特許第5685293号(P5685293)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ SDPグローバル株式会社の特許一覧

特許5685293吸収性樹脂粒子、この製造方法、これを含む吸収体及び吸収性物品
<>
  • 特許5685293-吸収性樹脂粒子、この製造方法、これを含む吸収体及び吸収性物品 図000007
  • 特許5685293-吸収性樹脂粒子、この製造方法、これを含む吸収体及び吸収性物品 図000008
  • 特許5685293-吸収性樹脂粒子、この製造方法、これを含む吸収体及び吸収性物品 図000009
  • 特許5685293-吸収性樹脂粒子、この製造方法、これを含む吸収体及び吸収性物品 図000010
  • 特許5685293-吸収性樹脂粒子、この製造方法、これを含む吸収体及び吸収性物品 図000011
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5685293
(24)【登録日】2015年1月23日
(45)【発行日】2015年3月18日
(54)【発明の名称】吸収性樹脂粒子、この製造方法、これを含む吸収体及び吸収性物品
(51)【国際特許分類】
   C08L 101/00 20060101AFI20150226BHJP
   C08K 3/00 20060101ALI20150226BHJP
   A61F 13/49 20060101ALI20150226BHJP
   A61F 13/53 20060101ALI20150226BHJP
【FI】
   C08L101/00
   C08K3/00
   A41B13/02 D
【請求項の数】9
【全頁数】32
(21)【出願番号】特願2013-162015(P2013-162015)
(22)【出願日】2013年8月5日
(62)【分割の表示】特願2010-543877(P2010-543877)の分割
【原出願日】2009年12月24日
(65)【公開番号】特開2013-231199(P2013-231199A)
(43)【公開日】2013年11月14日
【審査請求日】2013年8月6日
(31)【優先権主張番号】特願2008-333207(P2008-333207)
(32)【優先日】2008年12月26日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】301023009
【氏名又は名称】SDPグローバル株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100118061
【弁理士】
【氏名又は名称】林 博史
(72)【発明者】
【氏名】藤村 渉史
(72)【発明者】
【氏名】石田 豪伸
【審査官】 河野 隆一朗
(56)【参考文献】
【文献】 特開昭61−058658(JP,A)
【文献】 特開2003−088551(JP,A)
【文献】 特開2005−097569(JP,A)
【文献】 特開2001−158802(JP,A)
【文献】 特開2007−024496(JP,A)
【文献】 特開2006−122737(JP,A)
【文献】 特開2004−261796(JP,A)
【文献】 特開2002−035580(JP,A)
【文献】 特開2001−200011(JP,A)
【文献】 特表2007−538110(JP,A)
【文献】 特表2003−503554(JP,A)
【文献】 特開2010−116548(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08K 3/00 − 13/08
C08L 1/00 − 101/14
C08J 3/00 − 3/28
B01J 20/00 − 20/34
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
水溶性ビニルモノマー(a1)及び/又は加水分解性ビニルモノマー(a2)、並びに架橋剤(b)を必須構成単位とする架橋重合体(A1)と疎水性物質(C)とを含んでなる吸水性樹脂粒子であって、(C)のHLB値が1〜10であり、吸水性樹脂粒子内部の(C)の含有量が、(A1)の重量に基づいて、0.01〜10.0重量%であり、吸水性樹脂粒子の表面に存在する(C)の含有量が、(A1)の重量に基づいて、0.001〜1.0重量%であり、吸水性樹脂粒子1g当たりの生理食塩水に対する膨潤容積測定法において、膨潤容積が5mlに達するまでの時間(t1)と、膨潤容積が40mlに達するまで時間(t2)の比(t2/t1)が5〜20であり、膨潤容積が5mlに達するまでの時間(t1)が20秒〜60秒である吸水性樹脂粒子。
【請求項2】
疎水性物質(C)が炭化水素基を含有する疎水性物質(C1)である請求項1に記載の吸水性樹脂粒子。
【請求項3】
吸水性樹脂粒子の形状が不定形破砕状である請求項1又は2に記載の吸水性樹脂粒子。
【請求項4】
さらに、無機質粉末(D)を架橋重合体(A1)の重量に基づき表面に0.01%〜3.0%付着してなる請求項1〜のいずれかに記載の吸水性樹脂粒子。
【請求項5】
吸水性樹脂粒子の見掛け密度(g/ml)が0.54〜0.70である請求項1〜のいずれかに記載の吸水性樹脂粒子。
【請求項6】
吸水性樹脂粒子1重量部が人工尿30重量部を吸収して得られる30倍膨潤ゲルのゲル弾性率が2,000〜3,000N/m2である請求項1〜のいずれかに記載の吸水性樹脂粒子。
【請求項7】
請求項1〜のいずれかに記載された吸水性樹脂粒子と繊維状物とを含有してなる吸収体。
【請求項8】
請求項に記載された吸収体を用いた吸収性物品。
【請求項9】
疎水性物質(C)と、水溶性ビニルモノマー(a1)及び/又は加水分解性ビニルモノマー(a2)並びに内部架橋剤(b)を必須構成単位とする架橋重合体(A1)の含水ゲルとを混合・混練する工程;及び/又は疎水性物質(C)の存在下、水溶性ビニルモノマー(a1)及び/又は加水分解性ビニルモノマー(a2)並びに内部架橋剤(b)を必須構成単位として酸性下で重合させて架橋重合体(A1)の含水ゲルを得る工程を含む吸水性樹脂粒子の製造方法であって、(C)のHLB値が1〜10であり、吸水性樹脂粒子内部の(C)の含有量が、(A1)の重量に基づいて、0.01〜10.0重量%であり、吸水性樹脂粒子の表面に存在する(C)の含有量が、(A1)の重量に基づいて、0.001〜1.0重量%であり、吸水性樹脂粒子1g当たりの生理食塩水に対する膨潤容積測定法において、膨潤容積が5mlに達するまでの時間(t1)と、膨潤容積が40mlに達するまで時間(t2)の比(t2/t1)が5〜20であり、膨潤容積が5mlに達するまでの時間(t1)が20秒〜60秒である吸水性樹脂粒子の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、吸収性樹脂粒子、この製造方法、これを含む吸収体及び吸収性物品に関するものである。
【背景技術】
【0002】
吸収速度に優れた吸収性樹脂粒子として、架橋重合体の内部に疎水性物質を含んでなる構造を有してなる吸収性樹脂粒子が知られている(特許文献1)。
また、架橋重合体の表面に疎水性物質が付着してなることで粉体流動性等を改善した吸収性樹脂粒子が知られている(特許文献2)。
【0003】
しかしながら、従来の吸収性樹脂粒子や吸水剤では吸収させる液体と接触した以後の時間経過に対する吸収速度(以下、吸収速度パターンと記載する)が適切でない。具体的には、従来の吸収性樹脂粒子は、吸収速度パターンが、(i)初期速く、中期普通、後期普通(上記、特許文献1の吸収性樹脂粒子)、(ii)初期遅く、中期普通、後期普通(上記、特許文献2の吸収性樹脂粒子)の吸収性樹脂粒子がある。
これらの吸収性樹脂粒子を吸収性物品(紙おむつ等)に適用したとき吸収性物品に使用されている吸収体においては、吸収体の部位により吸収性樹脂の吸収率に偏りが起こり吸収体を有効に活用することができず、吸収させる液体の残存する部位を生じやすい、又は、吸収体の全体において吸収されなかった液体が留まる時間が長くなる等の問題を生じやすい。
具体的には前記(i)の吸収性樹脂粒子を使用した場合、吸収させる液体が接触した部位において液体は吸収性樹脂粒子に接触後初期急激に吸収される。しかしながら、吸収性樹脂粒子が液体を吸収し膨潤してゲル状となると、吸収されない液体が吸収体内において拡散し吸収されることを妨げ、その結果、吸収される液体が接触した部位は吸収性樹脂粒子の吸収率が高く、その周辺部位は吸収性樹脂粒子の吸収率が低いという吸収率の偏りが起こる。そして、吸収される液体が接触した部位に、吸収されなかった液体の残存が生じやすくなる。
一方、前記(ii)の吸収性樹脂粒子を使用した場合は、吸収させる液体が接触した部位において液体は吸収性樹脂粒子に接触後、徐々にしか吸収されず、吸収されない液体が吸収体内を拡散していき、その結果、吸収される液体が接触した部位とその周辺部位で吸収性樹脂粒子の吸収率が同等となりやすい。しかし、全体的に吸収速度が遅いために、吸収体の全体において吸収されなかった液体が留まる時間が長くなる。
これらの吸収性樹脂では、吸収されなかった液体が残存する部位、または留まる時間が長い部位において、その部位に接触する着用者の皮膚にカブレ等の問題を生じやすくなるといった問題がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2005−097569号公報
【特許文献2】特開2004−261796号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来の吸収性樹脂粒子を用いた吸収性物品(紙おむつ等)は、液体を完全に吸収することができず、吸収できなかった液体が装着者の皮膚にふれ、カブレ等の問題を起こしやすかった。そして、このようなカブレ等の問題がない吸収性物品、これに使用し得る吸収性樹脂粒子が強く望まれていた。
本発明の目的は特定且つ適切な吸収速度パターンを有する吸収性樹脂粒子を提供すること、すなわち、吸収速度パターンが初期遅く、中期普通、後期速くの吸収性樹脂粒子が提供でき、この吸収性樹脂粒子を使用することで上記のようなカブレ等の問題を生じない吸収性物品を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者らは、上記目的を達成すべく鋭意検討した結果、特定の吸収速度パターンを有する吸収性樹脂粒子が上記課題を解決できることを見いだし本発明に到達した。
すなわち、本発明の吸収性樹脂粒子は、水溶性ビニルモノマー(a1)及び/又は加水分解性ビニルモノマー(a2)、並びに架橋剤(b)を必須構成単位とする架橋重合体(A1)を含んでなる吸収性樹脂粒子であって吸収性樹脂粒子1g当たりの生理食塩水に対する膨潤容積測定法において、膨潤容積が5mlに達するまでの時間(t1)と、膨潤容積が40mlに達するまで時間(t2)の比(t2/t1)が5〜20であり、膨潤容積が5mlに達するまでの時間(t1)が20秒〜60秒であることを要旨とする。
【0007】
