【実施例1】
【0015】
第1の実施例は、モデル画像を用いたレジストレーション処理を実行するためのパラメータ設定を行う画像診断支援システムに関するものである。すなわち、
第1の実施例は、複数の画像間のレジストレーション処理により画像診断の支援を行う画像診断支援装置であって、レジストレーション処理を実行する処理部と、
検査手技に対応する、レジストレーション処理に利用するパラメータを記憶する記憶部を備え、処理部は、複数の画像の検査手技に基づき選択したレジストレーション処理のパラメータを用いて、複数の画像間のレジストレーション処理を実行する画像診断支援装置の実施例である。また、本実施例は、複数の画像間のレジストレーション処理により画像診断の支援を行う画像診断支援装置、及びその作動方法であって、レジストレーション処理を実行する処理部と、レジストレーション処理に利用するモデル画像を記憶する記憶部とを備え、この処理部は、複数の画像の検査目的、注目部位に基づき選択したモデル画像に設定される位置合せの基準領域と、複数の画像の検査手技に基づき決定したレジストレーション処理のパラメータを用いて、複数の画像間のレジストレーション処理を実行する構成の画像診断支援装置、及びその作動方法の実施例である。
【0016】
図1Aは、第1の実施例に係る画像診断支援システムの一例を示す構成図である。
図1Aにおいて、101は主に各種の画像診断のための検査機器(モダリティ)で撮影された画像データを保管する記憶装置であり、102は記憶装置101等に画像データを保管して管理する画像保管サーバである。同様に、103は記憶装置であり、モデル画像やパラメータなど、本実施例の画像診断支援システムの処理の実施に必要な情報をデータベースとして保管する。104は表示部を備えた読影端末である。記憶装置101、記憶装置103は、それぞれ画像保管サーバ102、読影端末104の内部の記憶部として構成することができる。
【0017】
106、107、108はそれぞれ第一のCT(Computed Tomography)装置、第二のCT装置、及びMRI(Magnetic Resonance Imaging)装置等の画像診断のための検査機器(モダリティ)を示している。これら各種の装置は、全てネットワーク105を介して相互に接続されている。なお、画像保管サーバ102と読影端末104は共に通常のコンピュータであり、その内部に、相互接続された処理部としての中央処理部(Central Processing Unit:CPU)、記憶部、表示部やキーボード等の入出力部、ネットワークインタフェース等を備えている。
【0018】
図1Bに、
図1Aの画像診断支援システム中の読影端末104の一具体例を示しており、111は記憶部である主メモリ(MM)、112はCPU、113は表示部となる液晶ディスプレイ(LCD)、114はハードディスクドライブ(HDD)、115はキーボード等の入力部(INPUT)、116はネットワークインタフェース(I/F)である。上述のように、HDD114は
図1Aのシステムの記憶装置103、更には記憶装置101として用いることも可能である。なお、画像保管サーバ102の構成も同様の構成を有するので詳細な説明を省略するが、その内部のHDDは
図1Aのシステムの記憶装置101として用いて良いことは上述の通りである。
【0019】
本実施例の画像診断支援システムにおいては、まず、読影端末104の入力部115を用いて、検査目的、検査機器(モダリティ)や撮影手法等の検査手技、注目部位の要素に応じてレジストレーション処理のパラメータを独立して設定する。
【0020】
以下、
図2と
図3を用いて、本実施例の画像診断支援システムにおけるレジストレーション処理の具体例を説明する。
【0021】
図2は、本実施例のシステムの読影端末104等におけるレジストレーション処理の処理手順を示すフローチャート図である。
図3は、本実施例のシステムにおけるレジストレーション処理を説明するための概略図であり、301はレジストレーション処理を行う処理部である。この処理部301は
図1Bの読影端末104のCPU112に対応している。まず、
図2のフローチャートに示すように、レジストレーション処理201が開始すると、処理部301は読影端末104の入力部115から入力されるユーザ指示に基づき、記憶装置103のデータベースから、上述した各要素である、検査手技、即ち検査機器、撮影方法302、検査目的303、注目部位304の読み込みを行い(202)読影端末104の内部の記憶部に記憶する。同様に、読影端末104は記憶装置101に記憶された検査機器からの画像データ1、画像データ2の読み込みを行い(203、204)、内部の記憶部に記憶する。本実施例において、画像データ1は、重ね合わされる画像のデータであり、画像データ2は重ね合わせる画像のデータである。
