特許第5684195号(P5684195)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5684195
(24)【登録日】2015年1月23日
(45)【発行日】2015年3月11日
(54)【発明の名称】建設機械
(51)【国際特許分類】
   E02F 9/00 20060101AFI20150219BHJP
   B62D 25/08 20060101ALI20150219BHJP
【FI】
   E02F9/00 N
   B62D25/08 A
   E02F9/00 G
【請求項の数】4
【全頁数】17
(21)【出願番号】特願2012-109756(P2012-109756)
(22)【出願日】2012年5月11日
(65)【公開番号】特開2013-237995(P2013-237995A)
(43)【公開日】2013年11月28日
【審査請求日】2014年5月15日
(73)【特許権者】
【識別番号】000005522
【氏名又は名称】日立建機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100079441
【弁理士】
【氏名又は名称】広瀬 和彦
(72)【発明者】
【氏名】本図 誠
(72)【発明者】
【氏名】木原 聖一
(72)【発明者】
【氏名】浦瀬 広平
(72)【発明者】
【氏名】海崎 裕輝
(72)【発明者】
【氏名】入野 照男
【審査官】 富山 博喜
(56)【参考文献】
【文献】 特開2009−243069(JP,A)
【文献】 特開2007−126837(JP,A)
【文献】 特開2010−216155(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E02F 9/00
B62D 25/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
自走可能な下部走行体と、該下部走行体上に旋回可能に搭載され作業装置が俯仰動可能に設けられた上部旋回体とからなり、
前記上部旋回体は、底板、左,右の縦板および前,後方向の中間部に位置して左,右方向に延びる仕切部材を含んで構成された旋回フレームと、該旋回フレームの後端側に設けられたカウンタウエイトと、該カウンタウエイトの前側に位置して左,右方向に延びる横置き状態に配置され油圧ポンプを駆動する原動機と、該原動機に対して左,右方向の一側に設けられ加熱された流体を冷却する熱交換器と、前記仕切部材を挟んで該熱交換器の前側に配置され燃料または作動油を貯留する貯油タンクと、前記カウンタウエイトと前記貯油タンクとの間の側面を開閉可能に覆って設けられた側面カバーとを備えてなる建設機械において、
前記旋回フレームと前記側面カバーとの間には、該側面カバーを開位置に保持するカバー保持機構を設け、
前記カバー保持機構は、前記側面カバーの内面側に設けられ該側面カバーに沿って延びる長孔が形成されたガイド板と、一端側が前記旋回フレームに回動可能に取付けられ他端側が前記ガイド板の長孔に嵌合したストッパ部材とにより構成され、
前記ガイド板には、前記側面カバーが開位置のときに前記ストッパ部材の移動を規制するストッパ規制部を設け、
前記ガイド板の前記ストッパ規制部は、前記ガイド板の外縁部と前記長孔の孔縁部との間に形成された端縁板部により構成し、
前記ストッパ部材には、その他端側に位置し前記ガイド板の長孔に上方から嵌合する嵌合軸部を設けると共に、長さ方向の中間部に位置し前記ガイド板の上面に摺動可能に当接する当接部を設け、かつ前記側面カバーが開位置のときに前記ストッパ規制部に係合する係合部を設け
前記ストッパ部材の前記係合部は、前記嵌合軸部と前記当接部との間に形成された逆U字状の凹溝部により構成し、該凹溝部は前記側面カバーが開位置となったときに前記ガイド板のストッパ規制部に係合する構成としたことを特徴とする建設機械。
【請求項2】
前記ガイド板は前記側面カバーの開閉支点の近傍に設け、前記ストッパ部材の寸法を可及的に短く形成する構成としてなる請求項1に記載の建設機械。
【請求項3】
前記ストッパ部材の当接部は、前記ストッパ部材の下側に固着された突起体により構成してなる請求項1または2に記載の建設機械。
【請求項4】
前記仕切部材は、前記熱交換器と前記貯油タンクとの間に位置して左,右方向の一側の端部まで延在する構成とし、
前記側面カバーは、前記仕切部材の一側の端部を開閉支点として開閉可能に設ける構成としてなる請求項1,2または3に記載の建設機械。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、油圧ショベル、油圧クレーン等の建設機械に関し、特にメンテナンス作業時に開,閉されるカバーを備えた建設機械に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、建設機械の代表例としての油圧ショベルは、自走可能な下部走行体と、該下部走行体上に旋回可能に搭載された上部旋回体と、該上部旋回体の前部側に俯仰動可能に設けられ、土砂の掘削作業等を行う作業装置とにより大略構成されている。
【0003】
