(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5684270
(24)【登録日】2015年1月23日
(45)【発行日】2015年3月11日
(54)【発明の名称】血液フラッシュ針
(51)【国際特許分類】
A61B 5/15 20060101AFI20150219BHJP
【FI】
A61B5/14 300H
【請求項の数】15
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2012-534494(P2012-534494)
(86)(22)【出願日】2010年10月11日
(65)【公表番号】特表2013-508038(P2013-508038A)
(43)【公表日】2013年3月7日
(86)【国際出願番号】AU2010001334
(87)【国際公開番号】WO2011047413
(87)【国際公開日】20110428
【審査請求日】2013年10月1日
(31)【優先権主張番号】2009905146
(32)【優先日】2009年10月22日
(33)【優先権主張国】AU
(73)【特許権者】
【識別番号】506034880
【氏名又は名称】メディガード・リミテッド
【氏名又は名称原語表記】MEDIGARD LIMITED
(74)【代理人】
【識別番号】100101454
【弁理士】
【氏名又は名称】山田 卓二
(74)【代理人】
【識別番号】100081422
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 光雄
(72)【発明者】
【氏名】アーロン・レナード・ロッド
(72)【発明者】
【氏名】ロス・ジョゼフ・カーリ
【審査官】
湯本 照基
(56)【参考文献】
【文献】
特開平11−169359(JP,A)
【文献】
特開2009−082714(JP,A)
【文献】
米国特許出願公開第2009/0088698(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 5/15
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
内腔から流体を取り出すための装置は、本体と、一つの針と、観察部とを有し、
前記針は、前記本体を貫通して伸びる長手方向に沿った開口を有し、
第1の針部は前記本体の前方部から伸びており、
第2の針部は前記本体の後方部から伸びており、
前記本体は、前記針の一部に沿って同芯的に、閉鎖された環状のチャンバを前記本体内に含み、
前記チャンバは、前記チャンバの長手方向に沿って、前記本体の外周と前記針の間に形成されており、
前記針の長手方向に沿った前記開口は前記チャンバ内にあり、
前記観察部は前記流体を視覚的に観察できるように構成されており、
前記観察部は、前記本体の外面に1つ又は複数の窪みを備えており、
前記窪みは、前記チャンバ内の流体の視認性を高めるように構成されている、装置。
【請求項2】
前記第1の針部は、穿刺針として機能するように構成されている、請求項1の装置。
【請求項3】
前記第2の針部は、医療装置に接続されるように構成されている、請求項1又は2のいずれかの装置。
【請求項4】
前記第2の針部には、前記第2の針部が前記医療装置に接続される前に、前記流体が前記第2の針部から漏れるのを防止するカバー手段が設けられている、請求項3の装置。
【請求項5】
前記医療装置は、流体採取用の容器、フレキシブルチューブ、シリンジなどを有する、請求項3又は4の装置。
【請求項6】
前記本体は、前記第1の針部と前記第2の針部を貫通する通路を含む、請求項1〜5のいずれかの装置。
【請求項7】
前記通路は、該通路の長手方向の一部に沿って、前記閉鎖された環状のチャンバを有し、
前記閉鎖された環状のチャンバの直径は、前記通路の他の部分の直径よりも大きく、
前記第1の針部及び/又は前記第2の針部と前記閉鎖された環状のチャンバの内壁との間に隙間が形成されている、請求項6の装置。
【請求項8】
前記観察部は、透明材料又は半透明材料で作られており、前記チャンバ部に実質的に整列しており、前記チャンバ部に入る流体が前記観察部を介して観察される、請求項7の装置。
【請求項9】