【0022】
続いて、読影端末104の処理部301は、先に入力された検査目的、注目部位からモデル画像候補の決定を行う(205)。モデル画像のデータは、後で
図4に例示するように、検査目的、注目部位に関連付けされ、記憶装置103に記憶されている。なお、注目部位304とは、
図3に例示すように、診断対象が人体の場合、頭、胸、背、腹、上肢、下肢等や、大脳皮質、脳幹、肺、心臓、肝臓、腎臓等の臓器などがある。次に、処理部301のパラメータ設定部3013は、画像データ1と各モデル画像候補の検査手技からパラメータセット(PS)を決定する(206)。このパラメータセット(PS)の決定手法については、後で
図5を用いて説明する。
【0023】
そして、決定したパラメータセット(PS)を用いて、画像データ1と各モデル画像候補との間で、画像全体に対して各モデル画像を移動、拡大縮小、回転、或いは変形処理して画像データ1に合せ込むレジストレーション処理を実行し(207)、レジストレーション処理が成功するモデル画像が存在するか否かを判定する(208)。なお、上述したように、モデル画像候補のデータは、モデル画像ID404に基づき、順次記憶装置103から読み出しを行うことにより、画像データ1とモデル画像候補間のレジストレーション処理を進めることができる。なお、レジストレーション処理が成功したか否かの判断手法については、後で説明する。
【0024】
続いて、レジストレーション処理が成功したモデル画像を用いて、位置合せの基準領域の設定を行う。成功したモデル画像が複数存在する場合は、まず、相互情報量が最大のモデル画像である、部位の形状がより一致しているモデル画像を選択する(209)。すなわち、部位の変形や欠損を含めた複数のモデル画像候補の内の、最大の相互情報量を有するものを選択する。そして、選択したモデル画像に予め設定された注目部位の位置合せの基準領域に対応する画像データ1上の部位を、画像データ1と画像データ2との間のレジストレーション処理のための位置合せの基準領域に設定する(210)。
【0025】
続いて、重ね合わされる画像データ1と、重ね合わせる画像データ2の検査手技、即ち、検査機器、撮影方法から、レジストレーション処理のパラメータ決定を行う(211)。そして、決定したパラメータを用いて、画像データ1と画像データ2のレジストレーション処理を実行し(212)、レジストレーション画像307を得て、終了する(213)。
【0026】
このステップ211、212におけるパラメータの決定とレジストレーション処理は,上記のモデル画像候補とのレジストレーション処理と同様の手順と同様に行われる。具体的には,モデル画像候補が画像データ2であると考えて,画像データ1と画像データ2との間のレジストレーションを実施する。但し,ステップ207において画像全体に対してレジストレーション処理を実施したが,位置合せの基準領域が同じ位置に表示されるようにレジストレーションを行う。また,画像データ1と画像データ2の検査手技からパラメータセットを選択する。レジストレーション処理においては、例えば、相互情報量が最大となるように、画像データ2の回転や倍率決定を行う。
【0027】
ここで,ステップ212のレジストレーション処理について詳しく説明する。レジストレーション処理には,物体の形状は変化しないと仮定して,一方の画像を移動,拡大縮小,回転することで位置合せを行う剛体レジストレーションと,物体の形状も変化すると仮定して,画像の変形処理も行う非剛体レジストレーションに大別される。剛体レジストレーションを実施する場合,少なくとも位置合せの基準領域が同じ位置に表示されるように画像データ2を移動,拡大縮小,回転する処理を行う。
【0028】
画像の変形処理も行う非剛体レジストレーションを行う場合,少なくとも位置合せの基準領域が同じ位置に表示されるように,画像データ1に設定された位置合せの基準領域に対応する画像データ2の部分を移動,拡大縮小,回転する処理を行う。この場合,画像データ2において,基準領域の領域内と領域外で明確な境界が生じる場合がある。この境界を軽減するために,基準領域の内部から外部にかけて画素の位置に応じて重み付けを行った相互情報量を利用する。
【0029】
