特許第5684265号(P5684265)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5684265
(24)【登録日】2015年1月23日
(45)【発行日】2015年3月11日
(54)【発明の名称】ラテックス凝固ゴム複合材の形成
(51)【国際特許分類】
   C08J 3/20 20060101AFI20150219BHJP
【FI】
   C08J3/20 BCEQ
【請求項の数】15
【全頁数】43
(21)【出願番号】特願2012-529746(P2012-529746)
(86)(22)【出願日】2010年9月16日
(65)【公表番号】特表2013-505326(P2013-505326A)
(43)【公表日】2013年2月14日
(86)【国際出願番号】US2010002523
(87)【国際公開番号】WO2011034589
(87)【国際公開日】20110324
【審査請求日】2012年5月14日
(31)【優先権主張番号】61/276,876
(32)【優先日】2009年9月17日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】61/280,453
(32)【優先日】2009年11月4日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】391010758
【氏名又は名称】キャボット コーポレイション
【氏名又は名称原語表記】CABOT CORPORATION
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100077517
【弁理士】
【氏名又は名称】石田 敬
(74)【代理人】
【識別番号】100087413
【弁理士】
【氏名又は名称】古賀 哲次
(74)【代理人】
【識別番号】100111903
【弁理士】
【氏名又は名称】永坂 友康
(74)【代理人】
【識別番号】100102990
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 良博
(74)【代理人】
【識別番号】100160543
【弁理士】
【氏名又は名称】河野上 正晴
(72)【発明者】
【氏名】ティン ワン
(72)【発明者】
【氏名】メン−ジャオ ワン
(72)【発明者】
【氏名】バーナード マリアダス
(72)【発明者】
【氏名】ティルナブク カラス ゴビンダン
(72)【発明者】
【氏名】アンソニー ダス ティルヘルバナサン
(72)【発明者】
【氏名】ブン クァン リ
(72)【発明者】
【氏名】シュアン チャン
【審査官】 長谷川 大輔
(56)【参考文献】
【文献】 特表2000−507892(JP,A)
【文献】 特開2001−323071(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08J3/00−3/28
99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
凝固したラテックス複合材を生成する方法であって、
第1のエラストマーを含む第1のエラストマーラテックス及び微粒子フィラースラリーの凝固しつつある混合物を、導管に沿って流動させること、並びに
第2のエラストマーを含む第2のエラストマーラテックスを、前記凝固しつつある混合物の流動に導入すること、を含む方法。
【請求項2】
前記凝固しつつある混合物を流動させる前に、前記導管を備え且つ混合領域から吐出端まで伸長する細長い凝固領域を画定する凝固反応器の前記混合領域に、前記第1のエラストマーラテックスの連続流動を供給し、微粒子フィラーを含む流体の連続流動を前記凝固反応器の前記混合領域に加圧下で供給して、前記凝固しつつある混合物を形成することにより、前記凝固しつつある混合物を生成することを更に含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記微粒子フィラーを含む流体の連続流動が、0m/秒〜50m/秒の速度を有し、前記第1のエラストマーラテックスの連続流動が、最大で0m/秒の速度を有し、前記第2のエラストマーラテックスを導入する前の、前記凝固反応器中での前記凝固しつつある混合物の滞留時間が、1×10-2秒〜×10-2秒である、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記導管が、第1の直径を有する第1の導管部分、前記第1の直径より大きな第2の直径を有する第2の導管部分、及び前記第1の直径から前記第2の直径まで増加する直径を有するその間の移行領域を備え、流動させることが、前記凝固しつつある混合物を前記第1の導管部分から前記第2の導管部分に流動させることを含み、導入することが、前記移行領域で、前記第2のエラストマーラテックスを、前記凝固しつつある混合物に導入することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記凝固しつつある混合物を流動させることが、前記凝固しつつある混合物を、乱流の条件下で前記移行領域を通して流動させることを含む、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記複合材中の前記第2のエラストマーの量が、.5重量%〜0重量%である、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記第2のエラストマーが、合成エラストマーまたは天然ゴムラテックスである、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記微粒子フィラーが、STSAにより測定される少なくとも95m2/gの表面積、及び少なくとも80mL/100gのフタル酸ジブチル吸着量を有するカーボンブラックを含み、前記凝固したラテックス複合材が、少なくとも65phrの前記カーボンブラックを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記微粒子フィラーが、STSAにより測定される少なくとも68m2/gの表面積、及び少なくとも60mL/100gのフタル酸ジブチル吸着量を有するカーボンブラックを含み、前記凝固したラテックス複合材が、少なくとも70phrの前記カーボンブラックを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
前記微粒子フィラーが、少なくとも60mL/100gのフタル酸ジブチル吸着量を有するカーボンブラックを含み、前記カーボンブラックが、表面積を有し、前記凝固したラテックス複合材中に、L≧−0.26×S+94を満たす量で存在し、式中Lが、ゴムの百重量部当たりの重量部(phr)で表した、前記凝固したラテックス複合材中の前記カーボンブラックの量であり、Sが、m2/gで表した、STSAにより測定される表面積である、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
請求項1〜10のいずれか一項に記載の方法により形成されたエラストマー複合材。
【請求項12】
請求項1〜10のいずれか一項に記載の方法であって、
前記凝固しつつある混合物の前記流動が第1度乱流を示
前記方法が、前記第2のエラストマーラテックスを導入する前に、前記第1度乱流を第2度乱流に変化させることをさらに含み、並びに
前記凝固ゴム流動が前記第2度乱流を示す位置で、前記第2のエラストマーラテックスを前記凝固ゴムに導入することが行われる、方法。
【請求項13】
混合部分、及び入口端から開口吐出端へと断面積を次第に増加させて伸長する概して管状のディフューザー部分を有する凝固反応器を備える装置であって、前記入口端と前記開口吐出端との間に設置された入口がある前記ディフューザー部分に流体を供給するのに適するように構築された注入オリフィスを終端とする供給管により更に特徴付けられる装置。
【請求項14】
前記ディフューザー部分が、
第1の直径を有する第1のディフューザー区間、
前記第1の直径より大きな第2の直径を有する第2のディフューザー区間、及び
前記第1及び第2の区間の間にあり、前記第1の直径から前記第2の直径へと増加する直径を有する移行領域、
を備え、前記入口が、前記移行領域に設置されている、請求項13に記載の装置。
【請求項15】
前記第2のディフューザー区間の下流に設置され、前記第2の直径よりも大きな直径を有する少なくとも1つの追加的なディフューザー区間
前記混合部分と前記第1のディフューザー部分との間に配置され、前記第1の直径より小さな直径を有する少なくとも1つの追加的なディフューザー区間、または
その両方
を更に備える、請求項14に記載の装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、追加的なエラストマーラテックスをラテックス凝固ゴム複合材に導入することに関する。
【背景技術】
【0002】
商業的に重要な多数の製品は、微粒子フィラーが、種々の合成エラストマー、天然ゴム、又はエラストマーブレンドに分散されているエラストマー組成物で作られている。例えば、カーボンブラックは、天然ゴム及び他のエラストマーの補強剤として広く使用されている。マスターバッチ、すなわちフィラー、エラストマー、及びエキステンダー油等の種々の自由選択的な添加剤の予混合物を生成するのが一般的である。カーボンブラックマスターバッチは、一次カーボンブラック粒子を互いに融合させることにより形成されるカーボンブラック凝集体のサイズ及び複雑性を記述する1単位重量当たりの表面積及び構造が両方とも異なる、様々な等級の市販カーボンブラックを用いて調製される。商業的に重要な多数の製品は、天然ゴムに分散されたカーボンブラック微粒子フィラーのエラストマー組成物で作られている。そのような製品には、例えば、様々なエラストマー組成物を、トレッド部分、サイドウォール、ワイヤースキム(wire skim)、及びカーカスに使用することができる乗り物用タイヤが含まれる。他の製品には、例えば、エンジンマウントブッシング、コンベヤーベルト、及びフロントガラスワイパー等が含まれる。
【0003】
カーボンブラックマスターバッチを生成するには様々な方法がある。米国特許第6,841,606号(「606号特許」)で開示されている1つの方法では、カーボンブラックスラリー及びエラストマーラテックスが、バット中で混合され、その後、酸等の凝固剤を添加することにより凝固される。特開第2005220187号に開示されている、このプロセスの変法では、天然ゴムラテックスが20%ゴム含有量に希釈され(約24%ゴムから)、プロテアーゼと混合されて、ラテックスの非ゴム成分中のアミド結合が分解される。分解は、最終ゴム製品の性能を向上させると考えられる。その内容が参照により本明細書に組み込まれる米国特許第6,048,923号で開示されている別の方法では、エラストマーラテックスを含む第1の流体の連続流動が、凝固反応器の混合領域に供給される。カーボンブラックスラリーを含む第2の流体の連続流動が、加圧下で混合領域に供給され、エラストマーラテックスとの混合物が形成される。2つの流体の混合は、エネルギー的に十分であり、その後、凝固反応器の吐出端に至る前に、カーボンブラックを有するエラストマーラテックスは完全に凝固する。米国特許第6,075,084号で開示されているように、追加的なエラストマーを、凝固反応器の吐出端から出てくる物質に添加してもよい。米国特許第6,929,783号で開示されているように、その後、凝固ゴムを脱水押出機に供給してもよい。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
カーボンブラックの配合量が高いと、凝固ゴムは、カーボンブラック−エラストマー複合材の連続流動としてではなく、実質的に凝固ゴムを含まない水相により運ばれる複数の離散性カーボンブラック−エラストマー複合材領域として、凝固反応器から出てくる。一般的に、そのような不連続性の物質は、脱水押出機を容易に通過せず、脱水押出機内で逆流して目詰りを引き起こす場合がある。従って、脱水押出機等の装置でより容易に取り扱うことができる、高体積分率のカーボンブラックを含有する凝固ゴムの連続流動を調製することが望ましい。
【課題を解決するための手段】
【0005】
1つの実施形態では、本発明は、凝固したラテックス複合材を生成する方法である。本方法は、第1のエラストマーを含む第1のエラストマーラテックス及び微粒子フィラースラリーの凝固しつつある混合物を導管に沿って流動させること、及び第2のエラストマーを含む第2のエラストマーラテックスを、凝固しつつある混合物の流動に導入することを含む。本方法は、凝固しつつある混合物を流動させる前に、混合領域から吐出端まで伸長し、導管を備える細長い凝固領域を画定する凝固反応器の混合領域に、第1のエラストマーラテックスの連続流動を供給し、微粒子フィラーを含む流体の連続流動を凝固反応器の混合領域に加圧下で供給して、凝固しつつある混合物を形成することにより、凝固しつつある混合物を生成することを更に含んでいてもよい。
【0006】
