特許第5684902号(P5684902)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許5684902密封表面からの汚染物質を受け止める空洞を有するバルブトリム装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5684902
(24)【登録日】2015年1月23日
(45)【発行日】2015年3月18日
(54)【発明の名称】密封表面からの汚染物質を受け止める空洞を有するバルブトリム装置
(51)【国際特許分類】
   F16K 25/04 20060101AFI20150226BHJP
   F16K 1/34 20060101ALI20150226BHJP
【FI】
   F16K25/04
   F16K1/34 H
【請求項の数】11
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2013-511496(P2013-511496)
(86)(22)【出願日】2010年5月25日
(65)【公表番号】特表2013-526692(P2013-526692A)
(43)【公表日】2013年6月24日
(86)【国際出願番号】CN2010073212
(87)【国際公開番号】WO2011147078
(87)【国際公開日】20111201
【審査請求日】2013年5月21日
(73)【特許権者】
【識別番号】512305660
【氏名又は名称】エマーソン プロセス マネージメント (ティアンジン) ヴァルブ カンパニー, リミテッド
【氏名又は名称原語表記】Emerson Process Management (Tianjin) Valve Co., Ltd.
(74)【代理人】
【識別番号】100098914
【弁理士】
【氏名又は名称】岡島 伸行
(72)【発明者】
【氏名】スン, チーミン
(72)【発明者】
【氏名】ガオ, チュン
(72)【発明者】
【氏名】チェン, ツェンギュ
【審査官】 関 義彦
(56)【参考文献】
【文献】 特公昭52−1136(JP,B1)
【文献】 実開昭54−159225(JP,U)
【文献】 特開2007−155102(JP,A)
【文献】 実開昭63−109077(JP,U)
【文献】 実開昭50−132722(JP,U)
【文献】 実開昭50−132721(JP,U)
【文献】 米国特許第6135523(US,A)
【文献】 実公昭44−12467(JP,Y1)
【文献】 実開昭54−60317(JP,U)
【文献】 米国特許出願公開第2009/314979(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16K
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
バルブ軸を介して移動可能な閉鎖部品と、前記閉鎖部品とかみ合うバルブ台座とを備えるバルブトリム装置であって、
記閉鎖部品またはバルブ台座の一つが複数の突起状の環状リブを含み、ここで少なくとも1つの前記バルブ台座または閉鎖部品が、環状リブの少なくとも2つの間に位置して、前記閉鎖部品が前記バルブ台座と密封するようにかみ合う時に前記閉鎖部品またはバルブ台座の密封表面から物質を受ける少なくとも1つの溝を形作る装置。
【請求項2】
請求項1に記載のバルブトリム装置で、前記環状リブに角度の付いたプロファイルを有し、
前記角度の付いたプロファイルは、前記少なくとも1つの溝に物質を集めやすくなる角度が定義されている装置。
【請求項3】
請求項2で定義されたバルブトリム装置で、前記角度が前記閉鎖部品の長方向軸に対しおよそ60度である装置。
【請求項4】
請求項1に記載のバルブトリム装置で、ここで、前記バルブ台座が台座リングで、前記複数の環状リブが前記台座リングと一体化している装置。
【請求項5】
請求項4に記載のバルブトリム装置で、ここで、前記台座リングが、バルブ体の流出ポートに近接して固定される装置。
【請求項6】
請求項1に記載のバルブトリム装置で、前記環状リブが、冗長密封表面を提供するよう構成されている装置。
【請求項7】
請求項1に記載のバルブトリム装置で、ここで、前記物質が粒子または相対的に高い粘度の液体のいずれかから成り、前記少なくとも1つの溝で受けられる前に、前記バルブ台座または閉鎖部品の前記密封表面と接触する装置。
【請求項8】
請求項1に記載のバルブトリム装置で、前記閉鎖部品またはバルブ台座の一つが金属、カーバイドまたはセラミック製で、もう片方の前記閉鎖部品またはバルブ台座の一つが前記閉鎖部品と異なる材質でできている装置。