また、上部旋回体は、支持構造体をなす旋回フレームと、該旋回フレームの後端側に設けられたカウンタウエイトと、該カウンタウエイトの前側に配置され油圧ポンプを駆動する原動機と、加熱された流体を冷却する熱交換器と、燃料または作動油を貯溜する貯油タンクと、これら原動機、熱交換器、貯油タンク等を開閉可能に覆うカバーとを備えて構成されている(例えば、特許文献1,2,3,4参照)。
【0004】
ここで、特許文献1の従来技術では、連結ピンで連結されたカバーのヒンジ部のうち、一方のヒンジ本体に凸形部を設けると共に他方のヒンジ本体に凹形部を設け、カバーが開位置となって凸形部と凹形部とが嵌合することにより、このカバーを開位置に保持する構成となっている。また、特許文献2及び特許文献3の従来技術では、カバーのヒンジ部に設けられたロック片がヒンジ部に設けられた係合凹部に係合することにより、カバーを開位置に保持する構成となっている。さらに、特許文献4の従来技術では、一端側がカバーに取付けられたストッパ部材の他端側が、機体に固定されたガイド板の長孔に設けられた深溝に差込まれることにより、カバーを開位置に保持する構成となっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2003−13657号公報
【特許文献2】特開2011−69109号公報
【特許文献3】特開2009−243069号公報
【特許文献4】特開2009−121179号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、上述した特許文献1ないし特許文献3の従来技術は、カバーを開位置に保持するカバー保持機構が、回動支点であるヒンジ部に設けられているので、このカバーがガタつくと他の外装カバー等に接触する虞があり、安定性が悪いという問題がある。
【0007】
また、所謂後方小旋回式と呼ばれる小型の油圧ショベル等は、上部旋回体の旋回半径が下部走行体の車幅内にほぼ収まるように構成され、カウンタウエイトが旋回中心に接近して配置されている。このため、小型の油圧ショベルの上部旋回体においては、外装カバー内に形成される機器収容空間が非常に狭く、この狭隘な機器収容空間内に、原動機、熱交換器、バッテリ等のメンテナンスが必要な搭載機器が密集した状態で格納されている。従って、小型の油圧ショベルに特許文献4の従来技術を用いた場合には、機器収容空間に向けて突出したガイド板が各搭載機器と干渉してしまうという問題がある。
【0008】
本発明は上述した従来技術の問題に鑑みなされたもので、開閉可能に設けられたカバーを安定した状態で開位置に保持することができるようにした建設機械を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上述した課題を解決するため本発明は、自走可能な下部走行体と、該下部走行体上に旋回可能に搭載され作業装置が俯仰動可能に設けられた上部旋回体とからなり、前記上部旋回体は、底板、左,右の縦板および前,後方向の中間部に位置して左,右方向に延びる仕切部材を含んで構成された旋回フレームと、該旋回フレームの後端側に設けられたカウンタウエイトと、該カウンタウエイトの前側に位置して左,右方向に延びる横置き状態に配置され油圧ポンプを駆動する原動機と、該原動機に対して左,右方向の一側に設けられ加熱された流体を冷却する熱交換器と、前記仕切部材を挟んで該熱交換器の前側に配置され燃料または作動油を貯留する貯油タンクと、前記カウンタウエイトと前記貯油タンクとの間の側面を開閉可能に覆って設けられた側面カバーとを備えてなる建設機械に適用される。
【0010】
そして、請求項1の発明が採用する構成の特徴は、前記旋回フレームと前記側面カバーとの間には、該側面カバーを開位置に保持するカバー保持機構を設け、前記カバー保持機構は、前記側面カバーの内面側に設けられ該側面カバーに沿って延びる長孔が形成されたガイド板と、一端側が前記旋回フレームに回動可能に取付けられ他端側が前記ガイド板の長孔に嵌合したストッパ部材とにより構成され、前記ガイド板には、前記側面カバーが開位置のときに前記ストッパ部材の移動を規制するストッパ規制部を設け、前記ガイド板の前記ストッパ規制部は、前記ガイド板の外縁部と前記長孔の孔縁部との間に形成された端縁板部により構成し、前記ストッパ部材には、その他端側に位置し前記ガイド板の長孔に上方から嵌合する嵌合軸部を設けると共に、長さ方向の中間部に位置し前記ガイド板の上面に摺動可能に当接する当接部を設け、かつ前記側面カバーが開位置のときに前記ストッパ規制部に係合する係合部を設け、前記ストッパ部材の前記係合部は、前記嵌合軸部と前記当接部との間に形成された逆U字状の凹溝部により構成し、該凹溝部は前記側面カバーが開位置となったときに前記ガイド板のストッパ規制部に係合する構成としたことにある。
【0011】
請求項2の発明は、前記ガイド板は前記側面カバーの開閉支点の近傍に設け、前記ストッパ部材の寸法を可及的に短く形成する構成としたことにある。
【0013】
請求項の発明は、前記ストッパ部材の当接部は、前記ストッパ部材の下側に固着された突起体により構成したことにある。
【0014】
請求項の発明は、前記仕切部材は、前記熱交換器と前記貯油タンクとの間に位置して左,右方向の一側の端部まで延在する構成とし、前記側面カバーは、前記仕切部材の一側の端部を開閉支点として開閉可能に設ける構成としたことにある。
【発明の効果】