前記1つ又は複数の窪みは凹状である、請求項1の装置。
【請求項10】
前記装置は、前記本体の一つ又は複数の端部をシールするように、及び/又は前記第1の針部及び/又は前記第2の針部を所定位置に保持するように構成された保持手段を有する、請求項1〜9のいずれかの装置。
【請求項11】
前記保持手段が、一つ又は複数の保持キャップ又は保持プラグを有する、請求項10の装置。
【請求項12】
前記本体の後部には、前記装置が医療装置に接続されるように構成された接続手段が設けてある、請求項1〜11のいずれかの装置。
【請求項13】
前記接続手段はねじ部を有する、請求項12の装置。
【請求項14】
前記第1の針部と前記第2の針部には、輸送中と保管中の針キャップが設けられている、請求項1〜13のいずれかの装置。
【請求項15】
前記流体が血液である、請求項1〜14のいずれかの装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、内腔(ルーメン)から流体を取り出す装置に関する。特に、本発明は、血管から血液を取り出す装置に関する。
【背景技術】
【0002】
患者の体液を取り出すために、静脈の血液を採取する装置が使用されている。典型的には、血液のような体液を採取するには、針(ニードル)を血管又は内腔(内腔)に挿入し、これを通じて流体が取り出され、針を介して流れる流体が採取される。
【0003】
しかし、血管又は内腔が小さくて見えない状況では、針の先端を血管内に位置させることが難しいこともある。そのような場合、すべてのサンプルが台無しになってしまうおそれがあるだけでなく、針の先端を適正な場所に位置させることができなかったことにより、針が組織や器官に接触して患者を傷つけることもあり得る。したがって、針の先端が適正な場所に配置されたことを確認できる機構が望まれている。
【0004】
従来、透明窓を備えた幾つかの血液採取装置が提供されており、それによれば、ユーザは血液の「フラッシュ(存在)」を観察することによって、針が適正に配置されていることを確認できる。しかし、フラッシュは小さくてぼんやりとしているため、確認するのが難しいことがある。
【0005】
そのため、針が適正な場所に配置されていることをユーザに視覚的にはっきりと示す血液採取装置を提供できれば好都合である。
【0006】
本願で先行技術文献について言及されている場合、この文献はその開示がオーストラリア又は他の国における一般的な知識の一部を形成するものと認めているわけではない。
【0007】
本願明細書を通じて、「有する」の用語及びその文法的に均等な用語は、限定的な意味を有すると理解されるべきではない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明の目的は、上述の問題の少なくとも幾つかを解消して有益又は商業的な選択を提供する、内腔から流体を取り出す装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
一つの形態において、本発明は、内腔から流体を取り出す装置に関し、本体と、前記本体の前部から伸びる第1の針部と、前記本体の後部から伸びる第2の針部を有し、前記本体は前記流体を視覚的に観察できるように構成された観察部を含み、前記観察部には観察部の流体を視覚的に良く見えるように構成された強化手段が設けられている。
【0010】
他の形態において、本発明は、内腔から流体を取り出す装置に関し、本体と、前記本体の前部から伸びる第1の針部と、前記本体の後部から伸びる第2の針部を有し、前記本体は前記流体を視覚的に観察できるように構成された観察部を含み、前記観察部は前記観察部の流体を視覚的に良く見えるように構成されている。
【0011】
前記第1と第2の針部は、適当な大きさ、形状、又は形態を有する。しかし、好ましくは、前記第1と第2の針部は、実質的に管状であり、流体(例えば血液)が前記第1と第2の針部を介して流れるようにしてある。
【0012】
本発明の好適な実施例では、第1の針部は、患者の体に挿入できるように構成されている。例えば、第1の針部は、患者の皮膚を刺し通し又はそこに孔をあけて内腔(血管等)に入り、それを通じて流体が取り出されるように、構成されている。したがって、本発明の好適な実施例では、第1の針部は、穿刺針として機能するように構成されている。
