(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5684666
(24)【登録日】2015年1月23日
(45)【発行日】2015年3月18日
(54)【発明の名称】電動トラクタ
(51)【国際特許分類】
B60K 1/04 20060101AFI20150226BHJP
B60L 11/18 20060101ALI20150226BHJP
B62D 49/00 20060101ALI20150226BHJP
【FI】
B60K1/04 Z
B60L11/18 C
B62D49/00 N
【請求項の数】6
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2011-156878(P2011-156878)
(22)【出願日】2011年7月15日
(65)【公開番号】特開2013-22980(P2013-22980A)
(43)【公開日】2013年2月4日
【審査請求日】2013年9月26日
(73)【特許権者】
【識別番号】000001052
【氏名又は名称】株式会社クボタ
(74)【代理人】
【識別番号】100107308
【弁理士】
【氏名又は名称】北村 修一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100114959
【弁理士】
【氏名又は名称】山▲崎▼ 徹也
(74)【代理人】
【識別番号】100137590
【弁理士】
【氏名又は名称】音野 太陽
(74)【代理人】
【識別番号】100169915
【弁理士】
【氏名又は名称】辻 政宏
(74)【代理人】
【識別番号】100174780
【弁理士】
【氏名又は名称】小野 敦史
(72)【発明者】
【氏名】東郷 学
【審査官】
三宅 達
(56)【参考文献】
【文献】
特開2002−137764(JP,A)
【文献】
特開平05−105160(JP,A)
【文献】
特開平11−199189(JP,A)
【文献】
国際公開第2011/001534(WO,A1)
【文献】
実開平03−045001(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60K 1/04
B60L 11/18
B62D 49/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車輪を駆動する電動モータ、同電動モータに給電するバッテリ、及び、運転用の座席シートを走行機体に備え、
前記座席シートは、前記座席シートの前側に配置された左右横向き軸心回りに揺動自在に支持されて、着座するための第1位置と着座面が倒立した第2位置との間で切り換え可能なように構成され、
外部給電設備によって前記バッテリを充電するための充電手段が、前記座席シートの前部に内装され、
前記充電手段は、前記座席シートが前記第2位置に切り換えられた状態においてプラグ又はタップが前記座席シートの裏面から露出するように構成されている電動トラクタ。
【請求項2】
前記充電手段は前記座席シートの裏面から引き出し可能な充電用コードによって構成されている請求項1に記載の電動トラクタ。
【請求項3】
前記充電用コードが前記座席シートに支持されたコードリールを介して出し入れ可能に支持されている請求項2に記載の電動トラクタ。
【請求項4】
前記バッテリへの充電操作に基づいて点灯する充電ランプが、前記座席シートの裏面または前記裏面から引き出し可能な充電用コードのプラグに配置されている請求項2または3に記載の電動トラクタ。
【請求項5】
前記充電手段は、前記外部給電設備から延出された充電用コードのプラグを差し込み可能なように前記座席シートの裏面に配置されたタップによって構成されている請求項1に記載の電動トラクタ。
【請求項6】
前記座席シートの前記第1位置への切り換えに基づいて、前記バッテリから前記電動モータへ給電するための給電回路を閉じて、前記充電手段を介して前記バッテリを充電するための充電回路を開き、前記座席シートの前記第2位置への切り換えに基づいて、前記給電回路を開いて、前記充電回路を閉じる切り換えスイッチが設けられている請求項1から5のいずれか一項に記載の電動トラクタ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車輪を駆動する電動モータ及び同電動モータに給電するバッテリを備えた電動トラクタに関する。
【背景技術】
【0002】
