(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5685355
(24)【登録日】2015年1月23日
(45)【発行日】2015年3月18日
(54)【発明の名称】GLP−1および糖尿病の処置方法
(51)【国際特許分類】
A61K 38/04 20060101AFI20150226BHJP
A61P 3/10 20060101ALI20150226BHJP
【FI】
A61K37/43
A61P3/10
【請求項の数】11
【全頁数】31
(21)【出願番号】特願2004-518465(P2004-518465)
(86)(22)【出願日】2003年7月2日
(65)【公表番号】特表2006-515267(P2006-515267A)
(43)【公表日】2006年5月25日
(86)【国際出願番号】DK2003000463
(87)【国際公開番号】WO2004005342
(87)【国際公開日】20040115
【審査請求日】2006年6月29日
【審判番号】不服2012-25138(P2012-25138/J1)
【審判請求日】2012年12月19日
(31)【優先権主張番号】60/393,917
(32)【優先日】2002年7月4日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】60/465,613
(32)【優先日】2003年4月24日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】502453045
【氏名又は名称】ジーランド ファーマ アクティーゼルスカブ
(74)【代理人】
【識別番号】100081422
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 光雄
(74)【代理人】
【識別番号】100084146
【弁理士】
【氏名又は名称】山崎 宏
(74)【代理人】
【識別番号】100122301
【弁理士】
【氏名又は名称】冨田 憲史
(72)【発明者】
【氏名】エヴァ・スタイネス
【合議体】
【審判長】
内藤 伸一
【審判官】
齋藤 恵
【審判官】
田村 明照
(56)【参考文献】
【文献】
特開平7−504670(JP,A)
【文献】
国際公開第01/04156(WO,A1)
【文献】
国際公開第99/43708(WO,A1)
【文献】
特開2001−11095(JP,A)
【文献】
Berggren,L.J. et al.,The antidiabetogenic effect of GLP−1 is maintained during a 7−day treatment period and improves diabetic dyslipoproteinemia in NIDDM patients,Diabetes Care,1996年11月,Vol.19,No.11,P.1200−1206
【文献】
Parkes,D.G. et al.,Insulinotropic actions of exendin−4 and glucagon−like peptide−1 in vivo and in vitro,Metabolism,2001年 5月,Vol.50,No.5,P.583−589
【文献】
清瀬闊 他1名,ヘモグロビンA1cと空腹時血漿糖値(FPG)の組合せによる耐糖能スクリーニング法 −日本総合健診医学会糖負荷試験検討小委員会勧告案要約−,糖尿病,1987年,Vol.30,No.4,P.325−331
【文献】
井垣誠 他5名,糖尿病患者における低強度運動療法の体脂肪減量効果に関する検討,理学療法学,1999年 9月,第26巻,第6号,P.270−274
【文献】
張替直美,肥満NIDDM患者における行動療法プログラムの効果について −生活習慣行動、肥満状態、血糖コントロール状態を指標にして−,山口県立大学看護学部紀要,1998年 3月,第2号,P.1−12
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K38/00-38/58,A61K45/00,A61K45/06
JSTPlus,JMEDPlus,JST7580
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
哺乳類の糖尿病を予防または処置するための医薬組成物であって、該予防または処置が、哺乳類に治療上有効量のGLP−1アゴニストを投与するものであり、
該GLP−1アゴニストが、
エキセンディン4、
デスSer39−エキセンディン4(1〜39)−Lys6−NH2、
デスPro36−エキセンディン4(1〜39)−Lys6−NH2(配列番号:5)
、
デスAla35−エキセンディン4(1〜39)−Lys6−NH2、
デスGly34−エキセンディン4(1〜39)−Lys6−NH2、
デスSer39−(Lys40(パルミトイル))エキセンディン4(1〜39)−L
ys6−NH2、
デスPro36−(Lys40(パルミトイル))エキセンディン4(1〜39)−L
ys6−NH2、
デスAla35−(Lys40(パルミトイル))エキセンディン4(1〜39)−L
ys6−NH2、
デスGly34−(Lys40(パルミトイル))エキセンディン4(1〜39)−L
ys6−NH2、
Lys40(パルミトイル)エキセンディン4(1〜39)−Lys6−NH2、
デスPro36,Pro37−エキセンディン4(1〜39)−Lys6−NH2、
Lys6−デスPro36,Pro37,Pro38−エキセンディン4(1〜39)
−NH2、
Asn(Glu)5−デスPro36,Pro37,Pro38−エキセンディン4(
1〜39)−NH2、
Lys6−デスPro36,Pro37,Pro38−エキセンディン4(1〜39)
−Lys6−NH2、
Asn(Glu)5−デスPro36,Pro37,Pro38−エキセンディン4(
1〜39)−Lys6−NH2および
デスPro36,Pro37,Pro38−エキセンディン4(1〜39)−Lys6
−NH2
から選択されるものであって、
該予防または処置が、該GLP−1アゴニストの投与を持続的に休薬日を生じる時間、治療上有効量より低減させることを含むものであり、前記休薬日は、該GLP−1アゴニストの投与の低減の後の第1のエンドポイントおよび第2のエンドポイントの間の時間間隔として定義されるものであり、該GLP−1アゴニストの投与量およびタイミングが、該GLP−1アゴニストが継続的に存在することなく哺乳類における糖尿病または関連疾患を予防または処置するためのものであり、休薬日が3から25週間の間持続するものである、医薬組成物。
【請求項2】
該GLP−1アゴニストの投与が、休薬日の間中止されるものである、請求項1記載の医薬組成物。
【請求項3】
第2のエンドポイントが、標準的FBG検査または標準的グリコシル化ヘモグロビン検査により同定されるものである、請求項1または2記載の医薬組成物。
【請求項4】
休薬日が3から4週間の間持続するものである、請求項1記載の医薬組成物。
【請求項5】
予防または処置が、さらに哺乳類に第2の治療上有効量のGLP−1アゴニストを休薬日に続き投与するものである、請求項1〜4いずれか1項記載の医薬組成物。
【請求項6】
投与段階、そして低減段階が、糖尿病を予防または処置するために必要に応じて繰り返されるものである、請求項1〜5のいずれか1項記載の医薬組成物。
【請求項7】
予防または処置が、さらに少なくとも1種の抗糖尿病薬を哺乳類に投与するものである、請求項1〜6のいずれか1項記載の医薬組成物。
【請求項8】
抗糖尿病薬が、インシュリン、インシュリン類似体、スルホニル尿素、ビグアニド、チアゾリジンジオ、ジアゾキシド、ソマトスタチン、またはα−グルコシダーゼ阻害剤、または医薬的に許容されるそれらの混合物である、請求項7記載の医薬組成物。
【請求項9】
インシュリンが、ヒトインシュリン、ウシインシュリン、ブタインシュリン;またはそれらの混合物であるか、あるいはインシュリン類似体が、Lys(B28)、Pro(B29)ヒトインシュリンである、請求項8記載の医薬組成物。
【請求項10】
スルホニル尿素が、トルブタミド、クロルプロパミド、トラザミド、アセトヘキサミド、グリブリド、グリピジド、またはグリクラジドであるか;ビグアニドが、メトホルミンまたはフェンホルミンであるか;チアゾリジンジオが、シグリタゾンまたはピオグリダゾンであるか;あるいはα−グルコシダーゼ阻害剤がアカルボースである、請求項8記載の医薬組成物。
【請求項11】
糖尿病または関連疾患が、インシュリン依存性糖尿病(IDDMまたはI型糖尿病)、インシュリン非依存性糖尿病(NIDDMまたはII型糖尿病);糖尿病を発症する遺伝的素因;耐糖能異常(IGT)、若年発症成人型糖尿病(MODY);妖精症(インシュリン受容体変異)、熱帯性糖尿病、膵疾患または手術の二次性糖尿病;プラダーウィリ症候群のような遺伝的症候群と関連する糖尿病;膵炎;内分泌疾患の二次性糖尿病;肥満症;または代謝症候群(X症候群)である、請求項1〜10のいずれか1項記載の医薬組成物。
【発明の詳細な説明】
【0001】
発明の分野
本発明は、一般に、哺乳類の糖尿病および関連疾患の処置方法に関する。1つの態様において、方法は、治療上有効量の内因性インシュリンをもたらすために、グルカゴン様ペプチドまたはGLP−1様効果を有する関連分子を投与することを含む。続いて、哺乳類に投与される薬物の量は、「休薬日(drug holiday)」を生じるために実質的に低減される。本発明の実施により、継続的に薬物曝露されることなく、かつ継続的に治療レベルの薬物が存在することなく、有効な治療が達成される。
【0002】
背景
グルカゴン様ペプチド1(GLP−1)は、生理的インクレチンホルモンとされている。報告によると、それは、ブドウ糖または脂質の経口摂取後、インシュリン応答を増大させるために作用する。一般に、GLP−1は、グルカゴンの濃度を低下させ、胃を空にするのを遅延させ、(前)インシュリンの生合成を刺激し、インシュリン感受性を増強し、そしてインシュリン非依存性グリコーゲン合成を刺激することが、知られている。Holst, JJ (1999) Curr Med Chem. 6:1005;Nauck, MA, et al. (1997) Exp Clin Endocrinol Diabetes 105:187;およびLopez-Delgado,MI, et al. (1998) Endocrinology 139:2811を参照されたい。
【0003】
