特許第5684166号(P5684166)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5684166
(24)【登録日】2015年1月23日
(45)【発行日】2015年3月11日
(54)【発明の名称】流体圧シリンダ
(51)【国際特許分類】
   F15B 15/22 20060101AFI20150219BHJP
【FI】
   F15B15/22 D
   F15B15/22 G
   F15B15/22 F
【請求項の数】5
【全頁数】17
(21)【出願番号】特願2012-25258(P2012-25258)
(22)【出願日】2012年2月8日
(65)【公開番号】特開2013-160374(P2013-160374A)
(43)【公開日】2013年8月19日
【審査請求日】2013年9月11日
(73)【特許権者】
【識別番号】000106760
【氏名又は名称】CKD株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(72)【発明者】
【氏名】長谷川 文人
【審査官】 北村 一
(56)【参考文献】
【文献】 実開昭61−128402(JP,U)
【文献】 特開2001−295811(JP,A)
【文献】 特開2003−065379(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2003/0037629(US,A1)
【文献】 独国特許出願公開第10239257(DE,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F15B 15/00−15/28;11/00−11/22
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
流体を給排する給排ポートが形成されたシリンダチューブと、前記シリンダチューブ内に移動可能に収容されるピストンと、該ピストンと一体のピストンロッドとを備え、前記流体が給排されることで前記ピストンロッドが移動可能とされるとともに、前記ピストンロッドがストロークエンドへ到達する際の衝撃を緩衝させるクッション機構を搭載する流体圧シリンダにおいて、
前記クッション機構は、
前記シリンダチューブ内の前記ピストンロッドの同軸上に設けられ、前記ピストンによって該同軸上に移動可能な移動体と、
前記シリンダチューブ内の前記移動体における前記ピストンの逆側に形成され、前記流体を貯留可能な流体室と、
前記流体室内に貯留した流体を排出可能な排出孔と、を含んで構成されており、
前記ピストンの前記流体室側への移動に伴って前記移動体により該流体室の容積を縮小させるように構成され、
前記移動体には、前記流体室と対向する側に大径部が形成されるとともに、前記ピストンに対向する側に小径部が形成され、前記大径部における前記流体室と対向する面の面積は、前記小径部における前記ピストンに対向する面の面積より大きく設定されていることを特徴とする流体圧シリンダ。
【請求項2】
前記流体室は、前記ピストンを前記流体室側とは逆側に移動させる際に前記給排ポートと前記排出孔を通じて連通するように構成された請求項1に記載の流体圧シリンダ。
【請求項3】
前記排出孔上には、該排出孔から排出する前記流体の流量を調整可能な絞り弁が設けられている請求項2に記載の流体圧シリンダ。
【請求項4】
前記クッション機構は、前記シリンダチューブ内の両端のそれぞれに備わっており、
前記シリンダチューブ内には、前記流体室が形成される大径収容部と、前記ピストンが収容される小径収容部が形成されている請求項1〜請求項3のうちいずれか一項に記載の流体圧シリンダ。
【請求項5】
前記小径部における前記ピストンに対向する面の径は、該ピストンの径と同一に設定されている請求項1〜4のうちいずれか一項に記載の流体圧シリンダ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、クッション機構を搭載する流体圧シリンダに関する。
【背景技術】
【0002】
流体圧シリンダとしては、例えば、特許文献1に記載のものが挙げられる。この流体圧シリンダは、ピストンロッドのストロークエンド近くにクッション機構を搭載して構成されている。このクッション機構は、シリンダチューブ内のシリンダ空気室に連通する通気穴と、ストロークエンド近くに形成され該通気穴に連通するクッション空気室と、該クッション空気室の周面に設けられたクッションパッキンと、ピストンに一体のクッションリングとを備えている。さらに、特許文献1のクッション機構では、前記通気穴にクッションバルブとチェックバルブとを設けている。
【0003】
そして、クッション機構はストロークエンド付近でクッションパッキンにクッションリングが嵌入されると、シリンダ空気室のエアーはクッションパッキンによってクッション空気室への流れ込みが規制される。クッション空気室への流れ込みが規制されたシリンダ空気室のエアーは、クッションバルブの隙間を通過しながらクッション空気室へと徐々に流れ込む。その際にチェックバルブは、エアーの流れによって閉じられるとともにクッションバルブを絞った状態にすることにより、ストロークエンドへ到達する際の該ピストンロッドの移動速度が減速されるようにしている。
