(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
開放駆動信号の上昇速度を制限することが、開放駆動信号の上昇速度を、複数の駆動信号が矩形ではない信号波形を有するように制限することを含む、請求項1に記載の方法。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明のバルブの一実施形態は、入り口および出口ならびに入り口および出口を接続する通路を有するバルブ本体と、通路に配置され、少なくとも1つの開放位置にあるときに流れを可能にすることができ、閉鎖位置にあるときに流れを阻止することができる流れ決定部品と、バルブ本体に動作可能に接続された線形位置決め部品と、駆動部材とを備える。線形位置決め部品は、少なくとも1つの駆動信号との相互作用によって力を生み出すことができる界を提供することができる固定部材および、1つ以上の駆動信号を受け取ることができ、二方向の直線移動を行うことができる可動部材を備え、二方向の直線移動が、1つ以上の駆動信号および界によって駆動され、1つ以上の駆動信号によって増加するように制御可能である。駆動部材は、可動部材に動作可能に接続され、少なくとも一部分が通路に位置しており、流れ決定部品と動作可能に相互作用することができる。
【0013】
本発明のバルブの実施形態10が、
図1に示されている。
図1を参照すると、本発明のバルブの実施形態10は、入り口14と、出口16と、入り口14および出口16を接続する通路18とを備えるバルブ本体12を有する。さらに、バルブ10は、通路18に配置された流れ決定部品22(
図1に示した実施形態においては、逆止バルブ球である)を有する。流れ決定部品22は、座23から離れるように移動させられた少なくとも1つの開放位置にあるとき、流れを可能にすることができる。流れ決定部品22は、座23に密に係合して位置する閉鎖位置にあるときに、流れを阻止することができる。さらに、
図1に示した実施形態10は、やはり通路18に配置された付勢部品24(図示の実施形態においては、予荷重ばねである)を有する。付勢部品24が、流れ決定部品22を閉鎖位置に向かって押し付けるように作用する力をもたらしている。
【0014】
さらに、本発明のバルブの実施形態10は、バルブ本体12に動作可能に接続された線形位置決め部品26(図示の実施形態においては、ボイスコイルモータである)を備える。線形位置決め部品26は、図示の実施形態においては実質的に放射対称性のポットまたはカップからなる固定アセンブリ28a、28b、28cを備える。一実施形態においては、磁極片28aおよび28cが、リング磁石28bを挟んでおり、磁極片28aおよび28cを、環状の空洞またはスロット29の少なくとも一部分を横切っておおむね放射状に向けられた磁界を生成するように、リング磁石28bの磁路を案内する目的に合わせて形作ることができる。
【0015】
ボイスコイル巻線32が、スロット29に配置されている。コイルが、典型的には、(他の構成も本発明の技術的範囲に包含されるが)絶縁銅線から作られ、ボビンまたは可動部材34に巻き付けられている。
【0016】
可動部材34は、固定アセンブリ28a、28b、28Cと実質的に同軸な経路に沿って動作するように拘束されている。この同軸な動作は、可動部材34をモータ軸36に恒久的に取り付け、直線支承部材31a、31bを使用してモータ軸36を案内することによって達成されている。
【0017】
さらに、可動部材34は、ボイスコイル巻線32のそれぞれの端部に電気的に連絡または連続するそれぞれの電気端子48a、48bのための取り付け点をもたらしている。さらに、電気端子48a、48bは、ポリイミドで包まれた、あるいは積層された可撓回路部材50に挟み込まれたそれぞれの電路に電気的に連絡している。
【0018】
可撓回路部材50が、それぞれの端子48a、48bから固定の仕切り部コネクタ54に位置する該当の電気導体52a、52bへの電気的連続をもたらしている。この方式で、転流のない電気的な連続が、駆動信号を駆動回路(図示せず)から巻線へと伝える目的で、可動のボイスコイル巻線と固定の仕切り部電気端子との間に維持される。
【0019】
電流の形態である少なくとも1つの駆動信号がボイスコイル巻線32を通って流されると、結果としての力が、ローレンツ力の原理に従ってモータ軸の軸に平行な方向に生成される。ボイスコイル巻線32によって可動部材34へと加えられ、したがってモータ軸36へと加えられる結果としての軸方向の力は、電流の大きさおよびスロット29の該当の領域にもたらされている磁界の強度に比例した大きさである。ボイスコイル巻線32によって生み出される軸方向の力の符号または方向は、コイルへと供給される電流の方向によって支配される。
【0020】
適切に構成されたボイスコイルモータにおいては、ボイスコイルの電流と結果としての軸方向の力とが、実質的に、単純な比例定数(「力定数」)によって関連付けられており、この定数が、所定の動作範囲においては、コイルの軸方向の変位に実質的に無関係である。この一般的な構成の形態および動作の原理に従うボイスコイルモータは、多数の供給メーカーから市販されており、それらの基礎をなしている動作原理にちなんで、ローレンツアクチュエータまたはローレンツ装置と称されることも多い。ボイスコイルアクチュエータは、コイルおよび可動部材を含むアセンブリが、典型的には回転支持の軸受またはブッシュへと取り付けられ、限られた動作の円弧を通って動くように制約されている回転動作の形態でも市販されている。
【0021】
永久磁石のスロットを、直線状に配置することができ、あるいは対応する円弧に沿って配置することができる。
【0022】
ボイスコイルにもとづくアクチュエータによって得られる電流−対−力の関係の双極線形比例の性質は、通常はそのようなアクチュエータの制御性を高め、そのようなアクチュエータを、コンピュータのディスクドライブにおける読み書きヘッドの位置決めなどの用途またはオーディオスピーカにおいて、好適なアクチュエータにしている。
【0023】
いくつかの用途においては、ボイスコイルのボビンまたは可動部材を、機械的な直線支承ではなく、ダイヤフラム式の懸架によって支持することが典型的である。ダイヤフラム式の懸架は、コイルの半径方向または横方向の整列を維持する一方で、軸方向の直線支承の摩擦の寄与を実質的に取り除く。また、ダイヤフラムは、ダイヤフラムのたわみの程度、ならびにダイヤフラムの素材および構成の様相に相関する復元力をもたらす。
【0024】
リニアボイスコイルモータは、広くはリニアモータと称される装置のグループの構成要素であり、限られた行程の動作を行うことができる非転流の電磁気装置である。上記概説のリニアボイスコイルモータの変形例が、回転ボイスコイルモータであり、その動作の経路は、円弧を定める。回転ボイスコイルモータは、限られた円弧の動作を行うことができる非転流の電磁気装置である。変位の要件およびアクチュエータのために利用できる形状に応じて、リニアまたは回転ボイスコイルモータのいずれかを使用することができる状況が存在する。ステッピングモータまたはブラシレスDCモータの技術から発展したリニアモータ(実質的に、平坦な構成へと切開された回転モータ)など、他の種類のリニアモータが、上述した属性のいくつかを含み、ボイスコイルモータの代替とすることが可能である。駆動機構について、所定の程度の軸方向の変位を実現しつつ、必要とされる半径方向または横方向の整列を維持することを、個々または組み合わせにて使用される滑り軸受(ブッシュ)、転がり軸受、ダイヤフラム、屈曲部、または他の形態の懸架を設けることによって、本発明の技術的範囲から離れることなく達成することができる。
【0025】
図1に示した実施形態10は、モータ軸36と動作可能に相互作用する駆動部材38(すなわち、プッシュロッド式アクチュエータ)をさらに備える。駆動部材38は、少なくとも部分的に通路18に位置しており、流れ決定部品22と動作可能に相互作用することができる。駆動部材38およびモータ軸36が、同じ部品の一体の一部分であり、あるいは一体化された部品の挙動を達成するように機械的に組み立てられている実施形態も、本発明の技術的範囲に包含される。
【0026】
図1に示した実施形態10は、流体で満たされた通路18を可動部材34およびボイスコイルモータの他の部品から絶縁することができる絶縁部品42(図示の実施形態においては、溶媒絶縁ダイヤフラム)をさらに備える。
