特許第5685268号(P5685268)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許5685268第四級アンモニウム基を有する新規ポリシロキサン、その製造方法、およびクレンジング用およびケア用処方物におけるその使用
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5685268
(24)【登録日】2015年1月23日
(45)【発行日】2015年3月18日
(54)【発明の名称】第四級アンモニウム基を有する新規ポリシロキサン、その製造方法、およびクレンジング用およびケア用処方物におけるその使用
(51)【国際特許分類】
   C08G 77/26 20060101AFI20150226BHJP
   A61K 8/898 20060101ALI20150226BHJP
   A61Q 5/00 20060101ALI20150226BHJP
   D06M 15/643 20060101ALI20150226BHJP
   D06M 15/65 20060101ALI20150226BHJP
【FI】
   C08G77/26
   A61K8/898
   A61Q5/00
   D06M15/643
   D06M15/65
【請求項の数】15
【全頁数】39
(21)【出願番号】特願2012-548367(P2012-548367)
(86)(22)【出願日】2010年12月17日
(65)【公表番号】特表2013-517337(P2013-517337A)
(43)【公表日】2013年5月16日
(86)【国際出願番号】EP2010070071
(87)【国際公開番号】WO2011088937
(87)【国際公開日】20110728
【審査請求日】2013年6月27日
(31)【優先権主張番号】102010000993.8
(32)【優先日】2010年1月19日
(33)【優先権主張国】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】501073862
【氏名又は名称】エボニック デグサ ゲーエムベーハー
【氏名又は名称原語表記】Evonik Degussa GmbH
(74)【代理人】
【識別番号】100079108
【弁理士】
【氏名又は名称】稲葉 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100109346
【弁理士】
【氏名又は名称】大貫 敏史
(72)【発明者】
【氏名】ヘルワース,サシャ
(72)【発明者】
【氏名】ハルトゥング,クリスチャン
(72)【発明者】
【氏名】ウィンター,パトリック
(72)【発明者】
【氏名】フェレンツ,マイケル
(72)【発明者】
【氏名】ヘニング,フラウク
【審査官】 安田 周史
(56)【参考文献】
【文献】 特開2008−031481(JP,A)
【文献】 特表2005−520880(JP,A)
【文献】 特開平04−292627(JP,A)
【文献】 特開2010−037344(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08G 77/26
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1つの第四級アンモニウム基を含み、一般式(I)
M’a1M’’a2M’’’a3D’b1D’’b2D’’’b3T’c1
式(I)
(式中、
M=(RSiO1/2)であり、
M’=(RSiO1/2)であり、
M’’=(RSiO1/2)であり、
M’’’=(RSiO1/2)であり、
D=(RSiO2/2)であり、
D’=(RSiO2/2)であり、
D’’=(RSiO2/2)であり、
D’’’=(RSiO2/2)であり、
T=(RSiO3/2)であり、
T’=(RSiO3/2)であり、
Q=(SiO4/2)であり、
a=0〜32であり
a1=0〜10であり
a2=0〜32であり
a3=0〜10であり
ただし、
a+a1+a2+a3>3であり
b=1〜600であり
b1=0〜10であり
b2=0〜80であり
b3=0〜20であり
c=0〜30であり
c1=0〜10であり
d=0〜15であり
ただし、
a2+b2≧1であり、および
c+c1+d>1であり
=互いに独立して、同一のまたは異なる、1〜30個の炭素原子を有する、直鎖状または分枝状の、あるいは芳香族の炭化水素基であり
=互いに独立して、同一のまたは異なるアルコキシまたはアシルオキシ基であり
=互いに独立して、同一のまたは異なる、第四級アンモニウム官能基を有する有機基であり、
=互いに独立して、同一のまたは異なる、有機エポキシ基であり、
=互いに独立して、同一のまたは異なる、R、RまたはRである
で表される、ポリシロキサン。
【請求項2】
a=0〜22であり、
a1=0〜5であり、
a2=0〜22であり、
a3=0〜5であり、
ただし、
a+a1+a2+a3>4であり、
b=10〜500であり、
b1=0〜5であり、
b2=0〜50であり、
b3=0〜10であり、
c=1〜20であり、
c1=0〜5であり、
d=1〜12であり、
ただし、
a2+b2>3であり、および
c+c1+d>2であり、
=互いに独立して、メチルまたはフェニルであり、
=互いに独立して、メトキシ、エトキシ、n−プロポキシ、イソプロポキシ基、またはアセトキシであり、
=互いに独立して、同一のまたは異なる、R基である、
請求項1に記載のポリシロキサン。
【請求項3】
a=0〜12であり、
a1=0であり、
a2=1〜12であり、
a3=0であり、
b=20〜400であり、
b1=0であり、
b2=0〜10であり、
b3=0であり、
c=2〜15であり、
c1=0であり、
d=2〜10であり、
および
c+c1+d≧3であり、
=メチルであり、
=互いに独立してエトキシまたはイソプロポキシ基であり、
=互いに独立して、メチル、フェニル、ドデシル、またはヘキサデシルである、
請求項2に記載のポリシロキサン。
【請求項4】
基が、
【化9】

の群より選択される、同一のまたは異なる基であることを特徴とする、請求項1〜3のいずれか1項に記載のポリシロキサン。
【請求項5】
基が、構造−R−Rを有する基であり、
基は
【化10】

の群より選択される同一のまたは異なる二価の基であり、
は、
【化11】

からなる群より選択され、
は、水素または1〜6個のC原子を有するアルキルの群に由来する、同一のまたは異なる基であり
は、同一のまたは異なる二価の炭化水素基又はエーテル官能基を含む二価の炭化水素基であり
10、R11、およびR12は、各々の場合に互いに独立して、水素または1〜30個のC原子を有するアルキル基、または式
【化12】

で表される基であり、
13は、
