(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、図面を参照して、実施形態に基づき本開示について説明する。本開示は実施形態に限定されるものではなく、実施形態における種々の数値や材料は例示である。以下の説明において、同一要素又は同一機能を有する要素には同一符号を用いることとし、重複する説明は省略する。尚、説明は、以下の順序で行う。
1.本開示の立体画像表示装置及びバックライト装置、全般に関する説明
2.実施形態に係る立体画像表示装置
【0015】
[本開示の立体画像表示装置及びその駆動方法、全般に関する説明]
本開示の立体画像表示装置は、視差画像(即ち、視差のある2つ(または、それ以上)の画像)を表示可能な画像表示部、視差画像を立体画像(三次元(3D)画像)として画像観察者に知覚させる光学部品、及び、画像表示部の背面側に配されたバックライト部を備えている。
【0016】
画像表示部として、液晶表示パネルなどといった、周知の透過型表示パネルを用いることができる。画像表示部は、モノクロ表示対応であってもよいし、カラー表示対応であってもよい。
【0017】
後述する実施形態に係る立体画像表示装置においては、画像表示部として、例えば、透過型のモノクロ表示対応の液晶表示パネルを用いる。また、実施形態にあっては、視差画像を立体画像として知覚させる光学部品は、画像表示部と画像観察者との間に配置されているとして説明する。
【0018】
尚、本開示の構造はこれに限られるものではなく、透過型表示パネルとバックライト部との間に、視差画像を立体画像として知覚させる光学部品が配置されているといった構成とすることもできる。また、画像表示部として、半透過型の液晶表示パネルを用いることもできる。
【0019】
画像表示部は、視差画像に加えて、通常の平面画像(二次元(2D)画像)をも表示することができる。画像表示部が平面画像を表示するときは、視差画像を立体画像として知覚させる光学部品がその機能を果たさないようにすることで、画像観察者は画像表示部の表示画像をそのまま平面画像として観察することができる。
【0020】
画像表示部が視差画像を表示するときは、視差画像を立体画像として知覚させる光学部品がその機能を果たすようにすることで、画像観察者はその視差画像を立体画像として観察することができる。すなわち、画像表示部と光学部品との組み合わせによって立体画像の表示が実現される、換言すれば、画像表示部によって表示された視差画像を、画像表示部と画像観察者との間の光路中に介在する光学部品の作用によって画像観察者による立体視が実現される。
【0021】
バックライト部は、2つの照明部、即ち、第1照明部及び第2照明部から成り、画像表示部をその背面側から照明する面光源装置である。第1照明部は、第1出射角度で画像表示部をその背面側から照明する。ここで、「背面側」とは、画像表示部において、画像を表示する表示面と反対側の面側を言う。第1照明部の構成は特に限定するものではない。第1照明部としては、広い出射角度(第1出射角度)で光を発する周知の照明装置を用いることができる。ここで、「広い出射角度」とは、画像表示部の背面を全面に亘って照明できる程度の出射角度を言う。
【0022】
一方、第2照明部は、画像表示部をその背面側から第1出射角度よりも狭い第2出射角度で照明する。第2照明部の構成についても特に限定するものではない。第2照明部としては、狭い出射角度で光を発する周知の照明装置を用いることができる。ここで、「狭い出射角度」とは、第1照明部の出射角度、特に、表示画面の左右方向(画素行の画素の配列方向/水平方向)における出射角度よりも狭い出射角度を言う。
【0023】
一例として、バックライト部の第1,第2照明部を2枚の導光板を用いて構成することができる。一方の導光板には拡散性の反射ドット、あるいは、プリズムなどといった散乱子を設けて第1照明部とする。この第1照明部において、光源から発せられた光が導光板に入射すると、ドット、あるいは、プリズムなどといった散乱子の作用によって散乱することで、広い角度分布の光として出射される。もう一方の導光板にはプリズムなどといった機構を設けて第2照明部とする。この第2照明部において、光源から発せられた光が導光板に入射すると、プリズムなどの機構を経ることで、狭い角度分布の光として出射される。
【0024】