本発明の吸収体は、上記の吸収性樹脂粒子と繊維状物とを含有してなる点を要旨とする。
【0008】
本発明の吸収性物品は、上記の吸収体を備えてなる点を要旨とする。
【0009】
本発明の吸収性樹脂粒子の製造方法は、疎水性物質(C)と、水溶性ビニルモノマー(a1)及び/又は加水分解性ビニルモノマー(a2)並びに内部架橋剤(b)を必須構成単位とする架橋重合体(A1)の含水ゲルとを混合・混練する工程;及び/又は
疎水性物質(C)の存在下、水溶性ビニルモノマー(a1)及び/又は加水分解性ビニルモノマー(a2)並びに内部架橋剤(b)を必須構成単位として重合させて架橋重合体(A1)の含水ゲルを得る工程を含む吸収性樹脂粒子の製造方法であって、吸収性樹脂粒子の膨潤容積が5mlに達するまでの時間(t1)と、膨潤容積が40mlに達するまで時間(t2)の比(t2/t1)が5〜20であることを要旨とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明の吸収性樹脂粒子は。吸収速度パターンが初期遅く、中期普通、後期速くという特定且つ適切な吸収速度パターンを有する。
したがって、本発明の吸収性樹脂粒子を吸収性物品(紙おむつ及び生理用ナプキン等)に適用したとき、吸収率の偏りが少なく、優れた吸収性能(吸収量及び吸収速度)を発揮しカブレが生じにくい。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】実施例1及び比較例1、3、4で得た吸収性樹脂粒子の膨潤体積測定法による測定結果。(150秒まで)
図2】実施例1及び比較例1、3、4で得た吸収性樹脂粒子の膨潤体積測定法による測定結果。(1800秒まで)
図3】膨潤容積測定法による膨潤容積を測定するための装置全体を模式的に示した正面断面図。
図4】膨潤容積測定法による膨潤容積を測定するための底板付円筒1および取手付円盤2を模式的に示した側面投影図。
図5】膨潤容積測定法による膨潤容積を測定するための取手付円盤2を模式的に示した上面図。
【発明を実施するための形態】
【0012】
水溶性ビニルモノマー(a1)としては特に限定はなく公知{たとえば、特許第3648553号公報、特開2003−165883号公報、特開2005−75982号公報、特開2005−95759号公報}のビニルモノマー等が使用できる。
【0013】
加水分解性ビニルモノマー(a2)は、加水分解により水溶性ビニルモノマー(a1)となるビニルモノマーを意味し、特に限定はなく公知{たとえば、特許第3648553号公報、特開2003−165883号公報、特開2005−75982号公報、特開2005−95759号公報}のビニルモノマー等が使用できる。なお、水溶性ビニルモノマーとは、25℃の水100gに少なくとも100g溶解する性質を持つビニルモノマーを意味する。また、加水分解性とは、50℃の水及び必要により触媒(酸又は塩基等)の作用により加水分解され水溶性になる性質を意味する。加水分解性ビニルモノマーの加水分解は、重合中、重合後及びこれらの両方のいずれでもよいが、得られる吸収性樹脂粒子の分子量の観点等から重合後が好ましい。
【0014】
これらのうち、吸収特性の観点等から、水溶性ビニルモノマー(a1)が好ましく、さらに好ましくはアニオン性ビニルモノマー、次に好ましくはカルボキシ(塩)基、スルホ(塩)基、アミノ基、カルバモイル基、アンモニオ基又はモノ−、ジ−若しくはトリ−アルキルアンモニオ基を有するビニルモノマー、次に好ましくはカルボキシ(塩)基又はカルバモイル基を有するビニルモノマー、特に好ましくは(メタ)アクリル酸(塩)及び(メタ)アクリルアミド、次に特に好ましくは(メタ)アクリル酸(塩)、最も好ましくはアクリル酸(塩)である。
【0015】
なお、「カルボキシ(塩)基」は「カルボキシ基」又は「カルボキシレート基」を意味し、「スルホ(塩)基」は「スルホ基」又は「スルホネート基」を意味する。また、(メタ)アクリル酸(塩)はアクリル酸、アクリル酸塩、メタクリル酸又はメタクリル酸塩を意味し、(メタ)アクリルアミドはアクリルアミド又はメタクリルアミドを意味する。また、塩としては、アルカリ金属(リチウム、ナトリウム及びカリウム等)塩、アルカリ土類金属(マグネシウム及びカルシウム等)塩又はアンモニウム(NH)塩等が含まれる。これらの塩のうち、吸収特性の観点等から、アルカリ金属塩及びアンモニウム塩が好ましく、さらに好ましくはアルカリ金属塩、特に好ましくはナトリウム塩である。
【0016】
水溶性ビニルモノマー(a1)又は加水分解性ビニルモノマー(a2)のいずれかを構成単位とする場合、それぞれ単独で構成単位としてもよく、また、必要により2種以上を構成単位としてもよい。また、水溶性ビニルモノマー(a1)及び加水分解性ビニルモノマー(a2)を構成単位とする場合も同様である。また、水溶性ビニルモノマー(a1)及び加水分解性ビニルモノマー(a2)を構成単位とする場合、これらの含有モル比(a1/a2)は、75/25〜99/1が好ましく、さらに好ましくは85/15〜95/5、特に好ましくは90/10〜93/7、最も好ましくは91/9〜92/8である。この範囲であると、吸収性能がさらに良好となる。
【0017】
吸収性樹脂粒子の構成単位として、水溶性ビニルモノマー(a1)及び加水分解性ビニルモノマー(a2)の他に、これらと共重合可能なその他のビニルモノマー(a3)を構成単位とすることができる。
【0018】
共重合可能なその他のビニルモノマー(a3)としては特に限定はなく公知{たとえば、特許第3648553号公報、特開2003−165883号公報、特開2005−75982号公報、特開2005−95759号公報}の疎水性ビニルモノマー等が使用でき、下記の(i)〜(iii)のビニルモノマー等が使用できる。
(i)炭素数8〜30の芳香族エチレン性モノマー
スチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエン及びヒドロキシスチレン等のスチレン、並びにビニルナフタレン及びジクロルスチレン等のスチレンのハロゲン置換体等。
(ii)炭素数2〜20の脂肪族エチレンモノマー
アルケン[エチレン、プロピレン、ブテン、イソブチレン、ペンテン、ヘプテン、ジイソブチレン、オクテン、ドデセン及びオクタデセン等];並びにアルカジエン[ブタジエン及びイソプレン等]等。
(iii)炭素数5〜15の脂環式エチレンモノマー
モノエチレン性不飽和モノマー[ピネン、リモネン及びインデン等];並びにポリエチレン性ビニル重合性モノマー[シクロペンタジエン、ビシクロペンタジエン及びエチリデンノルボルネン等]等。
【0019】
その他のビニルモノマー(a3)を構成単位とする場合、その他のビニルモノマー(a3)単位の含有量(モル%)は、水溶性ビニルモノマー(a1)単位及び加水分解性ビニルモノマー(a2)単位のモル数に基づいて、0.01〜5が好ましく、さらに好ましくは0.05〜3、次に好ましくは0.08〜2、特に好ましくは0.1〜1.5である。なお、吸収特性の観点等から、その他のビニルモノマー(a3)単位の含有量が0モル%であることが最も好ましい。
【0020】
架橋剤(b)としては特に限定はなく公知{たとえば、特許第3648553号公報、特開2003−165883号公報、特開2005−75982号公報、特開2005−95759号公報}の架橋剤等が使用できる。
これらのうち、吸収特性の観点等から、エチレン性不飽和基を2個以上有する架橋剤が好ましく、さらに好ましくは炭素数2〜10のポリオールのポリ(メタ)アリルエーテル、特に好ましくはトリアリルシアヌレート、トリアリルイソシアヌレート、テトラアリロキシエタン及びペンタエリスリトールトリアリルエーテル、最も好ましくはペンタエリスリトールトリアリルエーテルである。
【0021】
架橋剤(b)単位の含有量(モル%)は、水溶性ビニルモノマー(a1)単位及び加水分解性ビニルモノマー(a2)単位のモル数に基づいて、0.001〜5が好ましく、さらに好ましくは0.005〜3、特に好ましくは0.01〜1である。この範囲であると、吸収特性がさらに良好となる。
【0022】
架橋重合体(A1)は1種でもよいし、2種以上の混合物であってもよい。
【0023】
架橋重合体(A1)は、公知の水溶液重合{断熱重合、薄膜重合及び噴霧重合法等;特開昭55−133413号公報等}や、公知の逆相懸濁重合{特公昭54−30710号公報、特開昭56−26909号公報及び特開平1−5808号公報等}と同様にして製造することができる。重合方法のうち、好ましくは溶液重合法であり、有機溶媒等を使用する必要がなく生産コスト面で有利なことから、特に好ましくは水溶液重合法である。
【0024】
重合によって得られる含水ゲル{架橋重合体と水とからなる。}は、必要に応じて細断することができる。細断後のゲルの大きさ(最長径)は50μm〜10cmが好ましく、さらに好ましくは100μm〜2cm、特に好ましくは1mm〜1cmである。この範囲であると、乾燥工程での乾燥性がさらに良好となる。
【0025】
細断は、公知の方法で行うことができ、通常の細断装置{たとえば、ベックスミル、ラバーチョッパ、ファーマミル、ミンチ機、衝撃式粉砕機及びロール式粉砕機}等を使用して細断できる。
【0026】
重合に溶媒(有機溶媒、水等)を使用する場合、重合後に溶媒を留去することが好ましい。溶媒に有機溶媒を含む場合、留去後の有機溶媒の含有量(重量%)は、吸収性樹脂粒子の重量に基づいて、0〜10が好ましく、さらに好ましくは0〜5、特に好ましくは0〜3、最も好ましくは0〜1である。である。この範囲であると、吸収性樹脂粒子の吸収性能(特に保水量)がさらに良好となる。
【0027】
溶媒に水を含む場合、留去後の水分(重量%)は、架橋重合体の重量に基づいて、0〜20が好ましく、さらに好ましくは1〜10、特に好ましくは2〜9、最も好ましくは3〜8である。この範囲であると、吸収性能及び乾燥後の吸収性樹脂粒子の壊れ性がさらに良好となる。
【0028】
なお、有機溶媒の含有量及び水分は、赤外水分測定器{(株)KETT社製JE400等:120±5℃、30分、加熱前の雰囲気湿度50±10%RH、ランプ仕様100V、40W}により加熱したときの加熱前後の測定試料の重量減量から求められる。
【0029】
溶媒(水を含む。)を留去する方法としては、80〜230℃の温度の熱風で留去(乾燥)する方法、100〜230℃に加熱されたドラムドライヤー等による薄膜乾燥法、(加熱)減圧乾燥法、凍結乾燥法、赤外線による乾燥法、デカンテーション及び濾過等が適用できる。
【0030】
架橋重合体は、乾燥後に粉砕することができる。粉砕方法については、特に限定はなく、通常の粉砕装置{たとえば、ハンマー式粉砕機、衝撃式粉砕機、ロール式粉砕機及びシェット気流式粉砕機}等が使用できる。粉砕された架橋重合体は、必要によりふるい分け等により粒度調整できる。
【0031】
必要によりふるい分けした場合の架橋重合体(A1)の重量平均粒子径(μm)は、100〜800が好ましく、さらに好ましくは200〜700、次に好ましくは250〜600、特に好ましくは300〜500、最も好ましくは350〜450である。この範囲であると、吸収性能がさらに良好となる。
