(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、
図8(A)及び
図8(B)に示すように、多くのラップトップパソコン100では、基体となる下部筐体102に対して蓋体となる上部筐体104をヒンジ106によって開閉可能に連結している。一般的な構造のヒンジ106は、下部筐体102の上面後端部で上部筐体104を回動可能に支持する構造である。このようなヒンジ106を採用したラップトップパソコン100の場合、その後端面を位置決め部材の位置決め面に突き当てて位置決めしておけば、ドッキング装置に装着した状態で上部筐体104を開閉動作させる際に位置決め部材が邪魔になることはなく、ラップトップパソコン100を円滑に使用することができる。
【0006】
これに対して、上部筐体104の開き角度を180°により近づけた大きな角度まで回動させること等を目的として、
図9(A)及び
図9(B)に示すように、上部筐体104の開き動作時にその後端部を後方へと突出させながら下降させることで該上部筐体104の回動角度を稼ぐヒンジ構造(ドロップダウンヒンジ108)を採用したラップトップパソコン110も提案されている。ところが、このようなドロップダウンヒンジ108を採用したラップトップパソコン110の場合、上部筐体104の開き動作時にその後端部が後方へと突出する。このため、ラップトップパソコン110の後端面を単純に位置決め部材の位置決め面に突き当てて位置決めしただけでは、開閉動作時に後方へと突出する上部筐体104の後端部に位置決め部材が干渉し、上部筐体104を所望の角度位置まで円滑に開くことが難しいことがある。
【0007】
本発明は、上記従来技術の課題を考慮してなされたものであり、上部筐体の開き動作時にその後端部が後方へと突出するヒンジ構造を有する携帯用情報機器であっても、ドッキング装置に対して正確に位置決めすることができ、且つ上部筐体の円滑な開閉動作を確保することができるドッキング装置、及び該ドッキング装置を備えた情報機器システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係るドッキング装置は、下部筐体の後端部に上部筐体を開閉可能に連結した携帯用情報機器が着脱されるドッキング装置であって、前記携帯用情報機器は、前記上部筐体が前記下部筐体に対して閉じられた状態から開かれた場合に、該上部筐体の後端部が後方へと突出するヒンジ構造を有する携帯用情報機器を含み、当該ドッキング装置は、前記携帯用情報機器の装着時に該携帯用情報機器の後端面と当接することで該携帯用情報機器を当該ドッキング装置に対して位置決めする位置決め部材と、前記携帯用情報機器の装着動作と連動し、前記位置決め部材を前記携帯用情報機器に対する位置決め位置から退避位置へと退避させる退避機構とを備えることを特徴とする。
【0009】
また、本発明に係る情報機器システムは、下部筐体の後端部に上部筐体を開閉可能に連結した携帯用情報機器と、前記携帯用情報機器を着脱可能に構成されたドッキング装置とを備える情報機器システムであって、前記携帯用情報機器は、前記上部筐体が前記下部筐体に対して閉じられた状態から開かれた場合に、該上部筐体の後端部が後方へと突出するヒンジ構造を有する携帯用情報機器を含み、前記ドッキング装置は、前記携帯用情報機器の装着時に該携帯用情報機器の後端面と当接することで該携帯用情報機器を当該ドッキング装置に対して位置決めする位置決め部材と、前記携帯用情報機器の装着動作と連動し、前記位置決め部材を前記携帯用情報機器に対する位置決め位置から退避位置へと退避させる退避機構とを備えることを特徴とする。
【0010】
このような構成によれば、携帯用情報機器の装着動作と連動し、位置決め部材を退避させる退避機構を備える。このため、上部筐体が下部筐体に対して閉じられた状態から開かれた場合に、該上部筐体の後端部が後方へと突出するヒンジ構造を有する携帯用情報機器を装着する場合であっても、装着時には位置決め部材によって正確に位置決めすることができる。そして、装着後には、位置決め部材が退避機構によってヒンジによる上部筐体の開き動作を妨げない退避位置へと退避しているため、上部筐体の円滑な開閉動作を確保することができる。
【0011】