図1において、ボイスコイルモータ軸36は、駆動部材38に連続しているわけではなく、本明細書において「分割プッシュロッド構成」と呼ばれる構成をもたらしている。モータ軸36を、介在のプラテン46によって絶縁部品42に当接させることができる。プラテン46は、モータ軸36に螺合し、絶縁部品42との圧縮の係合のために、機械的に剛かつ適切に仕上げられた表面をもたらしている。さらに、プラテン46は、ボイスコイルモータの可動部材のために、比較的重要でない後方移動のストッパをもたらしている。
図2に示した別の構成は、絶縁部品42を介して駆動部材38とモータ軸36との間に実質的に直接的な機械的接続をもたらしており、本明細書において「非分割プッシュロッド構成」と称される。
【0027】
絶縁部品42が存在しない実施形態、すなわち濡れるコイルを使用する実施形態も、本発明の技術的範囲に包含される。例えば、そのような実施形態においては、これに限られるわけではないが、実質的に化学的に不活性なタンタル線を、コイルの巻線材料としてとして使用することができ、ポリイミドまたはフッ化炭素のコーティングなどの耐溶媒ポリマー層を、コイル巻線の隣接する巻きの間に電気的な絶縁を達成するため、およびコイルと溶媒または移動相との間に電気的な絶縁を達成するために使用することができる。他の濡れ部品の素材または表面のコーティングも、使用される移動相に適合するように選択される。
【0028】
より広くには、いくつかの実施形態は、1つ以上の部品に耐摩耗性および/または耐腐食性のコーティングを備える。そのような部品は、例えば摺動、振動、衝突、または他の摩耗の原因にさらされる。例えば、さらに詳しく後述されるとおり、隣の表面に対して動く可能性がある表面は、摩耗の可能性にさらされ、いくつかの実施形態においては、下方の材料の摩耗および/または腐食を少なくするための耐摩耗性のコーティングによって覆われる。例えば、いくつかの実施形態においては、駆動部材38が、ダイアモンドまたはダイアモンド状カーボン(「DLC」)などの材料で覆われる。コーティングが駆動部材38の摩耗を少なくし、下層の材料(ステンレス鋼など)を酸素不足の湿潤環境における通常の保護表面層(酸化物層など)の喪失に起因する腐食から保護する。
【0029】
可動部材34が流れ決定部品22へと不完全に接続されており、したがって可動部材34が一方向の力の投入のみを駆動部材38および流れ決定部品22へともたらす分割プッシュロッドの実施形態においては、バックラッシュすき間の管理が、さらに詳しく後述されるとおり、制御環境の重要な一部分となる。
【0030】
図2は、本発明によるバルブの別の実施形態を示しており、非分割のプッシュロッドの構成が使用されている点で、
図1に示した実施形態から相違している。
図1の部品と同様の機能を有する部品は、
図1において使用したとおりの参照番号を備えて図示されている。駆動部材38が、絶縁部材42の開口を通ってプラテン46へと、螺合によって機械的に接続されている。プラテン46がモータ軸36へと螺合することによって、モータ軸36への機械的な接続がもたらされている。
【0031】
溶媒絶縁部材42を備えるダイヤフラムが、機械的に接続された駆動部材38とプラテン46との間に密に挟まれている。溶媒絶縁部材42のために選択されるダイヤフラム材料は、シールの境界における機械的な圧縮を増すろう付けまたは電子ビーム溶接によるシールに対応するように選択された金属であってよく、あるいはシールの境界における隣接の金属アクチュエータ部品への熱接合に対応するように選択された熱可塑性ポリマーであってよく、あるいは所望の品質の圧縮ガスケット式または接合式のシールを達成するように選択された金属およびポリマー層の任意の組み合わせであってよい。
【0032】
図3は、本発明による入り口チェックバルブを備えて構成された2ピストン直列流HPLCポンプの濡れ経路を示している。このポンプの濡れ経路の実例は、主シリンダアセンブリ60およびアキュムレータシリンダアセンブリ70を備える。主シリンダアセンブリ60に、
図1に従って具現化された入り口チェックバルブ10が装着されている。主シリンダアセンブリ60およびアキュムレータシリンダアセンブリ70において使用されるピストンに組み合わせられている独立の動力式の直線駆動機構は、分かりやすくするために省略されている。それぞれの溶媒リザーバ80aおよび80bからの移動相溶媒が、それぞれの溶媒リザーバ配管82aおよび82bを通って、それぞれの溶媒ガス抜きチャンバ84aおよび84bへと運ばれる。それぞれのガス抜きチャンバ84aおよび84bから出る溶媒が、溶媒選択バルブ88のそれぞれのポート86aおよび86bへと運ばれる。
【0033】
溶媒選択バルブ88は、ポンプの動作の指定の段階において2つのそれぞれの溶媒のどちらがポンプへと供給されるのかを、ユーザがポンプコントローラ(図示せず)によって選択できるようにするソレノイド駆動の2方向切り換えバルブであってよい。あるいは、溶媒選択バルブ88は、N個の溶媒チャネルのうちの任意の1つを入り口バルブ10、すなわちポンプの主シリンダに連絡させるように配置することができる多数のソレノイドによる多チャネルの溶媒配分バルブであってよい。そのようなバルブは、従来からのバルブであり、その一例が、ALLIANCEという商標のモデル名でWaters Corporationによって販売されている市販の製品において利用されている。選択バルブ88の状態にもとづき、リザーバ80aおよび80bのうちの1つからの溶媒を、ポンプの入り口バルブ10、そこからポンプの主シリンダアセンブリ60へと伝えることができる。
【0034】
ポンプの溶媒取り入れ経路は、当分野で公知のとおり、典型的には溶媒リザーバから溶媒取り入れ経路に進入し得る粒子状の異物を捕捉するために使用されるフリットフィルタアセンブリ90をさらに備える。やはり既存の技術から公知であるとおり、さらなるフリットフィルタ(図示せず)を、溶媒リザーバ配管のリザーバ端において使用することができる。
【0035】
この図示の実施形態においては、ばね予荷重の受動チェックバルブ94が、主シリンダの圧力トランスデューサ98の出口をアキュムレータシリンダアセンブリ70の入り口に接続している高圧流体配管96の下流端に使用されている。ポンプの流体の経路のこの領域は、通常は高い圧力にあり、ポンプの主シリンダの圧力を、アキュムレータに向かって液体を押し出すために利用することができるため、受動チェックバルブ94の挙動を最適化するように受動チェックバルブ94において大きなばね予荷重力を使用することが可能である。
【0036】
ポンプの主シリンダアセンブリ60の流体で満たされた内部体積または濡れた内部体積は、ポンプの主シリンダの圧力トランスデューサ98に連通したままである。ポンプのアキュムレータシリンダアセンブリ70には、アキュムレータシリンダの流体で満たされた内部体積または濡れた内部体積に常に連通したままである圧力トランスデューサ100が設けられている。それぞれの圧力トランスデューサ98および100によって、ポンプコントローラが、いかなるバルブの開または閉状態にかかわらず、ポンプの動作の全サイクルにわたって、主シリンダおよびアキュムレータシリンダのそれぞれのシリンダ内圧を監視することができる。この能力は、例えば、ポンプの主ピストンの移動に応答したポンプの主シリンダの内容物の圧縮の有無を、ポンプコントローラが検出することを可能にし、とくにはポンプコントローラが、主ポンプのサイクルにおいて入り口バルブ10の開放または閉鎖を生じさせるための適切な時点を検出することを可能にする。主シリンダアセンブリ60のポンプサイクルの背景における入り口バルブ10の動作が、後続の図面および関連する本文において説明される。
【0037】
図4Aは、