【0004】
このようにして特許文献1の流体圧シリンダでは、ピストンロッドがストロークエンドへ到達する際の衝撃を緩衝させるようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】実開平6−51507号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、このような流体圧シリンダにあっては、クッションパッキンがある程度の口径を有するだけでなく、該クッションパッキンに嵌入されるクッションリングがピストンロッドに装着されることから該クッションリングも該ピストンロッドよりも太く構成されている。これにより、クッション機構を搭載するためにはシリンダチューブとピストンロッドとの間にこれらクッションパッキンやクッションリングをシリンダチューブに内蔵するための余裕を確保しなければいけないようになっている。このため、ピストンロッドとシリンダチューブとの径差が小さい小口径シリンダにクッション機構を搭載しようとすると、上記クッションパッキンやクッションリングをシリンダに内蔵するための余裕を確保する結果、ピストンロッドを細くする加工等を要するものとなっている。
【0007】
本発明は、こうした従来の実情に鑑みてなされたものであり、その目的は、シリンダチューブの口径に制限されることなくクッション機構を搭載することのできる流体圧シリンダを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために請求項1に記載の発明は、流体を給排する給排ポートが形成されたシリンダチューブと、前記シリンダチューブ内に移動可能に収容されるピストンと、該ピストンと一体のピストンロッドとを備え、前記流体が給排されることで前記ピストンロッドが移動可能とされるとともに、前記ピストンロッドがストロークエンドへ到達する際の衝撃を緩衝させるクッション機構を搭載する流体圧シリンダにおいて、前記クッション機構は、前記シリンダチューブ内の前記ピストンロッドの同軸上に設けられ、前記ピストンによって該同軸上に移動可能な移動体と、前記シリンダチューブ内の前記移動体における前記ピストンの逆側に形成され、前記流体を貯留可能な流体室と、前記流体室内に貯留した流体を排出可能な排出孔と、を含んで構成されており、前記ピストンの前記流体室側への移動に伴って前記移動体により該流体室の容積を縮小させるように構成され、前記移動体には、前記流体室と対向する側に大径部が形成されるとともに、前記ピストンに対向する側に小径部が形成され、前記大径部における前記流体室と対向する面の面積は、前記小径部における前記ピストンに対向する面の面積より大きく設定されていることを要旨とする。
【0009】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の流体圧シリンダにおいて、前記流体室は、前記ピストンを前記流体室側とは逆側に移動させる際に前記給排ポートと前記排出孔を通じて連通するように構成されたことを要旨とする。
【0010】
請求項3に記載の発明は、請求項2に記載の流体圧シリンダにおいて、前記排出孔上には、該排出孔から排出する前記流体の流量を調整可能な絞り弁が設けられていることを要旨とする。
【0011】
請求項4に記載の発明は、請求項1〜請求項3のうちいずれか一項に記載の流体圧シリンダにおいて、前記クッション機構は、前記シリンダチューブ内の両端のそれぞれに備わっており、前記シリンダチューブ内には、前記流体室が形成される大径収容部と、前記ピストンが収容される小径収容部が形成されていることを要旨とする。
請求項5に記載の発明は、請求項1〜請求項4のうちいずれか一項に記載の流体圧シリンダにおいて、前記小径部における前記ピストンに対向する面の径は、該ピストンの径と同一に設定されていることを要旨とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、シリンダチューブの口径に制限されることなくクッション機構を搭載することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】(a)は没入位置における流体圧シリンダを示す断面図、(b)は突出位置における流体圧シリンダを示す断面図。
図2】(a)〜(c)は没入位置から突出位置への移動を示す断面図。
図3】(a)〜(c)は突出位置から没入位置への移動を示す断面図。
図4】別例における流体圧シリンダを示す断面図。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、この発明の一実施形態を図1図3に基づき説明する。
