(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記制御部は、前記ファンの回転を開始する時と前記電動機の回転を開始する時が同時である、および/または、前記ファンの回転を終了する時と前記電動機の回転を終了する時が同時であるように制御することを特徴とする請求項1に記載のレンジフード。
前記制御部は、前記ファンの回転を開始する時と前記電動機の回転を開始する時が同時であるように制御し、および、前記ファンの回転終了後所定時間経過後に前記電動機の回転を終了するように制御することを特徴とする請求項2に記載のレンジフード。
前記制御部は、前記ファンの回転を開始する時と前記電動機の回転を開始する時が異なる時点である、および、前記ファンの回転を終了する時と前記電動機の回転を終了する時が異なる時点であるように制御することを特徴とする請求項1に記載のレンジフード。
前記制御部は、前記ファンが前記ファンの回転数が最も小さい段階でのみ回転した後回転が終了した場合、前記ファンの回転が終了した時に前記電動機を回転させることを特徴とする請求項6に記載のレンジフード。
【背景技術】
【0002】
台所などに設置されるレンジフードは、レンジフードの下方で行われる調理によって発生する湯気や油煙等を、ファンによって発生させた空気の流れとともに吸入し、吸入した空気と共にその油煙等を屋外などへと排出するものである。しかし、油煙に含まれる油分をそのまま屋外などへ排出することは、環境上好ましくない上、空気の流路におけるレンジフードの下流に通常存在するファンやダクトなどの設備に油分を付着させ、洗浄等のメンテナンスに多大の労力/費用を必要とし、設備の劣化を促進させることとなる。
【0003】
そこで、レンジフードは、高い捕集効率を有するフィルタを備えて、油煙に含まれる油分の多くを捕獲して回収することが必要となるが、逆にそのことが、フィルタに付着した油分がフィルタを目詰まりさせ、通気抵抗の増大、捕集効率の低下を助長し、換気不良の原因となり、ひいては使用者にフィルタの頻繁な洗浄や清掃を強いることとなり、多大な労力と時間を要することとなる。従って、従来から、フィルタの清掃性を向上させる工夫が数多くなされている。
【0004】
例えば、特許文献1に開示された技術では、調理時の油煙を捕集するフィルタと、フィルタの表面に接しながら移動するブラシ(汚れ拭き取り手段)を備えることにより、多量の洗浄水を使用することなくフィルタに付着した汚れを除去できるフィルタ洗浄機能付きレンジフードが開示されている。
【0005】
かかるレンジフードは、使用者自らフィルタを洗浄する手間は軽減されるものの、ブラシ、ブラシを駆動する電動機、洗浄水のタンクや噴霧ノズルなどが必要となり、レンジフード自体の構造が大規模複雑となり、コストも増大する。そもそも、このレンジフードは、フィルタでの油捕集効率を向上させる技術を提示してはいない。
【0006】
フィルタの目詰まりを防止し、掃除の手間を軽減できるだけではなく、フィルタによって油の回収率を上げる工夫として、特許文献2に開示された技術がある。本文献では、排気用の回転羽根の前側に排気ガス中の油を除去するための、羽根を有して略円盤形に形成した回転自在のフィルタを設け、フィルタを介して流れる排気ガスを排気用の回転羽根に導くと共に、排気ガス中の油を内面に付着させるための通路部を、フィルタから排気用の回転羽根にわたって設けたレンジフードが開示されている。
【0007】
かかるレンジフードも、特許文献1ほどの大規模複雑な構造は必要としないが、レンジフードを稼働させている間にフィルタに付着した油分を、稼働させていない間(レンジフードが停止中)に除去しようとするものである点において同じである。また、使用者自らフィルタを洗浄する手間は多少軽減されるものの、フィルタから排気用の回転羽根にわたって設けた通路部、即ち、フィルタの下流部分に多量の油分が飛散することとなり、使用者自らレンジフードを清掃する際に著しく手間がかかるフィルタより下流部分を洗浄する手間は軽減されているとは言えない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
そこで、本発明は、上記問題に鑑みてなされたものであり、本発明の目的とするところは、従来の油捕集効率を大きく上回りかつ圧力損失の小さいフィルタであって、目詰まりしにくいフィルタを備え、フィルタへの油分の付着・固着を少なくし、フィルタを清掃/洗浄する手間を軽減するレンジフードを提供することにある。
さらに、本発明は、フィルタを動作させることとなるが、その動作の動力源の音が使用者に与える影響を低減させるレンジフードを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明者は、上記課題を解決するために鋭意検討した結果、レンジフードのファンを稼働させながらフィルタを動かすことにより圧力損失が小さい状態で高い油捕集効率が得られることを見出すとともに、フィルタを動かす動力源の制御により、その動力源等から発生する音が使用者に与える影響を低減させることができることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0011】