図3に従って構成されたシステムのブロック図を示しており、本発明による入り口バルブの動作に関連するシステムの特定の高次の制御の特徴を説明するものである。この図示の実施形態においては、ポンプコントローラ110が、ポンプのピストンおよびバルブの動作に関係する作動の実行の協調を担当するマイクロコントローラまたはマイクロプロセッサとして実現されている。ポンプコントローラ110は、対人ユーザインターフェイスを実現するシステムコントローラ120に従属でき、あるいは階層的に応答できる。システムコントローラ120は、典型的には、当分野において公知のとおり電気インターフェイスおよびソフトウェアプロトコルによってポンプコントローラ110とやり取りをするホストコンピュータとして実現される。ポンプコントローラ110は、主シリンダピストンおよびアキュムレータシリンダピストンのそれぞれのアクチュエータ130a、130bについて、それぞれの電気モータ駆動部132a、132bによって独立した制御を維持する。主ピストンおよびアキュムレータピストンのそれぞれのアクチュエータ130a、130bが、主シリンダアセンブリ60およびアキュムレータシリンダアセンブリ70のそれぞれにおいてそれぞれのピストンの変位を生じさせる。
【0038】
主シリンダの圧力トランスデューサ98およびアキュムレータシリンダの圧力トランスデューサ100は、それぞれ主シリンダアセンブリ60およびアキュムレータシリンダアセンブリ70に常に流体連通したままであり、主シリンダおよびアキュムレータシリンダの圧力を表わすそれぞれの信号を、それぞれ主シリンダ圧力信号経路140およびアキュムレータシリンダ圧力信号経路142によってポンプコントローラ110へと報告することができる。主シリンダ入り口バルブ10の動作は、ポンプコントローラ110によって、入り口バルブアクチュエータ電気駆動部146を介して制御される。同様に、溶媒選択バルブ88の動作は、ポンプコントローラ110によって、溶媒選択バルブアクチュエータ電気駆動部148および溶媒選択バルブアクチュエータ150を介して制御される。溶媒選択機能を果たすために使用されるバルブの種類に応じて、ただ1つのアクチュエータおよびただ1つのアクチュエータ電気駆動部を使用することができ、あるいは多チャネルのアクチュエータおよび多チャネルの電気駆動部を使用することができる。アキュムレータシリンダの入り口バルブ94は、この例示の実施形態においては受動バルブである。
【0039】
上述のブロックの全体の動作は、それぞれの溶媒リザーバ80a、80bから選択される少なくとも1つの移動相溶媒について、システムコントローラ120のユーザインターフェイスにおいてユーザによって指定されるとおりの流量および溶媒組成で、受け取り側システム160への制御された体積の送出をもたらすためのものである。
【0040】
図4Bは、本発明による入り口バルブを取り入れてなるポンプシステムについて、その制御を達成するように実現される制御および通信の経路の例示の実施形態をさらに詳しく示すブロック図である。ポンプコントローラ110の内部のマイクロプロセッサ170が、少なくとも1つの通信バスを介してコンピュータにとって利用可能なメモリ174にアクセスする。さらに、マイクロプロセッサ170は、主シリンダの圧力検出部品172および入り口バルブのドライバ部品176と通信する。ドライバ部品176は、通信バス178を介して通信されるマイクロプロセッサ170からのデジタル制御入力に応答するデジタル−アナログ変換器、すなわちDAC177として実現可能である。
【0041】
一例示の実施形態においては、DAC177が、入り口バルブ駆動部出力段179へとアナログ電圧信号を出力する。さらに、この例示の実施形態においては、出力段179を、線形電力増幅器またはスイッチモード電力増幅器として実現することができる。出力段179が、入力としてDAC177からのアナログ出力電圧信号を受け取り、この制御電圧信号から、対応するボイスコイル駆動信号を生成する。検出部品172は、マイクロプロセッサ170が少なくとも主シリンダの圧力トランスデューサ98からの入力を受け取ることができるようにする。この例示の実施形態においては、圧力トランスデューサ98が、主シリンダの圧力に比例したアナログ出力電圧信号を発する。このアナログ出力電圧信号が、アナログ−デジタル変換器またはADC173によってデジタル化される。ADC173のバイナリ出力を、通信バス178を介してマイクロプロセッサ170によって読み取ることができる。さらに、マイクロプロセッサ170は、主ピストン電気駆動部132aを介して主ピストンアクチュエータ130aを制御する。典型的には、電気駆動部132aへのマイクロプロセッサのインターフェイスが、通信バス178を介してアクセスされる状態シーケンサ134として実現され、主ピストンアクチュエータ130aに一体化されたステッピングモータのステップ速度およびステップ方向を、マイクロプロセッサ170によって決定できるようにしている。
【0042】
本発明のシステムの別の実施形態のブロック図が、
図4Cに示されている。
図4Cに示した本発明のシステムの実施形態は、1つ以上の検出部品190、決定部品192、およびドライバ部品196を含む。一例においては、1つ以上の駆動信号を決定できる決定部品が、参照テーブル、ADCおよびDAC回路、ならびにドライバを含むアナログ/デジタル回路を含む。
【0043】
図5Aは、2ピストン直列流ポンプの主シリンダピストンについて、通常の送出モードに従ったポンプの動作の際に観察されるであろう速度の推移(正規化してある)を示している。この図は、主シリンダピストンに、機械式の直線駆動部とモータとが備えられており、アキュムレータシリンダのピストンに組み合わせられたモータおよび機械式の直線駆動部とが別個独立に制御できると仮定している。この一般的な構成は、Waters Corporation(マサチューセッツ州Milford)によって販売されているポンプなど、市販のポンプにおいて見ることができる。
図5Aに示されている時間軸およびピストン速度の範囲は、どちらの量も典型的には指令されたポンプの送出流量の変化とともに変化するため、どちらも正規化されている。主ピストンおよびアキュムレータピストンに別個独立のモータ駆動部を使用することで、主ピストンおよびアキュムレータピストンの移動の間の連動を有用な程度に切り離すことができ、本明細書において後述されるとおり吸入後の遅延および他の特徴を取り入れることが可能になる。
【0044】
図5Aを参照すると、主ピストンが、時間区間200のあいだ静止していることを最初に見て取ることができる。この区間のあいだ、ピストンは、シリンダの内容物のアキュムレータへの移送を完了させて、上死点(「TDC」)にとどまっている。区間210において、主ピストンは、主シリンダの掃引されない体積の液体内容物の圧力を減らして、実際の液体の吸入に備えるために、後方に加速する。受動式または能動式のいずれの入り口バルブにおいても、主シリンダへの実際の液体の吸入は、主シリンダの掃引されない体積の流体内容物の圧力が実質的に大気圧(入り口マニホールドの圧力である)へと減らされるまでは、始まることができない。区間220において、主ピストンは、プログラムされた終速度に達し、吸引行程の残りの部分の大部分にわたって、この速度を維持する。ポンプの送出圧力および周囲の溶媒の圧縮性を含む動作パラメータに応じて、主シリンダへの液体の実際の吸入の開始は、区間210において生じることができ、あるいは区間220の初期の部分において生じることができる。ピストンは、指令された後方移動の限界に近付くにつれて、区間230に示したとおりプログラムされた減速を受け、区間240に示されるとおり静止に至る。このピストン位置が、指定の動作条件における下死点(「BDC」)に相当する。区間240が、ピストンが静止したままであって、ポンプがすぐに溶媒の圧縮および送出を開始できる状態に置かれている吸入後遅延に相当する。入り口チェックバルブの閉鎖が、区間240の始まりにおいて生じ、あるいは区間240の始まりの直後に生じる。次いで、主ピストンが、2回の前方移動のうち、シリンダ内容物の制御された圧縮を達成するように意図された第1の前方移動を開始する。この第1の移動が、区間250によって示されており、典型的には、シリンダ内容物の粗い圧縮を達成するように意図された積極的な移動である。第2の前方移動は、その直後に区間260によって示されるとおり生じ、システムの送出圧力にきわめて近い目標圧力への細かい圧縮を達成するように意図されている。したがって、この移動は、より遅いピストン速度で行われ、シリンダの圧力の高度な制御を可能にする。最後に、区間270において、主−アキュムレータの液体の移送が実行される。これは、空になろうとするアキュムレータシリンダの充填を、下流の受け取り側システムへと指令された溶媒の送出を維持しつつ達成するために、アキュムレータピストンの移動に注意深く協調させられる移動である。区間270の終わりにおいて、主ピストンは、シリンダ内容物を放出し終え、しかしながら主シリンダの掃引されない体積に残る液体の結果として残る送出圧力を有しつつ、TDCに対応する位置に再び静止する。このようにして、ポンプの主サイクルが終了し、200で示されている区間において再び始まる。