第1照明部と第2照明部とは、平面画像の表示/立体画像の表示の画像表示モードに応じて切り替えて使用することが好ましい。但し、第1照明部と第2照明部とを同時に使用することを排除するものではない。例えば、広い第1出射角度の第1照明部を使用するときは、第1出射角度の角度範囲に含まれる第2出射角度の第2照明部を同時に使用するようにしてもよい。
【0025】
第1照明部は、画像表示部と画像観察者との間の光路中に光学部品が介在しない平面画像を表示するときに用いるようにするとよい。ここで、「介在しない」とは、視差画像を立体画像として知覚させる光学部品がその機能を果たさない状態を言う。光学部品が光路中に実際に存在していても、当該光学部品がその機能(視差画像を立体画像として知覚させる機能)を果たさない状態にあるときは「介在しない」の概念に含まれる。
【0026】
第2照明部は、光路中に光学部品が介在する立体画像を表示するときに用いるようにするとよい。第2照明部は、第1照明部の出射角度に比べて狭い出射角度で画像表示部を照明する。ここで、「介在する」とは、視差画像を立体画像として知覚させる光学部品がその機能を果たす状態を言う。
【0027】
第1照明部に比べて出射角度が狭い第2照明部を用いることにより、立体画像を表示する際の画像表示部の視野角は、平面画像を表示する際の画像表示部の視野角よりも狭くなる。立体画像の表示の際に、画像表示部の視野角が狭くなることで、画像観察者はこの狭い視野角の角度範囲内で表示画像を見る(観察する)ことになる。そして、表示画面を見る角度範囲が狭まることで、角度範囲が広い場合に比べて逆視の影響を抑えることができるため、視認性を向上できる。
【0028】
また、立体画像の表示時に第2照明部によって画像表示部を照明するときの光強度は、平面画像の表示時に第1照明部によって画像表示部を照明するときの光強度に比べて、出射角度が狭い分だけ強くなる。すなわち、出射角度が狭いことで、立体画像の表示時の画像表示部に対する照明の光強度を上げることができる。従って、立体画像を表示するときに第2照明部を用いることで、視差画像を立体的に知覚することを可能にする光学部品が光路中に介在しても、第1照明部を単独で用いる場合に比べて高い輝度を得ることができる。
【0029】
本開示の立体画像表示装置において、視差画像を立体画像として知覚させる光学部品については特に限定するものではない。当該光学部品としては、パララックスバリアやレンチキュラーレンズなどを例示することができる。
【0030】
パララックスバリアは、表示面のほぼ半分が遮光部(遮蔽部)となっているため、レンチキュラーレンズに比べて輝度が低下しやすい。このことから、視差画像を立体画像として知覚させる光学部品としてパララックスバリアを用いる立体画像表示装置に対して、そのバックライド部として、第1照明部と第2照明部とを切り替えて使用する上記構成のバックライト部を用いるのが好ましい。
【0031】
第1照明部と第2照明部との画像表示部に対する前後の位置関係は特に限定するものではない。立体画像の表示の際に第2照明部の狭い出射角度を有効に活用するという観点からすれば、画像表示部に対して第2照明部を第1照明部よりも前側(画像表示部側)に設けるのが好ましい。
【0032】
第1照明部から第2照明部への切り替え、あるいは、第2照明部から第1照明部への切り替えを、平面画像の表示から立体画像の表示への切り替え、あるいは、立体画像の表示から平面画像の表示への切り替え後所定の時間をかけてゆっくり行うのが好ましい。所定の時間としては、所定のフレーム数、例えば、3〜4フレーム程度のフレーム数に相当する時間が望ましい。ここで、「フレーム」とは、画像(映像)を構成する単位(1フレーム=1画像)を言う。
【0033】
画像表示部を駆動する駆動回路や、液晶方式のパララックスバリアを駆動する駆動回路は、種々の回路から構成することができる。これらは、周知の回路素子などを用いて構成することができる。
【0034】
本明細書に示す各種の条件は、厳密に成立する場合の他、実質的に成立する場合にも適用される。すなわち、設計上あるいは製造上生ずる種々のばらつきの存在は許容される。
【0035】
[実施形態に係る立体画像表示装置]
視差画像を立体画像として知覚させる光学部品としてパララックスバリアを用いる立体画像表示装置を、実施形態に係る立体画像表示装置として以下に説明する。