【0015】
請求項1の発明によれば、側面カバーを開,閉することにより、ガイド板の長孔に嵌合したストッパ部材の他端側が当該ストッパ部材の一端側を支点として回動する。そして、側面カバーが開位置となったときに、ストッパ部材の係合部がガイド板のストッパ規制部に係合することにより、側面カバーの回動を規制することができる。この結果、側面カバーを安定した状態で確実に開位置に保持することができる。
即ち、側面カバーを回動させると、ストッパ部材の当接部がガイド板の上面を摺動すると共に、ストッパ部材の嵌合軸部がガイド板の長孔に沿って移動する。そして、側面カバーが開位置まで回動すると、ストッパ部材の嵌合軸部と当接部との間に形成された凹溝部が、ガイド板の外縁部と長孔の孔縁部との間に形成された端縁板部に沿って落下することにより、この端縁板部に係合する。この場合、凹溝部は、ストッパ部材の自重によって端縁板部との係合状態を保つため、側面カバーを安定した状態で開位置に保持することができる。
【0016】
請求項2の発明によれば、カバー保持機構全体を側面カバーの開閉支点の近傍に集約することにより、ストッパ部材の長さ寸法を可及的に短くすることができるので、狭隘な機器収容空間内に無理なくカバー保持機構を配置することができる。しかも、例えば作業者が側面カバーを開位置に移動させてメンテナンス作業を行うときに、カバー保持機構が作業の邪魔になる不具合を低減することができ、メンテナンス作業を円滑に行うことができる。
【0018】
請求項の発明によれば、ストッパ部材の下側に突起体を固着するだけで、この突起体と嵌合軸部との間に凹溝部を形成することができるので、カバー保持機構の簡素化を図ることができる。
【0019】
請求項の発明によれば、旋回フレームを構成する仕切部材を利用して、側面カバーを旋回フレームに対して開閉可能に取付けることができるので、側面カバーを取付けるための部材を旋回フレームに追加して設ける必要がなく、旋回フレームの構成を簡素化することができる。


【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】本発明の実施の形態による油圧ショベルを示す正面図である。
図2】油圧ショベルを上方からみた平面図である。
図3】旋回フレームに原動機、熱交換器、貯油タンク等を搭載した状態を上方からみた平面図である。
図4】第1の実施の形態によるカバー保持機構、側面カバーの開,閉状態を示す図2中(IV)部の拡大断面図である。
図5】カバー保持機構、側面カバーの閉状態を示す拡大断面図である。
図6】カバー保持機構、側面カバーの開状態を示す拡大斜視図である。
図7】カバー保持機構を単体で示す平面図である。
図8】カバー保持機構を単体で示す図7中の矢示VIII−VIII方向からみた正面図である。
図9】第2の実施の形態によるカバー保持機構、側面カバーの開状態を示す図4と同様の拡大断面図である。
図10】カバー保持機構、側面カバーの閉状態を示す拡大断面図である。
図11】カバー保持機構、側面カバーの開状態を示す拡大斜視図である。
図12】第2の実施の形態によるカバー保持機構を単体で示す平面図である。
図13】カバー保持機構を単体で示す図12中の矢示XIII−XIII方向からみた正面図である。
図14】第1の変形例によるカバー保持機構を単体で示す図8と同様の正面図である。
図15】第2の変形例によるカバー保持機構を単体で示す図8と同様の正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明の実施の形態による建設機械を、後方小旋回式の油圧ショベルに適用した場合を例に挙げ、添付図面に従って詳細に説明する。
【0022】
ここで、図1ないし図8は本発明の第1の実施の形態を示している。図中、1は建設機械としての油圧ショベルで、該油圧ショベル1は、左,右のクローラ(履帯)2Aを有する自走可能なクローラ式の下部走行体2と、該下部走行体2上に旋回可能に搭載された上部旋回体3と、該上部旋回体3の前部側にスイングポスト4Aを介して設けられたスイング式の作業装置4とにより大略構成され、作業装置4によって土砂の掘削作業等を行うものである。
【0023】
また、上部旋回体3は、図2に示すように、下部走行体2の車幅(左,右のクローラ2Aの間隔)とほぼ等しい左,右方向の幅寸法を有し、かつ、旋回中心から後述するカウンタウエイト6の後面6Aまでの距離によって規定される旋回半径の仮想円内に収まるように、上方からみて略円形に形成されている。これにより、油圧ショベル1は、上部旋回体3が下部走行体2上で旋回動作を行ったときに、カウンタウエイト6の後面6Aがほぼ下部走行体2の車幅内に収まる後方小旋回型の油圧ショベルとして構成されている。
【0024】
5は上部旋回体3のベースとなる旋回フレームを示している。この旋回フレーム5は、図3に示すように、左,右方向の中央部を前,後方向に延びる厚肉な平板状の底板5Aと、該底板5Aの上面側に立設され前,後方向に延びた左縦板5B、右縦板5Cと、前,後方向の中間部を左,右方向に延び、後述するカウンタウエイト6と貯油タンク9との間を仕切る仕切部材5Dと、左,右の縦板5B,5Cの前端部に設けられ、スイングポスト4Aを揺動可能に支持する支持ブラケット5Eと、底板5Aの左側に設けられた略円弧状の左枠部材5Fと、底板5Aの右側に設けられた円弧状の右枠部材5Gとにより大略構成され、強固な支持構造体をなしている。また、旋回フレーム5の後部右側には、後述するバッテリ14等を取付けるための機器取付板5Hが設けられている。