前記位置決め部材は、当該ドッキング装置の筐体に対して上下動可能に設けられており、前記退避機構は、前記携帯用情報機器が装着される際に該携帯用情報機器を検出する検出部と、該検出部による携帯用情報機器の検出に基づき動作して、前記位置決め部材を上方の前記位置決め位置から下方の前記退避位置へと移動させる駆動部とを備えると、検出部によって携帯用情報機器の装着を検出し、退避機構によって位置決め部材を確実に退避させることができる。
【0012】
前記駆動部は、前記検出部で前記携帯用情報機器が検出された場合に前記筐体に対して移動するスライダと、一端が前記位置決め部材と連結される一方、他端が前記スライダと摺接可能に配置され、前記筐体に対して上下方向に回動可能に軸支された駆動アームとを備え、前記駆動アームは、前記スライダの移動によって押圧されて回動し、前記位置決め部材を前記退避位置へと移動させる構成としてもよい。
【0013】
前記駆動アームは、前記筐体に対して、前記位置決め部材を前記位置決め位置へと移動させる回動方向へと弾性支持されると共に、前記他端と前記位置決め部材との間が弾性部材を介して連結されているとよい。これにより、弾性部材によって位置決め部材と駆動アームとを接離することができるため、位置決め部材に外力が付与された場合であっても該位置決め部材を駆動アームから独立して動作させることができ、退避機構に大きな負荷が付与されることを回避できる。
【0014】
前記位置決め部材の上面は、前記携帯用情報機器の後端面と当接する前方側に向かって下方に傾斜した傾斜形状を有すると、携帯用情報機器への接触面積を可及的に小さくすることができる。このため、位置決め部材が携帯用情報機器の後端面に引っ掛かることを防止でき、退避機構によって位置決め部材を円滑に退避させることが可能となる。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、装着時には位置決め部材によって携帯用情報機器を正確に位置決めすることができ、装着後には位置決め部材が退避機構によってヒンジによる上部筐体の開き動作を妨げない退避位置へと退避しているため、上部筐体の円滑な開閉動作を確保することができる。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明に係るドッキング装置について、この装置に着脱される携帯用情報機器との関係で好適な実施の形態を挙げ、添付の図面を参照しながら詳細に説明する。
【0018】
図1は、本発明の一実施形態に係るドッキング装置10とラップトップパソコン12とを分離させた状態での分解斜視図である。
図2は、位置決め部材14でラップトップパソコン12を位置決めした状態でのドッキング装置10の一部断面側面図であり、
図3は、
図2に示す状態からラップトップパソコン12を押し下げて、ラップトップパソコン12の装着が完了した状態でのドッキング装置10の一部断面側面図である。
【0019】
本実施形態に係るドッキング装置10は、携帯用情報機器であるラップトップパソコン12(以下、単に「パソコン12」とも呼ぶ)を着脱可能に構成されている。ドッキング装置10は、装着されたパソコン12を複数の周辺機器やネットワークに接続させる等、その機能を拡張するものであり、ドッキング装置10とパソコン12によって本実施形態に係る情報機器システムが構築される。ドッキング装置10は、ヒンジ構造やディスプレイのインチサイズ等の仕様が異なる各種のパソコン12を位置決め部材14によって正確に位置決めして装着することができる。ドッキング装置10は、パソコン12以外の拡張用として使用することもでき、例えば、携帯電話、スマートフォン、又は電子手帳等、下部筐体に対して上部筐体を開閉可能に構成した携帯用情報機器であれば好適に使用可能である。
【0020】
以下では説明の便宜上、ドッキング装置10に装着された状態でのパソコン12の使用形態を基準とし、
図1における手前側を前側(前方)、奥側を後側(後方)と呼び、ドッキング装置10及びパソコン12の厚み方向を上下方向、幅方向を左右方向と呼ぶものとする。
【0021】
ドッキング装置10への接続対象の一例としてのパソコン12は、
図1に示すように、基体となる下部筐体16に対し、ヒンジ17を介して開閉可能に連結された蓋体である上部筐体18を備える。パソコン12では、下部筐体16の上面にキーボード20が設けられ、上部筐体18に表示装置22が設けられている。本実施形態の場合、ヒンジ17は、上部筐体18の開き角度を180°により近づけた大きな角度(例えば、全閉位置を0°として0°〜150°程度)まで回動可能なドロップダウンヒンジであり、上部筐体18の開き動作時にその後端部が後方へと突出しながら下降することで上部筐体18の回動角度を稼ぐヒンジ構造となっている(