図1(a),(b)に示すように、本実施形態の流体圧シリンダは、シリンダチューブ10によって外郭が形成されている。このシリンダチューブ10には、流体(本実施形態では、圧縮エア)の供給及び該流体の外部(本実施形態では、大気中)への排出を行う給排装置に接続される第1及び第2給排ポートP1,P2が形成されている。なお、これら各給排ポートP1,P2は、シリンダチューブ10の外部、すなわち大気中と連通可能に構成されている。これら各給排ポートP1,P2は、流体を貯留可能な後述する各圧力室21,22,23,24へと連通する後述する各通路T1,T2,T3,T4にそれぞれ連通している。各給排ポートP1,P2は、シリンダチューブ10の軸方向中央からそれぞれ軸方向の異なる端側に離間して形成されている。
【0015】
そして、流体の供給及び該流体の排出が行われることで、シリンダチューブ10に収容されるピストンロッド13の位置が切換制御される。以下の説明では、図1(a)に示すようにピストンロッド13がシリンダチューブ10に没入している位置を「没入位置」、図1(b)に示すようにピストンロッド13がシリンダチューブ10から突出している位置を「突出位置」という。
【0016】
また、シリンダチューブ10の内部には、各種部品を収容可能な収容孔11が形成されている。収容孔11において、第1給排ポートP1側には円筒状のロッドカバー12aが配設されているとともに、第2給排ポートP2側には円板状のヘッドカバー12bが配設されている。また、収容孔11において、ロッドカバー12a側は開口されている一方、ヘッドカバー12b側は封止されている。
【0017】
また、収容孔11には、各カバー12a,12bから中央に向かって順に大径収容部11aと小径収容部11bとが形成されている。収容孔11において、大径収容部11aの内径(シリンダ口径)は、小径収容部11bの内径(シリンダ口径)よりも大きく設定されている。
【0018】
また、収容孔11には、各給排ポートP1,P2から給排される流体に基づく流体圧によりシリンダチューブ10の軸方向に沿って移動可能なピストン14が収容されるとともに、該ピストン14と一体の棒状のピストンロッド13が挿入されている。
【0019】
また、ピストン14の外周面には、該外周面と収容孔11(小径収容部11b)の内周面との間をシールするパッキン15(本実施形態では、2箇所)が装着されている。
また、収容孔11には、ピストン14の移動によりシリンダチューブ10の軸方向に沿って移動可能な移動体としての第1及び第2緩衝用ピストン16,19が収容されている。この第1緩衝用ピストン16はピストン14を境にして第1給排ポートP1側に収容されている一方、この第2緩衝用ピストン19はピストン14を境にして第2給排ポートP2側に収容されている。
【0020】
具体的に、第1緩衝用ピストン16には、ピストンロッド13が挿入されるとともに、第1緩衝用ピストン16はロッドカバー12aとピストン14との間で、ピストンロッド13の同軸上に収容されている。この第1緩衝用ピストン16は、ピストンロッド13に沿って移動可能とされている。また、この第1緩衝用ピストン16には、ロッドカバー12a側から順に大径部16aと小径部16bとが形成されている。第1緩衝用ピストン16において、大径部16aの外径は、小径部16bの外径よりも大きく設定され、大径部16aのロッドカバー12aと対向する面の面積は、小径部16bのピストン14と対向する面の面積よりも大きく設定されている。
【0021】
また、第1緩衝用ピストン16において、大径部16a及び小径部16bの外周面には、該外周面と収容孔11(大径収容部11a又は小径収容部11b)の内周面との間をシールするパッキン17(本実施形態では、2箇所)が装着されている。また、第1緩衝用ピストン16において、大径部16aの内周面には、ピストンロッド13の外周面との間をシールするパッキン18(本実施形態では、1箇所)が装着されている。
【0022】
このような第1緩衝用ピストン16は、ロッドカバー12a側からヘッドカバー12b側に向かって移動する場合、大径部16aが小径収容部11b内に入り込めないことからそれ以上の移動が規制される。これにより、第1緩衝用ピストン16は、図1(a)に示すように、ロッドカバー12aから第1緩衝用ピストン16の間のストロークd1の範囲で移動可能とされる。
【0023】
また、第2緩衝用ピストン19は、ヘッドカバー12bとピストン14との間で、ピストンロッド13の同軸上に収容されている。この第2緩衝用ピストン19には、ヘッドカバー12b側から順に大径部19aと小径部19bとが形成されている。第2緩衝用ピストン19において、大径部19aの外径は、小径部19bの外径よりも大きく設定され、大径部19aのヘッドカバー12bと対向する面の面積は、小径部19bのピストン14と対向する面の面積よりも大きく設定されている。
【0024】
また、第2緩衝用ピストン19において、大径部19a及び小径部19bの外周面には、該外周面と収容孔11(大径収容部11a又は小径収容部11b)の内周面との間をシールするパッキン20(本実施形態では、2箇所)が装着されている。
【0025】
このような第2緩衝用ピストン19は、ヘッドカバー12b側からロッドカバー12a側に向かって移動する場合、大径部19aが小径収容部11b内に入り込めないことからそれ以上の移動が規制される。これにより、第2緩衝用ピストン19は、図1(b)に示すように、ヘッドカバー12bから第2緩衝用ピストン19の間のストロークd2の範囲で移動可能とされる。