微粒子フィラーを含む流体の連続流動は、約30m/秒〜約250m/秒の速度を有していてもよく、第1のエラストマーラテックスの連続流動は、最大で約10m/秒の速度を有してもよく、これら条件下では、第2のエラストマーラテックスを導入する前の凝固反応器中での凝固しつつある混合物の滞留時間は、1×10-2秒〜約6×10-2秒であってもよい。
【0007】
導管は、第1の直径を有する第1の導管部分、第1の直径より大きな第2の直径を有する第2の導管部分、及び第1の直径から第2の直径まで増加する直径を有するその間の移行領域を備えていてもよく、流動させることは、凝固しつつある混合物を第1の導管部分から第2の導管部分に流動させることを含んでいてもよく、導入することは、移行領域で、第2のエラストマーラテックスを、凝固しつつある混合物に導入することを含んでいてもよい。
【0008】
凝固しつつある混合物を流動させることは、凝固しつつある混合物を、乱流の条件下で移行領域を通して流動させることを含んでいてもよい。複合材中の第2のエラストマーの量は、約0.5重量%〜約50重量%、例えば、約16重量%〜約38重量%であってもよい。第2のエラストマーは、合成エラストマー又は天然ゴムラテックスであってもよい。天然ゴムラテックスには、農園ラテックス(field latex)、ラテックス濃縮物、スキムラテックス(skim latex)、又はこれらの2つ以上の組合せが含まれていてもよい。天然ゴムラテックスの成分は、化学的に又は酵素的に変性されてもよい。
【0009】
微粒子フィラーは、STSAにより測定される少なくとも95m2/gの表面積、及び少なくとも80mL/100gのフタル酸ジブチル吸着量を有するカーボンブラックを含んでいてもよく、凝固したラテックス複合材は、少なくとも65phrのそのようなカーボンブラックを含んでいてもよい。微粒子フィラーは、STSAにより測定される少なくとも68m2/gの、例えば少なくとも75m2/gの表面積、及び少なくとも60mL/100gのフタル酸ジブチル吸着量を有するカーボンブラックを含んでいてもよく、凝固したラテックス複合材は、少なくとも70phrのそのようなカーボンブラックを含んでいてもよい。微粒子フィラーは、少なくとも60mL/100gのフタル酸ジブチル吸着量を有するカーボンブラックを含んでいてもよく、カーボンブラックは、表面積を有し、凝固したラテックス複合材中に、L≧−0.26×S+94を満たす量で存在してもよく、式中Lは、ゴムの百重量部当たりの重量部(phr)で表した、凝固したラテックス複合材中のカーボンブラックの量であり、Sは、m2/gで表した、STSAにより測定される表面積である。
【0010】
別の実施形態では、本発明は、第1のエラストマーラテックス及び微粒子フィラースラリーの凝固しつつある混合物を導管に沿って流動させること、及び第2のエラストマーラテックスを、凝固しつつある混合物の流動に導入することを含む方法により形成されるエラストマー複合材である。
【0011】
本方法は、凝固しつつある混合物を流動させる前に、混合領域から吐出端まで伸長し、導管を備える細長い凝固領域を画定する凝固反応器の混合領域に、第1のエラストマーラテックスの連続流動を供給すること、及び微粒子フィラーを含む流体の連続流動を凝固反応器の混合領域に加圧下で供給して、凝固しつつある混合物を形成することにより、凝固しつつある混合物を生成することを更に含んでいてもよい。
【0012】
微粒子フィラーを含む流体の連続流動は、約30m/秒〜約250m/秒の速度を有していてもよく、第1のエラストマーラテックスの連続流動は、最大で約10m/秒の速度を有してもよく、これら条件下では、第2のエラストマーラテックスを導入する前の凝固反応器中での凝固しつつある混合物の滞留時間は、1×10-2秒〜約6×10-2秒であってもよい。
【0013】
導管は、第1の直径を有する第1の導管部分、第1の直径より大きな第2の直径を有する第2の導管部分、及び第1の直径から第2の直径まで増加する直径を有するその間の移行領域を備えていてもよく、流動させることは、凝固しつつある混合物を第1の導管部分から第2の導管部分に流動させることを含んでいてもよく、導入することは、第2のエラストマーラテックスを、移行領域で、凝固しつつある混合物に導入することを含んでいてもよい。凝固しつつある混合物を流動させることは、凝固しつつある混合物を、乱流の条件下で移行領域を通して流動させることを含んでいてもよい。
【0014】
複合材中の第2のエラストマーの量は、約0.5重量%〜約50重量%、例えば、約16重量%〜約38重量%である。第2のエラストマーは、合成エラストマー又は天然ゴムラテックスであってもよい。天然ゴムラテックスには、農園ラテックス、ラテックス濃縮物、スキムラテックス、又はこれらの2つ以上の組合せが含まれていてもよい。天然ゴムラテックスの成分は、化学的に又は酵素的に変性されてもよい。
【0015】
微粒子フィラーは、STSAにより測定される少なくとも95m2/gの表面積、及び少なくとも80mL/100gのフタル酸ジブチル吸着量を有するカーボンブラックを含んでいてもよく、エラストマー複合材は、少なくとも65phrのそのようなカーボンブラックを含んでいてもよい。微粒子フィラーは、STSAにより測定される少なくとも68m2/gの、例えば少なくとも75m2/gの表面積、及び少なくとも60mL/100gのフタル酸ジブチル吸着量を有するカーボンブラックを含んでいてもよく、エラストマー複合材は、少なくとも70phrのそのようなカーボンブラックを含んでいてもよい。微粒子フィラーは、少なくとも60mL/100gのフタル酸ジブチル吸着量を有するカーボンブラックを含んでいてもよく、そのようなカーボンブラックは、表面積を有し、エラストマー複合材中に、L≧−0.26×S+94を満たす量で存在してもよく、式中Lは、ゴムの百重量部当たりの重量部(phr)で表した、エラストマー複合材中のカーボンブラックの量であり、Sは、m2/gで表した、STSAにより測定される表面積である。
【0016】
別の実施形態では、本発明は、凝固したラテックス複合材を生成するための方法である。本方法は、第1のエラストマーを含む第1のエラストマーラテックス及び微粒子フィラースラリーの凝固しつつある混合物の、第1度乱流(first degree of turbulence)を示す流動を発生させること、第1度乱流を第2度乱流(second degree of turbulence)に変化させること、及び第2のエラストマーラテックスを、凝固ゴム流動が第2度乱流を示す位置で凝固ゴムに導入することを含む。
【0017】
流動を発生させることは、混合領域から吐出端まで伸長する細長い凝固領域を画定する凝固反応器の混合領域に、第1のエラストマーラテックスの連続流動を供給すること、及び微粒子フィラースラリーの連続流動を凝固反応器の混合領域に加圧下で供給して、凝固しつつある混合物を形成することを含んでいてもよい。微粒子フィラーを含む流体の連続流動は、約30m/秒〜約250m/秒の速度を有していてもよく、第1のエラストマーラテックスの連続流動は、最大で約10m/秒の速度を有してもよく、これら条件下では、第2のエラストマーラテックスを導入する前の凝固反応器中での凝固しつつある混合物の滞留時間は、1×10-2秒〜約6×10-2秒であってもよい。
【0018】
複合材中の第2のエラストマーの量は、約0.5重量%〜約50重量%、例えば、約16重量%〜約38重量%であってもよい。第2のエラストマーは、合成エラストマー又は天然ゴムラテックスであってもよい。天然ゴムラテックスには、農園ラテックス、ラテックス濃縮物、スキムラテックス、又はこれらの2つ以上の組合せが含まれていてもよい。天然ゴムラテックスの成分は、化学的に又は酵素的に変性されてもよい。
【0019】
微粒子フィラーは、STSAにより測定される少なくとも95m2/gの表面積、及び少なくとも80mL/100gのフタル酸ジブチル吸着量を有するカーボンブラックを含んでいてもよく、凝固したラテックス複合材は、少なくとも65phrのそのようなカーボンブラックを含んでいてもよい。微粒子フィラーは、STSAにより測定される少なくとも68m2/gの、例えば少なくとも75m2/gの表面積、及び少なくとも60mL/100gのフタル酸ジブチル吸着量を有するカーボンブラックを含んでいてもよく、凝固したラテックス複合材は、少なくとも70phrのそのようなカーボンブラックを含んでいてもよい。微粒子フィラーは、少なくとも60mL/100gのフタル酸ジブチル吸着量を有するカーボンブラックを含んでいてもよく、そのようなカーボンブラックは、表面積を有し、凝固したラテックス複合材中に、L≧−0.26×S+94を満たす量で存在してもよく、式中Lは、ゴムの百重量部当たりの重量部(phr)で表した、凝固したラテックス複合材中のカーボンブラックの量であり、Sは、m2/gで表した、STSAにより測定される表面積である。
【0020】
別の実施形態では、本発明は、混合部分と、入口端から開口吐出端まで横断面積を次第に増加させて伸長する概して管状のディフューザー部分とを有する凝固反応器を備える装置である。この装置は、入口端と開口吐出端との間に設置された入口があるディフューザー部分に流体を供給するのに適するように構築された注入オリフィスを終端とする供給管により更に特徴付けられる。
【0021】
ディフューザー部分は、第1の直径を有する第1のディフューザー区間、第2の直径を有する第2のディフューザー区間、及び上記第1及び第2のディフューザー区間間にある、第1の直径から第2の直径へと増加する直径を有する移行領域を含んでいてもよく、移行領域には入口が設置されている。
【0022】
装置は、第2のディフューザー区間の下流に設置され、第2の直径よりも大きな直径を有する少なくとも1つの追加的なディフューザー区間を更に含んでいてもよい。装置は、混合部分と第1のディフューザー部分との間に配置され、第1の直径より小さな直径を有する少なくとも1つの追加的なディフューザー区間を更に含んでいてもよい。
【0023】
先述の一般的な記述及び以下の詳細な記述は両方とも、例示及び説明に過ぎず、クレームされている本発明を更に説明するためのものであることが理解されるべきである。
【図面の簡単な説明】
【0024】
本発明は、以下の図面の幾つかの特徴を参照して説明される。
図1】本発明の例示的な実施形態によるラテックス凝固ゴム複合材を生成するための装置の概略図である。
図2】本発明の例示的な実施形態による、第2のエラストマーラテックスを凝固ゴムに注入するための装置の概略図である。
図3】本発明の例示的な実施形態による二次ラテックスを有するエラストマー複合材(正方形)及び二次ラテックスを有していないエラストマー複合材(菱形)の生成中に達成されたカーボンブラックの、表面積(STSA)の関数としての最高配合量を比較するグラフである。
図4】本発明の種々の実施形態によるエラストマー複合材を生成するための滞留時間に対する、達成されたN234カーボンブラックの最高配合量の関係性を示すグラフである(正方形−450〜500kg/時(乾燥量ベース)の生産速度;菱形−約200〜275kg/時(乾燥量ベース、一次ラテックス及びカーボンブラックのみに基づく)の生産速度)。
【発明を実施するための形態】
【0025】
連続湿式マスターバッチプロセスで、より高配合量のカーボンブラック等のフィラーを有するエラストマー複合材を生成することが望ましい場合が多いが、より高配合量のフィラーを含有する凝固したゴムは、下流の加工設備を通過させることが困難な場合がある。本発明者らは、意外にも、追加的なエラストマーラテックスを、高重量分率のフィラーを有する凝固しつつある混合物に添加することにより、「一体性凝固ゴム(coherent coagulum)」と呼ぶ、連続マスターバッチクラムがもたらされることを発見した。一体性凝固ゴムは粘性塊であるため、取扱い時に崩壊せず、French Oil Machinery Company社(ピクア、オハイオ州、米国)から入手可能な脱水押出機等の標準的設備を使用して容易に脱水することができる。これにより、優れた特性を有する加硫ゴムを生成するために使用することができる、高配合量のフィラーを有するエラストマー複合材の連続生産が可能になる。対照的に、一体性でないマスターバッチクラムは下流の設備で逆流し、下流の設備を詰まらせるか、又は脱水を無効にする。
【0026】
1つの実施形態では、凝固したラテックス複合材を生成する方法は、第1のエラストマーラテックス及び微粒子フィラースラリーの凝固しつつある混合物を導管に沿って流動させること、及び第2のエラストマーラテックスを、凝固しつつある混合物の流動に導入することを含む。
【0027】
図1に示されているように、微粒子フィラースラリーは、フィラー供給ライン12により凝固反応器11の混合部分10に供給される。エラストマーラテックスは、ラテックス供給ライン14により混合部分10に供給される。ラテックスは、混合部分10で凝固し始め、エラストマー及び微粒子フィラーを含む凝固しつつある混合物は、凝固反応器11のディフューザー部分16を通って進行する。図1に示されているように、ディフューザー部分16は、各区間がその前の区間18よりも次第により大きな直径を有する一連の区間18a〜18dを有する。好ましくは、移行領域20a〜cは、1つの区間18から次の区間へと徐々に増加する直径を備える。当業者であれば、ディフューザー部分は、図に示されているよりも多数の又は少数の区間18を有していてもよいことを認識するだろう。
