(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記p型不純物拡散領域の濃度よりも低濃度に不純物が拡散された領域が前記一の側壁に対して反対側に位置する側壁に沿ってp型不純物を斜め注入することにより形成されることを特徴とする請求項1に記載の不揮発性半導体記憶装置。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
≪第1の実施形態≫
図面を参照してこの発明の実施形態について説明する。まず、
図4〜
図13を参照してこの発明の第1の実施形態について説明する。
【0017】
図4は、この発明の第1の実施形態であるメモリセルアレイの構造を示す断面斜視図である。このメモリセルアレイは、pチャネルMONOS構造で構成されている。すなわち、各メモリセルのチャネル領域の上方にゲート電極(M)と、絶縁膜である酸化膜(O)で挟まれた窒化膜(N)の構造のONO膜が形成されている。
【0018】
半導体基板の表面付近には、全面にn型ウェル11が形成されている。このn型ウェル11の表面付近に所定の間隔を開けて、Y方向に複数のp型拡散領域12がストライプ状に形成されている。このp型拡散領域12がこのメモリセルアレイにおいてビット線となり、且つ、各メモリセルにおいては、ソースまたはドレインとして機能する。このp型拡散領域12の一方(X側)の側面にhalo領域14が形成されている。halo領域14は、書込動作時に、ドレインとして機能しているp型拡散領域12近傍における電界を急峻にしてホットエレクトロンの発生を喚起するための領域であり、n型ウェル11よりも濃度の高いn型にされている。
【0019】
なお、p型拡散領域12の他方(−X側)の側面は、他方のメモリセルトランジスタのチャネル領域からオフセットしており、p型拡散領域12近傍で発生したホットエレクトロンが電荷蓄積層に到達しにくい構造になっている。
【0020】
半導体基板(n型ウェル11)上には、ONO膜30および絶縁酸化膜層20が交互にY方向のストライプ状に形成されている。絶縁酸化膜層20は、p型拡散領域12、および、このp型拡散領域のhalo領域14と反対側(−X側)の側面領域上に形成されている。また、ONO膜30は、隣接するp型拡散領域12の間のチャネル領域上に形成されている。
【0021】
絶縁酸化膜層20の上層には、X方向に複数のポリシリコン層18がストライプ状に形成されている。このポリシリコン層18がこのメモリセルアレイにおいてワード線となる。また、このポリシリコン層18の下にONO膜30と絶縁酸化膜層20との高低差を埋める高さのポリシリコン層19が形成されている。このポリシリコン層19は、各メモリセルのゲート電極として機能する。
【0022】
ONO膜30は、酸化シリコンからなるトンネル酸化膜15、窒化シリコンからなり注入された電荷(電子)を蓄積する電荷蓄積層16、および、酸化シリコンからなる絶縁膜17からなっている。これら3層の膜厚はそれぞれ1.5〜8nm程度である。
【0023】
このメモリセルアレイでは、各メモリセルがトレンチによって分離されていないが、上方をポリシリコン層19(ゲート電極)に覆われ、2本のp型拡散領域12に挟まれた領域が各メモリセルトランジスタのチャネル領域になる。なお、このメモリセルアレイでは、一般のフラッシュメモリと同様に、1トランジスタで1つのメモリセルを構成している。
【0024】
なお、電荷蓄積層16として用いられている窒化膜は、電気伝導性が低いためトラップされた電荷が膜内で移動せず、トラップされた位置に留まる。このため、電荷蓄積層16がY方向に配列されているメモリセルに共通に形成されていても、あるメモリセルトランジスタの書き込み動作によってトラップされた電荷はそのメモリセルトランジスタの領域に留まり、他のメモリセル領域には移動しない。
【0025】
ここで、以上の構造のPチャネルMONOSメモリセルの動作について説明する。
【0026】
