(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、図面を参照して、実施形態に基づき本発明を説明する。本発明は実施形態に限定されるものではなく、実施形態における種々の数値や材料は例示である。以下の説明において、同一要素又は同一機能を有する要素には同一符号を用いることとし、重複する説明は省略する。尚、説明は、以下の順序で行う。
1.本発明に係る画像表示装置、画像表示装置の駆動方法及び画像表示プログラム、並びに、階調変換装置、全般に関する説明
2.第1の実施形態
3.第2の実施形態
4.第3の実施形態
5.第4の実施形態
6.第5の実施形態(その他)
【0020】
[本発明に係る画像表示装置、画像表示装置の駆動方法及び画像表示プログラム、並びに、階調変換装置、全般に関する説明]
本発明に係る画像表示装置、本発明に係る画像表示装置の駆動方法に用いられる画像表示装置、あるいは又、本発明に係る画像表示プログラムが実行される画像表示装置(以下、これらを単に、本発明に係る画像表示装置と呼ぶ場合がある)において、画像を表示する表示部の構成や方式は特に限定するものではない。表示部は、動画の表示に適したものであってもよいし、静止画の表示に適したものであってもよい。例えば、液晶表示パネル、エレクトロルミネッセンス表示パネル、プラズマ表示パネルといった周知の表示装置を表示部として用いることができるし、電気的に書き換え可能な電子ペーパーといった表示媒体を表示部として用いることもできる。更には、プリンタ等の印刷機器を表示部として用いることもできる。表示部は、モノクロ表示であってもよいし、カラー表示であってもよい。
【0021】
分散型のディザマトリクスを用いて階調変換を行う階調変換部、あるいは又、階調変換部を備えた階調変換装置は、例えば、演算回路や記憶装置から構成することができる。これらは、周知の回路素子等を用いて構成することができる。
【0022】
階調変換部は、ディザマトリクスに対応する画素の領域毎に、ディザマトリクスを水平方向と垂直方向とにランダムにシフトして適用し、表示部に表示される画像の階調変換を行う。尚、「水平方向と垂直方向とにランダムにシフト」には、水平方向又は垂直方向のいずれか一方にランダムにシフトする場合が包含されてもよい。また、水平方向及び垂直方向のシフトが0である場合が包含されてもよい。
【0023】
分散型のディザマトリクスの大きさや構成は特に限定するものではなく、画像表示装置の設計等に応じて、適宜選択すればよい。分散型のディザマトリクスとして、ベイヤー型マトリクスを例示することができる。
【0024】
階調変換部による階調変換は、例えば256階調を2階調に変換するといった多値画像を2値画像に変換するといった処理であってもよい。あるいは、例えば256階調を4階調に変換するといった、多値画像をより階調数の少ない多値画像に変換するといった処理であってもよい。
【0025】
本発明に係る画像表示装置にあっては、ディザマトリクスは、ベイヤー型マトリクスから成り、階調変換部は、ディザマトリクスを水平方向と垂直方向とにランダムに偶数画素分シフトして適用する構成とすることができる。
【0026】
ベイヤー型マトリクスの持つ周波数成分において、高周波成分の波長は2画素となる。従って、この構成によれば、ディザマトリクスをシフトして適用しても高周波成分の位相ずれによって明部や暗部の幅が広がる等といった現象は生じない。尚、0画素分のシフト(即ち、シフト量は0)の場合を含む構成であってもよい。即ち、「偶数画素分のシフト」に、0画素分のシフトである場合が包含されてもよい。
【0027】
上述した各種の好ましい構成を含む本発明に係る画像表示装置において、画素は、単独の画素から構成されていてもよい。あるいは又、画素は、複数の種類の副画素から構成されていてもよい。後者の場合には、階調変換部が、ディザマトリクスに対応する画素の領域を構成する副画素の種類毎にディザマトリクスを適用する構成とすることができる。
【0028】
画素(ピクセル)の値として、VGA(640,480)、S−VGA(800,600)、XGA(1024,768)、APRC(1152,900)、S−XGA(1280,1024)、U−XGA(1600,1200)、HD−TV(1920,1080)、Q−XGA(2048,1536)の他、(1920,1035)、(720,480)、(1280,960)等、画像表示用解像度の幾つかを例示することができるが、これらの値に限定するものではない。
【0029】
上述した好ましい構成を含む、画素が複数の副画素から構成される本発明に係る画像表示装置にあっては、画素が、少なくとも3種類の副画素を含んでおり、階調変換部は、ディザマトリクスに対応する画素の領域において、少なくとも2種類の副画素には同じ条件でシフトしたディザマトリクスを適用し、他の種類の副画素には異なる条件でシフトしたディザマトリクスを適用する構成とすることができる。例えば、3種類の副画素を含む場合には、2種類の副画素には同じ条件でシフトしたディザマトリクスを適用し、他の1種類の副画素には異なる条件でシフトしたディザマトリクスを適用するといった構成とすることができる。また、例えば、4種類の副画素を含む場合、2種類の副画素には同じ条件でシフトしたディザマトリクスを適用し、他の2種類の副画素には異なる条件でシフトしたディザマトリクスを適用するといった構成とすることができる。あるいは又、3種類の副画素には同じ条件でシフトしたディザマトリクスを適用し、他の1種類の副画素には異なる条件でシフトしたディザマトリクスを適用するといった構成とすることもできる。
【0030】
この場合において、階調変換部は、ディザマトリクスに対応する画素の領域において、2種類の副画素には同じ条件でシフトしたディザマトリクスを適用し、他の種類の副画素には同一条件でシフトしたディザマトリクスを更に水平方向と垂直方向のそれぞれに一定量シフトして適用する構成とすることができる。また、他の種類の副画素は、最も輝度に寄与する色の副画素である構成とすることができる。
【0031】