図3及び
図9も参照)。
【0022】
図2及び
図3に示すように、下部筐体16の下面には、ドッキング装置10の拡張側コネクタ24aと電気的に接続されるPC側コネクタ24bと、ドッキング装置10の上面から突出する係合レバー26aと係合可能な係合穴26bとが設けられている。拡張側コネクタ24aは、ドッキング装置10に設けた各種拡張機能の接続端子を構成し、パソコン12において下部筐体16の底面16aに設けたPC側コネクタ24bに接続されるものである。拡張側コネクタ24aとPC側コネクタ24bが、ドッキング装置10とパソコン12を機械的に且つ電気的に接続するコネクタ部24を構成する。拡張側コネクタ24aにPC側コネクタ24bを接続することにより、ドッキング装置10に設けた各種拡張機能をパソコン12から使用することが可能となる。係合レバー26aと係合穴26bが、ドッキング装置10とパソコン12を機械的に接続・係合し、その分離を防止する係合部26を構成する。
【0023】
図1〜
図3に示すように、ドッキング装置10は、パソコン12の下部筐体16を載置させた状態で用いられるものであり、合成樹脂材によって成形した装置筐体(筐体)28にPC搭載部30及びロック操作部32を設けて構成されている。
【0024】
PC搭載部30は、パソコン12を載置することのできる大きさの上面を有した箱体である。PC搭載部30は、前側から後側に向かうに従って漸次高さ寸法が大きくなるように傾斜し、パソコン12の下面が着地する載置台34と、載置台34の後側で一段低く形成され、パソコン12の後方下面から図示しないバッテリ等が突出している場合に、該バッテリ等を避けるための逃げ面36とを備える。
【0025】
ロック操作部32は、PC搭載部30よりも大きな高さ寸法を有した直方体状部分であり、PC搭載部30の一側方において後方側となる部位(逃げ面36の側部)に設けてある。ロック操作部32は、エジェクトボタン35と、図示しないキー挿入孔とを有する。エジェクトボタン35は、係合部26を構成する係合レバー26aと係合穴26bとの係合状態を解除するための操作ボタンである。前記キー挿入孔は、パソコン12用のワイヤ式ロックキー(図示せず)を装着するための開口である。該ロックキーを前記キー挿入孔に挿入してロック操作することにより、エジェクトボタン35の下方への押下移動を阻止し、係合レバー26aによるパソコン12の係合状態を解除することが不可能となり、パソコン12の盗難防止が図られる。
【0026】
図2及び
図3に示すように、載置台34は、装置筐体28に対して支持ばね38によって上下動可能に弾性支持されている。載置台34は、パソコン12が装着される際に該パソコン12によって下方に押圧され、
図2に示す装着完了位置よりも下降したオーバーストローク位置まで退動される。載置台34は、オーバーストローク位置まで退動した後は、支持ばね38の付勢力によって前記装着完了位置まで上昇復帰し、係合レバー26aの爪部で保持されたパソコン12の底面(被支持面)16aを上方に向かって付勢しながら弾性支持する。載置台34がオーバーストローク位置まで一旦退動することにより、拡張側コネクタ24aとPC側コネクタ24bの接続動作、及び係合レバー26aと係合穴26bの係合動作を確実に行うことができる。
【0027】
載置台34上には、拡張側コネクタ24aが突出配置されている。拡張側コネクタ24aは、PC搭載部30の内部に収容された図示しない基板等に接続されており、載置台34に形成された開口を通って上面に露出している。
【0028】
拡張側コネクタ24aの左右側部からは係合レバー26aがそれぞれ突出し、その上部が載置台34上に露出している。それぞれの係合レバー26aの前側及び左右側の三方を囲むように平面視コの字状のガイドポスト37が突出形成されている。ガイドポスト37は、ドッキング装置10にパソコン12が接続される際、係合レバー26aと共にパソコン12側の係合穴26bに挿入されることにより、装置筐体28に対してパソコン12を位置決めする位置決めピンとして機能する。なお、
図2及び
図3では、コネクタ部24及び係合部26の構造を明示するため、
図1に示すように左右方向に並べて配置されたコネクタ部24及び係合部26を前後方向に並べて図示している。
【0029】