【0013】
好ましくは、第2の針部は、医療装置に接続されるように構成されている。例えば、第2の針部は、流体採取容器(小瓶、試験管、フラスコ、袋など)、フレキシブルチューブ、シリンジ等に接触されるように構成してもよい。本発明の実施例では、医療装置にはシールを設けてもよく、それは、医療装置に接続されるためには、第2の針部がシール(プラグ、栓、膜など)に孔を刺し通す又は孔をあけることが必要である、ことを意味する。したがって、好ましい実施例では、第2の針部は、孔あけ針として機能するように構成されている。
【0014】
好適な実施例では、第2の針部には、第2の針部が医療装置に接触する前に該第2の針から流体が漏れるのを防止するように構成されたカバー手段が設けられる。本発明の好適な実施例では、カバー手段は、第2の針部から出る流体が装置から漏れるのを防止するように構成されたフレキシブルシースを有するが、任意の適当なカバー手段が利用できる。第2の針を医療装置に接続する場合、第2の針部がカバー手段に孔を開け、これにより、流体が第2の針部から医療装置に流れ込むようにすることができる。
【0015】
ある実施例では、第1の針部は、第1の針の一部を形成し、第2の針部が第2の針の一部を形成し、第1と第2の針が前記装置の本体内で互いに離間している。しかし、本発明の好適な実施例では、第1と第2の針部は一つの針の一部を形成している。この実施例では、第1と第2の針部は、一つの針の対向する端部を形成する。
【0016】
第1と第2の針部が一つの針の一部を形成する本発明の実施例において、針は本体の全長に亘って伸びており、第1の針部が本体の前部から伸びており、第2の針部が本体の後部から伸びている、ことが好ましい。そして、本体は、針が通過する通路又は孔を有する。
【0017】
通路は、適当な大きさを有するが、本発明の好適な実施例では、通路はその全長の少なくとも一部に沿って、該通路内に針を摩擦係合状態に保持するほどに十分な大きさの直径を有する。典型的には、この摩擦係合は、本体の前方又は後方の端部に又はそれに向かって起こる。
【0018】
本発明の好適な実施例において、通路は、その長さ方向の一部に沿って、チャンバ部を含む。好ましくは、そのチャンバ部は、通路の保持部よりも大きな直径を有する。これにより、針とチャンバ部の内壁との間に隙間が形成される。本発明のこの実施例では、針には、装置が組み合わされた状態でチャンバ部に整列する一つ又は複数の開口が設けられる。使用時、針を流れる流体の一部が、針の一つ又は複数の開口を介してチャンバ部に入る。
【0019】
チャンバ部は、適当な大きさと形状を有する。例えば、チャンバ部は、針の全周に亘って伸びており、針を囲む環状チャンバを有する。代わりに、チャンバ部は、針の周方向の一部のみに亘って伸びていてもよい。
【0020】
好ましくは、チャンバの体積は比較的小さい。例えば、針上にチャンバが横たわる領域において、チャンバの体積が針の体積よりも小さいことが好ましい。これにより、チャンバが充満する前に、少量の流体のみが針からチャンバに迂回される。したがって、チャンバはチャンバ部の流体をユーザが観察できるようにする強化手段の一部を形成し、ユーザが流体を観察できるために大量の流体を必要としない。チャンバが環状の場合、装置を見たときにあらゆる方向から流体の存在を確認できるという、本発明の他の利点が得られる。環状のチャンバによれば、円筒状のチャンバを充満することに比べて、少量の流体ですむ。また、環状のチャンバは、同じ体積の円筒チャンバよりも大きな表面積を有する。
【0021】
好適な実施例では、本体の観察部は、透明又は半透明の材料(ガラス又はプラスチックなど)で作られる。好ましくは、観察部は、通路のチャンバ部に実質的に整列している。したがって、チャンバ部に入る流体は、本体の観察部を通じて観察される。観察部は、本体の外表面の一部を含む。代わりに、本体の全体を透明又は半透明の材料で作り、流体の流れが任意の角度から観察されるようにしてもよい。これは、チャンバ部が針の全周に伸びている、特別の場合である。
【0022】
上述のように、観察部には、観察部の流体を視覚的に良く見えるようにする手段が設けられる。これによれば、上記強化手段によって、ユーザは流体をより良く観察できる。
