特許第5684744号(P5684744)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5684744
(24)【登録日】2015年1月23日
(45)【発行日】2015年3月18日
(54)【発明の名称】部屋構造
(51)【国際特許分類】
   E04H 1/02 20060101AFI20150226BHJP
   H02G 3/04 20060101ALI20150226BHJP
【FI】
   E04H1/02
   H02G3/04 311G
【請求項の数】8
【全頁数】20
(21)【出願番号】特願2012-17589(P2012-17589)
(22)【出願日】2012年1月31日
(65)【公開番号】特開2013-155540(P2013-155540A)
(43)【公開日】2013年8月15日
【審査請求日】2014年2月21日
(73)【特許権者】
【識別番号】307042385
【氏名又は名称】ミサワホーム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100090033
【弁理士】
【氏名又は名称】荒船 博司
(72)【発明者】
【氏名】岡崎 恭輔
(72)【発明者】
【氏名】井畑 祐子
【審査官】 瓦井 秀憲
(56)【参考文献】
【文献】 特開2000−192674(JP,A)
【文献】 特開昭57−068451(JP,A)
【文献】 特開2002−054309(JP,A)
【文献】 特開平09−049339(JP,A)
【文献】 実開昭53−156340(JP,U)
【文献】 特開2002−371661(JP,A)
【文献】 特開平06−200582(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E04H 1/02
E04B 2/82
E04B 7/00
H02G 3/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
傾斜した屋根面を有する屋根の小屋裏内に形成されるとともに、この屋根の傾斜に対応する傾斜天井を備えた部屋の構造において、
前記傾斜天井と、
前記部屋の一方側から他方側に架設されるとともに、前記傾斜天井の最上部よりも下方に、この傾斜天井の最上部から間隔をあけて配置される梁体と、
上端部が前記梁体の下面に対して着脱可能に取り付けられるとともに、下端部が前記部屋の床に対して着脱可能に取り付けられ、前記部屋を複数の空間に仕切る間仕切り壁と、を備えており、
前記梁体の一側面および他側面は、家電機器を取り付けるための第一取付部とされていることを特徴とする部屋構造。
【請求項2】
請求項1に記載の部屋構造において、
前記部屋の一方に、二つの出入口が横に並んで形成された壁が設けられており、
前記梁体の一端部は、前記二つの出入口の中間に、かつ前記二つの出入口よりも上方に位置していることを特徴とする部屋構造。
【請求項3】
請求項1または2に記載の部屋構造において、
前記傾斜天井の最上部と前記梁体との間の梁上空間に面して、垂直面または前記傾斜天井よりなる傾斜面が形成されており、
前記垂直面または前記傾斜面は、前記間仕切り壁によって仕切られた一方および他方の空間で共通して使用される家電機器を取り付けるための第二取付部とされていることを特徴とする部屋構造。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか一項に記載の部屋構造において、
前記屋根は、前記屋根面の上端部に位置する棟を備えており、
前記梁体は、側面視において前記棟と平行する方向に配置されていることを特徴とする部屋構造。
【請求項5】
請求項1〜3のいずれか一項に記載の部屋構造において、
前記屋根は、前記屋根面の上端部に位置する棟を備えており、
前記梁体は、平面視において前記棟と交差する方向に配置されていることを特徴とする部屋構造。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれか一項に記載の部屋構造において、
前記梁体は、この梁体の長さ方向に沿って配置されるとともに、この梁体自体を補強する補強フレームと、
前記補強フレームの上面に固定された第一下地部と、
前記補強フレームの下面に固定された第二下地部と、を備えており、
前記第一下地部の両側面のそれぞれに、前記家電機器が取り付けられており、
前記第二下地部に、前記間仕切り壁の上端部が固定されていることを特徴とする部屋構造。
【請求項7】
請求項3〜6のいずれか一項に記載の部屋構造において、
前記第一取付部には、それぞれ照明器具が取り付けられ、前記第二取付部には、空調機が取り付けられていることを特徴とする部屋構造。
【請求項8】
請求項7に記載の部屋構造において、
前記照明器具は、前記梁体の両側面に、この梁体の長さ方向に沿って取り付けられる配線ダクトレールと、
前記配線ダクトレールに、この配線ダクトレールに沿ってスライド自在に装着される照明器具本体と、を備えていることを特徴とする部屋構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、傾斜した屋根面を有する屋根の小屋裏内に形成されるとともに、この屋根の傾斜に対応する傾斜天井を備えた部屋の構造に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、隣接配置された部屋どうしを仕切る間仕切り壁を着脱可能とし、子供の成長、独立等に対応して間取りを変更することにより、部屋の有効利用を図ることが可能な技術が知られている(例えば、特許文献1参照)。
つまり、間仕切り壁のない状態では、隣接する部屋同士を一つの大きな部屋にすることができ、間仕切り壁のある状態では、隣接する部屋を別々の部屋に仕切ることができる。
【0003】
また、従来、例えば切妻屋根や寄棟屋根等を始め、様々な種類の傾斜屋根のように、傾斜した屋根面を有する屋根の小屋裏を利用して、建物の最上階に、屋根の傾斜に対応する傾斜天井を備えた部屋を形成する場合がある(例えば、特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平9−49339号公報
【特許文献2】特開2000−45547号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、従来のように着脱可能に構成された間仕切り壁によって仕切られる部屋は、子供の成長等に対応して、二部屋に仕切ることを前提としているため、予め、二部屋分の照明器具や空調機等の家電機器が部屋内に設置されることがある。しかし、間仕切り壁によって仕切る前の一部屋の状態の時に、二部屋分の家電機器が設置されていると不自然な印象を与える場合がある。