【0025】
ここで、仕切部材5Dは、後述する貯油タンク9と熱交換器12との間を左,右方向に延びる平板部5D1と、該平板部5D1の後面に固着された補強用の枠部5D2とにより構成されている。そして、仕切部材5Dは、後述する熱交換器12、右後側面カバー22と共に機器収容空間13を画成し、熱交換器12からの熱が貯油タンク9に伝わるのを抑えるものである。また、仕切部材5Dの左,右方向の一側(右側)の端部、即ち、枠部5D2から右側に突出した平板部5D1の右端部には、後述する右後側面カバー22の前端側が支持される構成となっている。
【0026】
一方、旋回フレーム5の後端側には、作業装置4との重量バランスをとるカウンタウエイト6が配設されている。また、旋回フレーム5の前部左側にはキャブ7が配設され、該キャブ7内には、オペレータが着席する運転席8、オペレータによって操作される各種の操作機器(図示せず)等が配置されている。
【0027】
9は旋回フレーム5の右側に設けられた貯油タンクを示し、該貯油タンク9は、旋回フレーム5の前部右側に配置された燃料タンク9Aと、該燃料タンク9Aの後側に隣接して配設された作動油タンク9Bとにより構成されている。燃料タンク9Aは、略直方体状の耐圧タンクとして形成され、後述するエンジン10に供給される燃料を貯えるものである。一方、作動油タンク9Bは、直方体状の耐圧タンクとして形成され、油圧アクチュエータに供給される作動油を貯えるものである。
【0028】
また、カウンタウエイト6の前側には原動機としてのエンジン10が設けられ、該エンジン10は左,右方向に延びる横置き状態に配置されている。そして、エンジン10の左側には油圧ポンプ11が配設され、エンジン10の右側には、ラジエータ、オイルクーラ等により構成された熱交換器12が配設されている。
【0029】
13は後述の外装カバー17によって覆われることにより、熱交換器12の右側に形成された機器収容空間を示している。この機器収容空間13内には、後述するバッテリ14、エアクリーナ15、リザーブタンク16等の定期的なメンテナンスが必要な搭載機器が収容されている。そして、機器収容空間13は、後述の右後側面カバー22によって開,閉される構成となっている。
【0030】
14は機器収容空間13内で旋回フレーム5の機器取付板5H上に配置されたバッテリを示している。該バッテリ14は、エンジン10のスタータ(図示せず)等に給電するものである。15はエンジン10に関連してバッテリ14の上方に設けられたエアクリーナで、該エアクリーナ15は、エンジン10に吸込まれる外気中のごみ等をフィルタによって除去し、清浄な吸気をエンジン10に供給するものである。16は熱交換器12の右側に設けられたリザーブタンクで、該リザーブタンク16は、熱交換器12(ラジエータ)によって冷却されるエンジン冷却水を貯溜するものである。
【0031】
17はキャブ7の右側から後側に亘って旋回フレーム5上に設けられた外装カバーで、該外装カバー17は、エンジン10、油圧ポンプ11、熱交換器12、貯油タンク9、バッテリ14、エアクリーナ15、リザーブタンク16等を覆うものである。
【0032】
ここで、外装カバー17は、図1及び図2に示すように、カウンタウエイト6の上端部に沿って左,右方向に延び、エンジン10を上側から覆う平板状の上面カバー18と、油圧ポンプ11等を左側方から覆う左側面カバー19と、キャブ7の右側に配置され貯油タンク9等を右側方から覆う右前側面カバー20と、右前側面カバー20の上端部からキャブ7に向けて延び貯油タンク9等を上方から覆う右上面カバー21と、後述の右後側面カバー22とにより大略構成されている。
【0033】
22は外装カバー17の一部を構成する右後側面カバーを示し、該右後側面カバー22は、カウンタウエイト6の右端部と右前側面カバー20との間に配置され、カウンタウエイト6と貯油タンク9との間に形成された機器収容空間13を右側方から覆うものである。図3ないし図6に示すように、右後側面カバー22の下端側には、機器収容空間13に向けてほぼ直角に折曲げられた折曲げ部22Aが設けられ、該折曲げ部22Aには、後述のガイド板26が固着されている。
【0034】
ここで、仕切部材5Dを構成する平板部5D1の右端部には、略く字形の断面形状を有し上,下方向に延びるブラケット5Jが取付けられ、このブラケット5Jには、上,下に離間して2個のヒンジ23が設けられている。そして、右後側面カバー22の前端側が、各ヒンジ23を介して平板部5D1の右端部に回動可能に取付けられている。一方、右後側面カバー22の後端側には、把手部24が設けられている。これにより、右後側面カバー22は、平板部5D1に設けられたヒンジ23を中心として、機器収容空間13を開く開位置(図4の位置)と閉じる閉位置(図5の位置)との間で回動する。従って、作業者は、把手部24を把持して右後側面カバー22を回動させることにより機器収容空間13を開,閉し、熱交換器12、バッテリ14、エアクリーナ15、リザーブタンク16等に対するメンテナンス作業を行うことができる構成となっている。