GLP−1の分子構造および機能は、広く研究されてきた。GLP−1のアミノ酸配列およびタンパク質配列は、ヒトおよび他の哺乳類について報告されている。ヒトGLP−1は、37個のアミノ酸残基を有するタンパク質であると考えられている。例えば、Heinrich, G., et al., Endocrinol., 115: 2176 (1984);およびUttenthal, L. O., et al., J. Clin. Endocrinol. Metabol., 61:472 (1985)を参照されたい。
【0004】
多数のGLP−1の分子誘導体が報告されている。例えば、GLP−1(7〜37)が知られている。様々な類似体、例えば、Gln
9−GLP−1(7〜37)、D−Gln
9−GLP−1(7〜37)、アセチル−Lys
9−GLP−1(7〜37)、Thr
16−Lys
18−GLP−1(7〜37)、およびLys
18−GLP−1(7〜37)、Gly
8−GLP−1(7−37)、Ser
8−GLP−1(7〜37)も記載されている。他のGLP−1誘導体(「変異体」と呼ばれることもある)は、酸付加塩、カルボン酸塩、低級アルキルエステル、およびアミドとしても具体的に報告されている。WO91/11457およびMojsov, S., Int. J. Peptide Protein Research, 40:333-343 (1992)、およびそこで引用される参考文献を参照されたい。
【0005】
さらに、アゴニスト活性を有すると報告されている、GLP−1誘導体のいくつかが開示されている。例えば、米国特許番号6,358,924;6,344,180;6,284,725;6,277,819;6,271,241;6,268,343;および6,191,102を参照されたい。
【0006】
さらに、GLP−1関連分子が開示されている。
例えば、エキセンディン4と呼ばれるタンパク質が、アメリカドクトカゲの唾液腺から単離されている。さらなる研究により、そのペプチドがGLP−1と関連することが示された。該ペプチドは、哺乳類のGLP−1受容体の有効なアゴニストであると分かっている。最近の研究により、エキセンディン4の投与が、膵内分泌細胞の分化、膵島の増殖、およびエキセンディン4がβ細胞に対するトロピック効果を発揮することを示す、β細胞塊の増大を誘導することが示された。Raufman, JP, et al. J (1992) J Biol Chem 267:21432;Young, AA, et al. (1999) Diabetes 48:1026-1034;Edvell,A, Lindstroum,P (1999) Endocrinology 140:778-783;Xu,G, et al. Diabetes 48:2270;Greig, NH, et al. (1999) Diabetologia 42:45;およびParkes, DG, et al. (2001) Metabolism 50:583を参照されたい。
【0007】
類似体および誘導体を含む、エキセンディン4およびエキセンディン3と関連する様々な分子が報告されている。例えば、米国特許番号5,424,286;WO98/05351;WO98/30231;および公開されたEP出願番号99610043.4を参照されたい。
【0008】
例えば、Larsen, B.D等は、GLP−1活性のアゴニストである新規ペプチドを開示している。PCT/DK00/00393を参照。
【0009】
II型糖尿病は、多くの研究の対象とされてきた。該疾患は、耐糖能異常、高インシュリン血症(hyperinsulaemia)、インシュリン抵抗性、グリコシル化ヘモグロビン(HbA
1c)の上昇、β細胞機能不全、そしてそれに続くβ細胞死を特徴としている。総論として、S. N. Davis and D. K. Granner in Goodman & Gilman's The Pharmacological Basis of Therapeutics (9
th Ed. Hardman, J.G et al. (eds) (1996)) Chapter 60, pp. 1493-1597を参照されたい。
【0010】
具体的には、GLP−1の注射により、HbA
1cのレベルが正常値化されると報告された。GLP−1はさらに、耐糖能異常の対象において、ブドウ糖に対するβ細胞の感受性および応答性を増強させる能力があることが報告された。Byrne et al., supraを参照。
【0011】
一般に、db/dbマウスがヒトII型糖尿病の満足のいくモデルであることは、一致する見解である。この糖尿病マウスは、深刻な肥満を生じるレプチン受容体の変異、II型糖尿病の早期発症、高インシュリン血症、および顕著な末梢インシュリン抵抗性を特徴とする。最終的に、該動物は、β細胞の消耗および完全なインシュリン依存性を展開する。従って、db/dbマウスにおけるII型糖尿病からI型糖尿病への臨床的進行が、ヒトII型糖尿病との結びつきを担うと信じられている。Coleman, DL (1973) Diabetologia 9:294;およびLeiter, EH, et al. (1983) J.Nutr. 113:184を参照されたい。
【0012】
糖尿病を理解し、そして立ち向かうための試みに関わらず、該疾患の治療法は依然として存在しない。報告された処置方法は、一般に、インシュリンを単独で、または経口用血糖降下薬を含む、1以上の薬剤と共に投与することを含む。S. N. Davis and D. Granner, supraを参照。
不運なことに、今までの糖尿病の予防方法および処置方法には、問題があった。
【0013】
例えば、インシュリン治療は、いくつかの拒絶反応、例えば、低血糖、インシュリンアレルギーおよび抵抗性、およびインシュリン関連浮腫につながる。ある医療設定においては、該反応は命にかかわり得る。大抵、通常の抗糖尿病薬についての禁忌および副作用が多数存在する。
【0014】
さらに、糖尿病の通常の処置方法は、典型的には、インシュリンが皮下に投与される、多用量の処方計画を含む。かかる方法に付随する不便さ、痛み、およびコストは相当なものであり得る。該高侵襲的かつ反復的治療による糖尿病の子供および高齢者の管理は、特に困難となり得る。
【0015】
一般に、より少量の抗糖尿病製剤の投与を必要とする、糖尿病および関連疾患の予防方法または処置方法を有することが有用であろう。生理的相当量の内因性インシュリンをもたらし、これにより、糖尿病および関連疾患を予防または処置するために抗糖尿病製剤を投与する必要性を遅らせるのを助ける方法を有することが、特に有用であろう。
【0016】
発明の要約
本発明は、一般に、哺乳類の糖尿病および関連疾患の予防方法または処置方法に関する。1つの態様において、方法は、治療上有効量のグルカゴン様ペプチド(GLP−1)、またはGLP−1様効果を有する関連分子を投与すること、次に、該疾患を予防または処置するために当該量を大抵実質的に低減させることを含む。本発明の好ましい実施により、非常に望ましい「休薬日」が達成され、この期間中、哺乳類は、通常該薬物にさらに曝露されることなく、有用な量の内因性インシュリンを自分自身にもたらす。本発明は、投与されたGLP−1または関連分子が継続的に存在することなく、糖尿病と関連する症状を予防、処置、その発症を遅延、または低減させることを助けることを含む、様々な使用を有する。本発明は、糖尿病患者の経口糖尿病用化合物に対する応答不全の発症を予防するために用いられてもよい。
【0017】
GLP−1および関連分子(薬物)を新たな方法で投与することにより、糖尿病および関連疾患を予防または処置することが可能であることが、発見された。より具体的には、望ましい治療効果を達成するために、哺乳類を該薬物に継続的に曝露させる必要がないことが見出された。すなわち、該薬物の投与を、本明細書において「休薬日」として言及される期間にわたり、時に実質的に低減させることが可能であることが見出された。休薬日の間、哺乳類は、驚くべきことに、有用な量の内因性インシュリンを自分自身にもたらすことが可能である。内因性インシュリンの量は、一般的には、糖尿病および関連疾患の予防、処置、その発症の遅延、その症状の低減、またはその進行の遅延を助けるのに十分であると考えられている。GLP−1または関連分子の投与はこの期間にわたり必要とされないが、該休薬日の後、薬物投与は再開され得る。
【0018】
本発明の実施により、重要な利点が提供される。
例えば、休薬日は、哺乳類、特にヒト患者に、侵襲的、時に痛みを伴い、そして大抵反復的かつ高価な治療からの強く求められた解放をもたらし得る。潜在的には、大抵かかる治療と関連する重篤な副作用および関連する合併症が、本発明により、低減され、遅延され、またはある場合には除去され得る。具体的には、低血糖、アレルギーおよび抵抗性、および浮腫および関連するインシュリンの副作用を発症するリスクは、本発明に従い、少なくとも1回の休薬日を提供することにより、時に低減または回避され得る。
【0019】
さらに、抗糖尿病薬(例えば、GLP−1、GLP−1関連分子、インシュリン)の反復かつ頻繁な投薬に付随するコストは、本明細書に記載の方法により、実質的に低減され得る。
【0020】
特定の恩恵は、II型糖尿病を含む、糖尿病または関連疾患を有するか、または有することが疑われているヒト患者に対して生じる。例えば、GLP−1または関連分子は、定期的かつ内因性インシュリンレベルを少なくとも維持、そしてある場合には増加させるのに十分な時間、患者に投与され得る。該実施態様において、GLP−1または関連分子のさらなる投与は、休薬日をもたらすために、時に実質的に減少され得る。理論と結びつけられることを望んではいないが、この期間中、患者は、彼自身/彼女自身に、治療上相当な量の内因性インシュリンをもたらすことができると考えられている。すなわち、もたらされた内因性インシュリンの量は、患者が望ましくない血糖変動をよりよく制御するのを助けることができる。従って、GLP−1または関連分子への曝露を継続、または増加させる必要は、本発明を用いることにより、休薬日の間回避され得る。
【0021】
糖尿症(関連疾患を含む)の予防方法または処置方法を提供することは、本発明のさらなる目的であり、ここで、GLP−1またはGLP−1様効果を有する関連分子の投与は、休薬日期間中低減される。1つの実施態様において、該薬物の投与は、休薬日期間中、完全に排除される。休薬日期間後、または時に期間中、GLP−1または関連分子は、哺乳類に、以前に投与された量と実質的に同じであるか、または異なる量で投与される。該2回目の薬物投与の後、所望なら、また休薬日が続けられ得る。従って、少なくとも1回(すなわち、複数回)の休薬日をもたらすことが、本発明の特徴であり、ここで、それぞれの休薬日の後、好ましくは、ある量の少なくとも1種のGLP−1、GLP−1関連分子、またはインシュリンおよびその類似体の様な本明細書で開示される抗糖尿病薬と認可されたものの様な別の薬物の投与が続けられる。
【0022】