上述した各種の好ましい構成を含む本発明に係る画像表示装置にあっては、階調変換部が、各表示フレームにおいて、ディザマトリクスに対応する画素の領域に同一量シフトしたディザマトリクスを適用する構成とすることができる。本発明に係る階調変換装置においても同様である。
【0032】
この構成によれば、各表示フレームにおいて同じ条件で階調変換が行われる。従って、観察者が動画を視る際に、ディザマトリクスのシフト量の差に起因する動画のざわつきを視認するといった問題が生じない。
【0033】
上述した各種の好ましい構成を含む本発明に係る画像表示装置にあっては、階調変換部が、ディザマトリクスに対応する画素の領域毎に、ディザマトリクスを回転させたマトリクス、若しくは、ディザマトリクスを水平方向、垂直方向又は対角方向に反転させたマトリクスのいずれか1つを選択し、ディザマトリクスとして適用する構成とすることができる。
【0034】
尚、ディザマトリクスの回転角は、90度、180度又は270度の他、0度を含む構成であってもよい。即ち、「ディザマトリクスを回転させたマトリクス」には、回転角が0度のマトリクスが包含されてもよい。
【0035】
本発明に係る画像表示プログラムは、2次元マトリクス状に配列された画素によって画像を表示する表示部、及び、分散型のディザマトリクスを用いた階調変換を行うための階調変換部を備えた画像表示装置において実行されることにより、ディザマトリクスに対応する画素の領域毎に、ディザマトリクスを水平方向と垂直方向とにランダムにシフトして適用する処理を行わせる。
【0036】
例えば、半導体メモリ、磁気ディスク及び光ディスクといった記憶手段にこの画像表示プログラムが格納され、階調変換部において上述した処理が実行されるといった構成とすることができる。
【0037】
本発明に係る画像表示装置は、例えば、基本となるディザマトリクスを格納した記憶手段及びランダムなシフト条件を格納した記憶手段とを備えた構成とすることもできる。あるいは、基本となるディザマトリクスを格納した記憶手段とランダムなシフト条件を決定する乱数発生手段とを備えた構成とすることができる。更には、シフトしたディザマトリクスを多数格納した記憶手段とディザマトリクスの選択回路とを備えた構成や、ランダムにシフトしたディザマトリクスの集合体として、表示部全体に対応するマトリクスを予め生成しておき、これを格納した記憶手段を備えた構成等、種々の構成をとることができる。いずれの構成とするかは、画像表示装置の設計や仕様に応じて、適宜決定すればよい。
【0038】
[第1の実施形態]
第1の実施形態は、本発明に係る画像表示装置、画像表示装置の駆動方法及び画像表示プログラム、並びに、階調変換装置に関する。
【0039】
図1は、第1の実施形態に係る画像表示装置の概念図である。
図2は、表示領域において第x列、第y行目に位置する画素と入力データとの関係、及び、ディザマトリクスに対応する画素の領域を説明するための模式的な平面図である。
【0040】
第1の実施形態の画像表示装置1は、2次元マトリクス状に配列された画素112によって画像を表示する表示部110、及び、分散型のディザマトリクスを用いて階調変換を行う階調変換部(階調変換装置)120を備えている。階調変換部120は、ディザマトリクスに対応する画素112の領域毎に、ディザマトリクスを水平方向と垂直方向とにランダムにシフトして適用し、階調変換された出力データVDを生成することによって表示部110の画像の階調変換を行う。
【0041】
表示部110は、モノクロ表示の液晶表示パネルから構成されている。表示部110の表示領域111には、水平方向(以下、行方向と呼ぶ場合がある)にX個、垂直方向(以下、列方向と呼ぶ場合がある)にY個、合計X×Y個の画素112が、2次元マトリクス状に配列されている。透過型の表示パネルの場合には、出力データVDの値に基づいて画素112の光透過率を制御することによって、図示せぬ光源装置からの光の透過量が制御され、表示部110に画像が表示される。反射型の表示パネルの場合には、出力データVDの値に基づいて画素112の光反射率を制御することによって、外光の反射量が制御され、表示部110に画像が表示される。
【0042】
階調変換部120は、ディザ処理部121、ディザマトリクス格納部122及びシフト量生成部123を含んでいる。ディザマトリクス格納部122には、後述する分散型のベイヤー型のディザマトリクスD
8mが格納されており、シフト量生成部123には、後述する
図11に示すパラメータがテーブルとして格納されている。
【0043】
階調変換部120には、各画素112に対応して入力データvDが入力される。ディザ処理部121によって、ディザマトリクス格納部122の値やシフト量生成部123の値等に基づいて階調変換が行われ、出力データVDが出力される。
【0044】
第x列(但し、x=0,1・・・,X−1)、第y行目(但し、y=0,1・・・,Y−1)に位置する画素112を、第(x,y)番目の画素112、あるいは画素112(x,y)と表す。画素112(x,y)に対応する入力データvDと出力データVDとを、それぞれ、入力データvD(x,y)、出力データVD(x,y)と表す。
【0045】
図3は、ディザマトリクスに対応する画素の領域の配列を説明するための模式的な平面図である。
【0046】
表示領域111は、ディザマトリクスD
8mと同サイズの部分の領域毎に、基盤の目で仮想的に区切られている。具体的には、表示領域111は、行方向にP個、列方向にQ個、合計P×Q個の領域TEに区切られている。後述するようにディザマトリクスD
8mは8×8の正方行列であるので、剰余がないとすれば、P=X/8、Q=Y/8である。第p列(但し、p=0,1・・・,P−1)、第q行目(但し、q=0,1・・・,Q−1)に位置する領域TEを、第(p,q)番目の領域TE、あるいは領域TE(p,q)と表す。
【0047】
領域TE(p,q)を構成する画素112の行番号と列番号を、領域TE(p,q)における第i列(但し、i=0,1・・・,7)、第j行(但し、j=0,1・・・,7)と表すとき、符号「x,y,p,q,i,j」の関係について説明する。
【0048】
