(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
第1の振動流式連続反応器が、接続部材を介して第2の振動流式連続反応器に接続しており、前記トナー粒子の凝集が前記第1の振動流式連続反応器内で起こり、前記トナー粒子の融着が前記第2の振動流式連続反応器内で起こる、請求項3に記載のプロセス。
第1の振動流式連続反応器が、接続部材を介して第2の振動流式連続反応器に接続しており、前記複数の振動流式連続反応器のうちの前記第1の振動流式連続反応器は、凝集処理を行い、前記複数の振動流式連続反応のうちの前記第2の振動流式連続反応器は、融着処理を行う、請求項6に記載のプロセス。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
トナー粒子の製造時間を短縮し、トナー粒子の帯電をよりよく制御するような、トナーを製造するための改良された方法は依然として望ましい。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示は、トナーを製造するプロセスに関し、少なくとも1つの入口と、少なくとも1つの出口と、複数のバッフルとを備える少なくとも1つの管状部材が設けられ、このバッフルには、管状部材の内側空間に沿って所定間隔で空間をあけられて配置された1つ以上のオリフィスが備わっている、振動流式連続反応器を与えることと;上述の管状部材に、少なくとも1つの樹脂と、少なくとも1つの着色剤と、場合によりワックスとを含むトナー成分を導入することと;上述の成分を凝集させ、トナー粒子を製造することと;上述のトナー粒子を融着させることと;上述の管状部材から上述のトナー粒子を回収することとを含み、このプロセスは連続プロセスである。
【0008】
また、本開示は、少なくとも1つの樹脂と、少なくとも1つの着色剤と、ワックスと、場合により荷電制御剤とを含むトナー成分を、管状部分の長さ方向に沿って異なる位置で管状部材に導入することと;上述のトナー成分を凝集させてトナー粒子を製造することと;上述のトナー粒子を融着させることと、上述の管状部材から上述のトナー粒子を回収することとに関し、ここで、複数のバッフルは、材料を混合することと、上述の反応器を流れる流体流とが独立して起こるような構成になっており、上述のトナー成分が、上述の管状部材中で約5〜約180分の滞留時間を有する。
【0009】
本開示は、振動流式連続反応器を提供する。この反応器は、可とう性の管状部材である、少なくとも1つの容器を備えている。また、この反応器は、管状部材の内側空間に沿って所定間隔で空間をあけられて配置された複数のバッフルを備えており、この複数のバッフルには、それぞれ1つ以上のオリフィスが備わっている。さらに、1つ以上の流体が管状部材を流れる。振動流式連続反応器を乳化凝集プロセスで用いて、少なくとも1つの樹脂と、着色剤と、場合により添加剤とを含むトナー粒子を製造してもよい。
【0010】
トナー粒子は、体積平均径が約4μm〜約12μm、約5μm〜約9μmであってもよい。
【0011】
乳化凝集プロセスは、連続プロセスであってもよい。管状部材は、少なくとも1つの入口と、少なくとも1つの出口とを備えていてもよい。また、1つ以上の流体が、異なる段階および管状部材の長さ方向に沿って異なる位置で管状部材に注入されてもよい。さらに、1つ以上の流体は、乳化凝集プロセス全体にわたって管状部材の中で振動流に維持されてもよい。
【0012】
振動流式連続反応器は、複数のバッフルを固定するための中央パイプをさらに備えていてもよい。複数のバッフルは、互いに同じであっても異なっていてもよい。複数のバッフルは、互いに等間隔離れていてもよく、違う間隔で離れていてもよい。複数のバッフルは、管状部材に固定されていてもよく、管状部材に対して移動可能であってもよい。複数のバッフルは、振動するリングであってもよい。複数のバッフルは、滞留時間を約5〜約180分、約10分〜約150分にするように、材料を混合することと、反応器を流れる流体流とが独立して起こるような構成になっていてもよい。さらに、1つ以上の流体の振動流の動きは、管状部材の容積全体にわたっていてもよい。
【0013】
複数の振動流式連続反応器を直列で用いてもよい。また、複数の振動流式連続反応器のうち、第1の振動流式連続反応器が凝集を担当し、複数の振動流式連続反応器のうち、第2の振動流式連続反応器が融着を担当してもよい。