【0023】
強化手段は任意の形態をとり得る。しかし、本発明の好適な実施例では、強化手段は、本体に一つ又は複数の窪み又は所定形状部を有する。窪みは、任意の大きさ、形状、又は形態を有する。例えば、一つ又は複数の窪みは、本体表面に形成された、一つ又は複数のディンプル(くぼみ)であってもよい。代わりに、一つ又は複数の窪みは、本体表面に沿って一方向又は複数の方向に伸びる水路又は溝であってもよい。
【0024】
好適な実施例において、一つ又は複数の窪みは、ユーザが流体を容易に観察できるように、チャンバ部の流体のイメージを屈折する、拡大する、及び/又は高めるような形状である。したがって、チャンバ部の流体のイメージを屈折する、増幅する、及び/又は高めるために、一つ又は複数の窪みは実質的に凹状をしている。
【0025】
ある色又は色合いはオペレータの裸眼に対してある流体を見えやすくすることから、強化手段には特別な色を付けてもよい。強化手段は、流体と反応してオペレータの裸眼に対してある流体を見えやすくする材料を含むことができる。つまり、強化手段は、物理的な強化手段又は化学的な強化手段である。
【0026】
針を本体内に保持するために針と通路の間の摩擦係合では十分でない場合、針を所定位置に保持するために保持手段を使用してもよい。好ましくは、保持手段は、(流体の漏れを防止するために)本体の一方又は両方の端部をシールする、及び又は針を所定位置に保持するように構成される。例えば、本体の前部又は後部の一方又は両方には、保持キャップ又は保持プラグのような保持手段を設けてもよい。代わりに、保持手段は、接着剤又は熱硬化プラスチックのような、本体の一端又は両端に塗布される硬化可能な材料であってもよい。この実施例では、針は、硬化材料によって所定位置に保持される。保持キャップ又は保持プラグを有する本発明の実施例において、保持キャップ又は保持プラグの一方又は両方には、保持キャップ又は保持プラグと本体との係合を改善するように構成された係合手段が設けられる。代わりに、保持キャップ又は保持プラグは、接着剤等を使って、本体内に保持される。
【0027】
本発明の実施例では、本体の後部(即ち、存在する場合には、本体の後部に配置された保持装置)には、装置を適当な医療装置に接続できるように構成された接続手段が設けられる。接続手段は、適当な形状を有する。例えば、接続手段は、一つ又は複数の突起、クリップ、ファスナ等であってもよい。代わりに、接続手段は、医療装置の相補的なねじ部に接続するように構成されたねじ部を有する。接続手段は、典型的には、本体の後部に、第2の針部に隣接して設けられる。
【0028】
本発明の好適な実施例において、第1と第2の針部には、輸送用及び保管用の針キャップが設けられる。このようにすれば、針部の損傷が防げる。また、ユーザが偶然に針部に触れて怪我をする可能性も無くなる。
【0029】
他の形態において、本発明は、内腔から血液を取り出す装置に関し、本体と、前記本体の前部から伸びる第1の針部と、前記本体の後部から伸びる第2の針部を有し、前記本体は前記血液を視覚的に観察できるように構成された透明観察部を含み、前記観察部には一つ又は複数の窪みが設けられ、前記窪みは前記観察部の血液の視認性を高めるように構成されている。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【
図1】
図1は、本発明の実施例に係る、内腔から流体を取り出す装置の斜視図。
【
図2】
図2は、本発明の実施例に係る、内腔から流体を取り出す装置の側面図。
【
図3】
図3は、本発明の実施例に係る、内腔から流体を取り出す装置の側面図。
【
図4】
図3に示された内腔から流体を取り出す装置の、3−3線に沿った断面図。
【
図5】
図5は、本発明の実施例に係る、内腔から流体を取り出す装置の斜視図。
【
図6】
図6は、本発明の実施例に係る、内腔から流体を取り出す装置の断面斜視図。
【
図7】
図7は、本発明の実施例に係る、内腔から流体を取り出す装置の断面図。
【
図8】
図8は、本発明の実施例に係る、内腔から流体を取り出す装置の分解斜視図。
【0031】
本発明の実施例を図面を参照して説明する。なお、図面は本発明の好適な実施例を示す目的で提供されているものであって、本発明は図面に示された形態にのみ限定されるものでない。