【0045】
図5Bが、
図1に従って構成された入り口バルブを作動させるために使用されるボイスコイルアクチュエータへと加えられる巻線電流を示している。ボイスコイルアクチュエータの重要な特性が、実質的にただ1つの比例定数(力定数)によってコイル電流に(大きさならびに符号または極性の両者について)関係する力を生み出し、力定数が、所定の変位の範囲においてアクチュエータの軸方向の位置または変位に実質的に無関係であることにあることを、思い出すことができる。ボイスコイル電流の符号および大きさは、コイル駆動電流および得られる駆動力が
図5Aに示した主ポンプサイクルに注意深く協調されるように、ポンプコントローラによって指令される。
【0046】
図5Bを参照すると、ボイスコイルに、最初に区間300において、アクチュエータを
図1のプラテン46が
図1の溶媒絶縁部材42へと軽く駆動された状態に保つように機能する小さな正の電流が供給される。以下で「準備(armed)」状態と称されるこの軽い駆動の状態において、モータ軸と流れ決定部品との間の押しの経路のあらゆるすき間が閉じられる。押しの経路のすき間は、アセンブリ全体の機械的な公差の要件に起因し、準備状態にないバルブにおいては実質的に不可避である。準備電流を供給することで、流れ決定部品が閉鎖位置から離れてしまうような大きな上向きの力を加えることなく、それらのすき間が効果的に閉じられる。このように、適切な準備によって、特定の従来技術の能動式の入り口バルブの手法においては重要な運動エネルギーの考慮が実質的に不要になり、アクチュエータが最小限の時間遅延で開放指令に応答できるようになる。
【0047】
再び
図5Bを参照すると、第2の区間310が、入り口バルブの開放を達成するためのコイル電流の急激な立ち上がりに関連している。開放の時期は、主シリンダに組み合わせられた圧力トランスデューサによって測定されるとおり、主シリンダの大気圧近傍の圧力への減圧に合わせられている。コイルの電流の上昇速度は急峻であるが、この速度は、駆動電流の推移の形状が意図的に矩形でないように制限される。一例示の実施形態においては、駆動電流の推移が、実質的に台形である。コイル電流の立ち上がりの速度の制限は、例えば
図4Bのマイクロプロセッサ170およびドライバ部品176によって指令される電流値について適切なシーケンスを用意することによって達成できる。あるいは、コイル電流の変化の速度の制限を、例えば帯域幅制限フィルタをドライバ部品へと取り入れることによって、実質的に受動的な方式で達成することができる。立ち上がりまたは立ち下がりのそれぞれの方向について、コイル電流の変化の速度を制限するために、能動式および受動式の技法を混ぜ合わせることも、本発明の技術的範囲に包含されると考えられる。
【0048】
コイルの電流について、変化の速度の制限を選択する根本的理由は、以下の検討から明らかである。ボイスコイルアクチュエータは、典型的には、従来からのソレノイド式の対応物に比べ、はるかに低いインダクタンスおよび低い誘導時定数を示す。また、ボイスコイルアクチュエータの可動質量は、従来からのソレノイドの電機子の質量よりもはるかに小さい。この状況は、ボイスコイルアクチュエータの動きを比較的高度な制御を備えて構成することができる点で好ましい。入り口チェックバルブが、指令信号または開放トリガの発生からきわめて小さな時間遅れで初期の開放を達成することが望ましい。しかしながら、バルブの初期の開放の迅速な達成を、バルブの全開状態に組み合わせられている移動ストッパへのきわめて急激かつ積極的なバルブの移行と混同してはならない。ダイヤフラムによる絶縁を備えるバルブは、開放および閉鎖の動きの際にダイヤフラムポンプとして機能し、ダイヤフラムの動きによって、バルブの付近の流体の経路への流体の流れの供給源またはバルブの付近の流体の経路からの流体の流れのシンクが、一時的に生じることは明らかである。クロマトグラフィポンプの用途に使用できる典型的なダイヤフラム絶縁式のバルブは、全閉状態から全開状態あるいは全開状態から全閉状態への移行の際に、3マイクロリットルの液体を変位させることができる。積極的なバルブの動きにおいては、この変位が、3ミリ秒という時間枠において生じ得る。3マイクロリットルの液体の3ミリ秒という時間枠での変位(すなわち、1ミリ秒につき1マイクロリットル)は、全体として、毎分60ミリリットルの平均過渡流量に相当する。クロマトグラフィポンプの液体吸入経路は、典型的には、毎分60ミリリットルを大幅に下回る吸入流量に対応するように構成されている。溶媒リザーバ配管の特有の直径および長さゆえ、吸入経路が、流動抵抗に加えて、大きな流動イナータンスを示し得る。ダイヤフラム絶縁式のバルブを急激に開くことで、毎分100ミリリットル程度のピーク過渡流体流がポンプ吸入経路にもたらされる可能性がある。主たる吸入において流体流のシンクとして機能するポンプの主シリンダは、典型的には、この流量のほんの一部の流量でしか液体を吸引または吸入しない。結果として、バルブのダイヤフラムの開放移動によってもたらされる過剰な流体流が、吸入経路にある流体カラムの積極的な励起を引き起こし、これが溶媒リザーバへと伝わる。具体的には、流体カラムが、通常のポンプ吸入方向に逆平行な方向に強力に加速される。この望ましくない液体カラムの過渡励起は、典型的には減衰されるリンギング応答を伴いつつ最終的に消え去るが、そのようなリンギング応答が、吸入経路に位置する圧力トランスデューサによって測定され得る。励起および減衰のプロセスにおいて、1つ以上の溶媒導入チャネルを通って届けられる移動層の量が乱れる可能性がある。吸入経路の極端な励起は、液体のキャビテーションを引き起こす可能性がある。このような状況は、低圧勾配形成システムの適切な動作を決してもたらさない。
【0049】
再び
図5Bを参照すると、妥当なボイスコイルの駆動の推移は、最初にバルブを1ミリ秒以下の遅れにて開く(流れ決定部品と座との間に最初の分離を生じさせる)ことができるが、残りの開放の動きを、数ミリ秒を含むように選択される時間区間にわたって達成することができる。典型的な実施形態においては、残りの開放移動が、10ミリ秒以上を占めることができる。このより引き延ばされたバルブの移動の際に、前進するバルブのダイヤフラムによって過渡的にもたらされる液体の一部またはすべてを、ポンプの主シリンダの吸入の需要によって吸引することができ、したがってバルブの絶縁ダイヤフラムの移動が溶媒吸入経路内の流体コラムに及ぼす影響は、ほぼ完全に打ち消され、あるいは無にされる。
【0050】
再び
図5Bを参照すると、区間320が、バルブの全開状態への維持に関連しており、主たる吸入の行程の残りの部分の全体にわたり、バルブアクチュエータが開放方向の移動ストッパに停止している。この区間の全体にわたって、ボイスコイルは、予荷重ばねの力に打ち勝つことによってバルブの流れ決定部品を開位置に維持する。区間330の時期が、主ピストンの後方移動の停止後にすぐに開始される主シリンダの吸入後遅延に合わせられている。区間310に関して説明したバルブ開放のコイル電流と同様、バルブ閉鎖のコイル電流の変化の速度も、制御された閉鎖の速度を達成するように制限される。この閉鎖の区間において、コイル電流の変化の速度を制限することで、バルブの流れ決定部品を閉鎖位置へと移動させようとする予荷重ばねに逆らって、抵抗力(bucking force)または制動力に対応する正の電流を維持することができる。このような徐々に減少する制動力をもたらすことで、バルブの閉鎖の速度の制限が達成される。バルブの開放の速度と同様に、バルブの閉鎖の速度を制限することで、ポンプの吸入経路に位置する流体カラムに加わる励起を、好都合に少なくすることができる。実際に、行程の後端において主ピストンを減速させることで、典型的には、流体のイナータンスゆえに(すなわち、流体カラムの減速が必要であるがゆえに)ポンプの入り口マニホールドにわずかな過渡の正圧が残る。バルブのダイヤフラムに動きがない場合、このわずかな正圧の過渡は、典型的には、減衰するリンギング応答にて衰える。速度を制限されたバルブのダイヤフラムの動きが存在する場合、バルブの閉鎖が、ピストンの減速に関連する軽い圧力の行き過ぎを軽減して、ポンプの動作のこの段階におけるマニホールドの圧力応答をさらに穏やかにすることができる一時的な流体流のシンクをもたらす。区間340は、バルブの準備状態への復帰に関連しており、アクチュエータおよび駆動部材が、流れ決定部品に向かって軽く駆動された状態に保たれる。バルブを、ポンプが次の主たる吸入サイクルの実行に備えて準備されるまで、この状態に維持することができる。