【0028】
第2のエラストマーラテックスは、注入システム22により導入される。注入システム22は、貯蔵槽24、及び第2のエラストマーラテックスを注入ライン28により凝固反応器11に導くポンプ26を備える。好ましくは、ポンプ26は、凝固しつつある混合物が注入ライン28を逆流するのを防止するのに十分な圧力を発生するように操作される。他の好適な装置、例えば、異なるタイプのポンプ設備又は圧縮設備を使用して、第2のエラストマーラテックスを凝固しつつある混合物に導入してもよい。図1に示されているように、第2のエラストマーラテックスは、移行領域20aで凝固しつつある混合物に注入される。当業者であれば、第2のエラストマーラテックスの最適な注入位置は、凝固しつつある混合物及び第2のエラストマーラテックスの組成に応じて様々であってもよいことを認識するだろう。
【0029】
エラストマーラテックスは、ゴム粒子の水中エマルジョンである。粒子状のゴムは、ゴム分子の高度に粘性の高い流体であり、凝集及び一体化しないようにゴム粒子を安定化させる天然物質のシェルに囲まれている。ラテックスの不安定化は、その凝固を引き起こし、つまりゴム粒子は、互いに凝集及び一体化する。好ましい実施形態では、微粒子フィラースラリーの速度は、第1のエラストマーラテックスの速度より著しく速い。その結果生じる高剪断は、ラテックスを不安定化する。いかなる特定の理論によっても束縛されないが、微粒子スラリーをラテックスと高速混合することにより、微粒子によるゴム粒子表面の変性がもたらされ、これもラテックスを不安定にすると考えられる。また、互いに衝突するフィラー粒子は、ラテックス粒子と衝突しラテックス粒子を不安定にする場合がある凝集塊を形成する。これら要因の組合せは、エラストマーラテックスの不安定化を引き起こし、ゴム粒子は、ゴム間接触の形成により、又はそれらの表面のフィラー粒子を架橋してゴム−フィラー複合材凝集体を形成することより凝集する。
【0030】
いかなる特定の理論によっても束縛されないが、過剰な微粒子フィラーが存在下では、ゴム粒子又はゴム粒子の小さな凝集体は、フィラーで完全に修飾され、他のゴム粒子とのゴム間接触を形成する余地のあるゴム表面積がほとんど又は全くなくなると考えられる。これにより、ゴム−フィラー複合材凝集体が更に凝集して、連続したネットワークを形成することができる度合いが制限される。その代り、マスターバッチクラムは、一体性凝固ゴムを形成するのではなく、水相で分散した不連続の複合材領域の形態をとる。第2のエラストマーラテックスは、まだフィラー粒子で修飾されていないため、離散性ゴム−フィラー複合材凝集体と一緒に結合して、一体性凝固ゴムの形態の連続性ゴム−フィラー複合材を形成することができる新たなラテックス粒子を導入する。
【0031】
図1に示されている装置に類似した装置の場合、凝固ゴムの一体性に影響を及ぼす要因には、混合ブロックに注入される微粒子フィラーの量(例えば、目標フィラー配合量)、フィラーの形態(例えば、表面積、構造)、第2のエラストマーラテックス導入前の、第1のエラストマーラテックス及び微粒子フィラースラリーの混合物の滞留時間、及び混合物中への第2のエラストマーラテックスの適切な混合が含まれる。
【0032】
上記の理論によると、それを超えて追加的なラテックスを導入しても、離散性ゴム−フィラー複合材凝集体が、一体性凝固ゴムを形成することができなくなる限界がある。すなわち、ゴム粒子が完全に修飾された後で、混合物中に過剰なフィラーが存在する場合、第2のエラストマーラテックス流動中のゴム粒子は、既存のゴム−フィラー凝集体と一緒に結合するのではなく、過剰なフィラーで修飾されるようになるだろう。従って、第2のエラストマーラテックス流動の使用は、依然として一体性凝固ゴムを生成させつつ、達成可能なフィラー配合量レベルを増加させることができるが、増加の可能性は無限ではない。スラリー中のフィラー濃度、混合領域へのフィラースラリーの供給率及び速度、並びに最終複合材中のゴム総量に対する、第2のエラストマーラテックスと共に導入されたゴムの割合は全て、第2のエラストマーラテックスの有効性を最大限にするために最適化することができる。
【0033】
ある実施形態では、二次ラテックスは、二次ラテックスを用いずに連続湿式マスターバッチプロセスで生成されたエラストマー複合材と比べて、達成可能なフィラー配合量を、少なくとも0.5phr、例えば、0.5phr〜約15phr、約1phr〜約14phr、約2phr〜約13phr、約3phr〜約12phr、約4phr〜約11phr、約5phr〜約10phr、約6phr〜約9phr、約7phr〜約8phr、約1phr〜約7phr、約1phr〜約6phr、又は約1phr〜約5phrだけ向上させる(例えば、この量のフィラーを用いて生成されたエラストマー複合材は、一体性凝固ゴムの形態を有する)。
【0034】
ある好ましい実施形態では、二次ラテックスの使用は、連続湿式マスターバッチプロセスを使用して、少なくとも65phr、例えば、少なくとも70phr、又は65〜75phrのカーボンブラックを有するエラストマー複合材を生成することを可能にし、このカーボンブラックは、ASTM D6556(STSA)に示されている手順に従って、統計的厚さ法(STSA)により測定され、カーボンブラック1グラム当たりの平方メートルとして表される少なくとも95m2/gの表面積と、少なくとも80mL/100gの、例えば80mL/100g〜160mL/100gのフタル酸ジブチル(DBP)吸着量(ASTM D6854)により測定された構造とを有する。その代わりに又はそれに加えて、二次ラテックスの使用は、連続プロセスを使用して、少なくとも70phr、例えば、少なくとも75phr、又は70phr〜80phrのカーボンブラックを有するエラストマー複合材を生成することを可能にすることができ、このカーボンブラックは、STSAにより測定された少なくとも68m2/g、例えば75m2/gの表面積と、少なくとも60mL/100gの、例えば60mL/100g〜160mL/100gのDBP吸着量により測定された構造とを有する。その代わりに又はそれに加えて、二次ラテックスの使用は、連続湿式マスターバッチプロセスを使用して、少なくとも60mL/100mg、例えば少なくとも80mL/100mg、少なくとも100mL/100mg、又は60mL/100mg〜160mL/100mgのDBP吸着量を有し、表面積を有し、L≧−0.26×S+94、例えばL≧−0.26×S+97、又はL≧−0.26×S+100、又はL≧−0.26×S+104、又は−0.26×S+94≦L≦−0.26×S+110を満たす量で存在していているカーボンブラックを含有するエラストマー複合材を生成することを可能にし、式中Lは、ゴムの百重量部当たりの重量部で表したエラストマー複合材中のカーボンブラックの量(phr)であり、Sは、STSA(ASTM D6556)として測定され、m2/gで表された表面積であり、Sは随意に、少なくとも65m2/g、少なくとも95m2/g、少なくとも110m2/g、又は65m2/g〜400m2/g、例えば65m2/g〜220m2/g、95m2/g〜200m2/g、又は110m2/g〜180m2/gである。
【0035】
更に、上記の理論によると、第2のエラストマーラテックスの有効性は、実質的に全てのフィラーが、第1のエラストマーラテックス中のゴム粒子に吸着されるまで導入されない場合に、最大化されるだろう。そうでなければ、二次ラテックス粒子は、既存のゴム−フィラー凝集体に結合するのではなく、フィラーを修飾するようになる。フィラースラリー及びエラストマーラテックスが一緒に混合され、フィラー粒子のゴム粒子への吸着を可能にするために必要な時間は、部分的には、どの程度のエネルギーで2つの流体が一緒に混合されるのかに依存する。図1に示されている装置と類似した装置の場合、第1のエラストマーラテックスは、約10m/秒未満、例えば、約1〜約10m/秒、約1.5〜約8m/秒、約2〜約6m/秒、約3〜約5m/秒、又は約4〜約7m/秒の速度で混合部分10に供給され、微粒子フィラースラリーは、少なくとも30m/秒、例えば、約30〜約250m/秒、又は約60〜約150m/秒の速度で混合部分10に供給され、二次ラテックスを注入する前の好ましい滞留時間、つまり、微粒子スラリーの混合物が、混合部分10から、二次ラテックスが注入される位置に移動するのに必要な時間は、約1×10-2秒〜約6×10-2秒、例えば、1.5×10-2秒〜約5.5×10-2秒、約1.85×10-2秒〜約5×10-2秒、約2×10-2秒〜約4×10-2秒、約2.25×10-2秒〜約3.5×10-2秒、約2.1×10-2秒〜約3×10-2秒、又は約2.25×10-2秒〜約2.9×10-2秒である。また、本発明者らは、第2のエラストマーラテックスを導入する前の滞留時間が過剰であると、その結果生じる凝固ゴムが一体性ではなく不連続性になる前の最大フィラー配合量が低減されることを見出した。いかなる特定の理論によっても束縛されないが、これは、第1のエラストマーラテックス及び微粒子フィラースラリーの凝固しつつある混合物への、第2のエラストマーラテックスの混合が不完全であり、二次ラテックスの有効性が低減されることに起因する可能性がある。本発明者らは、第2のエラストマーラテックスが、ディフューザーのはるか下流で注入される場合、凝固しつつある混合物の流動とよくブレンドしないことを見出した。滞留時間を変化させて、種々の操業条件を最適化することができ、好適な範囲は、生産速度に応じて様々であってもよい。
【0036】
また、注入システム22の物理的構成を調整して、混合物への第2のエラストマーラテックスの混合を最適化することができる。ディフューザーの上流部分を通る凝固しつつある混合物の初期流動は、比較的乱流である。凝固しつつある混合物が下流へと進行すると共に、この乱流は徐々に弱まり、ディフューザーの出口34からの凝固ゴムの流動は、ほぼ層流である。いかなる特定の理論によっても束縛されないが、移行部20aの第1及び第2の区間18a及び18b間での流動断面の拡張に伴う乱流は、凝固しつつあるゴム−フィラー複合材にその地点で注入された第2のエラストマーラテックスの混合を容易にすると考えられる。混合及び乱流に影響を及ぼす他の要因には、スラリー注入地点からの距離、注入速度、第1及び第2のディフューザー区間間の断面積の差、二次ラテックス流動の注入速度、及び二次ラテックス流動の注入角度が含まれる。
【0037】
例えば、ディフューザー18bの第2の区間は、ディフューザー18aの第1の区間の断面積の約1.2〜3.5倍、例えば、約1.2〜約1.4倍、約1.4〜約1.6倍、約1.5〜約1.7倍、約1.7〜1.9倍、約1.9〜約2.1倍、約2.1〜約2.3倍、約2.3〜約2.5倍、約2.5〜約2.7倍、約2.7〜約2.9倍、約2.9〜約3.1倍、約3.1倍〜約3.3倍、又は約3.3〜約3.5倍を超える断面積を有していてもよい。特定の例では、区間18b及び18aの断面積の比率は、約2、約2.5、又は約3であってもよい。ディフューザー18a〜18dの種々の区間の長さ、及び下流区間18c及び18dの寸法は、米国特許第6,048,923号に記載されている通りであってもよく、この文献の内容は、参照により本明細書に組み込まれる。ある実施形態では、第1の区間18aの長さは、約2インチ(5.08cm)〜約9インチ(35.8cm)、例えば、約2インチ(5.08cm)〜約3インチ(7.62cm)、約3インチ(7.62cm)〜約4インチ(10.2cm)、約4インチ(10.2cm)〜約5インチ(12.7cm)、約5インチ(12.7cm)〜約6インチ(15.2cm)、約6インチ(15.2cm)〜約7インチ(17.8cm)、約7インチ(17.8cm)〜約8インチ(20.3cm)、又は約8インチ(20.3cm)〜約9インチ(35.8cm)であってもよい。最適な長さは、様々であってもよく、一般的に生産速度と共に増加する。
【0038】