また、傾斜天井を備えた部屋の場合は、上方に向かうにつれて部屋の空間が次第に狭くなるため、部屋の上部に配置するような家電機器を設置しにくい場合がある。ましてや、二部屋分の家電機器を設置することは非常に難しい場合がある。
このように二部屋分の家電機器を設置できないとなると、着脱可能な間仕切り壁によって間取りを変更することも困難となる。
【0006】
本発明の課題は、二部屋分の家電機器を、不自然な印象を与えることなく、予め部屋内に設置でき、たとえ傾斜天井を備えた部屋であっても、間取り変更による部屋の有効利用を図ることが可能な部屋構造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1に記載の発明は、例えば図1図7に示すように、傾斜した屋根面2(22,42)を有する屋根1(21,41)の小屋裏内に形成されるとともに、この屋根1(21,41)の傾斜に対応する傾斜天井6(26,46)を備えた部屋3(23,43)の構造において、
前記傾斜天井6(26,46)と、
前記部屋3(23,43)の一方側から他方側に架設されるとともに、前記傾斜天井6(26,46)の最上部6a(26a,46a)よりも下方に、この傾斜天井6(26,46)の最上部6a(26a,46a)から間隔をあけて配置される梁体9と、
上端部が前記梁体9の下面に対して着脱可能に取り付けられるとともに、下端部が前記部屋3(23,43)の床4(24,44)に対して着脱可能に取り付けられ、前記部屋3(23,43)を複数の空間3a(23a,43a),3b(23b,43b)に仕切る間仕切り壁10と、を備えており、
前記梁体9の一側面9aおよび他側面9bは、家電機器(例えば、照明器具11等)を取り付けるための第一取付部とされていることを特徴とする。
【0008】
請求項1に記載の発明によれば、前記梁体9は、部屋3(23,43)の一方側から他方側に、かつ比較的高い位置に設けられることになる。
さらに、前記梁体9の一側面9aおよび他側面9bは、家電機器(例えば、照明器具11等)を取り付けるための第一取付部とされているので、部屋3(23,43)が前記間仕切り壁10によって仕切られる前は、前記第一取付部9a,9bに取り付けられた双方の家電機器は、一つの部屋3(23,43)で使用される家電機器として見られることになる。また、部屋3(23,43)が前記間仕切り壁10によって仕切られた後は、前記第一取付部9a,9bに取り付けられた双方の家電機器は、前記間仕切り壁10によって仕切られた一方の空間3a(23a,43a)側と他方の空間3b(23b,43b)側とに配置され、これら双方の空間3a(23a,43a),3b(23b,43b)それぞれで使用される家電機器として見られることになる。
これによって、前記梁体9の第一取付部9a,9bに取り付けられた二部屋3a(23a,43a),3b(23b,43b)分の家電機器を、不自然な印象を与えることなく、予め部屋3内に設置できる。また、前記傾斜天井6(26,46)の最上部6a(26a,46a)よりも下方に、この傾斜天井6(26,46)の最上部6a(26a,46a)から間隔をあけて配置された前記梁体9に二部屋3a(23a,43a),3b(23b,43b)分の家電機器が取り付けられているので、上方に向かうにつれて空間が次第に狭くなる部屋3(23,43)であっても、前記間仕切り壁10による部屋3(23,43)の間取り変更を確実に行うことができ、部屋3(23,43)の有効利用を図ることが可能となる。
【0009】
請求項2に記載の発明は、例えば図1図7に示すように、請求項1に記載の部屋構造において、
前記部屋3(23,43)の一方に、二つの出入口7b(27b,47b),7c(27c,47c)が横に並んで形成された壁7(27,47)が設けられており、
前記梁体9の一端部は、前記二つの出入口7b(27b,47b),7c(27c,47c)の中間に、かつ前記二つの出入口7b(27b,47b),7c(27c,47c)よりも上方に位置していることを特徴とする。
【0010】
請求項2に記載の発明によれば、前記梁体9の一端部は、前記二つの出入口7b(27b,47b),7c(27c,47c)の中間に、かつ前記二つの出入口7b(27b,47b),7c(27c,47c)よりも上方に位置しているので、前記梁体9は、前記部屋3(23,43)を仕切る位置に対応しつつ、比較的高い位置に設けられることになる。
これによって、前記梁体9の第一取付部9a,9bに取り付けられた二部屋3a(23a,43a),3b(23b,43b)分の家電機器を、より不自然な印象を与えることなく、予め部屋3(23,43)内に設置できる。また、二つの部屋3a(23a,43a),3b(23b,43b)の真ん中の比較的高い位置に設けられた前記梁体9に二部屋3a(23a,43a),3b(23b,43b)分の家電機器が取り付けられることになるので、上方に向かうにつれて空間が次第に狭くなる部屋3であっても、前記間仕切り壁10による部屋3の間取り変更をより確実に行うことができ、前記部屋3(23,43)をより有効に利用できる。
【0011】
請求項3に記載の発明は、例えば図1図6図7に示すように、請求項1または2に記載の部屋構造において、
前記傾斜天井6(26,46)の最上部6a(26a,46a)と前記梁体9との間の梁上空間9cに面して、垂直面(例えば中央壁部70、垂直面30等)または前記傾斜天井6(26,46)よりなる傾斜面が形成されており、
前記垂直面または前記傾斜面は、前記間仕切り壁10によって仕切られた一方および他方の空間3a(23a,43a),3b(23b,43b)で共通して使用される家電機器(例えば、空調機12等)を取り付けるための第二取付部とされていることを特徴とする。
【0012】
請求項3に記載の発明によれば、前記梁上空間9cに面する前記垂直面または前記傾斜面は、家電機器を取り付けるための第二取付部とされているので、前記部屋3(23,43)が前記間仕切り壁10によって仕切られる前は、前記第二取付部に取り付けられた家電機器は、一つの部屋3(23,43)で使用される家電機器として見られることになる。また、前記部屋3が前記間仕切り壁10によって仕切られた後は、前記第二取付部に取り付けられた家電機器は、前記間仕切り壁10によって仕切られた一方の空間3a(23a,43a)側と他方の空間3b(23b,43b)側の双方の空間で共通して使用される家電機器として見られることになる。
これによって、前記第二取付部に取り付けられた家電機器を、不自然な印象を与えることなく、予め部屋3(23,43)内に設置できる。また、前記梁上空間9cに面する前記垂直面または前記傾斜面に家電機器が取り付けられているので、上方に向かうにつれて空間が次第に狭くなる部屋3(23,43)であっても、前記間仕切り壁10による前記部屋3(23,43)の間取り変更を確実に行うことができ、前記部屋3(23,43)の有効利用を図ることが可能となる。