【請求項9】
請求項1に記載のバルブトリム装置でさらにケージを備え
前記ケージは、ケージを通じた液体の流れが、前記閉鎖部品が前記バルブ台座と密封するようにかみ合う前に前記閉鎖部品が前記バルブ台座の方向へ動くにつれて、実質的に防止されるように前記プラグに動作可能にかみ合っており、前記密封表面を浸食から保護する流れの不動帯を提供するように構成されている装置。
【請求項10】
請求項1に記載のバルブトリム装置で、前記バルブ閉鎖部品がプラグで前記バルブ台座が台座リングである装置。
【請求項11】
請求項9に記載のバルブトリム装置で、前記ケージは前記バルブ台座とは別に構成されている装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、一般にコントロールバルブに関する。特には、バルブトリムの密封表面(シール面)上に沈殿した汚染物質を受ける空洞を有するバルブトリム装置に関する。
【背景技術】
【0002】
液体バルブは、処理液体の流れを制御する処理制御設備またはシステムでしばしば使用される。通常、流体バルブは一般に、液体経路内に設置されて流入口と流出口との間の経路を通る液体の流れを制御するためのバルブプラグ(金属のバルブプラグなど)およびバルブ台座(金属の台座リングなど)を含むバルブトリムアセンブリまたは装置を含む。バルブ軸またはシャフトが前記バルブプラグと、空気圧式アクチュエータ、手動アクチュエータなどのアクチュエータとを動作可能に接合する。前記アクチュエータは前記バルブプラグを、前記バルブプラグと前記バルブ台座との間に隙間ができ、前記経路を通って液体の流通が可能な開位置と、前記バルブプラグが前記バルブ台座と密封してかみ合い、前記経路を通る液体の流通を阻止する閉位置との間で動かす。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
例えば石油化学業界などの過酷なサービス用途においては、バルブトリム(バルブ台座、バルブプラグなど)が急激に摩耗したり動作寿命が短くなるような、バルブの制御が強浸食性の液体状態で使用される可能性がある。例えば、前記バルブトリムは、混入粒子(セラミック触媒微粒など)を含む処理液体の流通にさらされる可能性がある。セラミック素材でできたバルブ台座および/またはバルブプラグは、別の方法では金属製のバルブ台座および/またはバルブプラグを損傷する可能性がある、強浸食性の処理液体が原因の損傷および/または摩耗を低減させるため、過酷なサービス用途でしばしば使用される。これにより、前記バルブ台座および/またはバルブプラグの動作寿命が長くなる。
【0004】
セラミックバルブ台座および/またはバルブプラグは前述した粒子の浸食性または腐食性効果に対する高い耐久性があるが、微粒子(粒子混入触媒など)などの汚染物または物質および/または比較的高い粘度の液体が、前記バルブプラグおよび/または前記バルブ台座の前記密封部また台座表面に、前記バルブプラグが密封されるように前記バルブ台座とかみ合うときに付着する可能性がある。このような汚染物質または物質は、前記バルブプラグの前記密封表面が前記バルブ台座の台座表面と密封するようにかみ合わない恐れがあるため、前記バルブが閉位置にある場合に前記バルブ台座を横切って液体の漏れを引き起こす。
【課題を解決するための手段】
【0005】
一例では、バルブトリム装置はバルブ軸を介して移動可能なバルブプラグと、このバルブプラグとかみ合うバルブ台座とを備える。前記バルブプラグまたはバルブ台座の一つは、複数の突起状の環状リブを含み、少なくとも1つの前記バルブ台座またはバルブプラグが、少なくとも2つの環状リブの間に位置する少なくとも1つの溝を形成して、前記バルブプラグが前記バルブ台座と密封するようにかみ合った時に前記バルブプラグまたはバルブ台座の密封表面から物質を受けとめる。
【0006】
別の例では、バルブトリム装置は、バルブ台座とバルブ閉鎖部品を含む。前記バルブ閉鎖部品と前記バルブ台座は、互いにかみ合って空洞を形作り、前記バルブ閉鎖部品が、前記バルブ台座との密封かみ合い方向に動くにつれ、前記バルブ台座またはバルブ閉鎖部品の密封表面からの汚染物質を前記空洞に移動させる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】既知のトリム装置に実装されたバルブの既知の液体バルブの例を示す図である。
図2A】本明細書で説明する例のバルブトリム装置に実装された液体バルブの例を示す図である。
図2B図2Aで示した前記例の閉位置にあるバルブトリム装置の部分拡大図である。