【0014】
第1の振動流式連続反応器を、接続部材を介して第2の振動流式連続反応器に接続してもよい。接続部材は、1つ以上の流体のpHを調節することが可能な構成になっていてもよい。
【0015】
1つ以上の流体のpH調節を管状部材の入口または出口で行ってもよい。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本開示のトナーは、樹脂と、着色剤と、場合によりワックスと、場合により荷電制御剤と、場合により表面添加剤と、場合により任意の添加剤とを混ぜあわせることによって調製されてもよい。当該技術分野の技術知識の範囲内にある任意の方法によって樹脂を調製してもよいが、いくつかの実施形態では、乳化重合方法(半連続型乳化重合を含む)によって樹脂を調製してもよく、トナーは、乳化凝集トナーを含んでいてもよい。乳化凝集は、マイクロメートル未満のラテックスと、顔料粒子とを、トナーの粒径が体積平均径で約4μm〜約12μm、約5μm〜約9μmになるように凝集させることを含む。
【0018】
トナーで用いるためのラテックスを調製するのに適した任意のモノマーを用いてもよい。上述のように、いくつかの実施形態では、トナーを乳化凝集によって製造してもよい。ラテックスポリマーエマルションを作るのに有用で適切であり、ラテックスエマルション中でラテックス粒子が得られるようなモノマーとしては、限定されないが、スチレン、アクリレート、メタクリレート、ブタジエン、イソプレン、アクリル酸、メタクリル酸、アクリロニトリル、これらの組み合わせなどが挙げられる。
【0019】
ラテックスポリマーは、少なくとも1種類のポリマーを含んでいてもよい。少なくとも1種類とは、約1〜約20種類、約3種類〜約10種類であってもよい。ポリマーは、ブロックコポリマー、ランダムコポリマー、または交互コポリマーであってもよい。
【0020】
それに加え、ポリエステル樹脂を用いてもよく、ビスフェノールAとプロピレンオキシドまたはプロピレンカーボネートとの反応生成物から得られるもの、この反応生成物とフマル酸とを反応させることによって得られるポリエステル(米国特許第5,227,460号に開示されているような)、テレフタル酸ジメチルと、1,3−ブタンジオール、1,2−プロパンジオールまたはペンタエリスリトールとの反応から得られる分岐ポリエステル樹脂が挙げられる。
【0021】
いくつかの実施形態では、ポリ(スチレン−アクリル酸ブチル)をラテックスポリマーとして利用してもよい。このラテックスのガラス転移点(T
g)は、約35℃〜約75℃、約40〜約60℃であってもよい。
【0022】
界面活性剤または補助界面活性剤を含む水相でラテックスを調製してもよく、界面活性剤または補助界面活性剤は、固形分が約10〜約60wt%、約30〜約50wt%の分散物を与えるような量のイオン系界面活性剤または非イオン系界面活性剤であってもよい。このようにして生成したラテックス分散物を、凝集およびトナー粒子を作成するための反応器に移してもよい。
【0023】
アニオン系界面活性剤としては、サルフェートおよびスルホネート、酸(例えばアビエチン酸)、これらの組み合わせなどが挙げられる。
【0024】
カチオン系界面活性剤としては、限定されないが、アンモニウム化合物、塩化ベンザルコニウム、これらの組み合わせ、臭化セチルピリジニウム、四級化ポリオキシエチルアルキルアミンのハロゲン化物塩、塩化ドデシルベンジルトリエチルアンモニウム、塩化ベンジルジメチルアルコニウム、これらの組み合わせなどが挙げられる。
【0025】
非イオン系界面活性剤としては、限定されないが、アルコール、酸およびエーテル、セルロース、ポリオキシエチレンエーテル、ジアルキルフェノキシポリ(エチレンオキシ)エタノール、これらの組み合わせなどが挙げられる。
【0026】
ラテックスポリマーを作るために開始剤を添加してもよい。例としては、水溶性開始剤(例えば、過硫酸アンモニウム、過硫酸ナトリウム、過硫酸カリウム)、有機可溶性開始剤(有機過酸化物およびアゾ化合物、アゾアミジン化合物)、これらの組み合わせなどが挙げられる。
【0027】
開始剤を適切な量で添加してもよく、例えば、モノマーの約0.1〜約8wt%、約0.2〜約5wt%の量で添加してもよい。
【0028】
