(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
DSC溶融転移温度が116〜123℃、密度が0.880〜0.930g/cc、n−ヘキサン抽出分が0〜6重量%及びメルトフロー比が26〜34であることを特徴とし、エチレンがコポリマーの少なくとも50重量%を構成するエチレンと1−ヘキセンとのコポリマー。
DSC溶融転移温度が119〜121℃、密度が0.905〜0.920g/cc、n−ヘキサン抽出分が0〜3重量%及びメルトフロー比が26〜32である請求項1に記載のコポリマー。
DSC溶融転移温度が116〜123℃、密度が0.880〜0.930g/cc、n−ヘキサン抽出分が0〜6重量%及びメルトフロー比が26〜34であることを特徴とし、エチレンがコポリマーの少なくとも50重量%を構成するエチレンと炭素数5〜16の少なくとも1種のオレフィンとのコポリマー。
【技術分野】
【0001】
発明の分野
本発明は、狭い分子量分布(MWD)値を有する
エチレンとオレフィンとの新規なコポリマーに関する。本発明
に係るポリエチレンは、一般に、n−ヘキサン溶解性の減少したポリマーフラクションを有することによって更に特徴づけられる。さらに、本発明は
新規なポリエチレンから製造されたフィルム及び物品に関する。
【0002】
発明の背景
オレフィン重合のための触媒系は公知であり、少なくとも米国特許第3,113,115号の発行以来知られている。その後、新しいまたは改良されたチーグラー・ナッタ型触媒に関する多くの特許が発行された。このような特許の代表例は、米国特許第3,594,330号;同第3,676,415号;同第3,644,318号;同第3,917,575号;同第4,105,847号;同第4,148,754号;同第4,256,866号;同第4,298,713号;同第4,311,752号;同第4,363,904号;同第4、481、301号及び同再発行特許第33,683号である。
【0003】
これらの特許は、チーグラー・ナッタ型触媒を開示している。チーグラー・ナッタ型触媒は典型的に、遷移金属成分と代表的には有機アルミニウム化合物である助触媒とからなるものとしてよく知られている。場合によって触媒と共に、ハロゲン化炭化水素のような活性化剤及び電子供与体のような活性調節剤が使用される。
【0004】
ポリエチレンの製造においてチタン基材チーグラー・ナッタ型重合触媒と共にハロゲン化炭化水素を使用することは、ヨーロッバ特許出願EP A0 529977 A1号及び同0 703246 A1号に開示されている。開示された通り、ハロゲン化炭化水素は、エタン形成速度を低下させ、触媒効率を改善し、または他の効果をもたらすことができる。このようなハロゲン化炭化水素の代表的なものは、炭素数1〜12の飽和または不飽和脂肪族、脂環式または芳香族炭化水素モノハロゲン及びポリハロゲン置換体である。代表的な脂肪族化合物としては、塩化メチル、臭化メチル、ヨウ化メチル、塩化メチレン、臭化メチレン、ヨウ化メチレン、クロロホルム、ブロモホルム、ヨードホルム、四塩化炭素、四臭化炭素、四ヨウ化炭素、塩化エチル、臭化エチル、1,2−ジクロロエタン、1,2−ジブロモエタン、メチルクロロホルム、ペルクロロエチレンなどが挙げられる。代表的な脂環式化合物としては、クロロシクロプロパン、テトラクロロシクロペンタンなどが挙げられる。代表的な芳香族化合物としては、クロロベンゼン、ヘキサブロモベンゼン、ベンゾトリクロリドなどが挙げられる。これらの化合物は単独で用いてもよいし、それらの混合物として用いてもよい。
【0005】
また、オレフィン重合においては、チーグラー・ナッタ型触媒を用いる場合には特に、場合によって電子供与体を使用することがよく知られている。このような電子供与体は多くの場合、触媒の効率を増大し且つ/またはエチレン以外のオレフィンを重合する場合にはポリマーの立体特異性を制御するのに役立つ。電子供与体は、典型的にルイス塩基として知られ、触媒製造工程の間に使用されることもできるし(内部電子供与体)、重合反応の間に触媒が1種または複数のオレフィンと接触する場合に使用することもできる(外部電子供与体)。
【0006】
プロピレン重合の分野における電子供与体の使用は公知であり、主にアタクチック型のポリマーを減少させると同時にイオソタクチックポリマーの製造を増加させるのに使用される。しかし、イソタクチックポリプロピレンの製造は改善するが、電子供与体は典型的に、チーグラー・ナッタ型触媒の生産性を低下させる傾向がある。
【0007】
エチレン重合の分野においては、エチレンがポリマー中に存在する総モノマーの少なくとも約50重量%を構成する場合に、電子供与体はポリマーの分子量分布(MWD)と重合媒体中の触媒の活性を制御するのに使用される。ポリエチレンの製造に内部電子供与体を使用することを記載している代表的な特許は、米国特許第3,917,575号;同第4,187,385号;同第4,256,866号;同第4,293,673号;同第4,296,223号;同再発行特許第33,683号;同第4,302,565号;同第4,302,566号;及び同第5,470,812号である。分子量分布を制御するための外部電子供与体の使用は、米国特許第5,055,535号に示されており、触媒粒子の反応性を制御するための外部電子供与体の使用は、米国特許第5,410,002号に記載されている。
【0008】
電子供与体の実例としては、カルボン酸、カルボン酸エステル、アルコール、エーテル、ケトン、アミン、アミド、ニトリル、アルデヒド、アルコラート、チオエーテル、チオエステル、炭酸エステル、酸素原子を含む有機珪素化合物、及び炭素もしくは酸素原子を通して有機基に接続されるリン、砒素またはアンチモン化合物が挙げられる。
前に挙げたものは、適当な電子供与体の一部分である。本発明に関しては、オレフィン重合法において適当な任意の電子供与体を使用することができる。
【0009】
発明の要約
本発明の方法は、少なくとも1種の遷移金属を含む成分及び少なくとも1種の有機金属化合物を含む助触媒からなる少なくとも1種のチーグラー・ナッタ触媒、並びにそれが存在しない場合の分子量分布よりも狭い分子量分布を有するオレフィンホモポリマーまたはインターポリマーを得るのに充分な量の所定の化合物の存在下において少なくとも1種のオレフィンを重合させることを含んでなる。重合方法に添加する所定の化合物は以下の化合物から選ばれる:
【0010】
1)ゲルマニウム、錫及び鉛の酸化物;
2)ジシアン(C
2 N
2 );
3)式CEまたはC
3 E
2 (式中、E=O及びNRであり、Rは水素、ハロゲン、50個以下の非水素原子を含むアルキル基、50個以下の非水素原子を含むアリール基、50個以下の非水素原子を含むシリル基、50個以下の非水素原子を含むアルコキシ基、50個以下の非水素原子を含むアミノ基、50個以下の非水素原子を含むチオラート基、または50個以下の非水素原子を含むボリル(boryl)基である)の炭素の酸化物またはイミド;
4)炭素、珪素、ゲルマニウム、錫及び鉛の硫黄、セレンまたはテルル含有カルコゲニド;
5)1種より多いカルコゲンを含む炭素、珪素、ゲルマニウム、錫及び鉛のカルコゲニド;
【0011】
6)式C(E)(X)(式中、E=O,S,Se,TeまたはNRであり;X=NR’であり、R及び/またはR’は水素、ハロゲン、50個以下の非水素原子を含むアルキル基、50個以下の非水素原子を含むアリール基、50個以下の非水素原子を含むシリル基、または50個以下の非水素原子を含むボリル基である)を有する炭素、珪素、ゲルマニウム、錫及び鉛のカルコゲニドイミド;
7)式C(E)X
2 (式中、E=O,S,Se,Te及びNRであり、Rは水素、ハロゲン、50個以下の非水素原子を含むアルキル基、50個以下の非水素原子を含むアリール基、50個以下の非水素原子を含むシリル基、または50個以下の非水素原子を含むボリル基であり;Xはハロゲンである)の炭素、珪素、ゲルマニウム、錫及び鉛のカルコゲニルハライドまたはイミドハライド;
8)元素の形態のリン、砒素、アンチモン及びビスマス;
9)窒素、リン、砒素、アンチモン及びビスマスの酸化物;