【0026】
また、ピストン14と第1緩衝用ピストン16と第2緩衝用ピストン19とは、シリンダチューブ10内を各圧力室21,22,23,24に仕切っている。具体的に、ピストン14のロッドカバー12a側の壁面と、第1緩衝用ピストン16のヘッドカバー12b側の壁面との間には、第1駆動用圧力室21が画成されている。また、ピストン14のヘッドカバー12b側の壁面と、第2緩衝用ピストン19のロッドカバー12a側の壁面との間には、第2駆動用圧力室22が画成されている。また、第1緩衝用ピストン16のロッドカバー12a側の壁面と、ロッドカバー12aの内壁との間、すなわち第1緩衝用ピストン16におけるピストン14の逆側には、流体室としての第1緩衝用圧力室23が画成されている。また、第2緩衝用ピストン19のヘッドカバー12b側の壁面と、ヘッドカバー12bの内壁との間、すなわち第2緩衝用ピストン19におけるピストン14の逆側には、流体室としての第2緩衝用圧力室24が画成されている。
【0027】
また、第1駆動用圧力室21と第2駆動用圧力室22とは、ピストン14のパッキン15により弾性シールされている。また、第1駆動用圧力室21と第1緩衝用圧力室23とは、第1緩衝用ピストン16のパッキン17,18により弾性シールされている。また、第2駆動用圧力室22と第2緩衝用圧力室24とは、第2緩衝用ピストン19のパッキン20により弾性シールされている。すなわち、これら各圧力室21,22,23,24は、流体を貯留(充填)可能に構成されている。
【0028】
また、シリンダチューブ10には、第1給排ポートP1に一端が連通する第1エア通路T1が形成されているとともに、該第1エア通路T1の他端は第1駆動用圧力室21に連通している。これにより、第1駆動用圧力室21では、第1給排ポートP1により流体の供給及び該流体の排出が行われる。
【0029】
また、シリンダチューブ10には、第1給排ポートP1に一端が連通する排出孔としての第1緩衝用エア通路T2が形成されているとともに、該第1緩衝用エア通路T2の他端は第1緩衝用圧力室23に連通している。また、第1緩衝用エア通路T2上には、第1絞り弁V1が配設されている。これにより、第1緩衝用圧力室23では、第1絞り弁V1により流量の調整が行われる状態で第1給排ポートP1により流体の供給及び該流体の排出が行われる。
【0030】
また、シリンダチューブ10には、第2給排ポートP2に一端が連通する第2エア通路T3が形成されているとともに、該第2エア通路T3の他端は第2駆動用圧力室22に連通している。これにより、第2駆動用圧力室22では、第2給排ポートP2により流体の供給及び該流体の排出が行われる。
【0031】
また、シリンダチューブ10には、第2給排ポートP2に一端が連通する排出孔としての第2緩衝用エア通路T4が形成されているとともに、該第2緩衝用エア通路T4の他端は第2緩衝用圧力室24に連通している。また、第2緩衝用エア通路T4上には、第2絞り弁V2が配設されている。これにより、第2緩衝用圧力室24では、第2絞り弁V2により流量の調整が行われる状態で第2給排ポートP2により流体の供給及び該流体の排出が行われる。
【0032】
なお、シリンダチューブ10には、第1緩衝用ピストン16がロッドカバー12a側に移動する際に大径部16aのヘッドカバー12b側に画成される圧力室の呼吸孔となる第1呼吸用エア通路T5が形成されている。この第1呼吸用エア通路T5は、大気中に連通しており、第1緩衝用ピストン16のロッドカバー12a側への移動に際し大気を吸気(給気)するとともに、第1緩衝用ピストン16のヘッドカバー12b側への移動に際し該吸気した大気を排気する。また、シリンダチューブ10には、第2緩衝用ピストン19がヘッドカバー12b側に移動する際に大径部19aのロッドカバー12a側に画成される圧力室の呼吸孔となる第2呼吸用エア通路T6が形成されている。この第2呼吸用エア通路T6は、大気中に連通しており、第2緩衝用ピストン19のヘッドカバー12b側への移動に際し大気を吸気(給気)するとともに、第2緩衝用ピストン19のロッドカバー12a側への移動に際し該吸気した大気を排気する。
【0033】
そして、各給排ポートP1,P2の流体の給排によりピストンロッド13が移動されることで、各駆動用圧力室21,22の容積が最大容積と最小容積との間で変位する。このように移動されるピストンロッド13のピストン14により各緩衝用ピストン16,19が移動されることで、各緩衝用圧力室23,24の容積が最大容積と最小容積との間で変位する。なお、没入位置において、第1駆動用圧力室21と第1緩衝用圧力室23とは最大容積に変位する一方、第2駆動用圧力室22と第2緩衝用圧力室24とは最小容積に変位する。また、突出位置において、第2駆動用圧力室22と第2緩衝用圧力室24とは最大容積に変位する一方、第1駆動用圧力室21と第1緩衝用圧力室23とは最小容積に変位する。
【0034】