従って、1つの実施態様において、本発明を用いて、哺乳類、例えば、ヒト患者に、第1の休薬日がもたらされ、その期間の後、GLPまたはGLP−1様効果を有する関連分子が、該患者に好ましくは治療上有効な量で投与される。本方法は、1回、2回、3回、またはそれ以上の回数の休薬日を特徴とする、治療計画をもたらすために、1回、2回、3回、または大抵必要な回数、繰り返され得る。本発明の方法は、必要なら、病状を予防または処置するために、例えば、1日毎、2、3日毎、2、3週間毎、2、3ヶ月毎、最大哺乳類の生涯、繰り返され得る。糖尿病を有すると分かっている、またはその影響を受けやすいと疑われているヒト患者(例えば、耐糖性(IGT)を有する者、または有することが疑われている者)は、特に本発明の恩恵を受けると予測される。
【0023】
従って、1つの態様において、本発明は、哺乳類、好ましくは、ヒト患者の糖尿病および/または関連疾患の予防方法または処置方法を特徴とする。1つの実施態様において、本発明は、哺乳類に、治療上有効量の少なくとも1種のGLP−1およびGLP−1様効果を有する関連分子を投与することを含み、ここで、例えば、投与量およびタイミングは、典型的には、該哺乳類に該分子が継続的に存在することなく、例えば、糖尿病または関連疾患を予防または処置するためのものである。さらに、本発明の方法は、GLP−1または関連分子の投与を、ほぼ治療上有効な量より下に休薬期間中低減させることを含む。休薬日のさらなる特徴は以下に記載される。
【0024】
休薬日の導入に先立ち、哺乳類に投与されるGLP−1または関連分子の量は、好ましくは、しかしもっぱら、治療上有効なものである。1つの実施態様において、理論と結びつけられることを望にではいないが、当該量は、哺乳類が内因性インシュリンレベルを維持するか、場合によっては、増大させる(休薬日前または期間中)のを助けるのに十分である。休薬日を開始するために、投与される薬物の量は、低減されるか、または完全に排除される。休薬日期間は、該休薬期間中、哺乳類が自分自身にある量の、好ましくは、治療上相当かつ有効な量の有用なインシュリンをもたらすことが可能な限り、任意の特定の内因性インシュリンレベル、またはインビボで該インシュリンをもたらすか、または産生する方法につながることはない。休薬日期間中のかかる内因性インシュリンの存在は、哺乳類の糖尿病および関連疾患を処置または予防するのに非常に有用であることが見出された。休薬日期間に続き、哺乳類は、少なくとも1種のGLP−1、GLP−1様効果を有する関連分子、および本明細書で言及されるものの様な認可された抗糖尿病薬のさらなる投与を含む、さらなる治療の対象とされ得る。
本発明の他の特徴は、以下に記載される。
【0025】
図面の簡単な説明
図1は、ビークル(対照)および化合物1 100nmol/kgを投与した後の血漿インシュリンレベルを示すグラフである。
【0026】
図2は、一晩(17時間)絶食した後の血糖レベル(nM)を示すグラフである。
【0027】
図3は、経口ブドウ糖負荷試験(OTT)の結果を示すグラフである。結果は、1日当たりのAUC
0〜240分(mM×分)として表される。
【0028】
図4は、ビークルまたは変動させた濃度の化合物1に曝露された群における、グリコシル化ヘモグロビン(HbA
1c)の量を示す。
【0029】
図5は、ビークルまたは様々な投与ストラテジーの化合物1で処置した後の空腹時血糖を示すグラフである。
【0030】
図6は、ビークルまたは様々な投与ストラテジーの化合物1で処置した後の経口ブドウ糖負荷試験(OGTT)の結果を説明するグラフである。結果は、dAUC
0〜240分(mM×分)として表される。
【0031】
図7は、ビークルまたは様々な投与ストラテジーの化合物1で処置した後の膵臓のインシュリンmRNAレベル(pg/μg 全RNA)を示すグラフである。
【0032】
図8は、ビークルまたは様々な投与経路の化合物1に曝露された群のHbA
1c(全ヘモグロビンに対する%)の量を示すグラフである。
【0033】
好ましい実施態様の詳細な説明
記載の様に、本発明は、哺乳類の糖尿病の予防方法または処置方法を特徴とする。本発明の実施の恩恵を受けると予想される具体的な哺乳類は、糖尿病または関連する病状を有する、有していた、有することが疑われている、または一般にまたはその反対に発症しやすいものを含む。具体的な対象哺乳類は、チンパンジーの様な霊長類;マウスおよびラットの様なげっ歯類;飼いならされた動物、例えば、ウサギ、イヌ、ブタ、ネコ、ヒツジ、ヤギ、ウマ、ウシ等を含む。より具体的な対象哺乳類は、以下に記載されるマウスモデルの様な糖尿病および関連疾患の容認された動物モデルを含む。本発明の使用に特に好ましい哺乳類は、糖尿病または耐糖能異常(IGT)の様な関連疾患と診断されたヒト患者である。
【0034】
また記載されるように、哺乳類の関連疾患を含む、糖尿病の処置方法または予防方法を提供することが、本発明の目的であり、ここで、方法は、該哺乳類に治療上有効量の少なくとも1種のGLP−1およびGLP−1効果を有する関連分子を投与することを含む。典型的には、投与量およびタイミングは、例えば、該分子を継続的に存在させることなく、哺乳類の糖尿病を予防または処置するためのものである。好ましくは、かかる方法は、GLP−1または関連分子の投与を、持続的に休薬日を生じる時間、およそ治療上有効な量より下に低減させることをさらに含む。好ましい方法は、一般に、哺乳類の糖尿病または関連疾患を予防または処置するのに十分である。
【0035】
用語「治療上相当量の内因性インシュリン」により、哺乳類の糖尿病または関連疾患の進行を少なくとも約10%、好ましくは、少なくとも25%、または少なくとも約50%、少なくとも遅延させるのに少なくとも十分である、哺乳類によりもたらされるインシュリン量を意味する。かかる疾患の進行は、血流中のブドウ糖またはグリコシル化ヘモグロビン利用能の様な認可された臨床検査の1つまたは組合せにより、決定され得る。好ましい検査は、以下でより詳細に記載される。治療上相当であると当該技術分野で知られている内因性インシュリンの例示的な量が、以下に提供される。しかしながら、本発明は、任意の特定レベル、量、または産生量の内因性インシュリンとつながらないことは強調される。対象哺乳類が少なくともある量の内因性インシュリンを自分自身にもたらす能力は、例えば、本明細書に記載される検査により決定されるように、ブドウ糖利用能の改善で明らかにされ得る。
【0036】
上記の方法の1つの実施態様において、典型的には休薬日の開始に先立ち、少なくとも1種のGLP−1またはGLP−1様効果を有する関連分子の投与が、休薬日の間、治療上の量より少なくとも約50%、好ましくは、治療上の量より少なくとも約90%低減され、そしてより好ましくは、かかる投与は、休薬日の間止められる。
【0037】
用語「GLP−1関連分子」により、GLP−1の誘導体、相同体、変異体、または類似体を意味し、これは、その医薬的に許容される塩および遊離酸を含む。好ましくは、GLP−1関連分子は、GLPアゴニストである。より具体的なGLP−1およびGLP−1関連分子は、以下に提供される。内因性インシュリン産生に影響を与える活性フラグメントが含まれる限り、GLP−1類似体、誘導体、変異体、前駆体、および相同体は全て、本発明の実施に適している。「GLP−1」により、GLP−1(7〜37)を意味する。慣習により、GLP−1(7〜37)のアミノ末端は数字7を、そしてカルボキシ末端は、数字37を割り当てられている。
【0038】
GLP−1(7〜37)のアミノ酸配列はよく知られており、そして次の配列:NH
2−His
7−Ala−Glu−Gly
10−Thr−Phe−Thr−Ser−Asp
15−Val−Ser−Ser−Tyr−Leu
20−Glu−Gly−Gln−Ala−Ala
25−Lys−Glu−Phe−Ile−Ala
30−Trp−Leu−Val−Lys−Gly−Arg−Gly
37−COOH(配列番号:
)を有する。
【0039】
「GLP−1類似体」は、GLP−1と比較した場合、1個以上のアミノ酸置換、欠損、挿入、または付加を含む修飾を有する分子として定義されている。GLP−1類似体は、例えば、GLP−1(7〜34)およびGLP−1(7〜35)、GLP−1(7〜36)、Val
8−GLP−1(7〜37)、Gln
9−GLP−1(7〜37)、D−Gln
9−GLP−1(7〜37)、Thr
16−Lys
18−GLP−1(7〜37)、およびLys
18−GLP−1(7〜37)を含む。好ましいGLP−1類似体は、米国特許番号5,118,666に記載されている、GLP−1(7〜34)およびGLP−1(7〜35)、およびGLP−1(7〜36)である。該化合物は、インシュリン分泌特性を有するGLP−1の生物学的に処理された形である。他のGLP−1類似体は、米国特許出願番号5,545,618に開示されている。
【0040】
用語「GLP−1誘導体」により、GLP−1またはGLp−1類似体のアミノ酸配列を有し、かつ1またはそれ以上のそのアミノ酸側鎖基、α炭素原子、末端アミノ基、または末端カルボン酸基の少なくとも1個の化学修飾をさらに有する分子を意味する。化学修飾は、化学的部分の付加、新規結合の形成、および化学的部分の除去を含む。アミノ酸側鎖基での修飾は、リジンε−アミノ基のアシル化、アルギニン、ヒスチジン、またはリジンのN−アルキル化、グルタミン酸、アスパラギン酸、またはカルボン酸基のアルキル化、およびグルタミンまたはアスパラギンの脱アミドを含む。末端アミノの修飾は、デスアミノ、N−低級アルキル、N−ジ−低級アルキル、およびN−アシル修飾を含む。末端カルボキシ基の修飾は、アミド、低級アルキルアミド、ジアルキルアミド、および低級アルキルエステル修飾を含む。低級アルキルは、C
1−C
4アルキルである。さらに、1以上の側鎖基または末端基は、通常の技術者であるタンパク質についての科学者に既知の保護基により保護されていてもよい。アミノ酸のα炭素は、モノ−メチル化またはジ−メチル化されていてもよい。
【0041】
記載のように、本発明は、広範囲のGLP−1類似体および誘導体の使用に適合する。さらに、例としては、活性GLP−1ペプチドを含み、7〜34、7〜35、7〜36、および7〜37は、位置7〜10のアミノ酸置換を有し、および/またはC末端で切断され、および/または塩基性ペプチドにおいて様々な他のアミノ酸置換を含有する。位置7および8でのD−アミノ酸置換、および/または位置7でのN−アルキル化またはN−アシル化アミノ酸を有する類似体は、特に、インビボでの分解に抵抗性である。
【0042】