載置台34の上面左右両端側には、ゴム材料等によって形成され、パソコン12の下面が着地するクッション部材39等が設けられている。
【0030】
さらに、載置台34の後方には、パソコン12の後方部分を支持するためのリブである第1支持部40及び第2支持部42が設けられている。第1支持部40は、ロック操作部32と反対側の側部(右側)で逃げ面36から上方に突出している。第1支持部40は、図示しないコイルばねの付勢力によってパソコン12の底面16aを支持するものである。第2支持部42は、ロック操作部32と載置台34との間に設置された収容ボックス44の上面から出没可能に配置されている。第2支持部42は、図示しない駆動機構によってパソコン12の装着動作に応じて上動し、パソコン12の底面16aを支持するものである。
【0031】
ロック操作部32のPC搭載部30側に起立した側壁部32aの後端側には、上下方向に開口した矩形の昇降孔32bが形成されている。この昇降孔32bに沿って位置決め部材14が上下動可能に設置されている。
【0032】
図4〜
図7は、位置決め部材14及びこれを上下動させる退避機構46の構造を示す図である。
図4は、パソコン12をドッキング装置10に装着する前の状態での位置決め部材14及び退避機構46の状態を示す斜視図であり、
図5は、パソコン12のドッキング装置10への装着が完了した状態での位置決め部材14及び退避機構46の状態を示す斜視図である。
図6は、パソコン12をドッキング装置10に装着する前の状態での位置決め部材14及び退避機構46の状態を示す側面図であり、
図7は、パソコン12のドッキング装置10への装着が完了した状態での位置決め部材14及び退避機構46の状態を示す側面図である。
【0033】
図1、
図4及び
図5に示すように、位置決め部材14は、三角柱状の位置決め部48と、位置決め部48の基端側に一体的に設けられた昇降部50とから構成されている。位置決め部材14は、
図2及び
図4に示すパソコン12に対する位置決め位置から、
図3及び
図5に示す退避位置へと、退避機構46によって下方に移動可能である。
【0034】
位置決め部48は、前方に向かって下方に傾斜した傾斜形状の上面である傾斜面48aを有し、その前端部に形成された細い帯状の端面が位置決め面48bとなる。位置決め面48bは、パソコン12の後端面12a(
図2参照)と当接し、該パソコン12を当該位置決め部材14が装着されたドッキング装置10に対して位置決めするためのストッパ面である。
【0035】
昇降部50は、立法体状に形成され、その右側面に位置決め部48が一体的に突出形成されている。昇降部50の左側面には、側壁部32aの昇降孔32b内に設置された断面略T字状のレール52に係合するスライド溝50aが開口形成されている。レール52は、昇降孔32b内に上下方向に沿って配設され、このレール52にスライド溝50aがスライド可能に係合することにより、昇降部50は昇降孔32b内で上下動可能である(
図4及び
図5参照)。昇降部50の前面には、下面まで連なって開口したスリット50bが形成されている。スリット50b内には、退避機構46を構成する駆動アーム(揺動アーム)54の一端側(連結部54a)が挿入され、この連結部54aと昇降部50とが連結ばね(弾性部材)56を介して連結されている。
【0036】
退避機構46は、収容ボックス44及びロック操作部32の内部に収納されており、
図4及び
図5に示すように、検出部58と、駆動部60とを備える。
【0037】
検出部58は、ドッキング装置10にパソコン12が装着される際に、該パソコン12を検出するものである。検出部58は、位置決め部材14の前方に設置され、鉛直方向の回動軸62により装置筐体28に対して前後方向に回動可能に軸支された屈曲棒状の検出アーム64を有する。検出部58では、ドッキング装置10にパソコン12が装着される際に検出アーム64が回動することにより、パソコン12の装着を検出する(
図4及び
図5参照)。
【0038】
検出アーム64は、駆動部60のスライダ66を押圧する押圧部64aが長手方向一端側(回動軸62の左側)に設けられ、後側を向いて下方に傾斜した傾斜面64bが長手方向他端側(回動軸62の右側)に設けられている(
図6及び
図7参照)。
【0039】
図1〜