以上のように,画像全体ではなく,位置合せの基準領域の位置合せのみを行うことができるので,基準領域の周囲に撮影された診断の対象外である臓器を含めて位置合せを行うことにより,基準領域の位置合せが正確に行えない,あるいは誤差が増加するといった問題を解消することができ,画像間の位置合せをより短時間,より精度よく,より簡単に実施できるようになるという著しい効果がある。
【0030】
なお、以上の処理フローにおいて、ステップ208のレジストレーション処理で成功するモデル画像が存在しなかった場合、重ね合わされる画像データ1上に新たな位置合せの基準領域を設定し(214)、画像データ1をモデル画像候補に追加し(215)、ステップ205以降を実行する。すなわち、本実施例においては、適切なモデル画像がない場合は、撮影された画像データを活用してモデル画像を新規に追加することでレジストレーション処理を実行する。
【0031】
図4に本実施例の画像診断支援システムに用いるモデル画像候補テーブル401の一例を示した。このモデル画像候補テーブル401は、記憶装置103に記憶され、検査目的402と注目部位403からモデル画像の候補の選択を行うことにより、モデル画像を選択することができる。検査目的402としては、術後評価、経過観察、識別診断などがある。この術後評価にあっては、モダリティ、撮影手法が同一の場合も異なる場合もある。経過観察においては、モダリティ、撮影手法が基本的に同一の場合が多い。また、鑑別診断においては、モダリティ、撮影手法の何れか或いは何れも基本的に異なっている場合が多い。
【0032】
同図において、注目部位403には、頭部、肺、肝臓が例示されている。また、モデル画像ID404には、個々のモデル画像に対応して識別子(ID)が記憶される。なお、検査目的402、注目部位403には、対応するモデル画像ID00003−1、00003−2が割り当てられているが、これは複数の画像からなるモデル画像を一纏めのモデル画像として管理する場合の例であり、後に
図12を用いて説明する。
【0033】
図5は、本実施例の画像診断支援システムに用いるパラメータセット(PS)設定テーブル501の一例を示した。このPS設定テーブル501は、記憶装置103に記憶され、検査手技、即ち、検査機器と撮影手法によりパラメータセットを決定するためのテーブルであり、縦軸、横軸共に対象とする画像の検査手技を示している。このPS設定テーブル501には、検査手技として、単純CT、造影CT、MR(T1)、MR(T2)、MR(造影)、MR(MRA)が例示されており、縦横の組み合わせにより、対応するパラメータセット(PS)を設定することができる。ステップ206の場合、画像データ1とモデル画像それぞれの検査手技が組合されることにより、パラメータセット(PS)が決定できる。
【0034】
なお、本実施例のシステムにおけるパラメータとしては、例えば、サンプリングの大きさ、更には、画像をなめらかにするガウシアンフィルタ等のフィルタの種類、係数、適用量、前処理として行う荒いレジストレーションを行う回数、相互情報量を算出するときのヒストグラムの分解能、位置合せを行うときの逐次処理における画像の移動幅や打ち切り誤差等の設定値などがある。
【0035】
このようにレジストレーションを行う画像の検査手技の組合せに応じたパラメータセットを用意することで,レジストレーション処理において検査手技の組合せ毎に適切なパラメータ設定を行うことができるようになり,画像間の位置合せをより短時間,より精度よく,より簡単に実施できるようになるという著しい効果がある。
【0036】
図3に示すように、本実施例の画像診断支援システムの処理部301においては、モデル画像3011を決定し、パラメータ設定3013を行った後、レジストレーションを実行した(3014)後、パラメータ修正を実行する(3012)。このパラメータ修正3012においては、過去のレジストレーション処理の実施結果である変更項目や相互情報量に応じて、パラメータの設定内容を修正する。そして、修正が過度にならないように最大値を設ける、あるいは反映さえる量を徐々に増減させる等を実行する。
【0037】
図6には、記憶装置103に記憶された過去のレジストレーション処理の実施結果を蓄積する実施結果蓄積テーブル601の一例を示している。この実施結果蓄積テーブルは,