米国特許番号6,358,924;6,344,180;6,284;725;6,277,819;6,271,241;6,268,343;6,191,102;6,051,689;6,006,753;5,846,937;5,670,360;5,614,492;5,846,937;5,545,618;6,410,508;6,388,053;6,384,016;6,329,336;6,110,703;5,846,747;5,670,360;および5,631,224(さらなるGLP−1および関連分子を開示している)も参照されたい。この記載は、引用により取り込まれる。
【0043】
言及されるように、対象哺乳類に、少なくとも1回の休薬日、例えば、1回、2回、3回、またはそれ以上のかかる休薬日をもたらすことは、本発明の目的である。任意の特定の休薬日と関連する時間の長さは、対象の健康状態、性別、処置されるべき疾患、体重等の様な認定パラメーターに依存して変動することが、考慮されるだろう。
【0044】
好ましい休薬日は、第1のエンドポイント(開始)と第2のエンドポイント(終了)間の時間間隔として定義される。典型的には、第1のエンドポイントには、GLP−1または関連分子の投与の低減が続く。第2のエンドポイントは、標準的方法の1つまたは組合せにより、容易に同定され得る。例えば、かかるエンドポイントは、例えば、第2のエンドポイント前の時間と比較した場合の少なくとも約5%または10%のFBGの増加により示されるように、対象が絶食時血糖(FBG)を制御できないことを特徴とし得る。第2のエンドポイントは、第2のエンドポイント前の間隔と比較した場合も、少なくとも約5%または10%のグリコシル化ヘモグロビンの望ましくない増加により、さらに同定され得る。FBGおよびグリコシル化ヘモグロビンの測定方法は知られており、それぞれ標準的FBG検査または標準的グリコシル化ヘモグロビン検査として本明細書で言及されるものを含む。好ましい休薬日期間中、FBGおよびグリコシル化ヘモグロビンは、有意に増加しない。
【0045】
記載のように、特定の休薬日と関連する時間の長さは、対象の健康状態、性別、処置されるべき疾患、体重、既往歴等を含む、認定因子に依存して変動するであろう。しかしながら、本発明の1つの実施態様において、休薬日は、約1日から最大約25週間、例えば、約3から4週間にわたる。しかしながら、上記のように、休薬日期間の終わりまたは終わり近くで、標準的FBGアッセイは、少なくとも約5%または10%のFBGの増加を示すであろう。
【0046】
本発明に従い投与されるGLP−1または関連分子は、米国特許番号6,358,924;6,344,180;6,284,725;6,277,819;6,271,241;6,268,343;6,191,102;6,051,689;6,006,753;5,846,937;5,670,360;5,614,492;5,846,937;5,545,618;6,410,508;6,388,053;6,384,016;6,329,336;6,110,703;5,846,747;5,670,360;および5,631,224に記載されるものの様な持続性製剤を含む、ほぼ任意の許容される手段で与えられ得る。または、あるいはさらに、かかる薬物は、哺乳類に、少なくともほぼ1日1回、少なくとも1週間に1回、ボーラス投与され得る。他の投与手段はまた、約1から約20週間の間、およそ1日2回(静脈注射または皮下注射)を含むことが想定されている。
【0047】
記載のように、糖尿病または関連疾患を予防または処置するために、少なくとも1回の休薬日、例えば、1回、2回、または3回のそれを提供することは、本発明の目的である。本方法を実施するために必要とされる休薬日の正確な回数は、対象の健康状態、性別、処置されるべき疾患等の様な認定パラメーターに依存するであろう。1つの実施態様において、本発明は、哺乳類に、(第1の)休薬日に続き第2の治療上有効量のGLP−1または関連分子を投与することをさらに含む。所望なら、方法はまた、第2の治療上有効量のGLP−1または関連分子の投与を、第2の休薬日を持続的に生じる時間、低減させることを含み得る。かかる投与、そして低減段階は、少なくとも1回、例えば、少なくとも約2回から約25回、あるいは糖尿病または関連疾患を予防または処置するのに必要とされるだけ、繰り返される。例えば、本発明は、哺乳類の生涯、実施され得る。
【0048】
また記載のように、本発明はまた、哺乳類において治療上有効量の内因性インシュリンをもたらすために、哺乳類に治療上有効量の少なくとも1種のグルカゴン様ペプチド1(GLP−1)またはGLP−1関連分子を投与することを含む、方法を特徴とする。哺乳類の内因性インシュリン産生を少なくとも維持し、そして好ましくは増加させるのを助けることにより、通常の抗糖尿病治療の休止期間(休薬日)を提供することは本発明の目的である。本発明のゴールは、かかる治療の再開を休薬期間中遅延させることである。
【0049】
ヒトの糖尿病の一般的な特徴決定方法、診断方法、および処置方法は、S. N. Davis and D. Granner, supra;ならびにそこで引用された参考文献により、開示されている。
【0050】
本発明の方法の1つの実施態様において、内因性インシュリン産生は、哺乳類において、約1日から約25週間、少なくともほぼ維持される。別の実施態様において、GLP−1またはGLP−1関連分子の投与は、哺乳類のインシュリン産生を対照と比較して少なくとも約10%増加させるのに十分である。好ましくは、内因性インシュリン産生の増加は、対照と比較して、少なくとも約20%、より好ましくは、少なくとも約50%の増加である。好ましい対照は、糖尿病の無処置哺乳類である。
【0051】
本明細書における対照哺乳類への言及は、典型的には、GLP−1またはGLP−1関連分子で処置されていないことを意味する。適当な対照は、具体的な本発明の使用に適していることが必要とされる、糖尿病または非糖尿病の哺乳類である。本発明のある適用について、例えば、内因性インシュリン産生レベルが既に知られている場合、対照の使用は必要とされない。
【0052】
インシュリンレベルおよびインシュリンmRNA(タンパク質および核酸レベル)の検出方法および測定方法は、日常的なものである。総論として、S. N. Davis and D. Granner, supra;ならびにそこで引用される参考文献を参照されたい。従って、本発明の1つの例において、方法は、内因性インシュリン産生および血糖レベルのうち少なくとも1つをモニタリングすることをさらに含む。かかるモニタリングは、例えば、哺乳類においてインシュリンmRNAを検出することを含み得る。この実施態様において、哺乳類は、インシュリン産生組織、通常、膵臓の生検検体の採取および分析を可能とする非ヒト哺乳類であるだろう。ヒト患者において、確立されたプロトコールに従い、血中インシュリン産生のより低い侵襲的モニタリングは、本発明のある適用の助けとなるだろう。生物学的試料由来のインシュリンmRNAを少なくとも検出する方法は知られており、そしてこれは、核酸ハイブリダイゼーション、PCR、および関連する増幅技術を含む。従って、本発明の1つの例において、方法は、インシュリンmRNAを定量すること、そして哺乳類により産生された量を対照と比較することをさらに含む。許容される血漿インシュリン検査は、以下に記載される。
【0053】
インシュリンの治療上相当なレベルは、広範な様々な哺乳類について知られている。ヒトの患者について、内因性インシュリンは、血中をモノマーとして約2から約4ng/mlの間の濃度で、門脈および末梢循環中を約0.5ng/mlまたは約0.1nMで循環することが報告されている。食事の摂取後、門脈中の内因性インシュリンの濃度が上昇し、次に、末梢血中で若干上昇すると考えられている。S. N. Davis and D. Granner, supraを参照。
【0054】
記載のように、本発明は、治療上重要であると報告された、インシュリンの上記レベルを達成することとつながらない。むしろ一般的には、当該技術分野において、内因性にもたらされた任意の量のインシュリンは、最も医療的な設定において相当するものであることは理解されている。すなわち、一般的には、対象の哺乳類は、正常レベルまたは正常に近いレベルを達成するか否かにかかわらず、ある量の内因性インシュリンをもたらす能力を有することが、好ましい。本発明によりもたらされる、ある内因性インシュリンの存在でさえ、疾患の進行を少なくとも遅延させ、そしてある場合にはそれをより臨床的に管理し易いようにするのを助けるだろう。
【0055】
本発明に従い投与される「治療上有効」量のGLP−1または関連分子は、門脈および末梢血循環中のインシュリン(例えば、ヒトインシュリン)の正常モノマー濃度の少なくとも約0.01%、好ましくは、少なくともその約0.5%、より好ましくは、少なくとも約5%、そしてなおより好ましくは、そのレベルの少なくとも約10%回復することを意味する。さらに、GLP−1または関連分子の好ましい投薬量は、対象哺乳類におけるインシュリン産生の内因性レベルに、例えば、少なくともその約50%から最大100%または200%、さらに近づくだろう。かかる量のより具体的な例は、1以上の次の特許:6,358,924;6,344,180;6,284,725;6,277,819;6,271,241;6,268,343;6,191,102;6,051,689;6,006,753;5,846,937;5,670,360;5,614,492;5,846,937;5,545,618;6,410,508;6,388,053;6,384,016;6,329,336;6,110,703;5,846,747;5,670,360;および5,631,224で見出され得る。
【0056】
多くの実施態様において、GLP−1または関連分子は、哺乳類に、少なくとも約0.01nmol/kg(体重)の用量で投与され得る。
【0057】
従って、休薬日の例は、本発明の1つの実施態様において、正常(非糖尿病)対象の門脈および末梢血循環中のインシュリンレベルの少なくとも約50%、好ましくは、少なくとも約80%、より好ましくは、その約100%を達成する。
【0058】
多くの対象哺乳類のインシュリン産生のベースラインレベルは、当該技術分野の技術者により、確定され得ることは理解されるだろう。典型的には、大抵の健常ヒト対象の正常インシュリンレベルが知られており、特定の個人の年齢、性別、食事、および健康状態により変動すると理解されている。糖尿病を有するか、または有すると疑われている対象についての該ベースラインは変化し得るが、標準的方法を用いて確かめられ得る。
【0059】
方法の1つの実施態様において、哺乳類により産生されたインシュリンの量は、標準的血漿インシュリン検査により測定されるように、対照より少なくとも約10%高く、好ましくは、少なくとも約20%高く、なおより好ましくは、少なくとも約50%高い。好ましい対照は、無処置の糖尿病の哺乳類である。血漿インシュリンの通常の検出方法は、以下に開示される。S. N. Davis and D. Granner, supraも参照されたい。