図3に示すように、載置台34の左側後方部の下面には、該載置台34と一体的に上下動する押圧ピン68が下方に向けて突設されている。パソコン12が載置されることによって載置台34と共に押圧ピン68が下降する際、その先端面(下端面)が検出アーム64の傾斜面64bに摺接する。そうすると、検出アーム64は、下降する押圧ピン68によって押圧され、傾斜面64bが前方に移動し、押圧部64aが後方に移動する方向に回動する(
図5及び
図7参照)。検出部58は、この検出アーム64の回動動作によってパソコン12を検出する。
【0040】
駆動部60は、検出部58によるパソコン12の検出に基づき動作して位置決め部材14を下降させ、下降位置(退避位置)に保持しておくものである。駆動部60は、装置筐体28に対して前後方向に移動可能に弾性支持されたスライダ66と、左右方向の回動軸70によって装置筐体28に対して上下方向に回動可能に軸支された屈曲棒状の駆動アーム54とを有する。駆動部60では、パソコン12の装着を検出した検出アーム64の回動動作に基づきスライダ66が後退し、該スライダ66を介して駆動アーム54が回動(揺動)して連結部54aが下降することにより、位置決め部材14をレール52に沿って下降させる。
【0041】
スライダ66は、前後方向に沿って延在した直方体状の基部66aと、基部66aの左側面から左側方へと突出した作用部66bと、検出アーム64の押圧部64aによる押圧力が付与される受け面66cとを有する。スライダ66は、装置筐体28の底面上で前後方向に移動可能であり、図示しない弾性部材によって常時前方に向かって付勢されている。
【0042】
作用部66bは、検出アーム64の水平方向の回動動作を駆動アーム54に伝達し、該駆動アーム54を上下方向に回動させるためのものである。作用部66bは、後方に向かって下方に傾斜した傾斜面66dと、傾斜面66dの頂部から前方に向かって延在した水平面である台座66eとを有する。
【0043】
ドッキング装置10にパソコン12が装着されていない状態では、
図4及び
図6に示すように、駆動アーム54の円弧状の端部である受け部54bが、作用部66bの傾斜面66dの下部位置に当接している。パソコン12の装着動作に基づく検出アーム64の回動によってスライダ66が後方に移動すると、傾斜面66d上を駆動アーム54の受け部54bが摺動し、駆動アーム54は回動軸70を中心として回動する。そして、ドッキング装置10へのパソコン12の装着が完了すると、
図5及び
図7に示すように、駆動アーム54の受け部54bは、作用部66bの傾斜面66dを乗り越えて台座66e上に着地し、駆動アーム54は連結部54a側が下方に回動した姿勢となり、それ以上の回動動作が規制される。
【0044】
駆動アーム54は、スライダ66の基部66aの左側に設置され、装置筐体28に対し、水平方向の回動軸70によって上下方向に回動可能に軸支された屈曲棒状の部材である。駆動アーム54は、位置決め部材14の昇降部50と連結ばね56によって連結される連結部54aが長手方向一端側(回動軸70の後側)に設けられ、スライダ66の作用部64bと摺接する受け部54bが長手方向他端側(回動軸70の前側)に設けられている(
図6及び
図7参照)。受け部54bは、
図6及び
図7に示すように、回動軸70の径方向に延在した駆動アーム54の先端部を略直交方向に屈曲させると共に、その外端面を円弧状に形成したものであり、スライダ66の傾斜面66d上を円滑に摺接可能な形状となっている。
【0045】
駆動アーム54の回動軸70と連結部54aとの間の左側面には、回動ばね72の一端が引っ掛けられている。回動ばね72は、一端(下端)が駆動アーム54に引っ掛けられ、他端(上端)が装置筐体28(ロック操作部32)の天面に引っ掛けられることで、駆動アーム54を連結部54a側が上方に回動する方向に常時付勢している。
【0046】
次に、ドッキング装置10とパソコン12の装着動作に伴う位置決め部材14及び退避機構46の動作について説明する。
【0047】
ドッキング装置10にパソコン12が装着されていない状態(非装着状態)では、
図4及び
図6に示すように、検出部58の検出アーム64は、図示しない弾性部材の付勢力によって最も前方となる位置にあるスライダ66の受け面66cによって押圧部64aが押圧され、該押圧部64aが前方に回動し、反対に傾斜面64bが後方に回動した位置にある。また、駆動部60の駆動アーム54は、回動ばね72の付勢力により、受け部54bが下方に回動し、反対に連結部54aが上方に回動した位置にある。このため、位置決め部材14も上昇位置(位置決め位置)にある。
【0048】