−O−、−NR16−、
の群に由来する同一のまたは異なる基であり、
14は、同一のまたは異なる二価の炭化水素基又は分枝状の二価の炭化水素基であり
15は、同一のまたは異なる1〜30個のC原子を有するアルキル、アリール、またはアルカリル基、あるいはエーテル官能基を含む、1〜30個のC原子を有するアルキル、アリール、またはアルカリル基であり
16は、同一のまたは異なる、水素または1〜6個のC原子を有するアルキルの群に由来する基であり、
m=2〜18であり、
n=2〜18であり
o=0〜30であり
p=0〜30であり
は、酸HAの無機または有機陰イオンおよびその誘導体から選択される、第四級窒素基上の正電荷に対する、同一のまたは異なる対イオンである、
ことを特徴とする、請求項1〜4のいずれか1項に記載のポリシロキサン。
【請求項6】
はメチルであり、
はメチレンであり、
14は、エチレンまたはプロピレンであり、
15は、メチル、エチル、またはフェニルであり、
n=3であり、
o=0〜10であり、
p=0〜10である、
請求項5に記載のポリシロキサン。
【請求項7】
15はメチルであり、
o=1〜3である、請求項6に記載のポリシロキサン。
【請求項8】
A)混合物の平衡化および凝縮により、TユニットおよびQユニットより選択される少なくとも2つのユニットを介して分枝したSiH基含有シロキサン構造を調製する工程であって、
前記混合物が、以下の成分:
a)少なくとも1つのSiH官能基を有するシロキサン、
b)少なくとも1つのSiH官能基を有さないシロキサン、
および成分c)または成分d)のいずれか一方、
または成分c)およびd)の両方、
を含み、ここで、
c)は、少なくとも1つのテトラアルコキシシラン、
d)は、少なくとも1つのトリアルコキシシラン、
であり、水および少なくとも1つの好適な触媒が添加されている、
工程と、
B)少なくとも1つの不飽和エポキシドを用いて、方法工程A)より得られたSiH官能基を有するシロキサンをヒドロシリル化する工程と、
C)少なくとも1つの第三級アミンを用いて、方法工程B)より得られたエポキシシロキサンを四級化する工程と、
を含む、請求項1から7のいずれか一項に記載のポリシロキサンを調製する方法。
【請求項9】
化粧品、医薬または皮膚科用組成物の製造のための、請求項1から7のいずれか一項に記載の少なくとも1つの化合物、または請求項に記載の方法により得ることができる少なくとも1つのポリシロキサンの使用。
【請求項10】
ケアおよびクリーニング処方物中のケア有効成分としての、請求項1から7のいずれか一項に記載の少なくとも1つの化合物、または請求項に記載の方法により得ることができる少なくとも1つのポリシロキサンの使用。
【請求項11】
ヘアトリートメント組成物およびヘアアフタートリートメント組成物用のコンディショニング剤としての、および毛髪の構造を改善する薬剤としての、請求項1から7のいずれか一項に記載の少なくとも1つの化合物、または請求項に記載の方法により得ることができる少なくとも1つのポリシロキサンの使用。
【請求項12】
請求項1から7のいずれか一項に記載の少なくとも1つの化合物、または請求項に記載の方法により得ることができる少なくとも1つのポリシロキサンを含む化粧品、医薬または皮膚科用組成物
【請求項13】
毛髪から洗い流される、または毛髪に留まる界面活性剤含有水性ケアおよびクリーニング処方物、ヘアトリートメント組成物、およびヘアアフタートリートメント組成物である、請求項12に記載の化粧品、医薬または皮膚科用組成物。
【請求項14】
請求項1から7のいずれか一項に記載の少なくとも1つの化合物、または請求項に記載の方法により得ることができる少なくとも1つのポリシロキサンを含む、家庭用、産業用、および機関向け用途のクリーニングおよびケア処方物
【請求項15】
ファブリック柔軟剤である、請求項14に記載の処方物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、第四級アンモニウム基を有する革新的なポリシロキサン、およびその調製方法に関する。本発明は、皮膚および表皮派生物(derivatives)のケアおよびクリーニング用の処方物、例えば毛髪用コンディショニング剤等において、および家庭および産業で用いられるクリーニングおよびメンテナンス製品において、このようなポリマーをケア有効成分として使用することにさらに関する。
【背景技術】
【0002】
第四級アンモニウム基を有するポリシロキサン、およびヘアケアまたはテキスタイル柔軟剤用の添加物としてこれを利用することは、特許文献から公知である。
【0003】
例えば、DE14 93 384、EP0017122およびUS4895964には、シロキサンが、中間部位においてポリマー上で統計的に分布した第四級アンモニウム基で変性された(modified)構造が記載されている。これらの化合物は、顕著なシリコーン特性を有さない欠点、および例えば毛髪またはテキスタイル用のコンディショニング剤として効果的な活性が認められないという欠点を有する。
【0004】
顕著なシリコーン特性は、DE37 19 086およびEP0 294 642に記載されている種類のカチオン性ポリシロキサンに認められる。DE37 19 086に記載されている構造、およびEP0 294 642に記載されている構造では、ポリシロキサンの末端位置に第四級官能基が結合している。このような種類の化合物は、コンディショニング剤としての同化合物の効果に関して、毛髪やテキスタイル用に限らず、硬表面用としても利点をもたらす。化粧品処方物におけるこのような化合物の使用は、例えばEP0530974、EP617607、EP1080714、WO2001082879、およびUS6207141に記載されている。
【0005】
それにもかかわらず、そこに記載されている構造は、2つのカチオン性の基を有するにすぎない。実質性が比較的低いことから、特殊な表面を対象とするポリシロキサンの親和性は比較的小さい。
【0006】
DE−A 33 40 708より、ポリ第四級(polyquaternary)ポリシロキサンポリマーが公知である。この種のポリ第四級ポリシロキサンポリマーは上記欠点を有さない。しかし、このような化合物を調製する方法が複雑かつ高価であるために、このような化合物を実用的に使用するには抵抗がある。当該化合物は調製可能であるが、その理論収率は60%未満であり、経済的に許容されない。
【0007】
ヒトの毛髪は、非常に幅広い様々な影響に毎日曝露されている。ブラッシングし、櫛で梳かし、髪を結い上げ、または後ろで束ねることに因る機械的ストレスの他、毛髪は、環境影響、例えば強いUV照射、寒さ、風、および水による攻撃も受ける。問題とするヒトの生理学的な状態(例えば、年齢、健康)も、ケラチン繊維の状態に影響を及ぼす。
【0008】
