特許第5684967号(P5684967)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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  • 特許5684967-ヒアルロン酸系コポリマー 図000004
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5684967
(24)【登録日】2015年1月23日
(45)【発行日】2015年3月18日
(54)【発明の名称】ヒアルロン酸系コポリマー
(51)【国際特許分類】
   C08B 37/08 20060101AFI20150226BHJP
   A61L 33/10 20060101ALI20150226BHJP
   A61L 33/00 20060101ALI20150226BHJP
   C08B 37/10 20060101ALI20150226BHJP
【FI】
   C08B37/08 Z
   A61L33/00 A
   A61L33/00 Z
   C08B37/10
【請求項の数】12
【全頁数】17
(21)【出願番号】特願2007-510975(P2007-510975)
(86)(22)【出願日】2005年4月27日
(65)【公表番号】特表2007-535607(P2007-535607A)
(43)【公表日】2007年12月6日
(86)【国際出願番号】US2005014614
(87)【国際公開番号】WO2005110505
(87)【国際公開日】20051124
【審査請求日】2008年4月9日
【審判番号】不服2013-6594(P2013-6594/J1)
【審判請求日】2013年4月10日
(31)【優先権主張番号】10/835,912
(32)【優先日】2004年4月30日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】504183388
【氏名又は名称】アボット カーディオヴァスキュラー システムズ インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100090033
【弁理士】
【氏名又は名称】荒船 博司
(74)【代理人】
【識別番号】100093045
【弁理士】
【氏名又は名称】荒船 良男
(72)【発明者】
【氏名】ホッセイニ, シード エフ. エー.
(72)【発明者】
【氏名】マイケル, ユージーン
(72)【発明者】
【氏名】グラウザー, ティエリー
(72)【発明者】
【氏名】クウォク, コニー
(72)【発明者】
【氏名】パセッティ, スティーブン, ディー.
【合議体】
【審判長】 中田 とし子
【審判官】 氏原 康宏
【審判官】 齊藤 真由美
(56)【参考文献】
【文献】 欧州特許出願公開第1270018(EP,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2002/87123(US,A1)
【文献】 国際公開第02/34312(WO,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2003/59463(US,A1)
【文献】 特開平8−333402(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2003/161938(US,A1)
【文献】 特表2003−524465(JP,A)
【文献】 特表平10−506560(JP,A)
【文献】 特開平9−59303(JP,A)
【文献】 特開昭63−105003(JP,A)
【文献】 再公表特許第99/10385(JP,A1)
【文献】 国際公開第01/93846(WO,A2)
【文献】 米国特許出願公開第2003/104028(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08B
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ヒアルロン酸(HA)並びにヘパリン、疎水性側鎖、及び生体適合性の疎水性ポリマーから成る群から選択される少なくとも1つの成分を含むHA抱合体であって、
前記HAはジヒドラジド及びアジリジンから成る群から選択される反応剤によって官能基化され、
前記疎水性側鎖が飽和又は不飽和の脂肪酸であり、
前記生体適合性の疎水性ポリマーが、ポリ(エステルアミド)、アルキル基、アミノ酸基又はポリ(エチレングリコール)(PEG)基を含有してもよいポリ(エステルアミド)、ポリヒドロキシアルカノエート(PHA)、ポリエステル、ポリ(D,L−ラクチド)、ポリ(L−ラクチド)、ポリグリコリド、ポリ(D,L−ラクチド−co−グリコリド)、ポリカプロラクトン、ポリ(D,L−ラクチド−co−カプロラクトン)、ポリ(グリコリド−co−カプロラクトン)、ポリ(ジオキサノン)、ポリ(オルソエステル)、ポリ(チロシンカーボネート)、ポリ(チロシンエステル)、ポリ(イミノカーボネート)、及びポリ(アミノ酸)から成る群から選択され、
前記HA抱合体が、官能基化されたHAを、ヘパリン、疎水性側鎖、または生体適合性の疎水性ポリマーとそれぞれカップリングさせることによって形成される、HA抱合体。
【請求項2】
前記PHAが、ポリ(2−ヒドロキシアルカノエート)、ポリ(3−ヒドロキシアルカノエート)、ポリ(4−ヒドロキシアルカノエート)、及び前記3−ヒドロキシアルカノエート又は前記4−ヒドロキシアルカノエートのモノマーを含むコポリマー又はそれらの混合物、及びこれらの組み合わせから成る群から選択される請求項1のHA抱合体。
【請求項3】
前記ポリ(3−ヒドロキシアルカノエート)が、ポリ(3−ヒドロキシプロパノエート)、ポリ(3−ヒドロキシブチレート)、ポリ(3−ヒドロキシバレレート)、ポリ(3−ヒドロキシヘキサノエート)、ポリ(3−ヒドロキシヘプタノエート)、及びポリ(3−ヒドロキシオクタノエート)からなる群より選択され、
前記ポリ(4−ヒドロキシアルカノエート)が、ポリ(4−ヒドロキシブチレート)、ポリ(4−ヒドロキシバレレート)、ポリ(4−ヒドロキシヘキサノエート)、ポリ(4−ヒドロキシヘプタノエート)、及びポリ(4−ヒドロキシオクタノエート)から成る群から選択される請求項2のHA抱合体。
【請求項4】
前記疎水性側鎖が、ラウレート、ステアレート、パルミテート、オレエート、及びこれらの組み合わせから成る群から選択される請求項1のHA抱合体。
【請求項5】
アルキル、アミノ酸、PEG及びこれらの組み合わせから成る群から選択される1以上の基を任意で含むポリ(エステルアミド)である前記生体適合性の疎水性ポリマーを含む請求項1のHA抱合体。
【請求項6】
前記生体適合性の疎水性ポリマーが生分解性である請求項1のHA抱合体。
【請求項7】
前記官能基化されたHAをヘパリンとカップリングすることによって形成される、ヘパリンを含む請求項1のHA抱合体。
【請求項8】