第2のエラストマーラテックスを、凝固しつつある混合物に導入するための例示的な手法は、図2に例示されている。図2に示されているように、第2のエラストマーラテックスは、注入オリフィス42aを有する注入器42に注入ライン28を接続するニップル40により、凝固しつつある混合物に導入される。o−リング44を使用して、ニップル40内の密閉を向上させてもよい。凝固反応器の軸に対して45度の角度で、凝固しつつある混合物に第2エラストマーラテックスを注入する注入器42が示されているが、当業者であれば、角度及び注入器のサイズは、凝固しつつある混合物及び第2のエラストマーラテックスの組成に応じて様々であってもよいことを認識するだろう。例えば、注入器42が移行区域20aの壁面に対して直角にある場合、移行区域20aの角度は、0.5°〜25°、例えば、0.5°〜1°、1°〜2°、2°〜3°、3°〜4°、4°〜5°、5°〜6°、6°〜7°、7°〜8°、8°〜9°、9°〜10°、10°〜11°、11°〜12°、12°〜13°、13°〜14°、14°〜15°、15°〜16°、16°〜17°、17°〜18°、18°〜19°、19°〜20°、20°〜21°、21°〜22°、22°〜23°、23°〜24°又は24°〜25°であってもよい。別の例では、注入オリフィス42aの内径は、0.045〜0.25インチであってもよく、又はディフューザー部分16のサイズに応じて更により大きくてもよい。例えば、注入オリフィス42aの内径は、0.045インチ(0.11cm)〜0.055インチ(0.14cm)、0.055インチ(0.14cm)〜0.06インチ(0.15cm)、0.06インチ(0.15cm)〜0.065インチ(0.17cm)、0.065インチ(0.17cm)〜0.07インチ(0.18cm)、0.07インチ(0.18cm)〜0.075インチ(0.19cm)、0.075インチ(0.19cm)〜0.08インチ(0.20cm)、0.08インチ(0.20cm)〜0.09インチ(0.23cm)、0.09インチ(0.23cm)〜0.1インチ(0.25cm)、0.1インチ(0.25cm)〜0.125インチ(0.32cm)、0.125インチ(0.32cm)〜0.15インチ(0.38cm)、0.15インチ(0.38cm)〜0.175インチ(0.44cm)、0.175インチ(0.44cm)〜0.2インチ(0.51cm)、0.2インチ(0.51cm)〜0.225インチ(0.57cm)、又は0.225インチ(0.57cm)〜0.25インチ(0.64cm)であってもよい。当業者であれば、注入オリフィスのサイズは、例えば所望の流速及び圧力に応じて様々であってもよいことを認識するだろう。例えば、注入圧力は、2〜8bar(0.2〜0.8MPa)、3〜8bar(0.3〜0.8MPa)、4〜7bar(0.4〜0.7MPa)、又は5〜6bar(0.5〜0.6MPa)であってもよい。他の好適な設計も使用することができる。例えば、注入オリフィスは、注入器42に対して徐々に内側にテーパーしていてもよく、又は注入器42と同じ直径を有していてもよい。
【0039】
第2のエラストマーラテックスは、凝固しつつある混合物を調製するために使用されるものと同じ組成を有してもよく、又はなんらかの点で異なってもよい。例えば、第2のエラストマーラテックスは、異なる供給源に由来するか又は異なる濃度のゴム及び流体を有するエラストマーラテックスであってもよい。その代わりに又はそれに加えて、第2のエラストマーラテックスは、第1のエラストマーラテックスと異なる化学的変性(非変性を含む)を受けていてもよい。
【0040】
ある実施形態では、第1のエラストマーラテックス(つまり、凝固しつつある混合物中のエラストマーラテックス)及び第2のエラストマーラテックスのうちの少なくとも1つ及び好ましくは両方は、天然ゴムラテックスから調製される。例示的な天然ゴムラテックスには、これらに限定されないが、農園ラテックス、ラテックス濃縮物(例えば、蒸発、遠心分離、又はクリーミングにより生成される)、スキムラテックス(天然ゴムラテックスの遠心分離の副産物)、及びこれらの任意の2つ又は3つの任意の割合のブレンドが含まれる。ラテックスは、選択された湿式マスターバッチプロセス、並びに最終ゴム製品の使用目的及び応用に適切であるべきである。ラテックスは、典型的には水性キャリア流体で提供される。好適なラテックス又はラテックスのブレンドの選択は、本開示の利益及び当産業で一般的によく認識されている選択基準に関する知識を考慮すると、十分に当業者の能力内であろう。
【0041】
天然ゴムラテックスも、幾つかの様式で化学的に変性されていてもよい。例えば、天然ゴムラテックスは、化学的に又は酵素的に種々の非ゴム成分を変性又は還元するように処理されてもよく、ゴム分子それ自体が、種々の単量体又は塩素等の他の化学基で変性されていてもよい。天然ゴムラテックスを化学的に変性する例示的な方法は、以下の文献に開示されている:欧州特許出願公開第1489102号、第1816144号、及び第1834980号、特開第2006152211号、第2006152212号、第2006169483号、第2006183036号、第2006213878号、第2006213879号、第2007154089号、及び第2007154095号、米国特許第6841606号及び第7312271号、並びに米国特許出願公開第2005−0148723号。当業者に公知である他の方法も同様に使用することができる。
【0042】
代替的な実施形態では、第1のエラストマーラテックス(つまり、凝固しつつある混合物中のエラストマーラテックス)及び第2のエラストマーラテックスのうちの少なくとも1つは、合成エラストマーラテックスを使用して調製される。合成エラストマーラテックスのエラストマーは、示差走査熱量測定法により測定される、約−120℃〜20℃の範囲のガラス転移温度(Tg)を有していてもよい。合成ラテックスは、ゴム又は「ジエン」エラストマーのラテックスであってもよい。用語「ジエン」エラストマー又はゴムは、公知のように、少なくとも部分的には、ジエン単量体(共役であってもよく又は共役でなくともよい2つのカーボン間二重結合を保持する単量体)から生じる(つまり、ホモポリマー又はコポリマー)エラストマー(1つ又は複数と理解される)を意味すると理解されるべきである。
【0043】
これらジエンエラストマーは、2つの分類:「本質的に不飽和」又は「本質的に飽和」に分類することができる。用語「本質的に不飽和」は、一般的に、少なくとも部分的には、15%(mol%)を超えるジエン由来単位(共役ジエン)のレベルを有する共役ジエンモノマーから生じるジエンエラストマーを意味すると理解され、従って、ジエン及びEPDMタイプのα−オレフィンのブチルゴム又はコポリマー等のジエンエラストマーは、上記の定義内に入らず、特に「本質的に飽和」ジエンエラストマーと記述することができる(低いか又は非常に低いレベルのジエン由来単位、常に15%未満)。「本質的に不飽和」ジエンエラストマーの分類では、用語「高度不飽和」ジエンエラストマーは、特に、50%を超えるジエン由来単位(共役ジエン)のレベルを有するジエンエラストマーを意味すると理解される。
【0044】
本発明による第1のエラストマーラテックス又は第2のエラストマーラテックスの合成ジエンエラストマーは、好ましくは、ポリブタジエン(「BR」と略する)、合成ポリイソプレン(IR)、ブタジエンコポリマー、イソプレンコポリマー、及びこれらエラストマーの混合物からなる高度不飽和ジエンエラストマーの群から選択される。そのようなコポリマーは、より好ましくは、ブタジエン/スチレンコポリマー(SBR)、イソプレン/ブタジエンコポリマー(BIR)、イソプレン/スチレンコポリマー(SIR)、及びイソプレン/ブタジエン/スチレンコポリマー(SBIR)からなる群から選択される。
【0045】
エラストマーは、例えば、ブロックエラストマー、ランダムエラストマー、シーケンシャル(sequential)エラストマー、又はマイクロシーケンシャル(microsequential)エラストマーであってもよく、分散系又は溶液で調製することができ、それらは、カップリング剤及び/又は星状分岐剤又は官能化剤を用いてカップリング及び/又は星状分岐化又は同様に官能化されていてもよい。カーボンブラックとのカップリングの場合、例えば、C−Sn結合を含む官能基又はベンゾフェノン等のアミノ化官能基に言及することができ、例えばシリカ等の補強用無機フィラーとのカップリングの場合、例えば、シラノール官能基又はシラノール端を有するポリシロキサン官能基(例えば、米国特許第6 013 718号に記載のもの等)、アルコキシシラン記(例えば、米国特許第5 977 238号に記載のもの等)、カルボキシル基(例えば、米国特許第6 815 473号又は米国特許出願公開第2006/0089445号に記載のもの等)、又はポリエーテル基(例えば、米国特許第6 503 973号に記載のもの等)に言及することができる。そのような官能化エラストマー他の例として、エポキシ化タイプのエラストマー(SBR、BR、NR、又はIR等)にも言及することができる。
【0046】
以下のものが、好ましく好適である:ポリブタジエン、特に4%〜80%の1,2単位の含有量を有するもの、又は80%を超えるcis−1,4単位の含有量を有するもの;ポリイソプレン、ブタジエン/スチレンコポリマー、特に5%〜70重量%、より詳しくは10%〜50%、例えば20%〜40重量%又は約23%〜約28重量%のスチレン含有量、4%〜65%のブタジエン部分の1,2−結合の含有量、及び20%〜80%のtrans−1,4−結合の含有量を有するもの;ブタジエン/イソプレンコポリマー、特に5%〜90重量%のイソプレン含有量、及び−40℃〜−80℃のガラス転移温度(「Tg」−ASTM D3418−82に従って測定される)を有するもの;又はイソプレン/スチレンコポリマー、特に5%〜50重量%のスチレン含有量、及び−25℃〜−50℃のTgを有するもの。
【0047】
ブタジエン/スチレン/イソプレンコポリマーの場合、5%〜50重量%の、及びより詳しくは10%〜40%のスチレン含有量、15%〜60重量%の、及びより詳しくは20%〜50%のイソプレン含有量、5%〜50重量の%及びより詳しくは20%〜40%のブタジエン含有量、4%〜85%のブタジエン部分の1,2−単位の含有量、6%〜80%のブタジエン部分のtrans−1,4−単位の含有量、5%〜70%のイソプレン部分の1,2−及び3,4−単位の含有量、及び10%〜50%のイソプレン部分のtrans−1,4−単位の含有量を有するもの、並びにより一般的には、−20℃〜−70℃のTgを有する任意のブタジエン/スチレン/イソプレンコポリマーが特に好適である。
【0048】
例示的な合成エラストマーには、これらに限定されないが、1,3−ブタジエン、スチレン、イソプレン、イソブチレン、2,3−ジアルキル−1,3−ブタジエンのゴム及びポリマー(例えば、ホモポリマー、コポリマー、及び/又はターポリマー)が含まれ、アルキルは、メチル、エチル、プロピル等、アクリロニトリル、エチレン、及びプロピレン等であってもよい。例としては、これらに限定されないが、以下のものが含まれる:スチレン‐ブタジエンゴム(SBR)、ポリブタジエン、ポリイソプレン、ポリ(スチレン−コ−ブタジエン)、ポリブタジエン、ポリイソプレン、及びポリクロロプレン等の共役ジエンのポリマー及びコポリマー、並びにそのような共役ジエンの、スチレン、メチルスチレン、クロロスチレン、アクリロニトリル、2−ビニル−ピリジン,5−メチル−2−ビニルピリジン、5−エチル−2−ビニルピリジン、2−メチル−5−ビニルピリジン、アリル置換アクリラート、ビニルケトン、メチルイソプロペニルケトン、メチルビニルエーテル(methyl vinyl either)、アルファメチレンカルボン酸、及びアクリル酸及びジアルキルアクリル酸アミド等のそれらのエステル及びアミド等の、それと共に共重合可能なエチレン基含有モノマーとのコポリマー。本明細書で考察したエラストマーのいずれかのブレンド及び/又は油展誘導体も使用することができる。また、本明細書での使用に好適なのは、エチレン、並びにプロピレン、ブテン−1、及びペンテン−1等の他の高級アルファオレフィンのコポリマーである。
【0049】
幾つかの実施形態では、エラストマーラテックス流動と共に、凝固剤、例えば塩又は酸性溶液を注入して、エラストマーの凝固を促進することが望ましい場合がある。
【0050】
微粒子フィラー流体は、カーボンブラックスラリー又は好適なキャリア流体中の任意の他の好適なフィラーであってもよい。キャリア流体の選択は、微粒子フィラーの選択及びシステムパラメーターに大きく依存するだろう。水性及び非水性流体の両方を使用することができ、そのコスト、入手しやすさ、並びにカーボンブラック及びある他のフィラースラリーの生成に使用する適合性を考慮して、多くの実施形態では、水が好ましい。また、少量の水混和性有機溶媒が、水性キャリア流体に含まれていてもよい。
【0051】
微粒子フィラー又は微粒子フィラーの混合物の選択は、エラストマーマスターバッチ生成物の使用目的に大きく依存するだろう。本明細書で使用される場合、微粒子フィラーは、マスターバッチクラムを生成するために使用されるマスターバッチプロセスで使用するのに適切な任意の物質を含んでいてもよい。好適な微粒子フィラーには、例えば、伝導性フィラー、補強用フィラー、短繊維(典型的には、40未満のL/Dアスペクト比を有する)、フレーク等を含むフィラーが含まれる。下記でより詳細に考察されているカーボンブラック及びシリカタイプのフィラーに加えて、フィラーは、粘土、ガラス、アラミド繊維等のポリマーで形成されていてもよい。エラストマー組成物での使用に好適な任意のフィラーを、本発明の種々の実施形態によるエラストマー複合材に組み込むことができると予想される。無論、本明細書で考察された種々の微粒子フィラーのブレンドも使用することができる。
【0052】