【0035】
次に、本実施の形態に用いられるカバー保持機構について説明する。
【0036】
25は旋回フレーム5と右後側面カバー22との間に設けられたカバー保持機構を示し、該カバー保持機構25は、右後側面カバー22を開位置に保持するものである。このカバー保持機構25は、後述するガイド板26と、ストッパ部材32とにより大略構成されている。
【0037】
26は右後側面カバー22の内面側に設けられたガイド板を示し、該ガイド板26は、右後側面カバー22の開閉支点となるヒンジ23の近傍に配置され、右後側面カバー22の折曲げ部22Aに溶接等の手段を用いて固着されている。ここで、ガイド板26は、右後側面カバー22に沿って前,後に延び、前端部26A、後端部26B、内側端部26C、外側端部26Dからなる略長方形の平板状をなし、前端部26Aと内側端部26Cとが交わる左前端側には、面取部26Eが形成されている。
【0038】
このガイド板26は、外側端部26Dが右後側面カバー22の折曲げ部22Aに溶接等によって固着されることにより、機器収容空間13に向けて突出している。そして、ガイド板26は、右後側面カバー22を開,閉するときに、後述するストッパ部材32を案内すると共に、右後側面カバー22が開位置となったときに、ストッパ部材32の移動を規制するものである。
【0039】
27はガイド板26に設けられた長孔を示し、該長孔27は、ガイド板26の上面26Fから下面26Gへと上,下方向に貫通し、右後側面カバー22に沿って前,後方向に延びている。図4及び図5に示すように、長孔27の後孔縁部27Aは、右後側面カバー22が閉位置となったときに後述するストッパ部材32の嵌合軸部36が当接する部分であり、長孔27の前孔縁部27Bは、右後側面カバー22が開位置となったときにストッパ部材32の嵌合軸部36が当接する部分である。
【0040】
28はガイド板26の前側に形成されたストッパ規制部を示している。該ストッパ規制部28は、ガイド板26の前端側に形成された外縁部としての面取部26Eと、長孔27の前孔縁部27Bとの間に形成された端縁板部により構成されている。この場合、図4に示すように、面取部26Eは、右後側面カバー22が開位置となったときに、後述するストッパ部材32とほぼ直交するように形成されている。そして、図7に示すように、ガイド板26の面取部26Eと長孔27の前孔縁部27Bとの間隔寸法Aは、後述する凹溝部39の間隔寸法Bよりも小さく形成されている。
【0041】
29は機器収容空間13内に位置して旋回フレーム5の機器取付板5H上に設けられたストッパ取付具を示し、該ストッパ取付具29は、後述するストッパ部材32が取付けられるものである。このストッパ取付具29は、略長方形の板体からなり、図4等に示すように、バッテリ14と右後側面カバー22との間でヒンジ23の近傍に配置され、ボルト30を用いて機器取付板5Hに取付けられている。ここで、ストッパ取付具29の中央には、上,下方向に貫通する軸挿通孔31が設けられ、該軸挿通孔31に後述するストッパ部材32の回動軸部34が回動可能に挿通される構成となっている。
【0042】
次に、32は旋回フレーム5とガイド板26との間に設けられたストッパ部材を示している。該ストッパ部材32は、図7および図8に示すように、全体として略凹状に折曲げられた丸鋼からなり、右後側面カバー22が開位置となったときに、その開位置を維持するためのものである。即ち、ストッパ部材32は、開位置となった右後側面カバー22と旋回フレーム5との間で、つっかえ棒としての機能を果たすものである。ここで、ストッパ部材32は、後述する中間軸部33と、回動軸部34と、嵌合軸部36と、突起体38と、凹溝部39とにより大略構成されている。
【0043】
33はストッパ部材32の本体部を構成する中間軸部を示し、該中間軸部33は、ほぼ直線状に延びる棒状体からなり、長さ方向の中央部から後述の回動軸部34が設けられた一端側に向けて斜め下向きに傾斜している。
【0044】
34はストッパ部材32の一端側を構成する回動軸部を示し、該回動軸部34は、中間軸部33の一端側から鉛直下向きに延び、旋回フレーム5に設けられたストッパ取付具29の軸挿通孔31に上方から回動可能に挿通されるものである。これにより、回動軸部34は、右後側面カバー22の開,閉動作に追従してストッパ部材32が回動するときに、このストッパ部材32の回動支点を構成するものである。ここで、図8に示すように、回動軸部34の下端側(ストッパ取付具29の下面側)には、回動軸部34がストッパ取付具29の軸挿通孔31から抜けるのを規制する抜止リング35が設けられている。従って、回動軸部34は、中間軸部33と抜止リング35との間で、ストッパ取付具29の軸挿通孔31内を上,下方向に移動できる構成となっている。
【0045】
36はストッパ部材32の他端側を構成する嵌合軸部を示し、該嵌合軸部36は、中間軸部33の他端側から鉛直下向きに延び、ガイド板26の長孔27に上方から嵌合するものである。これにより、嵌合軸部36は、ヒンジ23を支点とする右後側面カバー22の開,閉動作に追従して、長孔27内を後孔縁部27Aから前孔縁部27Bまでの間で移動する構成となっている。ここで、嵌合軸部36の下端側(ガイド板26の下面26G側)には、嵌合軸部36がガイド板26の長孔27から抜けるのを規制する抜止リング37が設けられている。