前記官能基化されたHAを疎水性側鎖とカップリングすることによって形成される、疎水性側鎖を含む請求項1のHA抱合体。
【請求項9】
前記官能基化されたHAを生体適合性の疎水性ポリマーとカップリングすることによって形成される、生体適合性の疎水性ポリマーを含む請求項1のHA抱合体。
【請求項10】
請求項1〜6の何れか一項に記載のHA抱合体を含む埋め込み型用具。
【請求項11】
生物活性剤をさらに含む請求項10の埋め込み型用具。
【請求項12】
ABT−578(商標)、パクリタキセル、ドセタキセル、パクリタキセル誘導体、タクロリムス、ピメクロリムス、バチマスタット、ミコフェノール酸、エストラジオール、クロベタゾール、デキサメタゾン、ラパマイシン、40−O−(2−ヒドロキシ)エチル−ラパマイシン(エベロリムス)、40−O−(3−ヒドロキシ)プロピル−ラパマイシン、40−O−[2−(2−ヒドロキシ)エトキシ]エチル−ラパマイシン、40−O−テトラゾール−ラパマイシン、4−アミノ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−1−オキシル(4−アミノ−TEMPO)、これらのプロドラッグ、これらのコドラッグ及びこれらの組み合わせから成る群から選択される生物活性剤をさらに含む請求項10の埋め込み型用具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は一般に、ヒアルロン酸コポリマー及びそれから形成される、埋め込み型医療用具をコートするための組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
血管の閉塞は、たとえば、ステントを用いることによって冒された血管における血流を機械的に増すことによって一般に治療される。ステントは、物理的に開放を保つために足場として作用し、所望であれば、通路の壁を広げるために機能する。通常、ステントは、カテーテルを介して小さな内腔に挿入され、所望の位置にある時に、さらに大きな直径に拡張することができるように圧縮することが可能である。
【0003】
ステントは、機械的介入だけでなく、生物学的治療を提供する媒体としても使用される。ステントに薬剤を適用することによって生物学的治療を達成することができる。薬剤を適用されたステントは、病変部位にて治療物質の局所投与を提供する。治療物質の局所送達は、物質が特定の部位で濃縮されるから、患者に有害な、毒性さえある副作用を生じることが多い全身投与に比べて、総量が少ない薬物を投与することができるので、好ましい治療法である。ステントに薬剤を適用する方法の1つには、ステント表面にコートされたポリマーキャリアの使用が関与する。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ステントはその有用性にもかかわらず、2つの課題、すなわち、血栓による急性閉塞及び再狭窄の持続的な発生に悩まされてきた。最近の研究によって、冠状ステント術は、結果として血小板、多形核白血球及びマクロファージの有意な活性化を生じると共に、ステント表面の不動態化及び抗凝固処理にもかかわらず詰りを誘発する凝固経路の活性化を生じることが示されている。この限界性は、活性化された血小板上の接着受容体のステント異物表面への表面暴露に関係し、強力な抗凝固処置で対応しなければならない前述の血栓形成活性を生じる。亜急性のステント血栓症は、埋め込み後最初の数日で最も頻繁に起き、最初の2週間以内ではほとんどいつも生じる。その後、血管壁から増殖する平滑筋細胞を含む新生内膜細胞及び内皮増殖性細胞がステント表面を取り囲み、ステント血栓症のリスクを和らげる。
【0005】
ヒアルロン酸(HA)は、再狭窄及び血栓症を軽減するのを助けるステントコーティング(たとえば、米国特許第5,849,368号を参照のこと)に生体有益性を付与する材料として使用されている。しかしながら、HAは親水性が高く、水溶解性が高く、有機溶媒には不溶性である。また、その高い水溶解性のために、HAは、ステントのような埋め込み型用具上で成膜能を欠く。HA分子は壊れやすく、分子の分解は分子量の劇的な低下を招くことも注意すべきである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本明細書で開示される組成物及びそれで形成されるコーティングは、上述の課題及びそのほかのニーズに対処する。
【0007】
本明細書で提供されるのは、耐久性、生分解性又は生体吸収性であり得る金属ステント又はポリマーステントであり得るステントのような埋め込み型医療用具をコートするための、ヒアルロン酸(HA)コポリマー及び架橋されたHAを含むHA抱合体、及びそれから形成される組成物である。HA抱合体は、分子状HA、と少なくともヘパリン、ポリ(エチレングリコール)(PEG)、疎水性側鎖、生体適合性の疎水性ポリマー及びこれらの組み合わせであり得る成分を有することができる。或いは、HA抱合体は、HA又はHA誘導体に由来する部分、並びにヘパリン、ポリ(エチレングリコール)(PEG)、疎水性側鎖、生体適合性の疎水性ポリマー及びこれらの組み合わせに由来する少なくとも1つの部分を有することができる。
【0008】
HA抱合体は、官能基化HA、反応性の及び接近可能な反応基を提供する反応剤によってHAを官能基化し、官能基化HAを疎水性種、PEG、ヘパリン、生体適合性のポリマー及びそれらの組み合わせと反応させることによって形成することができる。代表的な反応剤にはヒドラジド、ジヒドラジド、アジリジン、エポキシド及びビニルスルホンが挙げられる。
【0009】
実施形態の1つでは、架橋HAは、加熱、UV、又はこれらの組み合わせのような架橋手段を適用することによって生体適合性の開始剤の存在下、架橋部分を持つ官能基化HAを架橋することにより形成することができる。アクリロイル部分又はメタクリロイル部分のような架橋部分は、HA−ヒドラジドのような官能基化HAとのそれらの反応によってHAに導入することができる。
【0010】
別の実施形態では、架橋HAは、HAをシブロンケミカルズ(ニュージャージー)のアジリジン架橋剤のような生体適合性の架橋剤及び2以上の連結部分を有するそのほかの架橋剤と反応させることによって形成することができる。
【0011】
さらに別の実施形態では、疎水性種、ポリ(エチレングリコール)(PEG)又はヘパリンを、2以上のヒドラジド、アジリジン、エポキシド、ビニルスルホン、アルデヒドのような架橋部分で官能基化し、HAを架橋する架橋剤として使用することができる。
【0012】
さらなる実施形態では、HAを架橋する架橋剤として、環状二量体、3−ヒドロキシプロピオネートアルデヒド(3−HPA)を使用することができる。
【0013】