図3図2Aおよび図2Bで示した前記例の開位置にあるバルブトリム装置の部分拡大図である。
図4図2A図2Bおよび図3で示した前記例の中間位置にあるバルブトリム装置の部分拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
通常、本明細書で説明する前記例のバルブトリム装置は、例えば、従来のバルブトリム部品を損傷したり浸食する恐れのある混入粒子(セラミック触媒など)を含む処理液体(液体水素など)などの、非常に浸食性の高いおよび/または比較的高い粘度の処理液体で使用することができる。本明細書で説明する前記例のバルブトリム装置は、従来のバルブトリムと比べ、前記バルブトリムの動作寿命が非常に長くなっている。より具体的には、前記例のバルブトリム装置は、液体の流れに存在する混入された粒子および/または高粘度の液体の、前記バルブトリム装置の前記密封表面からの移動、拭き取り、経路の作成を行い、相対的に汚染物の少ない(滑らかまたはきれいになるなど)密封表面を提供し、前記バルブトリム装置が密封するようにかみ合うようにし、および/または前記バルブが閉位置にある時に漏れを防ぐ。さらに、本明細書で説明する前記例のバルブトリム装置は、効果的な流量不動帯を提供し、前記トリム装置が前記閉位置に移動するにつれてより多くの粒子を、前記トリム装置の密封表面から除去するために役立つ。
【0009】
本明細書で説明する一例のバルブトリム装置は、動作可能にバルブ台座にかみ合うバルブプラグを含む。前記バルブプラグは、前記バルブ台座と互いにかみ合って空洞を形作り、前記バルブプラグが、前記バルブ台座との密封かみ合い方向に動くにつれ、前記バルブ台座またはバルブプラグの密封表面からの汚染物質を前記空洞に移動させる。前記バルブプラグまたはバルブ台座のいずれかには、複数の環状突起またはリブを含む。前記バルブ台座またはバルブプラグの少なくとも1つは、少なくとも2つの環状突起間に位置する少なくとも1つの溝を形成して、前記バルブプラグが前記バルブ台座と密封するようにかみ合った時に、物質または汚染物質(粒子、粘性液体など)を前記バルブプラグまたはバルブ台座の密封表面から受ける。
【0010】
さらに、ケージおよび前記バルブプラグは、効果的な液体の流れの不動帯を提供し、前記バルブトリム装置の前記密封表面が浸食、腐食、および/または損傷から保護するよう構成される。特に、前記バルブプラグは、前記ケージと互いにかみ合って前記液体の流れを塞ぎ、前記バルブプラグが前記バルブ台座の方向に移動し、前記バルブプラグが前記バルブ台座と密封するようにかみ合う前に、液体および/または粒子が前記トリム装置の密封表面を通る流れの残余量を減らす。
【0011】
図1は、過酷なサービス用途(非常に浸食性の高い処理液体、高圧用途など)で使用される可能性がある既知のバルブトリム装置102に実装された既知の液体バルブアセンブリ100(流下角式コントロールバルブなど)を示す図である。図1を参照すると、前記例の液体バルブアセンブリ100は、流入口またはサイドポート108と流出口またはボトムポート110との間に液体の流れる経路106を形作るバルブ体104を含む。この例では、前記流入口108は、前記流出口110に対してある角度で曲がる。覆い112が、前記バルブ体104と、締め具114を介して連結され、前記バルブ体104とアクチュエータ(図示されない)とを連結する。前記覆い112はまた、パッキングシステム116を収容して、処理液体が周囲に漏れるのを防ぐ。
【0012】
前記バルブトリム装置102は、流れ制御部品またはバルブプラグ118および、前記経路106内に配置されたバルブ台座または台座リング120を含む。アクチュエータ(空気圧式アクチュエータ、電動アクチュエータ、油圧アクチュエータなど)は、前記バルブプラグ118にバルブ軸122を介して動作可能に連結され、前記バルブプラグ118を、前記台座リング120に相対して動かし、前記流入口108と前記流出口110との間の前記経路106を通る前記液体の流れを制御して得る。台座リングリテーナまたはライナー124は、前記バルブ体104内の前記台座リング120を保持し、伸張して前記流出口110の内面128を、例えば摩耗、浸食、腐食などの処理の不都合な影響から保護する細長い体部126を持つ。
【0013】
運用時は、アクチュエータが前記バルブ軸122と、結果として前記バルブ118が前記台座リング120と密封するようにかみ合って、前記流入口108と前記流出口110との間の前記経路106を通る液体の流通を妨げるまたは制限する閉位置と、前記バルブプラグ118が前記台座リング120と分離して、前記流入口108と前記流出口110との間の前記経路106を液体が流通できる完全開位置または最大流入位置との間の前記バルブプラグ118とを駆動する。