10)窒素オクソ酸またはそれらの陰イオンを含む塩;
11)式E
n X
m (式中、Eは窒素、リン、砒素、アンチモンまたはビスマスであり、Xはハロゲンまたはプソイドハロゲンであり、n=1〜10であり、m=1〜20である)のハロゲン化物;
【0012】
12)一般式E
n Y
m (式中、E=N,P,As,Sb及びBiであり;Y=S,Se,Te,Po及びNRであり;n=1〜10であり;m=1〜40であり、Rは水素、ハロゲン、50個以下の非水素原子を含むアルキル基、50個以下の非水素原子を含むアリール基、50個以下の非水素原子を含むシリル基、または50個以下の非水素原子を含むボリル基である)の窒素、リン、砒素、アンチモン及びビスマスのカルコゲニドまたはイミド;
13)式E
n Y
m X
q (式中、E=N,P,As,Sb及びBiであり;Y=O,S,Se,Te及びNRであり;Xは水素、ハロゲン、50個以下の非水素原子を含むアルキル基、50個以下の非水素原子を含むアリール基、50個以下の非水素原子を含むシリル基、50個以下の非水素原子を含むアルコキシ基、50個以下の非水素原子を含むアミノ基、50個以下の非水素原子を含むチオラート基、または50個以下の非水素原子を含むボリル基であり;n=1〜20であり;m=1〜40であり;q=1〜40であり、Rは水素、ハロゲン、50個以下の非水素原子を含むアルキル基、50個以下の非水素原子を含むアリール基、50個以下の非水素原子を含むシリル基、50個以下の非水素原子を含むアルコキシ基、50個以下の非水素原子を含むアミノ基、50個以下の非水素原子を含むチオラート基、または50個以下の非水素原子を含むボリル基である)を有する窒素、リン、砒素、アンチモン及びビスマスのカルコゲニルまたはイミド化合物;
14)インタープニクトゲン;
【0013】
15)一般式(NPR
2)
x (式中、R=ハロゲンまたは50個以下の非水素原子を含むアルキルもしくはアリール基であり、xは少なくとも2である)のホスファゼン;
16)一般式A(E)X
3 (式中、A=P,As,Sb及びBiであり;E=NRまたはCR
2 であり、Rは水素、ハロゲン、50個以下の非水素原子を含むアルキル基、50個以下の非水素原子を含むアリール基、50個以下の非水素原子を含むシリル基、50個以下の非水素原子を含むアルコキシ基、50個以下の非水素原子を含むアミノ基、50個以下の非水素原子を含むチオラート基、または50個以下の非水素原子を含むボリル基であり;Xは水素、ハロゲン、50個以下の非水素原子を含むアルキル基、50個以下の非水素原子を含むアリール基、50個以下の非水素原子を含むシリル基、50個以下の非水素原子を含むアルコキシ基、50個以下の非水素原子を含むアミノ基、50個以下の非水素原子を含むチオラート基、または50個以下の非水素原子を含むボリル基である)の化合物;
【0014】
17)プニクトゲン水素化物;
18)元素の形態の酸素、硫黄、セレン及びテルル;
19)インターカルコゲン;
20)式E
n X
m (式中、E=O,S,Se及びTeであり;Xは水素、ハロゲン、50個以下の非水素原子を含むアルキル基、50個以下の非水素原子を含むアリール基、50個以下の非水素原子を含むシリル基、50個以下の非水素原子を含むアルコキシ基、50個以下の非水素原子を含むアミノ基、50個以下の非水素原子を含むチオラート基、または50個以下の非水素原子を含むボリル基であり、n=1〜10であり、m=1〜20である)の1種もしくはそれ以上のカルコゲン及び1種もしくはそれ以上のハロゲンを含む化合物;
21)一般式EOX
2 (式中、E=O,S,Se及びTeであり;Xは水素、ハロゲン、50個以下の非水素原子を含むアルキル基、50個以下の非水素原子を含むアリール基、50個以下の非水素原子を含むシリル基、50個以下の非水素原子を含むアルコキシ基、50個以下の非水素原子を含むアミノ基、50個以下の非水素原子を含むチオラート基、または50個以下の非水素原子を含むボリル基である)の化合物;
【0015】
22)一般式EOX
4 (式中、E=S,Se及びTeであり;Xは水素、ハロゲン、50個以下の非水素原子を含むアルキル基、50個以下の非水素原子を含むアリール基、50個以下の非水素原子を含むシリル基、50個以下の非水素原子を含むアルコキシ基、50個以下の非水素原子を含むアミノ基、50個以下の非水素原子を含むチオラート基、または50個以下の非水素原子を含むボリル基である)の化合物;
23)一般式EO
2 X
2 (式中、E=S,Se及びTeであり;Xは水素、ハロゲン、50個以下の非水素原子を含むアルキル基、50個以下の非水素原子を含むアリール基、50個以下の非水素原子を含むシリル基、50個以下の非水素原子を含むアルコキシ基、50個以下の非水素原子を含むアミノ基、50個以下の非水素原子を含むチオラート基、または50個以下の非水素原子を含むボリル基である)の化合物;
24)硫黄−窒素化合物;
【0016】
25)式S(NR)
n X
m (式中、n=1〜3であり;m=0〜6であり;Xは水素、ハロゲン、50個以下の非水素原子を含むアルキル基、50個以下の非水素原子を含むアリール基、50個以下の非水素原子を含むシリル基、50個以下の非水素原子を含むアルコキシ基、50個以下の非水素原子を含むアミノ基、50個以下の非水素原子を含むチオラート基、または50個以下の非水素原子を含むボリル基であり;Rは水素、ハロゲン、50個以下の非水素原子を含むアルキル基、50個以下の非水素原子を含むアリール基、50個以下の非水素原子を含むシリル基、50個以下の非水素原子を含むアルコキシ基、50個以下の非水素原子を含むアミノ基、50個以下の非水素原子を含むチオラート基、または50個以下の非水素原子を含むボリル基である)の化合物;
26)硫黄オクソ酸、ペルオクソ酸及びそれらの陰イオンを含む塩;
27)セレンオクソ酸、ペルオクソ酸及びそれらの陰イオンを含む塩;
28)テルルオクソ酸、ペルオクソ酸及びそれらの陰イオンを含む塩;
29)カルコゲン水素化物;
30)元素の形態のフッ素、塩素、臭素、ヨウ素及びアスタチン;
31)ハロゲン間化合物、それらの陽イオンを含む塩、及びそれらの陰イオンを含む塩;
32)ポリハライド陽イオン及び/または陰イオンを含む塩;
【0017】
33)ホモレプチックまたはヘテロレプチック酸化ハロゲン、それらの陽イオンを含む塩、及びそれらの陰イオンを含む塩;
34)オクソ酸及びそれらの陰イオンを含む塩;
35)ハロゲン化水素;
36)NH
4 F,SF
4 ,SbF
3 ,AgF
2 ,KHF
2 ,ZnF
2 ,AsF
3 及びHF
2 - 陰イオンを含む塩;
37)ハロゲン化水素酸;
38)He,Ne,Ar,Kr,Xe及びRn酸化物、それらの陽イオンを含む塩、及びそれらの陰イオンを含む塩;
39)He,Ne,Ar,Kr,Xe及びRnハロゲン化物、それらの陽イオンを含む塩、及びそれらの陰イオンを含む塩;
40)He,Ne,Ar,Kr,Xe及びRnカルコゲニルハライド、それらの陽イオンを含む塩、及びそれらの陰イオンを含む塩;
【0018】
41)水、アルコール、硫化水素及びチオールからなる群から選ばれた材料と前記化合物及び対応する陰イオンを含むそれらの塩の任意のものとを反応させることによって得られる生成物;
42)有機過酸化物;
43)水;ならびに
44)それらの混合物。
【0019】
また、少なくとも1種又はそれ以上のオレフィンを含むポリマーの分子量分布を狭める方法であって、重合条件下において少なくとも1種又はそれ以上のオレフィンを、少なくとも1種の遷移金属を含む成分及び少なくとも1種の有機金属化合物からなる助触媒からなる少なくとも1種のチーグラー・ナッタ触媒、ならびに少なくとも1種の所定の化合物(所定の化合物は、得られる重合物の分子量分布が、それが存在しない場合の分子量分布よりも狭くなるのに充分な量で存在する)と接触させることを含んでなる方法が提供される。前記の所定の化合物は前に列挙したものである。
【0020】
本明細書中において、周期律表の族の元素については全て、“Chemical and Engineering News”,63(5),27,1985中に掲載された元素周期律表を参照して言及した。この様式では、族は1〜18の番号が付けられている。
