特許第5684927号(P5684927)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5684927
(24)【登録日】2015年1月23日
(45)【発行日】2015年3月18日
(54)【発明の名称】安全性が向上した円筒形二次電池
(51)【国際特許分類】
   H01M 10/0587 20100101AFI20150226BHJP
   H01M 10/052 20100101ALI20150226BHJP
   H01M 2/02 20060101ALI20150226BHJP
   H01M 2/34 20060101ALI20150226BHJP
   H01M 10/0566 20100101ALI20150226BHJP
   H01M 10/04 20060101ALI20150226BHJP
【FI】
   H01M10/0587
   H01M10/052
   H01M2/02 F
   H01M2/34 B
   H01M10/0566
   H01M10/04 W
【請求項の数】9
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2013-555374(P2013-555374)
(86)(22)【出願日】2012年2月29日
(65)【公表番号】特表2014-511160(P2014-511160A)
(43)【公表日】2014年5月12日
(86)【国際出願番号】KR2012001516
(87)【国際公開番号】WO2012134065
(87)【国際公開日】20121004
【審査請求日】2013年8月26日
(31)【優先権主張番号】10-2011-0029372
(32)【優先日】2011年3月31日
(33)【優先権主張国】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】504111015
【氏名又は名称】エルジー ケム. エルティーディ.
(74)【代理人】
【識別番号】100083138
【弁理士】
【氏名又は名称】相田 伸二
(74)【代理人】
【識別番号】100189625
【弁理士】
【氏名又は名称】鄭 元基
(72)【発明者】
【氏名】キム ヨンウク
(72)【発明者】
【氏名】キム ドンミョン
(72)【発明者】
【氏名】イ ドンソブ
(72)【発明者】
【氏名】キム デソン
【審査官】 竹口 泰裕
(56)【参考文献】
【文献】 特開平06−150971(JP,A)
【文献】 欧州特許出願公開第02273601(EP,A1)
【文献】 特開2001−273933(JP,A)
【文献】 特開2006−196276(JP,A)
【文献】 特開2011−243553(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M10/00−10/39
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電池容器に設けられた、正極/セパレータ/負極構造からなるジェリーロール型電極アセンブリ(「ジェリーロール」)を有する二次電池であって、該ジェリーロールの捲回端部を含む、該ジェリーロールの外側にシールテープを貼り付け、該シールテープと電解液が反応した結果、該シールテープがゲル化することを特徴とし、
更に、前記シールテープは、セルロースアセテートでできていることを特徴とする、二次電池。
【請求項2】
前記電池容器は、円筒形容器であることを特徴とする、請求項1記載の二次電池。
【請求項3】
前記シールテープのサイズは、前記ジェリーロールの外周長の50―90%と等しいことを特徴とする、請求項1記載の二次電池。
【請求項4】
前記シールテープは、テープ形状を有するフィルム基材と、前記ジェリーロールと接触する該フィルム基材の上に貼り付ける接着層から構成され、該フィルム基材はゲル化することを特徴とする、請求項1記載の二次電池。
【請求項5】
前記シールテープは、厚さ10−30μmのフィルム基材と、厚さ2−10μmの接着層からなることを特徴とする、請求項4記載の二次電池。
【請求項6】
前記接着層はアクリル接着剤又は、スチレン・ブタジエンゴム(SBR)接着剤であることを特徴とする、請求項5記載の二次電池。
【請求項7】