この種の電動トラクタに関連する先行技術文献情報として下記に示す特許文献1がある。この特許文献1に記された電動式作業機械は、電動式の油圧ショベルであり、クローラ式の走行体と、走行体の上に支持された旋回体とを有し、旋回体には運転室とブームが支持されている。この油圧ショベルは、搭載したバッテリを電源として運転され、定置式の充電設備から引き出された電源コードを、旋回体の後部に配置された充電ポート(充電手段)に接続することで、バッテリに充電することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009−256988号公報(0018段落、
図1)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、特許文献1に記された電動式作業機械では、定置式の充電設備から引き出された電源コードを接続するための充電ポートが、油圧ショベルの運転室よりも後部の外壁面に設置されているため、充電ポートが風雨に曝されて傷み易いという問題や、電源コードが接続された状態のまま走行してしまい、電源コードや充電ポートを破損する虞があった。
【0005】
そこで、本発明の目的は、上に例示した従来技術による電動式作業機械が与える従来技術の状況に鑑み、充電手段が傷み難く、不用意に電源コードや充電手段を破損する虞の少ない電動トラクタを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明による電動トラクタの特徴構成は、
車輪を駆動する電動モータ、同電動モータに給電するバッテリ、及び
、運転用の座席シートを走行機体に備え、
前記座席シートは、前記座席シートの前側に配置された左右横向き軸心回りに揺動自在に支持されて、着座するための第1位置と着座面が倒立した第2位置との間で切り換え可能なように構成され、
外部給電設備によって前記バッテリを充電するための充電手段が
、前記座席シートの前部に内装され、
前記充電手段は、前記座席シートが前記第2位置に切り換えられた状態においてプラグ又はタップが前記座席シートの裏面から露出するように構成されている点にある。
【0007】
一般的に座席シートは電動トラクタの前後方向の中間位置に位置するので、上記の特徴構成による電動トラクタでは、充電手段も、電動トラクタの前後方向の中間位置に配置されることとなり、運転室よりも後部の外壁面に設置されている構成に比べて充電手段が風雨に曝され難く、傷み難くなる。また、一般的に座席シートは充電中を除けば着座面が水平な第1位置とされているため、充電手段は着座面を水平とした姿勢の座席シートの裏面で座席シートによって保護された状態となるため更に風雨に曝され難く、傷み難くなる。また、充電手段が座席シートの裏面に配置されているので、仮に水が進入しても充電手段の中に水が溜まることはない。
【0008】
また、上記の特徴構成による電動トラクタでは、座席シートを着座面が倒立した第2位置としなければバッテリの充電ができない。すなわち、作業者は倒立した着座面には着座できず、電動トラクタを運転できないので、充電手段と外部給電設備とが電源コードによって接続された状態のまま走行してしまい、電源コードや充電手段や外部給電設備を破損するような事態が未然に抑止される。
【0009】
また、上記の特徴構成による電動トラクタでは、充電手段と外部給電設備とが電源コードによって接続された状態では座席シートを着座するための第1位置に戻すことができないので、作業者が充電完了後などに電源コードを充電手段または外部給電設備から外す操作を忘れてしまう事態が未然に抑止される。
【0010】
さらに、一般的に座席シートの上には運転中の作業者自身以外の物を載置することは少ないため、充電手段が運転エリアの床面などに配置されている構成に比べて、充電を開始するに当たって充電手段の上に置かれた工具箱などの物を移動させる必要なども生じない。
【0011】
本発明の他の特徴構成は、前記充電手段は前記座席シートの裏面から引き出し可能な充電用コードによって構成されている点にある。
【0012】
本構成であれば、充電中以外の状況では充電用コードは座席シートの裏面に収納されているので、電動トラクタを運転中などに充電用コードが邪魔になる虞が少ない。
また、本構成であれば、一般家庭に備えられているコンセントなどを外部給電設備として利用できる。
【0013】
また、外部給電設備側から引き出した電源コードを電動トラクタの充電手段に接続する構成では、複数の外部給電設備を利用する場合には、外部給電設備毎に電源コードの最大長さが異なる可能性があるが、本構成であれば、電動トラクタの充電手段に配された充電用コードの長さを事前に認識しておき易いため、作業者は外部給電設備からトラクタまでの距離が充電用コードの長さを超えない適切な位置にトラクタを停車して円滑に充電作業を行うことができる。