図5は、この実施形態のメモリセルアレイの回路図である。このうち選択セル51に対して書き込み・消去・読出をする場合の動作条件を
図6に示す。
【0027】
このメモリセルでは、B4−HE注入による書き込み時に、ソースとして機能するビット線sBLRの電圧Vsをn型ウェルに印加されるウェル電圧Vsubよりも低くしてドレイン電圧Vdに近づけ、ドレイン−ソース間の電位差を小さくしたことにより、且つ、n型ウェルに適切なバックゲート電圧を印加したことによるバックゲート効果によって、等価的にしきい値電圧Vth(絶対値)を高くしたことにより、ソース−ドレイン間がパンチスルーしにくくしている。また、n型ウェルに適切なバックゲート電圧を印加することにより、書き込みおよび読み出し時に最も高速な動作が要求されるビットラインをGND−VCCで動作させることができるようにしている。
【0028】
まず書き込み動作について説明する。メモリセルへの書き込みは、電荷蓄積層16へ電子を注入することによって行う。電荷蓄積層16への電荷の注入は、バックゲート電圧を利用して相対的に高い正電圧が印加されたゲート電極19(sWL)と接地電圧のp型拡散領域12(sBLL:以下ドレインと呼ぶ)の高い電位差によって生じる空乏層の高電界を利用したバンド間トンネリングによるホットエレクトロン注入(B4−HE(back bias assisted band-to-band tunneling induced hot electron)注入)で行う。ドレインを接地電圧で動作させるため、n型ウェル11に正のバックゲート電圧4Vを印加する。これによりドレインが相対的に負電位となる。
【0029】
具体的には、
図6、
図7に示すように、n型ウェル11にバックゲート電圧として+4Vを印加し、ドレインを接地電圧(0V)とする。そして、ゲート電極19にゲート電圧として12Vを印加する。このとき選択セル51のもう一方のp型拡散領域12(sBLR:以下ソースと呼ぶ)には、VCC(=1.8V)を印加するかまたは開放(float)にしておく。
【0030】
また、選択セル51に関与しない非選択のワード線uWLには0Vまたは1.8Vを印加し、非選択のビット線uBLには、1.8Vを印加するかまたは開放にしておく。
【0031】
図7は、書き込み時の選択セル51付近の電位配置を示す図である。書き込み時に
図6に示した条件の電圧を印加することにより、ドレインとして機能する選択セルのp型拡散領域12(sBLL)内で発生したBTBTによる電子が、p型拡散領域12とn型ウェル11との接合面に形成されているhalo層14の強電界によって加速され高エネルギを持ったホットエレクトロンとなる。その一部がゲート電極19(sWL)に印加された正電圧に吸引されて、トンネル絶縁膜15を乗り越えて電荷蓄積層16に注入される。
【0032】
一方、上記選択セルとp型拡散領域12(sBLL)を共有する非選択セルでは、p型拡散領域12(sBLL)とONO膜との間に、halo層が形成されておらず、且つ、絶縁酸化膜層20によるオフセット領域31が設けられているため、p型拡散領域12(sBLL)内で発生したBTBTがホットエレクトロンになりにくく、且つ、ホットエレクトロンが発生しても電荷蓄積層16に殆ど注入されない。
【0033】
この電荷の注入は、ソース13・ドレイン14間がオフしている状態で行われるため、10
-2程度の注入効率を確保することができ、従来のチャネルホットエレクトロン注入方式に比べて×10
3 程度の高効率を得ることができる。
【0034】
次に、
図6の第4欄を参照して、読み出し動作について説明する。第4欄の動作条件は、いわゆるリバースリード時の動作条件である。リバースリードとは、選択セル51を挟む2本のビット線の機能(ドレイン、ソース)を書き込み時と反転させて読み出しを行う動作形態である。読み出し時には、n型ウェル11にバックゲート電圧として1.8V(=VCC)を印加し、選択セル51の一方のビット線sBLLにVCC(=1.8V)を印加する。この状態で選択セル51の読み出し対象のビット線sBLRを0V(GND)にしたのち、選択セルのワード線sWLに読み出し電圧Vgr=−2Vを印加する。これにより、この電位配置で選択セル51に書き込みが行われていれば、すなわちプログラム状態であれば、読み出し対象のビット線sBLRはVCCに上昇し、非プログラム状態であればGNDのままである。このビット線sBLRの電圧の変化を検出回路で検出することにより、読み出しが行われる。