【0036】
図1は、実施形態に係る立体画像表示装置を仮想的に分離したときの模式的な斜視図である。
【0037】
図1に示すように、実施形態に係る立体画像表示装置1は、視差画像を表示可能な画像表示部10、視差画像を立体画像として知覚させる光学部品であるパララックスバリア20、及び、画像表示部10の背面側に配されたバックライト部30を備えている。
【0038】
画像表示部10は、例えば、液晶表示パネルから成る。液晶表示パネルは、例えば、フロントパネル11、リアパネル12、及び、フロントパネル11とリアパネル12との間に配置された液晶材料(図示せず)から成る。フロントパネル11は、全画素共通に設けられた透明共通電極を備えている。リアパネル12には、画素40が二次元マトリックス状に配置されている。リアパネル12は、画素40毎に設けられた透明画素電極を備えている。
【0039】
液晶表示パネルの動作モードは特に限定するものではない。所謂TNモードで駆動される構成であってもよいし、VAモードあるいはIPSモードなどで駆動される構成であってもよい。
【0040】
パララックスバリア20には、バリア(遮光部)が選択的に形成される可変バリアと、バリアが固定的に形成された固定バリアとがある。可変バリアは、バリアが形成された状態で視差画像を立体画像として知覚させる機能を果たし、バリアが形成されない状態ではその機能を果たさない。従って、平面画像を表示するときは、バリアが形成されない状態に維持される。
【0041】
一方、固定バリアは、常に視差画像を立体画像として知覚させる機能を果たす状態にある。従って、平面画像をも表示可能な立体画像表示装置において、パララックスバリア20として固定バリアを用いる場合は、平面画像を表示するときは、右眼用の画像及び左眼用の画像として視差のない2つの画像を画像表示部に表示することになる。
【0042】
本実施形態に係る立体画像表示装置1にあっては、パララックスバリア20として、可変バリアを使用するものとする。また、可変バリアとして、例えば、液晶を用いてバリア(遮光部)を形成する液晶方式のパララックスバリアを用いる。尚、パララックスバリア20として固定バリアの使用を排除するものではない。
【0043】
液晶方式のパララックスバリア20は、2枚のガラス基板21,22と、これらガラス基板21,22間の密閉空間に液晶材料が封入されて成る液晶層23とを有する。ガラス基板21,22の一方には、画像表示部10の画素列の画素の配列方向、即ち、垂直方向(図におけるY方向)に沿ってストライプ状の透明電極が一定の間隔で形成されている。ガラス基板21,22の他方には、ほぼ全面に亘って透明共通電極が形成されている。
【0044】
この液晶方式のパララックスバリア20において、ストライプ状の透明電極と透明共通電極との間に電圧を印加すると、ストライプ状の透明電極に対応してストライプ状に遮光部(バリア)24が一定の間隔で形成される。
図1では、遮光部24をハッチングで示している。そして、これらストライプ状の遮光部24の間が透過部25となる。
図1では、透過部25を白抜きで示している。
【0045】
上述した構成の液晶方式のパララックスバリア20は、画像表示部10との組み合わせで用いられ、当該画像表示部10によって表示された視差画像を立体的に知覚することを可能にする光学部品としての機能を持つ。すなわち、ストライプ状の透明電極と透明共通電極との間に電圧を印加し、ストライプ状の遮光部24とストライプ状の透過部25とを一定の間隔で交互に形成することで、画像表示部10によって表示された視差画像を画像観察者に立体画素(三次元画像)として知覚させることができる。
【0046】
逆に、ストライプ状の透明電極と透明共通電極との間に電圧を印加しないときは、液晶層23は全面に亘って透過状態(透過部)となる。この場合は、液晶方式のパララックスバリア20は、画像表示部10によって表示された視差画像を立体的に知覚することを可能にする光学部品としての機能を果たさない(持たない)。従って、ストライプ状の透明電極と透明共通電極との間に電圧を印加しないときは、立体画像の表示ではなく、通常の平面画像(二次元画像)の表示となる。
【0047】
図2は、実施形態に係る立体画像表示装置1の平断面図である。