【0014】
本発明の他の特徴構成は、前記充電用コードが前記座席シートに支持されたコードリールを介して出し入れ可能に支持されている点にある。
【0015】
本構成であれば、充電を行う際には、充電用コードの先端部を引っ張るだけで簡単に充電用コードを引き出し、外部給電設備に接続することができる。また、長尺の充電用コードを用いる場合も、充電用コードの先端に設けられたプラグのみを残した充電用コードの全長を座席シートの裏面に収納できるため、充電用コードの一部を座席シートと車両本体との間に挟み込んでしまう等の問題が生じ難い。
【0016】
また、本構成であれば、外部給電設備からトラクタまでの距離に適した必要十分な長さの充電用コードをコードリールから引き出して用いることができるため、外部給電設備とトラクタの間の床などに過剰な長さの充電用コードが置かれて作業の邪魔になるなどの問題が解消される。
【0017】
本発明の他の特徴構成は、前記バッテリへの充電操作に基づいて点灯する充電ランプが、前記座席シートの裏面または前記裏面から引き出し可能な充電用コードのプラグに配置されている点にある。
【0018】
本構成であれば、充電操作が正常に進行中か否か、また、充電操作が正常に完了したか充電操作の途中であるかを作業者が視覚的に簡単に判断できるため好都合である。また同充電ランプが、座席シートの裏面または充電用コードのプラグに配置されているので、運転エリアの計器パネルに配置されている構成などに比べて、作業者は運転エリアに搭乗するまでもなく電動トラクタの周囲の地面に立った状態でも確認できる。
【0019】
本発明の他の特徴構成は、前記充電手段は、前記外部給電設備から延出された充電用コードのプラグを差し込み可能なように前記座席シートの裏面に配置されたタップによって構成されている点にある。
【0020】
本構成であれば、座席シートの裏面に長尺の充電用コードを収納する空間を設ける必要がないため、座席シートをコンパクトに設定でき、また、電動トラクタを運転中などに充電用コードが邪魔になる虞が少ない。
【0021】
本発明の他の特徴構成は、前記シートの前記第1位置への切り換えに基づいて、前記バッテリから前記電動モータへ給電するための給電回路を閉じて、前記充電手段を介して前記バッテリを充電するための充電回路を開き、前記シートの前記第2位置への切り換えに基づいて、前記給電回路を開いて、前記充電回路を閉じる切り換えスイッチが設けられている点にある。
【0022】
本構成であれば、充電を行うには座席シートを倒立した第2位置にする必要があるため、切り換えスイッチによって自動的に電動モータへの給電回路は開いた状態になるので、もしも運転エリアなどで不用意に走行用のスイッチが入り操作されても、電動モータが駆動されてしまうという虞がない。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【
図1】本発明に係る電動トラクタの外観を示す側面図である。
【
図2】本発明に係る電動トラクタの構成を模式的に示す平面図である。
【
図3】座席シート(第1位置)の付近を示す一部破断側面図である。
【
図4】座席シート(第2位置)の付近を示す一部破断側面図である。
【
図5】別実施形態による座席シート(第1位置)付近を示す一部破断側面図である。
【
図6】別実施形態による座席シート(第2位置)付近を示す一部破断側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下に本発明を実施するための形態について図面を参照しながら説明する。
図1に、本発明に係る電動トラクタの一例として農用トラクタの全体側面が示されている。この農用トラクタは、原動機としての交流モータ1(電動モータの一例)とミッションケース3とが板金製のハウジングフレーム4(走行機体)を介して連結された構造となっている。交流モータ1の下部から前方に延出された前フレーム5に操向用の前輪6が支持されている。
【0025】
交流モータ1から取り出される回転力は、減速機を兼ねたギヤケース2から、座席シート15の下方に配置された駆動軸7を経て、ミッションケース3に伝達される。
ミッションケース3の後部に配置されたデフケース3dの左右に走行用の後輪8が装着されており、そのデフケース3dの後面からPTO出力軸12が後ろ向きに突設配備されている。
また、デフケース3dの上部に連結されたシリンダケース10によって油圧駆動されるリフトアーム9が、作業装置連結用の3点リンク機構11の昇降操作を行う。
【0026】