また、ラテックスポリマーを作るために、連鎖移動剤を用いてもよい。適切な連鎖移動剤としては、本開示にしたがって乳化重合が行われる場合、ラテックスポリマーの分子量特性を制御するために、モノマーの約0.1〜約10重量%、約0.2〜約5重量%の量のアルカンチオール、四臭化炭素、これらの組み合わせなどを含む。
【0029】
ラテックスポリマーおよびこのポリマーを構成する粒子を作る際に、安定化剤を含むことが利点な場合がある。適切な安定化剤としては、カルボン酸官能基を有するモノマーが挙げられる。このような安定化剤の例としては、β−カルボキシエチルアクリレート(β−CEA)、ポリ(2−カルボキシエチル)アクリレート、2−カルボキシエチルメタクリレート、アクリル酸およびこれらの誘導体、これらの組み合わせなどが挙げられる。
【0030】
いくつかの実施形態では、カルボン酸官能基を有する安定化剤は、よりよい乳化重合の結果を得るために、少量の金属(例えば、ナトリウム、カリウムおよび/またはカルシウム)イオンを含有していてもよい。金属イオンは、カルボン酸官能基を有する安定化剤の約0.001〜約10重量%、約0.5〜約5重量%の量で存在していてもよい。
【0031】
安定化剤が存在する場合、安定化剤を、トナーの約0.01〜約5重量%、約0.05〜約2重量%の量で添加してもよい。
【0032】
トナー配合プロセスで利用可能なさらなる安定化剤としては、金属水酸化物(水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化アンモニウム、およびこれらの組み合わせ)、炭酸塩などのような塩基が挙げられる。安定化剤としては、水酸化ナトリウムに溶解したケイ酸ナトリウムを含む組成物を挙げることができる。
【0033】
乳化凝集プロセスの速度を制御するためにpH調節剤を添加してもよい。pH調節剤は、作られる生成物に悪影響を与えない任意の酸または塩基であってもよい。適切な塩基としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化アンモニウム、およびこれらの組み合わせのような金属水酸化物が挙げられる。適切な酸としては、硝酸、硫酸、塩酸、クエン酸、酢酸、およびこれらの組み合わせが挙げられる。
【0034】
また、乳化凝集合成中、ラテックスポリマーを作っている間に、ワックス分散物を加えてもよい。適切なワックスとしては、例えば、体積平均径が約50〜約1000nm、約100〜約500nmの範囲のマイクロメートル未満のワックス粒子を、水およびイオン系界面活性剤、非イオン系界面活性剤またはこれらの組み合わせの水相に分散させたものが挙げられる。適切な界面活性剤としては、上述のものが挙げられる。イオン系界面活性剤または非イオン系界面活性剤は、ワックスの約0.1〜約20重量%、約0.5〜約15重量%の量で存在していてもよい。
【0035】
本開示の実施形態のワックス分散物としては、例えば、天然植物性ワックス、天然動物性ワックス、鉱物ワックスおよび/または合成ワックスを挙げることができる。本開示の合成ワックスとしては、例えば、Fischer−Tropschワックス、アクリレートワックス、脂肪酸アミドワックス、シリコーンワックス、ポリテトラフルオロエチレンワックス、ポリエチレンワックス、ポリプロピレンワックス、およびこれらの組み合わせが挙げられる。
【0036】
適切なワックスとしては、パラフィンワックスを挙げることができる。適切なパラフィンワックスとしては、例えば、結晶構造が改変されたパラフィンワックスが挙げられる(本明細書では、改変されたパラフィンワックスと呼ばれてもよい)。このように、直鎖状の炭素と分岐した炭素が釣り合いのとれた状態で分布していてもよい従来のパラフィンワックスと比較すると、本開示の改変されたパラフィンワックスは、分岐した炭素が、ワックスの約1%〜約20%、約8%〜約16%の量で存在し、直鎖状のワックスが、ワックスの約80%〜約99%、約84%〜約92%の量で存在していてもよい。
【0037】
それに加え、このような改変されたパラフィンワックスに存在する異性体(すなわち、分岐した炭素)は、数平均分子量(Mn)が、約520〜約600、約550〜約570であってもよい。このようなワックス中に存在する直鎖状の炭素(本明細書では、いくつかの実施形態で時にノルマルと呼ばれる)は、Mnが約505〜約530、約512〜約525であってもよい。改変されたパラフィンワックス中の分岐した炭素は、重量平均分子量(Mw)が約530〜約580、約555〜約575であってもよく、改変されたパラフィンワックス中の直鎖状の炭素は、Mwが約480〜約550、約515〜約535であってもよい。