【0032】
図1には、本発明の実施例に係る、内腔から流体を取り出す装置10の斜視図を示す。装置10は、本体11、第1の針部12,第2の針部を有し、第2の針部はフレキシブルシース13に覆われている。輸送中又は保管中、第1の針部11は第1の針キャップ14に覆われ、第2の針部(不明瞭)は第2の針キャップ15に覆われている。
【0033】
第1の針部12は、装置10を介して流体(血液など)を取り出すために、患者の皮膚(図示せず)に穿刺するように構成された環状の孔あけ針の形をしている。
【0034】
装置10には、本体11の前部に保持手段16が設けてある。保持手段16は、第1の針部12を本体11内の所定位置に保持するように構成されている。本体11の後部には、医療装置(図示せず)の相補的なねじ部に当該装置10を容易に接続できるように構成されたねじ部17が設けてある。使用時、装置10を医療装置(図示せず)に接続すると、第2の針部(不明瞭)が医療装置のシール(膜、栓、プラグ等)に対して保持される。また、装置10に力が加えられ、第2の針部(不明瞭)がフレキシブルシース13に孔をあけられるとともに、同時に医療装置のシールに孔があけられる。これにより、装置10が医療装置(図示せず)に接続されている限り、流体は装置10内に保持される。
【0035】
本体11は、透明材料又は半透明材料で作られた観察窓18を含み、これを介して、本体11内の流体「フラッシュ」(存在)が観察される。観察部18には、水路又は溝の形をした複数の窪み19が設けられる。水路又は溝は、本体11内の流体のイメージを屈折する、拡大する、及び/又は高めるように構成されている。
【0036】
図2には、内腔から流体を取り出す装置の側面図を示す。この図では、装置10の保管状態又は輸送状態が示してあり、そこでは、第1と第2の針部(不明瞭)が第1と第2の針キャップ14,15でそれぞれ覆われている。これにより、装置10は、針部を損傷することなく、また、装置10の無菌性を維持しながら、保管又は輸送できる。
【0037】
図3には、内腔から流体を取り出す装置の側面図が示されている。この図では、第2の針キャップ(図示せず)が取り除かれ、第2の針部(不明瞭)を覆うフレキシブルシース13が露出している。
【0038】
図4は、
図3に示した内腔から流体を取り出す装置の、3−3線に沿った断面図を示す。この図において、第1の針キャップ14には、複数の突起21が設けてある。突起21は、本体11の窪み19に配置されるように構成されている。好ましくは、突起21は窪み19と摩擦係合状態で係合して、保管中又は輸送中に誤って針キャップ14が脱落したり又は跳ね飛ばされたりしないように(又は、使用準備中に装置10が針キャップ14から滑り落ちないように)してある。
【0039】
また、突起は、装置10が医療装置に例えばねじ係合で接続されたとき、針キャップ14が装置10上で回転するのを防止する。したがって、突起21は、回転トルクを装置10に効率的に伝達し、装置10は医療装置(図示せず)に確実に取り付けられる。
【0040】
この図では、針キャップ12は本体11を貫通している。第1の針部12は実質的に管状をしており、内腔から取り出された流体が第1の針部12の内部を通過するようになっている。また、第1の針部12を囲む環状リング(実質的にこれに同軸である。)の形をしたチャンバ部22が示されている。
【0041】
図5では、内腔から流体を取り出す装置10の斜視図が示されている。この図には、管状の第1の針部12が、本体11の前部に設けられた保持手段とともに示されている。
【0042】
観察部18の窪み19は、第1の針部12とほぼ同軸に伸びている。窪み19は、実質的に凹状をしており、たとえ少量の血液フラッシュであっても屈折されて拡大される。したがって、第1の針部12が適正に配置されたことをユーザは即座に分かる。
【0043】
図6には、内腔から流体を取り出す装置10の断面斜視図が示されている。特に、装置10の後部が示されている。この図において、第2の針部23は、装置10の後部を貫通して表れている。第2の針部23は、第2の針部23の長さの一部に沿って、チャンバ22によって(実質的に同軸に)囲まれている。