図5に示した各々の検査手技の組合せに対応したパラメータセット毎に用意される。同図において、602、603、604はそれぞれモデル画像ID、登録日時、適用回数を示している。また、605、606、607は、それぞれモデル画像IDがID00001に対応する適用回数10回のそれぞれの処理ID、そのパラメータ、相互情報量を示している。また、パラメータとして、サンプリング間隔、ガウシアンフィルタ適用量のそれぞれ初期値と修正後の適用値のセットが蓄積されている。相互情報量607は、0から1で正規化されており、部位の形状がより一致する程値が大きくなる。
【0038】
図7には、本実施例における
図3のパラメータ修正3012の一例を説明するための図である。同図のパラメータ修正用グラフ701において、横軸は正規化された相互情報量、縦軸は係数Xを示している。このグラフ701に示すように、最大値を設ける、或いは反映させる量を徐々に増減させることにより、修正が過度にならないようにすることができる。本具体例においては、新しい初期値は、下式1で決定される。
新しい初期値=現在の初期値+(現在の初期値−適用値)×係数X ・・・(式1)
上式における係数Xは、
図7の縦軸の値である。本式を適用することにより、
図6の実施結果蓄積テーブル601にその一例を示すように、相互情報量が小さい場合は、例えば、処理ID4と処理ID5との間でガウシアン適用量(初期値)に、修正を反映させず、相互情報量が大きい場合は、処理ID5と処理ID6との間のように、修正を反映させるようパラメータ修正(3012)を実行することができる。
【0039】
このように,パラメータ修正に最大値を設ける、或いは反映させる量を徐々に増減させる修正が可能になるので,直前に行ったパラメータ修正の影響のみではなく,徐々に適切な修正を適用できるようになり,画像間の位置合せをより短時間,より精度よく,より簡単に実施できるようになるという著しい効果がある。また,相互情報量を用いてパラメータの修正量を調整できるようにしたので,単なる過去のパラメータ設定の値のみではなく,画像の位置合せがより一致している場合のパラメータの設定値を反映した修正ができるようになるので,より適切なパラメータの修正が適用できるようになり,画像間の位置合せをより短時間,より精度よく,より簡単に実施できるようになるという著しい効果がある。
【0040】
また,検査手技の組合せに対応したパラメータセット毎にこのような修正を実施するようにしたので,他の検査手技の組合せで実施したパラメータ修正の影響を受けず,検査手技の組合せ毎に適切なパラメータ修正を行うことができるようになり,画像間の位置合せをより短時間,より精度よく,より簡単に実施できるようになるという著しい効果がある。
【0041】
また,処理ID8と処理ID9との間のように,サンプリング間隔が更新された場合は、全ての初期値を直前の設定値に変更することができる。サンプリング間隔の変更は,他の処理パラメータと線形的な関係になっていない場合も多いため,上記のような徐々に値を増減させる修正ではなく,このような別の変更を実施する。このように,パラメータの種別毎に適切な修正を適用できるようになり,画像間の位置合せをより短時間,より精度よく,より簡単に実施できるようになるという著しい効果がある。
【0042】
図8A、8Bに本実施例におけるモデル画像の一例を示した。上述した画像診断支援システムの処理部301においては、画像間の位置合わせであるレジストレーション処理において、検査目的と注目部位に応じて、モデル画像を登録、管理出来るようにすることが必要である。
図8A、8Bに示すモデル画像は、被検体である人体の肺野全体のモデル画像801、803を示している。この様に、注目部位が肺の画像のレジストレーション処理は、肺野全体に対して位置合せ処理を行うと、呼吸による影響を受けやすくなるので、呼吸による体動が少ない上部の組織の位置を合致させることにより、画像間の位置合わせであるレジストレーション処理の精度を向上させることができる。
【0043】
そこで、
図8Aでは、モデル画像801において、呼吸による体動が少ない上部の肋骨等の組織の位置を、位置合せの基準領域802として、この位置合せの基準領域802を合致させる。また、
図8Bに示すように、モデル画像803において、気管支を診断する場合に、気管支の分岐位置を位置合せの基準領域804−1〜804−5とし、これらの位置合せの基準領域ができるだけ合うように合致させることにより、画像間の位置合わせであるレジストレーション処理の精度を向上させることができる。
【0044】
なお,位置合せの基準領域以外の領域は,画像間の位置合せが必ず一致することは限らない。しかしながら,検査目的によっては大きな問題にならない。例えば,上述の肺野全体の読影を行う場合,基準領域以外は,呼吸や心拍動の影響を受けて画像間でズレが生じるが,これらの動きは,人の体が持つ本来の動きであり,それを予測しながら読影を行うことができる場合も多くあり,検査目的によっては大きな問題にならない。