【0038】
分岐した炭素の場合、改変されたパラフィンワックス中のMwは、炭素原子約31〜約59個分、約34〜約50個分であってもよく、直鎖状の炭素の場合、Mwは、炭素原子約24〜約54個分、約30〜約50個分であってもよい。
【0039】
改変されたパラフィンワックスは、トナーの約3重量%〜約15重量%、約6重量%〜約10重量%の量で存在してもよい。
【0040】
ラテックス粒子を着色剤分散物に添加してもよい。着色剤分散物は、例えば、体積平均径が約50〜約500nm、約100〜約400nmのマイクロメートル未満のワックス粒子を含んでいてもよい。着色剤粒子を、アニオン系界面活性剤、非イオン系界面活性剤またはこれらの組み合わせを含む水相に懸濁させてもよい。界面活性剤は、イオン系であってもよく、着色剤の約1〜約25重量%、約4〜約15重量%であってもよい。
【0041】
本開示にしたがってトナーを作るのに有用な着色剤としては、顔料、染料、顔料と染料との混合物、顔料混合物、染料混合物などが挙げられる。着色剤は、例えば、ブラック、シアン、イエロー、マゼンタ、レッド、オレンジ、ブラウン、グリーン、ブルー、バイオレット、またはこれらの組み合わせであってもよい。いくつかの実施形態では、顔料を用いてもよい。本明細書で使用される場合、顔料は、選択的な色吸収の結果、反射する光の色を変える材料を含む。いくつかの実施形態では、一般的に水溶液で適用されると思われる染料とは対照的に、顔料は、一般的に不溶性である。例えば、染料は、保持ビヒクル(バインダー)に可溶性であると思われるが、顔料は、保持ビヒクルに不溶性であると思われる。
【0042】
着色剤は、本開示のトナー中に、トナーの約1〜約25重量%、約2〜約15重量%の量で存在していてもよい。
【0043】
ラテックス、ワックス、任意の添加剤、着色剤、水系分散物を凝集させている間、または凝集させる前に凝集剤を添加してもよい。適切な凝集剤の例としては、ポリハロゲン化アルミニウム、ポリアルミニウムシリケート、水溶性金属塩が挙げられる。凝集剤としては、ポリ金属塩、例えば、ポリ塩化アルミニウム(PAC)、ポリ臭化アルミニウムまたはポリアルミニウムスルホシリケートが挙げられる。ポリ金属塩は、硝酸、または他の希釈した酸溶液(例えば、硫酸、塩酸、クエン酸または酢酸)の溶液であってもよい。
【0044】
次いで、ラテックス(場合により分散物の形態)と、場合により着色剤の分散物と、ワックスと、凝集剤とを混ぜあわせて得られたブレンドを撹拌し、ラテックスのT
gの周辺温度(約30℃〜約70℃、約40℃〜約65℃)まで約0.2時間〜約6時間、約0.3時間〜約5時間加熱し、体積平均径が約4μm〜約12μm、約5μm〜約9μのトナー凝集物を得てもよい。
【0045】
必須ではないが、凝集した粒子上にシェルを形成してもよい。コアラテックスを作るために上述のように利用される任意のラテックス、または当該技術分野で既知の任意のラテックスをシェルラテックスを作るのに利用してもよい。例えば、スチレン−アクリル酸n−ブチルコポリマーを利用し、シェルラテックスを作成してもよい。シェルを作るのに利用されるラテックスは、T
gが約35℃〜約75℃、約40℃〜約70℃であってもよい。
【0046】
シェルラテックスが存在する場合、シェルラテックスを、当該技術分野の技術知識の範囲内にある浸漬、噴霧などの任意の方法によって適用してもよい。トナー粒子の最終径が望ましい大きさになるように、いくつかの実施形態では、約3μm〜約12μm、約4μm〜約8μmになるように、シェルラテックスを適用してもよい。凝集粒子が生成したらシェルラテックスを加えて、系中で半連続的にラテックスをシード乳化重合させることによって、トナー粒子を調製してもよい。
【0047】
トナー粒子が望ましい最終径になったら、塩基を用いて混合物のpHを約3.5〜約7、約4〜約6.5に調節してもよい。塩基としては、任意の適切な塩基、例えば、アルカリ金属の水酸化物(例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化アンモニウム)を挙げることができる。アルカリ金属の水酸化物を、混合物の約0.1〜約30重量%の量で添加してもよく、いくつかの実施形態では、混合物の約0.5〜約15重量%の量で添加してもよい。