図4の(A)は、表示領域において第x列、第y行目に位置する画素と、領域TE(p,q)において第i列、第j行目に位置する画素との関係を説明するための模式的な平面図である。
図4の(B)は、領域TE(p,q)において第i列、第j行目に位置する画素と、ディザマトリクスの要素との関係を説明するための模式的な平面図である。
【0049】
表示領域111において第x列、第y行目に位置する画素112(x,y)が、領域TE(p,q)において第i列、第j行目に位置するとすれば、x=8×p+i、y=8×q+jといった関係が成り立つ。
【0050】
上述した式から明らかなように、符号iは、符号xを8で除したときの剰余であり、符号jは、符号yを8で除した場合の剰余である。また、符号pは、符号xを8で除したときの商の整数部分であり、符号qは、符号yを8で除したときの商の整数部分である。
【0051】
換言すれば、符号xを2進法で表した数を(x)
2と表し、符号yを2進法で表した数を(y)
2と表せば、符号「i,j」は、それぞれ、(x)
2,(y)
2の下位3ビットの数で表される。また、符号「p,q」は、それぞれ、(x)
2,(y)
2の最上位ビットから下位4ビットまでの数で表される。
【0052】
次いで、ディザマトリクス格納部122に格納されているディザマトリクスD
8mについて説明する。
【0053】
ディザマトリクスD
8mは、所謂ベイヤー型のディザマトリクスであり、8×8行の正方行列である。
【0054】
ベイヤー型のディザマトリクスは、基本的には、以下の式(1)によって生成することができる。
【0056】
従って、ディザマトリクスD
2,D
4,D
8は、それぞれ、以下の式(4)、式(5)、式(6)のように表すことができる。
【0058】
第1の実施形態では、256階調を4階調に変換する。換言すれば、8ビット画像を2ビット画像に階調変換する。所謂多値ディザは、入力階調の範囲を複数に区切り、それぞれの範囲内で2値ディザを行うことで実行される。2ビットの4値が、階調0,85,170,255の4通りとすれば、入力階調は0乃至85、86乃至170、171乃至255の3つの範囲に区切られる。
【0059】
この場合には、各範囲において、概ね85といった階調幅に対してディザ処理を行う必要がある。従って、ディザマトリクスD
8の要素の最大値が85になるように各要素を定数倍し、整数化して、以下のディザマトリクスD
8mを得る。
【0061】
以下、ディザ処理の詳細について説明する。理解を助けるため、先ず、ディザマトリクスD
8mをそのまま各領域TEに適用する従来の駆動方法について説明する。
【0062】
尚、以下の説明にあっては、ディザマトリクスD
8mの各要素は閾値を表すものとして説明する。
【0063】
図4の(A)及び(B)から明らかなように、ディザマトリクスD
8mをそのまま各領域TEに適用する場合、領域TE(p,q)において第i列、第j行目に位置する画素112には、ディザマトリクスD
8mの第i列、第j行目の要素(以下、D
8m(i,j)と表す場合がある)が対応する。例えば、i=3、j=5の場合には、ディザマトリクスD
8mの第3列、第5行目のD
8m(3,5)が対応する。
【0064】
そして、領域TE(p,q)において第i列、第j行目に位置する画素112に対応する入力データvDの値が、0以上85以下である場合には、D
8m(i,j)の値をそのまま閾値とする。また、入力データvDの値が、86以上170以下である場合には、D
8m(i,j)の値に85を加算した値を閾値とする。入力データvDの値が、171以上255以下である場合には、D
8m(i,j)の値に170を加算した値を閾値とする。
図5の(A)に、入力データの値が86以上170以下であるときの閾値を示す。
図5の(B)に、入力データの値が171以上255以下であるときの閾値を示す。
【0065】
尚、入力データvDの値が、0以上85以下である場合にはそのままとし、86以上170以下である場合には入力データvDから85を減じ、171以上255以下である場合には入力データvDから170を減じ、D
8m(i,j)の値をそのまま閾値とするといった構成とすることもできる。
【0066】
図6は、従来の駆動方法の動作を説明するための模式的なフローチャートである。
【0067】
上述したように、表示領域111において第x列、第y行目に位置する画素112(x,y)が、領域TE(p,q)において第i列、第j行目に位置するとすれば、x=8×p+i、y=8×q+jといった関係が成り立つ。符号「i,j」は、それぞれ、(x)
2,(y)
2の下位3ビットの数で表される。また、符号「p,q」は、それぞれ、(x)
2,(y)
2の最上位ビットから下位4ビットまでの数で表される。
【0068】
表示領域111において第x列、第y行目に位置する画素112(x,y)に対応する入力データvD(x,y)の値が0以上85以下である場合には、入力データvD(x,y)<D
8m(i,j)であれば出力データVD(x,y)の値を0とする。上述した条件が成立しない場合、換言すれば、入力データvD(x,y)≧D
8m(i,j)であれば出力データVD(x,y)の値を85とする。
【0069】
また、入力データvD(x,y)の値が86以上170以下である場合には、入力データvD(x,y)<[D
8m(i,j)+85]であれば出力データVD(x,y)の値を85とする。上述した条件が成立しない場合、換言すれば、入力データvD(x,y)≧[D
8m(i,j)+85]であれば出力データVDの値を170とする。
【0070】
また、入力データvD(x,y)の値が171以上255以下である場合には、入力データvD(x,y)<[D
8m(i,j)+170]であれば出力データVDの値を170とする。上述した条件が成立しない場合、換言すれば、入力データvD(x,y)≧[D
8m(i,j)+170]であれば出力データVDの値を255とする。
【0071】
図6に示すフローチャートに従って、入力データvD(0,0)乃至vD(X−1,Y−1)について順次判定を行うことにより、出力データVD(0,0)乃至VD(X−1,Y−1)を得ることができる。
【0072】