本発明の新規重合方法の実施においては、場合によっては任意の電子供与体及び/またはハロゲン化炭化水素化合物を添加することもできる。
また、本発明は新規ポリエチレンホモポリマー及びインターポリマーも含む。さらに、本発明はこの新規ポリエチレンホモポリマー及びインターポリマーから製造されるフィルム及び物品も含む。
【0021】
発明の詳細な説明
本発明は、少なくとも1種の遷移金属を含む成分及び少なくとも1種の有機金属化合物を含む助触媒からなる少なくとも1種のチーグラー・ナッタ触媒、ならびにそれが存在しない場合の分子量分布(MWD)よりも狭い分子量分布を有することを特徴とするポリオレフィンホモポリマーまたはインターポリマーを得るのに充分な量の所定の化合物の存在下において少なくとも1種のオレフィンを重合する方法に関する。前記の所定の化合物は、前に列挙した通りである。
【0022】
また、少なくとも1種のオレフィンを含むポリマーの分子量分布を狭める方法であって、重合条件下において少なくとも1種又はそれ以上のオレフィンを、少なくとも1種の遷移金属を含む成分及び少なくとも1種の有機金属化合物を含む助触媒からなる少なくとも1種のチーグラー・ナッタ触媒、ならびに少なくとも1種の所定の化合物(所定の化合物は、得られる重合物の分子量分布が、それが存在しない場合の分子量分布よりも狭くなるのに充分な量で存在する)と接触させることを含んでなる方法が提供される。前記の所定の化合物は前に列挙した通りである。
【0023】
本発明において、少なくとも1種のオレフィンの重合は任意の適当な方法を用いて実施できる。例えば、懸濁液、溶液または気相媒体中における重合を使用できる。これらの重合方法は全て公知である。
【0024】
本発明に従ってポリエチレンポリマーを製造するのに特に望ましい方法は気相重合法である。この型の方法及び重合反応器を操作する手段は公知であり、米国特許第3,709,853号;同第4,003,712号;同第4,001,382号;同第4,012,573号;同第4,302,566号;同第4,543,399号;同第4,882,400号;同第5,352,749号;同第5,541,270号;カナダ国特許第991,798号;及びベルギー国特許第839,380号に余すところなく記載されている。これらの特許は、重合ゾーンが、機械的に撹拌されるかまたは気体モノマーまたは希釈剤の連続流によって流動化される気相重合法を開示している。これらの特許の全内容を参照することによって本明細書中に取り入れる。
【0025】
一般に、本発明の重合方法は流動床法のような連続気相法として行うことができる。本発明の方法において使用する流動床反応器は、典型的には、反応ゾーンといわゆる減速ゾーンを含む。反応ゾーンは、生長中のポリマー粒子、形成されたポリマー粒子及び微少量の触媒粒子からなる床を含み、気体モノマー及び反応ゾーンから重合熱を除去するための希釈剤の連続流によって流動化されている。場合によっては、再循環された気体の一部が冷却され、圧縮されて液体を形成することができる。この液体は、反応ゾーンに再び入る時に、循環している気体流の熱除去容量を増す。適当な気体流量は、簡単な実験によって容易に測定できる。気体モノマーの循環気体流への接近速度は、粒状ポリマー生成物及びこれに対応したモノマーを反応器から取り出す速度に等しく、反応器を通過する気体の組成は、反応ゾーン内においてほとんど定常状態の気体組成を保持するように調節される。反応ゾーンから出た気体は、減速ゾーンに進み、そこで同伴された粒子が除去される。比較的微細な同伴粒子及びダストはサイクロン及び/または微細フィルター中で除去されることができる。この気体は熱交換機を通過し、そこで重合熱が除去され、圧縮機中で圧縮され、次いで反応ゾーンに戻される。
【0026】
より詳細には、流動床法の反応器温度はここでは約30〜150℃である。一般に、反応器温度は、反応器内のポリマー生成物の焼結温度を考慮に入れて実施可能な最も高い温度とされる。
【0027】
本発明の方法は、少なくとも1種又はそれ以上のオレフィンの重合に適当である。オレフィンは例えば、2〜16個の炭素原子を含むことができる。本明細書では、オレフィンにはオレフィンモノマー単位のホモポリマー、コポリマー、ターポリマー等が含まれる。本発明の方法によるここでの製造に特に好ましいのはポリエチレンである。このようなポリエチレンは、エチレンのホモポリマー、及びエチレン含量が含まれる総モノマーの少なくとも約50重量%であるエチレンと少なくとも1種のα−オレフィンとのインターポリマーと定義される。本明細書で使用できる代表的なα−オレフィンは、プロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、1−ヘプテン、1−オクテン、4−メチル−1−ペンテン、1−デセン、1−ドデセン、1−ヘキセデセン等である。また、本明細書において使用可能なのは、重合媒体中でその場(in situ)形成された非共役ジエン及びオレフィンである。オレフィンが重合媒体中でその場で形成される場合には、長鎖枝分かれを含むポリエチレンが形成される場合がある。
【0028】
本発明の重合反応は、チーグラー・ナッタ触媒の存在下に実施する。本発明の方法において、触媒は公知の任意の方法で投入できる。例えば、触媒は流動床反応器中に溶液、スラリー、またはさらさらした乾燥粉末の形態で直接投入できる。触媒はまた、失活触媒の形態で、または助触媒の存在下に触媒と1種またはそれ以上のオレフィンとを接触させることによって得られたプレポリマーの形態で使用できる。
【0029】
本明細書で使用できるチーグラー・ナッタ触媒は当業界においてよく知られている。最も簡素な形態のチーグラー・ナッタ触媒は、少なくとも1種の遷移金属を含む成分と少なくとも1種の有機金属化合物を含む助触媒とからなる。遷移金属成分の金属は、“Chemical and Engineering News”,63(5),27,1985中に掲載された元素の周期律表の第4,5,6,7,8,9及び/または10族から選ばれた金属である。この様式では、族は1〜18の番号が付けられている。このような遷移金属の代表例は、チタン、ジルコニウム、バナジウム、クロム、マンガン、鉄、コバルト、ニッケルなど及びそれらの混合物である。好ましい実施態様において、遷移金属は、チタン、ジルコニウム、バナジウムまたはクロムからなる群から選ばれ、なおさらに好ましい実施態様においては、遷移金属はチタンである。チーグラー・ナッタ触媒は場合によってはマグネシウム及び/または塩素を含むことができる。このようなマグネシウム及び塩素含有触媒は、当業界で知られた任意の方法で製造できる。
【0030】
本発明の方法において使用する助触媒は、オレフィンの重合においてチーグラー・ナッタ触媒中の遷移金属成分を活性化できる任意の有機金属化合物またはそれらの混合物であることができる。詳細には、遷移金属成分と反応させられる有機金属助触媒化合物は、前述の元素周期律表の第1,2,11,12,13及び/または14族から選ばれた金属を含む。このような金属の代表例は、リチウム、マグネシウム、銅、亜鉛、硼素、珪素など、またはそれらの混合物である。
【0031】
本明細書での使用に好ましいのは、トリアルキルアルミニウム化合物及びジアルキルアルミニウムモノハライドのような有機アルミニウム化合物である。例としては、トリメチルアルミニウム、トリエチルアルミニウム、トリヘキシルアルミニウム、ジメチルアルミニウムクロリド及びジエチルアルミニウムクロリドが挙げられる。
【0032】
遷移金属成分は、助触媒と共に、または助触媒なしで、担体上に沈着させることができる。その場合、担体としては、当業界で知られた任意の触媒担体化合物を使用できる。代表的な担体は、酸化マグネシウム、オキシハロゲン化マグネシウム及びハロゲン化マグネシウム、特に塩化マグネシウムである。触媒は担体と共にまたは担体なしで、固体多孔質支持体、例えば、シリカ、アルミナなどの上に担持されることができる。
【0033】