【0035】
なお、
図6の第5欄に示すように、選択セル51を挟む2本のビット線の機能を書き込み時と同じにして読み出し動作を行うようにしてもよい。
【0036】
次に消去動作について説明する。消去の方法は、
図6第2欄に示すFN(Fowler−Nordheim)トンネルによる引き抜きと、同図第3欄に示す基板ホットホール注入による消去方法とがある。
【0037】
まず、
図6第2欄を参照してFNトンネルによる引き抜きについて説明する。消去は、n型ウェル11を共有するブロック単位で行われる。n型ウェル11に8Vの正の高電圧を印加し、全てのワード線に−8Vの負の高電圧を印加する。これにより、ワード線(ゲート電極)とn型ウェル11との間に大きな電位差が生じ、電荷蓄積層16にトラップされている電子がFNトンネル効果によってトンネル絶縁膜15を通過してn型ウェル11に飛び移ることにより引き抜かれる。なお、ビット線は、n型ウェル11と同じ高電圧を印加してもよく、開放(float)状態にしておいてもよい。
【0038】
次に、
図6第3欄を参照して、基板ホットホール注入による消去方法を説明する。n型ウェル11に−1V、ワード線18に−8Vを印加し、全てのビット線12に−3Vを印加する。このように電圧を印加することにより、p型基板10、n型ウェル11およびビット線12がpnpバイポーラトランジスタとして機能し、p型の半導体基板からビット線12に向けてホールが放出される。一方、ワード線18には負の高電圧が印加されているため、ホールの一部はゲート電極方向に引き寄せられトンネル絶縁膜15を通過して電荷蓄積層16に突入する。このホールの正電荷により電子の負電荷がキャンセルされ、その結果電荷蓄積層16の電荷はイレーズされる。
【0039】
ここで、
図8〜
図14を参照して、上記メモリセルアレイの製造プロセスの概要を説明する。
図8〜
図14では、このプロセスを工程1〜工程7の工程に分けて説明している。
【0040】
図8に示す工程1では、シリコン基板10の全面にリンPをイオン注入し、n型ウェル11を形成する。
図9に示す工程2では、ONO膜30(トンネル酸化膜15、窒化シリコン膜(電荷蓄積層)16、絶縁酸化膜17)およびポリシリコン膜19を形成する。酸化膜15、17はCVD法または熱酸化法で形成され、窒化膜16は、CVD法で形成される。また、ポリシリコン膜19は、CVD法で形成する。ここで、工程1、工程2および以下の工程における全面とは、メモリセルアレイのブロック領域全体の意であり、これらの工程においても、メモリセルアレイのブロック単位で開口するフォトレジストが使用される。
【0041】
図10に示す工程3では、Y方向のストライプ状のフォトレジスト201を形成し、ONO膜30およびポリシリコン膜19をY方向にパターニングする。このときフォトレジスト203によって残されたONO膜30およびポリシリコン膜19の領域がメモリセルトランジスタのチャネル領域となり、ONO膜およびポリシリコン膜が除去された領域にビット線となるp型拡散領域12が形成される。
【0042】
図11に示す工程4では、フォトレジスト201を除去し、工程3でパターニングしたポリシリコン層19を利用してp型不純物(BまたはBF2)を斜め注入し、p型拡散領域12を形成する。このp型拡散領域12がメモリセルアレイにおいてビット線となる。このp型拡散領域12の形成においては、ポリシリコン層19によるシャドーイング効果を用いて所望の領域にp型拡散領域12が形成されるように斜め注入の注入角度を設定する。なお、ポリシリコン層19はフォトレジストよりもエッジが先鋭であるため、フォトレジストを用いた斜め注入よりも高精度に行われる。