特に化学薬剤でトリートメントすると、毛髪の構造および表面特性が変化する。例えばパーマネントウェーブ、漂白、カラーリング、ティンティング、ストレートニング等の方法の他、侵襲性の界面活性剤を用いて高頻度で洗髪を行うと、毛髪の構造に多かれ少なかれ深刻なダメージを与える原因となる。例えば、パーマネントウェーブトリートメントの場合は、毛髪の皮質およびキューティクルの両方が攻撃を受ける。シスチンのジスルフィド架橋は、還元工程により破壊され、その後の酸化工程で、部分的に酸化されて酸性システインとなる。
【0009】
漂白の場合は、メラニンが破壊されるだけでなく、軽度の漂白トリートメントの場合、シスチン内のジスルフィド結合の約15%〜25%が酸化される。過度の漂白の場合は、この数値は45%まで高まる可能性がある(K. F. de Polo, A Short Textbook of Cosmetology, 2000, Verlag fur chemische Industrie, H. Ziolkowsky GmbH)。
【0010】
したがって、化学的なトリートメント、高頻度の洗髪、またはUV照射を行うと、自然に分泌された毛髪の脂肪または保水物質(皮脂)が除去され、これに誘発されて毛髪に対して有害な機械性質が生み出される。毛髪は、その結果、もろく、乾燥し、はりがなく、多孔性となり、櫛で梳かすことが困難となる。
【0011】
さらに、十分に洗髪された毛髪では、個々の毛髪はちぢれ毛となり、もつれる傾向があるので、濡れた状態および乾燥状態のいずれにおいても櫛で梳かすことが一般的に非常に困難である。したがって、毛髪は、最初は洗髪期間中、およびその後の櫛で梳かす期間中にその抵抗性を失う。この抵抗性の喪失は、濡れた毛髪の張力が顕著に低下することで明らかとなる。さらに、このような毛髪では、化学薬品、界面活性剤、および環境効果に起因するさらなるダメージに対する抵抗性が、健康な毛髪よりも低い。
【0012】
このようにダメージを受けた毛髪をケアするために、例えばヘアリンス、ヘアリペアトリートメント、シャンプー、リーブインコンディショナー等の特定の調製物があるが、これらは、特にダメージを受けた毛髪の櫛の通り、手触り、および光沢を改善することができる。上記種類の市販のヘアケア組成物は、カチオン性、アルキルアンモニウムベースの界面活性剤、ポリマー、ワックス、または油またはシリコーン液を主に含む。上記化合物の活性は、毛髪表面の疎水化を含む効果の原因となり得る。
【0013】
これら組成物のいずれについても、達成される毛髪のケア効果(コンディショニング)は良好であるが、当該ケア製品により外観、特に毛髪の光沢までは改善せず、場合によっては損われることさえある。
【0014】
その結果、洗浄効果の他、毛髪のケアも強化すると同時に良好な光沢を与え、毛髪の構造に対するダメージから毛髪を保護し、また環境効果の他、シェーピングやカラーリングトリートメントにより毛髪にすでに引き起こされた構造的なダメージを最小限に抑えるような、個人衛生用の汎用性のある有効成分およびケア組成物、例えばシャンプー、ヘアトリートメント組成物、およびヘアアフタートリートメント組成物に対する要求が継続して存在する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
本発明の目的は、ダメージヘアであってもなくても、そのような毛髪の特性、例えば櫛の通り、柔軟性、ボリューム感、髪の形を整える特性、取り扱い特性、およびもつれた髪をほぐす特性を強化するだけではなく、毛髪に魅力的な光沢を与えることができる、この種の有効成分を提供することである。したがって、当該化合物は、機械的およびその他の性質について、改善したまたは少なくとも等しく良好な個別の効果であるが、全体として改善した複合効果を示す。
【課題を解決するための手段】
【0016】
驚くべきことに、第四級アンモニウム基を含み、シロキサン部分で分枝した、一般式(I)のシロキサンが上記の目的を達成することが認められた。
【0017】
本発明のシロキサンの1つの利点として、それらは、側鎖変性シロキサンおよびα,ω−変性シロキサンの利点を一体化し、純粋に直鎖状の構造と比較してより多数の置換可能性を有し得るという意味においてより高い程度の変性を示すことが挙げられる。その結果、特に良好なコンディショニング効果を化粧用、皮膚科用および医薬処方物に導入することが可能な、長く、途切れていないシロキサン骨格を有する構造を得ることができる。本発明のシロキサンの別の利点として、これらのシロキサンおよびこれから製造された下流製品は、ゲル化する傾向を有さないか、ほとんど有さず、したがって製品の粘度に重大な変化を引き起こさずに比較的長期間保管可能なことが挙げられる。この利点は、具体的には高分子量の製品について強調され得る。したがって、本発明の製品は、特に、第四級アンモニウム基を含み、シリコーン部分で分枝し(branched)、したがって高度に分枝し、比較的高分子量(平均モル質量>3000g/mol)である有機変性シロキサンに基づくが、この構造は、それにもかかわらずゲル化せず、したがって比較的低粘度である。
【0018】
本発明のさらなる利点として、式(I)で規定される第四級アンモニウム基を有するポリシロキサンは、皮膚および毛髪に対して顕著なコンディショニング効果を発揮することが挙げられる。皮膚に対するこのようなコンディショニング効果の結果として、水性の界面活性剤含有処方物を利用した後に乾燥し、もろいまたは荒れた皮膚状態となるのを防止することができ、また快適で、ビロードや絹のような手触りを得ることができる。
【0019】
別の利点として、ケア有効成分として発明利用すると、処方物において初期の泡立ちが強化され、泡量が増加し、泡がよりクリーミーになることに寄与することが挙げられる。
【0020】
さらに、ケア有効成分として本構造物を発明利用すると、毛髪の光沢が改善する。
【0021】
本発明が、例えば様々な複数ユニットを有することができるポリシロキサン等の化合物を記載する場合、これらのユニットは統計的分布で(ランダムオリゴマー)または規則化した形(ブロックオリゴマー)で生じ得る。このような化合物内のユニット数に関するデータは、このような化合物全体について平均化された平均値として理解されるべきである。
【0022】
表示されるすべての割合(%)は、別途明記しない限り、質量による割合(%)である。
【0023】
例えば圧力および温度等の条件は、すべて別途規定しない限り、標準の条件である。
【0024】
したがって、本発明は、少なくとも1つの第四級アンモニウム基を含み、一般式(I)
M’a1M’’a2M’’’a3D’b1D’’b2D’’’b3T’c1 式(I)
(式中、
M=(RSiO1/2)であり、
M’=(RSiO1/2)であり、
M’’=(RSiO1/2)であり、
M’’’=(RSiO1/2)であり、
D=(RSiO2/2)であり、