触媒系は、遷移金属成分及び有機金属助触媒成分の他に通常の成分を含むことができる。例えば、当業界で知られた任意の内部または外部電子供与体、任意のハロゲン化炭化水素などを添加できる。
チーグラー・ナッタ触媒は、当業界で知られた任意の方法で製造できる。触媒は溶液、スラリーまたはさらさらした乾燥粉末の形態であることができる。使用するチーグラー・ナッタ触媒の量は、所望の量の重合物の製造を可能にするのに充分な量である。
【0034】
重合反応は、以下から選ばれた所定の化合物の存在下に実施する。この所定の化合物は、それを所定量で使用しない場合に得られる分子量分布よりも狭い分子量分布を有することを特徴とするポリオレフィンを製造するのに充分な量で使用することが不可欠である。ポリオレフィンの分子量分布は、本明細書においてはポリオレフィンのメルトフロー比(MFR)によって証明される。
【0035】
本方法のポリオレフィンの分子量分布(MWD)を狭めるのに有効な量で使用する化合物は次の通りである:
a)以下から選ばれる第14族の元素(炭素、珪素、ゲルマニウム、錫及び鉛)を含む化合物:
i)ゲルマニウム、錫及び鉛の酸化物、例えば、GeO,GeO
2 ,SnO,SnO
2 ,PbO,PbO
2 ,Pb
2 O
3 及びPb
3 O
4 ;
ii)ジシアン(C
2 N
2 );
iii)式CEまたはC
3 E
2 (式中、E=O及びNRであり、Rは水素、ハロゲン、50個以下の非水素原子を含むアルキル基、50個以下の非水素原子を含むアリール基、50個以下の非水素原子を含むシリル基、50個以下の非水素原子を含むアルコキシ基、50個以下の非水素原子を含むアミノ基、50個以下の非水素原子を含むチオラート基、または50個以下の非水素原子を含むボリル基である)の炭素の酸化物またはイミド、例えばCO,C
3 O
2 ,CNH,CNF,CNPh,CNMe,CNSiMe
3 ,CNBEt
2 及びCN−シクロヘキシル;
iv)炭素、珪素、ゲルマニウム、錫及び鉛の硫黄、セレンまたはテルル含有カルコゲニド、例えば、CS,CS
2 ,CSe,CTe,SiS
2 ,GeS
2 ,SnS
2 ,CSe
2 及びCTe
2 ;
【0036】
v)1種より多いカルコゲンを含む炭素、珪素、ゲルマニウム、錫及び鉛のカルコゲニド、例えば、COS,COSe,CSSe,COTe,CSTe,CSeTe;
vi)式C(E)(X)(式中、E=O,S,Se,TeまたはNR;X=NR’であり、R及び/またはR’は水素、ハロゲン、50個以下の非水素原子を含むアルキル基、50個以下の非水素原子を含むアリール基、50個以下の非水素原子を含むシリル基、または50個以下の非水素原子を含むボリル基である)を有する炭素、珪素、ゲルマニウム、錫及び鉛のカルコゲニドイミド、例えば、C(N−シクロヘキシル)
2 ,CO(NMe),CS(NPh),CSe(NCSiME
3 )及びCTe(NBEt
2 );
vii)式C(E)X
2 (式中、E=O,S,Se,Te及びNRであり、Rは水素、ハロゲン、50個以下の非水素原子を含むアルキル基、50個以下の非水素原子を含むアリール基、50個以下の非水素原子を含むシリル基、または50個以下の非水素原子を含むボリル基であり;Xはハロゲンである)の炭素、珪素、ゲルマニウム、錫及び鉛のカルコゲニルハライドまたはイミドハライド、例えば、COF
2 ,COCl
2 ,C
2 O
2 Cl
2 ,C
2 O
2 F
2 ,GeOCl
2 ,C(NCMe
3 )Cl
2 ,C(NCl)Br
2 ,C
2 O(NSiMe
3 )Cl
2 ,C
2 (N−シクロヘキシル)
2 Cl
2 ,Si(NPh)Cl
2 及びGe(NPh)F
2 ;
【0037】
b)以下から選ばれるプニクトゲン含有化合物(プニクトゲンは第15族の元素である):
i)元素の形態のリン、砒素、アンチモン及びビスマス;
ii)窒素、リン、砒素、アンチモン及びビスマスの酸化物、例えば、NO,NO
2 ,N
2 O,N
2 O
3 ,N
2 O
4 ,N
2 O
5 ,P
4 O
n (n=6〜10)、AsO,As
4 O
6 またはAs
2 O
3 ,As
4 O
10またはAs
2 O
5 ,Sb
2 O
3 ,Sb
2 O
4 ,Sb
2 O
5 ,Bi
2 O
5 及びBi
2 O
3 (ここでの使用に好ましいのは一酸化二窒素(N
2 O)である);
iii)窒素オクソ酸またはそれらの陰イオンを含む塩、例えば、HNO
2 ,HNO
3 ,NO
2 - ,NO
3 - ;
iv)式E
n X
m (式中、Eは窒素、リン、砒素、アンチモンまたはビスマスであり、Xはハロゲンまたはプソイドハロゲンであり、n=1〜10であり、m=1〜20である)のハロゲン化物、例えば、NF
3 ,N
2 F
4 ,NCl
3 ,PF
3 ,PF
5 ,P
2 F
4 ,PCl
3 ,PCl
5 ,P
2 Cl
4 ,PBr
5 ,AsF
3 ,AsF
5 ,AsCl
5 ,As
2 I
2 ,SbF
3 ,SbF
5 ,SbCl
5 ,BiF
3 ,BiF
5 ,BiBr
3 ,BiI
2 及びBiI
3 ;
【0038】
v)一般式E
n Y
m (式中、E=N,P,As,Sb及びBiであり;Y=S,Se,Te及びNRであり;n=1〜10であり;m=1〜40であり、Rは水素、ハロゲン、50個以下の非水素原子を含むアルキル基、50個以下の非水素原子を含むアリール基、50個以下の非水素原子を含むシリル基、または50個以下の非水素原子を含むボリル基である)の窒素、リン、砒素、アンチモン及びビスマスのカルコゲニドまたはイミド、例えば、P
4 S
3 ,P
4 S
5 ,P
4 Se
5 ,P
4 (NCMe
3 )
n (n=6〜10),P
4 (NPh)
n (n=6〜10),As
4 S
3 ,As
4 S
4 ,As
4 S
5 ,As
4 Se
3 及びAs
4 Se
4 ; vi)式E
n Y
m X
q (式中、E=N,P,As,Sb及びBiであり;Y=O,S,Se,Te及びNRであり;Xは水素、ハロゲン、50個以下の非水素原子を含むアルキル基、50個以下の非水素原子を含むアリール基、50個以下の非水素原子を含むシリル基、50個以下の非水素原子を含むアルコキシ基、50個以下の非水素原子を含むアミノ基、50個以下の非水素原子を含むチオラート基、または50個以下の非水素原子を含むボリル基であり;n=1〜20であり;m=1〜40であり;q=1〜40であり、Rは水素、ハロゲン、50個以下の非水素原子を含むアルキル基、50個以下の非水素原子を含むアリール基、50個以下の非水素原子を含むシリル基、50個以下の非水素原子を含むアルコキシ基、50個以下の非水素原子を含むアミノ基、50個以下の非水素原子を含むチオラート基、または50個以下の非水素原子を含むボリル基である)を有する窒素、リン、砒素、アンチモン及びビスマスのカルコゲニルまたはイミド化合物、例えばNOF,NOCl,NOBr,F
3 NO,POF
3 ,POCl
3 ,POBr
3 ,PSCl
3 ,PO(OCN)
3 ,PO(CN)
3 ,P(NPh)Cl
3 ,P(NSiMe
3 )Cl
3 ,P(NPh)F
3 ,P(NPh)Br
3 ,P(NBEt
2 )Cl
3 ,PSCl
3 ,AsOF
3 ,PO
2 Cl,P(NCMe
3 )
2 Cl,P(NCMe
3 )
2 Me,As
2 O
3 Cl
4 ,POCl,P(NCMe
3 )Cl,P(NPh)Cl,P(NSiMe
3 )Me,PSeCl,BiOCl及びSbOCl;
【0039】
vii)インタープニクトゲン(第15族の元素を少なくとも2個含む化合物)、例えばPN,AsN;
viii)一般式(NPR
2)
x (式中、R=ハロゲンまたは50個以下の非水素原子を含むアルキルもしくはアリール基であり、xは少なくとも2である)のホスファゼン;
ix)一般式A(E)X
3 (式中、A=P,As,Sb及びBiであり;E=NRまたはCR
