【課題を解決するための手段】
【0004】
概要
実施例1は、患者の頚動脈鞘内に位置する迷走神経の選択領域を、該迷走神経に隣接する位置から刺激するためのシステムであって、該システムは、頚動脈鞘内の迷走神経の選択領域に隣接する位置に配備されるようになされた第1の神経刺激リード線であって、パルス発生器に接続されるようになされた基端部から先端部を有する先端側部分へと伸びるリード線本体と、該リード線本体内を基端部から先端部へ向かって伸びる少なくとも1つの導体と、該少なくとも1つの導体に作動可能なように接続され、かつ、先端側部分に位置する、少なくとも1つの電極であって、迷走神経へ電気パルスを送達するようになされた少なくとも1つの電極と、を備えている第1のリード線;頚動脈鞘の外側の刺激部位に配備されるようになされた第2の神経刺激リード線であって、パルス発生器に接続されるようになされた基端部から、先端部を有する先端側部分であって頚動脈鞘の外側表面に巻き付きかつ接触するように構成された先端側部分へと伸びる、リード線本体と、該リード線本体内を基端部から先端部へ向かって伸びる導体と、少なくとも1つの電極であって、先端側部分に位置する該少なくとも1つの導体に作動可能なように接続されて、先端側部分が頚動脈鞘の外側表面に接触しているときは該少なくとも1つの電極が迷走神経に向かう方向に配向せしめられるようになっている電極と、を備えている第2のリード線;ならびに、第1および第2のリード線のうち少なくともいずれか一方に位置する1つ以上の電極に電気刺激を選択的に適用するための信号を送受信するようになされたパルス発生器、を備えている。
【0005】
実施例2においては、実施例1によるシステムであって、第2の神経刺激リード線の先端側部分は予め形成されたスパイラル状物を含んでなり、該スパイラル状物は、第2のリード線が移植されたときに、頚動脈鞘の外側表面に螺旋状に巻き付けられて、少なくとも1つの電極が迷走神経に向かうように配向されかつ頚動脈鞘と接触して配置されるように構成されており、該少なくとも1つの電極は頚動脈鞘を通して迷走神経へ電気パルスを送達するようになされている。
【0006】
実施例3においては、実施例1〜2のうちいずれか1つによるシステムであって、第2の神経刺激リード線の先端側部分は、内側表面を有する弾性カフおよび該弾性カフの内側表面に位置する少なくとも1つの電気接点を備えたカフ電極を含んでなり、該カフ電極は、頚動脈鞘の外側表面に巻き付けられて、少なくとも1つの電気接点が迷走神経に向かって配向されて頚動脈鞘と接触するように配置されるように構成されており、該少なくとも1つの電気接点は頚動脈鞘を通して迷走神経へ電気パルスを送達するようになされている。
【0007】
実施例4においては、実施例1〜3のうちいずれか1つによるシステムであって、第1の神経刺激リード線の先端側部分は、複数の電極のうち少なくとも1つを迷走神経に向かう方向に配向するように、かつ、頚動脈鞘内のリード線の先端側部分を刺激部位において安定化および固定するように構成された、予め形成された形状を含んでなる。
【0008】
実施例5は、患者の頚動脈鞘内に位置する該患者の迷走神経の選択領域を、該迷走神経に隣接する位置から刺激するためのシステムであって、該システムは、頚動脈鞘内に位置する迷走神経の選択領域に隣接する該患者の内頚静脈の領域内の位置に配備されるようになされた第1の神経刺激リード線であって、パルス発生器に接続されるようになされた基端部から先端部を有する先端側部分へと伸びるリード線本体と、該リード線本体内を基端部から先端部へ向かって伸びる少なくとも1つの導体と、該少なくとも1つの導体に作動可能なように接続され、かつ、先端側部分に位置する、少なくとも1つの電極であって、迷走神経へ電気パルスを送達するようになされた少なくとも1つの電極と、を備えている第1のリード線;頚動脈鞘の外側の刺激部位に配備されるようになされた第2の神経刺激リード線であって、パルス発生器に接続されるようになされた基端部から、先端部を有する先端側部分であって頚動脈鞘の外側表面に巻き付いて該表面に接触するように構成された先端側部分へと伸びるリード線本体と、該リード線本体内を基端部から先端部へ向かって伸びる導体と、少なくとも1つの電極であって、先端側部分に位置する該少なくとも1つの導体に作動可能なように接続されて、先端側部分が頚動脈鞘の外側表面に接触しているときに該少なくとも1つの電極が迷走神経および内頚静脈内に位置する第1の神経刺激リード線に向かう方向に配向せしめられるようになっている電極と、を備えている第2のリード線;ならびに、第1および第2のリード線のうち少なくともいずれか一方に位置する1つ以上の電極に電気刺激を選択的に適用するための信号を送受信するようになされたパルス発生器、を備えている。
