(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記無線信号を送信することは、前記測定される間隔が、事前設定された時間期間にわたり、少なくとも1つの事前設計されたパラメータから逸脱する場合に行われる、請求項9に記載の方法。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
従来から、ガス供給源において、再ガス化設備が装備された移動式船舶にLNG貨物が積み込まれ、海を航行して別の場所に移動され、荷揚げされ、流通されている。別の例では、LNG積荷港と配送先の港との間の場所での、受け取り港の上流でのLNGの船間(STS:ship−to−ship)移送を使用して、再ガス化設備を有する船舶にLNG貨物が積み込まれる。そのような例では、従来のLNG運搬船が、LNGを天然ガス供給源から集め、長距離輸送に使用される。従来のLNG運搬船は、貨物を供給源からSTS移送場所まで運ぶ。再ガス化船舶が、STS移送場所と荷揚港との間でのシャトルサービスに使用される。このような例では、再ガス化設備を有するLNG運搬船が、追加のLNG貨物を受け取るために、荷揚場所を去らなければならないため、天然ガスの荷揚げが邪魔され、望ましくない。
【0004】
水中パイプラインが存在する場所で、海底に接続されるライザーに取り付けられた、LNGの船上再ガス化のための浮上プラットフォームに沿った、従来のLNG運搬船停泊地も提案されている。例えば、再ガス化ユニットが、サブ海水ライザー及びタレット等のコネクタを使用して、天然ガスを水中パイプラインに排出し得る。しかし、そのような設備の構築にはコストがかかり、時間がかかると共に、水中パイプラインを有する場所は限られる。その結果、そのような装置は、低コストでのタイムリーな天然ガス供給が必要な多くの場所に適さない。
【課題を解決するための手段】
【0005】
概要
本明細書において説明する実施形態は、一般には、LNGを移送し、LNGを再ガス化し、天然ガスを陸上に荷揚げするシステム及び方法に関する。
【0006】
いくつかの実施形態では、LNGを再ガス化する船舶のシステムは、LNG運搬船と、ドックと、再ガス化船舶と、高圧アームとを含む。LNG運搬船は、ドックに係留され、流体管を通してLNGをドックに移送する。再ガス化船舶は、流体管を通してドックからLNGを受け取り、LNGを再ガス化して再ガス化天然ガスにする。高圧アームはドックに取り付けられ、再ガス化船舶に結合され、再ガス化船舶から再ガス化天然ガスを受け取り、再ガス化天然ガスをドック上のパイプラインに受け渡すための導管である。
【0007】
いくつかの実施形態では、LNGを再ガス化する船舶のシステムは、LNG運搬船と、再ガス化船舶と、ドックと、高圧アームとを含む。LNG運搬船は、流体管を通してLNGを再ガス化船舶に移送する。再ガス化船舶は、流体管を通してLNG運搬船からLNGを受け取り、LNGを再ガス化して再ガス化天然ガスにする。高圧アームはドックに取り付けられ、再ガス化船舶に結合され、再ガス化船舶から再ガス化天然ガスを受け取る。
【0008】
いくつかの実施形態では、LNGを再ガス化する船舶のシステムは、LNG運搬船と、再ガス化船舶と、2つのドックと、高圧アームとを含む。LNG運搬船は、第1のドックに係留され、流体管を通してLNGをドックに移送する。再ガス化船舶は、第2のドックに係留され、流体管を通して第1のドックからLNGを受け取り、LNGを再ガス化して再ガス化天然ガスにする。高圧アームはドックに取り付けられ、再ガス化船舶及び第2のドックに結合され、再ガス化船舶から再ガス化天然ガスを受け取り、再ガス化天然ガスを第2のドック上のパイプラインに受け渡すための導管である。
【0009】
いくつかの実施形態では、LNGを船舶に基づいて再ガス化する方法は、ドックに係留されたLNG運搬船からドックにLNGを移送すること、LNGをドックから再ガス化船舶に移送することであって、再ガス化船舶はLNGを再ガス化して再ガス化天然ガスにする、再ガス化船舶に移送すること、及び再ガス化天然ガスをドック上のパイプラインに排出することを含む。
【0010】
いくつかの実施形態では、LNGの船舶で再ガス化する方法は、LNG運搬船からドックに係留された再ガス化船舶にLNGを移送すること、再ガス化船舶上でLNGを再ガス化すること、LNGを再ガス化船舶からドックに移送することであって、ドックは再ガス化船舶の片側に配置され、LNG運搬船は再ガス化船舶の第2の側に配置される、ドックに移送すること、ならびに高圧アームを使用して再ガス化天然ガスを荷揚げすることを含む。
【0011】
いくつかの実施形態では、LNGの船舶で再ガス化する方法は、第1のドックに係留されたLNG運搬船から第1のドックにLNGを移送すること、LNGを第1のドックから再ガス化船舶に移送することであって、再ガス化船舶はLNGを再ガス化して再ガス化天然ガスにし、再ガス化天然ガスを第2のドック上のパイプラインに排出する、再ガス化船舶に移送することを含む。
【0012】
いくつかの実施形態では、流体管は剛性パイプラインである。特定の実施形態では、流体管は可撓性ホースであり、及び/又は液体管を含む。いくつかの実施形態では、高圧アームは、1つ又は複数の接合部及び/又は高速切り離しシステムを含む。特定の実施形態では、再ガス化船舶は、緊急切り離し結合部を含む。いくつかの実施形態では、緊急切り離し結合部は、無線通信システム及び/又は空気圧作動システムを含む。
【0013】
いくつかの実施形態では、導管を高速で切り離す装置は、送り側場所及び受け取り側場所に機械的に結合された導管と、導管に機械的に結合された緊急切り離し結合部(ERC:emergency release coupling)と、ERC上の無線受信器と、ERCに結合された空気圧切り離しシステムとを含み、空気圧切り離しシステムは、無線受信器により始動した場合、導管を切り離す。
【0014】
いくつかの実施形態では、導管を高速で切り離す方法は、送り側場所と受け取り側場所との距離を測定することであって、送り側場所及び受け取り側場所は導管に結合され、導管は緊急切り離し結合部(ERC)を備える、測定すること、測定された距離が少なくとも1つの事前設定されたパラメータから逸脱する場合、無線信号をERCに送信すること、ならびに無線信号の受信を受けて、ERCを空気圧で作動させることを含み、ERCの作動により、導管が切り離される。
【0015】
さらなる実施形態では、特定の実施形態からの特徴を、他の実施形態からの特徴と組み合わせ得る。例えば、ある実施形態からの特徴を、他の任意の実施形態からの特徴と組み合わせ得る。さらなる実施形態では、追加の特徴を、本明細書において説明される特定の実施形態に追加し得る。