【0051】
以上のシーケンスに従い、バルブのボイスコイルアクチュエータには、常に正の非ゼロの電流が供給されており、その大きさが、駆動機構に決してすき間を許さないように保証している。すなわち、バルブの閉鎖の際にも、バルブアクチュエータが依然として上向きの力をもたらしている。この挙動は、公知の従来技術のバルブと対照的である。わずかに駆動されているに過ぎない準備状態であっても、結果として、流れ決定部品をバルブの座との密な係合に保つために加えられる正味の力をわずかに減少させる点に鑑み、
図5Bの350に示されているさらなるコイルの電流状態を生成することが選択肢である。この状態は、コイルの電流をゼロにし(可能性として、負の値にしてもよい)、したがってアクチュエータが、準備状態から低下することができる。その結果、ポンプの主ピストンが主シリンダの内容物の粗い圧縮を達成しようとしている区間において、アクチュエータがバルブの流れ決定部品へと開放力をもたらすことがない。ひとたび粗い圧縮が達成されると、典型的には、バルブの流れ決定部品を座との密な係合に保つために利用できる充分な流体の圧力が存在する。したがって、主シリンダの次の吸入サイクルに備えて、アクチュエータにおいて準備態勢を回復させることができる。
【0052】
図5Cを参照すると、別のボイスコイル駆動電流の推移が示されている。この駆動電流の推移は、入り口バルブの有用な動作モードを生み出すために、ボイスコイルアクチュエータの比較的小さなインダクタンスおよび誘導時定数を活用し、さらにボイスコイルアクチュエータの比較的小さい質量を活用している。100から200マイクロ秒の範囲にあるボイスコイルの誘導時定数が、区間360における開放「促進」電流の使用を可能にする。促進電流の使用の継続時間は、典型的には、200から500マイクロ秒の範囲であってよい。促進電流は、流れ決定部品をバルブの座に密に係合している着座位置から変位させるように、初期の大きな力を達成するために供給される。この促進は、押しの経路のあらゆるすき間が閉じられている準備状態のボイスコイルアクチュエータにおいて使用される。この促進は、ダイヤフラムの過剰な加速が生じないよう、速やかに終了させられる。促進電流パルスは、実質的に、
図5Bの台形の推移に重ねられる電流インパルスである。促進電流パルスの終わりにおいて、コイルの駆動の推移は、
図5Bの台形の軌跡を回復する。促進電流パルスを供給することで、流れ決定部材について、バルブの座からの初期の強力な離脱が達成され、変位の第1の増加がもたらされる。しかしながら、促進電流パルスは、ダイヤフラムに長時間にわたって続く加速をもたらすことはなく、したがって、入り口マニホールドの流体カラムの励起に関連する過剰なダイヤフラム速度の負の影響は回避される。随意により、促進電流パルスを、380に示されているバルブ閉鎖の初期の区間において供給することも可能である。
図5Cに示したコイル駆動の推移の残りの態様は、
図5Bに示した対応する区間と実質的に同様である。
【0053】
図6は、ポンプの最初の起動シーケンスの一部、または通常のポンプ送出サイクルから外れた専用の診断機能として、入り口バルブへと加えることができるようなコイル駆動電流の推移を示している。ポンプの動作のこの区間において、主ピストンは通常は停止しているため、対応する主ピストンの速度の推移は示されていない。初期には区間400においてゼロであるボイスコイル駆動電流が、区間410において迅速に正の最大値をとり、区間420のあいだこの値に維持される。最初は行程の下端に停止している入り口バルブアクチュエータにとって、このシーケンスの効果は、バルブ開放方向へのアクチュエータの積極的な加速であり、あらゆる機械的なすき間を閉じ、次いで入り口バルブを強制的に開放する。同様に積極的な閉鎖のシーケンスが行われ、コイル電流が負の最大値へと移行する区間430において開始し、区間440のあいだこの値に維持される。この動作の1回のサイクルは、コイル電流がゼロの値へと復帰する時点450において終了する。
【0054】
図6に示されているとおり、コントローラにとって、この種のバルブ開放およびバルブ閉鎖の動きの2回以上のサイクルを実行することが選択肢である。そのようなサイクルは、例えば、ポンプの流れがゼロである状態またはポンプがオフである状態が長く続いた結果として、実質的に閉状態に固着したバルブを開放するうえで有用であり得る。
【0055】
図7Aは、「プライミング」と呼ばれるポンプの動作モードについて、主ピストンの速度の推移(正規化してある)を示している。プライミングのシーケンスは、起動のシーケンスに従うことができ、ポンプを通過する液体の初期の流れを確立するために使用することができる。長期間にわたって休止しており、あるいは溶媒の供給が一時的に使い尽くされたポンプは、完全には液体で満たされていない状態となり得る。そのような場合、プライミングのシーケンスを、ポンプに液体を流して、クロマトグラフィの送出に適した液体で完全に満たされた状態を回復するために行うことができる。とくには、空気または他の気体がポンプに存在する場合、通常の送出モードのための
図5Aに示したようなピストンの移動のシーケンスを、特定の圧縮状態の確立にかかわらずにシリンダ内でピストンの往復サイクルを実行するより単純なシーケンスで置き換えることができる。
【0056】
図7Aを参照すると、区間200、210、220、230、および240は、
図5Aに示した同様の番号の区間に実質的に同一に対応し、ポンプの主シリンダの動作の液体吸入段階をもたらす。吸入後の遅延240に続いて、主シリンダからの液体の排出(主シリンダからアキュムレータシリンダへの移送)が、動作の粗い圧縮または細かい圧縮の段階を介在させることなく、区間270において生じる。
【0057】
図7Bが、
図7Aのピストン速度の推移に組み合わせて使用することができるような一例のボイスコイル駆動電流の推移を示している。図示の推移は、
図5Bまたは
図5Cに示したアクチュエータの準備の挙動を使用しておらず、むしろ、ピストン方向の反転が達成される主ポンプの動作の区間に時期を一致させた直接的なバルブ開放またはバルブ閉鎖の挙動を生み出している。すなわち、入り口バルブが、ポンプの主ピストンの移動がTDCにおいて止められたときに開状態へと移され、ポンプの主ピストンの移動がBDCにおいて止められたときに閉状態へと移される。
【0058】
推移は、典型的には、コイル電流が第1の正の値へと迅速に立ち上げられる区間410を含み、第1の正の値を、区間420のあいだ維持することができる。区間430において、コイル電流が第2の正の値へと減らされ、この第2の正の値が、区間440のあいだ入り口バルブを開状態に保つ。区間450が、電流を第1の負の値へと移行させるために使用され、この値が、区間460のあいだ維持される。区間470が、コイル電流を第2の負の値へと移行させるために使用され、この値が、区間480のあいだ維持される。区間490が、次の動作サイクルに先立ってコイル電流をゼロへと復帰させるために使用される。区間410の時期は、ピストンがTDCに停止している
図7Aの区間200に一致または対応し、区間450の時期は、ピストンがBDCに停止している
図7Aaの区間240に対応する。
【0059】
図8は、
図3および
図4Aから
図4Cのいずれかに従って構成された直列流ポンプについて、低圧溶媒配分を動作の一部として含む通常の送出モードにて運転されるときの代表的な溶媒吸入マップを示している。
【0060】
低圧溶媒配分の構成においては、
図3の88に示したような溶媒選択バルブが、指令された溶媒組成の混合物を生成するために、ポンプの主シリンダの吸入に協調して切り換えられる。典型的には、バルブの形態が、それぞれのチャネルに別個独立のソレノイドアクチュエータを取り入れている3チャネルまたは4チャネルの配分バルブである。