【0043】
次に、同じ方向のさらに深い角度の斜め注入により、n型不純物(P,As等)を注入しp型拡散領域12一方(X側)の側面にn型のhalo領域14を形成する。このhalo領域の形成も斜め注入の角度を最適に設定して行なわれる。
【0044】
図12に示す工程5では、工程3でONO膜、ポリシリコン膜を除去した空間を埋める絶縁酸化膜層20を形成する。この絶縁酸化膜層20は、CVD法等で堆積されたのち、CMP法で平滑化されて形成される。
【0045】
図13に示す工程6では、全面にポリシリコン層102を形成する。このポリシリコン層102は、パターニングによりワード線18となるものである。
【0046】
図14に示す工程7では、X方向の帯状領域をY方向にストライプ状に配列したパターン(ゲートパターン)のフォトレジスト202を形成し、ポリシリコン層102およびその下層のポリシリコン層19をエッチング除去してゲート電極(ワード線)18およびメモリトランジスタセルごとに分離されたゲート電極19を形成する。
【0047】
こののちフォトレジスト202を除去すれば、
図4に示したメモリセルアレイとなる。こののち、周辺回路、上層配線等を形成して不揮発性半導体記憶装置が完成する。
【0048】
なお、絶縁酸化膜層20により、ビット線12に対して−X方向に隣接する電荷蓄積層16がオフセットしていることで、非選択セルに対する書き込みを防止している。このため、LDD領域を省略した構成でも非選択セルの書き込みを防止することが可能である。
【0049】
≪第2の実施形態≫
図15〜
図24を参照して、この発明の第2の実施形態であるメモリセルアレイについて説明する。
【0050】
図15は、この発明の第2の実施形態であるメモリセルアレイの構造を示す断面斜視図である。このメモリセルアレイは、pチャネルMONOS構造であり、且つ、チャネル領域とソース領域、ドレイン領域との間に高低差を設けた3D構造のメモリセルアレイである。この実施形態の説明において、上に述べた第1の実施形態と同一構成の部分は同一番号を付して説明を省略する。
【0051】
また、この実施形態のメモリセルアレイは、構造上は第1の実施形態と異なる3D構造であるが、等価回路および動作原理は第1の実施形態のメモリセルアレイと同様であるため、説明を省略する。
【0052】
ここで、
図16〜
図24を参照して、上記メモリセルアレイの製造プロセスの概要を説明する。
図16〜
図24では、このプロセスを工程1〜工程9の工程に分けて説明している。
【0053】
図16に示す工程1では、シリコン基板10の全面にリンPをイオン注入し、n型ウェル11を形成する。
図17に示す工程2では、n型ウェル11全面の表面領域にp型不純物(BまたはBF2)を注入し、p型拡散領域12を形成する。さらに、
図18に示す工程3では、斜め注入のマスクとして用いる酸化膜層25を形成する。ここで、工程1〜3および以下の工程における全面とは、メモリセルアレイのブロック領域全体の意であり、これらの工程においても、メモリセルアレイのブロック単位で開口するフォトレジストが使用される。
【0054】
図19に示す工程4では、Y方向のストライプ状のフォトレジスト210を形成し、酸化膜層25をエッチング除去するとともに、シリコン基板の表面領域をp型拡散層12よりも深く(n型ウェル11の途中まで)、トレンチ状にエッチング除去して、Y方向にパターニングし、3Dチャネルを形成する。このときフォトレジスト210によって残されたp型拡散層が、ワード線およびメモリセルトランジスタのドレイン,ゲートとなる。また、エッチングによって掘り込まれたn型ウェル11の表面領域がメモリセルトランジスタのチャネル領域となる。
【0055】
図20に示す工程5では、フォトレジスト210を除去し、工程4でパターニングした酸化膜層25を利用してp型不純物(BまたはBF2)を斜め注入し、p−拡散領域13を形成する。このp−型拡散領域13は、先に形成したp型拡散領域12よりも低濃度にp型不純物が拡散された領域であり、メモリセルトランジスタにおいてLDD領域として機能する。