ミッションケース3には、交流モータ1の回転動力を、後輪8を駆動するための走行出力軸と、耕耘装置などの作業装置を駆動するためのPTO出力軸12とに分割する動力分割手段(不図示)が設けられている。動力分割手段は、例えば、交流モータ1の回転軸と連結された太陽ギヤと、この太陽ギヤの内歯と同時に噛合する2つの遊星ギヤとで構成することができる。
【0027】
第1の遊星ギヤによって取り出される回転力は、運転エリア14の変速レバー17を介して操作される前後進切り換え用及び変速用のギヤ列と、デフケース3dとを経て、後輪8または前輪6及び後輪8に伝えられる。
第2の遊星ギヤによって取り出される回転力は、運転エリア14のPTO操作レバー18を介して操作されるPTOクラッチ(不図示)を経て、PTO出力軸12に伝えられる。
【0028】
交流モータ1の後方には運転用の座席シート15が配置され、交流モータ1の前方には同交流モータ1に給電するためのバッテリ20を備えている。バッテリ20の電力は交流モータ1に隣接配置されたインバータ付きの給電回路22を介して交流モータ1に給電される。
【0029】
この電動トラクタは、バッテリ20を外部給電設備70によって充電するための充電手段として、外部給電設備70に接続するための十分な長さの充電用コード24を装備しており、充電用コード24は座席シート15に内装されたコードリール25の回転ドラムに巻回されている。
【0030】
図3と
図4に示すように、座席シート15は、座席シート15の前端付近の下部に配置された左右横向き軸心X1回りで、クッションバネ19によって下方から支持された着座用の第1位置(
図3)と、クッションバネ19から離間し、着座面15Aが水平に対して約60°傾斜(倒立の一例)した第2位置(
図4)との間で手動切り換え可能に支持されている。
【0031】
図3に示すように、座席シート15の裏面は板金製などのカバー部材16によって閉じられており、このカバー部材16の一部が上向きに突出した凸部16Aとされることで、座席シート15の裏面に空洞部15Vが形成されている。
コードリール25は、座席シート15の座部15Sの内部で、且つ、空洞部15Vの前方に隣接するように配置され、カバー部材16に対して複数のネジなどで固定されている。空洞部15
Vには、充電用コード24の遊端に接続されたプラグ24Pを非充電時に収納しておくことができる。
【0032】
コードリール25は、一般的に持ち運び式のコードリールと同様に、軸心X2回りで回転可能に支持された巻き取りドラム(不図示)と、巻き取りドラムを巻き取り方向に付勢するゼンマイバネ(不図示)とを備える。巻き取りドラムに巻き取られている充電用コード24の内径側の端部は、巻き取りドラムの一端に同心円状に配置された2つの銅製の環状端子板(不図示)と摺接移動するように構成されている。2つの環状端子板はリード線26を介して充電回路28に接続されている。
【0033】
図3に示すように、座席シート15が着座するための第1位置にある状態では、コードリール25の回転軸心X2は概して鉛直方向に延出されており、空洞部15
Vは座席シート15自体によって実質的に閉じられている。
図4に示すように、座席シート
15を第2位置に切り換えると、座席シート15の裏面及び空洞部15Vが露出され、充電用コード24のプラグ24Pが作業者の視界に入る。充電用コード24のプラグ24Pを空洞部15Vから外側に引き出すと、コードリール25の巻き取りドラムが巻き戻し方向に回転操作されて、必要長さの充電用コード24が繰出される。
【0034】
すなわち、コードリール25には制動装置と制動解除ボタンが設けられており、プラグ24Pなどを持って充電用コード24を引き出すと、ゼンマイバネの付勢力に抗して巻き取りドラムが回転することで充電用コード24の長さを変更できるが、充電用コード24を引き出す力を緩めると、制動装置の作用により、巻き取りドラムがゼンマイバネの付勢力によって巻き取り方向に回転することが規制されるので、巻き取りドラムは任意の位置で停止する。制動解除ボタンを押すと、制動装置の制動作用が解除されて、巻き取りドラムがゼンマイバネの付勢力によって充電用コード24の巻き取りを開始する。
【0035】
充電用コード24のプラグ24Pを外部給電設備70の出力部に接続することで、外部給電設備70からバッテリ20への充電操作が開始されることに基づいて点灯し、充電操作の完了に応じて消灯される充電ランプ27が、座席シート15の裏面に配置されている。ここでは、充電ランプ27は空洞部15Vの天井部すなわちカバー部材16の凸部16Aに取り付けられており、充電ランプ27のON/OFF操作は充電回路21と接続されたコントローラ50によって制御される。尚、充電ランプ27を充電用コード24のプラグ24Pに設けてもよい。