カーボンブラックフィラーが使用される場合、カーボンブラックの選択は、エラストマーマスターバッチ生成物の使用目的に大きく依存するだろう。随意に、カーボンブラックフィラーは、当業者により選択された特定の湿式マスターバッチプロセスでは、スラリーにしてラテックスと混合することができるあらゆる物質を含むこともできる。例示的な微粒子フィラーには、これらに限定されないが、カーボンブラック、ヒュームドシリカ、沈殿シリカ、被膜カーボンブラック、有機基を結合させたもの等の化学的に官能化されたカーボンブラック、及びシリコン処理カーボンブラックが、単独又は互いの組合せのいずれかで含まれる。例示的なカーボンブラックには、ASTM N100シリーズ〜N900シリーズのカーボンブラック、例えばN100シリーズのカーボンブラック、N200シリーズのカーボンブラック、N300シリーズのカーボンブラック、N700シリーズのカーボンブラック、N800シリーズのカーボンブラック、又はN900シリーズのカーボンブラックが含まれる。ASTM N100、N200、及び/又はN300シリーズのブラック、及び/又は同様に大きいか又はより大きな表面積、例えば、ASTM D6556(STSA)に示されている手順に従って、統計的厚さ法(STSA)により測定され、カーボンブラック1グラム当たりの平方メートルとして表された、68m2/g以上の、例えば75m2/g以上、又は95m2/g以上の、例えば68m2/g〜400m2/gの表面積を有するカーボンブラックを含有するエラストマー複合材は、本明細書の教示から特に利益を得ることができる。ある好ましい実施形態では、そのようなカーボンブラックは、少なくとも60mL/100g、例えば少なくとも80mL/100g、又は60mL/100g〜160mL/100gのフタル酸ジブチル吸着量により測定される構造を有する。以下の商標名で販売されているカーボンブラック及びゴム又はタイヤに応用するための使用に好適な他のフィラーも種々の実施形態での使用に利用することができる:Cabot Corporation社から入手可能なRegal(登録商標)、Black Pearls(登録商標)、Spheron(登録商標)、Sterling(登録商標)、及びVulcan(登録商標)の商標名、Columbian Chemicals社から入手可能なRaven(登録商標)、Statex(登録商標)、Furnex(登録商標)、及びNeotex(登録商標)の商標名、並びにCD及びHVライン、Evonik (Degussa) Industries社から入手可能なCorax(登録商標)、Durax(登録商標)、Ecorax(登録商標)、及びPurex(登録商標)の商標名、並びにCKライン。好適な化学的に官能化されたカーボンブラックには、国際出願PCT/US95/16194号(国際公開第96/18688号)に開示されているものが含まれ、その開示は、参照により本明細書に組み込まれる。
【0053】
シリコン被膜及びシリコン処理カーボンブラックを、種々の実施形態で使用することができる。シリコン処理カーボンブラックでは、シリコンの酸化物又はカーバイド等のシリコン含有種が、カーボンブラックの固有な部分として、カーボンブラック凝集体の少なくとも一部にわたって分布している。従来のカーボンブラックは、炭素の単一相からなる各凝集体との凝集体の形態で存在する。この相は、黒鉛結晶子及び/又は無定形炭素の形態で存在していてもよく、通常はこの2つの形態の混合物である。カーボンブラック凝集体は、カーボンブラック凝集体の表面の少なくとも一部に、シリカ等のシリコン含有種を堆積させることにより変性されていてもよい。結果は、シリコン被膜カーボンブラックと記述することができる。
【0054】
本明細書でシリコン処理カーボンブラックと記述されている材料は、被膜されているか又はそうでなければ変性されているカーボンブラック凝集体ではないが、実際には2つの相を有する異なる種類の凝集体である。1つの相は、依然として黒鉛結晶子及び/又は無定形炭素として存在しているであろう炭素であり、第2の相は、シリカ(及び恐らくは他のシリコン含有種)である。従って、シリコン処理カーボンブラックのシリコン含有種相は、凝集体の固有な部分であり、それは、凝集体の少なくとも一部にわたって分布している。様々なシリコン処理ブラックが、Ecoblack(商標)の名でCabot Corporation社から入手可能である。多相凝集体は、それらの表面に堆積したシリコン含有種を有する、事前に形成された単相カーボンブラック凝集体からなる、上記で言及したシリカ被膜カーボンブラックとは全く異なることが認識されるだろう。そのようなカーボンブラックは、例えば、米国特許第6,929,783号に記載のように、カーボンブラック凝集体の表面にシリカ官能性を付加するために表面処理されてもよい。
【0055】
また、それが好適な場合は、1つ又は複数の添加剤を、微粒子スラリー又はエラストマーラテックス流体と予混合してもよく、又は凝固中にそれらの混合物と混合してもよい。添加剤は、凝固しつつある混合物に混合することもできる。多数の添加剤が当業者に周知であり、それらには、例えば、酸化防止剤、オゾン劣化防止剤、可塑剤、加工助剤(例えば、液状ポリマー、及び油類等)、樹脂、難燃剤、エキステンダー油、潤滑剤、カップリング剤、及びそれらのいずれかの混合物が含まれる。例示的な添加剤には、これらに限定されないが、酸化亜鉛及びステアリン酸が含まれる。そのような添加剤の一般的な使用及び選択は、当業者に周知である。本明細書で開示されたエラストマー複合材には、加硫組成物(VR)、熱可塑性加硫ゴム(TPV)、熱可塑性エラストマー(TPE)、及び熱可塑性ポリオレフィン(TPO)が含まれると理解されるべきである。TPV、TPE、及びTPO材料は、性能特徴を失わずに数回押出し及び成形されるそれらの能力により更に分類される。
【0056】
複合材中のゴム総量に対する第2のエラストマーの割合(つまり、凝固ゴム中のゴムの総量に対する、第2のエラストマーラテックスが凝固ゴムに占めるゴムの量)は、例えば2つのエラストマーラテックスの相対的流速を調整することにより調整することができる。フィラー配合量を最適化するために操作することができる他の変数には、第1のエラストマーラテックス及びフィラースラリーの絶対的流速(例えば、生産速度)、第1のエラストマーラテックス及びフィラースラリーの相対的流速(例えば、フィラー配合量)、第2のエラストマーラテックスが注入される位置、及び注入器42のサイズが含まれる。ゴム総量に対する第2のエラストマーの割合は、約0.5重量%〜約50重量%、例えば、約1重量%〜約45重量%、約5重量%〜約40重量%、約10重量%〜約15重量%、約15重量%〜約20重量%、約20重量%〜約25重量%、約25重量%〜約30重量%、約30重量%〜約35重量%、約35重量%〜約40重量%、又は約40重量%〜約45重量%であってもい。ある実施形態では、割合は、約16重量%〜約38重量%であってもよい。使用することができる第2のエラストマーの割合は、部分的に所望の組成に依存する場合があるが、初期の凝固しつつある混合物を生成するために混合部分10に注入されるべきである第1のエラストマーラテックスの量に依存して物理的に制限される場合がある。
【0057】
エラストマー複合材中のフィラーの量は、エラストマー複合材を製作するために使用されるフィラーのいかなる量であってもよい。例えば、ゴムは、少なくとも約10phr(ゴムの百重量部当たりの重量部)、少なくとも約20phr、少なくとも約30phr、少なくとも約40phr、少なくとも約50phr、少なくとも約55phr、少なくとも約60phr、少なくとも約65phr、少なくとも約70phr、少なくとも約75phr、少なくとも約80phr、少なくとも約85phr、少なくとも約90phr、少なくとも約95phr、又は少なくとも約100phrのフィラーを用いて生成することができる。しかしながら、本明細書の教示は、より高配合量の、例えば、約40phr〜約100phr、約50phr〜約95phr、約55phr〜約90phr、約60phr〜約85phr、約60phr〜約80phr、約65phr〜約75phr、又は約45phr〜約70phrのフィラーの場合、他の湿式マスターバッチ法に対して大きな利点を提供するだろう。当業者であれば、高配合量を構成するものは、例えばその表面積及び構造を含むフィラーの形態に依存することになることを認識するだろう。
【0058】
幾つかの実施形態では、二次ラテックスの使用は、最大フィラー配合量(例えば、一体性凝固ゴムが生成されるフィラーの最大配合量)を、二次ラテックスを使用せずに一体性凝固ゴムを生成するフィラーの最大配合量に対して、約3%〜約30%、例えば、約3%〜約5%、約5%〜約10%、約10%〜約15%、約15%〜約20%、約20%〜約25%、又は約25%〜約30%増加させる。
【0059】
第1のエラストマーラテックス、微粒子フィラースラリー、及び第2のエラストマーラテックスから生成されるマスターバッチクラムは、凝固反応器11へのエラストマーラテックス及び微粒子フィラースラリー流動の供給が進行する同時に、凝固反応器の吐出端から凝固ゴムの実質的に一定の流動として出てくる。好ましくは、マスターバッチクラムは、凝固したラテックスの離散性球状体が水性キャリアにより離間されている不連続流動の複合材ではなく、「一体性凝固ゴム」、凝固したラテックス内にカーボンブラックが分散されている連続的複合材の形態である。にもかかわらず、不連続凝固ゴムは、手作業又はバッチでの脱水法で処理し、その後熱乾燥することができる。好ましくは、連続的凝固ゴムが生成され、その後、例えば約70〜85%の含水量を有する望ましい押出物に形成される。形成後、その結果生じたマスターバッチクラムは、好適な乾燥及び配合装置に渡すことができる。
【0060】
1つの実施形態では、マスターバッチクラムは、凝固反応器11から、単純な重力落下により脱水押出機へと渡されるか、又は当業者に公知の他の好適な装置へと渡される。脱水押出機は、エラストマー複合材を、例えばおよそ70〜85%の含水量から、所望の含水量、例えばおよそ1%〜20%の含水量にすることができる。最適な含水量は、使用されるエラストマー、フィラーのタイプ、及び所望の下流処理手順に応じて様々であってもよい。好適な脱水押出機は、周知であり、例えばFrench Oil Mill Machinery Co.社(ピクア、オハイオ州、米国)から市販されている。
【0061】
脱水した後、その結果生じた脱水凝固ゴムを乾燥してもよい。ある実施形態では、脱水凝固ゴムは、単に熱乾燥される。好ましくは、脱水押出機から出てきた脱水凝固ゴムは、乾燥中に機械的に素練りされる。例えば、脱水凝固ゴムは、連続混合機、密閉式混合機、2軸押出機、単軸押出機、又はローラーミルの1つ又は複数を用いて機械的に処理してもよい。好適な素練り装置は、周知であり、市販されており、それらには以下のものが含まれる:例えば、Farrel Corporation社製、アンソニア、コネティカット州のUnimix Continuous Mixer及びMVX(Mixing(混合)、Venting(通気)、eXtruding(押出))機、Pomini,Inc.社製の長連続混合機、Pomini Continuous Mixer、2ローター同方向回転噛合押出機、2ローター逆回転非噛合押出機、バンバリー混合機、ブラベンダー混合機、噛合型密閉式混合機、混練型密閉式混合機、連続配合押出機、神戸製鋼所社製の2軸ミリング押出機(biaxial milling extruder)、及びKobe Continuous Mixer。本発明の種々の実施形態での使用に好適な代替的な素練り装置は、当業者によく知られているだろう。脱水複合材を機械的に素練りするための例示的な方法は、米国特許第6,929,783号及び第6,841,606号、並びにPCT出願第US09/000732号に開示されており、これら文献の全ての内容は、参照により本明細書に組み込まれる。
【0062】
ある実施形態では、添加剤は、機械式混合機中で脱水凝固ゴムと混合することができる。詳しくは、フィラー(凝固反応器で使用されるフィラーと同じであってもよく、又は異なっていてもよく、例示的なフィラーには、シリカ及び酸化亜鉛が含まれ、酸化亜鉛は硬化剤としても作用する)、他のエラストマー、他の又は追加的なマスターバッチ、酸化防止剤、オゾン劣化防止剤、可塑剤、加工助剤(例えば、硬化剤として使用することもできるステアリン酸、液状ポリマー、油類、及びワックス等)、樹脂、難燃剤、エキステンダー油、潤滑剤、及びそれらのいずれかの混合物等の添加剤を、機械式混合機に添加することができる。ある他の実施形態では、追加的なエラストマーを脱水凝固ゴムと混合して、エラストマーブレンドを生成することができる。例示的なエラストマーには、これらに限定されないが、1,3−ブタジエン、スチレン、イソプレン、イソブチレン、2,3−ジアルキル−1,3−ブタジエンのゴム、ポリマー(例えば、ホモポリマー、コポリマー、及び/又はターポリマー)が含まれ、アルキルは、メチル、エチル、プロピル等、アクリロニトリル、エチレン、及びプロピレン等であってもよい。マスターバッチブレンドを生成する方法は、本発明者らが共同で所有する米国特許第7,105,595号、第6,365,663号、及び第6,075,084号に開示されている。その代わりに又はそれに加えて、従来の配合技術を使用して、加硫剤及び当技術分野で公知の他の添加剤を、脱水凝固ゴムと、又は素練り装置を使用して材料を乾燥させる場合は、その結果生じた素練りマスターバッチと、所望の使用に応じて混合してもよい。