HA抱合体または架橋HAを使用して、埋め込み型用具上に生物活性剤を含んでもよいコーティングを形成することができる。代表的な生物活性剤には、ABT−578(商標)、パクリタキセル、ドセタキセル、パクリタキセル誘導体、タクロリムス、ピメクロリムス、バチマスタット、ミコフェノール酸、エストラジオール、クロベタゾール、デキサメタゾン、ラパマイシン、40−O−(2−ヒドロキシ)エチル−ラパマイシン(エベロリムス)、40−O−(3−ヒドロキシ)プロピル−ラパマイシン、40−O−[2−(2−ヒドロキシ)エトキシ]エチル−ラパマイシン、40−O−テトラゾール−ラパマイシン、4−アミノ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−1−オキシル(4−アミノ−TEMPO)、これらのプロドラッグ、これらのコドラッグ及びこれらの組み合わせが挙げられるが、これらに限定されない。
【0014】
本明細書で提供される組成物を埋め込み型用具にコートすることができる。埋め込み型用具はいかなる埋め込み型用具であってもよい。実施形態の1つでは、埋め込み型用具は薬剤送達用のステントである。埋め込み型用具は、たとえば、アテローム性硬化症、血栓症、再狭窄、高コレステロール、出血、血管の切開又は穿孔、動脈瘤、不安定プラーク、慢性全閉塞、間欠性跛行、静脈及び人工移植片の吻合部の増殖、胆管閉塞、尿管閉塞、腫瘍閉塞及びこれらの組み合わせのような病状の治療に使用することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
本明細書で提供されるのは、耐久性、生分解性又は生体吸収性であり得る金属ステント又はポリマーステントであり得るステントのような埋め込み型医療用具をコートするための、ヒアルロン酸(HA)コポリマー及び架橋されたHAを含むHA抱合体、及びそれから形成される組成物である。HA抱合体は、分子状HA、と少なくともヘパリン、ポリ(エチレングリコール)(PEG)、疎水性側鎖、生体適合性の疎水性ポリマー及びこれらの組み合わせであり得る成分を有することができる。或いは、HA抱合体は、HA又はHA誘導体に由来する部分、並びにヘパリン、ポリ(エチレングリコール)(PEG)、疎水性側鎖、生体適合性の疎水性ポリマー及びこれらの組み合わせに由来する少なくとも1つの部分又は誘導体を有することができる。HAを含有する抱合体は、有機溶媒溶解性及び成膜性を有することができる。HA抱合体を含むコーティングは、急性の及び長期の生体有益性を有する。さらに、コーティングは、エベロリムスのような生物活性剤の制御された放出を提供することができる。
【0016】
本明細書で使用するとき、材料の生体有益性は、非付着性、血液適合性、積極的に非血栓形成性、又は抗炎症性であることによって用具の生体適合性を向上させる材料を言い、これらはすべて、医薬活性剤の放出に依存しない。非付着性は、異物に対する生体反応によって生じるタンパク質の積層の形成を防ぐ、遅らせる又は形成量を減らすこととして定義される。同様に、非血栓形成性及び抗炎症性は、血栓の形成及び炎症を完全に防ぐ、望ましい程度に遅らせる又はできるだけ抑えることを意味する。
【0017】
本明細書で使用するとき、用語、HA抱合体は、HA又はHAに由来する部分であり得るHA成分及び少なくとも1つの本明細書で定義されるような種又はポリマーであり得るそのほかの成分を含む物質を言う。HA抱合体における成分は、たとえば、共有結合、イオン性相互作用、水素結合、ファン・デル・ワールス相互作用及び相互貫入ネットワークのような相互作用を有することができる。
【0018】
HAの修飾
たとえば、疎水性側鎖種、疎水性の生分解性ポリマー、ポリ(エチレングリコール)(PEG)又はヘパリンのような修飾種と共に官能基化されたHAから抱合体を形成することができる。抱合体はまた、官能基化された修飾種と共にHAから形成することもできる。
【0019】
A.HAの官能基化
HAの主鎖は、官能基化が可能である2つの部位、すなわち、カルボン酸及び1級ヒドロキシル基(図1)を有する。HAは、数百万ダルトンもの分子量に達し得るが、その繰り返し単位は435ダルトンの分子量を有する。このことは結果として、HAの修飾のための連結剤を介してHAを官能基化することが可能な反応性部位を多数生じる。
【0020】
実施形態の1つでは、連結剤は、2つの反応基を有する二官能性反応種であることができる。2つの反応基の一方は、HA(図1A)の部位1又は部位2に連結し、他方の反応基は、別のポリマー又は材料に連結してHAを含むブロックコポリマーのような修飾されたHAを形成する。たとえば、二官能性の反応種は、ジヒドラジドであり得る。ジヒドラジドはいかなるジヒドラジドでもよい。例として、ジヒドラジドは、アジピン酸ジヒドラジドであり得る(図1B)。HAの官能基化は、カルボジイミド(たとえば、エチルカルボジイミド(EDCI))のような試薬の存在下、HAによってアジピン酸ジヒドラジドをカップリングすることによって達成することができる(Luo, Y., et al., J. Contr. Release 69:169-184 (2000)を参照のこと)(スキーム1)。
【化1】
反応は水中で行うことができる。ジヒドラジドによるHAの架橋を回避するために、反応は、過剰のジヒドラジド中で行うことができ、使用するカルボジイミドの量によって官能基化の程度を制御することができる。たとえば、化学量論量のカルボジイミドを使用すると約100%のHAの官能基化を生じ、化学量論量の50%のカルボジイミドを使用すると、約50%のHAの官能基化を生じる。使用するカルボジイミドの量は、約0%〜約100%の化学量論量、約20%〜約80%の化学量論量、又は約30%〜約50%の化学量論量の範囲内であることができる。
【0021】
別の実施形態では、アジリジンを介してHAを官能基化することができ、それは水中で行うことができる(たとえば、Gianolino, D.A., et al., 不安定な結合を含有する架橋されたヒアルロン酸ナトリウム、 Abstract from Society for Biomaterials 2002を参照のこと)。たとえば、水中で、市販されているペンタエリスリトールトリス(3−アジリジノプロピオネート)とカップリングすることによってHAを官能基化することができる(スキーム2)。
【化2】
【0022】
さらなる実施形態では、そのほかの任意の好適な試薬によってHAの官能基化を行うことができる。例示となるそのほかの好適な試薬には、エポキシド及び/又はビニルスルホンが挙げられる。次いで、カップリングに好適な当該技術で既知の条件下にて官能基化されたHAを別のポリマー又は材料とカップリングして誘導体化されたHAを形成することができる。
【0023】
官能基化されたHAは、ヒドラジド基、末端アミノ基、末端無水基、末端アルデヒド基、及びこれらの組み合わせを持つことができる。
【0024】
B.疎水性種との抱合
本発明の実施形態の1つによれば、官能基化されたHAを疎水性種とカップリングさせて疎水性側鎖を持つ抱合体を形成することができる。抱合体の疎水性側鎖を提供する例示となる有用な疎水性種には、飽和及び不飽和の脂肪酸、飽和及び不飽和の脂肪アルコールが挙げられる。例示となる有用な疎水性の飽和及び不飽和の脂肪酸には、ヒマシ油、ラウレート、ステアレート、パルミテート及び/又はオレエートが挙げられる。例示となる飽和及び不飽和の脂肪アルコールには、たとえば、ヘキサノール、ドデカノール、スタノール、ステロール、コレステロール及び/又はセチルが挙げられる。一部の実施形態では、疎水性種は、短鎖の疎水性種である。本明細書で使用するとき、用語「短鎖の疎水性種」は、C2〜C20の疎水性種を言う。