上記課題を解決するために、空気の流れを発生させるファンと、その空気の流れの流路上であってそのファンより上流側に存在し、その空気の流れを通過させる孔を有するフィルタと、そのフィルタを回転させる電動機と、そのフィルタの周囲を囲む油分捕集部材と、そのファンとその電動機の回転を制御する制御部と、を備え、
その制御部は、そのファン
を回転させている時に少なくとも一時点でその電動機を回転させ、制御部は、ファンの回転数を変化させ、ファンの回転数に応じて電動機の回転数を変化させることを特徴とするレンジフードが提供される。
これによれば、ファンと同時にフィルタを回転させることにより、フィルタを回転させるための電動機が発生させる騒音やフィルタの回転による風切り音を、使用者が気にならない程度のものとすることができる。また、ファンの回転即ちレンジフードの稼働と、フィルタの回転の両方を少なくとも一時点で同時に行うことにより、フィルタへの油分の付着量が少なくなり、フィルタ表面での油分の固着化を防止することができる。また、これによれば、油分が多く付着する場合にはより強い遠心力を与えてフィルタから早く油分を飛ばしてフィルタの目詰まりを防止し、油分の付着量を低減させるとともに、レンジフードの回転速度が遅い時には必要以上にフィルタを高速で回転させることを防ぐことができる。
【0012】
さらに、その制御部は、そのファンの回転を開始する時とその電動機の回転を開始する時が同時である、および/または、そのファンの回転を終了する時とその電動機の回転を終了する時が同時であるように制御することを特徴としてもよい。
これによれば、フィルタを動かす動力源である電動機の回転とファンの回転との開始や終了を同時に行うことにより、使用者が電動機の騒音の発生が気にならないレンジフードを提供することができる。
【0013】
さらに、その制御部は、そのファンの回転を開始する時とその電動機の回転を開始する時が同時であるように制御し、および、そのファンの回転終了後所定時間経過後にその電動機の回転を終了するように制御することを特徴としてもよい。
これによれば、レンジフード運転終了後もしばらくフィルタを回転させることにより、フィルタに付着したままとなっている油分を飛ばして、フィルタを清潔な状態に維持することができ、その結果、フィルタへの油分の付着・固着を少なくし、フィルタを清掃/洗浄する手間を軽減するレンジフードを提供することができる。さらに、レンジフード運転終了後にフィルタに油分が付着したままだと、油分が固着してフィルタに目詰まりやアンバランスを発生させて、次回に運転を開始した時に、無駄な騒音を発生させることとなるが、かかる騒音を防止することができる。
【0014】
さらに、その制御部は、そのファンの回転を開始する時とその電動機の回転を開始する時が異なる時点である、および、そのファンの回転を終了する時とその電動機の回転を終了する時が異なる時点であるように制御することを特徴としてもよい。
これによれば、ファンとフィルタを独立して回転させることにより柔軟な制御が可能となる。
【0016】
さらに、その制御部は、そのファンとその電動機の回転数を段階的に変化させることを特徴としてもよい。
これによれば、強中弱のように使用者に分かりやすい回転数として制御できる。
【0017】
また、上記課題を解決するために、空気の流れを発生させるファンと、その空気の流れの流路上であってそのファンより上流側に存在し、その空気の流れを通過させる孔を有するフィルタと、そのフィルタを回転させる電動機と、そのフィルタの周囲を囲む油分捕集部材と、そのファンとその電動機の回転数を段階的に変化させることができる制御部と、を備え、その制御部は、そのファンの回転数が最も小さい段階においてその電動機を回転させ
ず、最も小さい段階以外の段階においてファンを回転させている時に少なくとも一時点でその電動機を回転させる、ことを特徴とするレンジフードが提供される。
これによれば、フィルタの回転に伴う音が目立つ場合には、フィルタを回転させないことにより、静穏なレンジフードを提供できる。
【0018】
さらに、その制御部は、そのファンがそのファンの回転数が最も小さい段階でのみ回転した後回転が終了した場合、そのファンの回転が終了した時にその電動機を回転させることを特徴としてもよい。
これによれば、レンジフードの運転終了後、例えば、使用者が調理台付近を離れた時に、直ぐにフィルタを回転させることにより付着した油分を飛ばすことができ、フィルタから早く油分を飛ばしてフィルタの目詰まりを防止し、油分の付着量を低減させるとともに、レンジフードから離れた使用者には騒音が気にならないレンジフードを提供することができる。
【0019】
さらに、その電動機の回転を制御するフィルタ回転制御スイッチを備えることを特徴としてもよい。
これによれば、使用者自ら柔軟なフィルタの回転を制御することができる。
【発明の効果】
【0020】
以上説明したように、本発明によれば、従来の油捕集効率を大きく上回りかつ圧力損失の小さいフィルタであって、目詰まりしにくいフィルタを備え、フィルタへの油分の付着・固着を少なくし、フィルタを清掃/洗浄する手間を軽減するレンジフードを提供することができる。