図8には、ポンプの通常の送出モードにおいて使用される代表的なポンプの主ピストンの速度の推移(正規化されている)が、配分バルブの切り換えの出来事または状態の変化を表わすマーカーを重ね合わせて示されている。この例示の実施形態においては、移動相溶媒の構成要素AおよびBから由来する2成分溶媒混合物の生成が示されている。
【0061】
ポンプ動作の1つの全サイクルにおける主ピストンの速度の推移が、実線500で描かれている。ポンプ動作の吸入段階が、第1の配分サイクル510および第2の配分サイクル520へと分割されている。ポンプの主シリンダへの実際の溶媒の吸入の開始は、主ピストンの後方移動によって主シリンダの掃引されない体積の圧力が大気圧に実質的に等しい圧力まで下げられた530によって示されている時点において始まる。本発明による主シリンダ入り口バルブの指令による開放は、この時点に一致している。
【0062】
第1の溶媒組成が、第1の配分サイクル510において、部分区間540のあいだ移動相Aの吸引を可能にし、部分区間550のあいだ移動相Bの吸引を可能にするように配分バルブを制御することによって生成される。第2の溶媒組成が、第2の配分サイクル520において、部分区間560のあいだ移動相Aの吸引を可能にし、部分区間570のあいだ移動相Bの吸引を可能にするように配分バルブを制御することによって生成される。
【0063】
配分バルブのAおよびBのそれぞれのチャネルを、指定された時間区間のあいだ有効にすることができ、あるいは典型的にはピストンを駆動するステッピングモータのためのポンプコントローラによって維持される累積のマイクロステップカウントから推論されるピストンの変位の所定の増分に対応する区間のあいだ有効にすることができる。ポンプの主シリンダによる実際の溶媒の吸入の停止は、実質的に、ピストン速度がゼロへと指令されたときに生じる。ダイヤフラム絶縁式の入り口バルブのダイヤフラムの移動が、ポンプの入り口マニホールド内の流体の変位の増加を引き起こす。主たる吸入行程の終わりなど、入り口バルブが閉位置へと駆動されるとき、溶媒絶縁ダイヤフラムの引き込みの動きが、入り口バルブが閉じられるときに期せずして開いている溶媒配分バルブのチャネルを介してポンプ吸入経路へと吸引される余分な移動相の増加を引き起こす。主たる吸入行程の開始など、入り口バルブが開位置へと駆動されるとき、溶媒絶縁ダイヤフラムの前進移動が、入り口バルブが開かれるときに期せずして開いている溶媒配分バルブのチャネルを介して吸入経路へと放出されて戻される移動相の増加を引き起こす。
【0064】
これらの流体の変位の増加は、ポンプの主ピストンの動きに関係しておらず、適切に補償されないならば、ポンプによって受け取り側のシステムへと届けられる移動相混合物に望ましくない溶媒組成のずれ誤差を引き起こす。さらなる考慮事項は、主入り口バルブのダイヤフラムおよび溶媒配分バルブのダイヤフラムの実質的に同時の動きが、やはり組成のずれ誤差につながるクロスカップリングまたはクロスポンピングを引き起こしかねない点にある。
【0065】
これらの問題に対処するため、好ましい動作モードにおいて、本発明によるダイヤフラム絶縁式の入り口バルブを取り入れているポンプは、次の吸入行程のために指令された先導の溶媒チャネルとなる溶媒チャネルを有効にする配分バルブの移行を、時点580において生じさせる。
図8に示した例示の実施形態においては、溶媒チャネルBから溶媒チャネルAへの移行が、時点580において配分バルブにおいて達成される。この移行が、次の主シリンダの吸入サイクルの開始に備えるように、チャネルAを準備させる。主入り口バルブの閉鎖が、その直後の590において、主ピストンが依然として停止している吸入後区間のあいだに生じる。このようにして、主入り口バルブの閉鎖590、およびその後の主入り口バルブの開放が、どちらも同じ溶媒チャネルが有効にされている状態で生じる。これは、溶媒組成へともたらされる主入り口バルブのダイヤフラムポンピングの影響の実質的な打ち消しを可能にする。この打ち消しは、バルブの閉鎖の動作の際にダイヤフラムが変位させる体積が、バルブの開放の動作の際にダイヤフラムが変位させる体積と実質的に同じであるために、達成される。このポンピング効果のナノリットル程度の体積までの適切な打ち消しは、絶縁ダイヤフラムの行程の終点が、各行程ごとに実質的に一定に保たれることを必要とする。この要件は、バルブの開放およびバルブの閉鎖の両方向について、駆動機構の押しの経路に適切な移動ストッパを設けることによって達成される。溶媒組成へともたらされる入り口バルブのポンピングの影響の実質的な打ち消しの可能化に加え、時点580において後続の溶媒チャネルから先導の溶媒チャネルへの切り換えを実行することが、時点530における主シリンダの吸入の開始において動いている唯一のバルブが主入り口バルブであるように保証し、有害なクロスカップリングまたはクロスポンピングの影響を回避する。
【0066】
図9は、本発明に従って構成されるバルブの流れ決定部品の別の実施形態を示している。この例示の実施形態においては、流れ決定部品600が、螺合によって駆動部材610に機械的に係合している(動作可能に接続されている)。駆動部材610は、
図2に示されているとおりのボイスコイルモータ軸へと貫通接続されており、ボイスコイルモータによって流れ決定部品600へと2方向の方式で駆動力を加えることができる。
【0067】
流れ決定部品600は、実質的に放射対称性のポペットアセンブリとして実現されている。このポペットアセンブリが、ポペット本体620および環状のシールリング630を含む。環状のシールリングの材料を、ポペット本体620の材料とは異なるように選択することができる。例示の実施形態においては、ポペット本体の材料が、ステンレス鋼であり、環状のシールリングの材料が、PEEK ポリ−エーテル−エーテル−ケトン(英国LancashireのVictrex PLCから入手可能)などのポリアリル−エーテル−ケトンである。別のシールリング材料の例は、ポリ−テトラ−フルオロ−エチレン(PTFE)、タンタル、および金である。
【0068】
バルブの閉鎖は、シールリング630を含むポペット本体620を、座領域640に密に係合させることによって得られる。座領域640が、バルブ本体の流路18が生成されている部位に一体であるものとして示されている。一例示の実施形態においては、座領域640が、ステンレス鋼製のバルブ本体660に生成された機械加工による造作である。代案として、専用の座領域および座材料を、追加の部品を取り入れることによって設けてもよい。
【0069】
ポンプの主シリンダヘッドが、670に示されている。バルブ本体660とポンプのシリンダヘッド670との間のシールの境界が、環状のガスケット680を含む。この実施形態の2方向の動作において、座領域640に対するポペット本体620およびシールリング630の着座または密な係合が、バルブ閉鎖方向に駆動されるときの駆動機構の移動ストッパももたらす。2方向に力を生成できるというボイスコイルモータの能力ゆえ、流れ決定部品600を閉鎖位置へと戻すための予荷重ばねまたは他の駆動付勢装置が、不要になる。例えばバルブのパワーオフ時の閉鎖挙動またはパワーオフ時の開放挙動を確保するために、受動式の付勢装置を備えることも1つの選択肢である。
【0070】
上述した非分割のプッシュロッドの構成において、受動付勢装置が必ずしもバルブの濡れた溶媒経路に位置している必要はなく、押しの経路に沿った任意の好都合な地点に実装できることに、注意すべきである。例えば、受動付勢装置が、ダイヤフラムで懸架されたボイスコイルモータの懸架ダイヤフラムであってよい。付勢力が、懸架ダイヤフラムによってもたらされる復元力から生じ、したがって、付勢力の大きさおよび方向が、ダイヤフラムの中立またはたわみなしの位置に対するダイヤフラムの停止(パワーオフ)位置の適切な選択による設計の範囲において決定される。そのような手法においては、ボイスコイルによって生成される力に、進行中の(駆動されている)バルブの動作の際のダイヤフラム由来の力が加算される。受動的な付勢力が存在しない場合には、ボイスコイルモータが、開放および初期の閉鎖の力を流れ決定部品600へと供給する。
【0071】