【0056】
図21に示す工程6では、工程4でパターニングした酸化膜層25を利用してn型不純物(PまたはAs)を、工程5とは逆の方向に斜め注入し、n型拡散領域14を形成する。このn型拡散領域14は、n型ウェル11よりも高低濃度にn型不純物が拡散された領域であり、メモリセルトランジスタにおいてhalo領域として機能する。
【0057】
図22に示す工程7では、斜め注入のマスクとして用いた酸化膜層25を除去し、凹凸を有する基板の表面領域全面にONO膜30(トンネル酸化膜15、窒化シリコン膜(電荷蓄積層)16、絶縁酸化膜17)を形成する。酸化膜15、17は熱酸化法で形成され、窒化膜16は、CVD法で形成される。
【0058】
図23に示す工程8では、全面にポリシリコン層110を形成する。このポリシリコン層110は、パターニングによりワード線18およびゲート電極19となるものである。
【0059】
図24に示す工程9では、X方向の帯状領域をY方向にストライプ状に配列したパターン(ゲートパターン)のフォトレジスト211を形成し、ポリシリコン層110をエッチング除去してゲート電極(ワード線)18およびゲート電極19を形成する。
【0060】
こののちフォトレジスト211を除去すれば、
図15に示したメモリセルアレイとなる。こののち、周辺回路、上層配線等を形成して不揮発性半導体記憶装置が完成する。
【0061】
この構造のメモリセルアレイでは、チャネル領域が掘り込まれたn型ウェル11を迂回する形状になっているため、隣接するp型拡散領域12の間隔すなわちドレイン・ソースの間隔を短くしても実効チャネル長を長くすることができ、メモリセルアレイの小型化に寄与することができる。
【0062】
なお、この構成でLDD領域13を省略することも可能である。
【0063】
≪第3の実施形態≫
図25〜
図34を参照して、この発明の第3の実施形態であるメモリセルアレイについて説明する。
【0064】
図25は、この発明の第3の実施形態であるメモリセルアレイの構造を示す断面斜視図である。このメモリセルアレイは、第2の実施形態と同様の3D構造のpチャネルMONOSメモリセルアレイである。この実施形態の説明において、上に述べた第2の実施形態と同一構成の部分は同一番号を付して説明を省略する。
【0065】
この実施形態のメモリセルアレイが第2の実施形態のメモリセルアレイと異なる点は、ビット線,ソース,ドレインの機能を果たすp型拡散領域が、第2の実施形態では、全面形成ののちパターニングされて形成されるのに対して、この実施形態では、マスク用酸化膜層26をY方向にパターニングしたのち斜め注入によって形成される点である。
【0066】
なお、この実施形態のメモリセルアレイは、構造上は第1の実施形態と異なる3D構造であるが、等価回路および動作原理は第1の実施形態のメモリセルアレイと同様であるため、説明を省略する。
【0067】
ここで、
図26〜
図34を参照して、上記メモリセルアレイの製造プロセスの概要を説明する。
図26〜
図34では、このプロセスを工程1〜工程9の工程に分けて説明している。
【0068】
図26に示す工程1では、シリコン基板10の全面にリンPをイオン注入し、n型ウェル11を形成する。
図27に示す工程2では、斜め注入のマスクとして用いる酸化膜層26を形成する。ここで、工程1、2および以下の工程における全面とは、メモリセルアレイのブロック領域全体の意であり、これらの工程においても、メモリセルアレイのブロック単位で開口するフォトレジストが使用される。
【0069】
図28に示す工程3では、Y方向のストライプ状のフォトレジスト211を形成し、酸化膜層26をエッチング除去するとともに、シリコン基板の表面のn型ウェル11を途中までトレンチ状にエッチング除去してY方向にパターニングし、3Dチャネルを形成する。このとき、エッチングによって掘り込まれたn型ウェル11の表面領域にp型拡散層12およびチャネル領域が形成される。
【0070】