D’=(RSiO2/2)であり、
D’’=(RSiO2/2)であり、
D’’’=(RSiO2/2)であり、
T=(RSiO3/2)であり、
T’=(RSiO3/2)であり、
Q=(SiO4/2)であり、
a=0〜32、好ましくは0〜22、より特定すれば0〜12であり、
a1=0〜10、好ましくは0〜5、より特定すれば0であり、
a2=0〜32、好ましくは0〜22、より特定すれば1〜12であり、
a3=0〜10、好ましくは0〜5、より特定すれば0であり、
ただし、
a+a1+a2+a3>3、好ましくは>4であり、
b=1〜600、好ましくは10〜500、より特定すれば20〜400であり、
b1=0〜10、好ましくは0〜5、より特定すれば0であり、
b2=0〜80、好ましくは0〜50、より特定すれば0〜10であり、
b3=0〜20、好ましくは0〜10、より特定すれば0であり、
c=0〜30、好ましくは1〜20、より特定すれば2〜15であり、
c1=0〜10、好ましくは0〜5、より特定すれば0であり、
d=0〜15、好ましくは1〜12、より特定すれば2〜10であり、
ただし、
a2+b2≧1、好ましくは>3であり、および
c+c1+d>1、好ましくは>2、より特定すれば≧3であり、
=互いに独立して、同一のまたは異なる、1〜30個の炭素原子を有する、直鎖状または分枝状の、任意選択により芳香族の炭化水素基、好ましくはメチルまたはフェニル、より特定すればメチルであり、
=互いに独立して、同一のまたは異なる、例えばメトキシ、エトキシ、n−プロポキシ、またはイソプロポキシ基、アセトキシ等のアルコキシまたはアシルオキシ基、より特定すればエトキシまたはイソプロポキシ基であり、
=互いに独立して、同一のまたは異なる、第四級アンモニウム官能基を有する有機基であり、
=互いに独立して、同一のまたは異なる、有機エポキシ基であり、
=互いに独立して、同一のまたは異なる、R、RまたはR基、好ましくはR基、より特定すればメチル、フェニル、ドデシル、またはヘキサデシルである)
で表される、ポリシロキサンを提供する。
【0025】
好適なエポキシ基Rは、例えば好ましくは、
【0026】
【化1】

の群より選択される、同一のまたは異なる基である。
【0027】
好適なR基は、例えば構造−R−Rを有する基であり、
基は、好ましくは、
【0028】
【化2】

の群より選択される同一のまたは異なる二価の基であり、
は、好ましくは、
【0029】
【化3】

であり、
は、
【0030】
【化4】

からなる群より選択され、
は、水素または1〜6個のC原子を有するアルキルの群に由来する、同一のまたは異なる基であり、好ましくはメチルであり、
は、同一のまたは異なる、任意選択によりエーテル官能基を含む、二価の炭化水素基であり、好ましくはメチレンであり、
10、R11、およびR12は、各々の場合に互いに独立して、水素または1〜30個のC原子を有するアルキル基、または式
【0031】
【化5】

で表される基であり、
13は、
−O−、−NR16−、
の群に由来する同一のまたは異なる基であり、
14は、同一のまたは異なる、任意選択により分枝状の、二価の炭化水素基であり、好ましくはエチレンまたはプロピレンであり、
15は、同一のまたは異なる、任意選択によりエーテル官能基を含む、1〜30個のC原子を有するアルキル、アリール、またはアルカリル基であり、好ましくはメチル、エチル、またはフェニル、より特定すればメチルであり、
16は、同一のまたは異なる、水素または1〜6個のC原子を有するアルキルの群に由来する基であり、
m=2〜18であり、
n=2〜18、好ましくは3であり、
o=0〜30、好ましくは0〜10、より特定すれば1〜3であり、
p=0〜30、好ましくは0〜10であり、
は、酸HAの無機または有機陰イオンおよびその誘導体から選択される、第四級窒素基上の正電荷に対する、同一のまたは異なる対イオンである。
【0032】
本発明のさらに好ましい実施形態では、第四級窒素基上の正電荷に対する対イオンAは、特に好ましくは、酢酸、L−ヒドロキシカルボン酸、より特定すれば乳酸、または芳香族カルボン酸より選択される生理学的に許容される酸HAの陰イオンから構成される。
【0033】
その他の好ましい対イオンは、一般的な第四級化剤に由来する。これらは、より特定すれば、硫酸エチル、硫酸メチル、トルエンスルホナート、塩化物、および臭化物である。
【0034】
当業者にとって、混合物形態の化合物が、統計的な法則により実質的に支配された分布で存在するということは精通概念である。
【発明を実施するための形態】
【0035】
本発明のシロキサンの調製:
本発明は、
A)混合物の平衡化および凝縮により、TユニットおよびQユニットより選択される少なくとも2つのユニットを介して分枝したSiH基含有シロキサン構造を調製する工程であって、
前記混合物が、以下の成分:
a)少なくとも1つのSiH官能基を有するシロキサン、
b)少なくとも1つのSiH官能基を有さないシロキサン、
および成分c)または成分d)のいずれか一方、
または成分c)およびd)の両方、
を含み、ただし、
c)は、少なくとも1つのテトラアルコキシシランであり、
d)は、少なくとも1つのトリアルコキシシランであり、
水および少なくとも1つの好適な触媒が添加されている、工程と、
B)少なくとも1つの不飽和エポキシドを用いて、方法工程A)より得られたSiH官能基を有するシロキサンをヒドロシリル化する工程と、
C)少なくとも1つの第三級アミンを用いて、方法工程B)より得られたエポキシシロキサンを四級化する工程と、
を含む、本発明に記載の一般式(I)のポリシロキサンを調製する方法をさらに提供する。
【0036】
本発明に従い、方法の工程A)で用いる触媒は、固体触媒、好ましくは固体のブレンステッド酸触媒であるのが好ましい。酸イオン交換体としては、先行技術から公知のイオン交換体を使用することが可能である。本発明の方法の工程A)では、天然のイオン交換体、例えばゼオライト、モンモリロナイト、アタパルジャイト、ベントナイト、およびその他のケイ酸アルミニウム等の他、合成イオン交換体も使用することができる。後者は、好ましくはフェノール−ホルムアルデヒド樹脂をベースとする三次元、水不溶性、高分子量のマトリックスを有する固体(通常、粒子形態)、または非常に多くの様々な酸性度の「アンカー基」が組み込まれたスチレン−ジビニルベンゼンのコポリマーである。方法工程A)では、より特定すれば、例えばブランド名Amberlite(登録商標)、Amberlyst(登録商標)、またはDowex(登録商標)、およびLewatit(登録商標)として公知の製品等の酸性アルミナまたは酸性イオン交換樹脂を使用することができる。酸性イオン交換体として、スルホン酸イオン交換樹脂を使用するのが特に好ましい。
【0037】