さらに、本発明によれば、フィルタの動作の動力源の音が使用者に与える影響を低減させるレンジフードを提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下では、図面を参照しながら、本発明に係る各実施例について説明する。
<第一実施例>
図1は、本発明に係る第一実施例におけるレンジフード1を示す。レンジフード1は、下方で行われる調理によって発生する湯気や油煙等を捕集するための、上方に凹状の内面パネル81を内面に有する薄型のフード部80を有する。フード部80は、そのほぼ中央に位置するフード開口部2付近で、排気ダクトDに接続された送風機ボックス82と連結される。送風機ボックス82は、内部にファンケーシング61を有し、ファンケーシング61は、内部にシロッコファンであり空気の流れを発生させるファン60を有する。ファン60の吸入口62は、フード部80のフード開口部2に位置するように配置される。従って、ファン60が稼働するとフード開口部2は負圧となり、内面パネル81の下方の空気はフード開口部2を通して吸入され、排気ダクトDを通して外部に排出される。即ち、フード開口部2は、ファン60が発生させた空気の流れの流路上であって、ファン60より上流側に位置する。
【0023】
フード開口部2には、内面パネル81との間に空気の流路となりうる隙間が生じないように取り付けられる取付板50と、空気の流れを通過させる孔を有する円盤状のフィルタ10と、フィルタ10の円盤の中心に回転軸を連結され、フィルタ10を回転させる電動機20と、電動機20を取付板50に取り付けるための電動機取付具40と、取付板50に取り付けられ、フィルタ10の外周縁を囲む油分捕集部材30と、が存在する。従って、レンジフード1は、ファン60が発生させる空気の流れの流路上であって、ファン60よりその流れの上流側に存在し、その空気の流れを図視で下から上に通過させる孔を有するフィルタ10を、回転可能に備える。
【0024】
また、フード部80は、フィルタ10を回転させる電動機20の回転とファン60の回転を制御する制御部90を備える。本実施例では、制御部90は、フード部80に設けられるが、これに限定されず、レンジフード1のいずれに設けられてもよく、さらには、レンジフード1の外部に設けられてもよい。制御部90は、ファン60と電動機20とを同時に回転させることがあるように制御を行う。即ち、制御部90は、レンジフード1が調理によって発生する油煙等を捕集するために空気の流れを発生させるファン60を回転させている時に少なくとも一時点で電動機20を回転させるように制御を行う。なお、ファン60や電動機20(フィルタ10)を回転させるとは、具体的には、ファン60や電動機20に通電することを言い、回転させないということは、通電を解除することを言う。
【0025】
内面パネル81の下方の空気は、調理によって発生する湯気や油煙等を含んでおり、ファン60が稼働すると、フード開口部2に存在する、即ちファン60が発生させた空気の流れの流路上であってファン60より上流側に位置するフィルタ10の孔に吸引され、その孔を通過することになる。フィルタ10は、電動機20により回転可能に設けられており、レンジフード1が稼働すると、ファン60が空気の流れを発生させる共に電動機20がフィルタ10を回転させる。レンジフード1は、フィルタ10を回転させることにより、空気に含まれる油分を油分捕集部材30に捕集する。捕集の仕方は後述する。
【0026】
かかるレンジフード1は、従来のスロットフィルタやHEPAフィルタ等を用い、スリットや目を細かくしたり、重ね合わせて複層としたりすることにより油捕集効率を向上させることに比べ、圧力損失が小さい状態で高い油捕集効率を有することができる。即ち、従来のスロットフィルタやHEPAフィルタ等を用いて、スリットの目を細かくする、あるいは重ね合わせて複層することで油捕集効率を向上させると、フィルタの通気部が複雑な流路を形成するため、通気抵抗が高くなる傾向があるが、かかるレンジフード1の場合には、フィルタの回転によって油捕集効率を高めているため、このような複雑な流路を形成する必要がない。よって従来のフィルタと比較して低い通気抵抗を維持したまま高い油捕集効率を得ることができる。また、フィルタに油分が付着し目詰まりを起こすことが少なくなることにより、フィルタ自体の洗浄の労力が低減し、使用するに従って圧力損失が増加することを防止でき、さらに、空気流路におけるフィルタより下流部分にほとんど油分が付着しないため、フィルタより下流部分を清掃/洗浄する手間を大幅に軽減するレンジフードを提供できる。
【0027】
ファン60のファンの種類は特に限定されず、空気の流れを生じさせる軸流ファンなどのその他のファンであってよい。好ましくは、本実施例に使用された、静圧の高いシロッコファンである。また、フード部80の下方には、フード部80と着脱可能であり、フード部80との間に隙間を有して吸込力を高める整流板70を備える。本実施例におけるレンジフード1は整流板70を備えるが、整流板70の存在は特に限定されず、あってもなくてもよい。整流板が存在しない場合または整流板を取り外した場合には、