【0009】
実施例6においては、実施例5によるシステムであって、第2の神経刺激リード線の先端側部分は予め形成されたスパイラル状物を含んでなり、該スパイラル状物は、第2のリード線が移植されたときに、頚動脈鞘の外側表面に螺旋状に巻き付けられて、少なくとも1つの電極が迷走神経に向かうように配向されかつ頚動脈鞘と接触して配置されるように構成されており、該少なくとも1つの電極は頚動脈鞘を通して迷走神経へ経血管的に電気パルスを送達するようになされている。
【0010】
実施例7においては、実施例5〜6のうちいずれか1つによるシステムであって、第2の神経刺激リード線の先端側部分は、内側表面を有する弾性カフおよび該弾性カフの内側表面に位置する少なくとも1つの電気接点を備えたカフ電極を含んでなり、該カフ電極は、頚動脈鞘の外側表面に巻き付けられて、少なくとも1つの電気接点が迷走神経に向かうように配向されかつ頚動脈鞘と接触して配置されるように構成されており、該少なくとも1つの電気接点は頚動脈鞘を通して迷走神経へ経血管的に電気パルスを送達するようになされている。
【0011】
実施例8においては、実施例5〜7のうちいずれか1つによるシステムであって、第1の神経刺激リード線の先端側部分は、複数の電極のうち少なくとも1つを迷走神経に向かう方向に配向するように、かつ、頚動脈鞘内のリード線の先端側部分を刺激部位において安定化および固定するように構成された、予め形成された形状を含んでなる。
【0012】
実施例9は、頚動脈鞘内に位置する患者の迷走神経の一部分を刺激する方法であって、頚動脈鞘内において迷走神経に隣接する位置に第1の神経刺激リード線を移植するステップであって、該第1のリード線は、パルス発生器に接続されるようになされた基端部から先端部を有する先端側部分へと伸びるリード線本体と、該リード線本体内を基端部から先端部へ向かって伸びる少なくとも1つの導体と、先端側部分に位置する該少なくとも1つの導体に作動可能なように接続され、かつ、迷走神経へ電気パルスを送達するようになされた少なくとも1つの電極とを備えている、ステップ;頚動脈鞘の外側において迷走神経および第1の神経刺激リード線に隣接する場所に第2の神経刺激リード線を位置付けするステップであって、該第2の神経刺激リード線は、パルス発生器に接続されるようになされた基端部から先端部を有する先端側部分へと伸び、かつ、頚動脈鞘の外側表面に接触するように構成されたリード線本体と、先端側部分に位置する少なくとも1つの電極であって、先端側部分が頚動脈鞘の外側表面と接触しているときは該少なくとも1つの電極が迷走神経および内頚静脈内に位置する第1の神経刺激リード線に向かう方向に配向せしめられるようになっている電極とを備えている、ステップ;迷走神経を刺激するために電極ベクトルを選択するステップ;ならびに、迷走神経に電気刺激パルスを送達するステップ、を含む方法である。
【0013】
実施例10においては、実施例9による方法であって、頚動脈鞘内において迷走神経に隣接する位置に第1の神経刺激リード線を移植するステップは、内頚静脈内の位置に第1の神経刺激リード線を移植することを含んでなる。
【0014】
実施例11においては、実施例9〜10のうちいずれか1つによる方法は、第1および第2の神経刺激リード線の先端側部分に位置する2つ以上の電極の間の1つ以上の電極ベクトルを、所定の刺激閾値に対して評価するステップをさらに含む。
【0015】
実施例12においては、実施例9〜11のうちいずれか1つによる方法であって、頚動脈鞘の外側において第2の神経刺激リード線を位置付けするステップは、少なくとも1つの電極が迷走神経および第1の神経刺激リード線に向かって配向されるように、かつ、頚動脈鞘の外側表面に接触するように、先端側部分を該外側鞘の外周に巻き付けることをさらに含んでなる。