図29に示す工程4では、フォトレジスト211を除去し、工程3でパターニングした酸化膜層26を利用してp型不純物(BまたはBF2)を斜め注入し、p−拡散領域13を形成する。このp−型拡散領域13は、後の工程で形成するp型拡散領域12よりも低濃度にp型不純物が拡散された領域であり、メモリセルトランジスタにおいてLDD領域として機能する。
【0071】
図30に示す工程5では、工程4でパターニングした酸化膜層26を利用してp型不純物(BまたはBF2)を、工程4とは逆の方向に斜め注入し、p型拡散領域12を形成する。このp型拡散領域12は、ワード線およびメモリセルトランジスタのドレイン,ゲートとして機能する。
【0072】
図31に示す工程6では、工程4でパターニングした酸化膜層26を利用してn型不純物(PまたはAs)を、工程5と同じ方向で深い角度に斜め注入することにより、パターニングによって形成されたn型ウェル11の溝のエッジ付近にn型拡散領域14を形成する。このn型拡散領域14は、n型ウェル11よりも高低濃度にn型不純物が拡散された領域であり、メモリセルトランジスタにおいてhalo領域として機能する。
【0073】
図32に示す工程7では、斜め注入のマスクとして用いた酸化膜層26を除去し、凹凸を有する基板の表面領域全面にONO膜30(トンネル酸化膜15、窒化シリコン膜(電荷蓄積層)16、絶縁酸化膜17)を形成する。酸化膜15、17はCVD法または熱酸化法で形成され、窒化膜16は、CVD法で形成される。
【0074】
図33に示す工程8では、全面にポリシリコン層110を形成する。このポリシリコン層110は、パターニングによりワード線18およびゲート電極19となるものである。
【0075】
図34に示す工程9では、X方向の帯状領域をY方向にストライプ状に配列したパターン(ゲートパターン)のフォトレジスト211を形成し、ポリシリコン層110をエッチング除去してゲート電極(ワード線)18およびゲート電極19を形成する。
【0076】
こののちフォトレジスト211を除去すれば、
図25に示したメモリセルアレイとなる。こののち、周辺回路、上層配線等を形成して不揮発性半導体記憶装置が完成する。
【0077】
この構造のメモリセルアレイでは、チャネル領域が掘り込まれたn型ウェル11を迂回する形状になっているため、隣接するp型拡散領域12の間隔すなわちドレイン・ソースの間隔を短くしても実効チャネル長を長くすることができ、メモリセルアレイの小型化に寄与することができる。
【0078】
なお、この構成でLDD領域13を省略することも可能である。
【0079】
≪第4の実施形態≫
図35〜
図45を参照して、この発明の第4の実施形態であるメモリセルアレイについて説明する。
【0080】
図35は、この発明の第4の実施形態であるメモリセルアレイの構造を示す断面斜視図である。このメモリセルアレイは、第3の実施形態と同様の3D構造のpチャネルMONOSメモリセルアレイである。この実施形態の説明において、上に述べた第3の実施形態と同一構成の部分は同一番号を付して説明を省略する。
【0081】
この実施形態のメモリセルアレイが第3の実施形態のメモリセルアレイと異なる点は、第2の実施形態では、ビット線,ソース,ドレインの機能を果たすp型拡散領域およびLDD領域となるp−拡散領域が、基板(n型ウェル11)を掘り込むエッチングをしたのち形成されるのに対して、この実施形態では、基板表面にp型拡散領域、p−拡散領域を形成したのち、基板を掘り込むエッチングがされる点である。
【0082】
なお、この実施形態のメモリセルアレイは、構造上は第1の実施形態と異なる3D構造であるが、等価回路および動作原理は第1の実施形態のメモリセルアレイと同様であるため、説明を省略する。
【0083】
ここで、
図36〜
図45を参照して、上記メモリセルアレイの製造プロセスの概要を説明する。
図36〜
図45では、このプロセスを工程1〜工程9の工程に分けて説明している。
【0084】
図36に示す工程1では、シリコン基板10の全面にリンPをイオン注入し、n型ウェル11を形成する。