【0013】
請求項4に記載の発明は、例えば図1図4に示すように、請求項1〜3のいずれか一項に記載の部屋構造において、
前記屋根1は、前記屋根面2の上端部に位置する棟を備えており、
前記梁体9は、側面視において前記棟と平行する方向に配置されていることを特徴とする。
【0014】
請求項4に記載の発明によれば、前記梁体9は、側面視において前記棟と平行する方向に配置されているので、前記梁体9の下面に取り付けられる前記間仕切り壁10によって、前記部屋3を、前記棟の一側面側と他側面側とに仕切ることができる。すなわち、上方に向かうにつれて空間が次第に狭くなり、かつ前記梁体9が、側面視において前記棟と平行する方向に配置された部屋3であっても、前記間仕切り壁10による部屋3の間取り変更を確実に行うことができる。
【0015】
請求項5に記載の発明は、例えば図6図7に示すように、請求項1〜3のいずれか一項に記載の部屋構造において、
前記屋根21,41は、前記屋根面22,42の上端部に位置する棟21a,41aを備えており、
前記梁体9は、平面視において前記棟21a,41aと交差する方向に配置されていることを特徴とする。
【0016】
請求項5に記載の発明によれば、前記梁体9は、平面視において前記棟21a,41aと交差する方向に配置されているので、前記梁体9の下面に取り付けられる前記間仕切り壁10によって、前記部屋23,43を、前記棟21a,41aの一端側と他端側とに仕切ることができる。すなわち、上方に向かうにつれて空間が次第に狭くなり、かつ前記梁体9が、平面視において前記棟21a,41aと交差する方向に配置された部屋23,43であっても、前記間仕切り壁10による部屋23,43の間取り変更を確実に行うことができる。
【0017】
請求項6に記載の発明は、例えば図1図3図7に示すように、請求項1〜5のいずれか一項に記載の部屋構造において、
前記梁体9は、この梁体9の長さ方向に沿って配置されるとともに、この梁体9自体を補強する補強フレーム90と、
前記補強フレーム90の上面に固定された第一下地部91と、
前記補強フレーム90の下面に固定された第二下地部92と、を備えており、
前記第一下地部91の両側面のそれぞれに、前記家電機器(例えば、照明器具11等)が取り付けられており、
前記第二下地部92に、前記間仕切り壁10の上端部が固定されていることを特徴とする。
【0018】
請求項6に記載の発明によれば、前記梁体9自体を補強する前記補強フレーム90の上面に、前記家電機器(例えば、照明器具11等)が取り付けられる第一下地部91が固定されているので、この第一下地部91の取付状態が強固なものとなり、さらに、この第一下地部91に取り付けられる前記家電機器の取付状態を安定的なものにすることができる。
また、前記梁体9自体を補強する前記補強フレーム90の下面に、前記間仕切り壁10の上端部が固定される第二下地部92が固定されているので、この第二下地部92の取付状態が強固なものとなり、さらに、この第二下地部92に固定される前記間仕切り壁10の設置状態を安定的なものにすることができる。
【0019】
請求項7に記載の発明は、例えば図1図3に示すように、請求項3〜6のいずれか一項に記載の部屋構造において、
前記第一取付部9a,9bには、それぞれ照明器具11,11が取り付けられ、前記第二取付部(前記垂直面または前記傾斜面)には、空調機12が取り付けられていることを特徴とする。
【0020】
請求項7に記載の発明によれば、前記第一取付部9a,9bには、それぞれ照明器具11,11が取り付けられ、前記第二取付部には、空調機12が取り付けられているので、部屋3(23,43)が前記間仕切り壁10によって仕切られる前は、前記照明器具11,11および空調機12は、一つの部屋3(23,43)で使用される家電機器として見られることになる。また、前記部屋3(23,43)が前記間仕切り壁10によって仕切られた後は、前記照明器具11,11および空調機12は、前記間仕切り壁10によって仕切られた一方の空間3a(23a,43a)側と他方の空間3b(23b,43b)側で別個に、または共通して使用される家電機器として見られることになる。
これによって、前記照明器具11,11および空調機12を、不自然な印象を与えることなく、予め部屋3(23,43)内に設置できる。また、前記梁体9から上方に、前記照明器具11,11および前記空調機12が取り付けられているので、上方に向かうにつれて空間が次第に狭くなる部屋3(23,43)であっても、前記間仕切り壁10による部屋3(23,43)の間取り変更を確実に行うことができ、部屋3(23,43)の有効利用を図ることが可能となる。
【0021】
請求項8に記載の発明は、例えば図1図5図7に示すように、請求項7に記載の部屋構造において、
前記照明器具11は、前記梁体9の両側面9a,9bに、この梁体9の長さ方向に沿って取り付けられる配線ダクトレール11aと、
前記配線ダクトレール11aに、この配線ダクトレール11aに沿ってスライド自在に装着される照明器具本体11bと、を備えていることを特徴とする。
【0022】
請求項8に記載の発明によれば、前記照明器具本体11bを、前記配線ダクトレール11aに沿ってスライドさせることができるので、前記部屋3(23,43)を一つの部屋として使用する場合でも、前記部屋3(23,43)を前記間仕切り壁10で仕切った後でも、前記照明器具本体11bを、前記梁体9の両側面9a,9bの長さ方向の任意の位置に配置することができ、使い勝手が良い。
【発明の効果】
【0023】
本発明によれば、二部屋分の家電機器を、不自然な印象を与えることなく、予め部屋内に設置できる。また、上方に向かうにつれて空間が次第に狭くなる部屋であっても、間仕切り壁による部屋の間取り変更を確実に行うことができ、部屋の有効利用を図ることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
図1】本発明に係る部屋構造の内観を示す正面図である。
図2】本発明に係る部屋構造を示す平面図である。
図3】本発明に係る部屋構造の内観を示す側断面図である。
図4】本発明に係る部屋構造の内観を示し、図3とは異なる部分の断面を示す側断面図である。
図5】梁体の断面図である。
図6】本発明に係る部屋構造の他の一例を示し、(a)は平面図であり、(b)はA−A断面図である。
図7】本発明に係る部屋構造を他の一例を示す側断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態について説明する。
【0026】
<第1の実施の形態>