【0016】
実施例13においては、実施例9〜12のうちいずれか1つによる方法であって、第2の神経刺激リード線の先端側部分は、少なくとも1つの電極が設置された予め形成されたスパイラル状物を含んでなり、頚動脈鞘の外側において第2の神経刺激リード線を位置付けするステップは、少なくとも1つの電極が迷走神経および第1の神経刺激リード線に向かって配向されるように、かつ、頚動脈鞘の外側表面に接触するように、先端側部分の予め形成されたスパイラル状物を頚動脈鞘の外周に螺旋状に巻き付けることをさらに含んでなる。
【0017】
実施例14においては、実施例9〜13のうちいずれか1つによる方法であって、第2の神経刺激リード線の先端側部分は、カフであって該カフの内側表面に位置する少なくとも1つの電極を備えたカフをさらに含んでなり、頚動脈鞘の外側において第2の神経刺激リード線を位置付けするステップは、少なくとも1つの電極が迷走神経および第1の神経刺激リード線に向かって配向されるように、かつ、頚動脈鞘の外側表面に接触するように、カフを頚動脈鞘の外周に係合させることをさらに含んでなる。
【0018】
実施例15においては、実施例9〜14のうちいずれか1つによる方法であって、第1の医療用電気リード線の先端側部分は、拡張可能なステント様構造物および該拡張可能なステント様構造物の外側表面に位置する少なくとも1つの電極を含んでなり、頚動脈鞘内において迷走神経に隣接する位置に第1の神経刺激リード線を移植するステップは:第1の神経刺激リード線を、拡張可能なステント様構造物を含む先端側部分が迷走神経に隣接するように、内頚静脈内の血管内の位置に送達することと;拡張可能なステント様構造物の外側表面に位置する少なくとも1つの電極を迷走神経に向かう方向に配向せしめることと;拡張可能なステント様構造物を内頚静脈の壁と接触かつ係合するように拡張させて、該血管内でリード線を固定かつ安定化することと、を含んでなる。
【0019】
実施例16においては、実施例9〜15のうちいずれか1つによる方法であって、頚動脈鞘内に第1の神経刺激リード線を移植するステップは、第1の神経刺激リード線を、先端側部分が迷走神経に隣接するように、かつ、少なくとも1つの電極が迷走神経に向かう方向に配向されるように、内頚静脈内の血管内の位置に送達することを含んでなる。
【0020】
実施例17においては、実施例9〜16のうちいずれか1つによる方法であって、頚動脈鞘内に第1の神経刺激リード線を移植するステップは、第1の神経刺激リード線の先端側部分を、迷走神経と内頚静脈との間で迷走神経に隣接する位置に移植することを含んでなる。
【0021】
実施例18は、頚動脈鞘内に位置する患者の迷走神経の一部分を刺激する方法であって、頚動脈鞘内に位置する患者の内頚静脈内において迷走神経に隣接する位置に第1の神経刺激リード線を移植するステップであって、該第1のリード線は、パルス発生器に接続されるようになされた基端部から先端部へと伸びるリード線本体と、該リード線本体内を基端部から先端部へ向かって先端側方向に伸びる1つ以上の導体と、リード線本体の先端部に接続され、かつ、1つ以上の電極に作動可能なように接続された、迷走神経へ電気パルスを送達するようになされた拡張可能な電極とを備えている、ステップ;頚動脈鞘の外側において迷走神経および第1の神経刺激リード線に隣接する場所に第2の神経刺激リード線を位置付けするステップであって、該第2の神経刺激リード線は、パルス発生器に接続されるようになされた基端部から先端部を有する先端側部分へと伸び、かつ、頚動脈鞘の外側表面に接触するように構成されたリード線本体と、先端側部分に位置する少なくとも1つの電極とを備えている、ステップ;迷走神経を刺激するために電極ベクトルを選択するステップ、ならびに;迷走神経を刺激するステップ、を含んでいる。
【0022】
実施例19においては、実施例18による方法は、第1および第2の神経刺激リード線の先端側部分に位置する2以上の電極の間の1つ以上の電極ベクトルを、所定の刺激閾値に対して評価するステップをさらに含む。
【0023】