図37に示す工程2では、斜め注入のマスクとして用いる酸化膜層26を形成する。ここで、工程1、2および以下の工程における全面とは、メモリセルアレイのブロック領域全体の意であり、これらの工程においても、メモリセルアレイのブロック単位で開口するフォトレジストが使用される。
【0085】
図38に示す工程3では、Y方向のストライプ状のフォトレジスト211を形成し、酸化膜層26をエッチング除去する。
【0086】
図39に示す工程4では、工程3で形成されたフォトレジスト211を利用してp型不純物(BまたはBF2)を斜め注入し、p型拡散領域12を形成する。このp型拡散領域12は、パターニングののち、ワード線およびメモリセルトランジスタのドレイン,ゲートとなる。
【0087】
図40に示す工程5では、工程3で形成されたフォトレジスト211を利用してp型不純物(BまたはBF2)を、工程4とは逆の方向に斜め注入し、p−拡散領域13を形成する。このp−型拡散領域13は、工程4で形成されたp型拡散領域12よりも低濃度にp型不純物が拡散された領域であり、パターニングののち、メモリセルトランジスタのLDD領域となる。
【0088】
図41に示す工程6では、除去されずに残っているフォトレジスト211を利用して、追加エッチングを行い、シリコン基板の表面のn型ウェル11を途中までトレンチ状にエッチング除去してY方向にパターニングし、3Dチャネルを形成する。これにより、先に形成されたp型拡散層12およびp−拡散層13がn型ウェル11のトレンチの両壁面の上端部に露出するようにパターニングされる。
【0089】
図42に示す工程7では、フォトレジスト211を除去し、工程3でパターニングした酸化膜層26を利用してn型不純物(PまたはAs)を、工程4と同じ方向で深い角度に斜め注入する。これにより、n型ウェル11のトレンチのp型領域12側の壁面の下端付近にn型拡散領域14を形成する。このn型拡散領域14は、n型ウェル11よりも高低濃度にn型不純物が拡散された領域であり、メモリセルトランジスタにおいてhalo領域として機能する。
【0090】
図43に示す工程8では、斜め注入のマスクとして用いた酸化膜層26を除去し、凹凸を有する基板の表面領域全面にONO膜30(トンネル酸化膜15、窒化シリコン膜(電荷蓄積層)16、絶縁酸化膜17)を形成する。酸化膜15、17はCVD法または熱酸化法で形成され、窒化膜16は、CVD法で形成される。
【0091】
図44に示す工程9では、全面にポリシリコン層110を形成する。このポリシリコン層110は、パターニングによりワード線18およびゲート電極19となるものである。
【0092】
図45に示す工程10では、X方向の帯状領域をY方向にストライプ状に配列したパターン(ゲートパターン)のフォトレジスト211を形成し、ポリシリコン層110をエッチング除去してゲート電極(ワード線)18およびゲート電極19を形成する。
【0093】
こののちフォトレジスト211を除去すれば、
図35に示したメモリセルアレイとなる。こののち、周辺回路、上層配線等を形成して不揮発性半導体記憶装置が完成する。
【0094】
この構造のメモリセルアレイでは、チャネル領域が掘り込まれたn型ウェル11を迂回する形状になっているため、隣接するp型拡散領域12の間隔すなわちドレイン・ソースの間隔を短くしても実効チャネル長を長くすることができ、メモリセルアレイの小型化に寄与することができる。
【0095】
≪第5の実施形態≫
図46〜
図55を参照して、この発明の第5の実施形態であるメモリセルアレイについて説明する。
【0096】
図46は、この発明の第5の実施形態であるメモリセルアレイの構造を示す断面斜視図である。このメモリセルアレイは、第4の実施形態と同様の3D構造のpチャネルMONOSメモリセルアレイである。この実施形態の説明において、上に述べた第4の実施形態と同一構成の部分は同一番号を付して説明を省略する。
【0097】