前記シールテープに電解液が含浸されている時、前記フィルム基材の物性は、接着性を示す形状に変化することを特徴とする、請求項4記載の二次電池。
【請求項8】
前記電池容器内における前記ジェリーロールの動きは、前記フィルム基材のゲル化による接着性によって妨げられることを特徴とする、請求項7記載の二次電池。
【請求項9】
前記電池は、円筒形のリチウム二次電池であることを特徴とする、請求項1記載の二次電池。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、安全性が向上した円筒形二次電池に関するものであり、より詳しくは、電池容器に設けられた、ジェリーロール型電極アセンブリ(「ジェリーロール」)を有する二次電池に関する。該二次電池においては、該ジェリーロールの捲回端部を含む、該ジェリーロールの外側にシールテープを貼り付け、該シールテープと電解液が反応する結果、該シールテープがゲル化する。
【背景技術】
【0002】
モバイル機器は、ますます開発され、該モバイル機器に対する要求が増すにつれて、該モバイル機器のエネルギ源としての二次電池に対する要求が、明確に増してきている。このような二次電池の中には、高エネルギ密度及び高放電電圧を有するリチウム二次電池があり、該リチウム二次電池に関し、多くの研究が実行され、かつ、現在商業的に、広範囲にわたり使用されている。
【0003】
電池ケースの形状により、二次電池は、円筒形の金属容器に設けられた電極アセンブリを有する円筒形電池、角型金属容器に設けられた電極アセンブリを有する角型電池、アルミニウム積層シートで形成されたパウチ型容器に設けられた電極アセンブリを有するパウチ型電池に分類することが出来る。
【0004】
また、電池容器に設けられた電極アセンブリは、正極/セパレータ/負極の積層構造を有する、発電要素であり、これにより充電及び放電が可能である。この電極アセンブリは、活物質が塗布された長いシート型の正極及び長いシート型の負極が、該正極と負極の間にセパレータを配置した状態で、捲回された構造を有するように形成されたジェリーロール型電極アセンブリ、所定の大きさを有する複数の正極と、所定の大きさを有する複数の負極が、該正極と負極の間にそれぞれセパレータを配置した状態で、順次積層された構造を有するように形成された積層型電極アセンブリ、所定数の正極及び所定数の負極が、該正極と負極間にそれぞれセパレータを配置した状態で順次積層された、バイセル又はフルセル等のユニットセルが分離フィルムを用いて捲回された構造を有するように形成された積層型/折れ曲がり型電極アセンブリに分類することが出来る。ジェリーロール型電極アセンブリは、製造が簡単で、単位質量当たりのエネルギ密度が高い点で、利点がある。
【0005】
一般的に、円筒形電池は、ジェリーロール型電極アセンブリを円筒形の金属ケースに設けて製造される。
【0006】
このジェリーロール型電極アセンブリ(以下、単に「ジェリーロール」と言う)を用いて、電池を製造するには、正極/セパレータ/負極の積層体を丸く捲回させ、該積層体の最外端部をポリプロピレン(PP)でできたシールテープを使って固定させて、該ジェリーロールの形状を保持させ、前記積層体を、例えば、金属容器等の、電池ケースに設け、該電池ケースに電解液を注入し、電極端子(例えば、正極端子)を有する上部キャップ部を前記電池容器の開口上端部に連結させる。このようにして、電池を製造する。
【0007】
しかしながら、上記構造を有する二次電池が壊れたり、該二次電池に外部から衝撃を加えられたとき、ジェリーロールは上下に移動し、このため、該ジェリーロールの上部又は下部が圧迫され、その結果、該ジェリーロールのシートが変形し、短絡が起きてしまう可能性がある。
【0008】
また、二次電池が充電、放電を繰り返すにつれて、前記ジェリーロールは、膨張、収縮を繰り返す。この時、この膨張、収縮によって、前記ジェリーロールの外側領域は大きく影響を受けてしまう。その結果、電極が壊れる危険性がある。
【0009】
その結果、上記問題点を基本的に解決する技術に対する必要性が非常に高まる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
このため、本発明は上記問題点と、解決しなければならない技術的問題点を解決するためになされた。
【0011】