図7の(A)は、領域TE(p,q)の各画素に対応する入力データを説明するための模式図である。
図7の(B)は、領域TE(p,q)の各画素に対応する出力データを説明するための模式図である。
【0073】
図7の(A)に示す例では、領域TE(p,q)の第0行及び第1行目の画素112に対応する入力データvDの値は「30」であり、第2行及び第3行目の画素112に対応する入力データvDの値は「60」である。また、第4行及び第5行目の画素112に対応する入力データvDの値は「120」であり、第6行及び第7行目の画素112に対応する入力データvDの値は「240」である。
【0074】
例えば、領域TE(p,q)の第3列、第5行目に位置する画素112に注目すると、この画素112に対応する入力データvDの値は「120」であり、vDは86以上170以下である。従って、D
8m(3,5)の値に85を加算した値である「121」が閾値となる。そして、vD=120<121となり、vDは閾値未満の値であるので、出力データVDの値は「85」となる。
【0075】
以上、従来の駆動方法について説明した。次いで、第1の実施形態に係る画像表示装置1の駆動方法について説明する。
【0076】
階調変換部120は、ディザマトリクスD
8mに対応する画素112の領域毎に、ディザマトリクスD
8mを水平方向と垂直方向とにランダムにシフトして適用する。
【0077】
図8は、領域TE(p,q)におけるディザマトリクスのシフト量を説明するための模式的な平面図である。
【0078】
図8に示すように、第1の実施形態では、領域TE(p,q)には、ディザマトリクスが水平方向にΔI(p,q)、垂直方向にΔJ(p,q)シフトされて適用される。そして、
図9に示すように、領域TE(p,q)には、ディザマトリクスD
8mが仮想的に連環したように適用される。後ほど
図11を参照して説明するが、このΔI(p,q)及びΔJ(p,q)の値は、符号「p,q」の組み合わせに応じてランダムに設定されている。
【0079】
上述したように、ディザマトリクスD
8mはベイヤー型マトリクスから成る。第1の実施形態では、階調変換部120は、ディザマトリクスD
8mを水平方向と垂直方向とにランダムに偶数画素分シフトして適用する。
【0080】
図10の(A)は、ディザマトリクスの水平方向のシフト量を説明するための模式的な平面図である。
図10の(B)は、ディザマトリクスの垂直方向のシフト量を説明するための模式的な平面図である。
【0081】
ディザマトリクスD
8mは8×8の正方行列である。従って、
図10の(A)に示すように、水平方向のシフト量ΔI(p,q)として、0画素分(シフト量0)、2画素分、4画素分及び6画素分のいずれかを取り得る。同様に、
図10の(B)に示すように、垂直方向に偶数画素分シフトする場合のシフト量Δj(p,q)として、0画素分(シフト量0)、2画素分、4画素分及び6画素分のいずれかを取り得る。
【0082】
図11は、領域TE(p,q)におけるディザマトリクスの水平方向及び垂直方向のシフト量の値を記した表である。
【0083】
図1に示すシフト量生成部123には、
図11に示すパラメータがテーブルとして格納されている。このテーブルは予め作成されており、図示せぬ不揮発性メモリ等に格納されている。
【0084】
図11に示すように、符号「p,q」の組み合わせに応じて、ΔI及びΔJの値が「0,2,4,6」のいずれか1つをランダムに選択して設定されている。尚、
図11のテーブルは選択の一例に過ぎない。
【0085】
図12の(A)及び(B)を参照して、ディザマトリクスD
8mをシフトするときの動作について説明する。
【0086】
図12の(A)は、領域TE(p,q)において第i列、第j行目に位置する画素に対応する入力データの値を説明するための模式的な平面図である。
図12の(B)は、ディザマトリクスをシフトしたときの、領域TE(p,q)において第i列、第j行目に位置する画素に対応する閾値の値を説明するための模式的な平面図である。
【0087】
図12の(A)における入力データの値は、
図7の(A)と同様である。第1の実施形態では、ディザマトリクスD
8mを水平方向にΔI(p,q)、垂直方向にΔj(p,q)シフトして適用する。領域TE(p,q)において第i列、第j行目に位置する画素112には、ディザマトリクスD
8mの第(i+ΔI(p,q))列、第(j+ΔJ(p,q))行目の要素(即ち、D
8m(i+ΔI(p,q),j+ΔJ(p,q))が対応する。
【0088】
図11に示す例では、領域TE(p,q)において、ΔI(p,q)=4、Δj(p,q)=2である。従って、例えば、i=3、j=5の場合には、
図12の(A)に示す値「120」に対し、ディザマトリクスD
8mの第(3+4)列、第(5+2)行目の要素、即ちD
8m(7,7)が対応する。
【0089】
階調変換部120は、図示せぬ記憶装置に格納されている画像表示プログラムに基づいて、ディザマトリクスD
8mに対応する画素112の領域毎に、ディザマトリクスD
8mを水平方向と垂直方向とにランダムにシフトして適用する処理を行う。
【0090】
図13は、第1の実施形態に係る画像表示装置の階調変換部の動作を説明するための模式的なフローチャートである。
【0091】
図6を参照して説明したとおり、符号「i,j」は、それぞれ、(x)
2,(y)
2の下位3ビットの数で表される。また、符号「p,q」は、それぞれ、(x)
2,(y)
2の最上位ビットから下位4ビットまでの数で表される。
【0092】
階調変換部120は、入力データvD(x,y)における符号x,yの値に応じて、符号「p,q,i,j」の値を決定し、符号「p,q」の組み合わせに応じて、シフト量ΔI(p,q)及びΔJ(p,q)の値をシフト量生成部123のテーブルから読み込む。
【0093】
そして、階調変換部120を構成するディザ処理部121は、表示領域111において第x列、第y行目に位置する画素112(x,y)に対応する入力データvD(x,y)の値が0以上85以下である場合には、入力データvD(x,y)<D