【0032】
なお、重量平均粒子径は、ロータップ試験篩振とう機及び標準ふるい(JIS Z8801−1:2006)を用いて、ペリーズ・ケミカル・エンジニアーズ・ハンドブック第6版(マックグローヒル・ブック・カンバニー、1984、21頁)に記載の方法で測定される。すなわち、JIS標準ふるいを、上から1000μm、850μm、710μm、500μm、425μm、355μm、250μm、150μm、125μm、75μm及び45μm、並びに受け皿の順等に組み合わせる。最上段のふるいに測定粒子の約50gを入れ、ロータップ試験篩振とう機で5分間振とうさせる。各ふるい及び受け皿上の測定粒子の重量を秤量し、その合計を100重量%として各ふるい上の粒子の重量分率を求め、この値を対数確率紙{横軸がふるいの目開き(粒子径)、縦軸が重量分率}にプロットした後、各点を結ぶ線を引き、重量分率が50重量%に対応する粒子径を求め、これを重量平均粒子径とする。
【0033】
また、微粒子の含有量は少ない方が吸収性能が良好となるため、全粒子に占める106μm以下(好ましくは150μm以下)の微粒子の含有量は3重量%以下が好ましく、さらに好ましくは1重量%以下である。微粒子の含有量は、上記の重量平均粒径を求める際に作成するプロットを用いて求めることができる。
【0034】
架橋重合体(A1)の見掛け密度(g/ml)は、0.54〜0.70が好ましく、さらに好ましくは0.56〜0.65、特に好ましくは0.58〜0.60である。この範囲であると、吸収性能がさらに良好となる。なお、見掛け密度は、JIS K7365:1999に準拠して、25℃で測定される。
【0035】
架橋重合体(A1)の形状については特に限定はなく、不定形破砕状、リン片状、パール状及び米粒状等が挙げられる。これらのうち、紙おむつ用途等での繊維状物とのからみが良く、繊維状物からの脱落の心配がないという観点から、不定形破砕状が好ましい。
【0036】
架橋重合体(A1)は、必要に応じて、表面架橋剤により表面架橋処理を行うことができる。表面架橋剤としては、公知{特開昭59−189103号公報、特開昭58−180233号公報、特開昭61−16903号公報、特開昭61−211305号公報、特開昭61−252212号公報、特開昭51−136588号公報及び特開昭61−257235号公報等}の表面架橋剤{多価グリシジル、多価アルコール、多価アミン、多価アジリジン、多価イソシアネート、シランカップリング剤及び多価金属等}等が使用できる。これらの表面架橋剤のうち、経済性及び吸収特性の観点から、多価グリシジル、多価アルコール及び多価アミンが好ましく、さらに好ましくは多価グリシジル及び多価アルコール、特に好ましくは多価グリシジル、最も好ましくはエチレングリコールジグリシジルエーテルである。
【0037】
表面架橋処理をする場合、表面架橋剤の使用量(重量%)は、表面架橋剤の種類、架橋させる条件、目標とする性能等により種々変化させることができるため特に限定はないが、吸収特性の観点等から、水溶性ビニルモノマー(a1)、加水分解性ビニルモノマー(a2)及び架橋剤(b)の重量に基づいて、0.001〜3が好ましく、さらに好ましくは0.005〜2、特に好ましくは0.01〜1である。
【0038】
表面架橋処理をする場合、表面架橋処理の方法は、公知{たとえば、特許第3648553号公報、特開2003−165883号公報、特開2005−75982号公報、特開2005−95759号公報}の方法が適用できる。
【0039】
本発明の吸収性樹脂粒子は、上記特定且つ適切な吸収速度パターンの観点から、さらに疎水性物質(C)を含有することが好ましい。
疎水性物質(C)としては、炭化水素基を含有する疎水性物質(C1)、フッ素原子をもつ炭化水素基を含有する疎水性物質(C2)及びポリシロキサン構造をもつ疎水性物質(C3)等が含まれる。
【0040】
炭化水素基を含有する疎水性物質(C1)としては、ポリオレフィン樹脂、ポリオレフィン樹脂誘導体、ポリスチレン樹脂、ポリスチレン樹脂誘導体、ワックス、長鎖脂肪酸エステル、長鎖脂肪酸及びその塩、長鎖脂肪族アルコール、長鎖脂肪族アミド及びこれらの2種以上の混合物等が含まれる。
【0041】
ポリオレフィン樹脂としては、炭素数2〜4のオレフィン{エチレン、プロピレン、イソブチレン及びイソプレン等}を必須構成単量体(オレフィンの含有量はポリオレフィン樹脂の重量に基づいて、少なくとも50重量%)としてなる重量平均分子量1000〜100万の重合体{たとえば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリイソブチレン、ポリ(エチレン−イソブチレン)及びイソプレン等}が挙げられる。
【0042】
ポリオレフィン樹脂誘導体としては、ポリオレフィン樹脂にカルボキシ基(−COOH)や1,3−オキソ−2−オキサプロピレン(−COOCO−)等を導入した重量平均分子量1000〜100万の重合体{たとえば、ポリエチレン熱減成体、ポリプロピレン熱減成体、マレイン酸変性ポリエチレン、塩素化ポリエチレン、マレイン酸変性ポリプロピレン、エチレン−アクリル酸共重合体、エチレン−無水マレイン酸共重合体、イソブチレン−無水マレイン酸共重合体、マレイン化ポリブタジエン、エチレン−酢酸ビニル共重合体及びエチレン−酢酸ビニル共重合体のマレイン化物等}が挙げられる。
【0043】
ポリスチレン樹脂としては、重量平均分子量1000〜100万の重合体等が使用できる。
【0044】
ポリスチレン樹脂誘導体としては、スチレンを必須構成単量体(スチレンの含有量は、ポリスチレン誘導体の重量に基づいて、少なくとも50重量%)としてなる重量平均分子量1000〜100万の重合体{たとえば、スチレン−無水マレイン酸共重合体、スチレン−ブタジエン共重合体及びスチレン−イソブチレン共重合体等}が挙げられる。
【0045】
ワックスとしては、融点50〜200℃のワックス{たとえば、パラフィンワックス、ミツロウ、カルバナワックス及び牛脂等}が挙げられる。
【0046】
長鎖脂肪酸エステルとしては、炭素数8〜30の脂肪酸と炭素数1〜12のアルコールとのエステル{たとえば、ラウリン酸メチル、ラウリン酸エチル、ステアリン酸メチル、ステアリン酸エチル、オレイン酸メチル、オレイン酸エチル、グリセリンラウリン酸モノエステル、グリセリンステアリン酸モノエステル、グリセリンオレイン酸モノエステル、ペンタエリスリットラウリン酸モノエステル、ペンタエリスリットステアリン酸モノエステル、ペンタエリスリットオレイン酸モノエステル、ソルビットラウリン酸モノエステル、ソルビットステアリン酸モノエステル、ソルビットオレイン酸モノエステル、ショ糖パルミチン酸モノエステル、ショ糖パルミチン酸ジエステル、ショ糖パルミチン酸トリエステル、ショ糖ステアリン酸モノエステル、ショ糖ステアリン酸ジエステル、ショ糖ステアリン酸トリエステル及び牛脂等}が挙げられる。
【0047】
長鎖脂肪酸及びその塩としては、炭素数8〜30の脂肪酸{たとえば、ラウリン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、オレイン酸、ダイマー酸及びベヘニン酸等}が挙げられ、その塩としては亜鉛、カルシウム、マグネシウム又はアルミニウム(以下、Zn、Ca、Mg、Alと略す)との塩{たとえば、パルミチン酸Ca、パルミチン酸Al、ステアリン酸Ca、ステアリン酸Mg、ステアリン酸Al等}が挙げられる。
【0048】
長鎖脂肪族アルコールとしては、炭素数8〜30の脂肪族アルコール{たとえば、ラウリルアルコール、パルミチルアルコール、ステアリルアルコール、オレイルアルコール等}が挙げられる。吸収性物品の耐モレ性の観点等から、パルミチルアルコール、ステアリルアルコール、オレイルアルコールが好ましく、さらに好ましくはステアリルアルコールである。
【0049】
長鎖脂肪族アミドとしては、炭素数8〜30の長鎖脂肪族一級アミンと炭素数1〜30の炭化水素基を有するカルボン酸とのアミド化物、アンモニア又は炭素数1〜7の1級アミンと炭素数8〜30の長鎖脂肪酸とのアミド化物、炭素数8〜30の脂肪族鎖を少なくとも1つ有する長鎖脂肪族二級アミンと炭素数1〜30のカルボン酸とのアミド化物及び炭素数1〜7の脂肪族炭化水素基を2個有する二級アミンと炭素数8〜30の長鎖脂肪酸とのアミド化物が挙げられる。
炭素数8〜30の長鎖脂肪族一級アミンと炭素数1〜30の炭化水素基を有するカルボン酸とのアミド化物としては、1級アミンとカルボン酸とが1:1で反応した物と1:2で反応した物に分けられる。1:1で反応した物としては、酢酸N−オクチルアミド、酢酸N−ヘキサコシルアミド、ヘプタコサン酸N−オクチルアミド及びヘプタコサン酸N−ヘキサコシルアミド等が挙げられる。1:2で反応したものとしては、二酢酸N−オクチルアミド、二酢酸N−ヘキサコシルアミド、ジヘプタコサン酸N−オクチルアミド及びジヘプタコサン酸N−ヘキサコシルアミド等が挙げられる。なお、1級アミンとカルボン酸とが1:2で反応した物の場合、使用するカルボン酸は、同一でも異なっていてもよい。
【0050】
アンモニア又は炭素数1〜7の1級アミンと炭素数8〜30の長鎖脂肪酸とのアミド化物としては、アンモニア又は1級アミンとカルボン酸とが1:1で反応した物と1:2で反応した物に分けられる。1:1で反応した物としては、ノナン酸アミド、ノナン酸メチルアミド、ノナン酸N−ヘプチルアミド、ヘプタコサン酸アミド、ヘプタコサン酸N−メチルアミド、ヘプタコサン酸N−ヘプチルアミド及びヘプタコサン酸N−ヘキサコシルアミド等が挙げられる。1:2で反応したものとしては、ジノナン酸アミド、ジノナン酸N−メチルアミド、ジノナン酸N−ヘプチルアミド、ジオクタデカン酸アミド、ジオクタデカン酸N−エチルアミド、ジオクタデカン酸N−ヘプチルアミド、ジヘプタコサン酸アミド、ジヘプタコサン酸N−メチルアミド、ジヘプタコサン酸N−ヘプチルアミド及びジヘプタコサン酸N−ヘキサコシルアミド等が挙げられる。なお、アンモニア又は1級アミンとカルボン酸とが1:2で反応した物としては、使用するカルボン酸は、同一でも異なっていてもよい。
【0051】
炭素数8〜30の脂肪族鎖を少なくとも1つ有する長鎖脂肪族二級アミンと炭素数1〜30のカルボン酸とのアミド化物としては、酢酸N−メチルオクチルアミド、酢酸N−メチルヘキサコシルアミド、酢酸N−オクチルヘキサコシルアミド、酢酸N−ジヘキサコシルアミド、ヘプタコサン酸N−メチルオクチルアミド、ヘプタコサン酸N−メチルヘキサコシルアミド、ヘプタコサン酸N−オクチルヘキサコシルアミド及びヘプタコサン酸N−ジヘキサコシルアミド等が挙げられる。
【0052】
炭素数1〜7の脂肪族炭化水素基を2個有する二級アミンと炭素数8〜30の長鎖脂肪酸とのアミド化物としては、ノナン酸N−ジメチルアミド、ノナン酸N−メチルヘプチルアミド、ノナン酸N−ジヘプチルアミド、ヘプタコサン酸N−ジメチルアミド、ヘプタコサン酸N−メチルヘプチルアミド及びヘプタコサン酸N−ジヘプチルアミド等が挙げられる。
【0053】