図2に示すように、液晶表示パネルから成る画像表示部10において、当該画像表示部10の背面、即ち、リアパネル12のバックライト部30側の面には偏光板13が設けられている。また、液晶方式のパララックスバリア20において、ガラス基板21の表示面側の面と、ガラス基板22の画像表示部10側の面にはそれぞれ偏光板26,27が設けられている。
【0048】
(パララックスバリア方式の原理)
ここで、パララックスバリア方式の原理について説明する。尚、パララックスバリア方式には、2視差(2眼)方式、4視差(4眼)以上の多視差方式、ステップバリア方式などがある。ここでは、2視差方式を例に挙げてパララックスバリア方式の原理の概略について、
図3を用いて説明する。
【0049】
画像表示部10の行列状の画素配列において、各画素は画素列の単位で、右眼用の画像を表示する右眼用の画素群R
1,R
3,R
5,R
7,R
9と、左眼用の画像を表示する左眼用の画素群L
2,L
4,L
6,L
8,L
10とに分類される。すなわち、各画素は、右眼用の画素群R
1,R
3,R
5,R
7,R
9の画素列と左眼用の画素群L
2,L
4,L
6,L
8,L
10の画素列とが交互に配列された画素配列となっている。
【0050】
そして、右眼用の画素群R
1,R
3,R
5,R
7,R
9には画素列単位で右眼用の信号源から右眼用の映像信号が供給され、左眼用の画素群L
2,L
4,L
6,L
8,L
10には画素列単位で左眼用の信号源から左眼用の映像信号が供給される。これにより、画像表示部10上には、右眼用の画像と左眼用の画像との2つの画像、即ち、視差画像を表示することができる。
【0051】
画像表示部10上に視差画像が表示された状態において、
図2の(A)に示すように、右眼用の画素群R
1,R
3,R
5,R
7,R
9から出射された光線群は、パララックスバリア20の透過部25を通して視点2に達する。また、
図2の(B)に示すように、左眼用の画素群L
2,L
4,L
6,L
8,L
10から出射された光線群は、パララックスバリア20の透過部25を通して視点1に達する。
【0052】
このようにして、画像表示部10の表示面から所定距離をおいた位置にあっては、視点1の画像と視点2の画像が独立して観察される。すなわち、画像観察者の左眼と右眼とが視点1と視点2とに位置する、即ち、画像表示部10の表示面から所定距離だけ離れた位置で画像観察者が観察することで、画像表示部10によって表示された視差画像が、画像観察者の左右の眼に左眼用の画像と右眼用の画像として入射する。その結果、両眼視差が発生し、画像観察者は、画像表示部10に表示された視差画像を立体的に、即ち、立体画像として観察(知覚)することができる。
【0053】
(バックライト部)
図1に示すように、バックライト部30は、2つの照明部、即ち、第1照明部31及び第2照明部32から成る。第1照明部31及び第2照明部32はそれぞれ独立した光源33,34を備えている。光源33,34については特に限定するものではない。光源33,34としては、LEDや冷陰極管などといった周知の部材を用いることができる。LEDは、色再現域の広い光源である。
【0054】
第1照明部31は、光源33から発せられる光を基に、画像表示部10をその背面側から第1出射角度にて全面に亘って照明する。第2照明部32は、第1照明部31よりも画像表示部10側に配置され、光源34から発せられる光を基に、画像表示部10をその背面側から、表示画面の左右方向(図におけるX方向)において第1出射角度よりも狭い第2出射角度にて照明する。
【0055】
図4に、バックライト部30の構成の一例を平断面図にて示す。
【0056】
第1照明部31は、画像表示部10と同程度の大きさ(面積)のアクリル系材料などから成る導光板35を用いることによって構成されている。導光板35の画像表示部10と反対側には反射フィルム36が設けられている。反射フィルム36は、高輝度化、低消費電力化を図るために、光源33の光を効率良く導光板35側に反射させる作用を為す。反射フィルム36としては、例えば、ポリエステル系樹脂を用いた多層膜構造のものなどを用いることができる。
【0057】
導光板35は、画像表示部10と反対側の内面に拡散性の反射ドット、あるいは、プリズムなどといった散乱子を有している。本例の場合、
図4に導光板35の一部を拡大して示すように、散乱子35