【0016】
本発明の利点は、以下の詳細な説明の恩恵により、添付図面を参照した上で、当業者に明らかになろう。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本発明は様々な変更及び代替形態が可能であるが、本発明の特定の実施形態を例として図面に示し、本明細書において詳細に説明し得る。図面は一定の縮尺で描かれていない場合がある。しかし、図面及び詳細な説明が、本発明を開示される特定の形態に限定することを意図せず、逆に、添付の特許請求の範囲により規定される本発明の趣旨及び範囲内にあるすべての変更、均等物、及び代替の包含が意図されていることを理解されたい。
【0019】
詳細な説明
LNGの波止場での船間移送についてこれより説明する。以下の例示的な説明では、本発明の実施形態のより完全な理解を提供するために、多くの特定の詳細が記される。しかし、本明細書において説明される特定の詳細の側面をすべては組み込まずに、本発明を実施し得ることが当業者には明らかであろう。他の場合では、当業者に周知の特定の特徴、数量、又は測定は、本発明を曖昧にしないよう、詳細に説明しなかった。本発明の例が本明細書に記されるが、特許請求の範囲及び任意の均等物の完全な範囲が、本発明の範囲を規定するものであることに読み手は留意されたい。
【0020】
「結合」は、1つ又は複数の物体又は構成要素間の直接的な接続又は間接的な接続(例えば、少なくとも1つの介在接続)のいずれかを指す。語句「直接取り付けられた」は、物体又は構成要素間の直接的な接続を意味する。
【0021】
「ドック」は、海、湖、川、又は他の航行可能な水域内に延びる構造を指す。
【0022】
「受け取り側場所」は、天然ガス又はLNGが送出、輸送、貯蔵、又は消費され得る任意の地域を指す。
【0024】
天然ガスを、そのようなエネルギー供給を必要とする市場に安全かつより効率的に輸送できるようにする方法及びシステムが必要である。本発明の目標は、天然ガス輸送基盤のコストを低減し、そのような設備を構築し得る速度を上げることができる、天然ガスを略途切れなく輸送する方法及びシステムを提供することである。特に、本発明の目標は、水面下ブイ又は海上プラットフォームと比較して安全であり、水面下に過度の基盤を必要としない、あるいは陸上ベースの貯蔵・再ガス化システムと比較して、広い不動産及び許可を必要としない、船上での再ガス化設備及び貯蔵設備を提供することにより、利用可能な天然ガス受け取り側場所を増大させることである。
【0025】
波止場でLNGを船間移送し、LNGを船上で再ガス化し、再ガス化天然ガスを移送するシステム及び方法について、本明細書において説明する。本明細書に記載のシステム及び方法を使用して、LNG運搬船に貯蔵されるいくらか又はすべてのLNGをLNG運搬船から再ガス化船舶に移送し得る。いくつかの実施形態では、再ガス化船舶は、LNG移送中、ドックに係留し得る。特定の実施形態では、再ガス化船舶及びLNG運搬船の両方を、LNG移送中、ドックに係留し得る。オプションとして、LNGは、LNG運搬船から剛性又は可撓性の配管を通して、ドックを横切って再ガス化船舶に移動する。LNGの少なくとも一部又はすべてを、再ガス化船舶上で再ガス化し、ドック、例えば、ドック上のガスパイプライン又は貯蔵タンクに排出し、次に、陸上設備に輸送し得る。いくつかの実施形態では、高圧アームを使用して、再ガス化天然ガスを再ガス化船舶からドックに移送し得る。そのような実施形態では、高圧アームは、再ガス化天然ガスを陸上に荷揚げする安定した安全な手段を提供する。高圧アームは、再ガス化船舶とともに移動して、潮流及び他の海洋の影響を補償する、様々な船の移動を処理できる。LNGの移送及び再ガス化ならびに天然ガスの陸上での移送は、連続又は同時のプロセスとして行うことができる。そのようなシステム及び方法では、天然ガスを下流の顧客に途切れなく連続して輸送することができる。
【0026】
本明細書において説明するような陸上設備への天然ガスの輸送で必要な基盤は、既知の方法を実施する基盤数よりも少ない。例えば、水面下ブイ輸送システムでは、ドッキングブイ、水面下可撓性ライザー、水面下マニフォルド、及び岸壁に接続する水面下パイプラインが必要である。同様に、海上プラットフォームも、水面下パイプラインシステムを含む過度の水面下基盤を必要とする。そのような設備は、厳しい気候条件下、又は構築に適した季節が短い地域での構築が困難であり、実施に時間及びコストがかかる。本明細書に記載のシステム及び方法は、例えば、天然ガスをドック上に直接配置されるパイプラインに輸送することにより、これらの過度の水面下又は海上の基盤に対する必要性をなくす。本発明のいくつかの実施形態では、高圧アームのモジュール式の構造及び設計の広用途への柔軟性により、組み立て期間を短縮し、組み立ての容易性を増大させることができる。特定の実施形態では、高圧アームをドックに取り付け、一端部を再ガス化船舶に結合し、第2の端部をドック上のパイプラインに結合し得る。高圧アームは、天然ガスを再ガス化船舶からドック上のパイプラインに効率的に輸送させながら、その間の船の移動に適応する。
【0027】
本明細書に記載のシステム及び方法には、多くの新しい潜在的な天然ガス受け取り側場所を生み出すというさらなる利点がある。コストのかかる海上及び/又は水面下の基盤を必要とせずに、ドックを有する略あらゆる場所又はドックをサポート可能なあらゆる場所が、本明細書に記載のシステム及び方法により、天然ガス輸送の受け取り側場所として機能し得る。その結果、天然ガスを、最も必要としている市場により効率的に流通させることができると共に、ベースとなる積荷輸送に加えて、短期又は季節的なサービスを提供することができる。
【0028】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載の方法及びシステムは、LNGを再ガス化し、再ガス化天然ガスを移送する従来の方法よりもはるかに早く稼働し得る。特定の実施形態では、本システムの固定基盤の完成に必要な資本要件及び構築時間は、陸上ベースのターミナル又は水面下ブイターミナルよりはるかに低い。例えば、本明細書に記載のシステム及び方法のいくつかの実施形態は、場所を選択してから約12ヶ月以内で、同じ性能を有する従来の陸上ベースのLNGターミナルのおおよそ10%のコストで稼働し得る。システムの特定の実施形態は、従来の陸上ベースのターミナルを7ヶ月未満で置き換えることができる。さらに、本明細書に記載のシステム及び方法では、陸上ベースのターミナルよりも許可に費やす時間及び金銭を少なくすることができ、設備に必要な不動産も、陸上ベースのターミナルよりも狭い。