2 であり、Rは水素、ハロゲン、50個以下の非水素原子を含むアルキル基、50個以下の非水素原子を含むアリール基、50個以下の非水素原子を含むシリル基、50個以下の非水素原子を含むアルコキシ基、50個以下の非水素原子を含むアミノ基、50個以下の非水素原子を含むチオラート基、または50個以下の非水素原子を含むボリル基であり;Xは水素、ハロゲン、50個以下の非水素原子を含むアルキル基、50個以下の非水素原子を含むアリール基、50個以下の非水素原子を含むシリル基、50個以下の非水素原子を含むアルコキシ基、50個以下の非水素原子を含むアミノ基、50個以下の非水素原子を含むチオラート基、または50個以下の非水素原子を含むボリル基である)の化合物、例えば、P(CH
2 )Ph
3 ,P(CH
2 )Me
3 ,P(CH
2 )(OPh)
3 ,P(CH
2 )(NMe
2 )
3 ,P(CHSiMe
3 )Me
3 ,P(CHBEt
2 )Me
3 ,P(CHMe)Ph
3 ,P(CHPh)Ph
3 ,P(CHMe)Me
3 ,P(NCMe)Ph
3 ,P(NPh)Ph
3 ,P(NSiMe
3 )Me
3 ,P(NCMe
3 )Me
3 ,P(NCMe
3 )Ph
3 ,P(NCMe
3 )Cl
3 ,P(NCMe
3 )Br
2 Me,P(NBPh
2 )Cl
3 ,P(NBPr
2 )Et
3 ,P(NCMe
3 )(OCMe
3 )
3 ,As(CHMe)Ph
3 ,Sb(CHMe)Ph
3 ,As(NCMe
3 )Ph
3 ;
x)プニクトゲン水素化物、例えば、H
3 N,H
3 P,H
3 As,H
3 Sb,H
3 Bi;
【0040】
c)以下から選ばれるカルコゲン含有化合物(カルコゲンは第16族の元素である):
i)元素の形態の酸素、硫黄、セレン及びテルル、例えば、O
2 ,O
3 ,S
n (n=1〜30)、Se
2 ,Se
8 及びTe
2 (これらの元素の他の同素体も使用できる);
ii)インターカルコゲン(第16族の元素を少なくとも2個含む化合物)、例えば、SO,SO
2 ,SO
3 ,SeO
2 ,SeO
3 ,TeO
2 ,S
n O
2 (n=5〜8);
iii)式E
n X
m (式中、E=O,S,Se及びTeであり;Xは水素、ハロゲン、50個以下の非水素原子を含むアルキル基、50個以下の非水素原子を含むアリール基、50個以下の非水素原子を含むシリル基、50個以下の非水素原子を含むアルコキシ基、50個以下の非水素原子を含むアミノ基、50個以下の非水素原子を含むチオラート基、または50個以下の非水素原子を含むボリル基であり、n=1〜10であり、m=1〜20である)の1種もしくはそれ以上のカルコゲン及び1種もしくはそれ以上のハロゲンを含む化合物、例えば、SOCl
2 ,SO
2 Cl
2 ,SOF
2 ,Se
2 F
2 ,S
2 Cl
2 ,S
2 F
4 ,S
4 Cl
4 ,S
4 F
4 ,Se
2 Br
2 ,S
2 F
10,OF
2 ,SF
2 ,SF
4 ,SF
6 ,SeF
2 ,SeF
4 ,SeF
3 ,TeF
4 ,TeF
6 ,SCl
4 ,TeI
4 及び混合ハロゲン化物、例えば、SF
5 Cl,SF
3 Cl,SO
2 SbF
5 ;
【0041】
iv)一般式EOX
2 (式中、E=O,S,Se及びTeであり;Xは水素、ハロゲン、50個以下の非水素原子を含むアルキル基、50個以下の非水素原子を含むアリール基、50個以下の非水素原子を含むシリル基、50個以下の非水素原子を含むアルコキシ基、50個以下の非水素原子を含むアミノ基、50個以下の非水素原子を含むチオラート基、または50個以下の非水素原子を含むボリル基である)の化合物、例えば、SOF
2 ,SOCl
2 ,SOBr
2 ,SOFCl,SeOF
2 ,SeOCl
2 ,SeOBr
2 ,SOMe
2 ,SO
2 Me
2 ,SO
2 Ph
2 ,SO
2 (OEt)
2 ,SO
2 (SPh)
2 及びSO(SiMe
3 )
2 : ;
v)一般式EOX
4 (式中、E=S,Se及びTeであり;Xは水素、ハロゲン、50個以下の非水素原子を含むアルキル基、50個以下の非水素原子を含むアリール基、50個以下の非水素原子を含むシリル基、50個以下の非水素原子を含むアルコキシ基、50個以下の非水素原子を含むアミノ基、50個以下の非水素原子を含むチオラート基、または50個以下の非水素原子を含むボリル基である)の化合物、例えば、SOF
4 ,SeOF
4 及びTeOF
4 ;
vi)一般式EO
2 X
2 (式中、E=S,Se及びTeであり;Xは水素、ハロゲン、50個以下の非水素原子を含むアルキル基、50個以下の非水素原子を含むアリール基、50個以下の非水素原子を含むシリル基、50個以下の非水素原子を含むアルコキシ基、50個以下の非水素原子を含むアミノ基、50個以下の非水素原子を含むチオラート基、または50個以下の非水素原子を含むボリル基である)の化合物、例えば、SO
2 F
2 ,SO
2 Cl
2 ,SO
2 FCl,SO
2 FBr,SeO
2 F
2 ;
【0042】
vii)硫黄−窒素化合物、例えば、NS,NSCl,S
3 N
2 Cl
2 ,S
4 N
4 ,S
4 N
3 Cl,S
2 N
2 ,S
4 N
4 H
2 ,H
4 S
4 F
4 ,S
3 N
3 Cl
3 ,S
4 N
2 ,NSF,S
7 NH,SF
5 NF
2 ,(SN)
x (xは1より大きい); viii)式S(NR)
n X
m (式中、n=1〜3であり;m=0〜6であり;Xは水素、ハロゲン、50個以下の非水素原子を含むアルキル基、50個以下の非水素原子を含むアリール基、50個以下の非水素原子を含むシリル基、50個以下の非水素原子を含むアルコキシ基、50個以下の非水素原子を含むアミノ基、50個以下の非水素原子を含むチオラート基、または50個以下の非水素原子を含むボリル基であり;Rは水素、ハロゲン、50個以下の非水素原子を含むアルキル基、50個以下の非水素原子を含むアリール基、50個以下の非水素原子を含むシリル基、50個以下の非水素原子を含むアルコキシ基、50個以下の非水素原子を含むアミノ基、50個以下の非水素原子を含むチオラート基、または50個以下の非水素原子を含むボリル基である)の化合物、例えば、CF
3 N=SF
2 ,RCF
2 N=SF
2 ,S(NSiMe
3 )
2 ,S(NSiMe
3 )
3 ,S(NCMe
3 )
2 ,S(NCMe
3 )
3 ,S(NSO
2 −C
6 H
4 −Me)
2 ,S(NSO
2 −C
6 H
4 −Me)
3 及びS(NCH(CF
3 )
2 )
3 ;
ix)硫黄オクソ酸、ペルオクソ酸及びそれらの陰イオンを含む塩、例えば、H
2 SO
3 、HSO
3 - ,SO
32- ,H
2 SO
4 ,HSO
4 - ,SO
42- ,H
2 S
2 O
3 ,HS
2 O
3 - ,S
2 O
32- ,H
2 S
2 O
3 、HS
2 O
3 - ,S
2 O
32- ,H
2 S
2 O
4 ,HS
2 O
4 - ,S
2 O
42- ,H
2 S
2 O
5 ,HS
2 O
5 - ,S
2 O
52- ,H
2 S
2 O
6 ,HS
2 O
6 - ,S
2 O
62- ,H
2 S
2 O
7 ,HS
2 O
7 - ,S
2 O
72- ,H
2 S
n+2 O
6 (nは0より大きい)、HS
n+2 O
6 - (nは0より大きい)、S
n+2 O
62- (nは0より大きい)、H
2 SO
5 ,HSO
5 - ,SO
52- ,H
2 S
2 O
8 ,HS
2 O
8 - ,S
2 O
82- ;
x)セレンオクソ酸、ペルオクソ酸及びそれらの陰イオンを含む塩、例えば、H
2 SeO
3 ,HSeO
3 - ,SeO
32- 、HSeO
3 - ,H
2 SeO
4 ,HSeO
4 - ,SeO
42- ;
ix)テルルオクソ酸、ペルオクソ酸及びそれらの陰イオンを含む塩、例えば、H
2 TeO
3 ,HTeO
3 - ,TeO
32- ,H
2 TeO
4 ,HTeO
4 - ,TeO
42- ;
xii)カルコゲン水素化物、例えば、SH
2 ,SeH
2 ,TeH
2 ,SOH
2 ,SeOH
2 及びSSeH
2 ;
【0043】
d)以下から選ばれるハロゲン含有化合物(ハロゲンは第17族の元素である):
i)元素の形態のフッ素、塩素、臭素、ヨウ素及びアスタチン、例えば、F