そして、ピストンロッド13は、図2(a)〜(c)及び図3(a)〜(c)に示すようにして没入位置と突出位置の間を往復動する。なお、図2(a)〜(c)及び図3(a)〜(c)において、実線の矢印は各エア通路T1,T3に対する給排を意味し、破線の矢印は各緩衝用エア通路T2,T4に対する給排を意味している。
【0035】
図2(a)に示すように、没入位置では、第1給排ポートP1への流体の供給により、第1駆動用圧力室21及び第1緩衝用圧力室23に流体が充填されて加圧されている状態となる。一方、没入位置では、第2給排ポートP2からの流体の排出により、第2駆動用圧力室22及び第2緩衝用圧力室24に大気が充填されて減圧されている状態(略大気圧の状態)となる。この場合に第2緩衝用圧力室24は、第2緩衝用エア通路T4を通じて大気中(シリンダチューブ10の外部)に連通している。
【0036】
すなわち、没入位置では、第1駆動用圧力室21と第2駆動用圧力室22との圧力差により、ピストン14が第2緩衝用ピストン19をヘッドカバー12b側に付勢している状態となる。また、没入位置では、第1緩衝用ピストン16の受圧面積差により、第1緩衝用ピストン16がロッドカバー12a側からピストン14側への移動が規制される状態まで移動している状態となる。
【0037】
この状態から第1給排ポートP1からの流体の排出及び第2給排ポートP2への流体の供給が開始されると、第1駆動用圧力室21及び第1緩衝用圧力室23に充填されていた流体が排出されるとともに、第2駆動用圧力室22及び第2緩衝用圧力室24へ流体が供給される。
【0038】
この場合に図2(b)に示すように、第1給排ポートP1からの流体の排出により、第1駆動用圧力室21及び第1緩衝用圧力室23が減圧される状態となる。この場合に第1駆動用圧力室21の排出に関しては、流体の排出により大気が充填されて減圧されている状態(略大気圧の状態)となる。また、この場合に第1緩衝用圧力室23の排出に関しては、第1絞り弁V1により第1駆動用圧力室21の排出よりも排出される流体の流量が絞られる絞り排出が行われる。このため、第1緩衝用圧力室23の減圧に関しては、第1駆動用圧力室21よりも時間をかけて減圧される絞り減圧が行われる。この場合に第1緩衝用圧力室23は、第1緩衝用エア通路T2を通じて大気中(シリンダチューブ10の外部)に連通している。一方、図2(b)に示すように、第2給排ポートP2への流体の供給により、第2駆動用圧力室22及び第2緩衝用圧力室24に流体が充填されて加圧されている状態となる。
【0039】
すなわち、この場合には、第2緩衝用ピストン19の受圧面積差により、第2緩衝用ピストン19がヘッドカバー12b側からピストン14側への移動が規制される状態まで移動している状態となる。また、この場合には、第1駆動用圧力室21と第2駆動用圧力室22との圧力差によりピストン14が第1緩衝用ピストン16側に移動する。このような移動では、第1緩衝用ピストン16の受圧面積差及び第1駆動用圧力室21と第1緩衝用圧力室23との受圧面積差により、没入位置からの移動のストロークエンド付近でピストン14が第1緩衝用ピストン16に接触する。なお、この場合の第1緩衝用圧力室23の圧力は、絞り減圧を伴うことから第1駆動用圧力室21の圧力よりも高くなっている。
【0040】
さらにこの状態から第1給排ポートP1から流体の排出及び第2給排ポートP2から流体の供給が継続されると、第1緩衝用圧力室23に充填されていた流体が排出されるとともに、第2駆動用圧力室22及び第2緩衝用圧力室24へ流体が供給される。
【0041】
この場合に図2(c)に示すように、第1給排ポートP1からの流体の排出と第1絞り弁V1により、第1緩衝用圧力室23の排出に関しては絞り排出が行われるとともに、第1緩衝用圧力室23の圧力に関しては絞り減圧が行われる。一方、図2(c)に示すように、第2給排ポートP2への流体の供給により、第2駆動用圧力室22及び第2緩衝用圧力室24に流体が充填されて加圧されている状態となる。
【0042】
すなわち、この場合には、第1緩衝用圧力室23の減圧と第2駆動用圧力室22の加圧により、ピストン14と第1緩衝用ピストン16とが一体となって徐々にロッドカバー12a側、すなわち第1緩衝用圧力室23側に移動している状態となる。このような移動では、第1緩衝用ピストン16が第1緩衝用圧力室23の容積を縮小させる。このため、第1緩衝用圧力室23では、絞り減圧とその容積の縮小による加圧とが行われる。そしてこのような移動は、ピストン14が第1緩衝用ピストン16に接触してからストロークd1の間で行われ、ピストン14がストロークエンドに到達する結果、ピストン14の没入位置から突出位置への移動が完了する。
【0043】
続いて、図3(a)に示すように、突出位置では、第2給排ポートP2への流体の供給により、第2駆動用圧力室22及び第2緩衝用圧力室24に流体が充填されて加圧されている状態となる。一方、突出位置では、第1給排ポートP1の排出により、第1駆動用圧力室21及び第1緩衝用圧力室23に大気が充填されて減圧されている状態(略大気圧の状態)となる。この場合に第1緩衝用圧力室23は、第1緩衝用エア通路T2を通じて大気中(シリンダチューブ10の外部)に連通している。
【0044】