【0045】
別の例として,動きを読影の対象とする場合もある。例えば,骨格筋の機能を診断する場合,骨格筋がつながる関節の支点を位置合せの基準領域に設定し,骨格筋を位置合せの基準領域以外に設定することにより,筋肉の収縮時と弛緩時に撮影した画像データを(骨格筋ではない)関節で位置合せを行うことで,骨格筋の機能をより正確に診断できるようになる。このように本実施例では,検査目的と注目部位に応じて,注目部位とは異なる位置合せの基準領域(例えば肋骨や関節)を設定できるようにしたので,上述のような画像診断を行う場合でも,的確な位置合せを行うことできるようになるという著しい効果がある。
【0046】
このように検査目的と注目部位に応じてモデル画像を登録,管理できるようにしたので,例えば肺がんなどの肺野全体に注目した読影をする場合は肺野全体,気管支炎などの気管支に注目した読影を行う場合には気管支の分岐位置というように,検査目的と注目部位に応じて適切なモデル画像を選択することができるようになるので,注目部位を決定するレジストレーション処理の精度を向上させることができ,さらには,注目部位に着目した画像間の位置合せをより短時間,より精度よく,より簡単に実施できるようになるという著しい効果がある。
【0047】
また,検査目的と注目部位に応じて位置合せの基準領域が異なるモデル画像を登録,管理できるようにした。従って,検査目的に応じて注目部位と異なる位置合せの基準領域が設定できるようになるので,例えば,肺野全体の場合には呼吸による体動が少ない上部の肋骨等の組織を基準に設定するなど,診断により役立つレジストレーション処理を行うことができるようになり,注目部位に着目した画像間の位置合せをより短時間,より精度よく,より簡単に実施できるようになるという著しい効果がある。
【0048】
図9は、
図8A、8Bにおけるモデル画像のデータが、
図1の画像診断支援システムの記憶装置103に記憶されている状態を示したものである。本実施例の場合、モデル画像中の位置合せの基準領域を、矩形で囲まれた領域の領域データで表現する。
図9において、モデル画像候補テーブル401の、注目部位が肺で、モデル画像ID00002、ID00025がそれぞれ
図8A、
図8Bのモデル画像の位置合せの基準領域802、804のデータを示している。そして、記憶装置103には、これらのモデル画像の位置合せの基準領域802、804に対応する領域データ901、902が記憶されている。この領域データ901、902は、それぞれ領域ID、種別ID、原点、大きさから構成される。ここで、領域IDとはモデル画像中の位置合せの基準領域を識別するIDである。また、種別IDでは、“0”は追加領域、“1”は削除領域を示す。原点とは基準領域の原点であり、大きさとは基準領域の大きさを示している。
図8Bに示す領域データ902の場合、位置合せの基準領域804−1〜804−5に対応する領域IDが1〜5となっている。なお、
図9において、領域データ903は、実施例2に関するデータであるので、後で説明することとする。
【0049】
図10は、注目部位の位置合せの基準領域、及びモデル画像の3次元のデータ管理方法の一例を説明するための図である。
図8A〜
図8E、
図9の説明にあっては、図示の簡略化のため、3次元座標系の所定平面のモデル画像を示す2次元の画像データとして説明したが、本来、CT装置やMRI装置などの検査機器から得られる画像データには3次元のデータである場合が多い。そこで、
図10では、画像のXYZの3次元座標系の原点(0、0、0)を基準に形成される撮影画像の領域1001中に、矩形の基準領域1002を模式的に示した。矩形の基準領域1002は、原点(x0、y0、z0)、大きさ(x1、y1、z1)を持っている。
【0050】
このように,複数の2次元,3次元の矩形領域を組合せることにより、注目部位の位置合せの基準領域の設定ができるようになるので,単一領域の位置合せの基準領域と,気管支の分岐位置のような複数の領域にまたがる複雑な位置合せの基準領域の設定とが可能になり,検査目的や注目部位が異なる場合においても,画像間の位置合せをより短時間,より精度よく,より簡単に実施できるようになるという著しい効果がある。
【0051】