2 ,Cl
2 ,Br
2 ,I
2 及びAt
2 または他の同素体;
ii)ハロゲン間化合物(第17族の元素を少なくとも2個含む化合物)、それらの陽イオンを含む塩、及びそれらの陰イオンを含む塩、例えばClF,ClF
3 ,ClF
5 ,BrF,BrF
3 ,BrF
5 ,IF,IF
3 ,IF
5 IF
7 ,BrCl
3 ,ICI,ICI
3 ,I
2 Cl
6 ,IF
4 + ,BrF
2 + ,BrF
4 + ,IF
2 + ,IF
6 + ,Cl
2 F
+ ,ClF
2 - ,ClF
4 - ,BrF
2 - ,BrF
4 - ,BrF
6 - ,IF
2 - ,IF
4 - ,IF
3 - ,IF
6 - ,IF
8 -2; iii)ポリハライド陽イオン及び/または陰イオンを含む塩、例えば、Br
2 + ,I
2 + ,Cl
3 + ,Br
3 + ,I
3 + ,Cl
3 - ,Br
3 - ,I
3 - ,Br
2 Cl
- ,BrCl
2 - ,ICI
4 - ,IBrCl
3 - ,I
2 Br
2 Cl
- ,I
4 Cl
- ,I
5 + ,ICI
2 + ,IBrCl
+ ,IBr
2 + ,I
2 Cl
+ ,I
2 Br
+ ,I
2 Cl
- ,IBr
2 ,ICI
2 - ,IBCl
-2,IBrF
- ,I
5 - ; iv)ホモレプチックまたはヘテロレプチック酸化ハロゲン、それらの陽イオンを含む塩、及びそれらの陰イオンを含む塩、例えば、FClO
2 ,ClO
2 + ,F
2 ClO
2 - ,F
3 ClO,FClO
3 ,F
3 ClO
2 ,FBrO
2 ,FBrO
3 ,FIO
2 ,F
3 IO,FIO
3 ,F
3 IO
2 ,F
5 IO,ClF
3 O,I
2 O
4 F
5 ,F
2 O,F
2 O
2 ,Cl
2 O,ClO
2 ,Cl
2 O
4 ,Cl
2 O
6 ,Cl
2 O
7 ,Br
2 O,Br
3 O
8 またはBrO
3 ,BrO
2 ,I
2 O
4 ,I
4 O
9 ,I
2 O
5 ,Br
2 O
3 ;
v)オクソ酸及びそれらの陰イオンを含む塩、例えば、HOF,OF
- ,HOCl,HClO
2 - ,HClO
3 ,ClO
- ,ClO
2 - ,ClO
3 - ,HBrO,HBrO
2 ,HBrO
3 ,HBrO
4 ,BrO
- ,BrO
2 - ,BrO
3 - ,BrO
4 - ,HIO,HIO
3 ,HIO
4 ,IO
- ,IO
3 - ,IO
4 - ,HAtO,HAtO
3 ,HAtO
4 ,AtO
3 - ,AtO
4 - ,AtO
- ;
vi)ハロゲン化水素、例えば、HF,HCl,HBr,HI,HAt;
vii)NH
4 F,SF
4 ,SbF
3 ,AgF
2 ,KHF
2 ,ZnF
2 ,AsF
3 及びHF
2 - 陰イオンを含む塩;
viii)ハロゲン化水素酸、例えば、HF
(aq),HCl
(aq),HBr
(aq),HI
(aq),HAt
(aq);
【0044】
e)以下から選ばれる貴ガス含有化合物(貴ガスは第18族の元素である):
i)He,Ne,Ar,Kr,Xe及びRn酸化物、それらの陽イオンを含む塩、及びそれらの陰イオンを含む塩、例えば、XeO
3 ,XeO
2 ,XeO
4 ,XeO
42- 及びXeO
64- ;
ii)He,Ne,Ar,Kr,Xe及びRnハロゲン化物、それらの陽イオンを含む塩、及びそれらの陰イオンを含む塩、例えば、KrF
2 ,XeF
2 ,XeCl
2 ,XeF
4 ,XeF
6 ,KrF
+ ,Kr
2 F
3 + ,XeF
+ ,XeF
5 + ,Xe
2 F
3 + ,XeF
7 - ,XeF
82- ,Xe
2 F
11+ ;
iii)He,Ne,Ar,Kr,Xe及びRnカルコゲニルハライド、それらの陽イオンを含む塩、及びそれらの陰イオンを含む塩、例えば、XeOF
4 ,XeO
2 F
2 ,XeO
3 F
2 ,XeO
3 F
- ,XeOF
3 + ,XeO
2 F
+ ;
【0045】
f)水、アルコール、硫化水素及びチオールからなる群から選ばれた材料と、a)i〜vii ;b)i〜x;c)i〜xii ;d)i〜viii;e)i〜iii ;及び対応する陰イオンを含むそれらの塩からの選ばれた任意の化合物とを反応させることによって得られる生成物;
g)有機過酸化物;
h)水;ならびに
i)それらの混合物。
【0046】
本発明の方法において、狭められた分子量分布を有するポリオレフィンを製造するために、一般に、重合媒体の流体相におけるモル比で約1ppm 〜約10,000ppm の量の化合物を重合媒体に添加するのが適当であることが判明した。流体相は気相または液相であることができる。
【0047】
本発明の別の実施態様において、狭められた分子量分布を有するポリオレフィンを製造するために、一般に、約1容量ppm 〜約10,000容量ppm の量の化合物を気相重合媒体に添加するのが適当であることが判明した。
【0048】
本方法によって製造されるポリエチレンは、比較的狭い分子量分布を特徴とするだけでなく、一般に、減少したn−ヘキサン溶解性ポリマーフラクションを特徴とする。
【0049】
本方法の重合反応の実施においては、オレフィン重合法において一般に使用される他の他の常用の添加剤を添加することができる。具体的には、前に列挙したものをふくむ任意のハロゲン化炭化水素、好ましくはクロロホルムを添加することができる。さらに、任意の外部もしくは内部電子供与体、または電子供与体の混合物、例えば、前に列挙したもの、好ましくはテトラヒドロフランを添加することもできる。
【0050】
また、ここでは新規ポリエチレンも提供される。これらのポリエチレンは、エチレンのホモポリマー、及びエチレンと炭素数3〜16の少なくとも1種又はそれ以上のα−オレフィンとのコポリマー(エチレンは、含まれる総モノマーの少なくとも約50重量%を含む)である。
【0051】
本発明のエチレンと1−ヘキセンとの新規コポリマー(エチレンは、コポリマーの少なくとも約50重量%を含む)はさらに、示差走査熱量法(DSC)により溶融転移温度、T
m が約116℃〜約123℃、密度が約0.880g/cc〜約0.930g/cc、n−ヘキサン抽出分が0〜約6重量%及びメルトフロー比が約26〜約34であることを特徴とする。
【0052】
別の実施態様において、本発明のエチレンと1−ヘキセンとの新規コポリマーはさらに、DSC溶融転移温度、T
m が約119℃〜約121℃、密度が約0.905g/cc〜約0.920g/cc、n−ヘキサン抽出分が0〜約3重量%及びメルトフロー比が約26〜約32であることを特徴とする。
【0053】
別の実施態様において、エチレンと炭素数3〜16のオレフィンとの新規コポリマー(エチレンは、コポリマーの少なくとも約99重量%を含む)が提供され、このコポリマーは、メルトフロー比が約22〜約26である。
【0054】
さらに別の実施態様において、DSC溶融転移温度が約116℃〜約123℃、密度が約0.880g/cc〜約0.930g/cc、n−ヘキサン抽出分が0〜約6重量%及びメルトフロー比が約26〜約34であることを特徴とする、エチレンと炭素数5〜16の少なくとも1種又はそれ以上のオレフィンとの新規コポリマー(エチレンは、コポリマーの少なくとも約50重量%を含む)が提供される。
【0055】
本発明によって得られたポリオレフィンには任意の常用の添加剤を添加することができる。添加剤の例としては、成核剤、熱安定剤、フェノール型、硫黄型及びリン型の酸化防止剤、滑剤、帯電防止剤、分散剤、銅害阻害剤(copper harm inhibitor)、中和剤、発泡剤、可塑剤、消泡剤、難燃剤、架橋剤、流動性改良剤、例えば、過酸化物、紫外線吸収剤、光安定剤、耐候安定剤、溶接強さ改良剤、スリップ剤、粘着防止剤、防曇剤、染料、顔料、天然油、合成油、ワックス、充填剤及びゴム成分が挙げられる。
【0056】
本発明の新規ポリエチレンは、当業界で知られた任意の方法によってフィルムに製造できる。例えばフィルムは公知のキャストフィルム、インフレートフィルム及び押出被覆技術によって製造できる。