本実施の形態の部屋3の構造は、図1図5に示すように、傾斜した屋根面2を有する屋根1の小屋裏内に形成されるものであり、前記屋根1の傾斜に対応する傾斜天井6と、前記部屋3の一方側から他方側にわたって架設されるとともに、前記傾斜天井6の最上部6aよりも下方に、この傾斜天井6の最上部6aから間隔をあけて配置される梁体9と、上端部が前記梁体9の下面に対して着脱可能に取り付けられるとともに、下端部が前記部屋3の床4に対して着脱可能に取り付けられ、前記部屋3を複数の空間3a,3bに仕切る間仕切り壁10と、を備える。
そして、前記梁体9の一側面9aおよび他側面9bは、家電機器を取り付けるための第一取付部とされている。
【0027】
前記屋根1は、図示はしないが、前記屋根面2の上端部に位置する棟を備えている。本実施の形態の屋根1は、棟の両側に傾斜する二つの屋根面2,2を備える切妻屋根とされており、屋根面2,2のうちの一方には太陽電池モジュール2aが設置されている。
なお、図2中の双方向矢印は、前記屋根1の棟の方向を示しているものとする。また、前記梁体9は、側面視において前記棟と平行する方向に配置されている。すなわち、前記梁体9は、前記棟の直下に、この棟と同じ方向になるように設けられている。
【0028】
そして、この屋根1の小屋裏内には、図1に示すように、前記屋根面2,2の傾斜に対応する一対の傾斜天井6,6を備えた部屋3が形成されている。
この部屋3は、床4と、この床4の両側に位置する側壁5,5と、これら側壁5,5の上端部から部屋3の最も高い位置まで設けられ、屋根面2,2の傾斜に対応する角度に設定された傾斜天井6,6とによって、棟方向の断面が、いわゆる略家型五角形(または、ホームベース型五角形)となるように形成されている。つまり、この部屋3は、上方に向かうにつれて空間が次第に狭くなるように形成されている。
【0029】
また、この部屋3は、前記傾斜天井6,6と、一対の壁7,8と、二つの出入口7b,7cと、梁体9と、間仕切り壁10と、を備える。
そして、前記梁体9の一側面9aおよび他側面9bは、上述のように、家電機器を取り付けるための第一取付部とされている。
【0030】
また、図1図4に示すように、前記傾斜天井6の最上部6aと前記梁体9との間は梁上空間9cとされている。この梁上空間9cは、前記梁体9の上面の高さ位置から前記傾斜天井6の最上部6aまでの範囲に広がる前記部屋3の上部空間を指している。なお、この梁上空間9cは、前記梁体9の直上の空間のみを指すものではなく、例えば前記部屋3の上部に、前記梁体9の上面の高さ位置よりも上方に位置するようにしてロフトが設けられる場合においては、このロフト空間も、前記梁上空間9cに含まれるものとする。
【0031】
そして、前記梁上空間9cに面して、垂直面または前記傾斜天井6よりなる傾斜面が形成されており、前記垂直面または前記傾斜面は、前記間仕切り壁10によって仕切られた一方および他方の空間3a,3bで共通して使用される家電機器を取り付けるための第二取付部とされている。
本実施の形態においては、前記一対の壁7,8のうち、前記傾斜天井6,6の最上部6aと前記梁体9との間に位置する部位が、前記間仕切り壁10によって仕切られる一方および他方の空間3a,3bで共通して使用される家電機器を取り付けるための第二取付部とされている。
【0032】
前記傾斜天井6,6は、上述のように側壁5,5の上端部から部屋3の最も高い位置(すなわち、最上部6a)まで設けられており、これら傾斜天井6,6の最上部6aは、断面が、これら傾斜天井6,6同士が交わることによって略三角形状に形成されている。
ただし、この最上部6aの断面は、これに限られるものではなく、前記傾斜天井6,6と水平に設けられた天井とが交わることによって略台形状に形成されたものであってもよく、適宜変更可能である。
【0033】
また、前記傾斜天井6,6の途中には、突条部6b,6bが形成されている。これら突条部6b,6bは、棟方向に長尺に形成されるとともに前記部屋3を構成する梁(図示せず)に対応して表れたものである。
【0034】
前記傾斜天井6,6のうちの一方には、前記屋根1の屋根面2の外面側に通じる天窓6cが形成されている。
なお、本実施の形態においては、この天窓6cは、前記傾斜天井6,6の一方に形成されるとしたが、両方の傾斜天井6,6に形成されても良いものとする。
【0035】
前記一対の壁7,8は、図2に示すように、部屋3の棟方向の両端部に、互いに対向するようにして配置されている。
また、これら一対の壁7,8は、前記傾斜天井6,6の棟方向の両端部側に設けられるとともに、前記傾斜天井6,6の傾斜に対応する斜辺7a,8aを有する。すなわち、これら一対の壁7,8は、断面が略家型五角形に形成された部屋3の断面形状に対応して、正面視において略家型五角形となるように形成されている。
また、前記二つの出入口7b,7cは、前記一対の壁7,8のうち一方の壁7の幅方向中央に並設されている。これら二つの出入口7b,7cのそれぞれにはドアが取り付けられている。
また、前記一対の壁7,8のうち他方の壁8には、片開きの建具が二つ取り付けられた窓8bが設けられており、図2図3に示すように、前記二つの出入口7b,7cに対向するようにして配置されている。
【0036】
ここで、前記一方の壁7について、より詳細に説明する。
すなわち、この一方の壁7は、図1図4に示すように、中央壁部70と、凸壁部71,71と、側壁部72,72とを備える。
前記中央壁部70は、前記一方の壁7の幅方向中央に位置し、前記二つの出入口7b,7cを除く壁を指している。
すなわち、前記二つの出入口7b,7cよりも上方に位置する部分は、正面視において家型五角形に形成されている。また、前記二つの出入口7b,7cの間に位置する壁である中間部70aは、前記二つの出入口7b,7cの高さ方向に沿って縦長に形成されている。さらに、この中間部70aは、前記一方の壁7自体の中央にも位置している。しかも、前記一方の壁7は、この中間部70aを境にして、略左右対称に形成されており、これに伴って、前記間仕切り壁10によって仕切られる部屋3自体も、前記中間部70aおよび間仕切り壁10を境にして左右対称に形成される。
【0037】
前記凸壁部71,71は、前記中央壁部70および前記二つの出入口7b,7cの両側に、かつ前記突条部6b,6bの下方に位置し、前記中央壁部70よりも部屋3の中央側に突出する部分を指している。また、これら凸壁部71,71は、前記突条部6b,6bと一体的に形成されている。
【0038】
前記側壁部72,72は、前記一方の壁7の幅方向両側に位置する部分を指している。これら側壁部72,72は、前記中央壁部70や前記二つの出入口7b,7cよりも奥まった位置(部屋3の中央から遠い位置)に配置されており、これによって、部屋3の内部には凹部3c,3cが形成されることになる。
前記凹部3c,3cは、前記中央壁部70と前記両側壁部72,72との間に位置する前記凸壁部71,71によって、前記二つの出入口7b,7c側から隔絶されたように配置形成されている。
【0039】
なお、前記他方の壁8は、図1図4に示すように、前記一方の壁7のように凹凸の多い形状とはなっておらず、前記窓8bを除いて略平面に形成されている。