本発明の方法の工程A)で用いられる酸性イオン交換体は、好ましくはEP1 439 200に記載されている種類のものである。
【0038】
本発明の方法の工程A)で、使用する触媒は、少なくとも1つの固体酸性イオン交換体(触媒1)および少なくとも1つのその他の非固体ブレンステッド酸触媒(触媒2)、より特定すれば液体の酸を含む場合、有利であり得る。触媒2として、本発明では、鉱酸、好ましくは硫酸、および/または、好ましくは有機スルホン酸、好ましくはトリフルオロメタンスルホン酸を使用することが可能である。この触媒混合物は、好ましくは反応混合物に直接添加される。触媒としては、トリフルオロメタンスルホン酸およびスルホン酸イオン交換樹脂、好ましくはLewatit(登録商標)K2621(Bayer Material Science)の混合物を使用するのが好ましい。触媒混合物は、好ましくは触媒1と触媒2との質量比として10:1〜100:1を有する。この質量比は、より特定すれば、Lewatit(登録商標)触媒を触媒1として、またトリフルオロメタンスルホン酸を触媒2として使用する場合に好ましい。
【0039】
方法工程A)で触媒として2つの触媒1および2が用いられる場合、最初に触媒2が好ましくは完全に出発物質混合物に添加され、次に水が添加され、ついで触媒1が好ましくは完全に水が添加された後にのみ添加される場合、有利であり得る。あるいは、触媒1および2は共に、水が添加される前に出発物質に添加可能である。
【0040】
方法工程A)にとって好適な条件および好ましい条件は、特に特許出願DE102008041601.0およびDE102007055485.2に記載されており、両出願は、全体として本出願の開示内容の一部を形成するものとみなされる。
【0041】
方法工程A)では、方法の性質に応じて、残存アルコキシ基(部分的に不完全な凝縮が行った後に)がSiH官能基を有するシロキサン中に存在してもよい。これは、アルコキシシランのアルコキシ基のすべてが反応可能とならないように、例えば、加水分解および凝縮反応で完全な変換が達成される前に反応を中止することにより、または準化学量論的な分量で加水分解に必要とされる水を用いることにより達成可能である。
【0042】
方法工程B)は、好ましくは貴金属触媒、より特定すればPt、Rh、またはRu触媒の存在下で実施される。
【0043】
方法工程B)で好適に用いられる不飽和エポキシドは、例えばアリルグリシジルエーテル、ビニルシクロヘキセンオキシド、ノルボルナジエンモノエポキシドである。方法工程B)のヒドロシリル化反応にとって好適な条件および好ましい条件は、特に、例えばEP1520870に記載されており、当該特許は本明細書において参考により組み込まれ、また本発明の開示内容の一部とみなされる。
【0044】
方法工程B)では、SiH基のいくつかはSiC架橋反応での反応により消費されず、代わりにヒドロキシル官能基上のSiOC結合アルコキシ基またはアシルオキシ基の反応によってシロキサンに結合することが可能である。反応条件(触媒/共触媒、反応温度、反応物質の添加順序、溶媒使用を含む)を適切に選択することにより、この二次反応は、通常、十分に抑制可能である。
【0045】
方法工程B)で得られるエポキシシロキサンは、最終的に方法工程C)で第三級アミンと反応して、第四級アンモニウム基を有する所望のシロキサンを形成する。方法工程C)の好適な条件および好ましい条件は、例えばDE37 19 086およびEP0 294 642に記載されている。
【0046】
当業者は、この種の反応順序の一部として、SiH官能基を有するシロキサンの平衡化(方法工程A)ならびにヒドロシリル化(方法工程B)および四級化(方法工程C)のいずれに関しても、二次反応が生ずる可能性があることを認識している。二次反応の程度は、反応物質の性質および反応条件を含む要因に依存する。したがって、例えば通常の方法により、カルボン酸の存在下でエポキシシロキサンを第三級アミンと反応させる場合、四級化の程度は約80%〜95%である。
【0047】
当業者にとって、本発明の方法が、ポリシロキサンの混合物、より特定すれば技術的混合物を生成することは明らかである。このような混合物は、本発明と関連して用いる場合、用語「本発明の方法に従って調製される一般式(I)の化合物」または「本発明の方法に従って調製されるシロキサン」に含まれるものと理解される。
【0048】
本発明の生成物の使用:
本発明によりさらに提供されるものとして、化粧用、医薬または皮膚科用組成物を製造するために、本発明のポリシロキサン、または本発明の方法により得ることができる、好ましくは本発明の方法により得られたポリシロキサンを使用することが挙げられる。
【0049】
本発明に従えば、水溶性または水不溶性ポリシロキサンを使用することが可能である。これは、下記に規定する発明使用に関して適用される。製造される処方物(濁ったまたは透明な処方物)に応じて、当業者は、当該処方物を製造するために水溶性または水不溶性ポリシロキサンのいずれを使用すべきかについて精通している。本発明の意味において、用語「水不溶性」とは、水溶液中で20℃および1barの圧力で0.01重量%未満の溶解度として定義される。本発明の意味において、用語「水溶性」とは、水溶液中で20℃および1barの圧力で0.01重量%以上の溶解度として定義される。
【0050】
本発明によりさらに提供されるものとして、ケアおよびクリーニング処方物におけるケア有効成分、好ましくは界面活性剤含有水性ケアおよびクリーニング処方物として、本発明のポリシロキサン、または本発明の方法により得ることができる、好ましくは本発明の方法に得られたポリシロキサンを使用することが挙げられる。
【0051】
用語「ケア有効成分」とは、本明細書では、物をその当初の形態に維持する目的、外部影響(例えば、時間、光、温度、圧力、汚れ、物と接触するその他の反応性化合物との化学反応)から受ける効果、例えば劣化、汚れ、疲労、褪色を低減するもしくは防止する目的、またはさらに物の望ましく好ましい性質を改善するという目的を満たす物質を意味する。後者の事例には、毛髪の光沢の改善または問題とする物の伸縮性の向上が含まれる。
【0052】
この文脈において、好ましいケア処方物は、光沢を改善するケア処方物である。
【0053】