【0025】
一部の実施形態では、疎水性化合物が12(cal/cm1/2未満、11(cal/cm1/2未満、10.5(cal/cm1/2未満、又は代替的に9(cal/cm1/2未満のヒルデブランドの溶解性パラメータ(δ)を有するように、疎水性化合物をHAに抱合させることができる。
【0026】
本発明の別の実施形態によれば、非吸収性、生分解性又は生体吸収性であることができる生体適合性の疎水性ポリマーと官能基化されたHAをカップリングすることができる。有用な生体適合性の疎水性ポリマーには、たとえば、ポリ(エステルアミド)、アルキル基、アミノ酸基又はポリ(エチレングリコール)(PEG)基を含有し得るポリ(エステルアミド)、ポリ(エチレングリコール)(PEG)、ポリアルカノエート(PHA)、例えばポリ(2−ヒドロキシアルカノエート)、ポリ(3−ヒドロキシプロパノエート)、ポリ(3−ヒドロキシブチレート)、ポリ(3−ヒドロキシバレレート)、ポリ(3−ヒドロキシヘキサノエート)、ポリ(3−ヒドロキシヘプタノエート)及びポリ(3−ヒドロキシオクタノエート)のようなポリ(3−ヒドロキシアルカノエート)、ポリ(4−ヒドロキシプロパノエート)、ポリ(4−ヒドロキシブチレート)、ポリ(4−ヒドロキシバレレート)、ポリ(4−ヒドロキシヘキサノエート)、ポリ(4−ヒドロキシヘプタノエート)、ポリ(4−ヒドロキシオクタノエート)のようなポリ(4−ヒドロキシアルカノエート)並びに本明細書に記載される3−ヒドロキシアルカノエート又は4−ヒドロキシアルカノエートのモノマーを含むコポリマー或いはそれらの混合物、ポリエステル、ポリ(D,L−ラクチド)、ポリ(L−ラクチド)、ポリグリコリド、ポリ(D,L−ラクチド−co−グリコリド)、ポリカプロラクトン、ポリ(D,L−ラクチド−co−カプロラクトン)、ポリ(グリコリド−co−カプロラクトン)、ポリ(ジオキサノン)、ポリ(オルソエステル)、ポリ(無水物)、ポリ(チロシンカーボネート)及びその誘導体、ポリ(チロシンエステル)及びその誘導体、ポリ(イミノカーボネート)、ポリ(ホスホエステル)、ポリホスファゼン、ポリ(アミノ酸)、多糖類、コラーゲン、キトサン、アルギネート、ポリエーテル、ポリアミド、ポリウレタン、ポリアルキレン、ポリアルキレンオキシド、ポリエチレンオキシド、ポリプロピレンオキシド、ポリエチレングリコール(PEG)、PHA−PEG、ポリビニルピロリドン(PVP)、エチレン酢酸ビニル(EVA)のようなアルキレン酢酸ビニルコポリマー、エチレンビニルアルコール(EVOH又はEVAL)のようなアルキレンビニルアルコールコポリマー、ポリ(n−ブチルメタクリレート(PBMA)、SOLEF(商標)ポリ(フッ化ビニリデン−co−ヘキサフルオロプロペン)並びにこれらの組み合わせが挙げられる。
【0027】
疎水性側鎖種及び生分解性ポリマーは単に過剰に添加し、官能基化されたHA及び疎水性側鎖種又は生分解性ポリマーに共通する溶媒である適当な溶媒中でカルボジイミドを介してカップリングさせることができる。たとえば、pH=8にpHを調整したアセトン溶液中にて、1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)−カルボジイミド(EDC)によってHAヒドリジドを高分子のポリ乳酸にカップリングすることができる。
【0028】
上述のように官能基化されたHA、疎水性側鎖種又は疎水性生分解性ポリマーから抱合体を形成することができる一方で、官能基化されていないHA及び官能基化された疎水性側鎖種又は疎水性生分解性ポリマーからも抱合体を形成することができる。たとえば、両材料の溶媒である溶媒中にてHAを直接、オクタン酸ヒドラジドにカップリングすることによってHAは、市販のオクタン酸ヒドラジドと共に抱合体を形成することができる。
【0029】
C.ポリエチレングリコールとの抱合
本発明のさらなる側面によれば、官能基化されたHAは、高分子量PEGと共に抱合体を形成することができる。本明細書で記載されるHA−PEG抱合体を形成するのに有用なPEGは、500ダルトン〜250,000ダルトンの間、具体的には1,000ダルトン〜100,000ダルトンの間、さらに具体的には5,000ダルトン〜50,000ダルトンの間の範囲にある分子量を有する。
【0030】
実施形態の1つでは、末端アルデヒドを持つPEGを形成するようにPEGを官能基化することができる。末端アルデヒドを持つPEGは、水中で室温にてヒドラジド官能基化HAと容易に反応し、HA−PEG抱合体を形成する。
【0031】
別の実施形態では、末端アミノ基を持つPEGを形成するようにPEGを官能基化することができる。末端アミノ基を持つPEGは、末端アルデヒドで官能基化されたHAと直接反応することができ、ブロックコポリマー、HA−co−PEGが得られる。
【0032】
さらなる実施形態では、PEGスクシンアミドを形成するようにPEGを官能基化することができる。次いで、PEGスクシンアミドをHAとカップリングさせてHA及びPEGを含む抱合体を形成することができる。
【0033】
アミノ、アルデヒド、又はスクシニル、又はこれらの組み合わせによって官能基化されたPEGは市販されている。たとえば、平均分子量6,000ダルトンの直鎖アミノ−PEGはシェアウエアポリマーズ社(アラバマ州、ハンツビル)から購入することができる。
【0034】
その上さらなる実施形態では、アミノ基を持つようにPEGを修飾することができ、末端アルデヒドを有するように、ペルオキシド又は亜硝酸のような酸化剤によってHAを酸化することができる。次いで、還元的アミノ化を経由して、末端アルデヒドを持つHAにアミン末端のPEGをカップリングし、HAとPEGの抱合体を形成することができる。
【0035】
D.ヘパリンとの抱合
本発明の別の側面によれば、HAは、ヘパリンとの抱合体を形成することができる。官能基化されたHAを官能基化されていないヘパリンにカップリングすること、官能基化されたヘパリンを官能基化されていないHAにカップリングすること、又は官能基化されたヘパリンを官能基化されたHAにカップリングすることによって抱合を達成することができる。
【0036】
実施形態の1つでは、還元的アミノ化を経由して、アルデヒド末端のHAを市販されているアミノ官能基化ヘパリンにカップリングしてHA/ヘパリン抱合体を形成することができる。
【0037】
別の実施形態では、上述のようなセバシン酸ジヒドラジド、PEG−ジアルデヒド又はビス−スクシニミジル部分によってHAを誘導体化することができる。次いで、アミン末端のヘパリンを誘導体化させたHAと反応させ、それぞれ、セバシン酸ジヒドラジド、PEG及びスクシニミジルの結合を有するHA/ヘパリン抱合体を形成することができる。
【0038】