図2に示すように、フード部80の内面である上方に凹状の内面パネル81と、内面パネル81に隙間が生じないように取り付けられた取付板50と、円盤状のフィルタ10と、取付板50に取り付けられフィルタ10の外周縁を囲むように設けられた油分捕集部材30とが、直接使用者から視認できる。
【0028】
図2は、電動機20の回転を制御するフィルタ回転制御スイッチ91を示す。後述するように、制御部90は、フィルタ10を回転させる電動機20に対して様々な制御を行うが、それに加えて、使用者がフィルタ回転制御スイッチ91を操作することにより、使用者自らが柔軟なフィルタの回転を制御することができるようになる。フィルタ回転制御スイッチ91は、使用者の操作により、電動機20の回転を開始する、回転を終了する、回転の速度を変更する等のことを行うことができる。また、フィルタ10のメンテナンス操作として、電動機20のみを所定時間回転させた後に自動で停止する操作を行うことができる。
【0029】
また、本実施例では、フィルタ10は円盤状をなした薄板から形成されているが、これに限定されず、例えば、フィルタは筒状であってもよい。この場合、筒状のフィルタは、筒の中心軸に電動機の回転軸が連結されることにより筒が回転し、筒の側面に空気の流れを通過させる孔を有する。空気の流れは、筒の側面の外側から内側に通過するように構成される。また、油分捕集部材は、筒の側面を取り囲むようにして設けられる。筒は横置きでも、縦置きでもよい。筒が横置きの場合は、油分捕集部材は、空気を吸入する下方に開放した開口部と空気をファン側に流すために開放した開口部を備える。筒が縦置きの場合は、フィルタは筒の側面から空気の流れを吸入するために筒の底面は開口せず、また、油分捕集部材はフィルタ側面全体を取り囲むように設けられる。簡易な構造を有し、薄型のレンジフードを提供できるので、本実施例のような円盤状をなし薄板から形成されたフィルタが好ましい。
【0030】
また、本実施例では、フィルタ10の両側の表面における孔以外の部分は、突起物や凹凸がなく、平らで滑らかである平滑な面であるが、これに限定されず、一般的なスロットフィルタのようにスリット(孔)と共に切り起こしなどの突起物があってもよい。本実施例のようにフィルタが平滑な面を備えれば、フィルタでの空気の流れの通気抵抗がさらに小さくなり、さらにはフィルタの回転抵抗も小さくなるのでフィルタを回転させる電動機は小さなトルクを有するもので十分となる。また、フィルタ上に切り起こしなどの突起部がないため空気を切る騒音が小さいレンジフードを提供できる。また、これらにより、フィルタを高速に回転させることが容易になる。また、油分のほとんどはフィルタの表面で捕集され、フィルタの孔の側面で油分を捕集することはほとんどないので、フィルタの孔が油で目詰まりすることがさらに少なくなり、さらに切り起こしなどの突起部がないためフィルタ自身の清掃/洗浄が容易になる。
【0031】
図3および
図4は、レンジフード1のフィルタ10とその周辺部(以下、フィルタユニットと言う)を示す。フィルタユニット3は、フード開口部2に取り付けられる取付板50と、空気の流れを通過させる孔を有する円盤状のフィルタ10と、フィルタ10の円盤の中心に回転軸を連結され、フィルタ10を回転させる電動機20と、電動機20を取付板50に取り付けるための電動機取付具40と、取付板50に取り付けられ、フィルタ10の周囲を囲むように設けられた油分捕集部材30とを備える。
【0032】
取付板50は、中央部に円形の取付板開口部51を備えたほぼ正方形の平板である。本実施例では、平板の周囲は曲率を持って上方に湾曲するが、これに限定されず、内面パネル81のフード開口部2に取り付けられる構成を有すればよい。取付板50とフード開口部2の取り付けは、隙間などを有さずになされ、この取り付け部分には空気の流れは通過しない。従って、取付板開口部51は、ファン60が発生させた空気の流れを通過させる唯一の部分となり、取付板開口部51はファン60が発生させる空気の流れの流路となる。
【0033】
電動機取付具40は、取付板50の空気の流れの下流側に、取付板開口部51を跨ぐようにして設けられる。電動機取付具40は、ほぼ中央部に電動機20の回転軸21を通すための穴41を有し、また、取付板50に取り付けやすいようにのりしろ部分を有する。電動機取付具40は、穴41が平面視で取付板開口部51の中心となるように、取付板50に取り付けられる。
【0034】
電動機20は、その回転軸を電動機取付具40の穴41に図視で上方から下方に向けて(空気の流れの下流側から上流側に向けて)貫通させて、電動機取付具40に固定される。電動機20の回転軸21は、平面視で円形の取付板開口部51の中心となる。
【0035】
フィルタ10は、電動機20の回転軸21の先端部分に、フィルタ10の面が回転軸21に垂直になるように着脱自在に取り付けられる。フィルタ10の外形は円形であり、フィルタ10は、フィルタ10の中心において、円形の取付板開口部51の中心に位置する電動機20の回転軸21に取り付けられるので、フィルタ10の外形と取付板開口部51の外形は、同心円の円形となる。本実施例においては、フィルタ10の直径は、取付板開口部51に延在部52があるので、取付板開口部51の直径より大きい。延在部52は、油分捕集部材30の上流側の端部に、油分捕集部材30の内壁より内側、即ち電動機20の回転軸側に延在する。この延在部52は、孔を通過した油分も捕集できる割合を増加させ、油捕集効率が高いレンジフードを提供できるので好ましい。