【0060】
別の実施態様において、GLP−1またはGLP−1関連分子の投与は、少なくとも約24時間、少なくともおよそ1日1回である。好ましくは、投与は、約1から20週間、およそ1日2回である。哺乳類に投与されるGLP−1またはGLP−1関連ペプチドの具体的な量は、意図される使用と共に変動し、一般的には、少なくとも約0.01nmol/kg(体重)、好ましくは、少なくとも約0.1nmol/kg(体重)、より好ましくは、1、2、5、または10nmol/kg(体重)である。使用するためのGLP−1またはGLP−1関連分子のより具体的な量は、対象の一般的な健康状態、糖尿病の種類、性別、既往歴等を含む、認定パラメーターにより導かれるだろう。
【0061】
本発明の使用はまた、エキセンディン4、エキセンディン3、ならびにその分子の医薬的に許容される塩を含む、その類似体および誘導体の使用に完全に適合する。かかる分子のより具体的な例は、米国特許番号5,424,286;WO98/05351;WO98/30231;WO99/07404;WO99/25727;WO99/25728;WO99/46283;PCT/DK00/00393;および公開されたEP特許出願番号99610043.4(これらの記載は引用により取り込まれる)において報告されている。
【0062】
PCT/DK00/00393において開示されるように、例えば、具体的なGLP−1類似体は、
(a)エキセンディン4と少なくとも90%の相同性を有するエキセンディン;
(b)位置34〜39の1から5個の欠損からなる群から選択される修飾を含み、かつ親油性置換基を有する位置40のLysを含有する、該エキセンディンの変異体;または
(c)(i)位置8のアラニンについてのD−アラニン、グリシン、またはα−アミノイソ酪酸の置換からなる群から選択される少なくとも1個の修飾、かつ
(ii)親油性置換基
を有するGLP−1(7〜36)またはGLP−1(7〜37);
からなる群から選択されるペプチドX、
および該変異体と共有結合している4〜20個のアミノ酸単位のペプチド配列であるZ、ここで、該ペプチド配列のそれぞれのアミノ酸単位であるZは、Ala、Leu、Ser、Thr、Tyr、Asn、Gln、Asp、Glu、Lys、Arg、His、Met、Orn、および一般式I
【化1】
(式中、R
1およびR
2は、水素、C
1−6−アルキル、フェニル、およびフェニル−メチルであり、ここで、C
1−6−アルキルは、必要に応じて、ハロゲン、ヒドロキシ、アミノ、シアノ、ニトロ、スルホノ、およびカルボキシから選択される1から3個の置換基により置換されており、そしてフェニルおよびフェニル−メチルは、必要に応じて、C
1−6−アルキル、C
2−6−アルケニル、ハロゲン、ヒドロキシ、アミノ、シアノ、ニトロ、スルホノ、およびカルボキシから選択される1から3個の置換基により置換されているか、あるいは、R
1およびR
2は、それらが結合している炭素原子と一体となって、シクロペンチル、シクロヘキシル、またはシクロヘプチル環、例えば、2,4−ジアミノブタン酸および2,3−ジアミノプロパン酸を形成している)のアミノ酸単位からなる群から選択される;
および医薬的に許容される塩、または該ペプチドのC末端アミド結合体を含む。
【0063】
GLP−1およびその類似体を含む、GLP−1関連分子のより具体的な例は、例えば、PCT/DK00/00393出願に開示されている。かかる分子は、次の具体的な化合物:
デスSer
39−エキセンディン4(1〜39)−Lys
6−NH
2(配列番号:__)、
デスPro
36−エキセンディン4(1〜39)−Lys
6−NH
2(配列番号:__)、
デスAla
35−エキセンディン4(1〜39)−Lys
6−NH
2(配列番号:__)、
デスGly
34−エキセンディン4(1〜39)−Lys
6−NH
2(配列番号:__)、
デスSer
39−(Lys
40(パルミトイル))エキセンディン4(1〜39)−Lys
7−NH
2(配列番号:__)、
デスGly
34−(Lys
40(パルミトイル))エキセンディン4(1〜39)−Lys
7−NH
2(配列番号:__)、
デスAla
35−(Lys
40(パルミトイル))エキセンディン4(1〜39)−Lys
7−NH
2(配列番号:__)、
デスPro
36−(Lys
40(パルミトイル))エキセンディン4(1〜39)−Lys
7−NH
2(配列番号:__)、
Lys
40(パルミトイル)エキセンディン4(1〜39)−Lys
7−NH
2(配列番号:__)、
デスPro
36,Pro
37−エキセンディン4(1〜39)−Lys
6−NH
2、
Lys
6−デスPro
36,Pro
37,Pro
38−エキセンディン4(1〜39)−NH
2、
Asn(Glu)
5−デスPro
36,Pro
37,Pro
38−エキセンディン4(1〜39)−NH
2、
Lys
6−デスPro
36,Pro
37,Pro
38−エキセンディン4(1〜39)−Lys
6−NH
2、
Asn(Glu)
5−デスPro
36,Pro
37,Pro
38−エキセンディン4(1〜39)−Lys
6−NH
2、
デスPro
36,Pro
37,Pro
38−エキセンディン4(1〜39)−Lys
6−NH
2、
Gly
8−GLP−1(7〜36)−Lys
6−NH
2(配列番号:__)、
Lys
6−Gly
8−GLP−1(7〜36)−Lys
6−NH
2、
Lys
6−Gly
8−GLP−1(7〜36)−NH
2、
(Gly
8,Lys
37(パルミトイル)−GLP−1(7〜36)(ヒト)−Lys
7−NH
2(配列番号:__)、
(Gly
8,Lys
26(パルミトイル)−GLP−1(7〜36)(ヒト)−Lys
6−NH
2、
Gly
8,Lys
34(パルミトイル)−GLP−1(7〜36)(ヒト)−Lys
6−NH
2、
Gly
8−GLP−1(7〜36)−Lys
8−NH
2、
Gly
8−GLP−1(7〜36)−Lys
10−NH
2、
Gly
8−GLP−1(7〜37)−Lys
6−NH
2;およびその遊離酸または医薬的に許容される塩を含む。
【0064】
本発明において使用するための活性化合物の別の好ましい群は、WO91/11457で開示されており、GLP−1(7〜34)、GLP−1(7〜35)、GLP−1(7〜36)、またはGLP−1(7〜37)、またはそのアミド形、および以下で示されるもの:
(a)位置26および/または位置34のリジンについてのグリシン、セリン、システイン、スレオニン、アスパラギン、グルタミン、チロシン、アラニン、バリン、イソロイシン、ロイシン、メチオニン、フェニルアラニン、アルギニン、またはD−リジンの置換;または位置36のアルギニンについてのグリシン、セリン、システイン、スレオニン、アスパラギン、グルタミン、チロシン、アラニン、バリン、イソロイシン、ロイシン、メチオニン、フェニルアラニン、リジン、またはD−アルギニンの置換;
(b)位置31のトリプトファンについての酸化抵抗性アミノ酸の置換;
(c)位置16のバリンについてのチロシン;位置18のセリンについてのリジン;位置21のグルタミン酸についてのアスパラギン酸;位置22のグリシンについてのセリン;位置23のグルタミンについてのアルギン;位置24のアラニンについてのアルギニン;および位置26のリジンについてのグルタミンのうち少なくとも1つの置換;および
(d)位置8のアラニンについてのグリシン、セリン、またはシステイン;位置9のグルタミン酸についてのアスパラギン酸、グリシン、セリン、システイン、スレオニン、アスパラギン、グルタミン、チロシン、アラニン、バリン、イソロイシン、ロイシン、メチオニン、またはフェニルアラニン;位置10のグリシンについてのセリン、システイン、スレオニン、アスパラギン、グルタミン、チロシン、アラニン、バリン、イソロイシン、ロイシン、メチオニン、またはフェニルアラニン;および位置15のアスパラギン酸のグルタミン酸のうち少なくとも1つの置換;および
(e)位置7のヒスチジンについてのグリシン、セリン、システイン、スレオニン、アスパラギン、グルタミン、チロシン、アラニン、バリン、イソロイシン、ロイシン、メチオニン、またはフェニルアラニンの置換、またはヒスチジンのD−またはN−アシル化またはアルキル化;
(ここで、置換は、(a)、(b)、(d)および(e)であり、置換されたアミノ酸は、必要に応じて、D形であり得、かつ位置7の置換されたアミノ酸は、必要に応じて、N−アシル化またはN−アルキル化形であり得る)を含む少なくとも1つの修飾を有する、その医薬的に許容される塩を含む。
【0065】
関連する開示については、米国特許番号5,512,549;5,120,712;5,118,666;5,120,712および5,523,549も参照されたい。
【0066】
記載のように、本発明は、糖尿病の重要な予防方法または処置方法を提供する。好ましい実施は、休薬日をサポートするのに十分な哺乳類における内因性インシュリン産生を少なくとも維持するか、または休薬日をサポートするのに十分なグリコシル化ヘモグロビンのレベルを維持することを含む。この期間中、抗糖尿病製剤の投与は、有意に低減され、そして時に完全に回避され得る。本発明の1つの実施態様において、方法は、少なくとも1種の抗糖尿病薬を哺乳類に投与することをさらに含む。好ましくは、該投与は、およそ、哺乳類において少なくとも1種の薬物について認定された治療上有効な量より少ないだろう。すなわち、哺乳類に与えられる抗糖尿病薬の少なくとも1種、そして好ましくは、全ての量が、およそ有用な用量と認められているものより少ないだあろう。しかしながら、他の実施態様において、例えば、糖尿病を管理することが難しいかまたは困難であるとされた場合、哺乳類における少なくとも1種の薬物の少なくともおよそ治療上有効量で投与することを助けるだろう。抗糖尿病薬の投与は、この期間前、中、または後であり得、内因性インシュリンレベルは、哺乳類において少なくとも維持される。
【0067】
別の実施態様において、方法は、少なくとも1種の抗糖尿病薬の哺乳類への投与を中止する(完全または一時的のいずれか)ことをさらに含む。投与の中止は、およそこの期間の前、中、または後であり得、内因性インシュリン産生は、哺乳類において少なくとも維持される。好ましくは、方法は、哺乳類の糖尿病と関連する症状の予防、処置、その発症の遅延、または少なくとも緩和に十分であり、GLP−1、GLP−1関連分子、または抗糖尿病薬の投与の後、ある時間中止される。
【0068】