本明細書で使用するとき、用語「ヘパリン」は、分子状ヘパリン及びいかなるヘパリン誘導体も包含する。ヘパリン誘導体は、ヘパリンの機能的な又は構造的な類縁体であり得る。代表的な類縁体には、たとえば、ヘパリンナトリウム(たとえば、ヘパサル又はプラリン)、ヘパリンカリウム(たとえば、クラリン)、ヘパリンリチウム、ヘパリンカルシウム(たとえば、カルシパリン)、ヘパリンマグネシウム(たとえば、クテパリン)のようなヘパリンのアルカリ金属塩又はアルカリ土類金属塩、及び低分子量ヘパリン(たとえば、アルデパリンナトリウム)が挙げられる。そのほかの例には、硫酸ヘパリン、ヘパリン様物質、ヘパリン系化合物及び疎水性対イオンを有するヘパリンが挙げられる。
【0039】
本明細書に記載されるHA抱合体は様々な化学式を利用する。実施形態の1つでは、抱合体は、HA−co−PEG又はHA−co−ヘパリンであり得、それは、たとえば、ステアレート、ラウレート、パルミテート及びオレエートのような脂肪酸、たとえば、ヘキサノール、ドデカノール、スタノール、ステロール、コレステロール及びセチルのような脂肪アルコールのような疎水性種、或いは任意でアルキル、アミノ酸、PEG又はアルコール基を含み得るポリ(エステルアミド)、ポリカプロラクトン、ポリラクチド、ポリグリコリド、ポリヒドロキシアルカノエート(PHA)、ポリジオキサノン(PDS)又はPHA−PEGのような生分解性の疎水性ポリマーによって末端キャップされる。PHAには、たとえば、ポリ(α−ヒドロキシ酸)、ポリ(3−ヒドロキシブチレート)(PHB)、ポリ(3−ヒドロキシブチレート−co−バレレート)(PHBV)、ポリ(3−ヒドロキシプロピオネート)(PHP)、ポリ(3−ヒドロキシヘキサノエート)(PHH)のような、ポリ(β−ヒドロキシ酸)、たとえば、ポリ(4−ヒドロキシブチレート)、ポリ(4−ヒドロキシバレレート)又はポリ(4−ヒドロキシヘキサノエート)のようなポリ(4−ヒドロキシ酸)が挙げられる。疎水性種又は生分解性の疎水性ポリマーは、HA−co−PEG又はHA−co−ヘパリンに結合する側鎖であり得る。
【0040】
実施形態の1つでは、HA抱合体は、PEG−HA−(C12〜C18アルキル)抱合体である。
【0041】
E.官能基化されたHAの架橋
本発明のさらなる実施形態によれば、架橋剤を用いて修飾されたHAを架橋することができる。HAの高い親水性のために、修飾されたHAは水に浸漬すると弱いヒドロゲルになる。修飾されたHAの架橋は、修飾されたHAを含むコーティングの形成をもたらす。
【0042】
実施形態の1つでは、HA−ヒドラジドを塩化アクリロイル又は塩化メタクリロイルと反応させることによってアクリル部分を修飾されたHAに導入し、アクリロイル基又はメタクリロイル基のようなオレフィン様部分を有するHAを形成することができる。この材料を生体適合性の開始剤と混合し、たとえば、浸漬コーティングによって埋め込み型用具に塗布し、放射線、たとえば、紫外線に暴露する際、架橋することができる。
【0043】
別の実施形態では、官能基化していないHAと複数のアジリジン基を持つ架橋剤とを埋め込み型用具の表面に別々に塗布してコートし、常温のような温度で放置して反応させることができる。架橋剤は、たとえば、シブロンケミカルズ(ニュージャージー州)から入手可能なペンタエリスリトールトリス(3−アジリジノプロピオネート)であり得る。複数のアジリジン基を有するそのほかの試薬も採用することができる。
【0044】
本発明のさらなる実施形態では、本明細書で記載される疎水性の側鎖種又はPEGのようなポリマーは、2以上のヒドラジド、アジリジン、アルデヒド、アミン、ジアクリレート、ビスアクリルアミド及び架橋剤として使用するためのそのほかの官能基によって官能基化することができる。官能基化されたHA又は官能基化されていないHAを加熱しながら、又は加熱せずにこれら架橋剤による架橋の対象とすることができる。疎水性の側鎖種の一例は、ロイテリンに見い出される環状二量体3−ヒドロキシプロピオネートアルデヒド(3−HPA)である。
【0045】
その上さらなる実施形態では、たとえば、プラズマ処理を介して埋め込み型用具のポリマーの表面にHAをカップリングすることができる。先ず、表面をアルゴン(Ar)とNHのプラズマで処理し、これは次に無水物、たとえば、コハク酸無水物と反応することができるアミン官能基を表面に結合することができる。次いで、カルボジイミドの存在下、これらの官能基を1以上の官能基化されたHA、たとえば、HA−ヒドラジドにカップリングさせて架橋されたHA表面を形成することができる。所望であれば、たとえば、ヘパリンのような生体有益性材料によって架橋されたHA表面をさらに修飾することができる。PEGスペーサーの有無に関わらず、1以上のヒドラジド基又はアジリジン基のような架橋部分によって生体有益性材料を官能基化し、浸漬コーティングの後、架橋されたHA表面に結合することができる。
【0046】
生物活性剤
本明細書で記載される修飾されたHAを用いて、1以上の生物活性剤を含み得るコーティング組成物を形成することができる。生物活性剤は、生物学的に活性のある任意の試薬、たとえば、治療剤、予防剤又は診断剤であり得る。好適な治療剤及び予防剤の例には、治療活性、予防活性又は診断活性を有する無機合成化合物及び有機合成化合物、タンパク質及びペプチド、多糖類及びそのほかの糖、脂質、並びにDNA及びRNAの核酸配列が挙げられる。核酸配列には、遺伝子、相補的DNAに結合して転写を阻害するアンチセンス分子及びリボザイムが挙げられる。幅広い分子量、たとえば、モル当たり約100〜500,000グラム以上の間又はモル当たり約100〜500,000グラム以上の間を持つ化合物を封入することができる。好適な材料のそのほかの例の一部には、抗体、受容体リガンド及び酵素のようなタンパク質、接着ペプチドのようなペプチド、並びに糖類及び多糖類が挙げられる。包含されることができる材料のさらなる例の一部には、血液凝固因子、ストレプトキナーゼ及び組織プラスミノーゲンアクチベータのような阻害剤又は凝固溶解剤;免疫用の抗原;ホルモン及び増殖因子;ヘパリンのような多糖類;遺伝子治療用のアンチセンスオリゴヌクレオチドのようなオリゴヌクレオチド及びリボザイム及びレトロウイルスベクターが挙げられる。代表的な診断剤は、X線、蛍光、磁気共鳴画像、放射性活性、超音波コンピュータ断層撮影(CT)及びポジトロン放出断層撮影(PET)によって検出可能な試薬である。
【0047】
制御放出の場合、幅広い範囲の異なった生物活性剤を制御放出用具に組み入れることができる。これらには、たとえば、タンパク質のような疎水性、親水性及び高分子量の高分子が挙げられる。0.01〜70重量%の間、さらに好ましくは5〜50重量%の間の添加比率にて生物活性化合物をポリマーコーティングに組み入れることができる。
【0048】