【0014】
過酷なサービス用途(石油化学製品用途など)では、前記バルブトリム装置102は、表面130および/または132が急速に摩耗したり、物質の損失が発生する可能性がある高い浸食性および/または腐食性液体条件にさらされ、前記バルブトリム装置102の動作寿命を著しく縮める可能性がある。例えば、前記バルブプラグ118および/または前記台座リング120は、粒子(セラミック触媒微粒子など)が混入した処理液体や比較的高い粘度の液体にさらされることがあり、これにより前記表面130および/または132の摩耗または品質低下が発生する可能性がある。従って、高い浸食性の液体条件では、セラミック素材からできているバルブプラグおよび/またはバルブ台座がしばしば採用される。これは、セラミック素材は浸食性または腐食性液体条件に対し比較的高い耐性を持っており、前記バルブプラグおよび/またはバルブ台座の動作寿命が長くなるためである。例えば、図1の例を参照すると、前記バルブプラグ118および/または前記台座リング120は、セラミック素材で作成しても良い。
【0015】
しかしながら、混入された粒子および/または比較的高い粘度の液体が、前記バルブプラグ118が閉じた状態で台座リング120と閉じるように係合するにつれて、前記密封表面130および/または前記バルブプラグ118および/または前記固定リング120の前記固定表面132に付着する可能性がある。さらに、この例では、前記処理液体中に浮かんでいる粒子は、相対的に高い粘度の液体である可能性があり、前記バルブプラグ118が前記台座リング120に密封するようにかみ合うまで、前記台座リング120を通って流れる。このような前記処理液体に浮かぶ粒子は、前記密封表面130および/または前記固定表面132に、前記バルブプラグ118が前記固定リング120に密封してかみ合うに従い、付着する可能性がある。このような、一般に剛性の粒子や高い粘度の処理液体は、前記バルブプラグ118の前記密封表面130の、前記台座リング120の前記固定表面132との密封かみ合いを妨げ、きっちりと閉まらなくなり、これにより、前記液体バルブ100が前記閉位置にある時に前記経路106を通じて漏れが発生する可能性がある。したがって、このように前記台座リング120および/または前記バルブプラグ118の密封表面が粒子および/または高い粘度の液体にさらされると、前記液体バルブ100を通る液体の流れの制御が無効になる。
【0016】
さらに、剛体の粒子の汚染により、前記バルブプラグ118の前記密封表面130および/または前記台座リング120の前記台座表面132が損傷する可能性がある。場合によっては、前記粒子は、セラミック製のバルブプラグおよび/または台座リングの破損、粉砕、ひびの原因になり、前記バルブトリムの動作寿命が非常に短くなる可能性がある。
【0017】
図2Aは、例えば、比較的高い粘度の処理液体および/または粒子(セラミック触媒微粒子など)が混入した処理液体などを扱う用途などの高い浸食性または腐食性用途で採用することができる本明細書で説明する例のバルブトリム装置202に実装された例の液体バルブ200を示す図である。図2Bは、図2Aで図示した例のバルブトリム装置202の部分拡大図である。
【0018】
図2Aを参照すると、前記液体バルブ200は、流入口またはサイドポート208と流出口またはボトムポート210との間に経路206を形作るバルブ体204を含む。前記バルブトリム装置202は、前記バルブ体204の前記経路206内に配置され、前記流入口208と前記流出口210との間の液体の流れを制御する。図示されている例では、前記流入口208は、前記流出口210に相対して実質的に角度が付けられている。覆い(図示されていない)(例えば図1の覆い112と同様な)が前記バルブ体204と結合されるか(固定具を使用してなど)、また前記バルブ体204をアクチュエータ(図示されていない)に結合しても良い。前記アクチュエータは、前記バルブトリム装置202と、バルブ軸212を介して動作可能に結合しても良い。
【0019】