【0063】
ある実施形態では、エラストマー複合材は、タイヤの種々の部分、例えばタイヤトレッド、タイヤサイドウォール、タイヤ用ワイヤースキム、及び再生タイヤ用のクッションゴムに使用されるか又は使用するために生成することができる。これらのエラストマー複合材の追加的な非タイヤ応用には、これらに限定されないが、以下のものが含まれる:エンジンマウントのゴム部品、タンクトラック(rank track)、採掘ベルト(mining belt)、ハイドロマウント(hydro−mount)のゴム部品、橋梁支承、免震装置、ブルドーザー等の無限軌道推進装備用の無限軌道(track)又は無限軌道パッド(track pad)、ふるい等の採掘装備、採掘装備ライニング、コンベヤーベルト、シュートライナー、スラリーポンプライナー、インペラー、弁座、弁本体、ピストンハブ、ピストンロッド、及びプランジャー等の泥水ポンプ部品、スラリー混合及びスラリーポンプインペラー等の種々の応用用のインペラー、細砕ミルライナー、サイクロン及び液体サイクロン、並びに伸縮継ぎ手、ポンプのライニング(例えば、船外機ポンプ、しゅんせつポンプ)、ホース(例えば、しゅんせつホース及び船外機ホース)、及び他の船舶用装備等の船舶用装備、船舶用、油用、航空宇宙用、及び他の応用用のシャフトシール、プロペラシャフト、例えばオイルサンド及び/又はタールサンドを運搬するためのパイプ用ライナー、並びに耐摩耗性が望まれる他の応用。
【0064】
本発明は、本来例示に過ぎないことが意図されている以下の例により更に明らかにされるだろう。
【0065】
実施例
実施例1
カーボンブラックスラリーの調製
乾燥カーボンブラック(等級は下記の表1に表示、Cabot Corporation社から入手)を水と混合し、粉砕して約10〜15重量%の濃度を有するスラリーを形成した。スラリーを、約3000psigの操作圧力でホモジナイザーに供給して、微細に分散したカーボンブラックスラリーを生成し、スラリーを噴流として混合領域に導入した。農園ラテックスを用いて生成された複合材中の最終カーボンブラック配合量レベルを変更するために、カーボンブラック流速を、約690〜960kg/時(湿量ベース)に調整し、ラテックス濃縮物を使用した場合は、約1145kg/時(湿量ベース)に調整した。
【0066】
【表1】
【0067】
一次ラテックスの供給
表2に記載の天然ゴムラテックス材料(表2では、別様に示されていない限り、農園ラテックス)を、凝固反応器の混合領域にポンピングした。最終カーボンブラック配合量レベルを変更するために、ラテックス流速を、約320〜790kg/時(湿量ベース)の間に調整した。
【0068】
カーボンブラック及びラテックスの混合
カーボンブラックスラリー及びラテックスは、ラテックスを、図1に示されているものに類似した凝固反応器の混合部分で(例えば、混合部分10)、カーボンブラックスラリーに混入させることにより混合した。混入プロセス中に、カーボンブラックはラテックスとよく混合し、混合物は凝固した。
【0069】
第2のラテックスの供給
表2に記載の天然ゴムラテックス材料を、約80kg/時(湿量ベース)の速度から開始して3〜8barの圧力で、凝固反応器の混合部分の下流の種々の位置にポンピングした。ラテックスを、注入ライン(例えば、エレメント28)が取り付けられている凝固反応器の壁面に対して直角に注入した。ディフューザーから出てくる凝固ゴムが所望の形態を示すまで、ポンピング速度を徐々に最大300kg/時(湿量ベース)にまで増加させた。混合部分の下流では、ディフューザー部分は、一連の区間を有しており、各区間は、その前の区間よりも徐々に大きな直径を有し、区間間には傾斜移行部分がある。ディフューザー(例えば、図1の18a)の第1の区間は、長さが4インチ(10.2cm)、第2の区間(例えば、図1の18b)は、長さ3インチ(7.6cm)だった。移行領域(例えば、図2のα)の角度は、7度だった。第1の区間(例えば、図1の18a)に対する第2の区間(例えば、図1の18b)の直径の比率は、約1.7だった。二次ラテックスがポンピングされた位置、及び最終生成物中の二次ラテックスに由来するゴムの比率(つまり、一次及び二次ラテックス流動に由来するゴム総量に対する、二次ラテックスに由来するゴムの比率)は、下記の表2に示されている。太字で示されているデータは、下記の表3に列挙されている、二次ラテックス注入の特定の位置で達成された最大配合量を反映している。
【0070】
【表2】
【0071】
【表3】
【0072】
【表4】
【0073】
【表5】
【0074】
【表6】
【0075】
【表7】
【0076】
本発明の実施形態による二次ラテックスを組み込む成功例の場合、マスターバッチクラムは、一体性凝固ゴムの連続的な流動として凝固反応器から出てきた。二次ラテックスを使用した失敗例は、操作条件が同様の成功試料と対比することができ、一般的に、そのような例から回収されたゴムは、より高配合量のカーボンブラックを含有していた。そのような試料は、不連続な砂状の凝固ゴムとして凝固反応器から出てきて、それは脱水押出機の逆流を引き起こした。下記の表3は、一体性凝固ゴムが生成された(すなわち、より高いフィラー含有量を有するマスターバッチクラムを生成する試みが、一体性凝固ゴムをもたらさなかった)最大配合量、つまりエラストマー複合材中の最大フィラー含有量を、ゴムの百重量部当たりの重量部(phr)で示す。
【0077】
【表8】
【0078】
結果は、一次及び二次ラテックス流動の流速、生産速度、二次ゴムの割合、及びカーボンブラック配合量等の操業変数を互いに対して最適化して、加工性を向上させ、フィラー配合量を増加させることができることを示す。図3は、上述の3つの等級のカーボンブラックについて、二次ラテックスを用いて及び用いずに達成された最高配合量を示す。結果は、カーボンブラックの形態が、一体性凝固ゴムを生成しつつ達成することができる最大配合量に影響を及ぼし、二次ラテックスの使用が、達成可能な配合量の明らかで一貫した向上を提供することを示す。
【0079】
脱水
凝固反応器から吐出されたマスターバッチクラムを、脱水押出機(The French Oil Machinery Company社)を用いて、10〜20%の水分量に脱水した。押出機では、マスターバッチクラムが圧縮され、クラムから絞り出された水は、押出機の溝付きバレルに放出された。
【0080】
乾燥及び冷却
脱水凝固ゴムを、連続配合機(Farrel Continuous Mixer(FCM)、Farrel Corporation社製)に投入し、そこで凝固ゴムを素練りし、1phrの酸化防止剤(N−(1,3−ジメチルブチル)−N’−フェニル−p−フェニレンジアミン(6PPD、Flexsys社製、セントルイス、ミズーリ州)と混合した。FCMを出てくる素練りされたマスターバッチの水分含有量は、約1〜2%だった。素練りされたマスターバッチを更に素練りし、開口ミル上で冷却して、乾燥エラストマー複合材を形成した。実際のカーボンブラック配合量レベルを、乾燥生成物の窒素熱分解(表2A〜2Eに列挙されている値)又はTGA(表2Fに列挙されている値)により決定した。乾燥エラストマー複合材を加硫し、加硫エラストマー複合材の機械的性質(例えば、tanδ、300%及び100%歪みでの応力の比率)は、より低いフィラー配合量を有し、同じ技術を使用したが二次ラテックスを用いずに調製された加硫エラストマー複合材の性質と類似した配合量による変化を示した。二次ラテックス注入の使用は、最終ゴム化合物の性能を犠牲にせずに、より高配合量のエラストマー複合材の製造を可能にする。
【0081】
実施例2
フィラースラリーの調製
シリコン処理カーボンブラック(CRX(商標)2000 ECOBLACK(登録商標)シリコン処理カーボンブラック、Cabot Corporation社製)を水と混合し、粉砕して約10〜15重量%の濃度を有するスラリーを形成する。スラリーを、約3000psigの操作圧力でホモジナイザーに供給して、微細に分散したカーボンブラックスラリーを生成し、スラリーを噴流として混合領域に導入する。農園ラテックスを用いて生成された複合材中の最終フィラー配合量レベルを変更するために、スラリー流速を、約690〜960kg/時(湿量ベース)に調整し、ラテックス濃縮物を使用する場合は、約1145kg/時(湿量ベース)に調整する。
【0082】
一次ラテックスの供給
約27〜31%の乾燥ゴム含有量を有する農園ラテックス、又は天然ゴムラテックス濃縮物のいずれかを、凝固反応器の混合領域にポンピングする。最終フィラー配合量レベルを変更するために、ラテックス流速を、約320〜790kg/時(湿量ベース)の間で調整する。
【0083】
フィラー及びラテックスの混合
フィラースラリー及びラテックスは、ラテックスを、図1に示されているものに類似した凝固反応器の混合部分で(例えば、混合部分10)で、フィラースラリーに混入させることにより混合する。混入プロセス中に、フィラーはラテックスとよく混合し、混合物は凝固する。混合部分の下流では、ディフューザー部分は、一連の区間を有しており、各区間は、その前の区間よりも徐々に大きな直径を有し、区間間には傾斜移行部分がある。
【0084】
二次ラテックスの供給
農園ラテックスを、約80kg/時(湿量ベース)の速度から開始して3〜8barの圧力で、第1及び第2の区間(例えば、図1の20a)間の移行部で、フィラースラリー及びラテックスの凝固しつつある混合物にポンピングする。ラテックスを、凝固反応器の壁面に対して直角に注入する。ディフューザーから出てくる凝固ゴムが所望の形態を示すまで、ポンピング速度を徐々に最大300kg/時(湿量ベース)にまで増加させる。
【0085】
脱水
凝固反応器から吐出されたマスターバッチクラムを、脱水押出機(The French Oil Machinery Company社製)を用いて、10〜20%の水分量に脱水する。押出機では、マスターバッチクラムが圧縮され、クラムから絞り出された水は、押出機の溝付きバレルに放出される。
【0086】
乾燥及び冷却
脱水凝固ゴムを、連続配合機(Farrel Continuous Mixer(FCM)、Farrel Corporation社製)に投入し、そこで凝固ゴムを素練りし、1phrの酸化防止剤(N−(1,3−ジメチルブチル)−N’−フェニル−p−フェニレンジアミン(6PPD、Flexsys社製、セントルイス、ミズーリ州)及び1.5phrのカップリング剤(ビス(トリエトキシシリルプロピル)テトラスルフィド(TESPT、Si−69、Evonik Industries社、エッセン、ドイツから入手可能))と混合する。FCMを出てくる素練りされたマスターバッチの水分含有量は、約1〜2%だった。生成物を更に素練りし、開口ミル上で冷却して、乾燥エラストマー複合材を形成した。
【0087】
実施例3
フィラースラリーの調製
カーボンブラック及びシリカの混合物(N234カーボンブラック、Cabot Corporation社から入手可能、及びHiSil(登録商標)233シリカ、PPG Industries社、ピッツバーグ、ペンシルベニア州から入手可能)を水と混合し、粉砕して、シリカに対するカーボンブラックの比率が、質量で60:40〜80:20の範囲であり、約10〜15重量%の濃度を有するスラリーを形成する。スラリーを、約3000psigの操作圧力でホモジナイザーに供給して、微細に分散したカーボンブラックスラリーを生成し、スラリーを噴流として混合領域に導入する。農園ラテックスを用いて生成された複合材中の最終フィラー配合量レベルを変更するために、スラリー流速を、約690〜960kg/時(湿量ベース)に調整し、ラテックス濃縮物を使用した場合は、約1145kg/時(湿量ベース)に調整する。
【0088】
一次ラテックスの供給
約27〜31%の乾燥ゴム含有量を有する農園ラテックス、又は天然ゴムラテックス濃縮物のいずれかを、凝固反応器の混合領域にポンピングする。最終フィラー配合量レベルを変更するために、ラテックス流速を、約320〜790kg/時(湿量ベース)の間で調整する。
【0089】
フィラー及びラテックスの混合
フィラースラリー及びラテックスは、ラテックスを、図1に示されているものに類似した凝固反応器の混合部分で(例えば、混合部分10)で、フィラースラリーに混入させることにより混合する。混入プロセス中に、フィラーはラテックスとよく混合し、混合物は凝固する。
【0090】
二次ラテックスの供給
農園ラテックスを、約80kg/時(湿量ベース)の速度から開始して3〜8barの圧力で、第1及び第2の区間(例えば、図1の20a)間の移行部で、フィラースラリー及びラテックスの凝固しつつある混合物にポンピングする。ラテックスを、凝固反応器の壁面に対して直角に注入する。ディフューザーから出てくる凝固ゴムが所望の形態を示すまで、ポンピング速度を徐々に最大300kg/時(湿量ベース)にまで増加させる。
【0091】
脱水