また、この他方の壁8は、前記一方の壁7の中央壁部70と対向する部分に配置された中央壁部80を備えているものとする。なお、この中央壁部80は、あくまで前記他方の壁8のうち、前記一方の壁7の中央壁部70と対向する部分を指すものであり、前記凸壁部71,71や前記側壁部72,72と対向する部分を指すものではない。すなわち、この中央壁部80は、前記他方の壁8の幅方向中央に位置する部分である。
【0040】
前記梁体9は、図1図3図4に示すように、前記一対の壁7,8の間に架設されており、一端部が、前記二つの出入口7b,7cの中間に、かつ前記二つの出入口7b,7cよりも上方に位置している。
より詳細には、この梁体9は、前記一方の壁7の中央壁部70のうち前記二つの出入口7b,7cよりも上方に位置する部分と、前記他方の壁8の中央壁部80との間に、水平に架設されている。
さらに、この梁体9は、前記傾斜天井6,6の最上部6aよりも下方に、この傾斜天井6,6の最上部6aから間隔をあけて配置され、前記部屋3内に露出している。
【0041】
前記間仕切り壁10は、図1に示すように、棟方向に沿って配置され、前記部屋3の床4と前記梁体9との間に着脱可能に設けられるものである。
そして、この間仕切り壁10を設置することによって前記部屋3を、この間仕切り壁10の一側面側の一方の空間3aと、他側面側の他方の空間3bとに仕切ることができる。
これら一方の空間3aおよび他方の空間3bのそれぞれは、前記出入口7b,7cから出入りできる部屋として利用することができる。
また、前記窓8bは、上述のように片開きの建具が二つ取り付けられたものになっており、一方の建具は、前記一方の空間3aから利用可能であり、他方の建具は、前記他方の空間3bから利用可能となっている。したがって、前記間仕切り壁10は、前記窓8bの二つの建具の中間に位置し、これら二つの建具の開閉を阻害しないように適当な厚みとなるように設定されている。したがって、この間仕切り壁10は、前記一方の壁7の中央壁部70の中間部70aから、前記他方の壁8の中央壁部80のうち、窓8bの二つの建具の中間にかけて設けられている。
【0042】
一方、前記梁体9の一側面9aおよび他側面9bは、上述のように、前記家電機器が取り付けられる前記第一取付部とされている。
ここで、前記梁体9について、より詳細に説明する。
前記梁体9は、図1図3図5に示すように、補強フレーム90と、第一下地部91と、第二下地部92と、笠木93と、石膏ボード94,95と、を備える。なお、これら各部材同士の固定方法は、例えばビス止めや接着剤による接着を始め、様々な方法を利用しても良いものとする。
【0043】
前記補強フレーム90は、前記梁体9の長さ方向に沿って配置されるとともに、この梁体9自体を補強するものであり、チャンネル材90aと、固定プレート90b,90bと、複数の角材90c…と、板材90dと、を有する。
前記チャンネル材90aは、金属製であり、前記一方の壁7から他方の壁8までの長さに設定されるとともに、開放された部分を下方に向けて配置されている。
また、前記固定プレート90b,90bは、金属製であり、前記チャンネル材90aの長さ方向両端部に、例えば溶接等により強固に固定されている。そして、これら固定プレート90b,90bは、前記一方の壁7および他方の壁8に面で当接し、面の複数の隅部がビス等によって取り付けられている。
また、前記複数の角材90c…は、前記チャンネル材90aの開放部分から内部に挿入されるとともに、チャンネル材90aの天板に該当する部分の下面に固定されている。また、これら複数の角材90c…は、図4に示すように、前記チャンネル材90aの長さ方向に沿って互いに間隔をあけて配置されている。さらに、これら複数の角材90c…の下面は、前記チャンネル材90aの下端部よりも若干下方に位置している。
また、前記板材90dは、前記一方の壁7から他方の壁8までの長さに設定されるとともに、前記チャンネル材90aの天板に該当する部分の上面に固定されている。また、この板材90dの幅寸法は、図5に示すように、前記チャンネル材90aの幅寸法よりも長くなるように設定されている。
【0044】
前記第一下地部91は、上下に重なり合う二枚の板材91a,91aからなる。また、この第一下地部91は、前記固定プレート90b,90bを考慮した分、前記一方の壁7から他方の壁8までの長さよりも若干短い長さに設定されるとともに、前記補強フレーム90の上面に固定されている。すなわち、前記補強フレーム90の板材90dに対して固定されている。
また、この第一下地部91の幅寸法は、前記間仕切り壁10の厚みに対して、後述する配線ダクトレール11a,11aの埋め込み深さが確保できるように設定されている。すなわち、図5において、前記第一下地部91の幅と、この第一下地部91の両側面に取り付けられる配線ダクトレール11a,11aの幅とを足し合わせた長さは、前記間仕切り壁10の厚みと略等しくなるように設定されている。
【0045】
前記第二下地部92は、上下に重なり合う二枚の板材92a,92aからなる。また、この第二下地部92は、前記一方の壁7から他方の壁8までの長さに設定されるとともに、前記補強フレーム90の下面に固定されている。すなわち、前記補強フレーム90の複数の角材90c…に対して固定されている。
また、この第二下地部92の幅寸法は、図5に示すように、前記補強フレーム90の板材90dの幅寸法と略等しくなるように設定されている。
【0046】
前記笠木93は、前記梁体9の上部を化粧するものであり、前記一方の壁7から他方の壁8までの長さに設定されるとともに、前記第一下地部91の上面に固定されている。
また、この笠木93は、前記第一下地部91の上面に固定された下地材93aを介して前記第一下地部91の上面に固定されている。
【0047】
前記石膏ボード94は、前記一方の壁7から他方の壁8までの長さに設定されるとともに、前記梁体9の両側面9a,9b側に位置し、前記補強フレーム90の板材90dの側面と、前記第二下地部92の板材92a,92aの側面にわたって取り付けられている。
また、前記石膏ボード95は、前記一方の壁7から他方の壁8までの長さに設定されるとともに、前記梁体9の下面側に位置し、前記第二下地部92の下面に固定されている。
さらに、これら石膏ボード94,94,95の表面には、例えばシート状の化粧材(図示せず)が取り付けられている。
【0048】
そして、本実施の形態においては、前記梁体9のうち、前記第一下地部91の二枚の板材91a,91aの両側面は側方に向かって露出し、この第一下地部91以外は、前記笠木93および石膏ボード94,95によって被覆された状態となっている。
このため、前記家電機器は、この家電機器を取り付けるための第一取付部である前記一側面9aおよび他側面9bのうち、特に、露出する前記第一下地部91の二枚の板材91a,91aの両側面に対して取り付けられる。