前記バルブトリム装置202は、流通制御部品または閉鎖部品214を含む。これは、バルブプラグ、およびバルブ台座216として示す。前記閉鎖部品214または前記バルブ台座216のどちらかは金属、カーバイド(タングステンカーバイドなど)、またはセラミック素材から成り、前記閉鎖部品214または前記バルブ台座216のもう片方は、前記閉鎖部品214とは異なる素材から成る。この例では、前記バルブ台座216は、セラミック素材(カーバイドなど)で成り、前記閉鎖部品214はステンレスから成る。このように、前記閉鎖部品214は金属でできているため、前記閉鎖部品214はセラミックまたはカーバイドからできている前記バルブ台座216に対してへこみ(変形するなど)、相対的にしっかりと閉じる。しかし、別の例では、前記閉鎖部品214は、セラミック素材でできていても良く、前記バルブ台座216は、金属素材でできていても良い。さらに別の例では、前記閉鎖部品214と前記バルブ台座216は、セラミック素材または任意のその他の適した耐浸食および/または耐腐食素材でできていても良い。
【0020】
この例に示すように、前記バルブ台座216および前記閉鎖部品214は、少なくとも1つの空洞218を、前記閉鎖部品214が前記バルブ台座216と密封するようにかみ合った時に形成または形作る。より具体的には、前記空洞218は、前記閉鎖部品214が前記バルブ台座216と密封するようかみ合うにつれ前記バルブ台座216の密封表面またはエリア220および前記閉鎖部品214に接触(付着など)した汚染物質(粒子および/または相対的に高い粘度の液体)を受けるのを期待する。前記空洞218は、前記バルブ台座216および/または前記閉鎖部品214上に形成された少なくとも1つの溝(環状溝など)により形作られる。例えば、前記バルブ台座216は、環状リブまたは突起222に近接して配置され、持ち上がった台座表面224を形成または形作る、前記溝または空洞218(環状溝または空洞など)を含む。運用時は、前記空洞または溝218は、物質または汚染物質を前記閉鎖部品214および/または前記バルブ台座216の前記密封エリア220から、前記閉鎖部品214が前記バルブ台座216に密封するようにかみ合うにつれて受ける。または、前記閉鎖部品214は少なくとも1つの溝または経路218を含み、少なくとも1つの持ち上がった台座表面224または環状リブ222を、前記バルブ台座216の代わりに形成または形作っても良い。またさらに別の例では、前記バルブ台座216および前記閉鎖部品214のそれぞれが、少なくとも1つの溝または空洞218を含み、少なくとも1つの持ち上がった台座表面224または環状リブ222を形成する。
【0021】
この例では、前記バルブトリム装置202はまた、前記液体バルブ200を通る処理液体の流れに特定の流通特性に影響を与える(ノイズ低減および/または空洞が生成されるなど)前記流入口208と前記流出口210との間に配置されたケージ226を含む。前記ケージ226はまた、前記バルブトリム装置202のその他のコンポーネントのメンテナンス、取り外し、および/または交換を容易にする可能性がある。前記ケージ226は、高強度、耐浸食および/または腐食素材(ステンレスなど)で構成され、前記ケージの表面228は、前記流入口208と流体連通し、1種類または複数種類のガス窒化、カーバイドおよび/またはその他の耐浸食または腐食素材を含んで(めっきなど)いても良い。
【0022】
説明のように、前記ケージ226は、閉鎖部品214を摺動自在に受け止め、閉鎖部品214を、第1の位置(完全な閉位置)と第2の位置(完全な開位置)との間でアクチュエータが前記閉鎖部品214を動かすにつれて、前記閉鎖部品214をガイドする、ガイドする穴230を含む。前記ケージ226はまた、流体連通特性を提供する穴232を含む。目的の流体連通特性は、穴232の形状変化によって達成される。いくつかの実装例では、前記ケージ226は、前記バルブを通じた流れを制御し、キャビテーションを減らし、および/またはノイズを低減する、さまざまな形状、サイズ、および/または間隔を有する複数の開口部を含んで良い。
【0023】
この例では、前記閉鎖部品214は、前記ケージ226の前記穴230内にぴったりとフィットするような大きさの外面または体部234を有するバルブプラグである。前記閉鎖部品214は、前記閉鎖部品214が前記ケージ226の前記穴232を塞ぐ閉鎖位置と、前記閉鎖部品214が前記穴232の少なくとも一部を開く(塞がない)開位置との間の前記ケージ226内にスライドすることができる。さらに、この例では、以降でより詳細に説明するように、前記体部234は、前記226の前記穴232を通る液体の流れを妨害または塞ぎ、前記閉鎖部品214が前記バルブ台座216の方に動き、前記閉鎖部品214が前記バルブ台座216と密封するようにかみ合う前に、前記ストロークの一部を超えて前記バルブ台座216を横切る液体の流れを防ぐまたは制限するようなサイズの不動帯エリアまたはゾーン236を提供する。つまり、前記ケージ226および前記閉鎖部品214は、流量不動帯を提供して、前記密封エリア220を浸食、腐食、損傷から保護し、および/または前記閉鎖部品214が前記バルブ台座216の方へ動くにいれて前記密封エリア220の周囲の汚染量を減らすよう構成される。