【0036】
フィルタ10の正面視における位置は、取付板50の下面より下方、即ち、空気の流れの上流側である。従って、油分捕集部材30は、フィルタ10の外周縁を取り囲むように取付板50に取り付けられる。フィルタ10の外周縁と油分捕集部材30の内壁との距離は、両者が接しないために0より大きい必要があるが、油分が漏れないようになるべく小さい方が好ましい。本実施例においては、2.5mm程度である。油分捕集部材30は、下端に油溜まり31が設けられている。油溜まり31は、フィルタ10の上流側表面に当たって弾き飛ばされた油分が油分捕集部材30の内壁に当たり、その油分が溜められるところである。
【0037】
なお、レンジフード1の高さは、フード部80の高さと送風機ボックス82の高さからなるが、送風機ボックス82の高さはほぼファン60の高さから規定され、フード部80の高さは、電動機20の上端から油分捕集部材30の下端までの高さ即ちフィルタユニット3の高さと、油分等含む空気を捕獲するための内面パネル81の凹部の深さ(高さ)との和から規定される。油分等含む空気を捕獲するためには、ある程度の凹部の深さ(高さ)を必要とするため、フィルタユニット3の高さを小さくすることが、レンジフード1の全体の高さを低くし、薄型のレンジフードを提供するためには重要になる。本実施例では、フィルタユニット3は、フィルタ10が円盤状をなした薄板から形成されているので薄く、好ましい。
【0038】
図5および
図6は、レンジフード1における空気の流れに伴う油分を捕集する作用を説明するものである。
図5は、レンジフード1全体における空気の流れの作用を示す。レンジフード1の下方で行われる調理によって発生する湯気や油煙等と共に、暖められた空気Aはレンジフード1の方へ立ち上る。レンジフード1が運転を開始しファン60が回転し始めると、ファン60は空気の流れを図視で下から上の方向へ発生させる。そうすると、整流板70辺りに立ち上った空気は、整流板70と内面パネル81の間から吸い込まれ、その後フィルタ10の孔11を通過して、ファンケーシング61内のファン60の吸入口62に吸入される。そして、その後、送風機ボックス82から排気ダクトDへ排出される。
【0039】
フィルタ10の単位時間当たりの回転数は、フィルタの孔の開口状態にもよるが、少なくとも230rpm(Rotation Per Minute)以上であればよい。フィルタ10が比較的高速に回転すると、フィルタ10の表面(孔11のない部分)が、その表面に接する空気を摩擦力により引きずり、空気の粘性により付近の空気にもその動きが伝わることで、フィルタ10の表面付近には空気の動きが生じ、フィルタ10は回転運動をしているので、空気の動きは回転軸を中心とした渦状となる。
【0040】
この渦状の空気の動きは、フィルタ10の両面、即ちフィルタ10の下面と上面の両方、換言すれば、フィルタ10の空気の流れAの上流側の面と下流側の面の両方に発生する。本実施例においては、ファン60が発生させる空気の流れAが、図視で下から上へ、フィルタ10の孔11を通って流れているので、フィルタ10の下流側では、渦状の空気の動きはフィルタ10の表面から引き離されつつ、フィルタ10の外周縁に向かうらせん状流が発生し、ファン60により吸入口62から吸引される。一方、フィルタ10の上流側では、渦状の空気の動きはフィルタ10の表面に押さえつけられ、フィルタ10の外周縁に向かう渦状流を伴う密度の高い空気層が形成される。
【0041】
図6は、フィルタユニット3における空気の流れの作用を示す。調理等で発生した油分OP1は、空気の流れAと共に流されてフィルタ10の上流側の面付近に到達する。上流側の面付近に到達した油分OP2は、一部(粒子径の小さい油分)は密度の高い空気層の外周縁に向かう渦状流により、また、他の一部(粒子径の大きい油分)はフィルタ10の上流側の表面(孔11のない部分)に衝突することにより、フィルタ10の外周縁方向に弾き飛ばされる。その結果、円盤状のフィルタ10の外周縁を取り囲むように備えられた油分捕集部材30に、油分OP3として捕集され、油溜まり31に油OLとして回収される。
【0042】
非常に細かい微粒子となった油分は、空気の流れAと共にフィルタ10の孔を通過することになるが、その内の一部は、延在部52や油分捕集部材30のフィルタ10より下流側の内壁に衝突して回収できる。最終的に回収できなかった油分の一部は、これより下流側に位置するファン60や排気ダクトD等に付着するが、フィルタ10の孔を通過したほどの微粒子となった油分の大部分は、そのまま空気の流れAに乗って排気ダクトDを通って屋外へ排出される。従って、本発明に係る本実施例のレンジフード1は、空気流路におけるフィルタ10より下流部分にほとんど油分を付着させず、フィルタ10より下流部分のファン60や排気ダクトDなどを清掃/洗浄する手間を大幅に軽減することができる。
【0043】