実施例20においては、実施例18〜19のうちいずれか1つによる方法であって、頚動脈鞘の外側において第2の神経刺激リード線を位置付けするステップは、少なくとも1つの電極が迷走神経および第1の神経刺激リード線に向かって配向されるように、かつ、頚動脈鞘の外側表面に接触するように、先端側部分を該外側鞘の外周に巻き付けることをさらに含んでなる。
【0024】
実施例21においては、実施例18〜20のうちいずれか1つによる方法であって、第2の神経刺激リード線の先端側部分は、少なくとも1つの電極が設置された予め形成されたスパイラル状物を含んでなり、頚動脈鞘の外側において第2の神経刺激リード線を位置付けするステップは、少なくとも1つの電極が迷走神経および第1の神経刺激リード線に向かって配向されるように、かつ、頚動脈鞘の外側表面に接触するように、先端側部分の予め形成されたスパイラル状物を頚動脈鞘の外周に螺旋状に巻き付けることをさらに含んでなる。
【0025】
実施例22においては、実施例18〜21のうちいずれか1つによる方法であって、第2の神経刺激リード線の先端側部分は、カフであって該カフの内側表面に位置する少なくとも1つの電極を備えたカフをさらに含んでなり、頚動脈鞘の外側において第2の神経刺激リード線を位置付けするステップは、少なくとも1つの電極が迷走神経および第1の神経刺激リード線に向かって配向されるように、かつ、頚動脈鞘の外側表面に接触するように、カフを頚動脈鞘の外周に沿って位置付けすることをさらに含んでなる。
【0026】
実施例23においては、実施例18〜22のうちいずれか1つによる方法は、拡張可能な電極を送達に適した虚脱形態から拡張形態へと移行させるステップをさらに含み、拡張形態においては、拡張可能な電極は内頚静脈の壁に接触かつ係合して該血管内でリード線を固定かつ安定化する。
【0027】
実施例24は、頚動脈鞘内に位置する患者の迷走神経の一部分を刺激する方法であって、該方法は、頚動脈鞘において迷走神経に隣接する位置に神経刺激リード線を位置付けするステップであって、該リード線は、パルス発生器に接続されるようになされた基端部から先端部を有する先端側部分へと伸びるリード線本体と、該リード線本体内を基端部から先端部へ向かって伸びる少なくとも1つの導体と、先端側部分に位置する該少なくとも1つの導体に作動可能なように接続され、かつ、迷走神経に電気パルスを送達するようになされた複数の電極とを備えている、ステップ;該複数の電極のうち少なくとも1つを迷走神経へ向かう方向に配向するステップ;迷走神経を刺激するために電極の組合せを選択するステップ;ならびに、迷走神経に電気刺激パルスを送達するステップ、を含む。
【0028】
実施例25においては、実施例24による方法であって、神経刺激リード線は迷走神経に隣接する内頚静脈内の位置に移植される。
実施例26においては、実施例24〜25による方法であって、神経刺激リード線は迷走神経と内頚静脈との間の頚動脈鞘内の位置に移植される。
【0029】
実施例27においては、実施例24〜26による方法は、神経刺激リード線の先端側部分に位置する2以上の電極の間の1つ以上の電極ベクトルを、所定の刺激閾値に対して評価するステップをさらに含む。
【0030】
実施例28は、患者の頚動脈鞘内にある該患者の迷走神経の選択領域を、該迷走神経に隣接する位置から刺激するためのシステムであって、該システムは、頚動脈鞘内の迷走神経の選択領域に隣接する位置に配備されるようになされた神経刺激リード線であって、パルス発生器に接続されるようになされた基端部から先端部を備えた先端側部分へと伸びるリード線本体と、該リード線本体内を基端部から先端部に向かって伸びる複数の導体と、複数の電極であって、先端側部分に設置され、かつ、各電極が個々に位置指定可能であるように1対1方式で複数の導体に作動可能なように接続され、少なくとも1つの電極は迷走神経に電気パルスを送達するようになされた、電極と、を含んでいるリード線;ならびに、第1および第2のリード線のうち少なくともいずれか一方に位置する1つ以上の電極に電気刺激を選択的に適用するための信号を送受信するようになされたパルス発生器、を備えている。
【0031】
多数の実施形態が開示されるが、当業者には、本発明の実例となる実施形態を示しかつ説明する以下の詳細な説明から、本発明のさらに別の実施形態が明白となるであろう。従って、図面および詳細な説明は当然例示としてみなされるべきであり、限定的なものとみなされるべきではない。