【0029】
本明細書に記載のようにLNGを移送し、及び/又は天然ガスを輸送するシステム及び方法は、LNGを移送し、及び/又は再ガス化天然ガスを輸送する従来の方法よりも有利である。この理由は、従来の方法では、再ガス化船舶が、LNG貨物を荷積みするために、受け取り側場所を去る必要があり、それにより、再ガス化船舶が航路中であり、再び荷積みし、港に戻り得る間、天然ガス輸送が中断する恐れがあるためである。逆に、本発明の再ガス化船舶には、再ガス化船舶がドックに係留し得、及び/又はLNGを再ガス化し輸送し得る間に、LNG貨物を荷積みし得る。
【0030】
LNGを移送して再ガス化し、天然ガスを輸送する現在の方法は、これらの機能を、ドックに係留された船舶を使用して実行しようとしない。当業者は目下、例えば、水面下ブイシステム又は海上プラットフォームの使用を通して、船間移送及びLNGの再ガス化を数マイル沿岸で行うことを好んでおり、その場合、そのような動作を人口密集地及び側を通る他の船から離すことができる。既知の方法では、ドックでのLNGの船間移送及びLNGの再ガス化から離れるように教示されている。その理由は、ドックで行われる場合、再ガス化船舶が港に留まる期間が長くなるためである。従来の考えは、そのような構成に伴う危険性に関連する。しかし、本明細書に記載の方法及びシステムは、思いがけず安全である。水路適宜性査定により、ドックに再ガス化船舶がより長く存在することが、水路又は港内の他の船舶の交通に対する崩壊リスクを呈さないことが保証される。さらに、再ガス化船舶が港に安全に出入りできると共に、ドック内に安全に留まることを保証するために、港内及び港外への通行を研究してよい。
【0031】
さらに、既知の方法では、陸上又は従来の液体設備は、ドックが、例えば船との衝突で破損した場合、数ヶ月にわたり稼働から遠ざかり得る。しかし、本明細書に記載の方法及びシステムは、ドックが破損したままであっても、迅速に再び実施し得る。いくつかの実施形態では、LNG運搬船の少なくとも1つのLNG貯蔵タンクからのLNGを再ガス化船舶に移送し得る。いくつかの実施形態では、LNG運搬船を再ガス化船舶に結合し、再ガス化船舶をドックに結合し得る。この構成は、ドック入港コストをさらに低減し得ると共に、より小さなドックがあり得る場合又はドックに1隻のみの船舶が入港することが望ましい場合でも実施し得る。再ガス化船舶は、LNGを気化させて再ガス化天然ガスを形成する少なくとも1つの再ガス化システムを含む。再ガス化天然ガスは、ドック上のパイプラインに輸送し、発電所、天然ガス配管網、又は住宅もしくは工業設備等の少なくとも1つの陸上設備に移送し得る。LNGは、LNG運搬船からドックに、そして再ガス化船舶に中断のない流れで提供し得る。本明細書に記載のシステム及び方法を使用して、LNGを再ガス化し、陸上設備に連続して移送し得る。特定の実施形態では、高圧アームを使用して、天然ガスをドックに、例えば、ドック上のガスパイプライン又は貯蔵タンクに排出し得る。いくつかの実施形態では、LNG運搬船のドック入港に2〜4時間かかり、130,000m
3を超えるLNGをLNG運搬船から移送し、LNGの一部を再ガス化し、次に、再ガス化天然ガスを陸上に移送するプロセスは、約12時間未満で実行し得る。特定の実施形態では、130,000m
3を超えるLNGをLNG運搬船から移送し、すべてのLNG貨物を再ガス化し、次に、再ガス化天然ガスを陸上に移送するプロセスは、約120時間未満で実行し得る。
【0032】
いくつかの実施形態では、LNG運搬船から再ガス化船舶へのLNGの移送は、現在の方法の2倍の速度であり得る。それらの実施形態では、オプションの硬質アームと、LNG運搬船及び再ガス化船舶に結合し、本発明のドックを横切って敷設し得る極低温剛性配管とにより、蒸気回収システムがボイルオフガスをより効率的に管理できると共に、既知の方法よりもLNG貨物を迅速に移送できる。蒸気回収システムは、LNG運搬船のボイラであってもよく、又は再ガス化船舶のボイラであってもよい。例えば、LNG貨物全体のLNG運搬船から再ガス化設備への移送は、可撓性配管が移送中に使用される場合、24時間かかり得る。可撓性配管は、剛性配管よりもコストが低い。本発明の硬質アーム及び剛性配管により、130,000m
3を超えるLNGであるLNG貨物の移送を、約12時間という移送時間で行うことができる。
【0033】
図1は、LNGをLNG運搬船から再ガス化船舶に移送し、再ガス化天然ガスを陸上設備に提供するシステム及び方法の概略を示す。再ガス化船舶10及び/又はLNG運搬船12をドック14に結合し得る。再ガス化船舶10及び/又はLNG運搬船12のドック14への結合は、再ガス化船舶及び/又はLNG運搬船をドック14に係留する既知の方法を使用して行い得る。例えば、再ガス化船舶10及び/又はLNG運搬船12は、ロープ、係留ライン、大綱、防舷材、アンカー、及び/又はブイを使用して固定し得る。再ガス化船舶10及び/又はLNG運搬船12をドックに安全に係留し得るように、追加の安全特徴を係留システムに含めてもよい。例えば、係留システムは、負荷センサを有する係留ラインフック、アラームを有する自動係留ひずみゲージシステム、リモート切り離し性能、及び/又は高速切り離し性能を含み得る。さらに、係留中のタグボート支援の提供及び悪天候期間中のタグへのタイムリーなアクセスを組み込み、係留システムの安全性を向上させ得る。HAZOP(Hazard Operability Studies)及びHAZID(Hazard Identification)リスク査定からの推奨を係留システムに含めてもよい。
図1に示されるように、ドック14を岸壁16に結合し得る。
【0034】
ドック14は、再ガス化船舶10が、常に水に浮かんだ状態を保ちながら、ドックに進み、ドックに沿って置かれ、ドックから離れられるような任意の距離だけ岸壁16から延び得る。ドック14は、天然ガスの再ガス化及び輸送に対応するために、コンクリート及びブリッジデッキで補強し得る。海岸線からドック端部までの距離が短いことにより、ガスパイプライン22の長さ等の、天然ガスを岸まで移送するために必要な配管の長さを最小限に抑えることができる。ドック14は、海岸線の保護地域内にあり得る。保護地域での船舶のドック入港により、LNGの移送、LNGの再ガス化、及び続けての非理想的な天候条件での再ガス化天然ガスの移送を実行できるようにし得る。例えば、ドック近傍の水(海)は、ドックの1マイル又は2マイル沖合の水(海)よりも穏やかであり得る。
【0035】