【0036】
運転エリア14には、座席シート15の姿勢を検知する検出器30(切り換えスイッチの一例)が設けられている。検出器30はバネによって上向きに突出付勢された被操作片30Aを有し、被操作片30Aの下方に設けられた可動接点の作用により、第1位置の座席シート15によって被操作片30Aが押し下げられると、検出器30からコントローラ50にON信号が出力され、座席シート15が第1位置から第2位置に向かって傾動されると、被操作片30Aが上方に変位することでON信号の出力が解除される。
【0037】
コントローラ50には、検出器30からのON信号すなわち座席シート15の第1位置への切り換えに基づいて、バッテリ20から交流モータ1へ給電するための給電回路22を閉じて、充電手段を介してバッテリ20を充電するための充電回路21を開いた「運転モード」とし、座席シート15の第2位置への切り換えに基づいて、給電回路22を開いて、充電回路21を閉じる「充電モード」とするモード切り換え部が設けられている。
【0038】
したがって、バッテリ20の充電を行うには座席シート15を倒立した第2位置にする必要があるため、検出器30及びモード切り換え部によって自動的に交流モータ1への給電回路22は開いた状態になるので、もしも運転エリア14などで不用意に走行用のスイッチが入り操作されても、交流モータ1が駆動されてしまう虞がない。
【0039】
〔別実施形態〕
〈1〉
図5と
図6に例示するように、コードリール25は設けずに、充電手段として座席シート15の裏面にタップ32を配置した形態で実施してもよい。タップ32には、外部給電設備70から延出された充電用コード24のプラグ24Pを差し込み可能なコンセント口が設けられている。
ここでも、座席シート15は、座席シート15の前端付近の下部に配置された左右横向き軸心X1回りで、着座するための第1位置(
図5)と、着座面15Aが水平に対して約60°傾斜(倒立の一例)した第2位置(
図6)との間で手動切り換え可能に支持されている。
【0040】
タップ32は座席シート15の内部に配置され、カバー部材16の凸部16Aの上面にネジなどで空洞部15Vの側から固定されており、
図6に示すように、凸部16Aの一部に形成された貫通口16Hを介して、前述したコンセント口に充電用コード24のプラグ24Pを装着することができる。タップ32のコンセント口に設けられた接点はリード線26を介して充電回路21に接続されている。
【0041】
図5に示すように、座席シート15が着座するための第1位置にある状態では、タップ32のコンセント口は概して鉛直方向に延出されており、空洞部15Vは座席シート15自体によって実質的に閉じられている。
【0042】
図6に示すように、座席シート
15を第2位置に切り換えると、座席シート15の裏面及び空洞部15Vが露出され、タップ32のコンセント口が作業者の視界に入り、充電用コード24のプラグ24Pをタップ32のコンセント口に装着可能になる。
【0043】
図3と
図4の実施形態と同様に、充電用コード24のプラグ24Pをタップ32のコンセント口に接続することで、外部給電設備70からバッテリ20への充電操作が開始されることに基づいて点灯し、充電の完了に応じて消灯される充電ランプ27が空洞部15Vの天井部に配置されている。座席シート15の姿勢を検知する検出器30の構成も
図3と
図4の実施形態と同様である。
【0044】
〈2〉走行出力軸を駆動するための第1の交流モータとPTO出力軸12を駆動するための第2の交流モータとを設け、動力分割手段を省略した構成で実施することも可能である。
【0045】
〈3〉座席シート15の裏面にコードリール25を設けず、作業者が手動で充電用コード24を巻き付けることの可能なフック状部材を座席シート15の空洞部15Vに設けておいてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0046】
車輪を駆動する電動モータと、同電動モータに給電するバッテリと、同バッテリに外部給電設備から充電するための充電手段とを備えた電動トラクタを合理的に構成する技術として利用できる。
【符号の説明】
【0047】
1 交流モータ(電動モータ)
4 ハウジングフレーム(走行機体)
6 前輪
8 後輪(車輪)
14 運転エリア
15 座席シート
15A 着座面
15V 空洞部
20 バッテリ
21 充電回路
22 給電回路
24 充電用コード(充電手段)
24P プラグ(充電手段)
25 コードリール(充電手段)
27 充電ランプ
30 検出器(切り換えスイッチ)
30A 被操作片
32 タップ(充電手段)
70 外部給電設備