非装着状態にあるドッキング装置10にパソコン12を装着する際には、先ず、
図1及び
図2に示すように、平面視でパソコン12の後端角部を位置決め部材14とロック操作部32の側壁部32aとの間に配置し、パソコン12の後端面12aを位置決め部材14の位置決め面48bに突き当てる。これにより、パソコン12のドッキング装置10に対する前後方向位置が規定される。
【0049】
続いて、
図3に示すように、後端面12aを位置決め面48bに当接させた状態のまま、パソコン12を下方へと押下げ、一対のガイドポスト37,37をそれぞれパソコン12の下部筐体16の底面16aに設けた係合穴26bに嵌挿させつつ、PC側コネクタ24bを拡張側コネクタ24aに接続する。そうすると、載置台34が支持ばね38の付勢力に抗して押下げられてオーバーストローク位置まで退動されつつ、係合レバー26aが係合穴26bに係合した後、載置台34が支持ばね38の付勢力によって
図3に示す装着完了位置まで復帰し、ドッキング装置10へのパソコン12の装着動作が完了し、装着状態となる。
【0050】
このような装着動作時、退避機構46では、パソコン12の底面16aによって押圧される載置台34と共に押圧ピン68が下降し、
図4〜
図7に示すように、押圧ピン68が検出アーム64の傾斜面64bを摺接しながら押圧し、検出アーム64を押圧部64aが後方に移動する方向に回動させる。つまり、検出部58によって、パソコン12の装着が検出される。検出部58での検出動作によって検出アーム64が回動すると、
図5及び
図7に示すように、検出アーム64の押圧部64aがスライダ66の受け面66cを押圧し、弾性部材の付勢力に抗してスライダ66を後方に移動させる。スライダ66が後方に移動すると作用部66bも後方に移動するため、傾斜面66d上を駆動アーム54の受け部54bが摺動する。
【0051】
最終的には、ドッキング装置10へのパソコン12の装着が完了すると、駆動アーム54の受け部54bは、傾斜面66dを乗り越えて台座66e上に着地し、駆動アーム54は、連結部54a側が下降位置となってその回動動作が規制される。この際、駆動アーム54の連結部54aの下降に伴い、該連結部54aと連結ばね56を介して連結された位置決め部材14もレール52に沿って下降して下降位置(退避位置)となる(
図3、
図5及び
図7参照)。
図1及び
図3から明らかなように、本実施形態の場合、位置決め部材14は、収納ボックス44の後側の逃げ面36上に退避する。
【0052】
このように、位置決め部材14は、パソコン12のドッキング装置10への装着前には、上昇位置にあって該パソコン12の後端面12aの正確に位置決めすることができる(
図2参照)。そして、装着後には、退避機構46によって下降位置に移動し、パソコン12の後方から退避した位置になる(
図3参照)。これにより、
図3中の2点鎖線に示す上部筐体18のように、ドロップダウンヒンジであるヒンジ17によって開き動作時にその後端部が後方へと突出しながら下降した場合であっても、位置決め部材14が上部筐体18と干渉することがなく、パソコン12の開閉を円滑に行うことができる。
【0053】
なお、
図4及び
図6に示す非装着状態では、駆動アーム54の回動動作は規制されていない。このため、
図4及び
図6に示すように上昇位置にある位置決め部材14を、人手によって或いはパソコン12の底面16aによって下方に押圧した場合には、回動ばね72の付勢力に抗して駆動アーム54が回動し、位置決め部材14が下降する(
図6中に2点鎖線で示す位置決め部材14参照)。このため、この非装着状態において、位置決め部材14に意図しない外力が付与された場合であっても、位置決め部材14や退避機構46に負荷がかかることが回避され、これらの破損を防止できる。
【0054】
また、
図5及び
図7に示す装着状態では、受け部54bが台座66e上に着地しているため、駆動アーム54の回動動作が規制され、位置決め部材14の昇降部50と駆動アーム54の連結部54aとの間は、連結ばね56によって連結されている。このため、
図5及び
図7に示すように下降位置にある位置決め部材14を、人手によって上方に押圧した場合には、連結ばね56が伸張して位置決め部材14のみがレール52に沿って上方に移動し(
図7中に2点鎖線で示す位置決め部材14参照)、駆動アーム54に回動方向の大きな力が付与されることはない。このため、この装着状態において、位置決め部材14に意図しない外力が付与された場合であっても、位置決め部材14や退避機構46に負荷がかかることが回避され、これらの破損を防止できる。