凝固反応器から吐出されたマスターバッチクラムを、脱水押出機(The French Oil Machinery Company社製)を用いて、10〜20%の水分量に脱水する。押出機では、マスターバッチクラムが圧縮され、クラムから絞り出された水は、押出機の溝付きバレルに放出される。
【0092】
乾燥及び冷却
脱水凝固ゴムを、連続配合機(Farrel Continuous Mixer(FCM)、Farrel Corporation社製)に投入し、そこで凝固ゴムを素練りし、1phrの酸化防止剤(N−(1,3−ジメチルブチル)−N’−フェニル−p−フェニレンジアミン(6PPD、Flexsys社製、セントルイス、ミズーリ州)及び1.5phrのカップリング剤(ビス(トリエトキシシリルプロピル)テトラスルフィド(TESPT、Si−69、Evonik Industries社、エッセン、ドイツから入手可能))と混合する。FCMを出てくる素練りされたマスターバッチの水分含有量は、約1〜2%だった。生成物を更に素練りし、開口ミル上で冷却して、乾燥エラストマー複合材を形成した。
【0093】
実施例4
乾燥カーボンブラック(N234、Cabot Corporation社から入手)を水と混合し、粉砕して約10〜15重量%の濃度を有するスラリーを形成した。スラリーを、約3000psigの操作圧力でホモジナイザーに供給して、微細に分散したカーボンブラックスラリーを生成し、スラリーを噴流として混合領域に導入した。カーボンブラックの流速(乾燥量ベース)は、下記の表4に指定されている。
【0094】
一次ラテックスの供給
約27〜31%の乾燥ゴム含有量を有する農園ラテックスを、凝固反応器の混合領域にポンピングした。混合領域への一次ゴムの供給速度(乾燥ゴム量ベース)は、下記の表4に列挙されている。
【0095】
カーボンブラック及びラテックスの混合
カーボンブラックスラリー及びラテックスは、ラテックスを、図1に示されているものに類似した凝固反応器の混合部分で(例えば、混合部分10)、カーボンブラックスラリーに混入させることにより混合した。混入プロセス中に、カーボンブラックはラテックスとよく混合し、混合物は凝固した。
【0096】
二次ラテックスの供給
農園ラテックスを、ディフューザーの第1及び第2の区間間の移行部(例えば、図1の20a)の、凝固反応器の下流のディフューザー部分にポンピングし、角度α(図2を参照)は、7度だった。ディフューザーの第1の区間(例えば、図1の18a)の長さを、4〜8.5インチの間で変化させた。その結果生じた、二次ラテックス流動導入前の滞留時間は、二次ゴムの供給速度(乾燥ゴム量ベース)と共に表4に列挙されている。比較例の対応する滞留時間(つまり、ディフューザーの第1の区間での滞留時間)は、1.8×10-2秒だった。一次及び二次ラテックス、並びにカーボンブラックスラリーのポンピング速度は、450〜500kg/時の生産速度(乾燥量ベース)を達成するように調整した。
【0097】
【表9】
【0098】
実施例4−1〜4−4の結果は、図4に示されている。図4は、フィラー配合量を最大化するための最適な滞留時間を明確に示す。そのような最大値は、上述の理論と一致している。理論によると、ラテックス粒子が実質的に修飾される前に二次ラテックス流動を導入することにより、ゴム−フィラー凝集体を一緒にする結合ではなく、二次ラテックス流動中のゴム粒子の修飾化も引き起こされ、その一方で、はるか下流に導入される場合は、二次ラテックス流動は、凝固しつつある混合物と完全には混合しない。実施例4−5及び4−6では、実施例4−3の滞留時間に類似した滞留時間を維持しつつ、二次ゴム流動の注入速度を変化させた。結果は、上述の理論と一致しており、離散性のゴム−フィラー凝集体を一緒に結合して一体性凝固ゴムにするために必要とされるのは、ある量の二次ラテックスのみであり、追加的な二次ラテックスは、最終生成物配合量を希釈するに過ぎない。
【0099】
脱水
凝固反応器から吐出されたマスターバッチクラムを、脱水押出機(The French Oil Machinery Company社)を用いて、10〜20%の水分量に脱水した。押出機では、マスターバッチクラムが圧縮され、クラムから絞り出された水は、押出機の溝付きバレルに放出された。
【0100】
乾燥及び冷却
脱水凝固ゴムを、連続配合機(Farrel Continuous Mixer (FCM)、Farrel Corporation社製)に投入し、そこで凝固ゴムを素練りし、1phrの酸化防止剤(N−(1,3−ジメチルブチル)−N’−フェニル−p−フェニレンジアミン(6PPD、Flexsys社製、セントルイス、ミズーリ州)と混合した。FCMを出てくる素練りされたマスターバッチの水分含有量は、約1〜2%だった。生成物を更に素練りし、開口ミル上で冷却して、乾燥エラストマー複合材を形成した。実際のカーボンブラック配合量レベルを、乾燥エラストマー複合材のTGAにより決定した。それらは表4に列挙されている。乾燥エラストマー複合材を加硫し、加硫エラストマー複合材の機械的性質(例えば、タンデルタ、300%及び100歪みでの応力の比率)は、より低いフィラー配合量を有し、同じ技術を使用したが二次ラテックスを用いずに調製された加硫エラストマー複合材の性質と類似した配合量による変化を示した。二次ラテックス注入の使用は、最終ゴム化合物の性能を犠牲にせずに、より高配合量のエラストマー複合材の製造を可能にする。
【0101】
実施例5
この例は、対照試料を調製するために実施例4で使用された湿式混合法により調製されたより低い体積分率のカーボンブラックを有するエラストマー複合材に基づく加硫ゴム組成物の既に向上された特性、及び乾燥混合により調製された加硫ゴム組成物と比較して、本発明の例示的な実施形態により調製された高体積分率のカーボンブラックを有するエラストマー複合材を用いて調製された加硫ゴム組成物の特性が向上することを実証する。
【0102】
マスターバッチ(masterbach)の調製
マスターバッチAを、以下の通り、実施例1に従って調製した:
−マスターバッチA1は、表2DのN234、66.1phrの測定CB配合量に対応する、
−マスターバッチA2は、表2Fの実験的ブラック1、59phrの測定CB配合量に対応する、
−マスターバッチA3は、表2FのN134、64.4phrの測定CB配合量に対応する。
【0103】
マスターバッチBを、対照試料を調製するために実施例4で使用した湿式混合法により、同じカーボンブラック及び同じ農園ラテックスを用いて以下の通り調製した:
−マスターバッチB1は、50phrのN234を含む、
−マスターバッチB2は、49phrの実験的ブラック1を含む、
−マスターバッチB3は、50phrのN134を含む。
【0104】
ゴム組成物の調製
以下の試験を、以下のように実施した:ジエンエラストマー及び補強用フィラー、又はジエンエラストマー及び補強用フィラーを含むマスターバッチを密閉式混合機に導入し、この混合機は70%充填され、およそ50℃の初期容器温度を有しており、その後、1分間混練した後、硫黄及びスルフェンアミド一次促進剤を除いて、種々の他の成分を導入した。その後、熱機械的処理(非生成期)を、最大「低下」温度が、およそ165℃に到るまで、1段階又は2段階で実施した(総混練継続期間はおよそ5分間に相当する)。
【0105】
このようにして得られた混合物を回復及び冷却し、その後硫黄及びスルフェンアミド促進剤を、30℃で外部ミキサー(ホモフィニッシャー(homofinisher))に添加し、混合された混合物を、3〜4分間混合した(生成期)。
【0106】
その後組成物を、それらの物理的又は機械的な特性を測定するために、プラークの形態に圧延した(2〜3mmの厚さ)。
【0107】
ゴム組成物
ゴム組成物CA1〜CA3及びCB1〜CB3を、それぞれマスターバッチA1〜A3及びB1〜B3を用いて生成した。比較ゴム組成物CD1〜CD3及びCE1〜CE3を、乾燥混合プロセスを使用して、乾燥形態の同じカーボンブラック及び固形天然ゴムから製造した。
【0108】
従って、組成物は全て、以下の表5に示されているように、100phrの天然ゴム(マスターバッチの形態で導入されようと又は固体形態で導入されようとも)及び様々な等級のカーボンブラックを含んでいた。
【0109】
【表10】
【0110】
これら組成物は全て、表6に示されている追加成分も含む。
【0111】
【表11】
【0112】
ゴム組成物の特徴付け
ジエンゴム組成物を、下記に示されているように、硬化前後で特徴付けた。
【0113】
1.ムーニー可塑性
フランス規格NF T43−005(1991年)に記載の振動型コンシストメーターを使用した。ムーニー可塑性の測定を、以下の原理に従って実施した:未加工状態(つまり、硬化前)の組成物を、100℃に加熱した円筒状チャンバー内で成形した。1分間予熱した後、ローターを試験片内で2回転/分にて回転させ、4分間回転させた後、この動きを維持するための仕事トルクを測定した。ムーニー可塑性(ML 1+4)は、「ムーニー単位」(MU、1MU=0.83ニュートン.メートル)で表されている。
【0114】
2 分散性
公知の方法で、ゴムマトリックス中のフィラー分散性は、「New Reference value for the description of Filler Dispersion with the Dispergrader 1000NT」と題する、S.Otto and Al in Kautschuk Gummi Kunststoffe、58 Jahrgang、NR7−8/2005により記述されている方法により、ISO基準11345に従って、細網化後に測定されたZ値により表すことができる。
【0115】
Z値の計算は、下記式:
Z=100−(非分散面積のパーセント)/0.35
に従って、その手順及びそのオペレーティングソフト「disperDATA」を備えたDynisco company社製の装置「disperGRADER+」により測定される、非分散面積のパーセントに基づく。
【0116】
非分散面積のパーセントは、光源を備えたカメラを使用して、観察表面に対して30℃の角度で測定した。光点はフィラー及び凝集塊に関連し、暗色背景は、ゴムマトリックスに関連しており、数値処理により画像を白黒画像に変換し、上記で言及した文献でS.Ottoにより記述されているような非分散面積のパーセントの測定を可能にする。
【0117】
Z値が高いほど、ゴムマトリックス中のフィラー分散は良好である(完全な混合に対応するZ値は100であり、より不良な混合に対応するZ値は0である)。
【0118】
3 レオメトリー
規格DIN53529 パート3(1983年6月)に従い、振動ディスクレオメーターを用いて150℃にて測定を実施した。時間の関数としての流動度トルクの変化は、加硫反応の結果としての組成物の硬化の変化を記述する。測定を、規格DIN53529 パート3(1983年6月)に従って処理し、「ti」は、誘導期間、つまり加硫反応の開始に必要な時間であり、tα(例えば、t90)は、α%、つまり最小及び最大トルク間の差のa%(例えば90%)の転換を達成するのに必要な時間である。Kと表示されている転換速度定数(分-1で表されている)も測定した。これは、一次であり、30%及び80%転換間で計算され、それにより加硫速度論を評価することが可能になる。
【0119】
4. 引張試験
これら引張試験により、弾性応力及び破壊時特性を決定することが可能になる。別様の指定がない限り、試験は、1988年9月のフランス規格NF T46−002に従って実施した。10%伸び(M10と表示)、100%伸び(M100と表示)、及び300%伸び(M300と表示)時の名目上の割線モジュラス(又はMPaで表された見かけ上の応力)を、第2の伸び(つまり、測定自体について予測された伸張度合いへの順応サイクル後)の際に測定した。
【0120】
150℃で40分間硬化させた前後に測定した特性が、表7、8、及び9に示されている(各表は、1つの特定のカーボンブラック等級に対応する)。
【0121】
【表12】
【0122】
【表13】
【0123】
【表14】
【0124】
湿式混合法により調製された組成物(CA1〜CA3及びCB1〜CB3)は全て、同じ成分を有するが、乾燥混合法により調製された組成物(CD1〜CD3及びCE1〜CE3)と比較すると、上記で言及した全ての特性:分散性(Z値により示される)、加工性(ムーニー)、レオメトリー(T99及びK)、及び補強性(M300及びM300/M100)の向上を示したことを理解することができる。従って、本発明のプロセスにより可能となるより高配合量のカーボンブラックは、米国特許第6,048,923号に記載のタイプの湿式混合機械的凝固法により得られる向上性を保存する。
【0125】
更に、湿式混合法により調製された化合物を、乾燥混合法により調製された化合物と比較すると、高配合量のカーボンブラックで得られた向上性のパーセントは、上記で考察した特性全てについて、より低配合量のカーボンブラックで得られたものよりも高かった。
【0126】