位置決め部品の実質的にほぼ線形な挙動が、駆動力をきわめて段階的な方式で流れ決定部品へと加えることを可能にする。一実施形態においては、本発明のシステムが、可動部材34(すなわち、アクチュエータ38)の変位を検出することができ、さらに変位情報をもたらすことができる1つ以上の検出部品と、1つ以上の検出部品から受信される変位情報から1つ以上の駆動信号を決定するための手段と、1つ以上の駆動信号を可動部材34へと供給できるドライバ部品とを含む。一例においては、1つ以上の検出部品が、これらに限られるわけではないが、容量センサ、LVDT、渦電流センサ、フォトニックセンサなど、従来からの変位センサである。一例においては、1つ以上の駆動信号を決定するための手段が、1つ以上のプロセッサと、コンピュータにとって使用可能な1つ以上の媒体とを含み、媒体が、媒体内に具現化された、コンピュータにとって読み取り可能なコードを有し、コンピュータにとって読み取り可能なコードが、1つ以上のプロセッサに、1つ以上の検出部品からの変位情報の受信、変位情報からの1つ以上の駆動信号の決定、およびドライバ部品への制御情報の供給を実行させることができる。他の例では、1つ以上の駆動信号を決定するための手段が、参照テーブル、A/DおよびD/A回路、ならびにドライバを含むアナログ/デジタル回路を含む。他の例では、上記2つの実施形態の組み合わせが使用される。
【0072】
別の実施形態においては、本発明のシステムが、可動部材34(すなわち、アクチュエータ38)の移動速度を検出することができ、さらに移動速度情報をもたらすことができる1つ以上の検出部品と、1つ以上の検出部品から受信される移動速度情報から1つ以上の駆動信号を決定するための手段と、1つ以上の駆動信号を可動部材34へと供給できるドライバ部品とを含む。一例においては、1つ以上の検出部品が、従来からの移動速度センサである。一実施形態においては、移動速度が、逆起電力から得られる(一例においては、逆起電力によって検出できる開放移動の過渡が、駆動電流を減らして開放方向の行き過ぎを防止し、あるいはリンギングを防止するための根拠を提供する)。一例においては、1つ以上の駆動信号を決定するための手段が、1つ以上のプロセッサと、コンピュータにとって使用可能な1つ以上の媒体とを含み、媒体が、媒体内で具現化された、コンピュータにとって読み取り可能なコードを有し、コンピュータにとって読み取り可能なコードが、1つ以上のプロセッサに、1つ以上の検出部品からの移動速度情報の受信、移動速度情報からの1つ以上の駆動信号の決定、およびドライバ部品への制御情報の供給を実行させることができる。他の例では、1つ以上の駆動信号を決定するための手段が、参照テーブル、A/DおよびD/A回路、ならびにドライバを含むアナログ/デジタル回路を含む。他の例では、上記2つの実施形態の組み合わせが使用される。
【0073】
流体の特性(これに限られるわけではないが、シリンダ圧力など)がポンプサイクルの全体を通して監視される実施形態においては、本発明のバルブが、さまざまな動作モードを行うことができる。一実施形態においては、本発明のバルブが、流体の特性を検出することができ、さらに流体特性情報をもたらすことができる1つ以上の検出部品と、1つ以上の検出部品から受信される流体特性情報から1つ以上の駆動信号を決定するための手段と、1つ以上の駆動信号を可動部材34へと供給できるドライバ部品とを含む。一例においては、これに限られるわけではないが、流体の特性が、圧力である。一例においては、1つ以上の駆動信号を決定するための手段が、1つ以上のプロセッサと、コンピュータにとって使用可能な1つ以上の媒体とを含み、媒体が、媒体内で具現化された、コンピュータにとって読み取り可能なコードを有し、コンピュータにとって読み取り可能なコードが、1つ以上のプロセッサに、1つ以上の検出部品からの流体特性情報の受信、流体特性情報からの1つ以上の駆動信号の決定、およびドライバ部品への制御情報の供給を実行させることができる。他の例では、1つ以上の駆動信号を決定するための手段が、参照テーブル、A/DおよびD/A回路、ならびにドライバを含むアナログ/デジタル回路を含む。他の例では、上記2つの実施形態の組み合わせが使用される。
【0074】
上述した3つの実施形態において、本発明のシステムは、1つ以上の検出部品と、1つ以上の検出部品から受信される情報から1つ以上の駆動信号を決定するための手段と、1つ以上の駆動信号を可動部材(例えば、
図1の34)へと供給できるドライバ部品とを含む。
【0075】
本発明のシステムの一実施形態の概略のブロック図が、
図4Bに示されている。
図4Bに示されている本発明のシステムの実施形態は、1つ以上のプロセッサ170と、1つ以上の検出部品172(デジタルの実施形態においては、検出部品172が、デジタル信号としての出力をもたらす)と、コンピュータにとって使用可能な媒体(メモリ)174と、ドライバ部品176とを含む。コンピュータにとって使用可能なメモリ174が、メモリ内に具現化された、コンピュータにとって読み取り可能なコードを有し、コンピュータにとって読み取り可能なコードが、1つ以上のプロセッサ170に、1つ以上の検出部品からの検出情報の受信、検出情報からの1つ以上の駆動信号の決定、およびドライバ部品176への制御情報の供給を実行させることができる。1つ以上の検出部品172、1つ以上のプロセッサ170、コンピュータにとって使用可能な媒体174、およびドライバ部品176が、接続部品178(接続部品は、例えばコンピュータバスまたは搬送波であってよい)によって動作可能に接続される。
【0076】
適切な駆動信号によって、上記開示の実施形態など、本発明の方法についてさまざまな実施形態が可能である。一実施形態においては、バルブを動作させるための本発明の方法が、流れ決定部品をバルブの入り口および出口の間の通路を閉じる位置に保持するステップ、リニアモータの可動部材へと1つ以上の駆動信号を供給するステップ、1つ以上の駆動信号を使用して、可動部材の動きを所定の方式で、増加するように制御するステップ、可動部材に接続された駆動部材に流れ決定部品を接触させるステップ、および接触の結果として、流れ決定部品を通路を閉じる位置から離れるように動かすステップを含む。本方法のこの実施形態に対応するバルブの動作モードにおいては、可動部材および関連の駆動部材(プッシュロッド)が、球から離れるように引き込まれ、球の予荷重ばねに応答したバルブの全閉状態を可能にする。引き込みによって、機械的な公差のすき間が導入され、あるいは駆動されていないシステムの静的な構成からもたらすことができる既存のすき間が増やされる。
【0077】
一例においては、さらに上記実施形態が、可動部材および可動部材へと接続された駆動部材を、流れ決定部品から離れるように引き込むステップ、および可動部材を、引き込まれた位置から、可動部材へと接続された駆動部材が流れ決定部品に接触するまで、増加するように制御された方式で移動させるステップ、を含む。完全に引き込まれた位置から、可動部材および可動部材へと接続された駆動部材を、球に直接に接触する位置へと実質的に滑らかに移動させることで、次の移動に備えて、バックラッシュすき間を制御された方式で管理する(閉じる)ことができる。
【0078】
可動部材の動きを所定の方式で増加するように制御するステップは、力をもたらすことができる1つ以上の開放駆動信号を可動部材へと供給するステップをさらに含むことができ、そのような力は、流れ決定部品に接触した駆動部材によって伝達され、流れ決定部品を流れを許す状態におくために充分な力である。接触している位置から、コイルにエネルギー(1つ以上の駆動電流)を供給して、所定の力のバランス状態を生成することによって、シリンダ内容物の圧力が特定の圧力しきい値を下回って下げられたことに応答してバルブの開放を可能にする力をもたらすことができる。
【0079】
別の例では、流れを許す状態が、流れ決定部品が流体の圧力の変化に応答して開放位置へと移動するように、力のバランスを有する。圧力を検出できる1つ以上の検出部品と1つ以上のプロセッサとを含む本発明のバルブの実施形態においては、圧力の低下に応答する受動的な開放の挙動に依存するのではなく、測定された(
図3におけるようなシリンダ内容物の)圧力低下に応答して、大きな駆動力を、球に直接に接触している可動部材/駆動部材の位置から、プロセッサの制御のもとでバルブを確定的に開くために加えることができる。
【0080】
さらに別の例では、流れを許す状態が、流れ決定部品が開放位置に保持されるように、力のバランスを有する。