フッ素原子をもつ炭化水素基を含有する疎水性物質(C2)としては、パーフルオロアルカン、パーフルオロアルケン、パーフルオロアリール、パーフルオロアルキルエーテル、パーフルオロアルキルカルボン酸、パーフルオロアルキルアルコール及びこれらの2種以上の混合物等が含まれる。
【0054】
パーフルオロアルカンとしては、フッ素原子数4〜42、炭素数1〜20のアルカン{たとえば、トリフルオロメタン、ペンタフルオロエタン、ペンタフルオロプロパン、ヘプタフルオロプロパン、ヘプタフルオロブタン、ノナフルフルオロヘキサン、トリデカフルオロオクタン及びヘプタデカフルオロドデカン等}が挙げられる。
【0055】
パーフルオロアルケンとしては、フッ素原子数4〜42、炭素数2〜20のアルケン{たとえば、トリフルオロエチレン、ペンタフルオロプロペン、トリフルオロプロペン、ヘプタフルオロブテン、ノナフルフルオロヘキセン、トリデカフルオロオクテン及びヘプタデカフルオロドデセン等}が挙げられる。
【0056】
パーフルオロアリールとしては、フッ素原子数4〜42、炭素数6〜20のアリール{たとえば、トリフルオロベンゼン、ペンタフルオロトルエン、トリフルオロナフタレン、ヘプタフルオロベンゼン、ノナフルフルオロキシレン、トリデカフルオロオクチルベンゼン及びヘプタデカフルオロドデシルベンゼン等}が挙げられる。
【0057】
パーフルオロアルキルエーテルとしては、フッ素原子数2〜82、炭素数2〜40のエーテル{たとえば、ジトリフルオロメチルエーテル、ジペンタフルオロエチルエーテル、ジペンタフルオロプロピルエーテル、ジヘプタフルオロプロピルエーテル、ジヘプタフルオロブチルエーテル、ジノナフルフルオロヘキシルエーテル、ジトリデカフルオロオクチルエーテル及びジヘプタデカフルオロドデシルエーテル等}が挙げられる。
【0058】
パーフルオロアルキルカルボン酸としては、フッ素原子数3〜41 、炭素数1〜21のカルボン酸{たとえば、ペンタフルオロエタン酸、ペンタフルオロプロパン酸、ヘプタフルオロプロパン酸、ヘプタフルオロブタン酸、ノナフルフルオロヘキサン酸、トリデカフルオロオクタン酸、ヘプタデカフルオロドデカン酸及びこれらの金属(アルカリ金属及びアルカリ土類金属等)塩等}が挙げられる。
【0059】
パーフルオロアルキルアルコールとしては、フッ素原子数3〜41、炭素数1〜20のアルコール{たとえば、ペンタフルオロエタノール、ペンタフルオロプロパノール、ヘプタフルオロプロパノール、ヘプタフルオロブタノール、ノナフルフルオロヘキサノール、トリデカフルオロオクタノール及びヘプタデカフルオロドデカノール等}及びこのアルコールのエチレンオキサイド(アルコール1モルに対して1〜20モル)付加体等が挙げられる。
【0060】
これらの2種以上の混合物としては、パーフルオロアルキルカルボン酸とパーフルオロアルキルアルコールとの混合物{たとえば、ペンタフルオロエタン酸とペンタフルオロエタノールとの混合物等}が挙げられる。
【0061】
ポリシロキサン構造をもつ疎水性物質(C3)としては、ポリジメチルシロキサン、ポリエーテル変性ポリシロキサン{ポリオキシエチレン変性ポリシロキサン及びポリ(オキシエチレン・オキシプロピレン)変性ポリシロキサン等}、カルボキシ変性ポリシロキサン、エポキシ変性ポリシロキサン、アミノ変性ポリシロキサン、アルコキシ変性ポリシロキサン等及びこれらの混合物等が含まれる。
【0062】
変性シリコーン{ポリエーテル変性ポリシロキサン、カルボキシ変性ポリシロキサン、エポキシ変性ポリシロキサン及びアミノ変性ポリシロキサン等}の有機基(変性基)の位置としては特に限定はしないが、ポリシロキサンの側鎖、ポリシロキサンの両末端、ポリシロキサンの片末端、ポリシロキサンの側鎖と両末端との両方のいずれでもよい。これらのうち、吸収特性の観点等から、ポリシロキサンの側鎖及びポリシロキサンの側鎖と両末端との両方が好ましく、さらに好ましくはポリシロキサンの側鎖と両末端との両方である。
【0063】
ポリエーテル変性ポリシロキサンの有機基(変性基)としては、ポリオキシエチレン基又はポリ(オキシエチレン・オキシプロピレン)基を含有する基等が含まれる。ポリエーテル変性ポリシロキサンに含まれるオキシエチレン基及び/又はオキシプロピレン基の含有量(個)は、ポリエーテル変性ポリシロキサン1分子あたり、2〜40が好ましく、さらに好ましくは5〜30、特に好ましくは7〜20、最も好ましくは10〜15である。この範囲であると、吸収特性がさらに良好となる。また、オキシエチレン基及びオキシプロピレン基を含む場合、オキシエチレン基の含有量(重量%)は、ポリシロキサンの重量に基づいて、1〜30が好ましく、さらに好ましくは3〜25、特に好ましくは5〜20である。この範囲であると、吸収特性がさらに良好となる。
【0064】
ポリエーテル変性ポリシロキサンは、市場から容易に入手でき、たとえば、以下の商品{変性位置、オキシアルキレンの種類}が好ましく例示できる。
・信越化学工業株式会社製
KF−945{側鎖、オキシエチレン及びオキシプロピレン}、KF−6020{側鎖、オキシエチレン及びオキシプロピレン}、X−22−6191{側鎖、オキシエチレン及びオキシプロピレン}、X−22−4952{側鎖、オキシエチレン及びオキシプロピレン}、X−22−4272{側鎖、オキシエチレン及びオキシプロピレン}、X−22−6266{側鎖、オキシエチレン及びオキシプロピレン}
【0065】
・東レ・ダウコーニング株式会社製
FZ−2110{両末端、オキシエチレン及びオキシプロピレン}、FZ−2122{両末端、オキシエチレン及びオキシプロピレン}、FZ−7006{両末端、オキシエチレン及びオキシプロピレン}、FZ−2166{両末端、オキシエチレン及びオキシプロピレン}、FZ−2164{両末端、オキシエチレン及びオキシプロピレン}、FZ−2154{両末端、オキシエチレン及びオキシプロピレン}、FZ−2203{両末端、オキシエチレン及びオキシプロピレン}及びFZ−2207{両末端、オキシエチレン及びオキシプロピレン}
【0066】
カルボキシ変性ポリシロキサンの有機基(変性基)としてはカルボキシ基を含有する基等が含まれ、エポキシ変性ポリシロキサンの有機基(変性基)としてはエポキシ基を含有する基等が含まれ、アミノ変性ポリシロキサンの有機基(変性基)としてはアミノ基(1、2,3級アミノ基)を含有する基等が含まれる。これらの変性シリコーン の有機基(変性基)の含有量(g/mol)は、カルボキシ当量、エポキシ当量又はアミノ当量として、200〜11000が好ましく、さらに好ましくは600〜8000、特に好ましくは1000〜4000である。この範囲であると、吸収特性がさらに良好となる。なお、カルボキシ当量は、JIS C2101:1999の「16.全酸価試験」に準拠して測定される。また、エポキシ当量は、JIS K7236:2001に準拠して求められる。また、アミノ当量は、JIS K2501:2003の「8.電位差滴定法(塩基価・塩酸法)」に準拠して測定される。
【0067】
カルボキシ変性ポリシロキサンは、市場から容易に入手でき、たとえば、以下の商品{変性位置、カルボキシ当量(g/mol)}が好ましく例示できる。
・信越化学工業株式会社製
X−22−3701E{側鎖、4000}、X−22−162C{両末端、2300}、X−22−3710{片末端、1450}
【0068】
・東レ・ダウコーニング株式会社製
BY 16−880{側鎖、3500}、BY 16−750{両末端、750}、BY 16−840{側鎖、3500}、SF8418{側鎖、3500}
【0069】
エポキシ変性ポリシロキサンは、市場から容易に入手でき、たとえば、以下の商品{変性位置、エポキシ当量}が好ましく例示できる。
・信越化学工業株式会社製
X−22−343{側鎖、525}、KF−101{側鎖、350}、KF−1001{側鎖、3500}、X−22−2000{側鎖、620}、X−22−2046{側鎖、600}、KF−102{側鎖、3600}、X−22−4741{側鎖、2500}、KF−1002{側鎖、4300}、X−22−3000T{側鎖、250}、X−22−163{両末端、200}、KF−105{両末端、490}、X−22−163A{両末端、1000}、X−22−163B{両末端、1750}、X−22−163C{両末端、2700}、X−22−169AS{両末端、500}、X−22−169B{両末端、1700}、X−22−173DX{片末端、4500}、X−22−9002{側鎖・両末端、5000}
【0070】
・東レ・ダウコーニング株式会社製
FZ−3720{側鎖、1200}、BY 16−839{側鎖、3700}、SF 8411{側鎖、3200}、SF 8413{側鎖、3800}、SF 8421{側鎖、11000}、BY 16−876{側鎖、2800}、FZ−3736{側鎖、5000}、BY 16−855D{側鎖、180}、BY 16−8{側鎖、3700}
【0071】
アミノ変性シリコーンは、市場から容易に入手でき、たとえば、以下の商品{変性位置、アミノ当量}が好ましく例示できる。
・信越化学工業株式会社製
KF−865{側鎖、5000}、KF−864{側鎖、3800}、KF−859{側鎖、6000}、KF−393{側鎖、350}、KF−860{側鎖、7600}、KF−880{側鎖、1800}、KF−8004{側鎖、1500}、KF−8002{側鎖、1700}、KF−8005{側鎖、11000}、KF−867{側鎖、1700}、X−22−3820W{側鎖、55000}、KF−869{側鎖、8800}、KF−861{側鎖、2000}、X−22−3939A{側鎖、1500}、KF−877{側鎖、5200}、PAM−E{両末端、130}、KF−8010{両末端、430}、X−22−161A{両末端、800}、X−22−161B{両末端、1500}、KF−8012{両末端、2200}、KF−8008{両末端、5700}、X−22−1660B−3{両末端、2200}、KF−857{側鎖、2200}、KF−8001{側鎖、1900}、KF−862{側鎖、1900}、X−22−9192{側鎖、6500}
【0072】
・東レ・ダウコーニング株式会社製
FZ−3707{側鎖、1500}、FZ−3504{側鎖、1000}、BY 16−205{側鎖、4000}、FZ−3760{側鎖、1500}、FZ−3705{側鎖、4000}、BY 16−209{側鎖、1800}、FZ−3710{側鎖、1800}、SF 8417{側鎖、1800}、BY 16−849{側鎖、600}、BY 16−850{側鎖、3300}、BY 16−879B{側鎖、8000}、BY 16−892{側鎖、2000}、FZ−3501{側鎖、3000}、FZ−3785{側鎖、6000}、BY 16−872{側鎖、1800}、BY 16−213{側鎖、2700}、BY 16−203{側鎖、1900}、BY 16−898{側鎖、2900}、BY 16−890{側鎖、1900}、BY 16−893{側鎖、4000}、FZ−3789{側鎖、1900}、BY 16−871{両末端、130}、BY 16−853C{両末端、360}、BY 16−853U{両末端、450}