すなわち、突出位置では、第1駆動用圧力室21と第2駆動用圧力室22との圧力差により、ピストン14が第1緩衝用ピストン16をロッドカバー12a側に付勢している状態となる。また、突出位置では、第2緩衝用ピストン19の受圧面積差により、第2緩衝用ピストン19がヘッドカバー12b側からピストン14側への移動が規制される状態まで移動している状態となる。
【0045】
この状態から第1給排ポートP1への流体の供給及び第2給排ポートP2からの流体の排出が開始されると、第1駆動用圧力室21及び第1緩衝用圧力室23へ流体が供給されるとともに、第2駆動用圧力室22及び第2緩衝用圧力室24に充填されていた流体が排出される。
【0046】
この場合に、図3(b)に示すように、第1給排ポートP1への流体の供給により、第1駆動用圧力室21及び第1緩衝用圧力室23に流体が充填されて加圧されている状態となる。
【0047】
一方、図3(b)に示すように、第2給排ポートP2からの流体の排出により、第2駆動用圧力室22及び第2緩衝用圧力室24が減圧される状態となる。この場合に第2駆動用圧力室22の排出に関しては、流体の排出により大気が充填されて減圧されている状態(略大気圧の状態)となる。また、この場合に第2緩衝用圧力室24の排出に関しては、第2絞り弁V2により第2駆動用圧力室22の排出よりも排出される流体の流量が絞られる絞り排出が行われる。このため、第2緩衝用圧力室24の減圧に関しては、第2駆動用圧力室22よりも時間をかけて減圧される絞り減圧が行われる。この場合に第2緩衝用圧力室24は、第2緩衝用エア通路T4を通じて大気中(シリンダチューブ10の外部)に連通している。
【0048】
すなわち、この場合には、第1緩衝用ピストン16の受圧面積差により、第1緩衝用ピストン16がロッドカバー12a側からピストン14側への移動が規制される状態まで移動している状態となる。また、この場合には、第1駆動用圧力室21と第2駆動用圧力室22との圧力差によりピストン14が第2緩衝用ピストン19側に移動する。このような移動では、第2緩衝用ピストン19の受圧面積差及び第2駆動用圧力室22と第2緩衝用圧力室24との受圧面積差により、突出位置からの移動のストロークエンド付近でピストン14が第2緩衝用ピストン19に接触する。なお、この場合の第2緩衝用圧力室24の圧力は、絞り減圧を伴うことから第2駆動用圧力室22の圧力よりも高くなっている。
【0049】
さらにこの状態から第1給排ポートP1への流体の供給及び第2給排ポートP2からの流体の排出が継続されると、第1駆動用圧力室21及び第1緩衝用圧力室23へ流体が供給されるとともに、第2緩衝用圧力室24に充填されていた流体が排出される。
【0050】
この場合に図3(c)に示すように、第1給排ポートP1への流体の供給により、第1駆動用圧力室21及び第1緩衝用圧力室23に流体が充填されて加圧されている状態となる。一方、図3(c)に示すように、第2給排ポートP2からの流体の排出と第2絞り弁V2により、第2緩衝用圧力室24の排出に関しては絞り排出が行われるとともに、第2緩衝用圧力室24の圧力に関しては絞り減圧が行われる。
【0051】
すなわち、この場合には、第2緩衝用圧力室24の減圧と第1駆動用圧力室21の加圧により、ピストン14と第2緩衝用ピストン19とが一体となって徐々にヘッドカバー12b側、すなわち第2緩衝用圧力室24側に移動している状態となる。このような移動では、第2緩衝用ピストン19が第2緩衝用圧力室24の容積を縮小させる。このため、この場合の第2緩衝用圧力室24では、絞り減圧とその容積の縮小による加圧とが行われる。そしてこのような移動は、ピストン14が第2緩衝用ピストン19に接触してからストロークd2の間で行われ、ピストン14がストロークエンドに到達する結果、ピストン14の突出位置から没入位置への移動が完了する。
【0052】
以下、本実施形態の作用について説明する。
本実施形態は、ピストンロッド13がストロークエンドへ到達する際の衝撃を緩衝させるクッション機構を搭載している。
【0053】
すなわち、本実施形態のクッション機構は、シリンダチューブ10内のピストンロッド13の同軸上に各緩衝用ピストン16,19が収容される構造を有している。また、本実施形態のクッション機構は、シリンダチューブ10内の各緩衝用ピストン16,19におけるピストン14の逆側に各緩衝用圧力室23,24が形成される構造を有している。また、本実施形態のクッション機構は、各緩衝用圧力室23,24に貯留した流体を排出可能な各緩衝用エア通路T2,T4が形成される構造を有している。
【0054】
これにより、ピストンロッド13が没入位置から突出位置へと移動する場合、該移動に伴って第1緩衝用ピストン16が第1緩衝用圧力室23側に移動しようとする。また、ピストンロッド13が突出位置から没入位置へと移動する場合、該移動に伴って第2緩衝用ピストン19が第2緩衝用圧力室24側に移動しようとする。すなわち、こうした各緩衝用ピストン16,19の各緩衝用圧力室23,24側への移動が該各緩衝用圧力室23,24の容積を縮小させるように作用する。
【0055】