油分がフィルタの上流側の表面(孔11のない部分)に衝突する際、油分の大部分はフィルタの外周縁方向に弾き飛ばされるが、一部はその表面に付着することがある。フィルタの回転速度が速くなると、フィルタ表面に一旦付着した油分は遠心力により外周縁方向に飛ばされる。その結果、本発明に係るレンジフードは、フィルタに油分が付着し残存することが少なくなることにより、フィルタ自体の洗浄の労力を低減することができる。
【0044】
制御部90は、ファン60と電動機20とを同時に回転させることがあるように制御を行う。即ち、制御部90は、レンジフード1が調理によって発生する油煙等を捕集するために空気の流れを発生させるファン60を回転させている時に少なくとも一時点で電動機20を回転させるように制御を行う。換言すれば、制御部90は、ファン60が回転し空気の流れを発生させている時に、電動機20によりフィルタ10が回転させることがある。また、制御部90は、電動機20によりフィルタ10を回転させている時に、ファン60を回転させ空気の流れを発生させていることがあるように制御を行ってもよい。
【0045】
これによれば、ファン60と同時にフィルタ10を回転させることにより、フィルタ10を回転させるための電動機20が発生させる騒音やフィルタの回転による風切り音を、使用者が気にならない程度のものとすることができる。つまり、ファンが停止している時にフィルタが回転する場合にはファンにより発生する騒音が無いため電動機が発生させる騒音やフィルタの回転による風切り音が目立ってしまうが、ファンと同時にフィルタを回転させることで、ファンにより発生する騒音により電動機が発生する騒音やフィルタの回転による風切り音がかき消されるため、使用者が気にならない程度のものとすることができる。また、ファン60の回転即ちレンジフード1の稼働と、フィルタ10の回転の両方を少なくとも一時点で同時に行うことにより、フィルタ10への油分の付着量が少なくなり、フィルタ表面での油分の固着化を防止することができる。
【0046】
図7は、本実施例のファン60と電動機20に対する制御方法の変形例を示す説明図である。ファン60と電動機20を回転させている時をON(実線)、回転させていない時をOFF(点線)で表わす。フィルタの回転の変形例0では、制御部90は、上述したように、ファン60と電動機20とを同時に回転させることがあるように制御を行う。本変形例では、ファン60の回転中のどこかで電動機20(フィルタ10)が回転している。ファン60の回転中のどこで回転してもよいし、その回転時間も特に限定されない。
【0047】
なお、
図7は、従来のレンジフードを従来例として示す。従来例は、レンジフードを稼働させている間即ちファンが回転している間にフィルタに付着した油分を、稼働させていない間(レンジフードが停止中)即ちファンが回転していない間に除去しようとするものであるから、ファンがONからOFFになった後に、油分を除去する機能がONとなるものである。従って、本発明がファン60と電動機20とを同時に回転させることがあるように制御を行うことは、従来例とは全く考え方を異にするものである。
【0048】
フィルタの回転の変形例1では、制御部90は、ファン60の回転中に、1回のOFFを挟み2回のON、即ち2つの回転期間に分けて回転させている。本変形例では、2回の回転期間に分けているが、これに限定されず、ファン60の回転中に何回もONとOFFを繰り返してもよい。これによれば、フィルタへの油分の付着量を低減させると共に電動機が発生させる騒音やフィルタの回転による風切り音を最小限に抑えることができる。
【0049】
フィルタの回転の変形例2では、制御部90は、ファン60の回転中にいつも電動機20(フィルタ10)を回転させている。即ち、制御部90は、ファン60の回転を開始する時と電動機20の回転を開始する時が同時であり、かつ、ファン60の回転を終了する時と電動機20の回転を終了する時が同時であるように制御する。また、制御部90は、ファン60の回転を開始する時と電動機20の回転を開始する時が同時であり、または、ファン60の回転を終了する時と電動機20の回転を終了する時が同時であるように制御してもよい。これによれば、フィルタ10を動かす動力源である電動機20の回転とファン60の回転との開始や終了を同時に行うことにより、使用者が電動機20の騒音の発生が気にならないレンジフードを提供することができる。
【0050】
もちろん、変形例5のように、制御部90は、ファン60の回転を開始する時と電動機20の回転を開始する時が同時であり、かつ、ファン60の回転を終了する時と電動機20の回転を終了する時が同時であるように制御し、ファン60の回転中に電動機20の回転を中断してもよい。
【0051】
フィルタの回転の変形例3では、制御部90は、ファン60の回転を開始する時と電動機20の回転を開始する時が同時であるように制御し、かつ、ファン60の回転終了後所定時間経過後に電動機20の回転を終了するように制御する。即ち、ファン60の回転中は変形例2と同じであるが、ファン60の回転終了後も電動機20(フィルタ10)はしばらく回転し続けることになる。これによれば、ファン60の回転終了後にフィルタ10に付着したままとなっている油分を飛ばして、フィルタ10を清潔な状態に維持することができ、その結果、フィルタ10への油分の付着・固着を少なくし、フィルタ10を清掃/洗浄する手間を軽減するレンジフードを提供することができる。さらに、レンジフード運転終了後にフィルタ10に油分が付着したままだと、油分が固着してフィルタ10に目詰まりやアンバランスを発生させて、次回に運転を開始した時に、無駄な騒音を発生させることとなるが、かかる騒音を防止できる。なお、制御部90がファン60の回転終了後どのくらいの間回転させるかは、適宜所定の時間は定められるが、例えば、ファンの強運転が長かった場合には長めに、弱運転が長かった場合には短めにしてもよい。