8m((i+ΔI(p,q))%8,(j+ΔJ(p,q))%8)であれば出力データVD(x,y)の値を0とする。上記の「%」は剰余演算子を示す。例えば、(i+ΔI(p,q))%8は、(i+ΔI(p,q))を8で除したときの剰余を示す。上述した条件が成立しない場合、換言すれば、入力データvD(x,y)≧D
8m(i+ΔI(p,q),j+Δj(p,q))であれば出力データVD(x,y)の値を85とする。
【0094】
尚、(i+ΔI(p,q))を2進法で表した数を(i+ΔI(p,q))
2と表し、(j+ΔJ(p,q))を2進法で表した数を(j+ΔJ(p,q))
2と表せば、
(i+ΔI(p,q))%8=(i+ΔI(p,q))
2の下位3ビット
(j+ΔJ(p,q))%8=(j+ΔJ(p,q))
2の下位3ビット
である。
【0095】
また、入力データvD(x,y)の値が、86以上170以下である場合には、入力データvD(x,y)<[D
8m((i+ΔI(p,q))%8,(j+ΔJ(p,q))%8)+85]であれば出力データVD(x,y)の値を85とする。上述した条件が成立しない場合、換言すれば、入力データvD(x,y)≧[D
8m((i+ΔI(p,q))%8,(j+ΔJ(p,q))%8)+85]であれば出力データVDの値を170とする。
【0096】
また、入力データvD(x,y)の値が、171以上255以下である場合には、入力データvD(x,y)<[D
8m((i+ΔI(p,q))%8,(j+ΔJ(p,q))%8)+170]であれば出力データVDの値を170とする。上述した条件が成立しない場合、換言すれば、入力データvD(x,y)≧[D
8m((i+ΔI(p,q))%8,(j+ΔJ(p,q))%8)+170]であれば出力データVDの値を255とする。
【0097】
図13に示すフローチャートに従って、入力データvD(0,0)乃至vD(X−1,Y−1)について順次判定を行うことにより、出力データVD(0,0)乃至VD(X−1,Y−1)を得ることができる。
【0098】
尚、入力データvDは、例えば、vD(0,0)乃至vD(X−1,0),・・・,vD(0,Y−1)乃至vD(X−1,Y−1)といった順(いわゆる線順次)で階調変換部120に入力することができるが、入力の順序はこれに限るものではない。画像表示装置1の動作に支障がない限り、どのような順番で入力データvDを階調変換部120に入力してもよい。例えば、各領域TEに対応する入力データvDを、各領域TE毎に階調変換部120に入力するといった構成であってもよい。
【0099】
図14の(A)及び(B)は、領域TE(p,q)の画素に対応する入力データについて、従来の駆動方法におけるディザ処理を行ったときの出力データと、第1の実施形態の駆動方法におけるディザ処理を行ったときの出力データとを対比するための表である。
図14の(A)に従来のディザ処理の結果を示し、
図14の(B)に第1の実施形態のディザ処理の結果を示す。
【0100】
ディザマトリクスD
8mをシフトして適用することによって、
図14の(B)は、
図14の(A)に対して、幾つかの画素112における出力データの値が変化している。尚、識別のため、該当データを中線で囲んだ。
【0101】
そして、領域TE(0,0)乃至TE(P−1,Q−1)において、ディザマトリクスD
8mのシフト量はランダムであるから、ディザマトリクスD
8mの配列に対応して規則的な出力パターンが生成されるといったことがない。また、分散型のディザマトリクスD
8mを用いているので、高解像度と高階調性との両立ができ、布目状のパターンノイズを軽減することができる。
【0102】
図13のフローチャートに従って動画の入力データvDを階調変換する場合、表示フレームの相違に関わらず、ディザマトリクスD
8mのシフト量ΔI(p,q),ΔJ(p,q)は一定である。即ち、階調変換部120は、各表示フレームにおいて、ディザマトリクスD
8mに対応する画素112の領域に同一量シフトしたディザマトリクスD
8mを適用する。従って、観察者が動画を視る際に、ディザマトリクスD
8mのシフトに起因する動画のざわつきを視認するといった問題を生じない。
【0103】
尚、第1の実施形態では、
図11に示すテーブルは1つとしたが、複数のテーブルを用意しておき、画像表示装置1の動作モードに応じてテーブルの切り替えが可能といった構成としてもよい。例えば、低輝度での画像観察に適したテーブルと、高輝度での画像観察に適したテーブルとを用意しておき、これらを切り替えるといった構成とすることもできる。
【0104】
[第2の実施形態]
第2の実施形態は、第1の実施形態の変形である。第2の実施形態において、画素は、複数の種類の副画素から構成されており、階調変換部は、ディザマトリクスに対応する画素の領域を構成する副画素の種類毎にディザマトリクスを適用する。第1の実施形態とは、以上の点が主に相違する。
【0105】
図15は、第2の実施形態に係る画像表示装置の概念図である。
図16は、表示領域において第x列、第y行目に位置する画素と入力データとの関係、及び、ディザマトリクスに対応する画素の領域を説明するための模式的な平面図である。
【0106】
第2の実施形態に係る画像表示装置2も、2次元マトリクス状に配列された画素212によって画像を表示する表示部210、及び、分散型のディザマトリクスD
8mを用いた階調変換を行うための階調変換部220を備えている。第1の実施形態と同様に、階調変換部220は、ディザマトリクスD
8mに対応する画素212の領域毎に、ディザマトリクスD
8mを水平方向と垂直方向とにランダムにシフトして適用し、表示部210の画像の階調変換を行う。
【0107】
表示部210は、カラー表示の液晶表示パネルから構成されている。表示部210の表示領域211にも、合計X×Y個の画素212が、2次元マトリクス状に配列されている。表示領域211における画素212の配置関係は、第1の実施形態で説明した表示領域111における画素112の配置関係と同様である。
【0108】