再ガス化船舶10は、自力で短距離又は長距離を移動することが可能であり、蒸気推進プラント、ディーゼルエンジン、ディーゼル電気エンジン、ガスタービン推進プラント、又は当業者に既知の他の任意の船舶推進システムを利用し得る。Nierenbergに付与された米国特許第7,484,371号明細書及びNierenbergに付与された米国特許第7,219,502号明細書には、適切な推進プラント及び船舶に搭載される再ガス化システムを有するLNG運搬船が記載されている。
【0036】
いくつかの実施形態では、再ガス化船舶10は、LNGを気化させ、高圧天然ガスを輸送する船搭載機器を組み込んだLNGタンカーであり得る。特定の実施形態では、再ガス化船舶10は、LNGを気化させ、高圧天然ガスを輸送する機器を含むように変更された従来のLNG運搬船であり得る。再ガス化船舶10は、LNGの海上での気化を達成させる専用機器を含み得る。いくつかの実施形態では、再ガス化船舶10に、船に搭載された電力機器からの酸化窒素及び一酸化炭素の排出量を低減する排出制御機器を装備し得る。特定の実施形態では、排出低減は、再ガス化船舶10の排気ガスと反応する選択的な触媒による低減システムを通して達成し得る。そのようなシステムは、従来の船舶と比較して、汚染物質を95%低減する。
【0037】
いくつかの実施形態では、再ガス化船舶10は、標準のLNGタンカーと同じように、再ガス化船舶内の貯蔵タンクに積み込まれたLNGの初期貨物を含む。積み込みは、従来の任意の天然ガス液化ターミナルで行い得る。いくつかの実施形態では、ドックマニフォルド56及び船マニフォルド20を介して、LNGをLNG運搬船12から再ガス化船舶10に配置される少なくとも1つの貯蔵タンクに移送し得る。他の実施形態では、ドックマニフォルド56及び船マニフォルド20を介して、LNGをLNG運搬船12から再ガス化船舶10の再ガス化システムに直接移送し得る。船マニフォルド20は、当業者に周知の標準構成であり得る。ドックマニフォルド56は、可撓性又は剛性の極低温移送配管又はホースであり得る。
【0038】
特定の実施形態では、ドックマニフォルド56はLNG貯蔵タンクであり得る。LNG貯蔵タンクは、ドック14又は陸上16にあり得る。LNG運搬船12は、ドック14に入り、LNGをドックマニフォルド56に移送し、次に、ドック14から離れ得る。次に、再ガス化船舶10がドックに入り、LNGをドックマニフォルド56から積み込み、LNGを再ガス化し、再ガス化天然ガスをガスパイプライン22内に排出し得る。ガスパイプライン22は、陸上設備24又はパイプライン分配システムに接続し得る。
【0039】
液体接続54は、流体管であり得、ドックマニフォルド56及び船マニフォルド20に結合し得る。液体接続54は、可撓性又は剛性の極低温配管又はホースであってもよく、及び/又は液体LNGアームであってもよい。いくつかの実施形態では、剛性配管を使用して、LNG運搬船12と再ガス化船舶10との間でLNGをより高速で移送させ得る。そのような構成は、移送動作中に生成されるボイルオフガスを管理するより大きな性能を蒸気回収システムに提供する。
【0040】
実施形態では、再ガス化船舶10は、LNGの初期貨物を受け取ると共に、LNG運搬船12がドック14に入港し得る間、続けてLNG運搬船12からLNG貨物を受け取る。LNG運搬船12からのLNGは、再ガス化船舶10の再ガス化システムに直接輸送してもよく、又は再ガス化船舶10の少なくとも1つの極低温LNG貯蔵タンク内に輸送してから続けて、当業者に周知の方法を使用して、再ガス化船舶10に搭載された再ガス化システムに移送してもよい。
【0041】
いくつかの実施形態では、LNG運搬船12は、当業者に周知である標準のLNG運搬船、つまり、ある場所から別の場所にLNGを輸送するために使用し得る海洋航行船舶であり得る。LNG運搬船12は、再ガス化船舶又は、バージ船等のLNGを搬送する他の任意の浮上方法であってもよい。LNG運搬船12は、二重船体であり、LNGを約−162°Cで貯蔵し得る少なくとも1つの絶縁された極低温貯蔵タンクを含んでもよい。貯蔵タンク内の圧力は、気化漏れしたガスを貯蔵タンクから逃すことにより維持し得る。France、Saint−Remy−les−Chevreuseに所在のGaztransport&Technigaz SAは、特殊補強された適切な96番メンブレンタンクを供給している。日本国東京に所在のIHI Corporationにより供給されるSPBプリズムタンク、Norway、Lysakerに所在のMoss Maritime ASにより供給されるモス球形タンク、及びFrance、Saint−Remy−les−Chevreuseに所在のGaztransport&Technigaz SAにより供給されるGTT MKIIIタンクも適切な貯蔵タンクである。そのような貯蔵タンクは、再ガス化船舶10に含めることもできる。
【0042】
表1に、再ガス化船舶10及びLNG運搬船12の実施形態の非限定的な特徴を記す。他の種類、型、及びサイズの再ガス化船舶10及びLNG運搬船12も意図される。
【0044】
配管、硬質アーム、ホース、剛性接続、及び/又は可撓性接続等の流体管の様々な構成を使用して、LNGをLNG運搬船と再ガス化船舶との間、LNG運搬船とドックとの間、及び/又はドックと再ガス化船舶との間で移送し得る。いくつかの実施形態では、LNG運搬船は、少なくとも1つの極低温貯蔵タンクと、LNGの荷積み及び/又は荷下ろしに使用し得る液体LNG硬質アームとに結合された配送ラインを含み得、LNG運搬船からのLNGは、配送ラインを通して荷揚げし、再ガス化船舶に供給し得る。LNGをLNG運搬船から再ガス化船舶に供給するプロセス中、及び/又は特定の実施形態では、LNGを再ガス化船舶の1つ又は複数の貯蔵タンクから再ガス化船舶10の再ガス化システムに供給するプロセス中、ポンプを利用し得る。
【0045】
LNGは、LNGの船上気化の分野において既知の方法を使用して、再ガス化船舶10上で気化させ得る。LNGを再ガス化する、適切なシステムの例が、Nierenbergに付与された米国特許第7,484,371号明細書、Nierenbergに付与された米国特許第7,293,600号明細書、Nierenbergに付与された米国特許第7,219,502号明細書、Nierenbergに付与された米国特許第6,688,114号明細書、及びNierenbergに付与された米国特許第6,598,408号明細書に記載されている。
【0046】
実施形態では、熱交換器(例えば、シェルアンドチューブ熱交換器及び/又はプリント回路熱交換器)を通して、少なくとも1つの熱源からの熱をLNGに伝達させ得、この熱により、LNGを再ガス化することができる。特定の実施形態では、再ガス化船舶10は、最高でも気化前の高圧で、LNGを少なくとも1つの貨物タンクから運ぶ高圧極低温ポンプと、LNGを再び気体天然ガスに変換する気化器と、動力を提供し、船上再ガス化プロセスと共に船舶動作を支える特大ボイラと、すべての負荷レベルを通して直面するスロッシング負荷に耐えるように設計された補強LNG貨物タンク及び内部ポンプ塔とを含む。