【0073】
これらの混合物としては、ポリジメチルシロキサンとカルボキシル変性ポリシロキサンとの混合物、及びポリエーテル変性ポリシロキサンとアミノ変性ポリシロキサンとの混合物等が挙げられる。
【0074】
ポリシロキサン構造を持つ疎水性物質の粘度(mPa・s、25℃)は、10〜5000が好ましく、さらに好ましくは15〜3000、特に好ましくは20〜1500である。この範囲であると、吸収特性がさらに良好となる。なお、粘度は、JIS Z8803−1991「液体の粘度」9.円すい及び円すい−平板形回転粘度計による粘度測定法に準拠して測定される{たとえば、25.0±0.5℃に温度調節したE型粘度計(東機産業株式会社製RE80L、半径7mm、角度5.24×10−2radの円すい型コーン)を用いて測定される。}
【0075】
疎水性物質(C)のHLB値は、1〜10が好ましく、さらに好ましくは2〜8、特に好ましくは3〜7である。この範囲であると、吸収性物品の耐モレ性がさらに良好となる。なお、HLB値は、親水性−疎水性バランス(HLB)値を意味し、小田法(新・界面活性剤入門、197頁、藤本武彦、三洋化成工業株式会社発行、1981年発行)により求められる。
【0076】
疎水性物質(C)のうち、吸収性物品の耐モレ性の観点から、炭化水素基を含有する疎水性物質(C1)が好ましく、より好ましくは長鎖脂肪酸エステル、長鎖脂肪酸及びその塩、長鎖脂肪族アルコール並びに長鎖脂肪族アミドであり、さらに好ましくはソルビットステアリン酸エステル、ショ糖ステアリン酸エステル、ステアリン酸、ステアリン酸Mg、ステアリン酸Ca、ステアリン酸Zn及びステアリン酸Al、特に好ましくはショ糖ステアリン酸エステル及びステアリン酸Mgであり、最も好ましくはショ糖ステアリン酸モノエステルである。
【0077】
疎水性物質(C)は吸収性樹脂粒子の何れの箇所に存在していてもよい。
吸収性樹脂粒子内部の疎水性物質(C)の含有量(重量%)は、吸収性物品の耐カブレ性及び吸収性物品の耐モレ性の観点から、架橋重合体(A1)の重量に基づいて、通常、0.01〜10.0重量%であり、好ましくは0.01〜5.0、さらに好ましくは0.05〜2.0、特に好ましくは0.1〜1.0である。
吸収性樹脂粒子の表面に存在する疎水性物質(C)の含有量(重量%)は、吸収性物品の耐カブレ性及び吸収性物品の耐モレ性の観点から、架橋重合体(A1)の重量に基づいて、通常、0.001〜1.0であり、好ましくは0.005〜0.5、さらに好ましくは0.01〜0.3、特に好ましくは0.01〜0.1である。
【0078】
なお、表面に存在する疎水性物質の含有量は下記の方法で測定される。内部に存在する疎水性物質の含有量は、疎水性物質の合計の添加量から表面の疎水性物質の含有量を引いたものとする。
<表面の疎水性物質(C)の含有量の測定法>
冷却管を備えたガラス製のナスフラスコに吸収性樹脂粒子100重量部と有機溶媒(有機溶媒100重量部に、少なくとも0.01重量部の疎水性物質(C)を25℃〜110℃で溶かすことができる有機溶媒。なおこの溶かすことができる温度を溶解温度とする。)300重量部を加え、溶解温度で24時間放置し、疎水性物質の抽出液を得る。この抽出液を濾紙を用いて濾過し、事前に秤量したガラス製のナスフラスコに採取した後、ロータリーエバポレーターにて溶媒を蒸発させた後、秤量する。濾過液蒸発後の重量から事前に秤量したナスフラスコの重量を引いて抽出された蒸発乾固物の量を求める。
濾紙上に残った抽出後のサンプルを用いて、同様の操作を2回くり返し、3回の抽出で得られた蒸発乾固物の合計量を表面の疎水性物質(C)の含有量(重量%)とする。
【0079】
吸収性樹脂粒子内部に疎水性物質(C)が存在し、一部が表面に存在する構造は、吸収性樹脂粒子を、(1):疎水性物質(C)と架橋重合体(A1)の含水ゲルとを混合・混練する方法、または(2):疎水性物質(C)の存在下、構成単位を重合させて架橋重合体(A1)の含水ゲルを得る方法により製造され得る。
【0080】
(1)の方法において、疎水性物質(C)の形状としては、粉砕物、ビーズ、棒状又は繊維状に加工したものを用いることができる。吸収性物品の耐モレ性等の観点から、好ましくは、粉砕物又はビーズであり、より好ましくはビーズである。疎水性物質(C)の体積平均粒子径(μm)は、0.5〜100が好ましく、さらに好ましくは1〜30、特に好ましくは2〜20である。
【0081】
架橋重合体(A1)と疎水性物質(C)との混合方法としては、疎水性物質(C)が架橋重合体(A1)の内部に存在するように混合されれば制限がない。
しかし、疎水性物質(C)は、架橋重合体(A1)の乾燥体ではなく、(A1)の含水ゲル又は(A1)の重合液と混合されることが好ましく、さらに好ましくは(A1)の含水ゲルと混合されることである。なお、混合は、練り込むように均一混合することが好ましい。
水溶液重合法により架橋重合体(A1)を得るとき、疎水性物質(C)と(A1)とを混合・混練するタイミングとしては特に制限はないが、重合工程中{(C)の存在下で、(A1)を製造する}、重合工程直後、含水ゲルの破砕(ミンチ)中及び含水ゲルの乾燥中等が挙げられる。これらのうち、吸収性物品の耐モレ性等の観点から、重合工程直後及び含水ゲルの破砕(ミンチ)工程中が好ましく、さらに好ましくは含水ゲルの破砕(ミンチ)工程中である。また、疎水性物質(C)が長鎖脂肪酸塩の場合、通常、長鎖脂肪酸塩そのものを用いるが、この添加工程で長鎖脂肪酸と金属の水酸化物を混合していれてもよいし、個別にいれてもよい。
【0082】
逆相懸濁重合法又は乳化重合により架橋重合体(A1)を得るとき、疎水性物質(C)と(A1)とを混合するタイミングとしては特に制限はないが、重合工程中{(C)の存在下で、(A1)を製造する}、重合工程直後、脱水工程中(水分10重量%前後まで脱水する工程中)、脱水工程直後、重合に用いた有機溶媒を分離留去する工程中、含水ゲルの乾燥中等が挙げられる。これらのうち、吸収性物品の耐モレ性等の観点から、重合工程中、重合工程直後、脱水工程中、脱水工程直後、重合に用いた有機溶媒を分離留去する工程中が好ましく、さらに好ましくは重合工程中、重合工程直後である。
【0083】
含水ゲルの破砕中又は乾燥中に混合する場合、混合装置としては、ベックスミル、ラバーチョッパ、ファーマミル、ミンチ機、衝撃式粉砕機及びロール式粉砕機等の通常の装置が使用できる。重合液中で混合する場合、ホモミキサー、バイオミキサー等の比較的攪拌力の高い装置を使用できる。また、含水ゲルの乾燥中で混合する場合、SVミキサー等の混練装置も使用できる。
【0084】
混合温度(℃)は、(C)を添加する工程により適宜調整することができる。例えば、重合工程直後及び含水ゲルの破砕(ミンチ)工程中に添加・混合する場合の混合温度(℃)は、20〜100が好ましく、さらに好ましくは40〜90、特に好ましくは50〜80である。この範囲であると、さらに均一混合しやすくなり、吸収特性がさらに良好となる。
【0085】
疎水性物質(C)の存在下で、架橋重合体(A1)を製造する(2)の方法において、架橋重合体(A1)の重合液に疎水性物質(C)を均一に溶解又は乳化(分散)させておくことが好ましい。疎水性物質(C)が均一になる難い場合は、さらに含水ゲルの破砕工程中に均一にすることもできる。(A1)の重合の進行と共に(C)を析出させながら行うことができる。疎水性物質(C)の存在下で重合を行うこと以外、重合方法は、架橋重合体(A1)の場合と同様である。
【0086】
疎水性物質(C)は、水及び/又は揮発性溶媒に、溶解及び/又は乳化した形態でも使用できる(ただし、乳化剤は使用しない)。揮発性溶媒としては、除去しやすさの観点等から、20℃での蒸気圧(Pa)が0.13〜5.3のものが好ましく、さらに好ましくは0.15〜4.5、特に好ましくは0.23〜3.8のものである。
揮発性溶媒としては、炭素数1〜3のアルコール(メタノール、エタノール及びイソプロピルアルコール等)、炭素数5〜8の炭化水素(ペンタン、ヘキサン、シクロヘキサン及びトルエン等)、炭素数2〜4のエーテル(ジメチルエーテル、ジエチルエーテル及びテトラヒドロフラン等)、炭素数3〜4のケトン(アセトン及びメチルエチルケトン等)、及び炭素数3〜5のエステル(蟻酸エチル、酢酸エチル、酢酸イソプロピル及び炭酸ジエチル等)等が挙げられる。水及び/又は揮発性溶媒を使用する場合、これらの使用量(重量%)は、疎水性物質(C)の重量に基づいて、1〜900が好ましく、さらに好ましくは5〜700、特に好ましくは10〜400である。水及び揮発性溶媒を使用する場合、水の使用量(重量%)は、水及び揮発性溶媒の重量に基づいて、50〜98が好ましく、さらに好ましくは60〜95、特に好ましくは70〜90である。
【0087】
疎水性物質(C)を含有する含水ゲルは、必要に応じて、この含水ゲルを細断することができる。細断後の含水ゲル粒子の大きさ(最長径)は50μm〜10cmが好ましく、さらに好ましくは100μm〜2cm、特に好ましくは1mm〜1cmである。この範囲であると、乾燥工程での乾燥性がさらに良好となる。
細断方法は、架橋重合体(A1)の場合と同様の方法が採用できる。
【0088】
吸収性樹脂粒子の製造に溶媒(有機溶媒及び/又は水を含む)を使用する場合、重合後に溶媒を留去することができる。
溶媒に有機溶媒を含む場合、留去後の有機溶媒の含有量(重量%)は、吸収性樹脂粒子の重量に基づいて、0〜10が好ましく、さらに好ましくは0〜5、特に好ましくは0〜3、最も好ましくは0〜1である。である。この範囲であると、吸収性樹脂粒子の吸収性能(特に保水量)がさらに良好となる。
【0089】
また、溶媒に水を含む場合、留去後の水分(重量%)は、吸収性樹脂粒子の重量に基づいて、0〜20が好ましく、さらに好ましくは1〜10、特に好ましくは2〜9、最も好ましくは3〜8である。この範囲であると、吸収性能(特に保水量)及び乾燥後の吸収性樹脂粒子の壊れ性がさらに良好となる。
なお、有機溶媒の含有量及び水分の測定法、並びに溶媒の留去方法は、架橋重合体(A1)の場合と同様である。
【0090】
吸収性樹脂粒子は、粉砕することができる。吸収性樹脂粒子が溶媒を含む場合、溶媒を留去(乾燥)してから粉砕することが好ましい。
粉砕する場合、粉砕後の重量平均粒径(μm)は、100〜800が好ましく、さらに好ましくは200〜700、次に好ましくは250〜600、特に好ましくは300〜500、最も好ましくは350〜450である。この範囲であると、粉砕後のハンドリング性(吸収性樹脂粒子の粉体流動性等)及び吸収性物品の耐カブレ性がさらに良好となる。なお、重量平均粒径は架橋重合体(A1)の場合と同様にして測定できる。
【0091】
微粒子の含有量は少ない方が吸収性能がよく、全粒子に占める106μm以下の微粒子の含有量が3重量%以下が好ましく、さらに好ましくは全粒子に占める150μm以下の微粒子の含有量が3重量%以下である。微粒子の含有量は、上記の重量平均粒径を求める際に作成するプロットを用いて求めることができる。
粉砕及び粒度調整は、架橋重合体(A1)の場合と同様の方法が採用できる。