画素212は、複数の副画素から構成されている。具体的には、画素212は、赤色を表示する第1副画素212R、緑色を表示する第2副画素212G、及び、青色を表示する第3副画素212Bを含んでいる。透過型の表示パネルの場合には、出力データの値に基づいて副画素の光透過率を制御することによって、図示せぬ光源装置からの光の透過量が制御され、表示部210にカラー画像が表示される。反射型の表示パネルの場合には、出力データの値に基づいて副画素の光反射率が制御され、表示部210にカラー画像が表示される。階調変換部220は、ディザマトリクスD
8mに対応する画素212の領域を構成する副画素の種類毎にディザマトリクスD
8mを適用する。尚、例えば輝度向上や色再現範囲の拡大のために、他色を表示する副画素を更に備えていてもよい。
【0109】
階調変換部220は、ディザ処理部221、ディザマトリクス格納部122及びシフト量生成部123を含んでいる。ディザマトリクス格納部122及びシフト量生成部123の構成は、第1の実施形態で説明したと同様である。ディザマトリクスD
8mは、ベイヤー型マトリクスから成り、階調変換部220は、ディザマトリクスD
8mを水平方向と垂直方向とにランダムに偶数画素分シフトして適用する。第2の実施形態では、ディザマトリクスD
8mに対応する画素212の領域を構成する副画素には、同じ条件でディザマトリクスD
8mがシフトされて適用される。
【0110】
階調変換部220には、画素212を構成する第1副画素212R、第2副画素212G及び第3副画素212Bに対応して、入力データvDR,vDG,vDBが入力される。ディザ処理部221によって、ディザマトリクス格納部122の値やシフト量生成部123の値等に基づいて階調変換が行われ、出力データVDR,VDG,VDBが出力される。
【0111】
第1の実施形態と同様に、第x列、第y行目に位置する画素212を、第(x,y)番目の画素212、あるいは画素212(x,y)と表す。画素212(x,y)を構成する第1副画素212R、第2副画素212G及び第3副画素212Bにおいても同様である。
【0112】
また、第1副画素212R(x,y)に対応する入力データvDR、出力データVDRを、それぞれ、入力データvDR(x,y)、出力データVDR(x,y)と表す。第2副画素212G(x,y)に対応する入力データvDGと出力データVDG、第3副画素212B(x,y)に対応する入力データvDBと出力データVDBにおいても同様である。
【0113】
図17の(A)は、表示領域において第x列、第y行目に位置する画素を構成する3つの副画素と、領域TE(p,q)において第i列、第j行目に位置する画素を構成する3つの副画素との関係を説明するための模式的な平面図である。
図17の(B)は、領域TE(p,q)において第i列、第j行目に位置する画素を構成する3つの副画素と、各副画素に対応する入力データとの関係を説明するための模式的な平面図である。
【0114】
符号「x,y,p,q,i,j」の関係は、第1の実施形態において説明したと同様であるので、説明を省略する。
図17の(B)に示すように、領域TE(p,q)には、入力データとしてvDR,vDB,vDGが対応する。従って、
図15に示すディザ処理部221は、入力データvDR,vDB,vDGのそれぞれについて階調処理を行う。
【0115】
図18は、第2の実施形態に係る画像表示装置の階調変換部の動作を説明するための模式的なフローチャートである。
【0116】
第2の実施形態では、入力データvDR,vDB,vDGのそれぞれについて、第1の実施形態の入力データvDについての処理と同一の処理を行う。シフト量ΔI(p,q)及びΔJ(p,q)の値は、入力データvDR,vDB,vDGに関わらず同一である。従って、第2の実施形態にあっては、各副画素には、同じ条件でシフトしたディザマトリクスD
8mが適用される。
【0117】
階調変換部220を構成するディザ処理部221の動作の詳細は、第1の実施形態において
図13を参照してディザ処理部121の動作についてした説明を適宜読みかえればよいので、説明を省略する。
【0118】
[第3の実施形態]
第3の実施形態は、第2の実施形態の変形である。第2の実施形態に対し、各副画素には、異なる条件でシフトしたディザマトリクスが適用されるといった点が主に相違する。
【0119】
図19は、第3の実施形態に係る画像表示装置の概念図である。
【0120】
第3の実施形態に係る画像表示装置3も、2次元マトリクス状に配列された画素212によって画像を表示する表示部210、及び、分散型のディザマトリクスを用いた階調変換を行うための階調変換部320を備えている。第1の実施形態と同様に、階調変換部320は、ディザマトリクスに対応する画素212の領域毎に、ディザマトリクスを水平方向と垂直方向とにランダムにシフトして適用し、表示部210の画像の階調変換を行う。
【0121】
表示部210の構成は、第2の実施形態で説明したと同様であるので説明を省略する。
【0122】
階調変換部320は、ディザ処理部321、ディザマトリクス格納部122及びシフト量生成部323を含んでいる。ディザマトリクス格納部122の構成は、第1の実施形態で説明したと同様である。ディザマトリクスD
8mは、ベイヤー型マトリクスから成り、階調変換部320は、ディザマトリクスD
8mを水平方向と垂直方向とにランダムに偶数画素分シフトして適用する。
【0123】
図20の(A)は、領域TE(p,q)における第1副画素に対応した、ディザマトリクスの水平方向及び垂直方向のシフト量の値を記した表である。
図20の(B)は、領域TE(p,q)における第2副画素に対応した、ディザマトリクスの水平方向及び垂直方向のシフト量の値を記した表である。
図20の(C)は、領域TE(p,q)における第3副画素に対応した、ディザマトリクスの水平方向及び垂直方向のシフト量の値を記した表である。
【0124】
図19に示すシフト量生成部323には、
図20に示す3種のテーブルが格納されている。このテーブルは予め作成されており、図示せぬ不揮発性メモリ等に格納されている。
【0125】
第1の実施形態において
図11を参照して説明したと同様に、
図20に示す値は、符号「p,q」の組み合わせに応じて「0,2,4,6」のいずれか1つをランダムに選択して設定されている。尚、