Aとして、導光板35の画像表示部10と反対側の内面から内部側に突出した多面体形状のプリズムを用いる構成を採っている。
【0058】
ここで例示した散乱子37の構成については一例に過ぎず、多面体形状のプリズムに限られるものではない。散乱子35
Aとして、例えば、拡散性の反射ドット(例えば、白色ドット)を用いてもよい。散乱子35
Aは、画像表示部10と反対側の内面の全面に亘って非規則的に配置される。但し、規則的な配置を排除するものではない。
【0059】
導光板35から出射される光の分布などは、散乱子35
Aの配置の密度や、形状の高さ(深さ)などによって決まる。散乱子35
Aの配置の密度については、光源33からの距離が長くなるに連れて高密度になるように散乱子35
Aを配置するのが好ましい。あるいは又、散乱子35
Aの形状の高さについては、光源33からの距離が長くなるに連れて形状が高く(深く)なるように形成するのが好ましい。
【0060】
散乱子35
Aの配置の密度及び形状の高さについての上記の構成を併用するのが更に好ましい。但し、単独での採用を排除するものではない。
【0061】
光源33からの距離が長くなると、その分だけ到達する光の強度が弱まる。これに対して、光源33から離れるに連れて散乱子35
Aの配置の密度が高くなると、その分だけ光が多く散乱するため、光源33からの距離に関係なく、導光板35の全体に亘ってほぼ均一な光強度の散乱光を得ることができるようになる。あるいは又、光源33から離れるに連れて散乱子35
Aの形状が高くなると、その分だけ光の当たる面積が多くなるため、光源33からの距離に関係なく、導光板35の全体に亘ってほぼ均一な光強度の散乱光を得ることができるようになる。
【0062】
因みに、散乱子35
Aとして反射ドットを用いる場合には、当該反射ドットの面積を光源33から離れるに連れて大きくなるように形成するのが好ましい。このようにすることで、光源33から遠く離れるほど、散乱子35
Aに光が当たる面積が大きくなるため、光源33からの距離に関係なく、導光板35の全体に亘ってほぼ均一な光強度の散乱光を得ることができるようになる。
【0063】
第2照明部32は、第1照明部31の導光板35と同程度の大きさ(面積)のアクリル系材料などから成る導光板37を用いることによって構成されている。導光板37の画像表示部10側には、プリズムフィルム(プリズムシート)38及び拡散フィルム39がその順番で設けられている。
【0064】
導光板37は、画像表示部10と反対側の内面に、例えば、光源34から離れるに連れて所定の角度(傾斜角)で上昇する傾斜面を持つプリズム37
Aを有している。このプリズム37
Aは、画像表示部10の画素列の画素の配列方向(図におけるY方向)に沿って帯状に形成されている。また、この帯状のプリズム37
Aは、画像表示部10の画素行の画素の配列方向(図におけるX方向)において一定の間隔で配列されている。導光板37から出射される光の分布などは、プリズム37
Aの傾斜面の傾斜角や、配列の間隔などによって決まる。
【0065】
プリズムフィルム38は、シート状の透光性部材から成る集光効果を持った光偏向素子であり、バックライト部30の光学的な効率を改善して視認方向から見た輝度を向上させる目的で用いられる。拡散フィルム39は、導光板35からの光を画像表示部10に対してその全面に亘って照射する作用を為す。拡散フィルム39のベースフィルムには、光学特性に優れたPETフィルムなどといった周知のフィルムを用いることができる。
【0066】
上記構成のバックライト部30における第1照明部31及び第2照明部32の動作について説明する。
【0067】
先ず、第1照明部31において、光源33から発せられた光は、導光板35内にその側面から入射する。導光板35内に入射した光は、全反射を繰り返して導光板35内を拡がる。このとき、導光板35の画像表示部10と反対側の内面に多面体形状の散乱子35
Aが存在することから、当該散乱子35
Aによって光が散乱され、その散乱光が導光板35から画像表示部10側に出る。そして、導光板35から出た散乱光は、プリズムフィルム38を経た後拡散フィルム39で拡散されることによって広い角度分布の光(第1出射角度の光)として画像表示部10をその背面側から照明する。
【0068】