この文脈において、ケアおよびクリーニング処方物は、化粧用、医薬または皮膚科用組成物に限定されず、家庭および産業で用いられる、例えばタイル、木部、ガラス、セラミック、リノリウム、プラスチック、塗装表面、革、ファブリック、繊維等の無生物の表面をケアおよびクリーニングするための任意のそのような処方物であり得る。このような物の例として、窓ガラスと窓台、シャワーの仕切り壁、フローリング、例えばカーペット、タイル、ラミネート、ウッドブロック、コルクフロア、大理石、石材、および微細なストーンウェアフロア等、家庭用セラミック、例えばWC、洗面器、ビデ、シャワートレイ、バスタブ、ドアハンドル、フィッティング等、家庭用機器、例えば洗濯機、乾燥機、食器洗浄機、セラミックまたはステンレス鋼製のシンク等、家具、例えばテーブル、いす、棚等、カウンタートップ、窓、台所用品、食器とカトラリー、ランドリー、特により身体に接近したもの(下着)、船舶、車両や航空機、例えば自動車、バス、モータボート、および帆船等、道具、例えば外科用器具、電気掃除機、マシン、輸送管、タンク、および輸送器具、食品加工におけるプロセッシングおよび貯蔵用具等が挙げられる。したがって、この文脈において、処方物は家庭用、産業用、および機関用のクリーニングおよびケア組成物で用いられる。
【0054】
この文脈において、ケアおよびクリーニングされる表面は、好ましくは繊維またはテキスタイルの表面、より特定すれば、織布、ランドリー、家具、またはカーペットの表面である。
【0055】
本発明によりさらに提供されるものとして、本発明のポリシロキサン、または本発明の方法により得ることができる、好ましくは本発明の方法により得られたポリシロキサンを、ヘアトリートメント組成物およびヘアアフタートリートメント組成物用のコンディショニング剤として、また毛髪の構造を改善する薬剤として使用することが挙げられる。
【0056】
処方/組成物
本発明によりさらに提供されるものとして、化粧用、医薬または皮膚科用組成物であり、より特に好ましくは、界面活性剤含有水性ケアおよびクリーニング処方物、特に毛髪から洗い流されるかまたは毛髪に留まるヘアトリートメント組成物およびヘアアフタートリートメント組成物、例えば、顕著なコンディショニング効果を有するまたは有さないシャンプー、2イン1シャンプー、リンス、ヘアトリートメント、ヘアマスク、スタイリング補助剤、スタイリング組成物、ブロードライローション、ヘアセッティング組成物、パーマネントウェーブ組成物、ヘアスムージング組成物、および毛髪をカラーリングするための組成物が挙げられ、本発明のポリシロキサンのうちの少なくとも1つ、または本発明の方法により得ることができる、好ましくは本発明の方法により得られたポリシロキサンのうちの1つを含む。
【0057】
本発明の組成物では、本発明のポリシロキサンは、0.01〜20質量%、好ましくは0.1〜8質量%、より好ましくは0.2〜4質量%の濃度で有利に用いられる。
【0058】
本発明の組成物は、例えば
皮膚軟化剤(emollient)、
乳化剤、
増粘剤/粘度調整剤/安定剤、
酸化防止剤、
ヒドロトロープ(またはポリオール)、
固形物および充填材、
真珠光沢添加物、
防臭剤および発汗抑制有効成分、
防虫剤、
セルフタンニング剤、
防腐剤、
コンディショナー、
香水、
色素、
化粧品有効成分、
ケア添加物、
過脂肪剤、
溶媒、
からなる群より選択される少なくとも1つの追加成分を含み得る。
【0059】
個々の群の典型的で代表的なものとして利用可能である物質は、当業者にとって公知であり、例えば、ドイツ特許出願DE102008001788.4に見出すことができる。この特許出願は、本明細書において参照により組み込まれ、したがって本開示内容の一部とみなされる。
【0060】
その他の任意選択による成分、また用いられるその成分量については、当業者にとって公知の関連するハンドブック、例えばK.Schrader、「Grundlagen and Rezepturen der Kosmetika」、第2版、329〜341頁、Huthig Buch Verlag Heidelbergを明示的に参照する。
【0061】
各添加量は、意図する使用に依存する。
【0062】
特定用途のための一般的なガイドライン処方は、当技術分野ですでに公知であり、例えば個々の原料物質および有効成分の製造業者発行のパンフレットに記載されている。そのような既存の処方物は、通常、変更することなく採用することができる。ただし、必要に応じて、また必要なときに、適合化および最適化するために、単純な試験を用いて、複雑さもなく所望の変更を加えることができる。
【0063】
本発明は、家庭用、産業用、および機関向け用途のクリーニングおよびケア処方物、例えば殺菌剤、消毒クリーナー、フォームクリーナー、フロアクリーナー、カーペットクリーナー、家具クリーナー、フロアケア製品、大理石クリーナー、ウッドブロックフロアクリーナー、石材およびセラミックフロアクリーナー、ワイプケア組成物、ステンレス鋼クリーナー、ガラスクリーナー、食器用洗剤、プラスチック用クリーナー、サニタリークリーナー、木部クリーナー、革クリーナー、ランドリー洗剤、ランドリーケア組成物、消毒洗剤、ヘビーデューティ洗剤、中性洗剤、ウール洗剤、ファブリック柔軟剤、および含浸(impregnating)組成物等をさらに提供し、本発明のポリシロキサンのうちの少なくとも1つ、または本発明の方法により得ることができる、好ましくは本発明の方法により得られたポリシロキサンのうちの1つを含む。この文脈において好ましい家庭用、産業用、および機関向け用途のクリーニングおよびケア処方物は、ランドリー洗剤、ランドリーケア組成物、ヘビーデューティ洗剤、中性洗剤、ウール洗剤、ファブリック柔軟剤、および含浸組成物、より特定すればファブリック柔軟剤である。
【実施例】
【0064】
以下に記載する実施例では、本発明は、本発明の説明を目的とする例として記載され、その適用範囲は全体的な記載内容および特許請求の範囲により示されるのであって、本発明が実施例に記載された実施形態に限定されるべきであるという意図は一切ない。下記の本文では、範囲、化合物の一般式またはクラスが規定される場合、明示的に記載される対応する範囲または化合物の群に限らず、個々の数値(範囲)または化合物を抽出することにより得ることができるすべての部分範囲および化合物の部分群も含むように意図されている。本記載内容が文書を引用する場合、その内容がそのまま本発明の開示内容に属するべきであることを意図する。本発明が、例えば異なる複数モノマーユニットを有することができる有機変性ポリシロキサン等の化合物を記載する場合、これらのユニットは、これらの化合物内でランダム分布(ランダムオリゴマー)でまたは規則化した形(ブロックオリゴマー)で生じ得る。このような化合物内のユニット数を表す数値は、対応する化合物全体について平均化された統計的平均値を意味するものと理解されるべきである。
【0065】
本発明実施例生成物1の調製:
A)分枝状のSiH官能基を有するポリシロキサンの平衡化