【0048】
次に、ラテックスと、場合により着色剤と、ワックスとの混合物を融着させてもよい。融着は、約80℃〜約99℃、約85℃〜約98℃の温度で約15分〜約6時間、約30分〜約5時間撹拌し、加熱することを含んでいてもよい。
【0049】
次いで、例えば、酸を用いて混合物のpHを約3.5〜約6、約3.7〜約5.5に調節し、トナー凝集物を融着させてもよい。適切な酸としては、例えば、硝酸、硫酸、塩酸、クエン酸および/または酢酸が挙げられる。添加する酸の量は、混合物の約0.1〜約30重量%、約1〜約20重量%であってもよい。
【0050】
次いで、この混合物を冷却工程または凍結工程で冷却してもよい。冷却は、約20℃〜約40℃、約22℃〜約30℃で約1時間〜約8時間、約1.5時間〜約5時間であってもよい。
【0051】
融着したトナースラリーの冷却は、反応器のジャケットの温度を下げることによって行ってもよい。代替法は、冷却媒体(例えば、氷、ドライアイスなど)を加えることによって急冷し、約20℃〜約40℃、約22℃〜約30℃まで急速に冷却することを含んでいてもよい。
【0052】
次いで、トナースラリーを洗浄してもよい。洗浄は、約7〜約12、約9〜約11のpHで行ってもよい。洗浄は、約30℃〜約70℃、約40℃〜約67℃の温度で行ってもよい。洗浄は、濾過し、トナー粒子を含む濾過ケーキを脱イオン水(DI水)で再びスラリー化することを含んでいてもよい。濾過ケーキをDI水で1回以上洗浄してもよく、または、スラリーのpHを、酸を用いて調節し、pH約4で、DI水で1回洗浄し、その後、DI水で1回以上洗浄してもよい。
【0053】
乾燥は、約35℃〜約75の温度で行ってもよく、いくつかの実施形態では、約45℃〜約60℃の温度で行ってもよい。粒子の含水量が、標的とする設定値である約1重量%未満になるまで、または約0.7重量%未満になるまで乾燥を行ってもよい。
【0054】
この技術は、1つ以上のポリエステル樹脂、結晶性ポリエステル樹脂、および/または天然由来の樹脂を含有するすべての乳化凝集技術に適用可能であろう。天然由来の樹脂としては、天然の供給源および/または再生可能な供給源に由来する樹脂が挙げられる。
【0055】
EAトナーは、従来の方法で、バッチプロセスで大きな撹拌槽反応器を用いて製造されてもよい。トナープロセスの凝集段階で、確実に小さな粒子と均質な混合物になるように原材料を均質化し、フロック形成剤(例えば、ポリ塩化アルミニウム)を加え、マイクロメートル未満の粒子を融着させてもよい。混合機に熱および剪断力を加え、粒子の成長速度および粒径を制御してもよい。フロック形成剤を加え、加熱した直後に、混合物の粘度をヨーグルトに似た堅さに近づけてもよい。凝集物をもっと大きな粒子にすると、粘度は、水の粘度付近まで下がる。さらなる凝集を防ぐために、pHを調節してもよい。融着プロセスを始めるために、混合物の温度を上げてもよい。これにより、トナー凝集物が球状に近くなる場合がある。粒子の生成速度を制御するために、さらにpH調節を行ってもよい。凝集/融着プロセス全体で、パイロットスケールで約3〜約8時間かかる場合があり、製造スケールで約24時間までかかる場合がある。残念なことに、従来の型の連続式反応器は、このような長時間反応に必要なサイズが原因で、実行不可能な場合がある。
【0056】
本開示によれば、振動流式連続反応器として知られる連続式反応器を用いると、このような困難を克服し、乳化凝集粒子を作ることができるであろう。
【0057】
いくつかの実施形態では、振動流式連続反応器は、その中に振動するリングを備えた管を備えていてもよい。振動するリングによって、従来の管状反応器の利点が得られるであろう。例えば、標準的な管状反応器では、レイノルズ数(Re)ができるだけ低いことが必要な場合があり、ここで、レイノルズ数は、慣性力と粘性力との比率の測定値を与え、その結果、確実に適切に混合するような所与の流量条件のために、上述の2種類の力の相対的な重要性を定量するものである。レイノルズ数は、流量が表面に対して相対的に動く多くの異なる状況について定義されている場合がある。
【0058】
しかし、振動流式連続反応器を用いれば、振動するリングによって、正味の流れとは独立して混合することができ、滞留時間を長くすることができる。また、振動するリングの混合作用によって、振動流式連続反応器を広範囲の粘度にわたって混合することができる。