次に、第2照明部32において、光源34から発せられた光は、導光板37内にその側面から入射する。導光板37内に入射した光は、全反射を繰り返して導光板37内を拡がる。この全反射を繰り返す過程において、全反射の条件を満たさないところで小さい出射角度にて光が導光板37の外に出る。このとき、導光板37から出る光の角度、即ち、出射角度はほぼ一定となる。そして、ほぼ一定の小さい出射角度にて導光板37から出た光は、プリズムフィルム38を経ることで、狭い角度分布の光(第2出射角度の光)として画像表示部10をその背面側から照明する。
【0069】
以上説明した実施形態に係る立体画像表示装置1において、バックライト部30は、第1照明部31による画像表示部10の照明と、第2照明部32による画像表示部10の照明とを選択的に行うことができる。具体的には、平面画像を表示するときは、第1出射角度の第1照明部31を用い、立体画像を表示するときは、第1出射角度よりも狭い第2出射角度の第2照明部32を用いる。
【0070】
このように、立体画像の表示時に、バックライト部30から発せられる光の出射角度を平面画像の表示時よりも狭くすることで、画像表示部10の視野角が狭くなるため、画像観察者が画像表示部10による表示画面を観察(視聴)可能な角度範囲が狭くなる。こけにより、逆視の影響を抑えることができるため、視認性を向上できる。更に、バックライト光の出射角度が狭いことで、画像表示部10に対する照明の光強度を上げることができるため、画像表示部10と画像観察者との間の光路中にバララックスバリア20が介在していても、第1照明部31を用いる場合よりも高い輝度を得ることができる。
【0071】
ここで、表示画面の正面から見たときの輝度及び効率について、下記の条件の下での平面画像の表示時と立体画像の表示時との試作結果を比較する。ここでは、通常のバックライト部(第1照明部31を用いるときのバックライト部30に相当)と、実施形態に係るバックライト部30とを比較する。因みに、通常のバックライト部のサイズを3.5[インチ]、実施形態に係るバックライト部30のサイズを3.0[インチ]としている。
【0072】
そして、平面画像(2D)の表示時は、バックライト光の出射角度を共に46度とすると、通常のバックライト部の場合は、輝度が1500[nit]、消費電力が490[mW]、効率が0.38[nit/mW・ルーメン]といった試作結果が得られた。これに対し、実施形態に係るバックライト部30の場合は、輝度が8000[nit]、消費電力が399[mW]、効率が0.38[nit/mW・ルーメン]といった試作結果が得られた。
【0073】
また、立体画像(3D)の表示時は、バックライト光の出射角度については、通常のバックライト部では平面画像の表示時と同じ46度であり、実施形態に係るバックライト部30では通常のバックライト部の半分以下の20度としている。
【0074】
この条件の下において、通常のバックライト部の場合は、輝度が1500[nit]、消費電力が490[mW]、効率が0.38[nit/mW・ルーメン]といった試作結果が得られた。これに対し、実施形態に係るバックライト部30の場合は、輝度が4000[nit]、消費電力が126[mW]、効率が0.57[nit/mW・ルーメン]といった試作結果が得られた。
【0075】
上記の条件の下での試作結果の比較から明らかなように、実施形態に係るバックライト部30によれば、立体画像の表示時にバックライト光の出射角度を狭くすることで、通常のバックライト部に比べて輝度を約2.7倍、効率を約1.5倍にすることができる。
【0076】
(駆動回路)
次に、実施形態に係る立体画像表示装置1の駆動回路について説明する。
【0077】
図5は、実施形態に係る立体画像表示装置1の駆動回路の構成の一例を示すブロック図である。
【0078】
図5に示すように、本構成例に係る駆動回路50は、制御部51、パネル駆動部52、光源駆動部53、及び、照明切り替え部54を有する構成となっている。制御部51は、例えば、DSP(Digital Signal Processor)によって構成され、映像信号及び3D/2D信号をパネル駆動部52に対して与える。ここで、「3D/2D信号」とは、立体画像の表示を行うか、平面画像の表示を行うかを示す信号である。パネル駆動部52、光源駆動部53、及び、照明切り替え部54については、周知の回路素子などを用いて構成することができる。
【0079】