【0055】
位置決め部材14及び退避機構46は、このような破損防止機構を備えるため、パソコン12の上部筐体18を予め開いた状態であっても当該ドッキング装置10に対して円滑に装着することができる。すなわち、上部筐体18を開いた状態のパソコン12をドッキング装置10に装着する際には、先ず、パソコン12(下部筐体16)の後端面12aを、平面視での目視によってロック操作部32の上面に形成された位置決めマーク74(
図1参照)に合わせる。これにより、パソコン12のドッキング装置10に対する前後方向位置の位置決めが完了する。そこで、パソコン12を上部筐体18が開かれた状態のまま下方へと押下げることにより、パソコン12のドッキング装置10への装着動作が完了する。この際、位置決め部材14は、開かれた上部筐体18によって下方に押圧されるが、駆動アーム54が回動し、該位置決め部材14が下降するため(
図6中に2点鎖線で示す位置決め部材14参照)、位置決め部材14や退避機構46に大きな負荷が付与されることなく、装着を円滑に行うことができる。
【0056】
以上のように、本実施形態に係るドッキング装置10によれば、パソコン12の装着時に該パソコン12の後端面12aと当接することで、該パソコン12を当該ドッキング装置10に対して位置決めする位置決め部材14と、パソコン12の装着動作と連動し、位置決め部材14をパソコン12に対する位置決め位置(上方位置)から退避位置(下降位置)へと退避させる退避機構46とを備える。
【0057】
このため、当該ドッキング装置10に装着する携帯用情報機器として、上部筐体18が下部筐体16に対して閉じられた状態から開かれた場合に、該上部筐体18の後端部が後方へと突出するヒンジ構造のヒンジ17を有するパソコン12を用いた場合であっても、装着時には位置決め部材14によって正確に位置決めすることができる。そして、装着後には、位置決め部材14が退避機構46によってヒンジ17による上部筐体18の開き動作を妨げない退避位置へと退避しているため、上部筐体18の円滑な開閉動作を確保することができる。なお、位置決め部材14は、
図8に示すような一般的なヒンジ構造のヒンジ106を設けた仕様のラップトップパソコン100を装着する場合に用いてもよい。すなわち、当該ドッキング装置10では、上記した位置決め部材14と退避機構46を備えることにより、各種の形状や種類のパソコン12に対応することができ、高い汎用性を得ることができる。
【0058】
ドッキング装置10において、位置決め部材14は、当該ドッキング装置10の装置筐体28に対して上下動可能に設けられており、退避機構46は、パソコン12が装着される際に該パソコン12を検出する検出部58と、該検出部58によるパソコン12の検出に基づき動作して、位置決め部材14を上方の位置決め位置から下方の退避位置へと移動させる駆動部60とを備える構成となっている。これにより、検出部58によってパソコン12の装着を検出し、退避機構46によって位置決め部材14を確実に退避させることができる。
【0059】
本実施形態の場合、位置決め部材14の上面は、パソコン12の後端面12aと当接する前方側に向かって下方に傾斜した傾斜形状を有する傾斜面48aとなっている。このため、パソコン12の後端面12aを位置決めする前面の位置決め面48bのパソコン12への接触面積を可及的に小さくしつつも、位置決め部材14自体に十分な剛性や位置決め性能を確保することができる。すなわち、パソコン12の装着時には多少の位置ずれを生じる可能性が高く、位置決め部材14の位置決め面48bの接触面積が大き過ぎると、位置決め部材14がパソコン12の後端面12aに引っ掛かってしまい、退避機構46によって下げることができない場合が想定される。そこで、位置決め面48bの面積を小さくしておくことにより、上記の引っ掛かりを低減し、位置決め部材14の円滑な下降を保障している。また、当該ドッキング装置10では、上記のように位置決め部材14がパソコン12の後端面12aに引っ掛かった場合であっても、連結ばね56の伸張によって駆動アーム54の連結部54aのみが下がるため、退避機構46の各部に大きな負荷が付与されることは回避されている。
【0060】
なお、本発明は、上記した実施形態に限定されるものではなく、本発明の主旨を逸脱しない範囲で自由に変更できることは勿論である。