図20のテーブルは選択の一例に過ぎない。
【0126】
図21は、第3の実施形態に係る画像表示装置の階調変換部の動作を説明するための模式的なフローチャートである。
【0127】
第3の実施形態においても、基本的には、入力データvDR,vDB,vDGのそれぞれについて、第1の実施形態の入力データvDについての処理と類似した処理を行う。但し、
図19に示すディザ処理部321は、画素212R(x,y)に対応する入力データvDR(x,y)の処理に際しては、ディザマトリクスD
8mのシフト量としてΔIR(p,q)及びΔJR(p,q)を用い、フローチャートに示す動作に基づいて出力データVDRの値を決定する。
【0128】
そして、画素212G(x,y)に対応する入力データvDG(x,y)の処理に際しては、ディザマトリクスD
8mのシフト量としてΔIG(p,q)及びΔJG(p,q)を用い、フローチャートに示す動作に基づいて出力データVDGの値を決定する。
【0129】
また、画素212B(x,y)に対応する入力データvDB(x,y)の処理に際しては、ディザマトリクスD
8mのシフト量としてΔIB(p,q)及びΔJB(p,q)を用い、フローチャートに示す動作に基づいて出力データVDBの値を決定する。
【0130】
第3の実施形態にあっては、領域TE(p,q)の階調処理において、副画素毎にディザマトリクスD
8mのシフト量を異にすることができる。これにより、ディザマトリクスD
8mの配列に対応したパターンがより視認されにくくなる。
【0131】
[第4の実施形態]
第4の実施形態も、第2の実施形態の変形である。第4の実施形態において、階調変換部は、ディザマトリクスに対応する画素212の領域において、少なくとも2種類の副画素には同じ条件でシフトしたディザマトリクスを適用し、他の種類の副画素には異なる条件でシフトしたディザマトリクスを適用する。第2の実施形態とは、以上の点が主に相違する。
【0132】
図22は、第4の実施形態に係る画像表示装置の概念図である。
【0133】
第4の実施形態に係る画像表示装置4も、2次元マトリクス状に配列された画素212によって画像を表示する表示部210、及び、分散型のディザマトリクスD
8mを用いた階調変換を行うための階調変換部420を備えている。第1の実施形態と同様に、階調変換部420は、ディザマトリクスD
8mに対応する画素212の領域毎に、ディザマトリクスD
8mを水平方向と垂直方向とにランダムにシフトして適用し、表示部210の画像の階調変換を行う。
【0134】
表示部210の構成は、第2の実施形態で説明したと同様であるので説明を省略する。
【0135】
階調変換部420は、ディザ処理部421、ディザマトリクス格納部122及びシフト量生成部123を含んでいる。ディザマトリクス格納部122及びシフト量生成部123の構成は、第1の実施形態で説明したと同様であるので説明を省略する。ディザマトリクスD
8mは、ベイヤー型マトリクスから成り、階調変換部420は、ディザマトリクスD
8mを水平方向と垂直方向とにランダムに偶数画素分シフトして適用する。
【0136】
より具体的には、階調変換部420は、ディザマトリクスD
8mに対応する画素212の領域において、2種類の副画素(第1副画素212Rと第3副画素212B)には同じ条件でシフトしたディザマトリクスD
8mを適用し、他の種類の副画素(第2副画素212G)には同一条件でシフトしたディザマトリクスD
8mを更に水平方向と垂直方向のそれぞれに一定量シフトして適用する。他の種類の副画素は、最も輝度に寄与する色の副画素である。
【0137】
図23は、領域TE(p,q)における第1副画素及び第3副画素に適用されるディザマトリクスのシフト量と、第2副画素に適用されるディザマトリクスのシフト量とを説明するための模式的な平面図である。
【0138】
第4の実施形態にあっては、領域TE(p,q)における第1副画素212Rと第3副画素212Bには、第1の実施形態で説明したと同様の階調変換が行われる。即ち、第1副画素212Rと第3副画素212BにおけるディザマトリクスD
8mのシフト量を、共にΔI(p,q)及びΔJ(p,q)として処理を行う。一方、第2副画素212Gにおいては、ΔI(p,q)に更に一定量ΔI
F(
図23に示す例ではΔI
F=4)を加え、また、ΔJ(p,q)に更に一定量ΔJ
F(
図23に示す例ではΔJ
F=2)を加えて処理を行う。尚、ΔI
F及びΔJ
Fは、符号「p、q」の値に関わらず一定である。尚、ΔI
F、ΔJ
Fの値は、画像表示装置4の設計等に応じて適宜好適な値を選択すればよい。ディザマトリクスがベイヤー型である場合には、基本的には偶数画素分に対応する値とすることが好ましい。
【0139】
図24は、第4の実施形態に係る画像表示装置の第1副画素と第3副画素についての動作を説明するための模式的なフローチャートである。
図25は、第4の実施形態に係る画像表示装置の第2副画素についての動作を説明するための模式的なフローチャートである。
【0140】
第4の実施形態においても、基本的には、入力データvDR,vDB,vDGのそれぞれについて、第1の実施形態の入力データvDについての処理と類似した処理を行う。但し、ディザ処理部421は、
図24に示すように、画素212R(x,y)に対応する入力データvDR(x,y)と画素212B(x,y)に対応する入力データvDB(x,y)の処理に際しては、ディザマトリクスD
8mのシフト量としてΔI(p,q)及びΔJ(p,q)を用い、フローチャートに示す動作に基づいて出力データVDR,VDBの値を決定する。
【0141】
また、ディザ処理部421は、
図25に示すように、画素212G(x,y)に対応する入力データvDG(x,y)の処理に際しては、ディザマトリクスD
8mのシフト量として[ΔI(p,q)+ΔI
F]及び[ΔI(p,q)+ΔJ
F]を用い、フローチャートに示す動作に基づいて出力データVDGの値を決定する。
【0142】
第4の実施形態にあっては、領域TE(p,q)の階調処理において、第1副画素212R及び第3副画素212Bに対し、最も輝度に寄与する色の第2副画素212Gは更にディザマトリクスD