【0046】
38はストッパ部材32の中間軸部33に設けられた当接部としての突起体を示している。該突起体38は、中間軸部33の直径よりも薄肉な長方形の平板からなり、中間軸部33の下面に溶接等の手段を用いて固着されることにより、中間軸部33から下方に突出している。そして、突起体38の下端部38Aは、ガイド板26の上面26Fに当接し、右後側面カバー22の開,閉動作に追従してガイド板26の上面26F上を摺動する。この場合、図8に示すように、突起体38の上,下方向の高さ寸法は、嵌合軸部36の上,下方向の長さ寸法よりも小さく設定され、突起体38の下端部38Aをガイド板26の上面26Fに当接させた状態で、嵌合軸部36の下端側が確実に長孔27内に嵌合する構成となっている。
【0047】
39はストッパ部材32の他端側に設けられた係合部としての凹溝部を示し、この凹溝部39は、右後側面カバー22が開位置(全開状態)となったときに、ガイド板26に設けられたストッパ規制部28に係合するものである。ここで、凹溝部39は、ストッパ部材32の嵌合軸部36と突起体38の後端部38Bとの間に形成された下側が開口した逆U字状の凹溝として形成されている。この場合、突起体38の後端部38Bと嵌合軸部36の外周面との間の間隔寸法Bは、上述したストッパ規制部28の間隔寸法Aよりも大きく形成されている。
【0048】
従って、図4に示すように、右後側面カバー22が開位置となり、ストッパ部材32の嵌合軸部36が、ガイド板26に設けられた長孔27の前孔縁部27Bに当接したときには、突起体38の下端部38Aがガイド板26から外れることにより、ストッパ部材32が自重によって下方に落下する。これにより、ストッパ部材32の凹溝部39が、ガイド板26のストッパ規制部28に係合し、ストッパ部材32によって右後側面カバー22を開位置に保持することができるようになっている。
【0049】
本実施の形態による油圧ショベル1は上述の如き構成を有するもので、この油圧ショベル1は、下部走行体2によって作業場所まで自走した後、上部旋回体3を旋回させつつ、作業装置4を用いて土砂等の掘削作業を行う。
【0050】
ここで、油圧ショベル1を用いて土木作業を行う場合には、バッテリ14に対するバッテリ液の交換、エアクリーナ15に対するフィルタの交換等のメンテナンス作業を定期的に行う必要がある。このとき、作業者は、右後側面カバー22を開位置に保持した状態で、機器収容空間13内に配置されたバッテリ14、エアクリーナ15等に対するメンテナンス作業を行う。この場合、本実施の形態においては、右後側面カバー22を開位置に保持するカバー保持機構25を備えており、以下このカバー保持機構25の動作について説明する。
【0051】
まず、図5に示すように、右後側面カバー22が閉位置にあるときには、ストッパ部材32の嵌合軸部36は、ガイド板26に設けられた長孔27の後孔縁部27Aに当接している。このとき、ストッパ部材32を構成する突起体38の下端部38Aは、ガイド板26の上面26Fに当接し、ストッパ部材32を下側から支持している。
【0052】
そして、作業者が、右後側面カバー22の把手部24を把持して右後側面カバー22を回動すると、図4中の二点鎖線で示すように、ストッパ部材32は、ガイド板26の移動に追従し、ストッパ取付具29の軸挿通孔31に挿通された回動軸部34を回動支点として回動する。これにより、ストッパ部材32の突起体38がガイド板26上を摺動し、嵌合軸部36はガイド板26の長孔27に沿って後孔縁部27Aから前孔縁部27Bへと移動する。
【0053】
そして、図4に実線で示すように、右後側面カバー22が開位置まで移動すると、ストッパ部材32の嵌合軸部36が、ガイド板26に設けられた長孔27の前孔縁部27Bに当接する。これにより、突起体38の下端部38Aがガイド板26から外れ、ストッパ部材32が自重によって下方に落下する。このため、ストッパ部材32の凹溝部39が、ガイド板26のストッパ規制部28に係合し、突起体38の後端部38Bは、ガイド板26の面取部26Eに当接する。この結果、右後側面カバー22が閉じようとしても、ストッパ部材32がつっかえ棒となり、このストッパ部材32によって右後側面カバー22を確実に開位置に保持しておくことができる。
【0054】
このようにして、右後側面カバー22を開位置に保持し、機器収容空間13を大きく開放しておくことにより、機器収容空間13内に配置されたバッテリ14、エアクリーナ15等に対するメンテナンス作業を効率良く行うことができる。
【0055】
そして、バッテリ14、エアクリーナ15等に対するメンテナンス作業が終了した後には、ストッパ部材32を上方に持上げることにより、ガイド板26のストッパ規制部28とストッパ部材32の凹溝部39との係合状態を解除し、突起体38の下端部38Aをガイド板26の上面26F上に当接させる。この状態で、右後側面カバー22を閉位置へと移動させることにより、右後側面カバー22によって機器収容空間13を閉じることができる。
【0056】