【0092】
本発明の吸収性樹脂粒子の見掛け密度(g/ml)は、0.54〜0.70が好ましく、さらに好ましくは0.56〜0.65、特に好ましくは0.58〜0.60である。この範囲であると、吸収性物品の耐カブレ性がさらに良好となる。なお、見掛け密度は架橋重合体(A1)の場合と同様にして測定できる。
【0093】
吸収性樹脂粒子の形状については特に限定はなく、不定形破砕状、リン片状、パール状及び米粒状等が挙げられる。これらのうち、紙おむつ用途等での繊維状物とのからみが良く、繊維状物からの脱落の心配がないという観点から、不定形破砕状が好ましい。
【0094】
吸収性樹脂粒子は必要に応じて表面架橋を行うことができる。表面架橋を行うための架橋剤(表面架橋剤)としては、内部架橋剤(b)と同じものが使用できる。表面架橋剤としては、吸収性樹脂粒子の吸収性能等の観点から、水溶性ビニルモノマー(a1)の水溶性置換基及び/又はビニルモノマー(a2)の加水分解によって生成する水溶性置換基と反応し得る官能基を少なくとも2個以上有する架橋剤(b3)が好ましく、さらに好ましくは多価グリシジル、特に好ましくはエチレングリコールジグリシジルエーテル及びグリセリンジグリシジルエーテル、最も好ましくはエチレングリコールジグリシジルエーテルである。
【0095】
表面架橋する場合、表面架橋剤の含有量(重量%)は、ビニルモノマー(a1)及び/又は(a2)、内部架橋剤(b)並びに必要により使用するその他のビニルモノマー(a3)の合計重量に基づいて、0.001〜7が好ましく、さらに好ましくは0.002〜5、特に好ましくは0.003〜4である。すなわち、この場合、表面架橋剤の含有量(重量%)の上限は、(a1)及び/又は(a2)、(b)並びに(a3)の合計重量に基づいて、7が好ましく、さらに好ましくは5、特に好ましくは4であり、同様に下限は0.001が好ましく、さらに好ましくは0.002、特に好ましくは0.003である。この範囲であると、さらに吸収性能が良好となる。表面架橋は表面架橋剤を含む水溶液を吸収性粒子に噴霧又は含浸させた後、加熱処理(100〜200℃)する方法等により達成できる。
【0096】
本発明の吸収性樹脂粒子はさらに表面に無機質粉末(D)をコーティングすることもできる。無機質粉末(D)としては、親水性無機物粒子(d1)及び疎水性無機粒子(d2)等が含まれる。
親水性無機物粒子(d1)としては、ガラス、シリカゲル、シリカ及びクレー等の粒子が挙げられる。
疎水性無機物粒子(d2)としては、炭素繊維、カオリン、タルク、マイカ、ベントナイト、セリサイト、アスベスト及びシラス等の粒子が挙げられる。
これらのうち、親水性無機粒子(d1)が好ましく、最も好ましいのはシリカである。
【0097】
親水性無機粒子(d1)及び疎水性無機粒子(d2)の形状としては、不定形(破砕状)、真球状、フィルム状、棒状及び繊維状等のいずれでもよいが、不定形(破砕状)又は真球状が好ましく、さらに好ましくは真球状である。
【0098】
無機質粉末(D)の含有量(重量%)は、架橋重合体(A1)の重量に基づいて、0.01〜3.0が好ましく、さらに好ましくは0.05〜1.0、次に好ましくは0.1〜0.8、特に好ましくは0.2〜0.7、最も好ましくは0.3〜0.6である。この範囲であると、吸収性物品の耐カブレ性がさらに良好となる。
【0099】
本発明の吸収性樹脂粒子には、他の添加剤{たとえば、公知(特開2003−225565号、特開2006−131767号等)の防腐剤、防かび剤、抗菌剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、着色剤、芳香剤、消臭剤及び有機質繊維状物等}を含むこともできる。これらの添加剤を含有させる場合、添加剤の含有量(重量%)は、架橋重合体(A1)の重量に基づいて、0.001〜10が好ましく、さらに好ましくは0.01〜5、特に好ましくは0.05〜1、最も好ましくは0.1〜0.5である。
【0100】
本発明の吸収性樹脂粒子1g当たりの生理食塩水に対する膨潤容積測定法において、膨潤容積が5mlに達するまでの時間(t1)と、膨潤容積が40mlに達するまで時間(t2)の比(t2/t1)は5〜20であり、好ましくは5〜15であり、最も好ましくは5〜10である。また、t1は20秒〜60秒であることが好ましく、さらに好ましくは20秒〜50秒であり、最も好ましくは30秒〜40秒である。
この範囲であると吸収性物品の耐カブレ性がさらに良好になる。疎水性物質(C)の含有量を前記好ましい範囲に調整することで、膨潤容積測定法による特定の膨潤容積に到達するまでの時間を好ましい範囲に調整できる。さらに、吸収性樹脂粒子の見掛け密度、吸収性樹脂粒子の重量平均粒径等を前期好ましい範囲に調整することで、特定の膨潤容積に到達するまでの時間より好ましい範囲に調整することができる。
【0101】
なお、膨潤容積測定法は、25±2℃、湿度50±10%の室内で、図3に示す装置を用いて行う測定法である。なお、使用する生理食塩水の温度は予め25℃±2℃に調整して使用する。
【0102】
<膨潤容積測定装置>
図3に示した装置はアクリル製の底板付円筒1とアクリル製の取手付円盤2からなる。
底板付円筒1は、内径81mm、長さ35mmの円筒の一方に厚み5mmの底板があり、残りの一方は開口している底板付円筒である。
アクリル製の円盤2は、外径80.5mm、厚さ12mmの円盤である。円盤2には、直径70.5mm、深さ4mmの円形状のくぼみが円盤の中心と円の中心が一致する位置にある。そして円盤2には、円形状のくぼみ部分に、取手として、長さ13mm、外径15mmの円柱が、円盤2の中心と円柱の底面の中心が一致する位置にある。
さらに、円盤2は、直径2mmの穴64個が放射状にあいたものである(図5参照)。円盤2の穴について説明する。穴は、円盤の八等分線上に円盤の中心から10mmの位置から30mmの位置の間に直径2mmの穴が5個ずつ5mmの等間隔に存在する(計40個)。それに加え、上記の等分線から22.5°傾いた八等分線上に円盤の中心から20mmの位置から30mmの位置の間に直径2mmの穴が3個ずつ5mmの等間隔に存在する(計24個)。
そして、取手付円盤2の重量は、60g±5gである。
【0103】
<膨潤容積の測定法>
垂直に立てた底板付円筒1内に150〜850μmの粒子径にふるい分けした測定試料2.50g(含水率は8.0%以下)を秤量し、底板付円筒1の底部にほぼ均一な厚みになるように投入し、円盤2を円柱の取手が上になるように載せ、厚み計(例えばMitutoyo社製デジマチックインジケータ ID−F150)を用いて円筒の底面から円盤の取手の上面までの距離を測定する。このとき、デジマチックインジケータの測定棒の重み(140g±10g)と取手付円盤2の重みにより吸収性樹脂粒子にかかる圧力は3.9±0.3g/cmとなる。次に、デジマッチクインジケーターの厚みの表示を0にする。引き続いて生理食塩水120mlを2秒以内に底付円筒1内に投入する。
この投入開始の時間を0とし、投入開始から時間経過により円盤2が上昇した距離H(cm)を連続データとして記録する。吸収性樹脂粒子1g当たりの膨潤容積(ml)を以下の式により計算することで、時間に対する膨潤容積変化のデータを得る。このデータから、膨潤容積が5mlに達するまでの時間(t1)と膨潤容積が40mlに達するまでの時間(t2)を求める。同じ測定を5回行い、その平均値を測定値とする。
【0104】
【数1】
【0105】
本発明の吸収性樹脂粒子の保水量(g/g)は、吸収性物品の耐カブレ性の観点から、28〜45が好ましく、さらに好ましくは32〜40、特に好ましくは34〜38である。なお、吸収性樹脂粒子の保水量は以下の方法により測定される。
【0106】
<吸収性樹脂粒子の保水量の測定法>
目開き63μm(JIS Z8801−1:2006)のナイロン網で作成したティーバッグ(縦20cm、横10cm)に測定試料1.00gを入れ、生理食塩水(食塩濃度0.9重量%)1,000ml中に無撹拌下、1時間浸漬した後、15分間吊るして水切りした。その後、ティーバッグごと、遠心分離器にいれ、150Gで90秒間遠心脱水して余剰の生理食塩水を取り除き、ティーバックを含めた重量(h1)を測定し次式から保水量を求める。なお、使用した生理食塩水及び測定雰囲気の温度は25℃±2℃とする。
測定試料を用いない以外は上記と同様にして、遠心脱水後のティーバックの重量を測定し(h2)とする。
【0107】
保水量(g/g)=(h1)−(h2)
【0108】
本発明の吸収性樹脂粒子1重量部が人工尿30重量部を吸収して得られる30倍膨潤ゲルのゲル弾性率(N/m2)は、2,000〜3,000が好ましく、さらに好ましくは2,025〜2950、特に好ましくは2,050〜2,900、最も好ましくは2,075〜2,850である。この範囲であると、本発明の吸収性樹脂粒子を吸収性物品に適用したときさらに優れた耐モレ性を発揮する。なお、ゲル弾性率(N/m2)は、下記測定方法で求められた値である。
【0109】
<ゲル弾性率の測定法>
人工尿[尿素200重量部、塩化ナトリウム80重量部、硫酸マグネシウム(7水塩)8重量部、塩化カルシウム(2水塩)3重量部、硫酸第2鉄(7水塩)2重量部、イオン交換水9704重量部]60.0gを100mlビーカー(内径5cm)に量り取り、JIS K7224−1996に記載された操作と同様にして、測定試料2.0gを精秤して上記ビーカーに投入し、30倍膨潤ゲルを作成する。
この膨潤ゲルが乾燥しないように30倍膨潤ゲルの入ったビーカーにラップをし、このビーカーを40±2℃の雰囲気下で3時間、さらに25±2℃の雰囲気下で0.5時間静置した後、ラップを取り外し、30倍膨潤ゲルのゲル弾性率をカードメーター(たとえば、株式会社アイテックテクノエンジニアリング製カードメーター・マックスME−500)を用いて測定する。なおカードメーターの条件は以下の通りである。
・感圧軸:8mm
・スプリング:100g用
・荷重:100g
・上昇速度:1インチ/7秒
・試験性質:破断
・測定時間:6秒
・測定雰囲気温度:25±2℃
【0110】
本発明の吸収性樹脂粒子は、繊維状物と共に吸収体とすることができる。吸収体の構造及び製造方法等は、公知のもの{特開2003−225565号公報、特開2006−131767号公報及び特開2005−097569号公報等}と同様である。また、この吸収体は吸収性物品{紙おむつや生理用ナプキン等}を構成することが好ましい。吸収性物品の製造方法等は、公知のもの{特開2003−225565号公報、特開2006−131767号公報及び特開2005−097569号公報等}と同様である。
【0111】
本発明の吸収性樹脂粒子を、繊維状物と共に吸収体とする場合、吸収性樹脂粒子と繊維の重量比率(吸収性樹脂粒子の重量/繊維の重量)40/60〜70/30が好ましく、さらに好ましくは50/50〜60/40である。
【実施例】
【0112】