8mがΔI
F及びΔJ
Fシフトして適用される。これにより、ディザマトリクスD
8mの配列に対応したパターンがより視認されにくくなる。
【0143】
第4の実施形態によれば、第3の実施形態とは異なりシフト量生成部に複数のテーブルを格納する必要がない。そして、ディザ処理部421においてΔI
FとΔJ
Fを反映した判断を行えば足りる。第4の実施形態の構成は、回路規模の増大を招かないといった利点も備えている。
【0144】
[第5の実施形態]
第5の実施形態も、第2の実施形態の変形である。第5の実施形態において、階調変換部は、ディザマトリクスに対応する画素212の領域毎に、ディザマトリクスを回転させたマトリクス、若しくは、ディザマトリクスを水平方向、垂直方向又は対角方向に反転させたマトリクスのいずれか1つを選択し、ディザマトリクスとして適用する。第2の実施形態とは、以上の点が主に相違する。
【0145】
図26は、第5の実施形態に係る画像表示装置の概念図である。
【0146】
第5の実施形態に係る画像表示装置5も、2次元マトリクス状に配列された画素212によって画像を表示する表示部210、及び、分散型のディザマトリクスを用いた階調変換を行うための階調変換部520を備えている。第1の実施形態と同様に、階調変換部520は、ディザマトリクスに対応する画素212の領域毎に、ディザマトリクスを水平方向と垂直方向とにランダムにシフトして適用し、表示部210の画像の階調変換を行う。
【0147】
表示部210は、第2の実施形態で説明した表示部210と同一の構成であるので、説明を省略する。
【0148】
階調変換部520は、ディザ処理部521、ディザマトリクス格納部122及びシフト量生成部523を含んでいる。ディザマトリクス格納部122の構成は、第1の実施形態で説明したと同様である。ディザマトリクスD
8mは、ベイヤー型マトリクスから成り、階調変換部520は、ディザマトリクスD
8mを水平方向と垂直方向とにランダムに偶数画素分シフトして適用する。
【0149】
シフト量生成部523は、第1の実施形態において参照した
図11に示すテーブルに加えて、更に、領域TE(p,q)毎のディザマトリクス変形パラメータを格納したテーブルを備えている。
【0150】
図27の(A)は、領域TE(p,q)におけるマトリクス変形パラメータの値を記した表である。
【0151】
マトリクス変形パラメータMPは、「0乃至7」の値の整数である。
図27の(A)のテーブルは、符号「p,q」の組み合わせに応じて、「0乃至7」の値のいずれか1つをランダムに選択して設定されている。このテーブルは予め作成されており、図示せぬ不揮発性メモリ等に格納されている。第5の実施形態にあっては、ディザマトリクスD
8mの変形パターンは8通りである。
【0152】
図27の(B)は、マトリクス変形パラメータと変形の内容との対応関係を記した表である。
【0153】
図28の(A)乃至(D)は、それぞれ、マトリクス変形パラメータが0乃至3であるときのディザマトリクスを表した図である。
図29の(A)乃至(D)は、それぞれ、マトリクス変形パラメータが4乃至7であるときのディザマトリクスを表した図である。
【0154】
MPが0乃至3の場合には、それぞれ、ディザマトリクスD
8mの各要素を0度、90度、180度、270度回転させたマトリクスが対応する。
図28の(A)乃至(D)はそれぞれのマトリクスを示したものである。
【0155】
そして、MPが4乃至7の場合には、ディザマトリクスD
8mを水平方向、垂直方向又は対角方向に反転させたマトリクスが対応する。具体的には、MPが4の場合には、一方の対角線を軸として対角方向に反転したマトリクス(換言すれば、転置行列(D
8m)
t)が対応する(
図29の(A)参照)。MPが5の場合には、他方の対角線を軸として対角方向に反転したマトリクスが対応する(
図29の(B)参照)。MPが6の場合には、水平方向に反転したマトリクスが対応し(
図29の(C)参照)、MPが7の場合には、垂直方向に反転したマトリクスが対応する(
図29の(D)参照)。
【0156】
図30は、第5の実施形態に係る画像表示装置の階調変換部の動作を説明するための模式的なフローチャートである。
【0157】
第5の実施形態においても、基本的には、入力データvDR,vDB,vDGのそれぞれについて、第1の実施形態の入力データvDについての処理と類似した処理を行う。
【0158】
但し、
図26に示すディザ処理部521は、領域TE(p,q)に応じたシフト量ΔI(p,q)及びΔJ(p,q)に加えて、更に、領域TE(p,q)に対応するマトリクス変形パラメータMPの値を、シフト量生成部523から読み出す。そして、マトリクス変形パラメータMPの値に応じて、ディザマトリクスD
8mの要素を読み出す際の操作を適宜変更する。
【0159】
例えば、
図27の(A)に示す例では、符号「p,q」のとき、MPは4である。この場合には、
図29の(A)に示すように、ディザマトリクスD
8mを転置したマトリクスをディザマトリクスとして適用すればよい。実際には、
図30のフローチャートに示すように、符号「i」と符号「j」を入れ替えて条件判断を行えばよい。尚、MPが4以外の場合には、符号「i」と符号「j」の正負の入れ替えや、あるいは定数を加える等の操作を行って、条件判断を行えばよい。
【0160】
尚、第5の実施形態の場合、ディザマトリクスD
8の変形の態様によっては、高周波成分の位相が1画素分ずれることも考えられる。この場合には、
図11に示すパラーメータの一部を奇数値に変更してもよい。
【0161】
以上、この発明の実施形態について具体的に説明したが、この発明は、上述の実施形態に限定されるものではなく、この発明の技術的思想に基づく各種の変形が可能である。
【0162】
例えば、実施形態では、ディザマトリクスのシフト量は予めテーブルに格納されているとしたが、例えば、線形帰還シフトレジスタ(LFSR:Linier feedback shift register)をハードウェアあるいはソフトウェアにより実装し、これによってM系列の乱数を発生させ、シフト量を生成するといった構成とすることもできる。