【0052】
もちろん、変形例6のように、制御部90は、ファン60の回転を開始する時と電動機20の回転を開始する時が同時であるように制御し、かつ、ファン60の回転終了後所定時間経過後に電動機20の回転を終了するように制御し、ファン60の回転中に電動機20の回転を中断してもよい。
【0053】
フィルタの回転の変形例4では、制御部90は、ファン60の回転の前に電動機20の回転を開始し、ファン60の回転中一時中断後再度回転を再開し、その後ファン60の回転終了後所定時間経過後に電動機20の回転を終了するように制御する。これによれば、ファン60の回転の直前に高速にフィルタ10を回転させることにより、前回の使用でフィルタに残っていた油分を吹き飛ばし、目詰まりの無い清潔なフィルタにより油分の捕集を行うことができる。なお、この場合、レンジフードをONすることに少し遅れてファン60が回転し始めることとなるので、ファン60の回転直前のフィルタ10の回転は短時間に行うこととなる。このように、制御部90は、ファン60の回転を開始する時と電動機20の回転を開始する時が異なる時点である、かつ、ファン60の回転を終了する時と電動機20の回転を終了する時が異なる時点であるように制御してもよい。これによれば、ファンとフィルタを独立して回転させることにより柔軟な制御が可能となる。
【0054】
もちろん、変形例7のように、制御部90は、ファン60の回転の前に電動機20の回転を開始し、ファン60の回転中一時中断後再度回転を再開し、その後ファン60の回転を終了する時と電動機20の回転を終了する時が同時であるように制御してもよい。
【0055】
フィルタの回転の変形例8と9では、制御部90は、ファン60の単位時間当たりの回転数を変化させ、ファン60の回転数に応じて電動機20(フィルタ10)の回転数を変化させるように制御する。ファン60の回転数の変化率と電動機20の回転数の変化率は、変形例8のように同じでもよいし、変形例9のように異なっていてもよい。これによれば、油分が多く付着する場合にはより強い遠心力を与えてフィルタ10から早く油分を飛ばしてフィルタ10の目詰まりを防止し、油分の付着量を低減させるとともに、レンジフードの回転速度が遅い時には必要以上にフィルタ10を高速で回転させることを防ぐことができる。また、変形例8のように、制御部90は、ファン60と電動機20の回転数を段階的に変化させてもよい。これによれば、強中弱のように使用者に分かりやすい回転数として制御できる。なお、強中弱などの回転数は、互いに相対的な回転数であり、絶対的な回転数を意味するものではない。
【0056】
通常、油煙が多く発生する調理を行う際には、ファンの速い回転速度が選択されて使用される。従って、ファンの回転速度が速いほど多くの油煙が発生している傾向がある。つまり、ファンの回転速度が速いほどフィルタ10に付着する油分の量が多くなり目詰まりを早く発生させる。そこで、ファンの回転速度に合わせてフィルタ10の単位時間当たりの回転数を増減させることにより、油分が多く付着した場合にはより高速に回転させてより強い遠心力を与えてフィルタ10から早く油分を飛ばしてフィルタ10の目詰まりを防ぐとともに、ファンの回転速度が遅い時には必要以上にフィルタ10が高速で回転することを防ぐことができる。
【0057】
表1は、本実施例におけるフィルタの孔径(mm)および回転数(rpm)と捕集率の関係を示す。孔径は、0.75mm、1mm、1.5mm、2mmの4種類で捕集率の測定を行った。フィルタの回転数が0rpmの場合、いずれの孔径においても、従来のフィルタの中で最も良い捕集率である70%を下回り、回転していないフィルタでは、捕集効率は高くないことがわかる。
【0058】
一方、フィルタを1000rpmで回転させると、最も捕集率の低い孔径2mmのフィルタにおいても、捕集率が77%と、従来の最良のフィルタの捕集率を上回る。また、孔径が、1.5mm、1mm、0.75mmと小さくなるに従って、捕集率が80%、86%、88%とさらに高くなっていく。さらに、フィルタの回転数を1500rpmとすると、孔径が、2mm、1.5mm、1mm、0.75mmと小さくなるに従って、捕集率は、84%、86%、91%、93%とますます高くなる。さらに、フィルタの回転数を2000rpmとすると、孔径が、2mm、1.5mm、1mmと小さくなるに従って、捕集率は、88%、90%、90%となる。従って、本発明に係るレンジフードは、ファンが空気の流れを発生させながらフィルタを回転させることにより、空気に含まれる油分を捕集する。さらに、フィルタの単位時間当たりの回転数を大きくすると、または、孔径を小さくすると、高い油捕集効率が得られることがわかる。
【0060】