以下、実施例及び比較例により本発明をさらに説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。なお、特に定めない限り、部は重量部、%は重量%を示す。なお、吸収性樹脂粒子の膨潤容積測定法による吸収量、保水量、ゲル強度は前述した方法により測定した。
【0113】
<実施例1>
水溶性ビニルモノマー(a1−1){アクリル酸、三菱化学株式会社製、純度100%}155部(2.15モル部)、架橋剤(b1){ペンタエリスリトールトリアリルエーテル、ダイソ−株式会社製}0.6225部(0.0024モル部)及び脱イオン水340.27部を攪拌・混合しながら3℃に保った。この混合物中に窒素を流入して溶存酸素量を1ppm以下とした後、1%過酸化水素水溶液0.62部、2%アスコルビン酸水溶液1.1625部及び2%の2,2’−アゾビス[2−メチル−N−(2−ヒドロキシエチル)−プロピオンアミド]水溶液2.325部を添加・混合して重合を開始させた。混合物の温度が90℃に達した後、90±2℃で約5時間重合することにより含水ゲル(1)を得た。
次にこの含水ゲル(1)502.27部をミンチ機(ROYAL社製12VR−400K)で細断しながら48.5%水酸化ナトリウム水溶液128.42部を添加して混合し、引き続き疎水性物質(C−1){ステアリン酸Mg、体積平均粒径8μm}1.9部を添加して混合し、細断ゲル(2)を得た。さらに細断ゲル(2)を通気型バンド乾燥機{150℃、風速2m/秒}で乾燥し、乾燥体を得た。乾燥体をジューサーミキサー(Oster社製OSTERIZER BLENDER)にて粉砕した後、目開き150及び710μmのふるいを用いて150〜710μmの粒度に調整することにより、乾燥体粒子を得た。この乾燥体粒子100部を高速攪拌(細川ミクロン製高速攪拌タービュライザー:回転数2000rpm)しながらエチレングリコールジグリシジルエーテルの2%水/メタノール混合溶液(水/メタノールの重量比=70/30)の5部をスプレー噴霧しながら加えて混合し、150℃で30分間静置して表面架橋することにより、本発明の吸収性樹脂粒子(1)を得た。吸収性樹脂粒子(1)の重量平均粒子径は395μmであり、見掛け密度は0.58g/mlであった。また、吸収性樹脂粒子(1)の内部に疎水性物質(C)は0.980%存在し、吸収性樹脂粒子(1)の表面に疎水性物質(C)は0.020%存在した。
【0114】
<実施例2>
「疎水性物質(C−1)1.9部」を「疎水性物質(C−2){ステアリン酸Ca}1.9部」に変更したこと以外、実施例1と同様にして、本発明の吸収性樹脂粒子(2)を得た。吸収性樹脂粒子(2)の重量平均粒子径は390μmであり、見掛け密度は0.58g/mlであった。また、吸収性樹脂粒子(2)の内部に疎水性物質(C)は0.985%存在し、吸収性樹脂粒子(2)の表面に疎水性物質(C)は0.015%存在した。
【0115】
<実施例3>
「疎水性物質(C−1)1.9部」を「疎水性物質(C−3){ステアリン酸Zn}1.9部」に変更したこと以外、実施例1と同様にして、本発明の吸収性樹脂粒子(3)を得た。吸収性樹脂粒子(3)の重量平均粒子径は400μmであり、見掛け密度は0.58g/mlであった。また、吸収性樹脂粒子(3)の内部に疎水性物質(C)は0.970%存在し、吸収性樹脂粒子(3)の表面に疎水性物質(C)は0.030%存在した。
【0116】
<実施例4>
「疎水性物質(C−1)1.9部」を「疎水性物質(C−4){ステアリン酸Al}1.9部」に変更したこと以外、実施例1と同様にして、本発明の吸収性樹脂粒子(4)を得た。吸収性樹脂粒子(4)の重量平均粒子径は395μmであり、見掛け密度は0.58g/mlであった。また、吸収性樹脂粒子(4)の内部に疎水性物質(C)は0.950%存在し、吸収性樹脂粒子(4)の表面に疎水性物質(C)は0.050%存在した。
【0117】
<実施例5>
「疎水性物質(C−1)1.9部」を「疎水性物質(C−1)0.19部」に変更したこと以外、実施例1と同様にして、本発明の吸収性樹脂粒子(5)を得た。吸収性樹脂粒子(5)の重量平均粒子径は405μmであり、見掛け密度は0.60g/mlであった。
また、吸収性樹脂粒子(5)の内部に疎水性物質(C)は0.099%存在し、吸収性樹脂粒子(5)の表面に疎水性物質(C)は0.001%存在した。
【0118】
<実施例6>
「疎水性物質(C−1)1.9部」を「疎水性物質(C−1)9.5部」に変更したこと以外、実施例1と同様にして、本発明の吸収性樹脂粒子(6)を得た。吸収性樹脂粒子(6)の重量平均粒子径は395μmであり、見掛け密度は0.58g/mlであった。
また、吸収性樹脂粒子(6)の内部に疎水性物質(C)は4.950%存在し、吸収性樹脂粒子(6))の表面に疎水性物質(C)は0.050%存在した。
【0119】
<実施例7>
「目開き150及び710μmのふるい」を「目開き150及び850μmのふるい」に変更して150〜850μmの粒度に調整したこと以外、実施例1と同様にして、本発明の吸収性樹脂粒子(7)を得た。吸収性樹脂粒子(7)の重量平均粒子径は540μmであり、見掛け密度は0.57g/mlであった。また、吸収性樹脂粒子(7)の内部に疎水性物質(C)は0.985%存在し、吸収性樹脂粒子(7)の表面に疎水性物質(C)は0.015%存在した。
【0120】
<実施例8>
「目開き150及び710μmのふるい」を「目開き150及び600μmのふるい」に変更して150〜600μmの粒度に調整したこと以外、実施例1と同様にして、本発明の吸収性樹脂粒子(8)を得た。吸収性樹脂粒子(8)の重量平均粒子径は300μmであり、見掛け密度は0.60g/mlであった。また、吸収性樹脂粒子(8)の内部に疎水性物質(C)は0.980%存在し、吸収性樹脂粒子(8)の表面に疎水性物質(C)は0.020%存在した。
【0121】
<実施例9>
「疎水性物質(C−1)1.9部」を「疎水性物質(C−5){ステアリン酸}0.95部」に変更したこと以外、実施例1と同様にして、本発明の吸収性樹脂粒子(9)を得た。吸収性樹脂粒子(9)の重量平均粒子径は395μmであり、見掛け密度は0.58g/mlであった。また、吸収性樹脂粒子(9)の内部に疎水性物質(C)は0.490%存在し、吸収性樹脂粒子(9)の表面に疎水性物質(C)は0.010%存在した。
【0122】
<実施例10>
「疎水性物質(C−1)1.9部」を「疎水性物質(C−5)0.19部及び水酸化Mg0.95部」に変更したこと以外、実施例1と同様にして、本発明の吸収性樹脂粒子(10)を得た。吸収性樹脂粒子(10)の重量平均粒子径は405μmであり、見掛け密度は0.58g/mlであった。また、吸収性樹脂粒子(10)の内部に疎水性物質(C)は0.475%存在し、吸収性樹脂粒子(10)の表面に疎水性物質(C)は0.025%存在した。
【0123】
<実施例11>
表面架橋後に親水性無機粒子(d−1)0.6部{アエロジェル200PE(日本エアロジェル社製品)}を追加したこと以外、実施例1と同様にして、本発明の吸収性樹脂粒子(11)を得た。吸収性樹脂粒子(11)の重量平均粒子径は390μmであり、見掛け密度は0.57g/mlであった。また、吸収性樹脂粒子(11)の内部に疎水性物質(C)は0.980%存在し、吸収性樹脂粒子(11)の表面に疎水性物質(C)は0.020%存在した。
【0124】
<実施例12>
「水溶性ビニルモノマー(a1−1)155部(2.15モル部)、架橋剤(b1)0.6225部(0.0024モル部)及び脱イオン水340.27部」を「水溶性ビニルモノマー(a1−1)155部(2.15モル部)、架橋剤(b1)(0.0024モル部)、疎水性物質(C−1)1.55部及び脱イオン水335.541部」に変更したこと、「含水ゲル(1)502.27部」を「含水ゲル(1)500.46部」に変更したこと、「48.5%水酸化ナトリウム水溶液128.42部」を「48.5%水酸化ナトリウム水溶液127.84部」に変更したこと、含水ゲルの破砕工程で疎水性物質(C−1)を使用しなかったこと以外、実施例1と同様にして、本発明の吸収性樹脂粒子(12)を得た。吸収性樹脂粒子(12)の重量平均粒子径は395μmであり、見掛け密度は0.59g/mlであった。また、吸収性樹脂粒子(12)の内部に疎水性物質(C)は0.810%存在し、吸収性樹脂粒子(12)の表面に疎水性物質(C)は0.010%存在した。
【0125】
<実施例13>
「疎水性物質(C−1)1.9部」を「疎水性物質(C−6){ソルビットステアリン酸モノエステル}3.8部」に変更したこと以外、実施例1と同様にして、本発明の吸収性樹脂粒子(13)を得た。吸収性樹脂粒子(13)の重量平均粒子径は395μmであり、見掛け密度は0.58g/mlであった。また、吸収性樹脂粒子(13)の内部に疎水性物質(C)は1.990%存在し、吸収性樹脂粒子(13)の表面に疎水性物質(C)は0.010%存在した。
【0126】
<実施例14>
「疎水性物質(C−1)1.9部」を「疎水性物質(C−7){ショ糖ステアリン酸モノエステル}3.8部」に変更したこと以外、実施例1と同様にして、本発明の吸収性樹脂粒子(14)を得た。吸収性樹脂粒子(14)の重量平均粒子径は395μmであり、見掛け密度は0.58g/mlであった。また、吸収性樹脂粒子(14)の内部に疎水性物質(C)は1.950%存在し、吸収性樹脂粒子(14)の表面に疎水性物質(C)は0.050%存在した。
【0127】
<実施例15>
「疎水性物質(C−1)1.9部」を「疎水性物質(C−8){ジオクタデカン酸N−エチルアミド}1.9部」に変更したこと以外、実施例1と同様にして、本発明の吸収性樹脂粒子(15)を得た。吸収性樹脂粒子(15)の重量平均粒子径は395μmであり、見掛け密度は0.58g/mlであった。また、吸収性樹脂粒子(15)の内部に疎水性物質(C)は0.985%存在し、吸収性樹脂粒子(15)の表面に疎水性物質(C)は0.015%存在した。
【0128】
<実施例16>
「疎水性物質(C−1)1.9部」を「疎水性物質(C−9){ヘプタコン酸N−オクチルアミド}1.9部」に変更したこと以外、実施例1と同様にして、本発明の吸収性樹脂粒子(16)を得た。吸収性樹脂粒子(16)の重量平均粒子径は395μmであり、見掛け密度は0.58g/mlであった。また、吸収性樹脂粒子(16)の内部に疎水性物質(C)は1.950%存在し、吸収性樹脂粒子(16)の表面に疎水性物質(C)は0.050%存在した。
【0129】
<実施例17>
「疎水性物質(C−1)1.9部」を「疎水性物質(C−10){ステアリルアルコール}0.95部」に変更したこと以外、実施例1と同様にして、本発明の吸収性樹脂粒子(17)を得た。吸収性樹脂粒子(17)の重量平均粒子径は395μmであり、見掛け密度は0.58g/mlであった。また、吸収性樹脂粒子(17)の内部に疎水性物質(C)は0.490%存在し、吸収性樹脂粒子(17)の表面に疎水性物質(C)は0.010%存在した。
【0130】
<比較例1>
クレー(ROCKWOOD ADDIIVES LIMITTED社製:LAPONI