特に、本発明の目的は、シールテープが電解液と反応した結果、該シールテープがゲル化して、電池容器に対する摩擦力を増加させ、これにより、ジェリーロールの動きを妨げることが出来る、安全性が向上したリチウム二次電池を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明の第1の観点によると、電池容器に設けられた、正極/セパレータ/負極構造からなるジェリーロール型電極アセンブリ(「ジェリーロール」)を有する二次電池であり、該ジェリーロールの捲回端部を含む、該ジェリーロールの外側にシールテープを貼り付け、該シールテープと電解液が反応した結果、該シールテープがゲル化することを特徴とする、二次電池を設けることにより、上記目的、その他目的を達成することが出来る。
【0013】
前述したように、正極/セパレータ/負極の積層体を丸く捲回させ、該積層体の最外端部をシールテープによって固定させて、正極とセパレータと負極を捲回状態を維持するような構造を有するように、ジェリーロールを製造する。本発明によると、ジェリーロールの外側領域に貼り付けたシールテープが電解液と反応した結果、該シールテープがゲル化する。この結果、電池セルの放電、充電中の膨張、収縮によりジェリーロールの外側領域に配置された電極に加わる力を減じることが出来、これにより、該ジェリーロールの外側領域で電極が破損するのを効果的に防ぐことが出来る。また、シールテープがゲル化する結果、摩擦力が増し、これにより、ジェリーロールの上下運動を抑制し、電池に対する外的衝撃(落下及び振動)からセルを保護することができる。
【0014】
電池容器は、例えば、円筒形容器である。正極シートと負極シートを、該正極シートと負極シートの間にセパレータを配置させた状態で捲回し、シールテープを貼ったジェリーロールを円筒形容器に挿入し、該円筒形容器に電解液を注入し、該円筒形容器をシールすることにより、円筒形二次電池を製造することが出来る。
【0015】
場合により、丸く捲回したジェリーロールにシールテープを貼り付け、該ジェリーロールを平らに圧縮することが出来、また、該ジェリーロールを、角型容器に挿入させて角型二次電池を製造することも出来る。
【0016】
前記ジェリーロールの外周にシールテープを貼り付けて、該ジェリーロールの捲回端部を含む、該ジェリーロールの外周を被覆する。好ましくは、シールテープが電池内で占有する空間を最小にするように、該シールテープの長さを設定する。シールテープが短すぎると、電池容器の内部に対する、ゲル化したシールテープの吸収力及び摩擦力が大きくない。このため、所望の効果が期待できない可能性がある。一方、シールテープが長すぎると、シールテープの電池容器内の占有空間が極端に広くなり、この結果、標準的な同一の電池容器を有する別の電池と比較して、容量が小さくなってしまう。このため、前記シールテープのサイズは、前記ジェリーロールの外周長の50―90%と等しく、好ましくは、60−80%に等しくすることが出来る。
【0017】
好ましい例では、前記シールテープは、テープ形状を有するフィルム基材と、前記ジェリーロールと接触する該フィルム基材の側面に貼り付ける接着層から構成され、該フィルム基材はゲル化し得る。
【0018】
具体的な例では、前記フィルム基材の厚さは20−50μmであり、前記接着層の厚さは2−10μmである。この際、シールテープが薄すぎると、電池は、シールテープのゲル化による効果を発揮しずらくなることがある。他方、シールテープが厚すぎると、これに比例して、ジェリーロールの厚みが増し、その結果、該ジェリーロールを電池容器に挿入する際、工程効率が低下してしまう。この結果、ジェリーロールが大きく損傷を受け、或いは、該電池は、同一のサイズの別の電池と比較して容量が小さくなってしまう。
【0019】
また、接着層の材料は、電池と化学的に反応しない限り、該接着層の材料は特に制限されない。例えば、前記接着層はアクリル接着剤又は、スチレン・ブタジエンゴム(SBR)接着剤にすることが出来る。
【0020】
上記構造においては、シールテープに電解液が含浸されている時、フィルム基材の物性は、接着性を示す形状に変化する。即ち、シールテープが電解液と反応する際、該シールテープのフィルム基材が接着層と混ざり、この結果、シールテープ全部が、接着性を示すゲル状態に変化する。
【0021】