実施形態の1つでは、生物活性剤は、平滑筋細胞の活性を阻害するためであることができる。さらに具体的には、生物活性剤は、再狭窄を抑制するために平滑筋細胞の異常な又は不適当な移動及び/又は増殖を阻害することを目的とする。生物活性剤は、患者に対して治療効果又は予防効果を発揮することが可能ないかなる物質も包含することができる。たとえば、生物活性剤は、血管部位での創傷治癒を高めるためであることができ、血管部位の構造特性及び弾性特性を改善するためであることができる。活性剤の例には、アクチノマイシンD又はその誘導体及び類縁体(ウィスコンシン州53233、ミルウォーキー、ウエストセントポール通り1001番地のシグマ−アルドリッチにより製造される;又はメルクから入手可能なコスメゲン)のような増殖抑制物質が挙げられる。アクチノマイシンDの同義語には、ダクチノマイシン、アクチノマイシンIV、アクチノマイシンI、アクチノマイシンX、及びアクチノマイシンCが挙げられる。生物活性剤は、抗腫瘍物質、抗炎症性物質、抗血小板物質、抗凝固性物質、抗フィブリン性物質、抗血栓性物質、細胞分裂抑制性物質、抗生物質、抗アレルギー性物質、及び抗酸化物質の種類に分類される。そのような抗腫瘍物質及び/又は細胞分裂抑制性物質の例には、パクリタキセル(たとえば、コネチカット州、スタムフォードのブリストル・マイヤーズ・スクイブによるタキソール(登録商標))、ドセタキセル(たとえば、ドイツ、フランクフルトのアベンティスのタキソテレ(登録商標))、メソトレキセート、アザチオプリン、ビンクリスチン、ビンブラスチン、フルオロウラシル、ドキソルビシン塩酸塩(たとえば、ニュージャージー州、ピーパックのファルマシア&アップジョンのアドリアマイシン(登録商標))、及びマイトマイシン(たとえば、コネチカット州、スタムフォードのブリストル・マイヤーズ・スクイブのムタマイシン(登録商標))が挙げられる。そのような抗血小板物質、抗凝固性物質、抗フィブリン性物質、及び抗血栓性物質の例には、ヘパリンナトリウム、低分子量ヘパリン、ヘパリン様物質、ヒルジン、アルガトロバン、フォルスコリン、バピプロスト、プロスタサイクリン及びプロスタサイクリン類縁体、デキストラン、D−phe−pro−arg−クロロメチルケトン(合成抗血栓剤)、ジピリダモール、糖タンパク質IIb/IIIa血小板膜受容体拮抗剤抗体、組換えヒルジン及びアンギオマックス(マサチューセッツ州、ケンブリッジ、バイオゲン社)のようなトロンビン阻害剤が挙げられる。そのような細胞増殖抑制剤又は抗増殖剤の例には、アンギオペプチン、アンギオテンシン変換酵素阻害剤、たとえば、カプトプリル(たとえば、コネチカット州、スタムフォードのブリストル・マイヤーズ・スクイブのカポテン(登録商標)及びカポジド(登録商標))、シラザプリル又はリシノプリル(たとえば、ニュージャージー州、ホワイトハウスステーションのメルク社のプリニビル(登録商標)及びプリンジド(登録商標));カルシウムチャンネル遮断剤(たとえば、ニフェジピン)、コルヒチン、線維芽細胞増殖因子(FGF)拮抗剤、魚油(オメガ3−脂肪酸)、ヒスタミン拮抗剤、ロバスタチン(HMG−CoA還元酵素の阻害剤、コレステロール低下剤、ニュージャージー州、ホワイトハウスステーションのメルク社の商品名、メバコール(登録商標))、モノクローナル抗体(たとえば、血小板由来増殖因子(PDGF)受容体に特異的なもの)、ニトロプルシド、ホスホジエステラーゼ阻害剤、プロスタグランジン阻害剤、スラミン、セロトニン遮断剤、ステロイド、チオプロテアーゼ阻害剤、トリアゾロピリミジン(PDGF拮抗剤)、一酸化窒素又は一酸化窒素供与体、スーパーオキシドジスムターゼ、スーパーオキシドジスムターゼ模倣体、4−アミノ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−オキシル(4−アミノ−TEMPO)、シロリムス及びシロリムス誘導体、パクリタキセル及びパクリタキセル誘導体、エストラジオール、ステロイド性抗炎症剤、抗体、抗癌剤、種々のビタミンのようなダイエット補助剤、並びにこれらの組み合わせが挙げられる。抗アレルギー剤の例には、ペミロラストカリウムである。適当であってもよいそのほかの治療物質又は治療試薬には、α−インターフェロン、遺伝子操作を施した上皮細胞、ABT−578(商標)、パクリタキセル、ドセタキセル、パクリタキセル誘導体、タクロリムス、ピメクロリムス、バチマスタット、ミコフェノール酸、エストラジオール、クロベタソール、デキサメタゾン、並びに、ラパマイシン、及び40−O−(2−ヒドロキシ)エチル−ラパマイシン(エベロリムス)、40−O−(3−ヒドロキシ)プロピル−ラパマイシン、40−O−[2−(2−ヒドロキシ)エトキシ]エチル−ラパマイシン、40−O−テトラゾール−ラパマイシン、4−アミノ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−オキシル(4−アミノ−TEMPO)、これらのプロドラッグ、これらのコドラッグ、並びにこれらの組み合わせが挙げられる。
【0049】
前述の物質は例示を目的として列記されるものであり、限定を意味するものではない。現在利用可能である又は将来開発され得るそのほかの活性剤も等しく適用可能である。
【0050】
好ましい治療効果を生じるのに必要とされる生物活性剤の投与量又は濃度は、生物活性剤が毒性効果を生じるよりレベルよりも低く、且つ治療効果が得られないレベルよりも高くすべきである。血管領域の所望の細胞活性を阻害するのに必要とされる生物活性剤の投与量又は濃度は、患者の特定の状況;傷害の性質;所望の治療法の性質;投与された成分が血管部位にとどまる時間;並びにほかの活性剤が採用されるのなら、その物質又は物質の組み合わせの性質及び種類のような因子に依存し得る。治療上有効な投与量は経験的に決定することができ、たとえば、好適な動物モデル系の血管に注入し、免疫組織化学法、蛍光法又は電子顕微鏡法を用いて試薬及びその効果を検出することによって、又は好適な試験管内の試験を行うことによって決定することができる。投与量を決定する標準的な薬学試験法は当業者によって理解されている。
【0051】
埋め込み型用具上のコーティング
HA抱合体及び/又は架橋HAのいずれかを有する組成物を用いて、生物活性剤と共に、又はそれなしで、埋め込み型用具をコートすることができる。本明細書に記載されるコーティングは、埋め込み型用具上のコーティングの単一層として、または、本明細書に記載されるHA抱合体又は架橋HA以外のポリマーを含む、その上の別の層と併せて形成することができる。一部の実施形態では、HAコーティングはコートされた用具の最外層であればよい。ほかの実施形態では、HA層は、ポリマー/薬剤リザーバ層又はポリマーを含まない薬剤層に対する上塗り層であればよい。
【0052】