言及されるように、本発明の実施により、対象哺乳類の糖尿病の症状を適当に予防、処置、遅延、その発症を遅延、または少なくとも緩和し得る。1つの実施態様において、かかる恩恵は、哺乳類において、約1日から約25週間達成され得る。もちろん、休薬期間の長さは、対象哺乳類、投与されるGLP−1および/またはGLP−1関連分子の量、および所望なら、処置されるべき糖尿病の型を含む、認定パラメーターに依存するだろう。例として、GLP−1または関連分子の投与は、通常、休薬日期間後(しかし、時に期間前または期間中)例えば、1またはそれ以上の回数、必要に応じて繰り返され得る。従って、具体的な例において、GLP−1または関連分子の投与は、該期間後に1回またはそれ以上繰り返され、内因性インシュリン産生が、哺乳類において少なくとも維持される。
【0069】
本明細書において記載される本発明の方法の実施は、認可された抗糖尿病薬の1種または組合せ(しばしば、「カクテル」方法として言及されるものを含む)の使用に完全に適合する。かかる薬物の投与は、休薬日の前、期間中、または後であり得るが、大抵の実施態様において、該薬物は特定の休薬日の前または後に与えられる。抗糖尿病薬の使用は、本発明を実施するのに必要とされないが、特定の対象の疾患を管理するために、かかる処置をGLP−1および/またはGLP−1様効果を有する関連分子の使用と組み合わせて含むことを時に助けるだろう。
【0070】
例えば、方法の1つの実施態様において、少なくとも1種の抗糖尿病薬は、インシュリン、インシュリン類似体;またはその医薬的に許容される混合物である。好ましいヒトインシュリンは、例えば、HUMULIN[商標]およびNOVULIN[商標]として市販されている。さらに、インシュリンは、ウシインシュリン、ブタインシュリン、またはインシュリン混合物を含む。時に、インシュリン類似体の使用が示されるであろう。かかる実施態様において、選択するインシュリン類似体は、Lys(B28)、Pro(B29)ヒトインシュリンである。
【0071】
本発明は、S. N. Davis and D. Granner, supraにより開示されるものの様な広範囲の抗糖尿病薬の使用にさらに適合する。
【0072】
1つの実施態様において、抗糖尿病薬は、スルホニル尿素、ビグアニド、チアゾリジンジオ、ジアゾキシド、ソマトスタチン、またはアカルボースの様なα−グルコシダーゼ阻害剤である。本発明による好ましいスルホニル尿素は、トルブタミド、クロルプロパミド、トラザミド、アセトヘキサミド、グリブリド、グリピジド、およびグリクラジドからなる群から選択され得る。具体的な対象のビグアニドは、メトホルミンおよびフェンホルミンである。適当なチアゾリジンジオは、シグリタゾンおよびピオグリダゾンである。
【0073】
本発明を用いて、広範囲の対象哺乳類の糖尿病が予防または処置され得る。糖尿病を有する、有していた、有することが疑われているか、またはかかっていると事前に診断されたヒト患者での使用が、しばしば好ましいであろう。典型的な糖尿病は、真性糖尿病または関連疾患である。好ましい種類の真性糖尿病は、インシュリン依存性糖尿病(IDDMまたはI型糖尿病) およびインシュリン非依存性糖尿病(NIDDMまたはII型糖尿病)からなる群から選択される。真性糖尿病と関連する疾患の例は、S. N. Davis and D. Granner, supraに記載されており、耐糖能異常(IGT); 若年発症成人型糖尿病(MODY); 妖精症(インシュリン受容体変異)、熱帯性糖尿病、膵疾患または手術の二次性糖尿病; 遺伝的症候群と関連する糖尿病(例えば、プラダーウィリ症候群); 膵炎;および内分泌疾患の二次性糖尿病;肥満症;および代謝症候群(X症候群)を含むが、これらに制限されない。
【0074】
本発明は、以下および実施例において考察される特定の知見と関連する。より具体的には、db/dbマウスに、特定のGLP−1アゴニストである化合物1を毎日投与する、2つの長期間の研究を行った。第1の研究を、1日2回、24日間、腹腔内投与した後の化合物1の用量依存性抗糖尿病効果を検討するために始めた。第2の研究は、通常の1用量の交差研究であり、ここで、動物を化合物1またはビークルを投与する2つの群に分けた。50日後、ビークルで処置した動物の半数を、化合物1での処置に切り換え、そして化合物1で処置した動物の半数を、ビークルでの処置に切り換えた。両研究において、II型糖尿病の進行は、飲料水および食物の消費、体重、空腹時血糖、および耐糖能を測定することで評価した。血糖レベルの長期間の制御に対する化合物1での処置の効果をモニターするために、HbA
1Cの量を研究の終わりに測定した。さらに、化合物1が、β細胞機能に対する直接的保護効果を仲介するか否かを解決するために、インシュリンmRNAの発現を、β細胞機能のマーカーとしてRT−PCRにより測定した。
【0075】
以下に示すように、新規GLP−1アゴニストでの動物の処置は、対照(積極的処置なし)と比較して、インシュリンmRNAを改善する。該改善は、化合物の持続期間である、長期間見られる。アゴニストでの処置を中止すると、比較的高いインシュリンmRNAレベルは、長期間高いままである。本発明によりもたらされるインシュリンメッセージのこの継続的後押しが、休薬日をもたらす。
【0076】
GLP−1でのII型糖尿病の特定の処置は、インシュリンmRNAを改善するであろう。該改善は、いくつかの利点を有し、長時間、すなわち、何日間、何週間、またはある設定では何ヶ月も続くだろう。このことは、ヒト対象が、投与間隔を化合物の半減期を超えて増大させることを可能とするだろう。血漿半減期と比較して、投与間隔の持続時間を、例えば、GLP−1アゴニストの投与を中止する前、および後の標準的ブドウ糖摂取後の血漿インシュリンおよび血漿ブドウ糖応答性を測定することで、評価し得る。所望なら、グリコシル化ヘモグロビンもモニターし得る。
【0077】
GLP−1およびその誘導体およびアゴニストを含む、GLP−1関連分子は、かかる処置の必要な哺乳類に、1またはそれ以上の許容される手段で投与され得る。
【0078】
例えば、II型糖尿病患者において、化合物1は、皮下に投与され得る。認可された持続性製剤、または単一投与について許容される水溶性製剤の使用を含む、広範囲の製剤のストラテジーが許容される。
【0079】
具体的なGLP−1または関連分子の使用をより理解するために、ヒト患者の様な対象哺乳類が、4つの群に分けられ得る。研究設計は、好ましくは、約8ヶ月間継続する二重盲検比較試験である。3つの群は、1ヶ月、3ヶ月、または6ヶ月間投与され、その後投与が中止される。4番目の群は、検査されるべき分子の代わりにプラセボにより処置される。空腹時血糖、制御された経口ブドウ糖摂取後の血糖応答は、GLP−1または関連分子の投与の中止後、数日および数週間、全群で平行して追跡される。所望なら、グリコシル化ヘモグロビンが同様に追跡され得る。パラメーターは、分子の投与が中止される前日に測定された同一パラメーター、他の積極的処置群のパラメーター、およびプラセボ処置群で得られたパラメーターと比較され得る。化合物1の様な好ましい化合物は、空腹時血糖および経口摂取後の血糖応答に対して、血中由来の化合物が無くなった後少なくとも数日間、好ましくは、数週間作用する。
【0080】
検査されるべき分子の血漿レベルは、RIA、ウエスタンブロッティングおよび/またはELISAの様な通常の免疫学的方法を用いて測定され得る。
血糖およびHbA
1cは、標準的生物学的分析方法により、測定され得る。
【0081】
典型的には、本発明をふまえた好ましい投与ストラテジーは、GLP−1およびGLP−1アゴニストの様な関連分子(例えば、化合物1)が、投与される製剤の種類の様な認定されたパラメーターに依存して、10回全て、またはいっそう長い生物学的半減期で1回だけ投与されるものである。
【0082】
II型糖尿病および関連疾患の進行は、適当な方法の1つ、または組合せによりモニターされ得る。
【0083】
例えば、II型の患者は、少なくとも1種のGLP−1またはGLP−1アゴニストの様な関連分子、具体的には化合物1で処置される。かかる処置は、典型的には、個人に合わせられた最大限耐容可能な用量の化合物を単独で、または少なくとも1種の認可された抗糖尿病製剤と組み合わせて含む。かかる製剤の例は、本明細書において開示され、そしてグリタゾン、メトホルミン、グルコファージの様な経口用抗糖尿病薬を含む。典型的には、化合物検査の代わりにプラセボで処置された処置対応患者群と比較することが有用である。
【0084】
糖尿病を検出し、評価する診断検査は知られている。かかる検査は、典型的には、振動感受性による末梢神経障害の評価、検眼鏡検査により評価された網膜症、例えば、ECGにより評価された心筋虚血、タンパク量および糸球体濾過量の測定値より評価された腎不全を含み、これは、少なくとも2、3日間、好ましくは、2、3週間から1から3年またはそれ以上の観察期間、追跡され得る。対象化合物(例えば、化合物1)が、無処置患者と比較して二次性糖尿病合併症の発症の有意な遅延を示すと、研究は中止される。
【0085】
ほぼ任意の適当な統計学的分析が用いられ得る。例えば、かかる分析は、様々な症状の進行が存在しないことを分析する(「生存分析」)ことにより、成され得る。適当には、少なくとも1つの末梢神経障害、網膜症、心筋虚血、タンパク質の腎損失、および腎不全の進行は、少なくとも1種のGLP−1またはGLP−1アゴニストの様なGLP−1関連分子(例えば、化合物1)を投与された患者において、有意に遅延される。より具体的には、化合物1単独、またはGLP−1または既に記載の関連分子と組合せた処置は、II型糖尿病の合併症が進行する時間を有意に低減するであろう。
【0086】
従って、本発明は、患者に血糖制御治療をもたらす非常に有用な方法を提供する。1つの実施態様において、方法は、次の段階;(a)処置の必要な患者に、少なくとも1用量の少なくとも1種のGLP−1アゴニストを、治療上相当な血漿濃度の内因性に生じたインシュリンをもたらすのに十分な量で投与すること、(b)GLP−1アゴニストの投与を、一時的に1日から約25週間、低減するかまたは排除すること、そして(c)必要に応じて、段階(a)および(b)を患者にインシュリンをもたらす(休薬日)ために、十分に繰り返すこと、の少なくとも1つ、そして好ましくは、全てを含む。かかる方法は、所望なら、本明細書に記載のほぼ任意の標準的抗糖尿病ストラテジーと組み合わされ得る。
【0087】
以下の実施例は、化合物1を用いた際の結果に焦点を置く。該化合物は、インシュリン放出を増加し、そして耐糖能を改善する、新規の合理的に設計したペプチドGLP−1受容体アゴニストであると考えられている。化合物1を、次のII型糖尿病db/dbマウスでの2つの独立した長期研究で特徴決定した。研究I:用量反応性研究 化合物1を、1日2回、6週間、用量0、1、10、または100nmol/kgで投与した(n=10/群)。研究II:β細胞保護に対する化合物1の効果 4群の動物(n=15/群)を、交差設計(50+40日;群:V+V、V+化合物1、化合物1+V、化合物1+化合物1)のビークル(V)または化合物1(100nmol/kg;腹腔内;1日1回)で処置した。