【0047】
図1に示されるように、再ガス化天然ガスは、天然ガスマニフォルド50を介して再ガス化船舶10から陸上に移送し得る。いくつかの実施形態では、天然ガスマニフォルド50は、船体中央高圧ガスマニフォルドであり得る。いくつかの実施形態では、天然ガスマニフォルド50は、船マニフォルド20の前方に配置されてもよいが、他の場所も意図される。天然ガスマニフォルド50は、天然ガスを再ガス化船舶10からガス管52に直接排出できるようにする。ガス管52は、高圧天然ガスの再ガス化船舶10への荷積み及び荷揚げを行えるようにする。ガス管52は、再ガス化船舶10がドック14に沿って移動する場合、破損を回避するために、様々な動きに適合し、ドック14に取り付け得る。いくつかの実施形態では、ガス管52は、ドック14上のガスパイプライン22、岸壁16、又は陸上ベースの貯蔵タンク24に直接接続し得る。
【0048】
いくつかの実施形態では、ガス管52は、再ガス化船舶10からドック14への気体天然ガスの移送に適した可撓性又は剛性の配管及び/又はホースであり得る。特定の実施形態では、ガス管52は、高圧アーム、例えば、
図2に示される高圧アーム300であり得る。
【0049】
ガス管52、ドック14、及び/又は再ガス化船舶10は、再ガス化船舶10、ドック14、岸壁16、又は別のプラットフォームもしくは船舶からのガス管52の高速切り離しを提供する1つ又は複数のシステムを含み得る。
図3は、ガス管の高速切り離しを開始するシステムの実施形態の概略を示す。安全性を向上させるために、ガス管52に、ドック14に沿っての再ガス化船舶10のずれを警告するアラーム設定点を備え得る。特定の実施形態では、ドック14は、ドック、錨地、バージ船、液化船舶、LNG運搬船、岸壁、又は他の任意の海洋船舶もしくは海洋構造であり得る。再ガス化船舶10及び/又は管52にも、
図2に示される高速切り離しシステム340等の手動又は自動高速切り離し性能を備えて、再ガス化船舶10がアラーム設定点を超えて移動した場合、ガス管52の弁、例えば、弁410を閉じ、ガス管52を再ガス化船舶10から切り離し得る。いくつかの実施形態では、液圧システムを使用して、そのような緊急時に切り離しを始動し得る。特定の実施形態では、物理的な接続、無線、レーザ、又は超音波トランスポンダを使用して、送信側場所(例えば、再ガス化船舶10)と受信側場所(例えば、ドック14)との距離を測定し、それにより、それらの間での異常な移動を検出し得る。
【0050】
図3に示されるように、トランスポンダ80は、電池により給電され、及び/又は頑丈なマグネット、真空吸引カップ、もしくは海水、風、寒さ、もしくは他の極限的な条件に耐えることができる他の何らかの取り付け機構を使用して、再ガス化船舶10及び/又はドック14に取り付け得る。バックアップ電池88を含めてもよい。いくつかの実施形態では、投票システムを実施する複数のトランスポンダ対を使用して、船の異常が移動があったか否かを判断し得る。いくつかの実施形態では、防舷材87も、再ガス化船舶10が通常のパラメータ内に維持することを支援し得る。
図3に示されるように、いくつかの実施形態では、トランスポンダ80は、低電力無線送信器83を使用して、再ガス化船舶10に搭載されたコンピュータ82又は可搬式又は固定式の制御コンソール上のプログラマブル論理コントローラ(「PLC」)に情報を送信する。次に、コンピュータ82又はPLCは、船体の間隔、変更速度、ローリング及びピッチングの程度を含むトランスポンダからのデータを解析して、異常な移動が発生しているか否かを判断し、適切な入力を受信した場合、可聴及び/又は可視のアラーム、例えば、アラーム86を制御室内、再ガス化船舶10の制御コンソール及び/又はオープンデッキにおいて始動し得る。コンピュータ82は、無線又は有線の接続を使用してアラーム86と通信し得る。いくつかの実施形態では、コンピュータ又はPLCは、船の通常移動の場合のパラメータ及びそれらのパラメータからの許容できない逸脱を理解するようにプログラムし得る。いくつかの実施形態では、コンピュータ82は、船体の間隔が、事前設定された時間期間にわたり、1つ又は複数の事前設定されたパラメータから逸脱したと判断し得る。トランスポンダ80及び再ガス化船舶10の現場又はデッキにある、本明細書に説明される緊急遮断及びガス管52の切り離しの必要性の検出及び始動に使用される他の機器は、従来の方法よりもかなり安全である。従来の方法では、扱いにくく、安全性及び/又は環境的な障害を呈し得る機械的接続及び/又は液圧的接続が必要である。
【0051】
いくつかの実施形態では、
図2に示されるように、再ガス化船舶10及び/又は管52上の緊急切り離し結合部(「ERC」)350は、単独で使用してもよく、又は本明細書において説明した遮断弁410及び高速切り離しシステム340であり得るガス管52の緊急遮断及び高速切り離し接続と併せて使用してもよい。いくつかの実施形態では、このために、物理的又は液圧的なシステムを再ガス化船舶10のデッキに使用し得る。特定の実施形態では、無線通信システム及び空気圧作動システムを、再ガス化船舶10のデッキの緊急遮断及びERC350に使用し得る。
図4は、無線通信を提供するシステムならびに再ガス化船舶のデッキ上の緊急遮断及び緊急切り離し結合部を始動させる空気圧作動システムの実施形態の概略を示す。可聴及び/又は可視アラーム86が作動した場合、オペレータ(存在する場合)は、1つ又は複数の無線信号あるいは他の種類の信号を、マニフォルド、例えば、ERC350上に取り付け得る、ドライブレーキアクチュエータ500等の1つ又は複数のドライブレーキERCアクチュエータに送信することを選択することができる。信号は、コンピュータ82等の制御室内のコンピュータ又は固定もしくは可搬性の制御カート上のコンピュータにより送信され得る。1つ又は複数の無線周波数を使用して、必要に応じて、1つ又は複数のドライブレーキERCアクチュエータを個々に、連続して、又は同時に始動させ得る。ドライブレーキERCアクチュエータ500は、受信器502を使用して信号を受信し、圧力を蓄えた空気圧システムを使用して、再ガス化船舶10とドック14との間でのERC500の切り離しを始動させ得る。オペレータが存在しない場合、アラーム86が所定の時間量、例えば、20秒間、30秒間、又は1分間作動した状態のままであれば、緊急遮断及び/又はドライブレーキERCアクチュエータ500の切り離しを自動的に信号で通知するようにシステムをプログラムし得る。切り離しプロセスは、2段階で行い得る。第1に、貨物移送を遮断し得る。第2に、アラームが続く場合、各ホース、パイプ、高圧アーム、及び/又はガス管のERC350及び/又は高速切り離しシステム340を始動させる第2の信号があり得る。受信器502は、結合部の切り離しを開始する前に貨物移送が遮断されていることをまず確認するために、切り離しの始動前に、PLC又はコンピュータ82からの複数の信号の受信を要求し得る。あるいは、ドライブレーキERCアクチュエータ500に取り付けられた通信機器は、双方向通信でPLC又はコンピュータ82と連動し得る。本明細書において説明される無線通信ならびに空気圧作動方法及びシステムは、従来の方法と比較して安全性を増大させる。
