特許第5684651号(P5684651)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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  • 特許5684651-排気弁 図000002
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5684651
(24)【登録日】2015年1月23日
(45)【発行日】2015年3月18日
(54)【発明の名称】排気弁
(51)【国際特許分類】
   F16K 24/00 20060101AFI20150226BHJP
【FI】
   F16K24/00 L
【請求項の数】1
【全頁数】5
(21)【出願番号】特願2011-113288(P2011-113288)
(22)【出願日】2011年5月20日
(65)【公開番号】特開2012-241814(P2012-241814A)
(43)【公開日】2012年12月10日
【審査請求日】2014年4月28日
(73)【特許権者】
【識別番号】000133733
【氏名又は名称】株式会社テイエルブイ
(72)【発明者】
【氏名】浅田 哲夫
【審査官】 柏原 郁昭
(56)【参考文献】
【文献】 特開2007−138988(JP,A)
【文献】 特開平07−260028(JP,A)
【文献】 米国特許第5769429(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16K 24/00
F16K 24/04
F16K 31/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ケーシングで下部に流入口が開口し上部に流出口が開口した弁室を形成し、弁室と流出口の間に弁座を形成し、弁室内壁に内側に突出したリブを形成し、リブの内側に有底のほぼ円筒形状で底部に内外を連通する通孔を設けたフロート受けを固定し、フロート受け内にフロートを自由状態で配し、フロート受けの上端をその上方の弁ケーシングから離間させて配置してフロート受けの上端とその上方の弁ケーシングとの間にフロート受けの内外を連通する連通路を設けたものにおいて、フロート受けの上端に上方内側の流出口に向って次第に小径となる円錐状傾斜壁を取付け、円錐状傾斜壁の上面とその上方の弁ケーシングとの間に上記連通路を形成したことを特徴とする排気弁。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、配管に水を送り込むときに開弁して配管内の空気を排気し、排気が終われば閉弁し、また配管系の圧力が低下して真空状態となったときに開弁して外部空気を導入することにより真空状態を破壊する排気弁に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の排気弁は、ケーシングで下部に流入口が開口し上部に流出口が開口した弁室を形成し、弁室と流出口の間に弁座を形成し、弁室内壁に内側に突出したリブを形成し、リブの内側に有底のほぼ円筒形状で底部に内外を連通する通孔を設けたフロート受けを固定し、フロート受け内にフロートを自由状態で配し、フロート受けの上端をその上方の弁ケーシングから離間させて配置してフロート受けの上端とその上方の弁ケーシングとの間にフロート受けの内外を連通する連通路を設けたものである。この排気弁は、先ず配管に水を送り込むときにはフロートが弁座から離座して降下した開弁状態であり、流入口から弁室内に流入してくる配管内の空気をリブの間の空間から連通路を通して及び通孔からフロート受け内を通して流出口に排気する。そして排気が終わって配管内の水が流入口から弁室内に流入してくると、リブの間の空間から連通路を通して及び通孔を通してフロート受け内に流入する水によってフロートが浮上して弁座に着座し閉弁する。また配管系の圧力が低下して真空状態となったときにはフロートが弁座から離座して降下し、流出口から弁室内に流入してくる外部空気をフロート受け内から通孔を通して及び連通路からリブの間の空間を通して流入口から配管内に導入することにより真空状態を破壊する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】実公昭51−54263号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記従来の排気弁は、水が流入口から弁室内に急激に流入してくると、フロートの浮上が遅れて流出口から漏水してしまう問題点があった。これは、水が急激に流入してくると、連通路を通過した空気の一部が弁室の上壁に衝突して跳ね返りフロートを下方に付勢するためである。