PE XLG)40部に、疎水性物質(C)としてアミノ変性シリコーン(信越化学社製品:KF354)0.004部をメタノール80部に溶解させた液を添加し、25℃で2分間撹拌した後、60℃×1時間乾燥させ、材料粒子(E)を得た。材料粒子(E)の体積平均粒子径は80μmであった。
【0131】
次に、ガラス製反応容器に、アクリル酸ナトリウム77部、アクリル酸22.85部、N,N’−メチレンビスアクリルアミド0.15部及び脱イオン水293部、ジクロロトリス(トリフェニルホスフィン)ルテニウム0.001部を仕込み、攪拌、混合しながら内容物の温度を3℃に保った。内容物に窒素を流入して溶存酸素量を1ppm以下とした後、過酸化水素の1%水溶液0.3部、アスコルビン酸の0.2%水溶液0.8部及び2,2’−アゾビスアミジノプロパンジハイドロクロライドの2%水溶液0.8部を添加・混合して重合を開始させ、反応液が80℃に達した後、重合温度80±2℃で約5時間重合することにより、含水ゲル(1)を得た。
含水ゲル(1)300部に材料粒子(E)30部及び界面活性剤(1)(三洋化成工業社製:サンモリンOT70)0.3部を加え、ミンチ機(目皿の穴径:6mm、飯塚工業社製 12VR−400Kにて25℃で5分間混練した後、135℃、風速2.0m/秒の条件の通気型バンド乾燥機で乾燥し、重合体乾燥物を得た。
この重合体乾燥物をジューサーミキサー(Oster社製OSTERIZER BLENDER)にて粉砕し、目開き150及び710μmのふるいを用いて150〜710μmの粒度に調整した後、この100部を高速攪拌(細川ミクロン製高速攪拌タービュライザー:回転数2000rpm)しながらエチレングリコールジグリシジルエーテルの10%水/メタノール混合溶液(水/メタノールの重量比=70/30)の2部をスプレー噴霧しながら加えて混合し、140℃で30分間静置して加熱架橋することにより比較用の吸収性樹脂粒子(H1)を得た。吸収性樹脂粒子(H1)の重量平均粒子径は395μmであり、見掛け密度は0.55g/mlであった。また、吸収性樹脂粒子(H1)の内部に疎水性物質(C)は0.005%存在し、吸収性樹脂粒子(H1)の表面に疎水性物質(C)は存在しなかった。
【0132】
<比較例2>
「材料粒子(E)30部」を「シリコーンビーズ(東芝シリコーン社製:トスパール平均粒径2μm)3部」に変更したこと、及び「界面活性剤(1)(三洋化成工業社製:サンモリンOT70)0.3部」を「界面活性剤(2)(三洋化成工業社製:ナロアクティーID50)0.3部」にしたこと以外、比較例1と同様にして、比較用の吸収性樹脂粒子(H2)を得た。吸収性樹脂粒子(H2)の重量平均粒子径は400μmであり、見掛け密度は0.55g/mlであった。また、疎水性物質(C)は吸収性樹脂粒子(H2)表面には存在せず、内部のみに存在した。
【0133】
<比較例3>
水溶性ビニルモノマー(a1−1){アクリル酸、三菱化学株式会社製、純度100%}155部(2.15モル部)、架橋剤(b1){ペンタエリスリトールトリアリルエーテル、ダイソ−株式会社製}0.6225部(0.0024モル部)及び脱イオン水340.27部を攪拌・混合しながら3℃に保った。この混合物中に窒素を流入して溶存酸素量を1ppm以下とした後、1%過酸化水素水溶液0.62部、2%アスコルビン酸水溶液1.1625部及び2%の2,2’−アゾビス[2−メチル−N−(2−ヒドロキシエチル)−プロピオンアミド]水溶液2.325部を添加・混合して重合を開始させた。混合物の温度が90℃に達した後、90±2℃で約5時間重合することにより含水ゲル(1)を得た。次にこの含水ゲル(1)502.27部をミンチ機(ROYAL社製12VR−400K)で細断しながら48.5%水酸化ナトリウム水溶液128.42部を添加して混合し、細断ゲル(2)を得た。さらに細断ゲル(2)を通気型バンド乾燥機{150℃、風速2m/秒}で乾燥し、乾燥体を得た。乾燥体をジューサーミキサー(Oster社製OSTERIZER BLENDER)にて粉砕した後、目開き150及び710μmのふるいを用いて150〜710μmの粒度に調整することにより、乾燥体粒子を得た。この乾燥体粒子100部を高速攪拌(細川ミクロン製高速攪拌タービュライザー:回転数2000rpm)しながらエチレングリコールジグリシジルエーテルの2%水/メタノール混合溶液(水/メタノールの重量比=70/30)の5部をスプレー噴霧しながら加えて混合し、150℃で30分間静置して表面架橋することにより、比較用の吸収性樹脂粒子(H3)を得た。吸収性樹脂粒子(H3)の重量平均粒子径は405μmであり、見掛け密度は0.61g/mlであった。また、疎水性物質(C)は吸収性樹脂粒子(H3)の内部及び表面には存在しなかった。
【0134】
<比較例4>
表面架橋後に疎水性物質(C−1)1.0部を混合する以外、比較例1と同様にして、比較用の吸収性樹脂粒子(H4)を得た。吸収性樹脂粒子(H4)の重量平均粒子径は400μmであり、見掛け密度は0.61g/mlであった。また、疎水性物質(C)は吸収性樹脂粒子(H4)の内部には存在せず、表面に1.000%存在した。
【0135】
<比較例5>
特開2007−291351号公報の実施例1にしたがって比較用の吸収性樹脂粒子(H5)を得た。吸収性樹脂粒子(H5)の重量平均粒子径は400μmであり、見掛け密度は0.70g/mlであった。また、疎水性物質(C)は吸収性樹脂粒子(H5)の内部及び表面には存在しなかった。
【0136】
<比較例6>
疎水性物質(C−1)0.05部を予め混合して表面架橋を行い、表面架橋後に疎水性物質を添加しない以外は、比較例4と同様にして、比較用の吸収性樹脂粒子(H6)を得た。吸収性樹脂粒子(H6)の重量平均粒子径は400μmであり、見掛け密度は0.61g/mlであった。また、疎水性物質(C)は吸収性樹脂粒子(H4)の内部には存在せず、表面に1.000%存在した。
【0137】
実施例1及び比較例1、3、4で得た吸収性樹脂粒子の膨潤体積測定法による測定結果を図1及び図2に示す。なお、円盤の上昇した距離は、Mitutoyo社製デジマチックインジケータ ID−F150を用いて測定した。
【0138】
図1及び図2からわかるように、実施例1の吸収性樹脂粒子の吸収速度パターンは、初期遅く、中期普通、後期が速い、S字の吸収速度カーブを描く。
【0139】
実施例1〜17及び比較例1〜6で得た吸収性樹脂粒子について、測定した物理的性質{重量平均粒子径、見掛け密度}及び性能評価結果{膨潤体積測定法による特定膨潤容積に達するまでの時間、保水量、ゲル弾性率}を表1及び表2示す。
【0140】
【表1】
【0141】
【表2】
【0142】
表1及び表2から判るように、本発明の吸収性樹脂粒子(実施例1〜17)は、比較例1〜6の吸収性樹脂粒子に比べ、吸収速度パターンが適切である。本発明の吸収性樹脂粒子(実施例1〜17)と比較例4及び6との比較から、本発明吸収性樹脂粒子は、粒子内部および表面に疎水性物質を存在させることにより適切な吸収パターンが得られることがわかる。
引き続き、吸収速度パターンが適切であると、吸収性物品に適用したとき、どのような吸収特性を示すか評価した。実施例1〜17及び比較例1〜6で得た吸収性樹脂粒子を用いて、以下のようにして、吸収性物品(紙おむつ)を調製し、SDME法による表面ドライネス値を評価し、この結果を表3及び表4に示した。
【0143】
<吸収性物品(紙おむつ)の調製1>
フラッフパルプ100部と評価試料{吸収性樹脂粒子}100部とを気流型混合装置{株式会社オーテック社製パッドフォーマー}で混合して、混合物を得た後、この混合物を坪量約500g/mとなるように均一にアクリル板(厚み4mm)上に積層し、5kg/cmの圧力で30秒間プレスし、吸収体(1)を得た。この吸収体(1)を10cm×40cmの長方形に裁断し、各々の上下に吸収体と同じ大きさの吸水紙(坪量15.5g/m、アドバンテック社製、フィルターペーパー2番)を配置し、さらにポリエチレンシート(タマポリ社製ポリエチレンフィルムUB−1)を裏面に、不織布(坪量20g/m、旭化成社製エルタスガード)を表面に配置することにより紙おむつ(1)を調製した。吸収性樹脂粒子と繊維の重量比率(吸収性樹脂粒子の重量/繊維の重量)は50/50であった。
【0144】
<吸収性物品(紙おむつ)の調製2>
「フラッフパルプ100部と評価試料{吸収性樹脂粒子}100部」を「フラッフパルプ80部と評価試料{吸収性樹脂粒子}120部」に変更したこと以外、吸収性物品(紙おむつ)の調製1と同様にして、紙おむつ(2)を調整した。吸収性樹脂粒子と繊維の重量比率(吸収性樹脂粒子の重量/繊維の重量)は60/40であった。
【0145】
<SDME法による表面ドライネス値>
SDME(Surface Dryness Measurement Equipment)試験器(WK system社製)の検出器を十分に湿らした紙おむつ{人工尿(塩化カリウム0.03重量%、硫酸マグネシウム0.08重量%、塩化ナトリウム0.8重量%及び脱イオン水99.09重量%)の中に紙おむつを浸し、60分放置して調製した。}の上に置き、0%ドライネス値を設定し、次に、SDME試験器の検出器を乾いた紙おむつ{紙おむつを80℃、2時間加熱乾燥して調製した。}の上に置き100%ドライネスを設定し、SDME試験器の校正を行った。次に、測定する紙おむつの中央に金属リング(内径70mm、長さ50mm)をセットし、人工尿80mlを注入し、人工尿を吸収し終えたら{人工尿による光沢が確認できなくなるまで}、直ちに金属リングを取り去り、紙おむつの中央及びその左右{紙おむつ40cmの端から10cmの等間隔に3箇所}にSDME検出器を3つ載せて、表面ドライネス値の測定を開始し、測定開始から5分後の値をそれぞれSD1−1{中央}、SD1−2{左}、SD1−3{右}とした。
なお、人工尿、測定雰囲気及び放置雰囲気は、25±5℃、65±10%RHで行った。
【0146】
【表3】
【0147】
【表4】
【0148】
表3及び表4から判るように、本発明の吸収性樹脂粒子を使用した吸収性物品は、比較用の吸収性樹脂粒子を使用した吸収性物品に比べ、SD1−1、SD1−2、SD1−3に偏りがなく優れていた。すなわち、本発明の吸収性樹脂粒子は、吸収性物品に適用したとき、特定の吸収速度パターンであるため、優れた吸収特性であった。したがって、本発明の吸収性樹脂粒子を適用した吸収性物品を使用しても、カブレ等の心配がないことが容易に予測される。
【産業上の利用可能性】
【0149】
本発明の吸収性樹脂粒子は、吸収性樹脂粒子と繊維状物とを含有してなる吸収体に適用でき、この吸収体を備えてなる吸収性物品{紙おむつ、生理用ナプキン及び医療用保血剤等}に有用である。また、ペット尿吸収剤、携帯トイレ用尿ゲル化剤、青果物用鮮度保持剤、肉類・魚介類用ドリップ吸収剤、保冷剤、使い捨てカイロ、電池用ゲル化剤、植物・土壌用保水剤、結露防止剤、止水剤、パッキング剤及び人工雪等の種々の用途にも使用できる。
【符号の説明】
【0150】
1 底板付円筒
2 取手付円盤
3 吸収性樹脂粒子
4 デジマチックインジケーターの厚み表示部
5 デジマチックインジケーターの厚み測定用の棒
6 デジマチックインジケータの台
図1
図2
図3
図4
図5