そしてこうした各緩衝用圧力室23,24の容積の縮小により、該各緩衝用圧力室23,24の圧力が高まって各緩衝用ピストン16,19の移動速度が減速されるように調整される。すなわち、ピストンロッド13が没入位置から突出位置へと移動する場合、ピストン14が第1緩衝用ピストン16に接触してからストロークd1の間に、ピストンロッド13の移動速度が減速されるように調整されて該ピストンロッド13が突出位置(ストロークエンド)へ到達する際の衝撃が緩衝されるようになる。また、ピストンロッド13が突出位置から没入位置へと移動する場合、ピストン14が第2緩衝用ピストン19に接触してからストロークd2の間に、ピストンロッド13の移動速度が減速されるように調整されて該ピストンロッド13が没入位置(ストロークエンド)へ到達する際の衝撃が緩衝されるようになる。
【0056】
さらに、各緩衝用圧力室23,24内の流体については該各緩衝用圧力室23,24の圧力が高まるにつれて各緩衝用エア通路T2,T4より排出もされることから、このような圧力の高まりが各緩衝用ピストン16,19やピストンロッド13の移動の妨げになることも抑制される。
【0057】
さらに本実施形態のクッション機構は、各緩衝用圧力室23,24を各給排ポートP1,P2と各緩衝用エア通路T2,T4を通じて連通させる構造を有している。
これにより、各緩衝用圧力室23,24には、ピストンロッド13を各緩衝用圧力室23,24側とは逆側に移動させる際に各給排ポートP1,P2から流体が供給されるようになる。すなわち、突出位置から没入位置への移動に伴うこのような第1緩衝用圧力室23への流体の供給が第1緩衝用ピストン16を第1緩衝用圧力室23側とは逆側であってロッドカバー12a側からピストン14側への移動が規制される状態まで移動させるように作用する。また、没入位置から突出位置への移動に伴うこのような第2緩衝用圧力室24への流体の供給が第2緩衝用ピストン19を第2緩衝用圧力室24側とは逆側であってヘッドカバー12b側からピストン14側への移動が規制される状態まで移動させるように作用する。
【0058】
さらに本実施形態のクッション機構は、各緩衝用エア通路T2,T4上に各絞り弁V1,V2を設ける構造を有している。
これにより、各緩衝用エア通路T2,T4から排出される流体の流量は、各絞り弁V1,V2で調整されるようになる。こうした各絞り弁V1,V2の調整により、各緩衝用圧力室23,24の内圧の変化が調整可能になることから、ピストンロッド13が各緩衝用圧力室23,24側に移動される際の移動速度の減速具合も調整可能になる。
【0059】
さらに本実施形態のクッション機構は、シリンダチューブ10内の両端のそれぞれに備える構造を有している。
すなわち、第1緩衝用ピストン16と、第1緩衝用圧力室23と、第1緩衝用エア通路T2と、第1絞り弁V1とに係る構成を有することで、没入位置から突出位置への移動でピストンロッド13がストロークエンドに到達する際の衝撃が緩衝されるようになる。また、第2緩衝用ピストン19と、第2緩衝用圧力室24と、第2緩衝用エア通路T4と、第2絞り弁V2とに係る構成を有することで、突出位置から没入位置への移動でピストンロッド13がストロークエンドに到達する際の衝撃が緩衝されるようになる。
【0060】
以上説明したように本実施形態によれば、以下に示す効果を奏することができる。
(1)ピストン14の各緩衝用圧力室23,24側への移動に伴う各緩衝用ピストン16,19の移動が各緩衝用圧力室23,24の容積を縮小させるように作用する。そしてこうした各緩衝用圧力室23,24の容積の縮小により、該各緩衝用圧力室23,24の圧力が高まって各緩衝用ピストン16,19の移動速度が減速されることから、ピストンロッド13の移動速度も合わせて減速されて該ピストンロッド13がストロークエンドへ到達する際の衝撃を緩衝させることができるようになる。さらに、各緩衝用圧力室23,24内の流体については該各緩衝用圧力室23,24の圧力が高まるにつれて各緩衝用エア通路T2,T4より排出もされることから、このような圧力の高まりが各緩衝用ピストン16,19やピストンロッド13の移動の妨げになることも抑制される。このように、シリンダチューブ10内にピストンロッド13の同軸上に各緩衝用ピストン16,19を収容する余裕を確保すればクッション機構を搭載することができ、シリンダチューブ10とピストンロッド13との径差に捉われることがなくなる。その結果、シリンダチューブ10が小口径化されてもピストンロッド13を細くする加工等の必要もなくなり、シリンダチューブの口径に制限されることなくクッション機構を搭載することができるようになる。
【0061】
(2)各緩衝用圧力室23,24には、ピストン14を各緩衝用圧力室23,24側とは逆側に移動させる際に各給排ポートP1,P2から流体が供給されるようになる。すなわち、このような各緩衝用圧力室23,24への流体の供給が各緩衝用ピストン16,19を各緩衝用圧力室23,24側とは逆側に移動させるように作用する。その結果、こうした各緩衝用ピストン16,19の移動により、ピストンロッド13が各緩衝用圧力室23,24側に移動される際には移動速度を減速可能な状態に該各緩衝用ピストン16,19を復帰させておくことができるようになる。
【0062】