【0052】
図4に示されるように、受信器502が結合部504の切り離しを開始する信号を取得すると、アンテナ506を有する受信器502は、取り付けられた圧縮窒素ガスシリンダ508に穿孔する。受信器502は、ソレノイド弁及びブローダウンも含み得る。この実施形態では、圧力変化は、ピストンを有する空気圧シリンダ50を移動させ、結合部504を開いてERCカラー512から切り離して、再ガス化船舶10とドック14、例えば、移送配管420又はガス管52との接続を切り離す。本明細書において説明される高速切り離し/緊急切り離しシステムは、剛性もしくは可撓性の配管、ホース、荷積み/荷下ろしガスアーム、高圧アーム、及び/又は2隻の船舶間、LNG運搬船とドックとの間、もしくは高圧ガスもしくはLNGの移送等の貨物移送に使用される任意の船舶間、車両間、又は構造間の液体アームと併せて使用してもよい。
【0053】
いくつかの実施形態では、ガス管52は剛性荷積み/荷下ろしガスアームであり得る。例えば、ガス管52は高圧アームであり得る。Illinois、Quincyに所在のEngineered Products Group of Gardner DenberのEmco Wheaton Divisionが、再ガス化船舶10から排出され得る高圧天然ガスを扱うように設計された、適切な高圧アームを供給している。
【0054】
高圧アームは、高圧アームが使用され得る特定のシステムに応じて変更されるカスタムビルトの特徴を有し得る。
図2は、高圧アームの一実施形態を示す。高圧アーム300は、気体天然ガス移送に適し得、第1の端部310を再ガス化船舶10に回転結合し、第2の端部320をドックパイプライン330に回転結合し得る。いくつかの実施形態では、高圧アーム300は、移送配管420及び遮断弁410を備える。移送配管420は、剛性配管、可撓性配管、又はホースであり得る。高圧アーム300は、再ガス化船舶10に対して作用する風力及び波力に応答して、旋回、上下移動、及び内外移動することにより、軸上及びすべての次元で回転するように構成し得る。高圧アーム300は、高圧アーム300の移動及び/又は連結を可能にする複数の連結部305、緩衝装置430、及び釣り合い重り307を含む。
【0055】
図2に示されるように、高圧アーム300の第1の端部310は、高速切り離しシステム340を含む。高圧アーム300の移動が、任意の方向において、事前設定された1つ又は複数のパラメータを超える場合、高速切り離しシステム340は、第1の端部310における遮断弁410を素早く閉じ、高速切り離しシステム340を切り離させる。これもまた
図2に示されるように、再ガス化船舶10は、第1の端部310に隣接して、デッキに配置し得るERC350を含む。ERC350は、例えば、本明細書において説明される液圧式又は空気圧式の切り離しシステムを使用することにより、事前設定された1つ又は複数のパラメータ外の船の移動に応答して作動する。ERC350は、自動的に動作してもよく、あるいは本明細書において説明される機械的、電気的、音声的、又は視覚手的な通信方法を使用して、再ガス化船舶10、高圧アーム300、再ガス化船舶及び/又はドック14のオペレータ、PLC、及び/又はコンピュータと通信して動作し得る。この緊急手順により、再ガス化船舶10とドック14との間のガス流を遮断し、高圧アーム300を再ガス化船舶10から物理的に切り離すことにより、高圧アーム300を再ガス化船舶10からすぐに切り離すことができる。高圧アーム300は、
図2の代替図に示されるように、高速切り離しシステム340が作動し得る場合、船から自動的に離れて移動してもよい。浮上防舷材をドック14に取り付けて、再ガス化船舶10をドック14との衝突から保護し得る。
【0056】
いくつかの実施形態では、再ガス化船舶10は、閉ループ再ガス化システムを含み得る。閉ループシステムの使用により、システムの1つ又は複数の実施形態において、再ガス化船舶10による回数の使用量を最低限に抑えることが可能であり得る。
【0057】
図5は、閉ループ再ガス化システムを示す。LNG運搬船12から再ガス化船舶10に移送されたLNGの少なくとも一部は、気化器管32を介して気化器30に入る。いくつかの実施形態では、再ガス化船舶に移送されたすべてのLNGを気化器30内で再ガス化し得る。LNGの移送及び再ガス化は、連続プロセスとして行い得る。
【0058】
気化器30としては、シェルアンドチューブ熱交換器、オープンラック気化器、液中燃焼気化装置、周囲空気加熱気化器、及び熱電併給ユニットが挙げられるが、これらに限定されない。気化器30は配管34に結合し得る。閉ループモード又は閉ループシステム内で、ポンプ36を使用して配管34を通して流体を循環させ得る。配管34内の流体は、熱交換器40を使用してボイラ38からの流体と熱を交換することにより加熱し得る。配管34内の流体としては、水、グリコール、グリコールと水の混合物、又はプロパンが挙げられるが、これらに限定されない。いくつかの実施形態では、配管34内の流体は、ボイラ38により加熱され、熱交換器40に提供される流体と同じであり得る。いくつかの実施形態では、ボイラ38により加熱される流体は、熱交換器40を通して配管34内を循環する別の流体と混合し得る。加熱された流体又は流体混合物は、気化器30を通って循環し、LNGを十分に加熱して、LNGを再ガス化する。再ガス化天然ガスは、流出管42を介して気化器30を出る。流出管42は、本明細書において説明されるように、天然ガスを陸上に移送するのに適した船上マニフォルド及び/又は配管に接続し得る。特定の実施形態では、追加の熱を、エネルギーシステム46に接続された中央冷却システム44から熱交換器40及び/又は配管34に提供し得る。いくつかの実施形態では、中央冷却システム44からの追加の熱は、必ずしも必要でなくてよい。エネルギーシステム46としては、1つ又は複数のタービン、電気加熱器、及び/又はディーゼルエンジンを挙げることができるが、これらに限定されない。