また、前述したように、フィルム基材がゲル化することにより、ジェリーロールの電池容器内での動きが、該フィルム基材の接着性により更に妨げられる。ジェリーロールと電池容器内部の間の空間には、接着性を示すゲルで充填され、これにより、該ジェリーロールの電池容器内での自由な動き回りが妨げられる。また、ゲルは、外部からの衝撃に対して、衝撃吸収部材として機能する。これにより、前記ジェリーロールを保護することが可能である。
【0022】
一方、前記シールテープのフィルム基材が電解液と反応し、その結果、該フィルム基材がゲル化する限り、シールテープの材料は、特に制限を受けない。例えば、該シールテープは、セルロースアセテートであってもよい。
【0023】
好ましくは、前記電池は、高価格効率及び高電気容量を有する円筒形のリチウム二次電池である。
【発明の効果】
【0024】
上記記述から明らかなように、本発明による二次電池においては、シールテープが電解液と反応した結果、ゲル化し、ジェリーロールと電池容器内部の間の空間には、接着性を示すゲルで充填され、これにより、該ジェリーロールの電池容器内での自由な動き回りを妨げることが出来る。また、ゲルは、外部からの衝撃に対して、衝撃吸収部材として機能する。これにより、前記ジェリーロールを、電極破壊、落下及び振動から保護することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0025】
本発明の上記したもの、その他目的、特徴、その他利点は、添付図面に関連して解される次の詳細な説明から、より明瞭に理解することが出来る。
図1図1は、本発明の一実施例による二次電池を示す垂直断面図である。
【0026】
図2図2は、シールテープのゲル化を示す写真である。
【0027】
図3図3は、図1の円筒形電池に設けられたジェリーロールを示す斜視図である。
【0028】
図4図4は、図1のA−A線による水平断面図である。
【0029】
図5図5は、図1に示すシールテープの側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
ここで、本発明の例示実施例を、添付図面を参照しながら詳細に説明する。しかしながら、本発明の範囲は、例示実施例に限定されるわけではない。
【0031】
図1は、本発明の一実施例による二次電池を示す垂直断面図であり、図2は、シールテープのゲル化を示す写真である。
【0032】
これら図面を参照すると、円筒形電池100は、電池容器120内に設けられた、正極/セパレータ/負極構造からなるジェリーロール110を有する二次電池である。ジェリーロール110の外周にはシールテープ130が貼り付けられ、シールテープに電解液が含浸されている状態で、ジェリーロール110の外周が被覆される。図2に示すように、シールテープ130が電解液と反応する結果、該シールテープ130がゲル化する。
【0033】
図3は、図1の円筒形電池に設けられたジェリーロールを示す斜視図であり、図4は、図1のA−A線による水平断面図であり、図5は、図1のシールテープを模式的に示す側面図である。
【0034】
図2と一緒にこれら図面を参照すると、シールテープ130を、ジェリーロール110の捲回端部112を含くめた形で、該ジェリーロール110の外側に貼り付ける。シールテープ130のサイズは、ジェリーロール110の外周長の約70%と等しい。
【0035】
シールテープ130は、テープ形状を有する厚さ20μmのフィルム基材134と、前記ジェリーロール110と接触するフィルム基材134の上に塗布する、厚さ5μmの接着層132を有している。
【0036】
また、前記シールテープ130は、セルロースアセテートでできており、接着層132はアクリル接着剤でできている。
【0037】
一般的に、シールテープ130のフィルム基材134がゲル化する。特に、シールテープに電解液が含浸されている時、フィルム基材134の物性は、接着性を示す形状に変化する。その結果、電池容器120内におけるジェリーロール110の動きは、フィルム基材134のゲル化による接着性によって妨げられる。
【0038】
その結果として、シールテープ130は、ジェリーロール110の捲回状態を維持することが出来、これと同時に、該ジェリーロールを、横方向から電池に働く衝撃から守ることが出来る。
【0039】
本発明の例示実施例を、図面を参照して説明したが、請求の範囲に開示した本発明の範囲から逸脱することなく、各種変更、追加、置換をなすことが出来るのは、本技術の当業者にとって明らかである。
図1
図2
図3
図4
図5