【0044】
第2の針部23は、フレキシブルシース13によってその長さの一部に沿って覆われている。フレキシブルシース13は、第2の針部23の流体が無くなったり汚染されたりするのを防止、または、ユーザに接触するのを防止している。第2の針部23が医療装置(図示せず)に接触すると、第2の針部23は同時にシース13に孔をあけ、これにより、流体が第2の針部23から医療装置に流れ込むことができる。
【0045】
また、フレキシブルシース13は取り外し可能である。したがって、複数の医療装置(血液採取チューブ等)が装置に順次接続される場合、一つ医療装置が取り除かれた後で別の医療装置が接続される前に、シース13は第2の針部23を覆う。このように、第2の針部23は覆われており、偶発的な怪我を防止し、医療装置が取り付けられていない状態で針に流体が流れるのを防止している。
【0046】
図7は、内腔から流体を取り出す装置10の断面図を示す。この図において、第1の針部12と第2の針部23は一つの針の対向する端部である。針には、開口24が設けられている。開口は、本体11のチャンバ部22に整列している。したがって、針を流れる流体の一部がチャンバ部22に開口24を介して入る。チャンバ部22に入る流体は、本体11の観察部18を介して観察される。観察部18にある複数の窪み19により、たとえ少量の流体がチャンバ部22に入った場合でも、その流体のイメージが拡大され又は強調される。その結果、ユーザは素早く且つ容易に流体の存在を認識できる。したがって、ユーザは、針部12が内腔内に適正に配置されたことを即座に知ることができる。
【0047】
本体の前端には、本体11に係合して第1の針部12を保持する保持手段16が設けられる。
【0048】
本体の後部は、装置10を適当な医療装置(図示せず)にねじ係合させるためのねじ部17を有する。フレキシブルシース13は、本体11の後部に係合し又そこに保持された状態で示されている。
【0049】
図8には、内腔から流体を取り出す装置10の分解斜視図が示されている。装置10のすべて構成部材がこの図に示されている。
【0050】
第1の針部12と第2の針部23は、一つの針の両端を構成している。この針は開口24を有する。該針を通過する流体の一部が、開口を介して、チャンバ部に出る。
【0051】
針は、本体11を貫通し、本体11に保持されている。本体11は、観察部18を有する。観察部は、透明材料又は半透明材料で作られており、本体11の内部が観察できるようになっている。観察部18には、複数の窪み19が設けてある。窪み19は、チャンバ部の流体のイメージを強調し、屈折し、及び/又は拡大し、素早く且つ容易に流体(血液フラッシュ等)が識別できるようにしている。
【0052】
本体の後部は、そこに取り付けられたフレキシブルシース13を有する。フレキシブルシース13は、第2の針部23を覆い、針内の流体の漏れ又は汚染を防止するとともに、ユーザが針内の流体に触れるのを防止している。
【0053】
本体11の前端には、保持手段16が設けてある。保持手段は、本体に係合し、第1の針部12を保持する。
【0054】
最後に、装置10には、装置10の保管中及び輸送中に第1の針部12と第2の針部23を損傷及び汚染から保護する、第1の針キャップ14と第2の針キャップ15がそれぞれ設けられる。
【0055】
本発明によれば、従来技術にない、複数の重要な利点が得られる。まず、強化手段の存在により、第1の針部が適正に配置されたか否かをユーザは素早く且つ簡単に判断できる。そのため、流体を取り出すプロセスが早くなるため、患者にとって不快感が少なくなる。また、第1の針部が適正に配置されたことを素早く判断できることにより、不適正な配置に起因する患者の損傷の可能性が減る。
【0056】
また、一つの針で済むため、大抵の従来装置のように2つの針を使用する場合に比べて、装置を構成するために必要な部品の数が減少するとともに、その製造コストが減少し、その製造が容易になる。さらに、2つの別々の針ではなく、一つの針を使用するものでは、針が緩み、装置から落下し、その結果、装置が再利用不能になるという可能性が減少する。
【0057】
以上の説明以外に本発明は変形可能で改変可能である。本発明の範囲に属するそのような変形や改変はすべて本発明に含まれる。