HA抱合体又は架橋HAを生体適合性ポリマー及び/又は生体吸収性ポリマーのような1以上のポリマーと混合することもできる。例には、ポリ(エステルアミド)、アルキル基、アミノ酸基又はポリ(エチレングリコール)(PEG)基を含有し得るポリ(エステルアミド)、ポリ(エチレングリコール)(PEG)、ポリアルカノエート(PHA)、例えばポリ(2−ヒドロキシアルカノエート)、ポリ(3−ヒドロキシプロパノエート)、ポリ(3−ヒドロキシブチレート)、ポリ(3−ヒドロキシバレレート)、ポリ(3−ヒドロキシヘキサノエート)、ポリ(3−ヒドロキシヘプタノエート)及びポリ(3−ヒドロキシオクタノエート)のようなポリ(3−ヒドロキシアルカノエート)、ポリ(4−ヒドロキシブチレート)、ポリ(4−ヒドロキシバレレート)、ポリ(4−ヒドロキシヘキサノエート)、ポリ(4−ヒドロキシヘプタノエート)、ポリ(4−ヒドロキシオクタノエート)のようなポリ(3−ヒドロキシアルカノエート)並びに本明細書に記載される3−ヒドロキシアルカノエート又は4−ヒドロキシアルカノエートのモノマーを含むコポリマー或いはそれらの混合物、ポリエステル、ポリ(D,L−ラクチド)、ポリ(L−ラクチド)、ポリグリコリド、ポリ(D,L−ラクチド−co−グリコリド)、ポリカプロラクトン、ポリ(D,L−ラクチド−co−カプロラクトン)、ポリ(グリコリド−co−カプロラクトン)、ポリ(ジオキサノン)、ポリ(オルソエステル)、ポリ(無水物)、ポリ(チロシンカーボネート)及びその誘導体、ポリ(チロシンエステル)及びその誘導体、ポリ(イミノカーボネート)、ポリ(ホスホエステル)、ポリホスファゼン、ポリ(アミノ酸)、多糖類、コラーゲン、キトサン、アルギネート、ポリエーテル、ポリアミド、ポリウレタン、ポリアルキレン、ポリアルキレンオキシド、ポリエチレンオキシド、ポリプロピレンオキシド、ポリエチレングリコール(PEG)、PHA−PEG、ポリビニルピロリドン(PVP)、エチレン酢酸ビニル(EVA)のようなアルキレン酢酸ビニルコポリマー、エチレンビニルアルコール(EVOH又はEVAL)のようなアルキレンビニルアルコールコポリマー、ポリ(n−ブチルメタクリレート(PBMA)並びにこれらの組み合わせが挙げられるが、これらに限定されない。好ましい実施形態では、混合物は、SOLEF(商標)ポリ(フッ化ビニリデン−co−ヘキサフルオロプロペン)とのものである。
【0053】
別の実施形態では、生物活性剤の制御された放出のための薬剤送達用ステントのような埋め込み型用具をコートするのに本明細書に記載される組成物を使用することができる。組成物は、HA抱合体又は架橋HAのいずれかを単独で含んでもよいし、ほかの生体適合性ポリマーとの混合成分として含んでもよい。
【0054】
一部のさらなる実施形態では、前述した化学物質と共に、異なった種類のネットワーク及び構造を達成することができる。例示となるそのような構造は、たとえば、物理的な架橋又は相互貫入ネットワークであり得る。実施形態の1つでは、相互貫入ネットワーク(IPN)は、PEGジアクリレートの強固に架橋されたネットワークにてHAを固定することによって作製することができる。このIPNでは、HAは架橋されたポリマーに共有結合していないが、ネットワークに捕捉される。ポリ(D,L−ラクチド)のような超高分子ポリマーと同時に塗布されることによってコーティング中にHAを物理的に固定することもできる。さらに、N−イソプロピルアクリルアミド(NIPAM)−PEGジブロックコポリマーに基づいた熱可逆性ゲルにHAを共有結合することができる。
【0055】
用具をコートする方法
本明細書に記載される組成物は、スプレーコート又は当該技術で利用可能なそのほかのコート法によってステントのような埋め込み型用具上にコートすることができる。一般に、コートすることには、組成物又は1以上のその成分を溶媒又は溶媒混合物に溶解し又は懸濁して組成物又は1以上のその成分の溶液、懸濁液又は分散液を形成すること、溶液又は懸濁液を埋め込み型用具に塗布すること、及び溶媒又は溶媒混合物を除いてコーティング又はコーティングの層を形成することが含まれる。本明細書に記載される組成物の懸濁液又は分散液は、1ナノメータ〜100ミクロンの間、好ましくは1ナノメータ〜10ミクロンの間のサイズを有する微粒子のラテックス又はエマルションの形態であり得る。本明細書に関与する工程のいずれにも熱処理及び/又は加圧処理を適用することができる。さらに、要望に応じて、本明細書で記載されるコーティングをさらなる熱処理及び/又は加圧処理に供することができる。本明細書に記載される組成物を用いて埋め込み型用具にコーティングを形成するのに使用してもよい埋め込み型用具をコートする方法のさらなる例の一部は、たとえば、Lambert TL, et al. Circulation, 1994; 90: 1003-1011; Hwang CW, et al. Circulation, 2001; 104: 600-605; Van der Giessen WJ, et al. Circulation, 1996; 94: 1690-1697; Lincoff AM, et al. J Am Coll Cardiol 1997; 29: 808-816; Grube E. et al, J American College Cardiology Meeting, March 6 2002, ACCIS2002, poster 1174-15; Grube E, et al, Circulation, 2003, 107: 1, 38-42; Bullesfeld L, et al. Z Kardiol, 2003, 92: 10, 825-832; and Tanabe K, et al. Circulation 2003, 107: 4, 559-64に記載されている。
【0056】
組成物は、コーティングの単一層の形態で埋め込み型用具にコートすることができ、又は、組成物の成分をコーティングの別々の層の形態で用具にコートすることができる。
【0057】
別個の層として、又はHA抱合体若しくは架橋HAのいずれかを有する組成物と共に、生物活性剤を埋め込み型用具にコートすることができる。実施形態の1つでは、生物活性剤は別個の層として用具上にコートされる。別の実施形態では、生物活性剤は、本明細書で記載される組成物と共に用具上にコートされる。
【0058】
さらなる実施形態では、生物活性剤又は第2の生物活性剤を膨潤装着によってここに記載されるコーティングに装着することができる。1以上のHA抱合体及び/又は官能基化されたHAを有する組成物を、たとえば、ヒドラジド、アジリジン、アルデヒド、アミン、ジアクリレート、ビスアクリルアミドのような架橋剤と共に形成し、医療用具のコーティングの上に塗布することができる。光で活性化される又は熱で開始される架橋の際、1以上の本明細書で記載されるHA抱合体又は架橋HAを含む薄い表面ゲルが形成される。次いで、本明細書で記載される生物活性剤及び/又は第2の薬剤をこの表面ゲルに膨潤装着することができる。膨潤装着された生物活性剤は、たとえば、約1、2、又は3時間〜約1日又は2日の間で、生体内で速い放出率、たとえば、約50〜100%を有することができる。これによって、第1の試薬の徐放性を有する第1の薬剤を伴うコーティング及びその中に膨潤装着された第2の試薬を伴う表面ゲルを形成することにより、たとえば、糖尿病、長い血管、高いコレステロール、又は不安定プラークのようなさらに難治性の病変に有効であろう二峰性の放出を有する医療用具のコーティング系を形成することができる。第1の試薬及び第2の試薬は、同一試薬であっても異なった試薬であってもよく、これらは上述されている。
【0059】
