流量単位で測定された種々の結果は、異なる対象物のために、比較され得る。
【0069】
全網膜血流量の測定は、多くの眼疾患の治療のために重要である。米国における失明の主な原因[27−29]、例えば、糖尿病性網膜症や加齢性黄斑変性症が、血管異常に関係している。中心網膜静脈閉塞と分枝網膜静脈閉塞とは、同様に、網膜血流量の減少を特徴とする網膜疾患である。緑内障は、失明のもう1つの主な原因であり、主として高眼圧に関係している。しかし、網膜及び視神経中の血行不良も、同様に、緑内障を進行させる危険因子と考えられている[30−34]。ドップラーOCTを用いた全血流量の正確な測定は、病態生理学の理解を促し、網膜血流量を改善する治療を発展させ、最終的に、網膜及び視神経疾患の診断を向上させるだろう。
【0070】
[結論]
要約すると、ドップラー・フーリエ・ドメインOCTを用いた網膜血流の生体内の測定は、この例により、示されている。二重円形走査パターンは、真の流速が測定されるように、血流と走査ビームとの間の角度を決定するために、開発された。流れ方向に基づいて、小静脈が、動脈から区別され得る。視神経頭の周りにある各小静脈の体積流量が、サンプリングされた心周期で積分された。2つの対象物で測定された血流量は、7.67μl/min差で、52.9μl/min及び45.23μl/minであった。本発明は、速くて、再現性があり、血管の寸法もしくは流れプロファイルのいかなる仮定にも依存しない、全網膜血流を測定する方法を提供する。
【0071】
本発明は、特定の模範的な実施形態及び例の観点で説明されているが、個々に開示されている実施形態は、説明に役立たせる目的のみを有し、添付の請求項に示されている本発明の精神と範囲とから逸れることなく、種々の修正及び変更が、当業者によってなされ得ることが、理解されるだろう。
【0072】
第1の対象物の網膜静脈に対する血管の直径、走査角、並びに、体積流量
【表1】
【0073】
すべての測定された静脈に対する再現性
【表2】
【0074】
[参考]
下記の参考文献が、ここに引用されている。各参考文献の開示は、すべて信頼されており、ここでは参考によって、取り入れられている。
【0075】
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