パネル駆動部52は、映像信号及び3D/2D信号を受けて、映像信号を画像表示部10に供給するとともに、3D/2D信号に基づいてバリアON/バリアOFFを指示するバリア駆動信号をパララックスバリア20に供給する。ここで、「バリアON」とは、パララックスバリア20に遮光部(バリア)24を形成させることを言う。また、「バリアOFF」とは、パララックスバリア20に遮光部24を形成させないこと、即ち、パララックスバリア20を全面に亘って透過状態にすることを言う。
【0080】
パネル駆動部52は更に、映像信号及び3D/2D信号を受けて、バックライト部30の第1照明部31/第2照明部32の切り替え信号、即ち、2D/3D切り替え信号を照明切り替え部54に与える。光源駆動部53は、バックライト部30の光源33,34を駆動するための電源を照明切り替え部54に供給する。
【0081】
照明切り替え部54は、2D/3D切り替え信号を受けて、バックライト部30の第1照明部31/第2照明部32の切り替えのための制御を行う。具体的には、照明切り替え部54は、第1照明部31から第2照明部32への切り替え、または、第2照明部32から第1照明部31への切り替えを、平面画像から立体画像への表示切り替え、または、立体画像から平面画像への表示切り替え後所定の時間をかけて緩やかに行う。
【0082】
図6に、第1照明部31/第2照明部32の切り替え時の制御の様子を示す。
図6において、(A)は2D/3D切り替え信号を、(B)は3D/2D切り替え信号を、(C)は第1照明部31の光源33の電流を、(D)は第2照明部32の光源34の電流をそれぞれ示している。
【0083】
ここで、上記の所定の時間、即ち、光源33,34の電流の立ち上がり/立ち上がりの開始時点から立ち上がり/立ち下がりの完了時点までの時間Tとしては、所定のフレーム数、例えば、3〜4フレーム程度のフレーム数に相当する時間が望ましい。
【0084】
このように、第1照明部31/第2照明部32の切り替えを、平面画像/立体画像の切り替え後所定の時間Tをかけて緩やかに(ゆっくりと)行うことで、第1照明部31/第2照明部32の切り替えに伴う輝度の急激な変化を抑えることができる。これにより、画像観察者に対して違和感を与えることなく、第1照明部31と第2照明部32との切り替えを行うことができる。
【0085】
尚、本開示は以下のような構成を取ることができる。
(1)視差画像を表示可能な画像表示部、
視差画像を立体画像として知覚させる光学部品、及び、
画像表示部の背面側に配されたバックライト部を備えており、
バックライト部は、
画像表示部による平面画像の表示の際に第1出射角度で画像表示部を照明する第1照明部と、
画像表示部及び光学部品による立体画像の表示の際に第1出射角度よりも狭い第2出射角度で画像表示部を照明する第2照明部とを有する立体画像表示装置。
(2)第2の出射角度は、画素表示部の画素行の画素の配列方向における角度である前記(1)に記載の立体画像表示装置。
(3)光学部品は、パララックスバリアである前記(1)に記載の立体画像表示装置。
(4)パララックスバリアは、バリアを選択的に形成する可変バリアである前記(3)に記載の立体画像表示装置。
(5)可変バリアは、液晶を用いて選択的にバリアを形成する前記(4)に記載の立体画像表示装置。
(6)第2照明部は、第1照明部よりも画像表示部側に設けられている前記(1)から(5)のいずれかに記載の立体画像表示装置。
(7)第1照明部から第2照明部への切り替え、または、第2照明部から第1照明部への切り替えを、平面画像から立体画像への表示切り替え、または、立体画像から平面画像への表示切り替え後所定の時間をかけて行う前記(1)から(6)のいずれかに記載の立体画像表示装置。
(8)所定の時間は、所定のフレーム数に相当する時間である前記(7)に記載の立体画像表示装置。
(9)視差画像を表示可能な画像表示部、
視差画像を立体画像として知覚させる光学部品、及び、
画像表示部の背面側に配されたバックライト部を備えており、
バックライト部は、
第1出射角度で画像表示部を照明する第1照明部と、
第1出射角度よりも狭い第2出射角度で画像表示部を照明する第2照明部とを有する立体画像表示装置の駆動に当たって、
画像表示部による平面画像の表示時と画像表示部及び光学部品による立体画像の表示時とで第1照明部と第2照明部とを切り替える立体画像表示装置の駆動方法。