本明細書で使用するとき、用語「溶媒」は、ポリマーと相溶性であり、かつ/又は薬剤を溶解することが可能である又は薬剤及び/又はポリマー組成物又は1以上のその成分を所望の濃度で懸濁することができる液体の物質又は組成物を言う。溶媒の代表例には、クロロホルム、アセトン、水(緩衝液、生理食塩水)、ジメチルスルホキシド(DMSO)、プロピレングリコールモノメチルエーテル(PM)、イソプロピルアルコール(IPA)、n−プロピルアルコール、メタノール、エタノール、テトラヒドロフラン(THF)、ジメチルホルムアミド(DMF)、ジメチルアセトアミド(DMAC)、ベンゼン、トルエン、キシレン、ヘキサン、シクロヘキサン、ヘプタン、オクタン、ノナン、デカン、デカリン、酢酸エチル、酢酸ブチル、酢酸イソブチル、酢酸イソプロピル、ブタノール、ジアセトンアルコール、ベンジルアルコール、2−ブタノン、シクロヘキサノン、ジオキサン、塩化メチレン、四塩化炭素、テトラクロロエチレン、テトラクロロエタン、クロロベンゼン、1,1,1−トリクロロエタン、1,1,2−トリクロロエタン、ホルムアミド、ヘキサフルオロイソプロパノール、1,1,1−トリフルオロエタノール及びヘキサメチルホスホルアミド、及びこれらの組み合わせが挙げられる。
【0060】
本発明の化学物質と共に使用することができる医療用具の例には、自己拡張可能なステント、バルーン拡張可能なステント、ステント移植片、移植片(たとえば、大動脈移植片)、人工心臓弁、脳脊髄液シャント、ペースメーカーの電極、及び心内膜のリード(たとえば、カリフォルニア州、サンタクララのガイダント社より入手可能なフィネリン及びエンドタック)が挙げられる。用具の下地となる構造は、事実上、いかなる設計のものでもよい。用具は、たとえば、コバルトクロム合金(たとえば、エルギロイ)、ステンレス鋼(316L)、高窒素ステンレス鋼、たとえば、バイオドゥール108、コバルトクロム合金L−605、「MP35N」、「MP20N」、エラスチナイト(ニチノール)、タンタル、ニッケル−チタン合金、白金イリジウム合金、金、マグネシウム、又はこれらの組み合わせのような、しかし、これらに限定されない金属材料又は合金から作製することができる。「MP35N」及び「MP20N」は、ペンシルベニア州、ジェンキンタウンのスタンダードプレススチール社から入手可能なコバルト、ニッケル、クロム及びモリブデンの合金の商標名である。「MP35N」は、35%のコバルト、35%のニッケル、20%のクロム及び10%のモリブデンから成り、「MP20N」は、50%のコバルト、20%のニッケル、20%のクロム及び10%のモリブデンから成る。生体吸収性又は生体安定性のポリマーから作製される用具も本発明の実施形態と共に使用することができる。実施形態の1つでは、埋め込み型用具は、金属ステント又は生分解性の若しくは生体吸収性のステントである。
【0061】
本明細書で記載される組成物は、未処理の金属の又はポリマーの埋め込み型用具上或いは薬剤溶出システム又は薬剤送達システムの上にコートすることができる。
【0062】
使用方法
本発明の実施形態によれば、たとえばステントのような埋め込み型用具又は人工補装具の上に、記載された種々の実施形態のコーティングを形成することができる。1以上の活性剤を含むコーティングについては、試薬は、送達中及び用具の拡張中は、ステントのような医療用具の上に保持され、埋め込んだ部位で所望の比率及び所定の持続時間で放出される。好ましくは、医療用具はステントである。上述のコーティングを有するステントは、例えば、胆管、食道、気管/気管支及びそのほかの生体通路において腫瘍が原因で生じる閉塞の治療を含む、多様な医療処置に有用である。上述のコーティングを有するステントは、平滑筋細胞の異常な又は不適当な移動及び増殖が原因で生じる血管の閉塞領域、血栓症及び再狭窄を治療するのに特に有用である。ステントは、動脈及び静脈双方の多種多様な血管に留置してもよい。部位の代表例には、腸骨動脈、腎動脈及び冠状動脈が挙げられる。
【0063】
ステントの埋め込みについては、先ず、血管造影を行ってステント療法の適当な位置取りを決定する。血管造影は通常、X線を利用しながら、動脈又は静脈に挿入されたカテーテルを介して放射線不透過の造影剤を注入することによって達成される。次いで、ガイドワイヤを病変部又は提案された治療部位に進める。送達用カテーテルをガイドワイヤの上に通し、それによって折り畳んだ構造のステントを通路に挿入することができる。経皮的に又は外科的処置によって、送達カテーテルを大腿動脈、上腕動脈、大腿静脈、又は上腕静脈に挿入し、蛍光顕微鏡の案内のもと、血管系を通ってカテーテルを操縦することによって適当な血管に進める。次いで、治療の所望部位にて、上述のコーティングを有するステントを拡張してもよい。挿入後の血管造影を利用して適当な位置取りを確認してもよい。
【0064】
本明細書で記載されたコーティングを含む埋め込み型用具を用いて、治療を必要とする症状又は障害を有する動物を治療することができる。たとえば、本明細書で記載された用具を動物に埋め込むことによってそのような動物を治療することができる。好ましくは、動物はヒトである。本明細書で開示される方法によって治療することができる例示となる障害又は症状には、アテローム性硬化症、血栓症、再狭窄、高コレステロール、出血、血管の切開又は穿孔、動脈瘤、不安定プラーク、慢性全閉塞、間欠性跛行、静脈及び人工移植片の吻合部の増殖、胆管閉塞、尿管閉塞、腫瘍閉塞及びこれらの組み合わせが挙げられるが、これらに限定されない。
【実施例】
【0065】
以下述べられる実施例によって本発明の実施形態を説明する。パラメータ及びデータはすべて、本発明の実施形態を過度に限定するように解釈されないものとする。
【0066】
(実施例1)以下に特定するような手順及び構成に従って、ステントをコートすることができる。
下塗り層:100μgのPLA
マトリクス薬剤層:500μgのポリ(乳酸)(PLA)及びエベロリムス(PLAとエベロリムスの重量比はたとえば1:1であることができる)及び
上塗り層:PLAと混合した300μgのHA抱合体(HAとエベロリムスの重量比はたとえば1:1であることができる)
【0067】
(実施例2)
以下に特定するような手順及び構成に従って、ステントをコートすることができる。
下塗り層:100μgのPLA
マトリクス薬剤層:500μgのPLA及びエベロリムス(PLAとエベロリムスの重量比はたとえば1:1であることができる)及び
上塗り層:PEG化PLA(たとえば、トリブロックPLA−PEG−PLA)と混合した300μgのHA(HA抱合体とPEG化PLAの重量比はたとえば1:1であることができる)
【0068】
(実施例3)
以下に特定するような手順及び構成に従って、ステントをコートすることができる。
下塗り層:100μgのPLA
マトリクス薬剤層:500μgのPLA及びエベロリムス(PLAとエベロリムスの重量比はたとえば1:1であることができる)及び
上塗り層:300μgの純粋なHA抱合体
【0069】
本発明の特定の実施形態を示し、記載してきたが、さらに広い側面にて本発明から逸脱することなく、変更及び修正を行うことができることは、当業者に明らかであろう。従って、添付のクレームは、本発明の真の精神及び範囲に入るものとしてそのような変更及び修正すべてをその範囲内に包含するものとする。
【図面の簡単な説明】
【0070】
図1】1Aはヒアルロン酸の構築ブロックの模式的構造を示し、1Bはアジピン酸ジヒドラジドの構造を示す。
図1