(3)各緩衝用エア通路T2,T4から排出される流体の流量は、各絞り弁V1,V2で調整されるようになる。こうした各絞り弁V1,V2の調整により、各緩衝用圧力室23,24の圧力の変化が調整可能になることから、ピストン14が各緩衝用圧力室23,24側に移動される際の移動速度の減速具合も調整可能になる。その結果、ピストンロッド13の移動に伴う負荷に応じて各緩衝用エア通路T2,T4から排出される流体の流量を調整可能とし、該負荷に応じてピストンロッド13がストロークエンドに到達する際の衝撃を緩衝させることができるようになる。
【0063】
(4)ピストンロッド13では、往復動毎にピストンロッド13がストロークエンドに到達する際の衝撃を緩衝させることができるようになる。その結果、ピストンロッド13の往復動毎にピストンロッド13がストロークエンドに到達する際の衝撃を緩衝させるといった要望にも好適に応えることができるようになる。
【0064】
(5)各緩衝用圧力室23,24は、各緩衝用ピストン16,19におけるピストン14の逆側の壁面を含んで画成されるようにした。これにより、各緩衝用ピストン16,19の各緩衝用圧力室23,24側への移動が該各緩衝用圧力室23,24の容積を縮小させるように効果的に作用するようになることから、ピストンロッド13がストロークエンドに到達する際の衝撃を効果的に緩衝させることができるようになる。
【0065】
なお、上述した本実施形態は、これを適宜変更した以下の形態にて実施することもできる。
・本実施形態は、各絞り弁V1,V2の代わりに絞り弁よりも流体の流量を詳細に調整可能な第1及び第2スピードコントローラSC1,SC2を設ける構造としてもよい。このような構造としては、例えば、図4に示すように、各スピードコントローラSC1,SC2と各継ぎ手AD1,AD2とで、それぞれ対応する各緩衝用エア通路T2,T4と各給排ポートP1,P2とをシリンダチューブ10外で外部接続して実現することができる。
【0066】
・本実施形態は、各絞り弁V1,V2と図4に示すような各継ぎ手AD1,AD2とで、それぞれ対応する各緩衝用エア通路T2,T4と各給排ポートP1,P2とをシリンダチューブ10外で外部接続してもよい。
【0067】
・本実施形態では、各絞り弁V1,V2を設けないで構成することもできる。すなわち、各緩衝用圧力室23,24では、流体の絞り排出が行われない場合でも本実施形態と同様の効果を奏しうる。
【0068】
・本実施形態の各絞り弁V1,V2には、チェック弁も合わせて備えるようにしてもよい。
・本実施形態において、各緩衝用圧力室23,24と各緩衝用ピストン16,19との間には、他の部材を介在させるようにしてもよい。これにより、ピストンロッド13の移動速度の段階的な調整ができるようにもなる。
【0069】
・本実施形態に示した流体圧シリンダにおいて、没入位置及び突出位置の何れかの移動時の衝撃を緩衝させればよい場合には、シリンダチューブ10の緩衝効果を発揮すべく方側のみの搭載とすることもできる。
【0070】
・本実施形態の各緩衝用エア通路T2,T4は、各給排ポートP1,P2に連通していなくてもよく、他の構成を通じて外部(大気中)に連通していればよい。このような通路上には各絞り弁V1,V2を設ければよい。
【0071】
・本実施形態において、各緩衝用ピストン16,19や各緩衝用圧力室23,24は、ピストンロッド13のストロークエンド付近に位置する構造としたが、ストロークエンドから離間したような、例えば、シリンダチューブ10の中央付近に位置する構造にて実現することもできる。
【0072】
・本実施形態において、各圧力室21,22,23,24のそれぞれは、僅かなクリアランスにより流体の僅かな漏れを伴う略密封状態であっても本実施形態と同様の効果を奏しうる。すなわち、例えば、各圧力室21,22,23,24のシールには、弾性シールではなくメタルシールを採用することもできる。
【0073】
・本実施形態において、各緩衝用ピストン16,19は、例えば、ばね等の弾性力によりそれぞれのピストン14側への移動が規制される状態まで復帰される構成としてもよい。この場合には、各カバー12a,12bと各緩衝用ピストン16,19の間にばね等を配設する。
【0074】
・本実施形態は、両ロッド形の流体圧シリンダに適用することもできる。
・本実施形態では、各緩衝用圧力室23,24における流体の給排を行うための専用の給排ポートを配設してもよい。
【0075】
・本実施形態において、流体としては、エアに限らず圧縮された流体であれば他の流体でもよい。
次に、上記実施形態及び別例(変形例)から把握できる技術的思想について以下に追記する。
【0076】
(イ)前記流体室は、前記移動体における前記ピストンの逆側の壁面を含んで構成される請求項1〜請求項4のうちいずれか一項に記載の流体圧シリンダ。
【符号の説明】
【0077】
P1,P2…給排ポート、T1,T3…エア通路、T2,T4…緩衝用エア通路、V1,V2…絞り弁、10…シリンダチューブ、13…ピストンロッド、14…ピストン、16,19…緩衝用ピストン、21,22…駆動用圧力室、23,24…緩衝用圧力室。
図1
図2
図3
図4