そして、以上のように前記梁体9は、補強フレーム90と、第一下地部91と、第二下地部92と、笠木93と、石膏ボード94,95と、を備え、前記梁体9自体を補強する前記補強フレーム90の上面に、前記家電機器が取り付けられる第一下地部91が固定されているので、この第一下地部91の取付状態が強固なものとなり、さらに、この第一下地部91に取り付けられる前記家電機器の取付状態を安定的なものにすることができる。
【0049】
また、前記第二下地部92に対しては、図示はしないが、前記石膏ボード95を介して前記間仕切り壁10の上端部が固定される。
そして、以上のように前記梁体9自体を補強する前記補強フレーム90の下面に、前記間仕切り壁10の上端部が固定される第二下地部92が固定されているので、この第二下地部92の取付状態が強固なものとなり、さらに、この第二下地部92に固定される前記間仕切り壁10の設置状態を安定的なものにすることができる。
【0050】
さらに、前記一対の壁7,8のうち、前記傾斜天井6,6の最上部6aと前記梁体9との間に位置する部位は、前記梁上空間9cに面する垂直面となっており、上述のように、前記間仕切り壁10によって仕切られる一方および他方の空間3a,3bで共通して使用される家電機器を取り付けるための第二取付部とされている。
前記一対の壁7のうち、前記傾斜天井6,6の最上部6aと前記梁体9との間に位置する部位は、図1に示すように、前記中央壁部70である。
特に、この中央壁部70のうち、前記中間部70aよりも上方に位置し、正面視において家型五角形に形成された部分を指しており、この家型五角形の部分の、前記梁体9の上方付近が、前記第二取付部とされている。
【0051】
なお、前記他方の壁8の中央壁部80も、前記中央壁部70に正対しており、前記梁体9も水平に設けられていることから、この他方の壁8の中央壁部80のうち、前記梁体9の上方付近が、前記第二取付部とされている。
すなわち、前記家電機器が取り付けられる前記第二取付部は、前記一対の壁7,8の双方の中央壁部70,80のうち、前記梁体9の上方付近を指している。
なお、これら第二取付部70,80の双方には、それぞれに家電機器を取り付けても良く、どちらか一方に取り付けても良いものとする。本実施の形態においては、前記家電機器は、前記中央壁部70側の第二取付部に取り付けられているものとする。
【0052】
続いて、前記第一取付部および前記第二取付部に取り付けられる家電機器について説明する。
前記第一取付部である前記梁体9の一側面9aおよび他側面9bには、前記家電機器として、それぞれ照明器具11が取り付けられている。
前記照明器具11は、図1図5に示すように、配線ダクトレール11aと、照明器具本体11bと、を備える。なお、この照明器具11は、図示しない電源から電力供給されている。
【0053】
前記配線ダクトレール11aは、前記梁体9の両側面9a,9bに、この梁体9の長さ方向に沿って取り付けられている。より詳細には、この配線ダクトレール11aは、前記梁体9の第一下地部91の二枚の板材91a,91aの両側面のそれぞれに取り付けられている。
【0054】
前記照明器具本体11bは、前記配線ダクトレール11aに、この配線ダクトレール11aに沿ってスライド自在に装着されている。
また、この照明器具本体11bは、首振り自在に構成されており、前記部屋3内の様々な場所に向けることができる。
【0055】
このように前記照明器具本体11bを、前記配線ダクトレール11aに沿ってスライドさせることができるので、前記部屋3を一つの部屋として使用する場合でも、前記部屋3を前記間仕切り壁10で仕切った後でも、前記照明器具本体11bを、前記梁体9の両側面9a,9bの長さ方向の任意の位置に配置することができ、使い勝手が良い。
【0056】
また、前記第二取付部である前記一方の壁7の中央壁部70には、前記家電機器として空調機12が取り付けられている。
なお、この空調機12は、図示しない電源から電力供給されている。また、図示しない各種ホースは、前記一方の壁7に内蔵され、適宜屋外へと延長されるようにして設けられているものとする。
そして、この空調機12は、前記第二取付部である中央壁部70の幅方向中央に配置されており、吹き出された空気が、前記梁体9の左右に分かれるようにして流通するように設定されている。
【0057】
本実施の形態によれば、前記梁体9は、前記部屋3の一方側から他方側に、かつ比較的高い位置に設けられることになる。
さらに、前記梁体9の一側面9aおよび他側面9bは、前記照明器具11,11等の家電機器を取り付けるための第一取付部とされているので、前記部屋3が前記間仕切り壁10によって仕切られる前は、前記第一取付部9a,9bに取り付けられた双方の家電機器は、一つの部屋3で使用される家電機器として見られることになる。また、前記部屋3が前記間仕切り壁10によって仕切られた後は、前記第一取付部9a,9bに取り付けられた双方の家電機器は、前記間仕切り壁10によって仕切られた一方の空間3a側と他方の空間3b側とに配置され、これら双方の空間3a,3bそれぞれで使用される家電機器として見られることになる。
また、前記梁体9の一端部は、前記二つの出入口7b,7cの中間に、かつ前記二つの出入口7b,7cよりも上方に位置しているので、前記梁体9は、前記部屋3を仕切る位置に対応しつつ、比較的高い位置に設けられることになる。
さらに、前記梁上空間9cに面する前記壁7よりなる前記垂直面は、前記空調機12等の家電機器を取り付けるための第二取付部とされているので、前記部屋3が前記間仕切り壁10によって仕切られる前は、前記第二取付部に取り付けられた家電機器は、一つの部屋3で使用される家電機器として見られることになる。また、前記部屋3が前記間仕切り壁10によって仕切られた後は、前記第二取付部に取り付けられた家電機器は、前記間仕切り壁10によって仕切られた一方の空間3a側と他方の空間3b側の双方の空間で共通して使用される家電機器として見られることになる。
これによって、前記梁体9の第一取付部9a,9bに取り付けられた二部屋3a,3b分の家電機器を、不自然な印象を与えることなく、予め前記部屋3内に設置できる。また、前記傾斜天井6の最上部6aよりも下方に、この傾斜天井6の最上部6aから間隔をあけて配置された前記梁体9に二部屋3a,3b分の家電機器が取り付けられているので、上方に向かうにつれて空間が次第に狭くなる部屋3であっても、前記間仕切り壁10による前記部屋3の間取り変更を確実に行うことができ、前記部屋3の有効利用を図ることが可能となる。
【0058】
なお、前記梁体9は、側面視において前記棟と平行する方向に配置されているので、前記梁体9の下面に取り付けられる前記間仕切り壁10によって、前記部屋3を、前記棟の一側面側と他側面側とに仕切ることができる。すなわち、上方に向かうにつれて空間が次第に狭くなり、かつ前記梁体9が、側面視において前記棟と平行する方向に配置された部屋3であっても、前記間仕切り壁10による部屋3の間取り変更を確実に行うことができる。