【0005】
従って本発明の技術的課題は、水が流入口から弁室内に急激に流入してきても、漏水を生じない排気弁を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の技術的課題を解決するために講じた本発明の技術的手段は、ケーシングで下部に流入口が開口し上部に流出口が開口した弁室を形成し、弁室と流出口の間に弁座を形成し、弁室内壁に内側に突出したリブを形成し、リブの内側に有底のほぼ円筒形状で底部に内外を連通する通孔を設けたフロート受けを固定し、フロート受け内にフロートを自由状態で配し、フロート受けの上端をその上方の弁ケーシングから離間させて配置してフロート受けの上端とその上方の弁ケーシングとの間にフロート受けの内外を連通する連通路を設けたものにおいて、フロート受けの上端に上方内側の流出口に向って次第に小径となる円錐状傾斜壁を取付け、円錐状傾斜壁の上面とその上方の弁ケーシングとの間に上記連通路を形成したことを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0007】
本発明は、フロートカバーの上端に上方内側の流出口に向って次第に小径となる円錐状傾斜壁を取付け、円錐状傾斜壁の上面とその上方の弁ケーシングとの間に上記連通路を形成したものであるので、水が流入口から弁室内に急激に流入してきても、弁室の上壁に衝突して跳ね返る水を円錐状傾斜壁の上面に衝突させることにより、フロートを下方に付勢する水を少なくすることができる。そのため、フロートを下方に付勢する力を弱めることができ、漏水を生じることがないという優れた効果を生じる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本発明の実施の形態に係わる排気弁の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
上記の技術的手段の具体例を示す実施例を説明する(図1参照)。本体1に蓋2をボルトで締結して内部に弁室3を有するケーシングを形成する。本体1の下部に流入口4を形成し、蓋2に流出口5を形成する。蓋2に弁座6を間に挟んで取付部材7をネジで固定する。本体1は弁室3の内壁に内側に突出した複数のリブ9を一体に有し、リブ9の内側に有底のほぼ円筒形状のフロート受け10を配置する。フロート受け10の底部は内外を連通する小さな開口面積の通孔11を有する。フロート受け10内に球形のフロート12を自由状態で配置する。
【0010】
フロート受け10の上端に上方内側の流出口5に向って次第に小径となる円錐状傾斜壁13を配置し、フロート受け10と円錐状傾斜壁13をスナップリング14でリブ9に取付ける。円錐状傾斜壁13の上面とその上方の蓋2との間に連通路15を形成する。円錐状傾斜壁13は中央にフロート12の上部が出入りして弁座に離着座するための開口を有する。
【0011】
上記の排気弁の動作は下記の通りである。先ず配管に水を送り込むときにはフロート12は弁座6から離座して降下した開弁状態である。これにより、流入口4から弁室3内に流入してくる配管内の空気をリブ9の間の空間から連通路15を通して及び通孔11からフロート受け10内を通して流出口5に排気する。そして排気が終わって配管内の水が流入口4から弁室3内に流入してくると、リブ9の間の空間から連通路15を通して及び通孔11を通してフロート受け10内に流入する水によってフロート12が浮上して弁座6に着座し閉弁する。これにより、水の漏出を防止する。このとき、配管内の水が流入口4から弁室3内に急激に流入してきても、弁室3の上壁に衝突して跳ね返る水を円錐状傾斜壁13の上面に衝突させることにより、フロート12を下方に付勢する水を少なくして、フロート12を下方に付勢する力を弱めることができ、漏水を生じることがない。
【0012】
また配管系の圧力が低下して真空状態となったときにはフロート12が弁座6から離座して降下し開弁する。これにより、流出口5から弁室3内に流入してくる外部空気を連通路15からリブ9の間の空間を通して及びフロート受け10内から通孔11を通して流入口4から配管内に導入することにより真空状態を破壊する。
【産業上の利用可能性】
【0013】
本発明は、配管に水を送り込むときに開弁して配管内の空気を排気し、排気が終われば閉弁し、また配管系の圧力が低下して真空状態となったときに開弁して外部空気を導入することにより真空状態を破壊する排気弁に利用することができる。
【符号の説明】
【0014】
1 本体
2 蓋
3 弁室
4 流入口
5 流出口
6 弁座
8 弁口
9 リブ
10 フロート受け
11 通孔
12 フロート
13 円錐状傾斜壁
14 スナップリング
15 連通路
図1