以上説明したように,本実施例では,レジストレーションを行う画像の検査手技の組合せに応じたパラメータセットを用意するようにしたので,レジストレーション処理において検査手技の組合せ毎に適切なパラメータ設定を行うことができるようになり,画像間の位置合せをより短時間,より精度よく,より簡単に実施できるようになるという著しい効果がある。
【0052】
また,検査目的と注目部位に応じてモデル画像を登録,管理できるようにしたので,検査目的と注目部位に応じて適切なモデル画像を選択することができるようになるので,注目部位に着目した画像間の位置合せをより短時間,より精度よく,より簡単に実施できるようになるという著しい効果がある。
【0053】
また,直前に行ったパラメータ修正の影響のみではなく,徐々に適切な修正を適用できるようにしたので,画像間の位置合せをより短時間,より精度よく,より簡単に実施できるようになるという著しい効果がある。さらに,相互情報量を用いてパラメータの修正量を調整できるようにしたので,画像の位置合せがより一致している場合のパラメータの設定値を反映した修正ができるようになるので,より適切なパラメータの修正が適用できるようになり,画像間の位置合せをより短時間,より精度よく,より簡単に実施できるようになるという著しい効果がある。
【0054】
なお,本実施例において,ステップ207において,画像データ1と各モデル画像候補との間でレジストレーション処理を行う場合,画像全体に対して各モデル画像を移動、拡大縮小、回転、或いは変形処理して画像データ1に合せ込むようにしたが,別の方法で合せ込むようにしてもよい。例えば,頭部などの変形が比較的少ない特定の部位のみを対象とする場合,変形処理を行わない剛体レジストレーション処理を用いて合せ込むようにしてもよいし,あるいは,画像全体に対してレジストレーション処理を行うのではなく,モデル画像の候補に予め設定されている位置合せの基準領域のみを対象としたレジストレーション処理を行うようにしてもよい。対象とする画像データやモデル画像候補の特徴にあわせて処理手順を最適化することが可能である。
【実施例5】
【0077】
次に、
図14、
図16を用いて第5の実施例として、検査時点でレジストレーション処理を実施し、検査機器への撮影条件にフィードバックが可能な画像診断支援システムを説明する。本実施例においては、レジストレーション処理の結果を撮影直後に検査機器に表示し、注目領域における画像の変形量が多いか否か等を即座に判断してフィードバックすることを可能とするものである。
【0078】
図14において、1401はパラメータ管理サーバを、1402、1403はそれぞれ、パラメータ管理サーバ1401に図示を省略したネットワークを介して接続される検査室、読影室を、1406はモデル画像、1407は読影端末を示している。
【0079】
図16に見るように、検査室1402内の検査技師は、検査室1402の検査機器1406を用いて撮影した患者Aの画像Aを、読影室1403に伝送する(1601)。読影室1403では、読影医が読影端末1407により、画像Aの読影を行い、その際実施したレジストレーション処理のパラメータ設定1405をパラメータ管理サーバ1401に伝送する(1602)。パラメータ管理サーバ1401では、処理パラメータを最適化し、パラメータセットとして格納する。
【0080】
その後、検査室1402で、患者Aの再度の撮影を行うと、読影室Aから過去に撮影した画像Aの伝送を受ける(1603)。そして、パラメータ管理サーバ1601から、画像Aを撮影した撮影機器、撮影手法に関するパラメータセットを呼出し(1604)、伝送されたパラメータセットを受信する(1605)。検査室1402では、画像Aと今回撮影した画像Bとのレジストレーション処理を、受信したパラメータセットを用いて実施する。このレジストレーション処理で比較が上手くいかなかった場合は、検査室1402では、患者の体勢や撮影条件を変更し、撮影とレジストレーション処理を再実行する。そして撮影した画像Bを読影室1403に伝送する(1606)と共に、実施したレジストレーション処理のパラメータをパラメータ管理サーバ1401に伝送する(1607)。パラメータ管理サーバ1401では、伝送されてきた処理パラメータを最適化し、パラメータセットとして記憶部に格納する。
【0081】
その後、読影室1403の読影医は読影端末1407により、検査した撮影機器、撮影手法に関するパラメータセットをパラメータ管理サーバ1401から呼出し、伝送されてきたパラメータセットを用いて、画像A、画像Bのレジストレーション処理を実施し、画像Bの読影を行うことができる。
【0082】