図1に示したバルブの実施形態においては、バルブのシール領域からの気泡または破片の清掃の目的または他の診断の目的のために、公称のバルブ開放位置(座から離れる球の移動の第1の増分から生じることができる)から、硬いストッパの行程限界または柔らかいストッパ(ばねによって決定される)の行程限界へと達するように、球を座から離れてオーバートラベルさせるように、可動部材を動作させることができる。
【0081】
別の実施形態においては、可動部材の動きを所定の方式で増加するように制御するステップが、少なくとも1つのオーバートラベル駆動信号を可動部材へと供給するステップ、および/または1つ以上の位置決め閉鎖信号を可動部材へと供給するステップをさらに含み、少なくとも1つのオーバートラベル駆動信号は、流れ決定部品に接触した駆動部材によって伝達されて流れ決定部品を限界位置まで移動させるために充分な力をもたらすことができ、1つ以上の位置決め閉鎖信号は、可動部材および可動部材へと接続された駆動部材を、流れ決定部品が流れを許さない位置へと動かすことができる。
図1に示したバルブの実施形態においては、公称のバルブ開放位置または行き過ぎのバルブ開放位置から、バルブの球を座へと制御された方式で戻すことができ、球の跳ね返りまたは他の二次的な移動を回避することができる。
【0082】
さらに別の実施形態においては、限界位置への行き過ぎを生じさせる他に、可動部材の動きを所定の方式で増加するように制御するステップが、少なくとも1つの位置決め閉鎖信号を可動部材へと供給するステップをさらに含み、少なくとも1つの位置決め閉鎖信号は、可動部材および可動部材へと接続された駆動部材を、流れ決定部品が流れを許さない位置へと動かすことができる。
【0083】
さらなる実施形態においては、可動部材の動きを所定の方式で増加するように制御するステップが、可動部材および可動部材へと接続された駆動部材を、流れ決定部品から離れるように引き込むステップ、および可動部材を、引き込まれた位置から、流れ決定部品が開放位置に位置するまで、増加するように制御された方式で移動させるステップを含む。一例においては、可動部材および可動部材へと接続された駆動部材を動かす増加するように制御された方式が、可動部材に作用している定常状態の力よりも大きい流れ決定部品への力を生み出す。
【0084】
図1に示した実施形態においては、本方法の上述の実施形態を、入り口チェックバルブの球が座に大いに固着した状況、またはバルブが完全に閉じることができないという診断の証拠が存在しており、シール領域に粒子状の異物が存在している可能性がある状況に対処するために使用することができる。可動部材を、引き込まれた位置から、完全に閉じた位置と完全に開いた位置との間の積極的な移動の1つ以上のサイクルを試みるように、動作させることができる。アクチュエータと球との間の結合にバックラッシュすき間が存在し、かつ運動エネルギーを減衰させる部品が存在していないため、アクチュエータによって生み出される定常状態の力を大きく超える駆動力を、閉状態への固着に打ち勝つうえで助けとなるように球へと過渡的に供給することができる。シールの境界の付着物に関し、チェックバルブアセンブリの超音波処理が、シール面から異物を脱離させるうえで有用であり得ることが知られている。本方法の上述の実施形態の繰り返し動作を、類似の積極的な機械的励起を球−座の境界へともたらすために使用することができる。
【0085】
それぞれのコンピュータプログラムを、コンピュータプロセッサによる実行のためにコンピュータにとって読み取り可能な記憶装置に実体として具現化されたコンピュータプログラム製品にて実現することができる。本発明の方法の各ステップを、入力にもとづく動作および出力の生成によって本発明の機能を実行するためにコンピュータにとって読み取り可能な媒体上に実体として具現化されたプログラムを実行するコンピュータマイクロプロセッサによって実行することができる。
【0086】
コンピュータにとって読み取り可能な(コンピュータにとって使用可能な)媒体の一般的な形態として、例えばフロッピー(登録商標)ディスク、フレキシブルディスク、ハードディスク、磁気テープ、または他の任意の磁気媒体、CDROM、他の任意の光学媒体、パンチカード、紙テープ、穴のパターンまたは他のパターンを備える他の任意の物理的媒体、RAM、PROM、およびEPROM、FLASH−EPROM、他の任意のメモリチップまたはカートリッジ、電磁放射または電気信号などの搬送波、あるいはコンピュータによる読み出しが可能な他の任意の媒体が挙げられる。
【0087】
上述の実施形態においては、本発明のバルブが直列流のポンプに適用されているが、本発明が、それらの例示の用途に限られないことに注意すべきである。これらに限られるわけではないが、並列流のポンプおよび単一ピストンのポンプなど、さまざまな他の用途も本発明の技術的範囲に包含される。
【0088】
上述のとおり、本発明のいくつかの代案の実施形態は、耐摩耗性のコーティングを有する部品を含む。動作時に機械的な摩耗および濡れにさらされる表面のそのようなコーティングは、例えば腐食を少なくするために有用である。公知のコーティングを含む任意の適切な耐摩耗性のコーティングを、採用することができる。いくつかの適切なコーティングとして、多結晶ダイアモンドまたはDLCで形成されたコーティングなど、ダイアモンド関連のコーティングが挙げられる。DLCは、例えば、良好な耐摺動性を有する。そのようなコーティングは、任意の適切な厚さを有することができる。例えばDLCにおいては、適切な厚さは、例えば約1μmから約10μmの範囲にある。
【0089】
いくつかの場合には、そのようなコーティングが、酸素の乏しい環境に浸漬されたときに表面の保護の利益を受ける材料で形成された部品に配置される。例えば、一般的な品質の316鋼などのステンレス鋼は、バルブまたはポンプの用途に使用されるとき、通常は耐腐食性の材料である。この鋼の固有の耐腐食性は、酸素にさらされたときの金属表面における酸化クロム層の自然な形成から生じている。ステンレス鋼のパッシベーションは、この自然のプロセスを妨げ得る表面の汚染物質を清掃する。
【0090】
特定の環境のもとでは、酸化クロム層が奪われ、あるいは摩耗する可能性がある。酸素含有環境でのステンレス鋼は、酸化物層が摩耗した場合に、典型的には自身の耐腐食性の酸化物層を補充する。溶媒環境などにおいて鋼の表面の酸素が不足する場合、自然の耐腐食層が補充されない可能性がある。その結果、露出された鋼が腐食しがちになり得る。例えば、典型的に溶媒に浸漬されるバルブおよびポンプの部品が、この腐食の挙動を示す可能性がある。
【0091】
したがって、随意により、摩耗に適切に耐えるコーティング材料が、下層の鋼の自然の耐腐食性を保存する。
【0092】
適切なDLCコーティングが、イオンビーム蒸着またはRFプラズマ蒸着など、公知の方法を含む任意の適切な方法によって製造される。多結晶ダイアモンドコーティングは、化学気相成長法など、公知の方法を含む任意の適切な方法によって製造される。
【0093】
上述のように、本発明の種々の実施形態は、コーティングを有する部品を含む。そのような実施形態は、バルブ、ポンプ、および可動部品を含むクロマトグラフィ装置の他の部分を含む。あくまでも例として、コーティングされる部品または表面として、バルブ駆動部材(部材38など)、バルブ本体またはマニホールドの表面(バルブの座、ならびに/あるいはボビン、ポペット、または他の可動部品を収容する空洞の表面など)、ポンプの部品(ポンプのシリンダヘッド表面、ポンプのポペットまたはピストン、ポンプのシール、および/またはポンプのシリンダなど)が挙げられる。一例のポンプの用途においては、シールウォッシュハウジングの高圧ポンプシールバックアップリングが、コーティングによって摩擦から保護される。
【0094】
コーティングされた部品は、例えば摺動、微視的なこすれ、振動、および/または衝突に起因する摩耗から保護され、コーティングされた表面は、例えば溶媒または移動相を含む流体環境から保護される。
【0095】
本明細書において提示した説明に鑑み、クロマトグラフィ技術の当業者であれば、さまざまな種類の部品の表面へのコーティングの好都合な適用を、理解できるであろう。
【0096】
本発明を、種々の実施形態に関して説明したが、本発明について、本発明の技術的範囲に包含される幅広くさまざまなさらなる実施形態および他の実施形態が可能であることを、理解すべきである。