【0059】
いくつかの実施形態では、開ループモードを使用して、LNGを再ガス化し得る。開ループモードでは、海水箱を通して海水を再ガス化船舶10の船上に引き込み得る。海水を熱源として使用し、シェルアンドチューブ気化器の管に通し得る。いくつかの実施形態では、閉ループ動作モードと開ループ動作モードの組み合わせ(「組み合わせモード」)を使用して、LNGを再ガス化し得る。組み合わせモードでは、温度45°F〜58°F(7.2°C〜14.4°C)の海水を熱源として使用し得、再ガス化船舶10のボイラ38あるいは他の何等かの1つ又は複数追加の熱源からの熱を使用してさらなる熱を導入して、LNGの気化に十分な熱を提供し得る。
【0060】
天然ガスマニフォルド50からガス管52への再ガス化天然ガスを移送する間、ドック14に配置されるか、又はドック14の近傍に配置される機器をガス管52に接続し、圧力制御及び/又はフロー制御を提供し得る。いくつかの実施形態では、陸上設備内で窒素を再ガス化天然ガスと混合し得る。例えば、設備は、最大で5体積パーセントの窒素を含む天然ガスの輸送を提供し得る。現場での窒素混合設備により、略あらゆる仕様の天然ガスを輸送することが可能である。
【0061】
LNGを気化させた後、ガス管52を通して再ガス化天然ガスをガスパイプライン22に排出し得る。ガスパイプライン22はドック14上にあり得る。再ガス化船舶10からガスパイプライン22への直接移送により、
図1に示される陸上設備24に直接アクセスすることが可能である。陸上設備としては、住宅設備、工場設備、天然ガス配送網、発電所、又は別の天然ガス配送設備が挙げられるが、これらに限定されない。高圧ガスパイプラインリンクを使用して、既存の天然ガス伝送システムに接続し得る。一実施形態では、陸上設備24は、最高で約600mmcf/dの天然ガスのピーク受け入れを処理し得る。
【0062】
図6A、
図6B、及び
図6Cは、LNGの連続再ガス化を提供するシステムの実施形態の概略を示す。
図6Aは、ドックの第1の側に配置されたLNG運搬船及びドックの第2の側に配置された再ガス化船舶を含む、再ガス化天然ガスを陸上設備に提供するシステムの実施形態の概略である。
図6Bは、ドックの同じ側に配置されたLNG運搬船及び再ガス化船舶を含む、再ガス化天然ガスを陸上設備に提供するシステムの実施形態の概略である。
図6Cは、第1のドックの近傍に配置されたLNG運搬船及び第2のドックの近傍に配置された再ガス化船舶を含む、再ガス化天然ガスを陸上設備に提供するシステムの実施形態の概略である。
【0063】
図6Aに示されるように、LNG運搬船12はドック14の第1の側に結合し、再ガス化船舶10はドック14の第2の側に結合する。
図6Bに示されるように、LNG運搬船12及び再ガス化船舶10は、ドック14の同じ側に結合される。
図6Cに示されるように、LNG運搬船12は第1のドック14に結合され、再ガス化船舶10は、第1のドック14に隣接し得る第2のドック14に結合される。LNGは、LNG運搬船12から、液体接続54及びドックマニフォルド56を介して再ガス化船舶10に移送し得、液体接続54及びドックマニフォルド56は、緊急遮断、遮断弁410、高速切り離しシステム340、ERC350、及び/又は他の緊急切り離しシステムを含み得る。ドックマニフォルド56としては、可撓性又は剛性の極低温移送配管が挙げられるが、これらに限定されない。剛性配管では、可撓性配管の速度の2倍の速度でLNGを陸揚げすることが可能であり得る。ドックマニフォルド56は、ドック14上に位置決めされてもよく、又はドック14に接続してもよい。いくつかの実施形態では、液体接続54及びドックマニフォルド56は、単一の導管を形成する。例えば、液体接続54及びドックマニフォルド56は、連続したパイプ又はホースを形成する。特定の実施形態では、ドックマニフォルド56は、LNGを移送するマニフォルドであり得る。いくつかの実施形態では、液体接続54は液体LNG硬質アームであり得る。液体LNG硬質アームは、本明細書において説明した高圧アーム300と同様であり得る。しかし、液体LNG硬質アームは、高圧気体天然ガスではなく、液体極低温天然ガスを移送するように構成される。液体接続54及びドックマニフォルド56は、絶え間ない液化天然ガスのベース負荷フローを可能にする。上述した陸上での船からドックへ又はドックから船への移送システムの使用により、ボイルオフガスの処理が容易になり得る。いくつかの実施形態では、ドックマニフォルド56は剛性配管であり、液体接続54は、硬質アーム等の剛性接続であり得る。いくつかの実施形態では、硬質アームは、移送動作中に生じるボイルオフガスを管理する優れた能力を提供し得る。
【0064】
本明細書において説明したように、再ガス化船舶10上で、LNGを再ガス化し得る。再ガス化天然ガスは、次に、ガス管52を介してドック14に移送し得る。例えば、再ガス化天然ガスは、高圧アーム300を介してドック14上のガスパイプライン22に移送し得る。ガス管52は、
図1に関して説明したように、陸上設備に結合し得る。
【0065】
本明細書において説明したように、LNG運搬船12及び再ガス化船舶10の両方を、例えば
図6A、
図6B、及び
図6Cに示されるように、1つ又は複数のドックに係留し得る。あるいは、いくつかの実施形態では、LNG運搬船は、再ガス化船舶の片側に位置決めし、再ガス化船舶をドックの近傍に位置決めし得る。LNGは、LNG運搬船から再ガス化船舶に移送し得る。再ガス化船舶の船上で、LNGを気化させて天然ガスにし得る。天然ガスは、陸上に移送し得る。再ガス化船舶のみがドックに入るため、そのような実施形態は、ドックにおいて利用されるスペース量及び資本量を低減し得る。
【0066】
図7は、ドック側に並ぶ液化天然ガスの移送を使用して、再ガス化天然ガスを陸上設備に提供するシステムの実施形態の概略である。LNG運搬船12は、再ガス化船舶10の近傍に位置決めし得る。示されているように、LNG運搬船12は、再ガス化船舶10の横に位置決めし得る。いくつかの実施形態では、LNG運搬船12は、再ガス化船舶10の後部に位置決めし得る。特定の実施形態では、LNG運搬船12は、再ガス化船舶10の船尾に位置決めし得る。
【0067】
再ガス化船舶10とLNG運搬船12とは、当業者に既知の技法を使用して結合して、LNGの船間移送を容易にし得る。例えば、係留設備及び防舷機器を使用して、再ガス化船舶10とLNG運搬船12とを結合し得る。再ガス化船舶10は、ドック14に隣接して位置決めし得る。再ガス化船舶10は、本明細書に説明されるようにドック14に結合し得る。LNGは、LNG運搬船12から可撓性又は剛性の接続58を介して再ガス化船舶10に移送し得る。接続58は可撓性であっても、又は剛性であってもよく、可撓性極低温ホース、ホースサドル、緊急高速切り離し結合部、及び/又はは緊急遮断システム及び切り離しシステムの使用を含み得る。いくつかの実施形態では、接続58は、