【0088】
これらの研究の結果を以下で考察する。簡単に言うと、化合物1は、空腹時血糖(FBG)を効果的に減少させる。経口ブドウ糖負荷後の血糖は、対照と比較して化合物1で処置した動物で有意に低下した。グリコシル化ヘモグロビン(HbA
1c)は、用量に依存して低下した(8.4±0.38%から6.2±0.27%)。V+V群において、FBG、経口ブドウ糖負荷後の血糖、およびHbA
1cレベルは、化合物1で処置したマウス全てより有意に高かった。興味深いことに、該効果は、化合物1で処置したdb/dbマウスでの研究を通じて、研究の最初の50日間のみ持続した。ZP10での初期治療の有益な効果は、対照動物と比較して膵臓のインシュリンmRNA発現の増加と関連した。
【0089】
他に特定されない限り、次の略語:DMSO ジメチルスルホキシド;FBG 空腹時血糖;HbA
1C グリコシル化ヘモグロビン;およびOGTT 経口ブドウ糖負荷試験を用いた。
【0090】
実施例1:GLP−1およびGLP−1受容体結合化合物1
受容体結合の研究 これは、MDS Panlabs, Panlabs Taiwan Ltd.で行った。簡単に言うと、ヒト組換えGLP−1受容体を有するCHO−K1細胞を回収した。膜分画を精製し、結合アッセイに用いた。化合物1およびGLP−1を、0.4% DMSOに可溶化した。膜を、30種類(3 decades)の濃度に及ぶ、異なる濃度の試験化合物と共に、20mM Tris−HCl、pH7.4、5mM MgCl
2、20mM NaCl、1mM ロイペプチン、1mM PMSFおよび2% BSA中、0.03nM
125I−GLP−1(7〜36)アミドの存在下で37℃で90分間インキュベートした。放射能をγカウンターで測定し、IC
50値を、特異的結合(100nM GLP−1(7〜36)アミドの存在下での全結合−非特異的結合)を50%減少させる濃度として決定した。
【0091】
ヒトGLP−1受容体との結合
CHO−K1細胞で発現するヒトGLP−1受容体との結合の最大値の半分を阻害する濃度は、化合物1およびGLP−1(7〜36)アミドについて、それぞれ1.4±0.24nM、5.5±1.3nMであった。従って、化合物1は、GLP−1(7〜36)アミドより、およそ4倍アゴニストとして強力であった。
【0092】
血漿インシュリンレベルに対する効果 化合物1(100nmol/kg、腹腔内)で事前に処置した動物において、経口ブドウ糖負荷により、ビークルで処置した動物で観察した応答より約2倍血漿インシュリンレベルを増加した(P=0.002)(
図1)。
【0093】
図1を以下でより詳細に説明する。それは、db/dbマウスにおけるインシュリン放出に対する化合物1の効果を示す。一晩絶食した動物に、経口ブドウ糖を1g/kgで負荷し、そして15分後に、ビークル(n=20)または化合物1 100nmol/kg(n=19)を投与した。30分後に動物を採血し、血漿インシュリン濃度を測定した(
**:P=0.002対対照動物)。
【0094】
実施例2−耐糖能に対する化合物1の効果
用いた動物は、11〜15週齢のdb/dbマウス(M&B, Denmark)であった。化合物1を用量:0.01、0.1、1、10、および100nmol/kgで腹腔内投与し(n=4〜7/群)、そして15分後に、動物を経口ブドウ糖負荷(1g/kg)の対象とした。研究に先立ち、240分間にわたり観察した血糖濃度曲線下面積(AUC
0〜240;単位:mM×分)を用いて、類似の耐糖能を示す5つの群に動物を分けた。用量反応相関に基づき、ED
50用量を評価した。
【0095】
実施例3:化合物1の42日にわたる投与の効果
この研究に含まれた動物は、研究の開始時に6から10週齢であった。初回投与の4日前に、動物を体重測定し、一晩(17時間)絶食させた。次に、絶食させた動物を、経口ブドウ糖負荷試験(OGTT)の対象とした。240分間にわたり観察した血糖濃度曲線下面積(AUC
0〜240;単位:mM×分)を用いて、類似の耐糖能を示す4つの群に動物を分けた。動物に、1日2回、腹腔内用量の化合物1を、それぞれ午前8時、午後4時に42日間投与した。用量は、0(ビークル)、1、10、または100nmol/kgであった。注射用量は、全群で5ml/kgであった。
【0096】
42日間の研究で記録したパラメーター 42日間の投与期間中、体重、食物および飲料水の消費を毎日記録した。動物の一晩の空腹時血糖レベルを、−3、1、14、41、および43日目に測定し、OGTTを処置期間の−3、1、14、および41日目に行った。43日目に動物を屠殺し、HbA
1cを測定するために血液試料を採取した。
【0097】
経口ブドウ糖負荷試験(OGTT) 42日間の研究において化合物1での長期間の処置の効果を調べるため、OGTTを、投与期間の−3、1、14、および41日目の午前の投与と組み合わせて行った。90日間の研究においては、OGTTを、0、50、67、78、および90日目の午前中に行った。OGTTを行う前に、動物を一晩(17時間)の絶食の対象とした。血液試料を尾の端から採取し、血糖を測定した。全ての血糖濃度(nM)を、製造元のマニュアルに従い、少量の血液を用いた固定化グルコースオキシダーゼ法(<5μl;Elite Autoanalyser, Bayer, Denmark)により分析した。Elite Autoanalyserの測定範囲外のブドウ糖濃度を含有する血液試料を、Nova Medical Medi-Lab A/S;Denmarkの酵素/光学的方法により測定した。42日間の研究において、初回血液試料(空腹時血糖レベル)の採取直後に1日用量を動物に投与し、そして15分後(t=0)に、リン酸緩衝液(pH=7.40)に溶解した経口用量のブドウ糖(1g/kg)(Sigma, St. Louis, MO, U.S.A.)を投与した。90日間の研究において、初回血液試料の採取直後に、経口ブドウ糖を負荷した。両研究において、BGレベルをt=30分、t=60分、t=120分、およびt=240分に測定した。240分間にわたり得た曲線下面積(AUC
0〜240;単位:mM×分)を、処置効果の評価に含めた。
【0098】
経口ブドウ糖負荷試験における化合物1の用量反応効果 急激な化合物1の腹腔内投与後の用量反応相関は、ED
50値0.021nmol/kgを示した。
【0099】
42日間の研究における化合物1の用量反応効果 動物の体重は、実験中に21.5%から26.5%増加した(表2)。化合物1処置群とビークル処置群との間に体重の統計上有意な差はない。しかしながら、若干体重増加の傾向を、ビークルで処置した動物と比較して化合物1 100nmol/kgを投与した動物で検出できた。記録した飲料水の消費は、ビークルで処置した動物の飲料水の大量摂取を示し、これは、動物が糖尿病誘発性煩渇多飲を患っていることを示す。さらに、1日の飲料水摂取は、化合物1で処置したマウスにおいて、有意かつ用量依存性に低減された(表2;p<0.001対ビークル)。
【0100】
表2.研究期間の終了時での体重の変化および飲料水の消費
【表1】
*:P<0.05対ビークル
【0101】
【表2】
*:P<0.05対ビークル
【0102】
42日間の研究において、空腹時血糖を、層別日、そして研究期間中の1、14、41、および43日目に測定した(
図2)。層別日、1日目、および14日目において、群間の差を検出できなかった。しかしながら、41日目および43日目において、空腹時血糖レベルは、用量にかかわらず化合物1を投与した動物において有意に低下し、これは、化合物1が顕著な抗糖尿病効果を誘発したことを示唆している。両研究での化合物1の抗高血糖効果をさらに分析するために、動物をOGTTの対象とした(
図3)。層別日において、全群は類似の耐糖能を示した。興味深いことに、既に化合物1の第1の投与を受けた後、耐糖能は、ビークルで処置した動物と比較してZP10で処置した動物で改善された。ビークルで処置した動物において、耐糖能は徐々に低下し、研究の終了時に、この群は、研究開始時のこの動物の応答性と比較し、ブドウ糖負荷に対して応答する能力の7倍の減少を示した。対照的に、化合物1で処置した動物は、ビークルで処置した動物と比較してブドウ糖に対する応答の明確な改善を示した。事実、層別日のOGTTに対する応答性と比較して、耐糖能の有意な変化を研究の終了時に検出しなかった(
図3)。
【0103】
図2を以下でより詳細に説明する。それは、層別日(−3日)、そして化合物1での処置の1、14、41および43日目に関する空腹時血糖(平均±SEM)を示す。
*:p<0.05対同日のビークルで処置したマウスの絶食時BG濃度。
【0104】
図3を以下でより詳細に考察する。図は、処置前(−3日)、そして化合物1での長期処置の1、14、および41日目の経口ブドウ糖負荷試験(OGTT)を示す(平均±SEM)。
*:p<0.05対群の−3日目のAUC
0〜240分。§:p<0.05対全3つのZP10処置群のAUC
0−240分。
【0105】
長期間の血糖制御の指標であるHbA
1cを、研究の終了時に測定した(
図4)。HbA
1cのレベルを、全ヘモグロビン濃度に対する割合として表す。このデータは、化合物1での長期間の処置が、用量に依存し、HbA
1cの濃度を有意に減少させることを明確に示した。
図4は、全Hgb(ヘモグロビン)に対する割合として表されたHbA
1cを示す(42日間の研究)。データは、平均±SEMである。
*:p<0.01対ビークル。
【0106】
実施例3:90日にわたる化合物1投与の効果
初回投与の3日前に、動物を体重測定し、一晩の絶食の対象とした。絶食させた動物をOGTTの対象とした(以下を参照)。240分間にわたり得た血糖濃度曲線下面積(AUC
0〜240;単位:mM×分)を用いて、類似の耐糖能を示す2群に動物を分けた。動物に、1日1回、腹腔内用量の化合物1 100nmol/kg、またはビークルを50日間与えた。投与は、食物摂取が最大の期間、すなわち夜の間に薬理学的効果を証明するため、午後3時から4時の間で行った。投与50日目、再びOGTTを行い、これに基づきビークル処置群および化合物1処置群を、類似の耐糖能を示す4つの群に再び分けた。群1は、最初にビークルを投与され、続けて、ビークル投与された。群2は、最初にビークル投与され、化合物1での処置(100nmol/kg、腹腔内)にスイッチされた。群3は、最初に化合物1を投与され、ビークル処置に変更された。そして群4は、最初に化合物1を投与され、化合物1処置(100nmol/kg、腹腔内)が続けられた。処置計画を表1で概説する。この投与計画を40日間続けた。
【0107】
表1:90日間の研究における処置群
【表3】
*動物1匹が71日目に死亡
【0108】