本発明の好適な実施形態の先述の記述は、例示及び説明のために示されている。網羅的であることも、開示された厳密な形態に本発明を制限することも意図されていない。改変及び変異は、上記の教示に照らして可能であるか、又は本発明の実施から獲得することができる。実施形態は、本発明の原理、並びに当業者が、種々の実施形態で、企図される特定の使用に適するように種々の改変を施して本発明を使用することを可能にするその実用的応用を説明するために選択及び記述されている。本発明の範囲は、本明細書に添付の特許請求の範囲及びそれらの等価物により規定されることが意図されている。
本発明はまた、以下の内容を包含する。
(1)凝固したラテックス複合材を生成する方法であって、
第1のエラストマーを含む第1のエラストマーラテックス及び微粒子フィラースラリーの凝固しつつある混合物を、導管に沿って流動させること、並びに
第2のエラストマーを含む第2のエラストマーラテックスを、前記凝固しつつある混合物の流動に導入すること、を含む方法。
(2)前記凝固しつつある混合物を流動させる前に、前記導管を備え且つ混合領域から吐出端まで伸長する細長い凝固領域を画定する凝固反応器の前記混合領域に、前記第1のエラストマーラテックスの連続流動を供給し、微粒子フィラーを含む流体の連続流動を前記凝固反応器の前記混合領域に加圧下で供給して、前記凝固しつつある混合物を形成することにより、前記凝固しつつある混合物を生成することを更に含む、項目(1)に記載の方法。
(3)前記微粒子フィラーを含む流体の連続流動が、約30m/秒〜約250m/秒の速度を有し、前記第1のエラストマーラテックスの連続流動が、最大で約10m/秒の速度を有し、前記第2のエラストマーラテックスを導入する前の、前記凝固反応器中での前記凝固しつつある混合物の滞留時間が、1×10-2秒〜約6×10-2秒である、項目(2)に記載の方法。
(4)前記導管が、第1の直径を有する第1の導管部分、前記第1の直径より大きな第2の直径を有する第2の導管部分、及び前記第1の直径から前記第2の直径まで増加する直径を有するその間の移行領域を備え、流動させることが、前記凝固しつつある混合物を前記第1の導管部分から前記第2の導管部分に流動させることを含み、導入することが、前記移行領域で、前記第2のエラストマーラテックスを、前記凝固しつつある混合物に導入することを含む、項目(1)〜(3)のいずれか一項に記載の方法。
(5)前記凝固しつつある混合物を流動させることが、前記凝固しつつある混合物を、乱流の条件下で前記移行領域を通して流動させることを含む、項目(4)に記載の方法。
(6)前記複合材中の前記第2のエラストマーの量が、約0.5重量%〜約50重量%である、項目(1)〜(5)のいずれか一項に記載の方法。
(7)前記複合材中の前記第2のエラストマーの量が、約16重量%〜約38重量%である、項目(1)〜(5)のいずれか一項に記載の方法。
(8)前記第2のエラストマーが、合成エラストマーである、項目(1)〜(7)のいずれか一項に記載の方法。
(9)前記第2のエラストマーラテックスが、天然ゴムラテックスである、項目(1)〜(7)のいずれか一項に記載の方法。
(10)前記天然ゴムラテックスが、農園ラテックス、ラテックス濃縮物、スキムラテックス、又はこれらの2つ以上の組合せを含む、項目(9)に記載の方法。
(11)前記天然ゴムラテックスの成分が、化学的に又は酵素的に変性されている、項目(9)に記載の方法。
(12)前記微粒子フィラーが、STSAにより測定される少なくとも95m2/gの表面積、及び少なくとも80mL/100gのフタル酸ジブチル吸着量を有するカーボンブラックを含み、前記凝固したラテックス複合材が、少なくとも65phrの前記カーボンブラックを含む、項目(1)〜(11)のいずれか一項に記載の方法。
(13)前記微粒子フィラーが、STSAにより測定される少なくとも68m2/gの表面積、及び少なくとも60mL/100gのフタル酸ジブチル吸着量を有するカーボンブラックを含み、前記凝固したラテックス複合材が、少なくとも70phrの前記カーボンブラックを含む、項目(1)〜(11)のいずれか一項に記載の方法。
(14)前記微粒子フィラーが、少なくとも60mL/100gのフタル酸ジブチル吸着量を有するカーボンブラックを含み、前記カーボンブラックが、表面積を有し、前記凝固したラテックス複合材中に、L≧−0.26×S+94を満たす量で存在し、式中Lが、ゴムの百重量部当たりの重量部(phr)で表した、前記凝固したラテックス複合材中の前記カーボンブラックの量であり、Sが、m2/gで表した、STSAにより測定される表面積である、項目(1)〜(11)のいずれか一項に記載の方法。
(15)第1のエラストマーラテックス及び微粒子フィラースラリーの凝固しつつある混合物を導管に沿って流動させること、並びに
第2のエラストマーラテックスを、前記凝固しつつある混合物の流動に導入すること、 を含む方法により形成されるエラストマー複合材。
(16)前記方法が、前記凝固しつつある混合物を流動させる前に、前記導管を備え且つ混合領域から吐出端まで伸長する細長い凝固領域を画定する凝固反応器の前記混合領域に、前記第1のエラストマーラテックスの連続流動を供給し、微粒子フィラーを含む流体の連続流動を前記凝固反応器の前記混合領域に加圧下で供給して、前記凝固しつつある混合物を形成することにより、前記凝固しつつある混合物を生成することを更に含む、項目(15)に記載のエラストマー複合材。
(17)前記微粒子フィラーを含む流体の連続流動が、約30m/s〜約250m/秒の速度を有し、前記第1のエラストマーラテックスの連続流動が、最大で約10m/秒の速度を有し、前記第2のエラストマーラテックスを導入する前の前記凝固反応器中での前記凝固しつつある混合物の滞留時間が、1×10-2秒〜約6×10-2秒である、項目(16)に記載のエラストマー複合材。
(18)前記導管が、第1の直径を有する第1の導管部分、前記第1の直径より大きな第2の直径を有する第2の導管部分、及び前記第1の直径から前記第2の直径まで増加する直径を有するその間の移行領域を含み、流動させることが、前記凝固しつつある混合物を前記第1の導管部分から前記第2の導管部分に流動させることを含み、導入することが、前記移行領域で、前記第2のエラストマーラテックスを、前記凝固しつつある混合物に導入することを含む、項目(15)〜(17)のいずれか一項に記載のエラストマー複合材。
(19)前記凝固しつつある混合物を流動させることが、前記凝固しつつある混合物を、乱流の条件下で前記移行領域を通して流動させることを含む、項目(18)に記載のエラストマー複合材。
(20)前記複合材中の前記第2のエラストマーの量が、約0.5重量%〜約50重量%である、項目(15)〜(19)のいずれか一項に記載のエラストマー複合材。
(21)前記複合材中の前記第2のエラストマーの量が、約16重量%〜約38重量%である、項目(15)〜(19)のいずれか一項に記載のエラストマー複合材。
(22)前記第2のエラストマーが、合成エラストマーである、項目(15)〜(21)のいずれか一項に記載のエラストマー複合材。
(23)前記第2のエラストマーラテックスが、天然ゴムラテックスである、項目(15)〜(21)のいずれか一項に記載のエラストマー複合材。
(24)前記天然ゴムラテックスが、農園ラテックス、ラテックス濃縮物、スキムラテックス、又はこれらの2つ以上の組合せを含む、項目(23)に記載のエラストマー複合材。
(25)前記天然ゴムラテックスの成分が、化学的に又は酵素的に変性されている、項目(23)に記載のエラストマー複合材。
(26)前記微粒子フィラーが、STSAにより測定される少なくとも95m2/gの表面積、及び少なくとも80mL/100gのフタル酸ジブチル吸着量を有するカーボンブラックを含み、前記エラストマー複合材が、少なくとも65phrの前記カーボンブラックを含む、項目(15)〜(25)のいずれか一項に記載のエラストマー複合材。
(27)前記微粒子フィラーが、STSAにより測定される少なくとも68m2/gの表面積、及び少なくとも60mL/100gのフタル酸ジブチル吸着量を有するカーボンブラックを含み、前記エラストマー複合材が、少なくとも70phrの前記カーボンブラックを含む、項目(15)〜(25)のいずれか一項に記載のエラストマー複合材。
(28)前記微粒子フィラーが、少なくとも60mL/100gのフタル酸ジブチル吸着量を有するカーボンブラックを含み、前記カーボンブラックが、表面積を有し、前記エラストマー複合材中に、L≧−0.26×S+94を満たす量で存在し、式中Lが、ゴムの百重量部当たりの重量部(phr)で表した、前記エラストマー複合材中の前記カーボンブラックの量であり、Sが、m2/gで表した、STSAにより測定される表面積である、項目(15)〜(25)のいずれか一項に記載のエラストマー複合材。
(29)凝固したラテックス複合材を生成するための方法であって、
第1のエラストマーを含む第1のエラストマーラテックス及び微粒子フィラースラリーの凝固しつつある混合物の、第1度乱流を示す流動を発生させること、
前記第1度乱流を第2度乱流に変化させること、並びに
前記凝固ゴム流動が前記第2度乱流を示す位置で、第2のエラストマーラテックスを前記凝固ゴムに導入すること、を含む方法。
(30)流動を発生させることが、混合領域から吐出端まで伸長する細長い凝固領域を画定する凝固反応器の前記混合領域に、前記第1のエラストマーラテックスの連続流動を供給すること、及び前記微粒子フィラースラリーの連続流動を前記凝固反応器の前記混合領域に加圧下で供給して、前記凝固しつつある混合物を形成することを含む、項目(29)に記載の方法。
(31)前記微粒子フィラーを含む流体の連続流動が、約30m/秒〜約250m/秒の速度を有し、前記第1のエラストマーラテックスの連続流動が、最大で約10m/秒の速度を有し、前記第2のエラストマーラテックスを導入する前の、前記凝固反応器中での前記凝固しつつある混合物の滞留時間が、1×10-2秒〜約6×10-2秒である、項目(30)に記載の方法。
(32)前記複合材中の前記第2のエラストマーの量が、約0.5重量%〜約50重量%である、項目(29)〜(31)のいずれか一項に記載の方法。
(33)前記複合材中の前記第2のエラストマーの量が、約16重量%〜約38重量%である、項目(29)〜(31)のいずれか一項に記載の方法。
(34)前記第2のエラストマーが、合成エラストマーである、項目(29)〜(33)のいずれか一項に記載の方法。
(35)前記第2のエラストマーラテックスが、天然ゴムラテックスである、項目(29)〜(33)のいずれか一項に記載の方法。
(36)前記天然ゴムラテックスが、農園ラテックス、ラテックス濃縮物、スキムラテックス、又はこれらの2つ以上の組合せを含む、項目(35)に記載の方法。
(37)前記天然ゴムラテックスの成分が、化学的に又は酵素的に変性されている、、項目(35)に記載の方法。
(38)前記微粒子フィラーが、STSAにより測定される少なくとも95m2/gの表面積、及び少なくとも80mL/100gのフタル酸ジブチル吸着量を有するカーボンブラックを含み、前記凝固したラテックス複合材が、少なくとも65phrの前記カーボンブラックを含む、項目(29)〜(37)のいずれか一項に記載の方法。
(39)前記微粒子フィラーが、STSAにより測定される少なくとも68m2/gの表面積、及び少なくとも60mL/100gのフタル酸ジブチル吸着量を有するカーボンブラックを含み、前記凝固したラテックス複合材が、少なくとも70phrの前記カーボンブラックを含む、項目(29)〜(37)のいずれか一項に記載の方法。
(40)前記微粒子フィラーが、少なくとも60mL/100gのフタル酸ジブチル吸着量を有するカーボンブラックを含み、前記カーボンブラックが、表面積を有し、前記凝固したラテックス複合材中に、L≧−0.26×S+94を満たす量で存在し、式中Lが、ゴムの百重量部当たりの重量部(phr)で表した、前記凝固したラテックス複合材中の前記カーボンブラックの量であり、Sが、m2/gで表した、STSAにより測定される表面積である、項目(29)〜(37)のいずれか一項に記載の方法。
(41)混合部分、及び入口端から開口吐出端へと断面積を次第に増加させて伸長する概して管状のディフューザー部分を有する凝固反応器を備える装置であって、前記入口端と前記開口吐出端との間に設置された入口がある前記ディフューザー部分に流体を供給するのに適するように構築された注入オリフィスを終端とする供給管により更に特徴付けられる装置。
(42)前記ディフューザー部分が、
第1の直径を有する第1のディフューザー区間、
前記第1の直径より大きな第2の直径を有する第2のディフューザー区間、及び
前記第1及び第2の区間の間にあり、前記第1の直径から前記第2の直径へと増加する直径を有する移行領域を備え、前記入口が、前記移行領域に設置されている、項目(41)に記載の装置。
(43)前記第2のディフューザー区間の下流に設置され、前記第2の直径よりも大きな直径を有する少なくとも1つの追加的なディフューザー区間を更に備える、項目(42)に記載の装置。
(44)前記混合部分と前記第1のディフューザー部分との間に配置され、前記第1の直径より小さな直径を有する少なくとも1つの追加的なディフューザー区間を有する、項目(42)又は(43)に記載の装置。
図1
図2
図3
図4