かくして、本実施の形態によれば、ヒンジ23を支点として右後側面カバー22を閉位置から開位置へと回動させると、ストッパ部材32の嵌合軸部36が、ガイド板26の長孔27に沿って後孔縁部27Aから前孔縁部27Bへと移動する。そして、右後側面カバー22が開位置となったときに、ストッパ部材32の凹溝部39がガイド板26のストッパ規制部28に係合する。これにより、右後側面カバー22を安定した状態で確実に開位置に保持することができる。
【0057】
この場合、右後側面カバー22の開閉支点は、仕切部材5Dを構成する平板部5D1の右端部に設けられたヒンジ23の位置にあり、ガイド板26は、ヒンジ23の近傍に配置されている。これにより、カバー保持機構25全体をヒンジ23の近傍に集約することができ、ストッパ部材32の長さ寸法を可及的に短くすることができるので、狭隘な機器収容空間13内に、バッテリ14やエアクリーナ15等の搭載機器に干渉することなくカバー保持機構25を配置することができる。この結果、例えば作業者が右後側面カバー22を開位置に移動させてメンテナンス作業を行うときに、カバー保持機構25が作業の邪魔になることがなく、メンテナンス作業を円滑に行うことができる。
【0058】
次に、図9ないし図13は本発明の第2の実施の形態を示している。本実施の形態の特徴は、ストッパ部材の一端側を、旋回フレームの仕切部材を構成するカバー取付部材に取付けたことにある。なお、本実施の形態では、前記第1の実施の形態と同一の構成要素に同一の符号を付し、その説明を省略するものとする。
【0059】
41は第1の実施の形態によるカバー保持機構25に代えて用いられるカバー保持機構を示している。カバー保持機構41は、旋回フレーム5と右後側面カバー22との間に設けられ、右後側面カバー22を図9および図11に示す開位置に保持するものである。ここで、カバー保持機構41は、後述するガイド板42と、ストッパ部材47とにより大略構成されている。なお、本実施の形態では、仕切部材5Dを構成する平板部5D1の右端部にヒンジ23を直接的に取付ける構成となっている。
【0060】
42は右後側面カバー22の内面側に設けられたガイド板を示し、該ガイド板42は、右後側面カバー22の開閉支点となるヒンジ23の近傍に配置され、右後側面カバー22の折曲げ部22Aに溶接等の手段を用いて固着されている。ここで、ガイド板42は、第1の実施の形態によるガイド板26とほぼ同様に、前端部42A、後端部42B、内側端部42C、外側端部42D、面取部42Eからなる略長方形の平板状をなしている。
【0061】
43はガイド板42に設けられた長孔を示し、該長孔43は、右後側面カバー22に沿って前,後方向に延びている。ここで、長孔43の後孔縁部43Aは、右後側面カバー22が閉位置となったときに後述するストッパ部材47の嵌合軸部51が当接する部分であり、長孔43の前孔縁部43Bは、右後側面カバー22が開位置となったときにストッパ部材47の嵌合軸部51が当接する部分である。
【0062】
44はガイド板42の前側に形成されたストッパ規制部を示し、該ストッパ規制部44は、ガイド板42の面取部42Eと長孔43の前孔縁部43Bとの間に形成された端縁板部により構成されている。この場合、図9に示すように、面取部42Eは、右後側面カバー22が開位置となったときに、後述するストッパ部材47とほぼ直交するように形成されている。そして、図12に示すように、ガイド板42の面取部42Eと長孔43の前孔縁部43Bとの間隔寸法Cは、後述する凹溝部54の間隔寸法Dよりも小さく形成されている。
【0063】
45は仕切部材5Dを構成する枠部5D2の右側面に設けられたストッパ取付具を示している。このストッパ取付具45は、略長方形状をなす板体からなり、ヒンジ23よりも下側の位置で枠部5D2の右側面に溶接等の手段を用いて固着され、右後側面カバー22に向けて突出している。ストッパ取付具45の中央部には、上,下方向に貫通する軸挿通孔46が設けられ、この軸挿通孔46に、後述するストッパ部材47の回動軸部49が回動可能に挿通される構成となっている。
【0064】
47はストッパ取付具45とガイド板26との間に設けられたストッパ部材を示している。該ストッパ部材47は、丸鋼を折曲げることにより形成され、右後側面カバー22が開位置となったときに、その開位置を維持するためのものである。ここで、ストッパ部材47は、後述する中間軸部48と、回動軸部49と、嵌合軸部51と、突起体53と、凹溝部54とにより大略構成されている。
【0065】
48はストッパ部材47の本体部を構成する中間軸部を示し、該中間軸部48は、上方からみて略く字状に屈曲した棒状体からなっている。この中間軸部48の一端側には後述の回動軸部49が設けられ、他端側には後述の嵌合軸部51が設けられている。
【0066】
49はストッパ部材47の一端側を構成する回動軸部を示し、該回動軸部49は、中間軸部48の一端側から鉛直上向きに延び、仕切部材5Dの枠部5D2に設けられたストッパ取付具45の軸挿通孔46に、下方から回動可能に挿通されるものである。これにより、回動軸部49は、右後側面カバー22の開,閉動作に追従してストッパ部材47が回動するときに、このストッパ部材47の回動支点を構成するものである。
【0067】
一方、回動軸部49の上端側(ストッパ取付具45の上面側)には、回動軸部49がストッパ取付具45の軸挿通孔46から抜けるのを規制する抜止リング50が設けられている。従って、回動軸部49は、中間軸部48と抜止リング50との間で、ストッパ取付具45の軸挿通孔46内を上,下方向に移動できる構成となっている。