【0059】
<第2の実施の形態>
次に、図面を参照して本発明の第2の実施の形態について説明する。なお、説明の便宜上、上述した第1の実施の形態とは異なる構成部分のみについて説明する。
【0060】
本実施の形態の部屋23の構造は、図6(a),(b)に示すように、傾斜した屋根面22を有する屋根21の小屋裏内に形成されるものであり、前記屋根21の傾斜に対応する傾斜天井26と、前記部屋23の一方側から他方側に架設されるとともに、前記傾斜天井26の最上部26aよりも下方に、この傾斜天井26の最上部26aから間隔をあけて配置される梁体9と、上端部が前記梁体9の下面に対して着脱可能に取り付けられるとともに、下端部が前記部屋23の床24に対して着脱可能に取り付けられ、前記部屋23を複数の空間23a,23bに仕切る間仕切り壁10と、を備える。
また、前記屋根21は、前記屋根面22の上端部に位置する棟21aを備えており、前記梁体9は、平面視において前記棟21aと交差する方向に配置されている。
【0061】
前記屋根21は、図6(b)に示すように、前記棟21aの両側に傾斜する二つの屋根面22,22を備える招き屋根とされている。
なお、図6(a)中の双方向矢印は、前記屋根21の棟21aの方向を示しているものとする。
【0062】
前記部屋23は、建物の最上階の一画に配置されており、床24と、この床24の両側に位置する側壁25,25と、前記傾斜天井26と、一対の壁27,28と、二つの出入口27b,27cと、前記梁体9と、前記間仕切り壁10と、水平天井部29と、を備える。
【0063】
前記側壁25,25は、互いに対向し、前記棟21aの長さ方向一端側と中央側に離間して設けられている。
また、前記側壁25,25は、図6(b)に示すように、下部が正面視において矩形状に形成され、上部が正面視において直角三角形状に形成されている。
【0064】
前記傾斜天井26は、前記二つの屋根面22,22のうち、前記壁28側の屋根面22にのみ対応して設けられている。すなわち、前記部屋23は、前記一方の屋根面22の傾斜に対応する一つの傾斜天井26を備えることになる。また、この傾斜天井26の最上部26aは、前記棟21aの近傍に位置する。
【0065】
前記一対の壁27,28は、前記側壁25,25のそれぞれに直交するようにして配置されており、これら側壁25,25と一対の壁27,28とによって前記部屋23の周囲を取り囲むことができる。
前記二つの出入口27b,27cは、前記壁27の幅方向中央に横に並んで形成されており、それぞれにドアが取り付けられている。
また、前記壁28には、建具が取り付けられた窓28b,28bが、前記二つの出入口27b,27cに対向するようにして設けられている。
【0066】
前記水平天井部29は、前記傾斜天井26が設けられなかった側の屋根面22の下方に位置し、前記壁27の上端部から水平に設けられている。
この水平天井部29は、前記壁27の上端部から前記部屋23の中央付近まで設けられている。また、この水平天井部29の前記部屋23中央側端部と、前記傾斜天井26の最上部26aとの間には、前記梁体9の上面の高さ位置から前記傾斜天井26の最上部26aまでの範囲に広がる梁上空間9cに面する垂直面30が設けられている。
なお、前記傾斜天井26が設けられなかった側の屋根面22の直下はデッドスペースとされており、図6(b)に示すように、前記水平天井部29と前記垂直面30とによって囲まれた状態となっている。
【0067】
前記梁体9は、前記壁28上端部の中央壁部80側から前記垂直面30側に架設されている。なお、前記梁体9は、このように前記壁28上端部の中央壁部80側から前記垂直面30側に架設されているため、前記一対の壁27,28間の長さよりも短く設定されている。
前記梁体9は、その下面が、前記水平天井部29の表面と面一になるようにして前記壁28と前記垂直面30との間に架設されている。
前記梁体9の上面の高さ位置から前記傾斜天井26の最上部26aまでの範囲に広がる前記部屋23の上部空間は、前記梁上空間9cであり、本実施の形態においては吹抜け状に形成されている。
そして、前記梁体9の一側面9aおよび他側面9bは、家電機器を取り付けるための第一取付部とされている。また、前記梁上空間9cに面する前記垂直面30または前記傾斜天井26よりなる傾斜面は、家電機器を取り付けるための第二取付部とされている。
【0068】
前記間仕切り壁10は、前記一方の壁27の中央壁部70の中間部から前記他方の壁28の中央壁部80の中間部にかけて設けられている。また、上端部が前記梁体9の下面に対して着脱可能に取り付けられるとともに、下端部が前記部屋23の床24に対して着脱可能に取り付けられている。
さらに、前記間仕切り壁10の上端部は、前記梁体9の長さが、上述のように前記一対の壁27,28間の長さよりも短いため、前記水平天井部29に対しても着脱可能に取り付けられているものとする。
そして、前記部屋23は、この間仕切り壁10によって、一方の空間23aと他方の空間23bとに仕切られる。
【0069】
なお、本実施の形態の第一取付部および第二取付部に取り付けられる家電機器は、第1の実施の形態と同じく、照明器具11および空調機12とされている。
ただし、取り付けられる家電機器はこれに限られるものではなく、適宜変更可能であることは言うまでもない。
さらに、本実施の形態においては前記垂直面30を第二取付部としたが、前記傾斜天井26よりなる傾斜面を第二取付部としてもよい。このように第二取付部が傾斜している場合には、前記空調機12としてエアコン室内機を採用することは難しいため、例えば扇風機等その他の空調機を取り付けるようにしてもよいし、空調機以外の家電機器を取り付けるようにしてもよい。
【0070】
本実施の形態によれば、第1の実施の形態と同じく、前記梁体9の第一取付部9a,9bに取り付けられた二部屋23a,23b分の家電機器を、不自然な印象を与えることなく、予め前記部屋23内に設置できる。また、前記傾斜天井26の最上部26aよりも下方に、この傾斜天井26の最上部26aから間隔をあけて配置された前記梁体9に二部屋23a,23b分の家電機器が取り付けられているので、上方に向かうにつれて空間が次第に狭くなる部屋23であっても、前記間仕切り壁10による前記部屋23の間取り変更を確実に行うことができ、前記部屋23の有効利用を図ることが可能となる。
また、前記梁体9は、平面視において前記棟21aと交差する方向に配置されているので、前記梁体9の下面に取り付けられる前記間仕切り壁10によって、前記部屋23を、前記棟21aの一端側と他端側とに仕切ることができる。すなわち、上方に向かうにつれて空間が次第に狭くなり、かつ前記梁体9が、平面視において前記棟21aと交差する方向に配置された部屋23であっても、前記間仕切り壁10による部屋23の間取り変更を確実に行うことができる。