図8は、本実施例と従来タイプのスロットフィルタを使用したレンジフードにおけるフィルタでの捕集率と、ファンやダクトなどの下流部品への油分付着の関係を得るための試験に使用した試験構成図である。本実施例のフィルタの孔径の違いにより捕集率が異なることを利用し、フィルタでの捕集率の違いにより下流部品への油分付着状態を確認するために、以下のように試験を行った。
【0061】
試験方法は、以下のようである。温度コントロール可能なホットプレートの上方800mmに本発明に係るフィルタ等を備えたレンジフードが設けられている。245°Cに加熱したホットプレートにステンレス筒を載せ、ポンプからそのステンレス筒に、油を2.5g/分で、水を8g/分で滴下する。試験時間は10分間である。また、フィルタの回転数は、1500rpmである。
【0062】
本試験の結果を表2に示す。本試験によれば、従来タイプのレンジフードであるスロットフィルタを使用したレンジフードでは、フィルタにおいて50%の油分を捕集し、下流部品において23%の油分が付着する。残りの27%の油分は空気と共に外部へ排出されることになる。一方、本実施例のレンジフードであって、孔径2.0mmのフィルタを備えるレンジフードでは、フィルタにおいて83%の油分を捕集し、下流部品において7%の油分が付着する。また、孔径1.5mmのフィルタを備えるレンジフードでは、フィルタにおいて83%の油分を捕集し、下流部品において2%の油分が付着する。また、孔径1.0mmのフィルタを備えるレンジフードでは、フィルタにおいて87%の油分を捕集し、驚くべきことに下流部品においては油分の付着が認められない。
【0063】
この試験によれば、従来タイプのレンジフードの捕集率に比し、本実施例に係るレンジフードでは、フィルタでの捕集率が83%以上と明らかに高い。その結果、清掃/洗浄などに手間のかかる下流部品への油分の付着を著しく抑えることができる。従来から知られているレンジフードの捕集率が最も良くても70%であることを考慮すると、本試験に用いた本発明に係るレンジフードは、孔径の変化にもかかわらず83%以上の捕集率を有しており、本発明に係るレンジフードは高い捕集効率を有すると言える。従って、本発明に係るレンジフードは、空気流路におけるフィルタより下流部分にほとんど油分が付着しないため、フィルタより下流部分を清掃/洗浄する手間を大幅に軽減することができる。
【0065】
<第二実施例>
第一実施例と重複する説明は省略し、異なる点のみを説明する。本実施例は、第一実施例と比較して、ファン60と電動機20に対する、制御部の制御方法のみが異なるので、制御部を制御部90Aとして述べる。
制御部90Aは、ファン60の回転数が最も小さい段階において電動機20を回転させないように制御を行う。即ち、制御部90Aは、上述の変形例8や9のようにファン60の回転数を変化させる場合において、ファン60の回転数が小さい時には、電動機20を回転させないように制御を行う。レンジフードから発生する主な騒音源としては排気する空気の流れを生じさせるファンや風切り音がある。つまり、ファン60の弱運転などの低い回転数で運転される場合全体としては騒音が小さいので、フィルタ10や電動機20の回転に伴う音が目立ってしまう。そこで、弱運転の時にはフィルタを回転させないことがよい場合もある。これによれば、フィルタの回転に伴う音が目立つ場合には、フィルタを回転させないことにより、静穏なレンジフードを提供できる。
【0066】
逆に、制御部90Aは、ファン60が中や強などの比較的高回転数で運転される場合には、ファン60より発生する騒音によりフィルタ10の回転音はかき消されてしまうので、フィルタ10を回転させる。また、ファン60が弱運転の時には、通常料理により発生する油煙も少なく、フィルタ10に付着する油分の総量も少ないため、回転によりフィルタ10の目詰まりを防ぐ必要がない。
【0067】
また、制御部90Aは、ファン60がファン60の単位時間当たりの回転数が最も小さい段階でのみ回転した後回転が終了した場合、ファン60の回転が終了した時に電動機20(フィルタ10)を回転させるように制御してもよい。これによれば、レンジフードの運転終了後、例えば、使用者が調理台付近を離れた時に、直ぐにフィルタ10を回転させることにより付着した油分を飛ばすことができ、フィルタ10から早く油分を飛ばしてフィルタの目詰まりを防止し、油分の付着量を低減させるとともに、レンジフードから離れた使用者には騒音が気にならないレンジフードを提供することができる。
【0068】
なお、ファン60の単位時間当たりの回転数が最も小さい段階とは、調理時に使用することを想定しているファン60の回転数のうち最も小さい段階としてもよい。すなわち、室内全体の常時換気機能を搭載したレンジフードにおいては、通常、常時換気運転時の回転数が最も小さく、例えば次に弱、中、強運転の順番にファン60の回転数が大きくなる。しかし、常時換気運転は調理時の使用を想定していない。したがって、このような場合、ファン60の単位時間当たりの回転数が最も小さい段階としては弱運転を採用することとしてもよい。
【0069】
なお、本発明は、例示した実施例に限定するものではなく、特許請求の範囲の各項に記載された内容から逸脱しない範囲の構成による実施が可能である。