【0024】
図2Aおよび2Bに示す例では、前記バルブ台座216は、前記バルブ体204の前記流出口210に近接して固定された台座リングである。例の液体バルブ200はまた、前記バルブ体204の流出口フランジ240と下流パイプ(図示されない)との間に固定されたライナー238を含む。前記バルブ台座216は、前記ケージ226および前記ライナー238との間に固定され、締まりばめを使用して前記バルブ体204内に保持される。密封部241は、前記台座216と前記ケージ226との間に配置されていても良い。前記ライナー238は、前記流出口210の表面または側面244を、例えば、摩耗、腐食などの、処理の不都合な影響から保護する細長い体部242を含む。また他の例では、ライナー238は、実質的に単一の部品または構造として前記バルブ台座216と一体化して形成されていても良い。またさらに別の例では、前記ライナー238は前記バルブ体204に、ねじ、固定具および/またはその他の適した固定機構を使用して連結されている。
【0025】
図2Bで最も明確に図示されているように、前記バルブ台座216は、空洞または溝218a−c(環状溝など)を定義する複数の環状突起またはリブ222a−bおよび、複数の持ち上がった台座表面224a−bを含む。第1のリブ222aは、第2のリブ222bにより提供される第2の持ち上がった台座表面224bから独立した、第1の持ち上がった台座表面224aを提供する。この方法では、前記持ち上がった台座表面224a−bは、前記リブ222aまたは222bおよび/または前記持ち上がった台座表面224a−bの一つが損傷または摩耗した場合、残りの前記リブ222aまたは222bおよび/または持ち上がった台座表面224aまたは222bの一つが、前記閉鎖部品214と密封してかみ合い、しっかりと閉じるよう、冗長な密封表面を提供する。この例では、前記持ち上がった台座表面224a−bまたはリブ222a−bは、単一の構造として前記バルブ台座216と共に一体化して成形される。この例では、前記空洞または溝218a−cおよび/または前記リブ222a−bは、機械加工またはその他の任意の適した製造プロセスを使用して、前記持ち上がった台座表面224a−bを提供するよう成形できる。
【0026】
図2Bを参照すると、前記環状リブまたは突起222a−bは、角度のついたプロファイル246を含む。この例では、前記環状リブまたは突起222a−bの前記角度の付いたプロファイル246は、前記流入口208から離れ前記流出口210の方に向かい、下方傾斜を有する傾斜の付いた表面248a−bを含む。この例では、前記角度のついたプロファイル246は、前記閉鎖部品214の長方向軸252に対しておよそ60度となる角度250を与える。ただし、他の例では、前記角度のついたプロファイル246は、他の任意の適した角度になっていても良い。または、それぞれの前記傾斜のついた表面248a−bは、異なる角度になっていても良い。例えば、前記環状溝218cの表面248cは、前記表面248a−bの前記角度の付いたプロファイル246と異なる角度のついたプロファイル(より大きい角度の傾斜の付いた表面など)傾斜の付いた表面でも良い。以降でより詳細に説明するように、前記角度の付いたプロファイル246は、前記溝または空洞218a−cの方向へ汚染物質を移動または収集しやすくする。さらにまたはこれに代えて、前記角度の付いたプロファイル246は、前記液体バルブ200が閉じた位置にある時に、前記バルブ台座216の持ち上がった台座表面224a−bおよび/または前記リブ222a−bへの、アクチュエータによる前記バルブ台座216および/または閉鎖部品214への推力により発生する可能性がある損傷(ひびなど)を低減する。
【0027】
前記閉鎖部品214はまた、前記閉鎖部品214が前記バルブ台座216と密封するようにかみ合う時に前記バルブ台座216の前記持ち上がった密封表面224a−bと密封するようにかみ合う密封表面254を含む。従って、前記持ち上がった台座表面224a−bは、前記閉鎖部品214の前記密封表面254が前記バルブ台座216の前記持ち上がった密封表面224a−bと一致するようにおよび/または密封するようにかみ合いしっかりと閉めて、しっかりした遮断を提供して、、実質的に前記密封表面254の角度の付いたプロファイルまたは角度260と同様または同一の角度258(例えば30度の角度)となるような角度の付いたプロファイル256を含む。前述するように、前記閉鎖部品214は、少なくとも1つの持ち上がった台座表面または環状リブを前記バルブ台座216の代わりに形成または形作る、前記バルブ台座216の密封表面と密封するようにかみ合う少なくとも1つの溝または経路を含んでいても良い。またさらに別の例では、前記バルブ台座216および前記閉鎖部品214のそれぞれが、少なくとも1つの溝または空洞を含み、少なくとも1つの持ち上がった台座表面または環状リブを形成する。