このように本実施例によれば、パラメータ管理サーバ1401が院内の処理パラメータを全て共有し、院内のあらゆる事例を活用したレジストレーション処理を検査室でも実施することができるようになり,より最適なパラメータセットを直ぐに利用できるようになるので,画像間の位置合せをより短時間,より精度よく,より簡単に実施できるようになるという著しい効果がある。又、比較した画像の変形量が多い場合は即座に再撮影したり、検査機器(モダリティ)の撮影条件の設定、再撮影に反映可能となるとなるので,撮影から読影に至る画像診断全体の効率を向上させることができる,さらには,後日再撮影が必要となるようなケースを未然に防止することができ,患者の負担を軽減することができるようになるという著しい効果がある。
【0083】
また本実施例によれば、定期的に経過観察を実施している患者の場合、過去に何度か同じ検査機器、撮影手法による検査を実施しているので、その度毎に過去に撮影した画像とのレジストレーション処理を行って、画像同士を比較する読影を効率的に実施することができるようになるという著しい効果がある。また、検査室1402でレジストレーション処理を行うことで、その場で患者の体勢や撮影条件の最適化を行えるようになるという著しい効果がある。更に、撮影時に行ったレジストレーション処理でのパラメータ設定を用いて、読影室1403での読影時のレジストレーション処理が行うことができるようになり,より最適なパラメータセットを直ぐに利用できるようになるので,画像間の位置合せをより短時間,より精度よく,より簡単に実施できるようになるという著しい効果がある。
【0084】
次に、以上説明した各実施例の画像診断支援システムにおけるレジストレーション処理画面の一例を説明する。
【0085】
図17は、上述した各実施例におけるレジストレーション処理画面の一例を示す図である。同図において、画面1711中に、画像データ1 1701、画像データ2 1702、レジストレーション結果画像1703が表示されている。これら画像の下部に、自動パラメータ設定ボタン1704が配置され、このボタンにより、上述した各実施例によるパラメータの自動設定の実施が開始される。パラメータ修正ボタン1705は、自動設定で不具合が生じたときに選択される。プルダウンメニュー1706は、前処理フィルタ、適用量、逐次処理ステップ、打ち切り誤差等、パラメータ修正を選択したときに変更できるパラメータ設定部である。レジストレーション実行ボタン1707は、画像データ1 1701に画像データ2 1702を合せ込むレジストレーション処理を実行するためのボタンである。
【0086】
また、画像データ2のみボタン1708は、レジストレーション結果画像に画像データ2の処理結果のみを表示するためのボタンである。重ね合わせ表示ボタン1709は、画像データ1とレジストレーション処理後の画像データ2とを同じ画面に重ねて表示するためのボタンです。輝度、色相スライダー1710は、重ね合わせ表示のときの画像データ2の輝度や色相を変更するためのスライダーである。
【0087】
このように,ボタンの操作とスライダーの移動だけで画像の重ね合わせが上手く実施されているかどうかを,より視覚的にわかりやすく確認できるようになるので,画像間の位置合せをより短時間,より精度よく,より簡単に実施できるようになるという著しい効果がある。
【0088】
なお、本発明は上記した実施例に限定されるものではなく、様々な変形例が含まれる。例えば、上記した実施例は本発明を分かりやすく説明するために詳細に説明したのであり、必ずしも説明の全ての構成を備えるものに限定されものではない。また、ある実施例の構成の一部を他の実施例の構成に置き換えることが可能であり、また、ある実施例の構成に他の実施例の構成を加えることが可能である。また、各実施例の構成の一部について、他の構成の追加・削除・置換をすることが可能である。
【0089】
また、上記の各構成、機能、処理部、処理手段等は、それらの一部又は全部を、例えば集積回路で設計する等によりハードウェアで実現してもよい。また、上記の各構成、機能等は、プロセスがそれぞれの機能を実現するプログラムを解釈し、実行することによりソフトウェアで実現してもよいことは上述の通りである。各機能を実現するプログラム、テーブル、ファイル等の情報は、メモリや、ハードディスク、SSD(Solid State Drive)等の記憶装置、又は、ICカード、DVD(Digital Versatile Disc)等の記録媒体におくことができるし、必要に応じてネットワーク等を介してダウンロードすることも可能である。