【0059】
一般的に、振動流式反応器(OFR)は、等間隔にオリフィスバッフルが設置された管を備えている。バッフルは、管または管状部材とは独立して動いてもよい。反応材料は、管を通って流れ、振動流の動きが、容積全体に広がってもよい。この組み合わせによって、それぞれのバッフル間の空洞内で、振動流式連続反応器の長さ全体にわたって効率よく混合される。
【0060】
OFRを乳化凝集プロセスに用い、少なくともワックスと、着色剤と、樹脂と、荷電制御剤とを含むトナー粒子を製造してもよい。また、管状部材は、入口と出口を備えていてもよい。さらに、乳化凝集プロセスは、連続プロセスであってもよい。
【0061】
このようにして製造されたトナー粒子は、体積平均径が約4μm〜約12μm、約5μm〜約9μmであってもよい。また、1つ以上の流体が、異なる段階および管状部材の長さ方向に沿って異なる位置で管状部材に注入されてもよい。さらに、1つ以上の流体は、乳化凝集プロセス全体にわたって管状部材の中で振動流に維持されてもよい。
【0062】
OFRは、複数のバッフルを固定するための中央パイプをさらに備えていてもよい。複数のバッフルは、互いに同じであっても異なっていてもよい。複数のバッフルは、互いに等間隔離れていてもよく、違う間隔で離れていてもよい。複数のバッフルは、管状部材に固定されていてもよく、管状部材に対して移動可能であってもよい。複数のバッフルは、振動するリングであってもよく、材料を混合することと、OFRを長い滞留時間で流れる流体流とが独立して起こるような構成になっていてもよい。さらに、1つ以上の流体の振動流の動きは、管状部材の容積全体にわたっていてもよい。
【0063】
複数のOFR30を、
図1に示されるように、システム中、直列で用いてもよい。複数の振動流式連続反応器30のうち、第1の振動流式連続反応器40が凝集を担当し、複数の振動流式連続反応器のうち、第2の振動流式連続反応器50が融着を担当してもよい。言い換えると、複数のOFR30のうち、それぞれを異なる目的で用い、直列で、並列で、または当該技術分野の技術知識の範囲内にある任意の他の様式で接続してもよい。
【0064】
さらに、第1の振動流式連続反応器40を、接続部材60を介して第2の振動流式連続反応器50に接続してもよく、接続部材60は、反応器内の1つ以上の流体18のpHを調節することが可能な構成になっていてもよい。接続部材60は、自身の入口62を備えていてもよい。さらに、1つ以上の流体18のpH調節を、管状部材の入口で行ってもよく、他の実施形態では、1つ以上の流体18のpH調節を、管状部材の出口で行ってもよい。
【0065】
OFRシステムは、複数の原料を備えていてもよい(例えば、第1の原料、第2の原料、第3の原料)。それぞれの原料は、システムに添加される異なる材料を含んでいてもよい。例えば、原料は、本明細書で記載されるように、少なくとも、ワックス、着色剤、樹脂、および/または荷電制御剤であってもよい。原料は、1つ以上の入口からOFRに入れられてもよい。材料をOFR内で混合してもよい。次いで、OFRは、1つ以上の出口を経て混合した材料を移動させてもよい。混合した材料を、さらなる乳化凝集加工のためのバッファー槽の内容物と接触させてもよい。
【0066】
OFRの利点は、L/D(すなわち、直径に対する長さの比率)がきわめて小さくなるような反応器では数時間を必要とする反応を行うための様式を提供することができることである。混合は、正味の流れとは独立していてもよく、レイノルズ数ができるだけ小さくなるように維持する必要はない。この結果、混合させるには流すことが必要な反応器と比較して、実質的にL/Dが小さな反応器では、上述の反応を行うことができるだろう。振動流による混合を用いると、複数のバッフルの個数および振幅を調節することによって、混合強度を正確に制御することができるだろう。
【0067】
大きな撹拌槽反応器と比較して、OFR反応器は、以下の利点を与える。小さい容積を連続的に処理するため、加熱および冷却の温度勾配が非常に迅速である。この反応器は、場合により、周囲圧力よりも大きな内圧で操作してもよい。これにより、トナースラリーの融着温度を上げることができ、周囲圧力で操作し、温度が水の沸点に制限されるシステムと比較して、真円になる率が高まる。