【0028】
運用時は、アクチュエータが前記閉鎖部品214を、閉位置またはゼロパーセント(0%)のストローク長移動と閉位置または100%ストローク長移動との間でストロークまたは動くことができる。図2Aおよび2Bは、前記バルブ台座216に対し閉位置262にある(つまり前記ゼロパーセント移動のストローク長)前記閉鎖部品214を示す。図2Aおよび2Bの前記閉位置262では、前記閉鎖部品214の前記密封表面254は、前記バルブ台座216の前記持ち上がった台座表面224a−bと密封するようにかみ合い、前記流入口208と前記流出口210との間の前記経路206の液体の流れを防止または制限する。前記バルブ台座216の前記持ち上がった台座表面224a−bおよび/または前記閉鎖部品214の前記密封表面254上の粒子および/または粘度の高い液体は、導かれるか、拭き取られるか、そうでなかったら、前記密封エリア220から空洞または溝218a−cの方へ移動される。
【0029】
つまり、前記空洞または溝218a−cは、前記閉鎖部品214の前記密封表面254は、前記バルブ台座216の前記持ち上がった密封表面224a−bと密封するようにかみ合うにつれ、汚染物質を受ける。前記持ち上がった台座表面224a−bおよび/または前記密封表面254接触した汚染物質は、前記密封表面254および/または前記持ち上がった密封表面224a−bから拭き取られ、前記閉鎖部品214の前記密封表面254により、これが前記持ち上がった密封表面224a−bとかみ合うにつれ、前記溝または空洞218a−bの方へ強制移動または移動(押されるなど)する。また、前記持ち上がった台座表面224a−bの前記角度の付いたプロファイル256および/または前記密封表面254の前記角度の付いたプロファイル260が、前記空洞または溝218a−cの汚染物質の収集を容易にする。
【0030】
さらに、前記リブ222a−bの前記角度の付いたプロファイル246(前記傾斜の付いた表面248a−c)が、前記密封エリア220と接触する汚染物質(比較的高い粘度の液体、前記液体の流れを妨げる粒子など)の、前記閉鎖部品214が前記バルブ台座216に密封するようにかみ合うにつれ、前記空洞または溝218a−cからおよび/または前記空洞または溝218a−cの方への移動を容易にする。前記持ち上がった台座表面224a−bの一つが損傷または摩耗した場合、もう片方の前記持ち上がった台座表面224a−bの一つが、前記閉鎖部品214が前記バルブ台座216とかみ合う時に密封を提供する。このように、前記持ち上がった台座表面224a−bは冗長密封を提供する。
【0031】
さらに、前述のように、前記例のバルブトリム装置202は、図3に示す開放状態300(前記ストローク長の100%長)と図2Aおよび2Bに示す前記閉位置262から前記閉鎖部品214が移動するにつれ、前記密封エリア220を通るおよび/または付着する粒子または汚染物質の流れを減らすための効果的な流量不動帯を提供する。
【0032】
図3に示す前記完全な開位置300で、前記閉鎖部品214は、前記バルブ台座216から分離され、前記流入口208と前記流出口210との間の前記バルブ代204の前記経路206を通る液体の流れを最大限にする。相対的に高い粘度の液体および/または粒子混入液体は、前記バルブ台座216を通って前記経路206を通り流れる。前記バルブ台座216は、セラミック素材でできていても良く、処理液体中に浮遊する粒子が前記バルブ台座216を通って流れる際の浸食および腐食に耐える。前記流入口208と前記流出口210との間の液体の流れを制限または防止するため、前記アクチュエータが前記閉鎖部品214を前記バルブ台座216の方向へ動かす。前記閉鎖部品214は、前記閉鎖部品214の前記体部234が前記穴232の少なくとも一部を開く開位置300と、前記閉鎖部品214の前記体部234が前記ケージ226の前記穴232を塞ぐ閉位置262(図2Aおよぶ2B)との間の前記ケージ226内にスライドする。
【0033】