図8において説明されるマニフォルドシステム60であり得る。ボイルオフガスは、船間位相により管理し得る。移送されたLNGを再ガス化船舶上で処理して、再ガス化天然ガスを形成し得る。再ガス化天然ガスは、ガス管52を介してドック14に移送し得る。
図1に関して上述したように、ガス管52は陸上設備に結合し得る。
【0068】
図8は、LNGを船間移送するマニフォルドシステムの実施形態の概略である。マニフォルドシステム60は、LNGをLNG運搬船12から再ガス化船舶に安全で効率的に移送できるようにし得る。船間移送に関して示されるが、マニフォルドシステム60のうちの1つ又は複数を、船からドックへの移送又はドックから船への移送に使用してもよい。例えば、マニフォルドシステム60は、
図1及び/又は
図6A、
図6B、及び
図6Cにおいて説明されるドックマニフォルド56と液体接続54との組み合わせに使用し得る。
【0069】
図8に示されるように、LNGは、LNG運搬船12のLNG貯蔵タンクから液体管62を通って流れ得る。液体管62は、液体ホース64に結合し得る。LNGは、液体管62から液体ホース64に移送され、液体管62’を介して再ガス化船舶10に流れ得る。デッキ66が、液体ホース64及び蒸気ホース68を支持する。蒸気ホース68は、蒸気管70及び70’に結合し得る。蒸気管70及び70’ならびに蒸気ホース68は、液体管62を通してLNGが移動し得る際に生成されるボイルオフガスの管理を助ける。液体ホース64は、ステンレス鋼の端部取り付け部を含み、エポキシ充填されてかしめられることができ、LNGの船間移送に対する等級により承認された型であり得る。液体ホース64は、ポリエチレン層を含んでもよく、極低温サイクルに耐えると共に、故障前に漏れるように構成してもよい。いくつかの実施形態では、液体ホース64は、直径8インチ(20.32cm)、長さ15m、曲げ半径0.65mを有する複合材料ホースであり得る。液体ホース64は、船舶10及び12のそれぞれにおいてサドル72により支持し得る。
【0070】
液体ホース64及び蒸気ホース68は、サドル72に位置決めし得る。サドル72は、液体ホース64及び蒸気ホース68に保護及び支持を提供し、ホースの曲げ半径を維持し得る。さらに、サドル72は、負荷を液体ホース64及び蒸気ホース68から船舶10及び12上のマニフォルドデッキに伝達し、摩擦保護をホースに提供し得る。液体ホース64は、スプール片74、74’を使用して液体管62、62’に接続し得る。さらに、蒸気ホース68は、スプール片74、74’を使用して蒸気管70、70’に接続し得る。スプール片74、74’は、従来のパイプ及びホースコネクタを使用して行われる接続と比較して、ホース接続の直径に合うようにパイプの直径を低減し得る。例えば、スプール片74を使用して、液体ホース64を液体管62、62’に接続し、及び/又は蒸気ホース68を、45°未満の角度で蒸気管70、70’に接続し得る。スプール片74、74’の使用により、従来のLNGマニフォルドシステムと比較して、マニフォルドシステム60において使用されるホース及び/又は導管の数を増大させることが可能であり得る。
【0071】
切り離し結合部76は、液体ホース64とサドルスプール片74’との間及び/又は蒸気ホース68とサドルスプール片74’との間に位置決めし得る。切り離し結合部76は、緊急状況において、液体ホース64及び/又は蒸気ホース68を高速で切り離せるようにし得る。いくつかの実施形態では、切り離し結合部76はERC350であり得る。切り離し結合部76は、例えば、
図3及び
図4において説明されるように、遠隔操作され、及び/又は自動操作され、LNG漏れが発生した場合にドライブレーキを提供し得る。いくつかの実施形態では、検出及び切り離しの始動に液圧システムを使用し得る。いくつかの実施形態では、
図4に示される無線通信・空気圧作動システムを、検出及び切り離しの始動に使用し得る。特定の実施形態では、切り離し結合部76は、高速切り離しシステム340及び/又はERC350であり得る。
【0072】
マニフォルドシステム60は、水浴システム78、78’を含み得る。水浴システム78は、船舶10及び12のトランクデッキ及び貨物タンクを、LNGの事故的な放出から保護し得る。水浴システム78、78’は、船舶のメインデッキ上でマニフォルドエリアの下に水浴を含むと共に、各マニフォルドの下に追加の水カーテンを含み得る。
【0073】
従来技術による方法及びシステムよりも保護された場所で動作する可動再ガス化設備が可能であり、従って、天気の混乱をより受けにくい、波止場でのLNGの船間移送及び連続した船上での再ガス化のシステム及び方法を開示した。この方法及びシステムのコストは、必要な陸上ベースの基盤及び水面下の基盤の数が少なく、必要とされ得る許可が少ないため、既知のシステム及び方法よりも低い。さらに、開示される方法及びシステムは、現在のシステム及び方法よりも短い時間期間で実施し得る。例えば、開示される本発明の実施形態を利用する場所によっては、わずか12ヶ月以内の現場での工事で、同じ性能を有する従来の陸上ベースのLNGターミナルの約10%のコストで稼働し得、又は従来のLNG設備を7ヶ月未満で置き換え得る。システムが破損した場合、従来の方法及びシステムよりも素早く再実施可能な方法及びシステムを説明した。開示されるシステム及び方法は、潜在的なLNG受け取り場所の可用性を拡大し、そのようなシステムは、従来の海上方法よりも岸壁近くで動作しながら、驚くほど安全である。
【0074】
本発明の様々な態様のさらなる変更及び代替の実施形態が、この説明に鑑みて当業者には明白であり得る。従って、この説明は、例示としてのみ解釈されるべきであり、当業者に本発明を実行する一般的な様式について教示することを目的とする。本明細書において図示され説明された本発明の形態を、目下好ましい実施形態として解釈すべきであることを理解されたい。要素及び材料は、本明細書において図示され説明されたものと置換してもよく、部品及びプロセスを逆にしてもよく、本発明の特定の特徴を独立して利用してもよく、これらはすべて、本発明のこの説明の恩恵を受けた後、当業者に明白であろう。以下の特許請求の範囲に記載される本発明の趣旨及び範囲から逸脱せずに、本発明において説明された要素に変更を行い得る。さらに、特定の実施形態では、本明細書において独立して説明された特徴を組み合わせてもよいことを理解されたい。