特許出願DE102008041601.0およびDE102007055485.2の説明に基づき、テトラエトキシシラン22.9g(0.11mol)(>98%、Flukaより入手可能)、デカメチルシクロペンタシロキサン366.4g(0.99mol)(Gelest Inc.より入手可能)、およびSiHとして2.93mol/kgの水素含有量(SiH)を有するα,ω-ジヒドロゲノポリジメチルシロキサン112.6gを、KPGスターラー、内部温度計、滴下漏斗、および蒸留ブリッジを備えた四口フラスコに、撹拌しながら40℃で導入した。トリフルオロメタンスルホン酸0.5g(Sigma Aldrichより入手可能)を添加し、当該混合物を2時間撹拌した。その後、脱イオン水7.9gおよびエタノール2.0gからなる混合物を撹拌しながら5分間にわたって一滴ずつ添加し、当該混合物を40℃で1時間撹拌した。事前乾燥したスルホン酸陽イオン交換樹脂Lewatit(登録商標)K2621、30.1g(水分含有量10重量%−カールフィッシャー法に基づく方法により求められた)を添加した後、過剰の水およびアルコールを蒸留により、約15mbarの減圧下、40℃で1時間除去した。樹脂を濾過により単離した後、炭酸水素ナトリウム10.0gで中和し、再度濾過した。これにより、水素(SiH)含有量が0.0655%の無色透明の液体を得た。
【0066】
B)エポキシシロキサンの調製
KPGスターラー、滴下漏斗、内部温度計、および還流コンデンサーを備えた3口フラスコ(500ml)内で、15ppmのシスプラチン触媒を添加し、窒素雰囲気の下、120℃で、実施例1a)により調製したSiH−シロキサン230.8g(SiH、0.15mol)をアリルグリシジルエーテル22.3g(0.20mol)と反応させた。2時間後、完全なSiH変換が達成された。その後、120℃、1mbarで蒸留して、エポキシ含有量が0.98%の無色透明の液体を得た。
【0067】
C)第四級ポリシロキサン形成反応
KPGスターラー、滴下漏斗、内部温度計、および還流コンデンサーを備えた3口フラスコ(500ml)に、3−N,N−ジメチルアミノプロピルラウラミド27.0g(0.095mol)、酢酸5.9g(0.098mol)、およびイソプロパノール80mlを室温で導入し、この初回導入において撹拌を1時間行った。その後、実施例1b)により調製した化合物155.1g(エポキシ、0.095mol)を一滴ずつ添加した。次に、当該混合物を65℃で窒素雰囲気下、8時間撹拌した。最後に、イソプロパノールを蒸留により65℃、1mbarで除去した。これにより、下記の統計式により記載される黄色味を帯びた透明な高粘稠性の液体を得た:
(RMeSiO1/2(MeSiO2/2112(SiO4/2
式中、R
【化6】

である。
【0068】
本発明実施例生成物2の調製:
A)分枝状のSiH官能基を有するポリシロキサンの平衡化
特許出願DE102008041601.0およびDE102007055485.2の説明に基づき、メチルトリエトキシシラン89.2g(0.50mol)(Evonik Degussa GmbH製のDynasylan(登録商標)MTES)、デカメチルシクロペンタシロキサン1023.4g(2.76mol)(Gelest Inc.より入手可能)、および1,1,3,3−テトラメチルジシロキサン47.0g(0.35mol)(Gelest Inc.より入手可能)を40℃で、撹拌しながら、KPGスターラー、内部温度計、滴下漏斗、および蒸留ブリッジを備えた四口フラスコに導入した。トリフルオロメタンスルホン酸1.2g(Sigma Aldrichから入手可能)を添加し、当該混合物を2時間撹拌した。その後、脱イオン水27.0gおよびエタノール6.8gからなる混合物を撹拌しながら5分間にわたって一滴ずつ添加し、当該混合物を40℃で1時間撹拌した。事前乾燥したスルホン酸陽イオン交換樹脂Lewatit(登録商標)K2621、70.0g(水分含有量10重量%−カールフィッシャー法に基づく方法により求められた)を添加した後、過剰の水およびアルコールを蒸留により、約15mbarの減圧下、40℃で1時間除去した。樹脂を濾過により単離した後、炭酸水素ナトリウム23.2gで中和し、再度濾過した。これにより、水素(SiH)含有量が0.0634%の無色透明の液体を得た。
【0069】
B)エポキシシロキサンの調製
KPGスターラー、滴下漏斗、内部温度計、および還流コンデンサーを備えた3口フラスコ(500ml)内で、15ppmのシスプラチン触媒を添加して、窒素雰囲気の下、120℃で、実施例2a)により調製したSiH−シロキサン200.0g(SiH、0.126mol)をアリルグリシジルエーテル18.7g(0.164mol)と反応させた。2時間後、完全なSiH変換が達成された。その後、120℃、1mbarで蒸留して、エポキシ含有量が0.95%の無色透明の液体を得た。
【0070】
C)第四級ポリシロキサン形成反応
KPGスターラー、滴下漏斗、内部温度計、および還流コンデンサーを備えた3口フラスコ(500ml)に、3−N,N−ジメチルアミノプロピルラウラミド25.3g(0.089mol)、酢酸5.5g(0.092mol)、およびイソプロパノール80mlを室温で導入し、この初回導入では、撹拌を1時間行った。その後、実施例2b)により調製した化合物150.0g(エポキシ、0.089mol)を一滴ずつ添加した。次に、当該混合物を65℃で窒素雰囲気下、8時間撹拌した。最後に、イソプロパノールを蒸留により65℃、1mbarで除去した。これにより、下記の統計式により記載される黄色味を帯びた透明な高粘稠性の液体を得た:
(RMeSiO1/2(MeSiO2/2138(MeSiO3/2
式中、R
【化7】

である。
【0071】
比較例生成物3の調製(発明対象外):
a)エポキシシロキサンの調製
KPGスターラー、滴下漏斗、内部温度計、および還流コンデンサーを備えた3口フラスコ(1l)内で、15ppmのシスプラチン触媒を添加し、窒素雰囲気の下、120℃で、式
(MeSiO1/2(MeSiO1/244(MeHSiO1/2
の従来型の櫛状SiH変性シロキサン367g(SiH、0.4mol)を、アリルグリシジルエーテル59g(0.52mol)と反応させた。2時間後、完全なSiH変換が達成された。その後、120℃、1mbarで蒸留して、エポキシ含有量が1.55%の無色透明の液体を得た。
【0072】
b)第四級ポリシロキサン形成反応
KPGスターラー、滴下漏斗、内部温度計、および還流コンデンサーを備えた3口フラスコ(500ml)に、3−N,N−ジメチルアミノプロピルラウラミド28.4g(0.10mol)、酢酸6.3g(0.105mol)、およびイソプロパノール120mlを室温で導入し、この初回導入では、撹拌を1時間行った。その後、例3a)により調製した化合物206g(エポキシ、0.1mol)が、一滴ずつ添加した。次に、当該混合物を65℃で窒素雰囲気下、8時間撹拌した。最後に、イソプロパノールを蒸留により65℃、1mbarで除去した。これにより、下記の統計式により記載される黄色味を帯びた透明な、高粘稠性の液体を得た:
(MeSiO1/2(MeSiO/244(RMeSiO/2
式中、R=
【化8】