【0068】
51はストッパ部材47の他端側を構成する嵌合軸部を示し、該嵌合軸部51は、中間軸部48の他端側から鉛直下向きに延び、ガイド板42の長孔43に上方から嵌合するものである。これにより、嵌合軸部51は、ヒンジ23を支点とする右後側面カバー22の開,閉動作に追従して、長孔43内を後孔縁部43Aから前孔縁部43Bまでの間で移動する構成となっている。ここで、嵌合軸部51の下端側(ガイド板42の下面42G側)には、嵌合軸部51がガイド板42の長孔43から抜けるのを規制する抜止リング52が設けられている。
【0069】
53はストッパ部材47の中間軸部48に設けられた当接部としての突起体を示している。該突起体53は、中間軸部48の下面に溶接等の手段を用いて固着され、中間軸部48から下方に突出している。そして、突起体53の下端部53Aは、ガイド板42の上面42Fに当接し、右後側面カバー22を開,閉することにより、ガイド板42の上面42F上を摺動するものである。
【0070】
54はストッパ部材47の他端側に設けられた係合部としての凹溝部を示し、この凹溝部54は、右後側面カバー22が開位置(全開状態)となったときに、ガイド板42に設けられたストッパ規制部44に係合するものである。ここで、凹溝部54は、ストッパ部材47の嵌合軸部51と突起体53の後端部53Bとの間に形成された下側が開口した逆U字状の凹溝として形成されている。この場合、突起体53の後端部53Bと嵌合軸部51の外周面との間の間隔寸法Dは、ガイド板42に設けられたストッパ規制部44の間隔寸法Cよりも大きく形成されている。
【0071】
従って、右後側面カバー22が開位置となり、ストッパ部材47の嵌合軸部51が、ガイド板42の長孔43の前孔縁部43Bに当接したときには、突起体53の下端部53Aがガイド板42から外れることにより、ストッパ部材47が自重によって下方に落下する。これにより、ストッパ部材47の凹溝部54がガイド板42のストッパ規制部44に係合し、ストッパ部材47によって右後側面カバー22を開位置に保持することができるようになっている。
【0072】
第2の実施の形態による油圧ショベルは、上述の如きカバー保持機構41を備えたもので、このように構成された第2の実施の形態による油圧ショベルにおいても、上述した第1の実施の形態と同様の作用、効果を得ることができる。
【0073】
なお、上述した第1の実施の形態では、ストッパ部材32の中間軸部33に取付ける突起体38を長方形のプレートにより構成した場合を例示している。しかし、本発明はこれに限るものではなく、例えば図14に示す第1の変形例のように、上,下方向に延びる短尺な円柱体からなる突起体61を用いてもよい。このことは、第2の実施の形態についても同様である。
【0074】
さらに、第1の実施の形態によるストッパ部材32に代えて、例えば図15に示す第2の変形例のようなストッパ部材62を用いてもよい。この場合、ストッパ部材62は、丸鋼を折曲げることにより形成され、長さ方向の中間部に位置しガイド板26の上面26F上を摺動する中間軸部63と、中間軸部63の一端側から鉛直下向きに延び、ストッパ取付具29の軸挿通孔31に挿通される回動軸部64と、中間軸部63の他端側を上向きにL字状に折曲げることによりガイド板26から立上る立上り部65と、立上り部65の他端側から鉛直下向きに延び、ガイド板26の長孔27に嵌合する嵌合軸部66とにより構成される。これにより、立上り部65と嵌合軸部66との間に間隔寸法Bを有する係合部としての凹溝部67が形成され、右後側面カバー22が開位置となったときに、凹溝部67がガイド板26のストッパ規制部28に係合するようになる。
【0075】
また、上述した第1の実施の形態では、カバー保持機構25を、油圧ショベル1の後部右側に配置され、前端側が開閉支点となった右後側面カバー22に設けた場合を例示して説明している。しかし、本発明はこれに限るものではなく、例えば後端側が開閉支点となった右後側面カバーにも広く用いることができる。このことは、第2の実施の形態についても同様である。
【0076】
さらに、上述した実施の形態では、建設機械として油圧ショベル1を例示している。しかし、本発明はこれに限らず、例えば油圧クレーン等の他の建設機械にも広く適用することができるものである。
【符号の説明】
【0077】
1 油圧ショベル(建設機械)
2 下部走行体
3 上部旋回体
4 作業装置
5 旋回フレーム
5A 底板
5B 左縦板
5C 右縦板
5D 仕切部材
6 カウンタウエイト
9 貯油タンク
10 エンジン(原動機)
12 熱交換器
22 右後側面カバー(側面カバー)
25,41 カバー保持機構
26,42 ガイド板
26E,42E 面取部(外縁部)
27,43 長孔
27B,43B 前孔縁部(孔縁部)
28,44 ストッパ規制部
32,47,62 ストッパ部材
36,51 嵌合軸部
38,53,61 突起体(当接部)
39,54,67 凹溝部(係合部)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
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図15