この実施形態のメモリセルアレイが第4の実施形態のメモリセルアレイと異なる点は、p型拡散層12の上部に絶縁酸化膜層27を形成するとともに、各メモリセルのLDD領域となるp−拡散領域を省略したことにより、3Dチャネル領域とp型拡散領域12との間にオフセット領域31を形成している点である。
【0098】
なお、この実施形態のメモリセルアレイは、構造上は第1の実施形態と異なる3D構造であるが、等価回路および動作原理は第1の実施形態のメモリセルアレイと同様であるため、説明を省略する。
【0099】
ここで、
図47〜
図55を参照して、上記メモリセルアレイの製造プロセスの概要を説明する。
図47〜
図55では、このプロセスを工程1〜工程9の工程に分けて説明している。
【0100】
図47に示す工程1では、シリコン基板10の全面にリンPをイオン注入し、n型ウェル11を形成する。
図48に示す工程2では、絶縁酸化膜層27を形成する。ここで、工程1、2および以下の工程における全面とは、メモリセルアレイのブロック領域全体の意であり、これらの工程においても、メモリセルアレイのブロック単位で開口するフォトレジストが使用される。
【0101】
図49に示す工程3では、Y方向のストライプ状のフォトレジスト211を形成し、絶縁酸化膜層27をエッチング除去する。
【0102】
図50に示す工程4では、工程3で形成されたフォトレジスト211を利用してp型不純物(BまたはBF2)を斜め注入し、p型拡散領域12を形成する。このp型拡散領域12は、パターニングののち、ワード線およびメモリセルトランジスタのドレイン,ゲートとなる。
【0103】
図51に示す工程5では、除去されずに残っているフォトレジスト211を利用して、追加エッチングを行い、シリコン基板の表面のn型ウェル11を途中までトレンチ状にエッチング除去してY方向にパターニングし、3Dチャネルを形成する。これにより、先に形成されたp型拡散層12がn型ウェル11のトレンチの壁面の上端部に露出するようにパターニングされる。
【0104】
図52に示す工程6では、フォトレジスト211を除去し、工程3でパターニングした絶縁酸化膜層27を利用してn型不純物(PまたはAs)を、工程4と同じ方向で深い角度に斜め注入する。これにより、n型ウェル11のトレンチのp型領域12側の壁面の下端付近にn型拡散領域14を形成する。このn型拡散領域14は、n型ウェル11よりも高低濃度にn型不純物が拡散された領域であり、メモリセルトランジスタにおいてhalo領域として機能する。
【0105】
図53に示す工程7では、凹凸を有する基板の表面領域全面にONO膜30(トンネル酸化膜15、窒化シリコン膜(電荷蓄積層)16、絶縁酸化膜17)を形成する。酸化膜15、17はCVD法または熱酸化法で形成され、窒化膜16は、CVD法で形成される。
【0106】
図54に示す工程8では、全面にポリシリコン層110を形成する。このポリシリコン層110は、パターニングによりワード線18およびゲート電極19となるものである。
【0107】
図55に示す工程9では、X方向の帯状領域をY方向にストライプ状に配列したパターン(ゲートパターン)のフォトレジスト211を形成し、ポリシリコン層110をエッチング除去してゲート電極(ワード線)18およびゲート電極19を形成する。
【0108】
こののちフォトレジスト211を除去すれば、
図46に示したメモリセルアレイとなる。こののち、周辺回路、上層配線等を形成して不揮発性半導体記憶装置が完成する。
【0109】
この構造のメモリセルアレイでは、絶縁酸化膜層27により、ビット線12に−X方向に隣接する電荷蓄積層16がオフセットしていることで、非選択セルに対する書き込みを防止している。
【0110】
なお、絶縁酸化膜27の上部および両側側面に形成されているONO膜30は、各メモリセルトランジスタの書き込みには何ら寄与しないため、なくてもよい。
【0111】
この構造のメモリセルアレイでは、チャネル領域が掘り込まれたn型ウェル11を迂回する形状になっているため、隣接するp型拡散領域12の間隔すなわちドレイン・ソースの間隔を短くしても実効チャネル長を長くすることができ、メモリセルアレイの小型化に寄与することができる。