である。
【0073】
性能特性
処方成分は、本組成物では一般的に認められたINCI命名方式により、英語の用語を用いて命名されている。適用例に記載するすべての濃度は、重量%で表されている。
【0074】
1.)皮膚のコンディショニング(スキンケア性能)試験および手洗い試験による泡特性:
水性界面活性剤処方物中の、シリコーン部分で分枝した本発明の有機変性シロキサン生成物1の皮膚のコンディショニング(スキンケア性能)および泡特性を評価するために、手洗い官能試験を先行技術による比較例3と比較して実施した。
【0075】
比較例3は、当業界で広く普及しているケア有効成分であり、また水性界面活性剤処方物中の非常に効果的なケア有効成分とみなされている。
【0076】
訓練を受けた対象10名からなる群が、規定された方法で手を洗浄し、1(乏しい)〜5(非常に良好)の評価尺度を用いて、泡特性および皮膚の感触を評価した。
【0077】
使用する生成物を標準化された界面活性剤処方物でそれぞれ試験した(表1)。
【0078】
対照の処方物0bとして、有機変性シロキサンが添加されていない処方物が用いられる。
【0079】
【表1】
【0080】
官能試験結果を表2にまとめる。
【0081】
【表2】
【0082】
表2は、手洗い試験結果を表す。測定結果から、本発明の生成物1を用いた本発明の処方物1bは、先行技術の比較処方物C2bとの比較により、すべての適用特性で勝ることは明白である。
【0083】
この観点から、発明処方物1bの結果は、非常に良好であるということができる。
【0084】
測定値から、処方物1b中の本発明の生成物1は、処方物C2b中の生成物3と比較したとき、皮膚特性および泡特性に改善をもたらすことは明らかである。
【0085】
さらに、測定値は、シリコーン化合物を含まない対照処方物0bは、処方物1bおよびC2bよりも測定値が劣っていることを示している。
【0086】
2.)官能試験によるヘアコンディショニング試験:
ヘアコンディショニングの性能評価では、単純な化粧品処方(シャンプーおよびヘアリンス)で本発明の生成物2および比較生成物3が用いられた。
【0087】
シャンプーにおける使用特性が、下記の処方で検査した。
【0088】
【表3】
【0089】
シャンプー処方物の特性評価では、リンスによるアフタートリートメントは試験手順に含まれなかった。
【0090】
ヘアリンスにおける使用特性を下記の処方で検査した。
【0091】
【表4】
【0092】
ヘアリンス特性試験では、毛髪は、コンディショニング剤を含まないシャンプーで事前処理した。
【0093】
性能評価では、官能試験で用いられた毛髪をパーマネントウェーブトリートメントおよび漂白トリートメントによる標準化された予備的なダメージに曝した。これらのトリートメントは標準的なヘアドレッサー製品を用いて実施した。試験手順、用いられた原料物質、および評価基準の詳細は、DE103 27 871に記載されている。
【0094】
コンディショニング試料を用いたダメージを受けやすいヘアストランドの標準化したトリートメント:
上記のように予備的なダメージに曝したヘアストランドが、上記シャンプーまたは上記コンディショニングリンスを用いて下記のように処理される。
【0095】
ヘアストランドを温流水で濡らした。過剰の水は、手で容易に搾り出され、次にシャンプーが加えられ、毛髪の中に穏やかに組み込まれる(1ml/ヘアストランド(2g))。1分間の滞留時間が経過した後、毛髪は1分間洗い流される。
【0096】
その後、望む場合には直接、リンスが加えられ、毛髪の中に穏やかに組み込まれる(1ml/ヘアストランド(2g))。1分間の滞留時間が経過した後、毛髪は1分間洗い流される。
【0097】
官能評価する前に、毛髪は、25℃、湿度50%の空気中で少なくとも12時間乾燥される。
【0098】
評価基準:
官能評価は、1が最も不良で5が最も良好な評価とする1〜5のスケールに基づき査定される等級付けにより行われる。個々の試験基準は、それぞれ独立した評価を受ける。
試験基準は下記の通り:濡れた状態での櫛の通り、濡れた状態の手触り、乾燥した状態での櫛の通り、乾燥した状態での手触り、外観/光沢。
【0099】
下記の表では、本発明の処方物1c、比較処方物C2c、および対照処方物0c(試験物質を含まないプラセボ)を用い、ヘアストランドについて上記のように実施したトリートメントに関する官能評価結果が比較される。
【0100】
【表5】
【0101】
結果は、驚くべきことに、発明生成物2を含む本発明の処方物1cは、先行技術生成物3を含む比較処方C2cよりも有意に良好な評価を得ていることを示している。特筆すべきこととして、本発明の処方物のいずれもが、光沢特性について良好な評価を得たことが挙げられる。
【0102】
【表6】
【0103】
ヘアリンスの利用においても、発明生成物2を含む本発明の処方物1dは、官能評価で非常に良好な美容評価結果を示している。この場合、比較生成物3を含む比較処方物C2dでもすでに非常に良好な特性を示しているが、本発明化合物2を含む本発明処方物1dにより、なおさらに増強された。
【0104】
本発明処方物1dを使用することにより、光沢についても有意により良好な評価結果が達成される。
【0105】
処方例:
下記の処方例は、第四級アンモニウム基を有する発明のポリシロキサンは、多様な化粧品処方物で利用可能であることを示している。
【0106】
【表7】
【0107】
【表8】
【0108】
【表9】
【0109】
【表10】
【0110】
【表11】
【0111】
【表12】
【0112】
【表13】
【0113】
【表14】
【0114】
【表15】
【0115】
【表16】
【0116】
【表17】
【0117】
【表18】
【0118】
【表19】
【0119】
【表20】
【0120】
【表21】
【0121】
【表22】
【0122】
【表23】
【0123】
【表24】
【0124】
【表25】
【0125】
【表26】
【0126】
【表27】
【0127】
【表28】
【0128】
【表29】
【0129】
【表30】
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【表31】
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【表32】
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【表33】
【0133】
【表34】
【0134】
【表35】
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【表36】
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【表37】