【0057】
さらに、新規ポリエチレンは任意の公知技術によって成形品のような他の物品に製造できる。
【0058】
本発明は、以下の実施例に参照することによってより理解しやすくなるであろう。本発明が充分に開示されれば、本発明の多くの他の形態が当業者に明らかになるであろうことは言うまでもない。従って、これらの実施例は、本発明の説明のためにのみ記載するのであって、本発明の範囲を限定するものと解してはならないことを理解されたい。
【0059】
実施例
以下の実施例中においては、ポリオレフィンの分析的性質の評価及び実施例のフィルムの物理的性質の評価に当たり、以下に記載の試験方法を用いた。
【0060】
a)落槍衝撃は、ASTM D−1709,Method Aに従って、38.1mmの槍と0.66mの落高を用いて測定する。フィルムの厚さは約1mil 。 b)密度は、ASTM D1928に従って作ったプラックからASTM D−4883に従って、測定する。
c)メルトインデックス(MI)、I
2 は、ASTM D−1238、条件Eに従って190℃において測定し、dg/分として報告する。
【0061】
d)高荷重メルトインデックス(HLMI)、I
21は、ASTM D−1238、条件Fに従って、前記メルトインデックス試験で用いる重量の10.0倍で測定する。
e)メルトフロー比(MFR)=I
21/I
2 、すなわち、高荷重メルトインデックス/メルトインデックス。
【0062】
f)n−ヘキサン抽出分は、21CFR 177.1520(Option2)に従って測定する。さらに詳しくは、厚さ4mil 以下、重量2.5±0.05gの約1平方インチのフィルム試験片を、風袋をはかったサンプルバスケットに入れ、約0.1mgまで正確に秤量する。次いで、試験片を含むサンプルバスケットを、約1リットルのn−ヘキサンを含む2−リットルの抽出容器に入れる。バスケットを、n−ヘキサン溶剤の液面より下に全てが入るように入れる。サンプル樹脂フィルムを49.5±0.5℃において2時間抽出し、次にバスケットを溶剤液面より上に上げて、直ちに溶剤を排出させる。バスケットを取り出し、内容物を新鮮なn−ヘキサン中に数回浸漬することによってすすぐ。バスケットのすすぎ間に乾燥させる。過剰な溶剤は、バスケットを窒素までは乾燥空気流で簡単に吹き飛ばすことによって除去する。バスケットを80±5℃の真空オーブン中に2時間入れる。2時間後、バスケットを取り出し、デシケータ中に入れて、室温まで冷却する(約1時間)。冷却後、バスケットを約0.1mgまで再び秤量する。次いでn−ヘキサン抽出分%を最初のサンプルの減量から計算する。
【0063】
g)DSC溶融転移温度(T
M )は、ASTM D−2418−97に従って測定した。転移T
M は、第2加熱周期で測定した。
【0064】
例1〜7で使用したチーグラー・ナッタ触媒は、ヨーロッパ特許出願EP0 703 246 A1の例1−aに従って製造した。
例1〜7で使用したプレポリマーは、ヨーロッパ特許出願EP0 703 246 A1の例1−bに従って製造した。こうして、トリ−n−オクチルアルミニウム(TnOA)対チタンのモル比が約1.1である、チタン1ミリモルあたりポリエチレン約34gを含むプレポリマーが得られた。
【0065】
例1〜7において使用した重合方法は、直径0.74m及び高さ7mの堅形シリンダーからなり且つ減速室が上に付いた、気相重合用の流動床反応器中で行った。反応器の下部には、流動化グリッド及びガス再循環用外部ラインが設けられている。この外部ラインは、流動化グリッドの下の箇所で、減速室の上部を反応器下部に接続する。再循環ラインには、ガスを循環するための圧縮機及び伝熱手段、例えば、熱交換機が装着されている。詳細には、流動床を通過する気体反応混合物の主成分であるエチレン、1−ヘキセン、水素及び窒素を供給するラインが再循環ラインに注ぎ込む。
【0066】
反応器は、流動化グリッドの上部において、重量平均直径が約0.7mmの粒子でできた低密度ポリエチレン粉末約800ポンドからなる流動床を含む。エチレン、1−ヘキセン、水素、窒素及び微小量の他の成分を含む気体反応混合物が、約295psigの圧力下で約1.9ft/sの上昇流動化速度で流動床を通過する。
【0067】
触媒は、間欠的に反応器中に投入される。この触媒は、マグネシウム、塩素及びチタンを含んでなり、前述のようにあらかじめ、チタン1ミリモルあたりポリエチレン約34gとAl/Tiのモル比が約1.1となるような量のトリ−n−オクチルアルミニウム(TnOA)を含むプレポリマーに転化される。反応器へのプレポリマーの投入速度は、所望の製造速度が達成されるように調整される。重合過程において、約2重量%の濃度のトリメチルアルミニウム(TMA)のn−ヘキサン中溶液が、気体反応混合物を再循環するためのラインに、熱交換手段の下流の地点で連続的に投入される。TMAの供給速度は、TMA対チタンのモル比(TMA/Ti)として表され、TMA供給速度(時間当たりのTMAのモル)対プレポリマー供給速度(時間当たりのチタンのモル)の比と定義される。同様に、約0.5重量%の濃度の、n−ヘキサン中クロロホルム(CHCl
3 )溶液が、気体反応混合物の再循環用ラインに連続的に投入される。CHCl
3 の供給速度は、CHCl
3 対チタンのモル比(CHCl
3 /Ti)として表され、CHCl
3 供給速度(時間当たりのCHCl
3 のモル)対プレポリマー供給速度(時間当たりのチタンのモル)の比と定義される。同様に、約1重量%の濃度のテトラヒドロフラン(THF)のn−ヘキサン中溶液が、気体反応混合物の再循環用ラインに連続的に投入されることができる。THFの供給速度は、THF対チタンのモル比(THF/Ti)として表され、THF供給速度(時間当たりのTHFのモル)対プレポリマー供給速度(時間当たりのチタンのモル)の比と定義される。さらに、その物理的状態に応じて、ポリオレフィンの分子量分布を狹めるために添加される化合物は、気体、液体または適当な溶剤中溶液として、気体反応混合物の再循環用ラインにまたは直接、反応器に添加できる。例3〜7において、一酸化二窒素(N
2 O)は、ポリエチレンの分子量分布を狹める量で、気体反応混合物の再循環用ラインに気体として添加された。気相重合媒体中のN
2 Oの濃度は、容量百分率(ppm)の単位で表される。密度が0.917g/ccである、エチレンと1−ヘキセンとのポリエチレンは、以下の例において、約151〜約200ポンド/時間の速度で製造された。
プレポリマーの生産性(生産性)は、生成されたポリエチレン(ポンド)/反応器に添加されたプレポリマー(ポンド)の比である。触媒の活性は、ポリエチレン(g)/チタン(ミリモル)/時/エチレンの圧力(100pisa)として表される。
【0068】
例1
気相作業条件を表Iに、樹脂特性を表IIに示す。トリメチルアルミニウム(TMA)対チタンのモル比(TMA/Ti)は3であった。クロロホルム(CHCl
3 )対チタンのモル比(CHCl
3 /Ti)は0.03であった。操作は、外部電子供与体を添加せずに行った。1−ヘキセンをコモノマーとして使用した。これらの条件下で、凝集塊を含まないポリエチレンを150 lb /時(ポンド/時)の速度で反応器から取り出した。プレポリマーの生産性は、ポリエチレン375ポンド/プレポリマー(ポンド)であった。これは、ポリエチレン2311g/チタン(ミリモル)/時/エチレン分圧100psia〔gPE/(Ti)(ミリモル)−h−100P
C2)〕の活性に相当する。
このポリエチレンは、密度が0.917g/ccであり、メルトインデックスMI
2.16,I
2 が0.9dg/分であった。メルトフロー比、I
21/I
2 は33であり、n−ヘキサン抽出分は2.6重量%であった。DSC溶融転移温度(Tm)は124.5℃であった。
【0069】
例2
気相作業条件を表Iに、樹脂特性を表IIに示す。モル比TMA/Tiは7であった。モル比CHCl
3 /Tiは0.06であった。テトラヒドロフラン(THF)対チタンのモル比(THF/Ti)は1であった。1−ヘキセンをコモノマーとして使用した。これらの条件下において、凝集塊を含まないポリエチレンを192 lb /時の速度で反応器から取り出した。プレポリマーの生産性は、ポリエチレン231ポンド/プレポリマー(ポンド)であった。これは、1800〔gPE/(Ti)(ミリモル)−h−100P