【0071】
<第3の実施の形態>
次に、図面を参照して本発明の第3の実施の形態について説明する。なお、説明の便宜上、上述した第1および第2の実施の形態とは異なる構成部分のみについて説明する。
【0072】
本実施の形態の部屋43の構造は、図7に示すように、傾斜した屋根面42を有する屋根41の小屋裏内に形成されるものであり、前記屋根41の傾斜に対応する傾斜天井46と、前記部屋43の一方側から他方側に架設されるとともに、前記傾斜天井46の最上部46aよりも下方に、この傾斜天井46の最上部46aから間隔をあけて配置される梁体9と、上端部が前記梁体9の下面に対して着脱可能に取り付けられるとともに、下端部が前記部屋43の床44に対して着脱可能に取り付けられ、前記部屋43を複数の空間43a,43bに仕切る間仕切り壁(図示せず)と、を備える。
【0073】
前記屋根41は、前記屋根面42の上端部に位置する棟41aを備えており、前記梁体9は、平面視において前記棟41aと交差(直交)する方向に配置されている。
また、前記屋根41は、前記棟41aの両側に傾斜する二つの屋根面42,42を備えるものである。
【0074】
前記部屋43は、建物の最上階の一画に配置されており、前記床44と、この床44の両側に位置する側壁45と、前記傾斜天井46と、一対の壁47,48と、二つの出入口47b,47cと、ロフト49と、前記梁体9と、前記間仕切り壁と、を備える。
【0075】
前記傾斜天井46は、前記二つの屋根面42,42のうち、前記壁48側の屋根面42にのみ対応して設けられている。すなわち、前記部屋43は、前記一方の屋根面42の傾斜に対応する一つの傾斜天井46を備えることになる。
また、この傾斜天井46の最上部46aは、前記棟41aの近傍に位置する。さらに、前記最上部46a付近には、前記ロフト49が配置されている。
【0076】
前記一対の壁47,48は、前記側壁45(,45)に直交するようにして配置されており、これら側壁45と一対の壁47,48とによって前記部屋43の周囲を取り囲むことができる。
前記二つの出入口47b,47cは、前記壁47の幅方向中央に横に並んで形成されており、それぞれにドアが取り付けられている。
また、前記壁48には、建具が取り付けられた窓48b(,48b)が、前記二つの出入口47b,47cに対向するようにして設けられている。
【0077】
前記ロフト49は、前記部屋43の上部に、前記棟41aの直下に位置するようにして設けられている。
このロフト49は、ロフト床49aと、このロフト床49aの下面49bと、ロフト天井49cと、ロフト壁49dと、を有する。
【0078】
前記ロフト床49aは、前記一方の壁47の上端部付近から前記部屋43の中央付近まで水平に設けられている。
このロフト床49aの前記部屋43中央側端面と、前記他方の壁48との間に、前記梁体9が架設されている。また、前記ロフト床49aの下面49bは、前記梁体9の下面と面一となっている。
前記ロフト天井49cは、前記棟41aの直下に位置するとともに、前記傾斜天井46の最上部46aと等しい高さに位置しており、前記ロフト床49aと同様に水平に設けられている。
前記ロフト壁49dは、前記ロフト床49aと前記ロフト天井49cとの間に設けられており、垂直面となっている。
なお、前記ロフト床49aの上面の前記部屋43中央側端部には、ロフト49から物品等の落下を防止する手摺壁(図示せず)を設置してもよい。この手摺壁の側面も垂直面とされている。
【0079】
前記梁体9は、上述のように、前記ロフト床49aの前記部屋43中央側端面と、前記他方の壁48との間に架設されている。なお、前記梁体9は、このように前記ロフト床49aと前記他方の壁48との間に架設されているため、前記一対の壁47,48間の長さよりも短く設定されている。
前記梁体9の上面の高さ位置から前記傾斜天井46の最上部46aまでの範囲に広がる前記部屋43の上部空間は梁上空間9cとされている。
なお、前記梁上空間9cは、前記梁体9の直上の空間のみを指すものではないため、前記梁体9の上面の高さ位置よりも上方に位置する前記ロフト49も、前記梁上空間9cに含まれるものとする。
【0080】
そして、前記梁体9の一側面9aおよび他側面9bは、家電機器を取り付けるための第一取付部とされている。また、前記梁上空間9cに面する前記ロフト壁49dまたは前記傾斜天井46よりなる傾斜面は、家電機器を取り付けるための第二取付部とされている。
なお、前記ロフト壁49dは、上述のように前記梁上空間9cに面するとともに垂直面であるため、前記第二取付部として機能するが、図示しない前記手摺壁の側面も垂直面とされているため、前記ロフト壁49dと同様に、前記第二取付部として機能する。
【0081】
前記間仕切り壁は、前記一方の壁47から前記他方の壁48にかけて設けられている。また、上端部が前記梁体9の下面に対して着脱可能に取り付けられるとともに、下端部が前記部屋43の床44に対して着脱可能に取り付けられている。
さらに、前記間仕切り壁の上端部は、前記梁体9の長さが、上述のように前記一対の壁47,48間の長さよりも短いため、前記ロフト床49aの下面49bに対しても着脱可能に取り付けられているものとする。
そして、前記部屋23は、この間仕切り壁によって、一方の空間43aと他方の空間43bとに仕切られる。
【0082】
なお、本実施の形態の第一取付部および第二取付部に取り付けられる家電機器は、第1および第2の実施の形態と同じく、照明器具11および空調機12とされている。
ただし、取り付けられる家電機器はこれに限られるものではなく、適宜変更可能であることは言うまでもない。
さらに、本実施の形態においては前記ロフト壁49dを第二取付部とするが、前記手摺壁の側面を第二取付部としてもよいし、前記傾斜天井46よりなる傾斜面を第二取付部としてもよい。このように第二取付部が傾斜している場合には、前記空調機12としてエアコン室内機を採用することは難しいため、例えば扇風機等その他の空調機を取り付けるようにしてもよいし、空調機以外の家電機器を取り付けるようにしてもよい。
【0083】
本実施の形態によれば、第2の実施の形態と同じ効果を得ることができるとともに、前記ロフト49を利用して家電機器を取り付けることができるので、前記ロフト49を含む前記部屋43をより有効に利用することが可能となる。
【符号の説明】
【0084】
1 屋根
2 屋根面
3 部屋
6 傾斜天井
7 壁
7b 出入口
7c 出入口
8 壁
9 梁体
9a 一側面
9b 他側面
9c 梁上空間
10 間仕切り壁
11 照明器具
12 空調機
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7