図4は、図3に示す前記開位置300と図2Aおよび2Bに示す前記閉位置262との間を前記閉鎖部品214が動く際の中間位置400での前記閉鎖部品214を示す。図4に示すように、前記閉鎖部品214が前記中間位置400と前記閉位置262との間を動くと、前記閉鎖部品214の前記不動帯エリアまたはゾーン236が、前記ケージ226の前記穴232を阻害または防止して、前記閉鎖部品214の前記密封表面254が前記バルブ台座216の前記持ち上がった台座表面224a−bと密封するようにかみ合う前に、前記バルブ台座216を通して液体の流れを制限また防ぐ。このように、前記閉鎖部品214の前記流量不動帯ゾーンまたはエリア236は、前記ケージ226の前記開口部に相対しておよび/または近接して動き、前記閉鎖部品214の前記全ストローク長移動への不動帯ストローク長移動を提供する。前記体部234および/また前記密封表面254の前記不動帯ゾーンまたはエリア236は、前記液体バルブ200が図2Aおよび2Bに示すように前記完全な閉位置262に来る前に、あらかじめ決められた流量不動帯を提供するよう構成しても良い。さらにまたは代わりに、前記ケージ226の前記穴232は、効果的な不動帯ストローク長移動を提供するような規模およびサイズにして良い。
【0034】
運用時は、前記不動帯ゾーンまたはエリア236は、前記閉鎖部品214が前記閉位置262で前記バルブ台座216に密封してかみ合う前に、前記液体の流れ内に浮遊している粒子を制限または阻止する。前記閉鎖部品214が前記バルブ台座216に密封されるようにかみ合う前に、前記バルブ台座216を通る前記液体の流れを制限することにより、前記閉鎖部品214が前記バルブ台座216の方向へ動くにつれて前記バルブトリム装置202の前記密封エリア220に集まるまたは付着する汚染物質または前記流れる液体内に浮遊する粒子の存在する量が著しく減少する。さらに、前記流出口210の前記液体の圧力が、前記バルブ台座216および/または前記閉鎖部品214から前記粒子を前記液体バルブ200の前記流出口210の方向へ動かすまたは押し出す。
【0035】
さらに、前記閉鎖部品214は、前記液体が不動帯を流れる間、前記液体バルブ200を通る液体を制限または禁止するため、前記流入口208での相対的に高い圧力の液体は、前記閉鎖部品214の前記密封表面254および/または前記バルブ台座216の前記持ち上がっている台座表面224a−bを通って流れない。前記密封エリア220を通る相対的に高圧の液体を減らすまたは最小化することにより、前記密封表面254および/または前記持ち上がった台座表面224a−b、およびその結果として前記バルブトリム装置202の動作寿命が著しく延びる。
【0036】
前述したバルブトリムの例は、例えば、前記閉鎖部品214および前記バルブ台座216が、適切に密封されるようにかみ合わず、これにより前記液体バルブ200が前記閉位置262にある時に前記経路206を通じて処理液体の漏れが発生する可能性がある相対的に高い粘度の液体および/または粒子を含んだ液体(セラミック触媒粒子など)の高い浸食性の液体で有利である。この例では、前記バルブ閉鎖部品214と前記バルブ台座216は、互いにかみ合って空洞を形作り、前記バルブ閉鎖部品214が、前記バルブ台座216との密封かみ合い方向に動くにつれ、前記バルブ台座216またはバルブ閉鎖部品214の密封表面からの汚染物質を前記空洞に移動させる。前記バルブトリム装置は、粒子、汚染物質および/または高粘度の液体を、前記閉鎖部品214が前記バルブ台座216と密封されるようかみ合う時に前記密封エリア220から拭き取るよう構成される。さらに、効果的な流量不動帯が、汚染物質(相対的に高い粘度の液体または液体中に浮遊する粒子など)が、前記閉鎖部品214が前記バルブ台座216の方向に移動するにつれ、前記バルブ台座216の前記密封エリア220および/または前記閉鎖部品214に付着しないようにする。
【0037】
前記バルブ体204の前記角度の為に、角度式のバルブは、簡単に有利に排水することができる。前記バルブ体またはこのようなバルブの流れの経路は、液体および/または残留物の累積が可能なポケットまたはエリアを持たないためである。従って、角度式制御バルブは、一般に、残留オイルまたはその他のコークス化特性を持つ液体の制御を必要とすることが多い化学および石油業界で使用される。しかし、本明細書で説明する前記の例のバルブトリム装置は、角度式液体バルブとの使用に制限されない。他の例では、例えばグローブバルブ、ロータリーバルブ、リニアバルブなどの液体バルブを採用できる。
【0038】
特定の装置を本明細書で説明してきたが、この特許の対象範囲はそれに制限されない。反対に、本発明は、逐語的あるいは均等論の元で本添付の請求項の範囲内に収まるすべての装置を対象とする。
図1
図2A
図2B
図3
図4