C2)〕の活性に相当する。
このポリエチレンは、密度が0.917g/ccであり、メルトインデックスMI
2.16,I
2 が0.9dg/分であった。メルトフロー比、I
21/I
2 は31であり、n−ヘキサン抽出分は2.0重量%であった。DSC溶融転移温度(Tm)は123.9℃であった。
【0070】
例3
気相作業条件を表Iに、樹脂特性を表IIに示す。モル比TMA/Tiは7であった。モル比CHCl
3 /Tiは0.06であった。モル比THF/Tiは1であった。重合媒体中の一酸化二窒素(N
2 O)の濃度は70容量ppm であった。1−ヘキセンをコモノマーとして使用した。これらの条件下において、凝集塊を含まないポリエチレンを180 lb /時の速度で反応器から取り出した。プレポリマーの生産性は、ポリエチレン79ポンド/プレポリマー(ポンド)であった。これは、609〔gPE/(Ti)(ミリモル)−h−100P
C2)〕の活性に相当する。
このポリエチレンは、密度が0.917g/ccであり、メルトインデックスMI
2.16,I
2 が0.9dg/分であった。メルトフロー比、I
21/I
2 は28であり、n−ヘキサン抽出分は1.1重量%であった。DSC溶融転移温度(Tm)は122.3℃であった。
【0071】
例4
気相作業条件を表Iに、樹脂特性を表IIに示す。モル比TMA/Tiは7であった。モル比CHCl
3 /Tiは0.06であった。モル比THF/Tiは0であった。重合媒体中のN
2 Oの濃度は130容量ppm であった。1−ヘキセンをコモノマーとして使用した。これらの条件下において、凝集塊を含まないポリエチレンを211 lb /時の速度で反応器から取り出した。プレポリマーの生産性は、ポリエチレン121ポンド/プレポリマー(ポンド)であった。これは、1116〔gPE/(Ti)(ミリモル)−h−100P
C2)〕の活性に相当する。
このポリエチレンは、密度が0.917g/ccであり、メルトインデックスMI
2.16,I
2 が0.9dg/分であった。メルトフロー比、I
21/I
2 は28であり、n−ヘキサン抽出分は1.6重量%であった。DSC溶融転移温度(Tm)は122.7℃であった。
【0072】
例5
気相作業条件を表Iに、樹脂特性を表IIに示す。モル比TMA/Tiは7であった。モル比CHCl
3 /Tiは0.06であった。モル比THF/Tiは0であった。重合媒体中のN
2 Oの濃度は210容量ppm であった。1−ヘキセンをコモノマーとして使用した。これらの条件下において、凝集塊を含まないポリエチレンを194 lb /時の速度で反応器から取り出した。プレポリマーの生産性は、ポリエチレン124ポンド/プレポリマー(ポンド)であった。これは、1038〔gPE/(Ti)(ミリモル)−h−100P
C2)〕の活性に相当する。
このポリエチレンは、密度が0.917g/ccであり、メルトインデックスMI
2.16,I
2 が0.9dg/分であった。メルトフロー比、I
21/I
2 は28であり、n−ヘキサン抽出分は1.1重量%であった。DSC溶融転移温度(Tm)は122.2℃であった。
【0073】
例6
気相作業条件を表Iに、樹脂特性を表IIに示す。モル比TMA/Tiは7であった。モル比CHCl
3 /Tiは0.06であった。モル比THF/Tiは0.3であった。重合媒体中のN
2 Oの濃度は300容量ppm であった。1−ヘキセンをコモノマーとして使用した。これらの条件下において、凝集塊を含まないポリエチレンを192 lb /時の速度で反応器から取り出した。プレポリマーの生産性は、ポリエチレン83ポンド/プレポリマー(ポンド)であった。これは、471〔gPE/Ti(ミリモル)−h−100P
C2)〕の活性に相当する。
このポリエチレンは、密度が0.917g/ccであり、メルトインデックスMI
2.16,I
2 が0.9dg/分であった。メルトフロー比、I
21/I
2 は27であり、n−ヘキサン抽出分は0.8重量%であった。DSC溶融転移温度(Tm)は120.0℃であった。
【0074】
例7
気相作業条件を表Iに、樹脂特性を表IIに示す。モル比TMA/Tiは7であった。モル比CHCl
3 /Tiは0.06であった。モル比THF/Tiは0.3であった。重合媒体中のN
2 Oの濃度は300容量ppmであった。1−ヘキセンをコモノマーとして使用した。これらの条件下において、凝集塊を含まなポリエチレンを、174 lb /時の速度で反応器から取り出した。プレポリマーの生産性は、ポリエチレン91ポンド/プレポリマー(ポンド)であった。これは、470〔gPE/(Ti(ミリモル)−h−100P
C2)〕の活性に相当する。
このポリエチレンは、密度が0.917g/ccであり、メルトインデックスMI
2.16,I
2 が0.6dg/分であった。メルトフロー比、I
21/I
2 は28であり、n−ヘキサン抽出分は0.5重量%であった。DSC溶融転移温度(Tm)は119.5℃であった。
【0075】
【表1】
【0076】
【表2】
【0077】
実施例ならびに表I及び表II中の前記データから、以下の観測をすることができた。メルトフロー比(I
21/I
2 )値の減少によって示されるように、N
2 Oの添加によって分子量分布は狹められ、n−ヘキサン溶解性ポリマーフラクション(抽出分重量%)は減少し、ポリエチレンのDSC溶解転移温度(T
m )は減少した。
【0078】
狹められた分子量分布、減少したn−ヘキサン抽出分及び減少したDSC溶液転移温度(T
m )が組合わさると、ポリエチレンの組成不均一性の減少が示される。
本発明のポリエチレンから製造されたフィルムは一般に、改良された光学的性質及び改良された強度特性(表II中の落槍衝撃の値によって詳細に示す)を有することを特徴とする。
【0079】
成形品のような物品もまた、本発明のポリエチレンから製造できる。
同様の方法で、本明細書中に記載した任意の他の化合物を用いてポリオレフィンを製造することができる。得られるポリオレフィンは同様に、狹い分子量分布を示すと考えられる。
【0080】
また、遷移金属、助触媒の型、オレフィンの型、重合媒体、重合条件及び分子量分布を狹めるために添加する個々の化合物によっては、所定のチーグラー・ナッタ触媒の活性は、本明細書中に記載した化合物の添加時に増加することも低下することもあると考えられる。
【0081】
本明細書中に記載した本発明の形態は、本発明を単に説明するものであって、本発明の範囲を限定するものではないことを理解すべきことは明白である。本発明は、「特許請求の範囲」の範囲内の全ての変形を含む。
【0082】
以下に本発明及びその関連態様を記載する。
態様1.DSC溶融転移温度が116〜123℃、密度が0.880〜0.930g/cc、n−ヘキサン抽出分が0〜6重量%及びメルトフロー比が26〜34であることを特徴とし、エチレンがコポリマーの少なくとも50重量%を構成するエチレンと1−ヘキセンとのコポリマー。
態様2.DSC溶融転移温度が119〜121℃、密度が0.905〜0.920g/cc、n−ヘキサン抽出分が0〜3重量%及びメルトフロー比が26〜32である態様1に記載のコポリマー。
態様3.メルトフロー比が22〜26であり且つエチレンがコポリマーの少なくとも99重量%を構成するエチレンと炭素数3〜16のオレフィンとのコポリマー。
態様4.DSC溶融転移温度が116〜123℃、密度が0.880〜0.930g/cc、n−ヘキサン抽出分が0〜6重量%及びメルトフロー比が26〜34であることを特徴とし、エチレンがコポリマーの少なくとも50重量%を構成するエチレンと炭素数5〜16の少なくとも1種又はそれ以上のオレフィンとのコポリマー。
態様5.態様1に記載のコポリマーから製造されたフィルム。
態様6.態様4に記載のコポリマーから製造されたフィルム。
態様7.態様1に記載のコポリマーから製造された物品。
態様8.態様4に記載のコポリマーから製造された物品。