90日間の研究で記録したパラメーター 90日の投与期間中、体重および飲料水の消費を毎日記録した。動物の空腹時血糖レベルを、44、58、65、72、86、および91日目に測定し、そしてOGTTを、処置期間の0、50、67、78、および90日目に行った。91日目において、動物を屠殺し、グリコシル化ヘモグロビンを測定するために血液試料を採取し、インシュリンmRNAを測定するために膵臓を取り出した。
【0109】
90日間の交差研究における化合物1の効果 42日間の研究の結果は、化合物1が、db/dbマウスでのII型糖尿病の進行を遅延させることを強く示した。しかしながら、化合物1が、β細胞の機能を保護し、これにより、このマウスのI型糖尿病の発症を予防するか否かがはっきりしていない。それ故、50日+40日の研究期間の90日間の交差研究を行った。動物を最初に2つの群に分けた(一方は、1日1回、ビークルを投与、そして他方は、化合物 100nmol/kgを腹腔内投与)。50日後、両群を再び4つの群に分けた。群1にビークル投与を続け、最初ビークル投与を受けていた群2をZP10での処置に変え、最初化合物1の投与を受けていた群3をビークルでの処置に変え、そして最後の群4にビークル投与を続けた。動物の体重を研究中モニターした。興味深いことに、50日間、最初の2つの群間での有意な差は検出しなかった(データは示していない)。しかしながら、90日後、群3と群4の体重は、群1および群2より有意に高くなった(表2)。このことは、最初に化合物1で処置したマウスの一般的状態が、ビークル処置群より良いことを示す。飲料水の消費も、研究を通じて測定し、42日間の研究においてと同様に飲料水の消費はビークル処置群で最も高かった。興味深いことに、40日後に化合物1での治療を中止しても、最初の50日間化合物1で処置した群は、化合物1で処置されていない動物より飲料水の消費は依然として少なかった。
【0110】
空腹時血糖も研究中測定した(
図5)。最初の期間である0〜50日において、空腹時血糖レベルは、化合物1で処置した動物よりビークルで処置した動物で有意に高かった。第2の処置期間中、群1は、依然として高い空腹時血糖を示した。対照的に、群2、3、および4は全て、90日間の研究期間を通じて、空腹時血糖レベルは有意に低下した。群2は、中間レベルの空腹時血糖を示したが、依然として群1より有意に低かった。この結果は、この動物が、40日間の化合物1の中止後、血糖レベルを制御する能力を依然として有していることを示す。群4は、高血糖のサインを全く示さなかった。
【0111】
図5を以下でより詳細に説明する。それは、8時間の絶食後の空腹時血糖(FG)を示す。0〜50日間、FGはビークルと比較して、化合物1で処置した動物で有意に低下した。さらに、第2の処置期間中(51〜90日)、FGはずっと、ビークルで処置したマウスで他の3群と比較して有意に高かった。しかしながら、化合物1からビークルへ変えられたマウスはずっと、化合物1で処置したマウスより有意に高いFGレベルを有していた。
【0112】
経口ブドウ糖負荷試験を研究中5回測定した(
図6)。最初の50日の後、ビークルで処置した群は、グルコースに対する応答性の低下を示したが、化合物1で処置した群のグルコース応答性は、開始レベルから逸脱しなかった。事実、耐糖能は、終わりの40日間、群2、3、および4で類似した。動物が化合物1の処置を受けている第3群において、耐糖能は、研究の後の期間中有意に低下し、そして研究の終了時に、群2および4の耐糖能と差は無かった。
【0113】
図6を以下でより詳細に説明する。それは、0、50、67、78、および90日目に行われた経口ブドウ糖負荷試験(OGTT)を示す。ビークルで処置したdb/dbマウスは、研究中耐糖能の低下を徐々に示した。67〜90日の耐糖能は、1〜50日(群2)、51〜90日(群3)、または全研究期間を通じて(群4)化合物1で処置した動物の3つの群で類似した。
【0114】
化合物1での処置終了後の糖尿病状態に対する長期効果(群3)は、β細胞機能の改善に影響し得る。β細胞機能を調べるために、我々は、研究終了時のインシュリンmRNAの発現を測定した(
図7)。群4は、群1と比較してインシュリンmRNAの発現が増加した。興味深いことに、インシュリンmRNAの発現は、群3と群4で類似し、これは、化合物1での初期の治療が、膵臓のインシュリンmRNA産生の低下を予防することを示している。群1〜4のそれぞれの処置に続く、インシュリンmRNA発現の時間依存性変化を評価するために、膵臓のインシュリンmRNAを、若年無処置動物群(6〜10週齢;
図7の群0)においても測定した。結果は、若年動物と、50日または90日間(群3および群4)化合物1で処置した動物との間の有意な差を示さなかった。
【0115】
図7を以下でより詳細に説明する。それは、それぞれの処置後の膵臓のインシュリンmRNAのレベルを示す。ずっと化合物1で処置したマウス(群4)は、ビークルで処置したマウス(群1)と比較して、90日間の投与後、インシュリンmRNAの発現が増加した。興味深いことに、インシュリンmRNAの発現は、最初の50日間のみ化合物1で処置したマウスと90日間処置したマウスで類似したが、一方、化合物1での処置が、50日まで始められなかったマウスは、ビークルで処置したマウスで見出される発現と類似するインシュリン発現を示した。インシュリンmRNAのレベルは、若年無処置マウス(群0)、および研究の最初の部分で化合物1の処置を受けた2つの群(群3および群4)で類似した。
【0116】
最後に、HbA
1cレベルを、研究の終了時に測定した(
図8)。化合物1の処置を受けた3つの群は、ビークル処置をずっと受けた動物より、HbA
1cのレベルが低下したが、この差は、統計上有意なものには至らなかった。
【0117】
図8を以下でより詳細に説明する。それは、終了日に測定したHbA
1cレベル(全ヘモグロビン濃度に対する%)を示す。一方向的差異分析は、全体的な群の間の有意な差を示さなかった(p=0.22)。しかしながら、この後の比較についてのフィッシャーのLSD検定は、HbA
1cが、ビークルで処置したマウス(群1:7.99±0.51%)と比較して、化合物1で処置したマウス(群4:6.65±0.22%)で有意に低下することを示した。
【0118】
実施例4:db/dbマウスでのインシュリン放出に対する化合物1の効果
高血糖での生理的インシュリン放出に対する化合物1の効果を調べるために、インシュリンのレベルを経口ブドウ糖負荷(1g/kg)後に決定した。39匹の一晩絶食したマウスを実験に導入し、1週間後、上記のOGTT後に2群に分けた。動物に経口ブドウ糖を負荷し、そして15分後、それぞれのマウスに、ビークルまたは化合物1 100nmol/kgを腹腔内投与した。ブドウ糖投与の35分後、二酸化炭素麻酔下での左心室穿刺法により、動物の血を抜いた。血液を、あらかじめヘパリン(5000IU/ml)を通した針を備え付けたシリンジを用いて収集した。血液試料を、0.5M EDTA 5μlおよびTrasylol[商標](アプロチニン、20×10
−6IU/ml)を含有する、事前に氷冷した試験管に直ぐに移し、3000rpm、2〜4℃で10分間遠心した。血漿を回収中冷却し続け、ドライアイス上で凍結させ、後のホルモン分析のために−80℃で保存した。全血糖濃度(mM)を上記のように分析した。インシュリンの血漿濃度を、Peninsula Laboratories Europe, LTD (ELIS7537)の酵素免疫アッセイを用いて、血漿10μl試料で測定した。
【0119】
他に示されていない限り、次の材料および方法を、上記の実施例において必要に応じて用いた。
【0120】
動物 導入時の体重37.3±1.1gのオスのdb/dbマウスであるC57BLKS/J-Leprdb/Leprdb(M&B, Ll. Skensved, Denmark)を用いた。マウスを、制御された条件(20℃、湿度55〜85%)の下、午前6時に点灯する12:12時間の明/暗サイクルに従い、収容した(3匹のマウス/1ケージ)。動物に、標準的Altromin番号1324飼料(Chr. Petersen, Ringsted, Denmark)を適宜与え、国内品質の水道水に自由にアクセス可能とした。導入の時点で、全マウスを一晩(17時間)絶食させ、血糖(BG)レベルを10nmol/lより下とした。研究に含んだ動物で、標準的経口ブドウ糖負荷の対象とする際に、33mMより高い血糖レベルを示すものはいなかった(以下を参照)。
【0121】
飲料水の消費 投与のモニタリングにおいて、動物を体重測定し、そして群毎の飲料水の消費を、水のビンを計量し、そして消費された水の量を計算することにより、重量測定法で測定した。
【0122】
マウスの膵臓由来の全RNAの単離 凍結膵腺を計量し、すり鉢で液体窒素下で細かくした。全RNAの抽出を、キットの製造元(Qiagen Rneasy kit, VWR International)により記載のように行った。
【0123】
ファーストストランドの合成 0.5〜1.0μgの全RNAをファーストストランドの合成に用いた。簡単に言うと、RNAを70℃で10分間インキュベートし、そして氷上にクエンチした。RNAを42℃まで平衡化し、最終容量20μlで10mM dNTP、Superscript II(Life Technologies) 1μlと混合し、そしてさらなる時間42℃でインキュベートした。反応を、94℃、5分間のインキュベーションにより終結させた。
【0124】
定量的PCRのインシュリンスタンダード ファーストストランドの合成物 1μlを、次のインシュリンプライマー:5’−AACCCACCCAGGCTTTTGTCA;5’−CTTCCTCCCACGTCCAGTTGTTC−3でのPCRに用いた。単位複製配列をPCR4−TOPOベクター(invitrogen)に挿入し、大腸菌に形質転換した。プラスミドを精製し、それぞれ2μgをSpeIまたはNotIのいずれかで直鎖化した。直鎖化したプラスミドを、T7またはT3 RNAポリメラーゼを用いて、インビトロで転写した。インビトロでの転写後、鋳型をDNAse処理により除去した。続いて、混合物をフェノール/クロロホルムで抽出し、沈殿させた。沈殿後、RNAを1mg/mlで水に溶解した。
【0125】
定量的PCR スタンダードおよび試料 1μgを、上記のように、ファーストストランド合成の対象とした。インシュリンmRNAのスタンダードの連続希釈液を、試料と共に、次のプローブ(マウスインシュリンTaqmanプローブ、110〜138):5’−FAM−AGGCTCTCTACCTGGTGTGTGGGGAGCGT−Tamra−3’および上記のプライマーを用いる定量的PCRの対象とした。全PCR反応をデュプリケートで行った。C
t(閾値サイクル)を測定し、インシュリンmRNAの開始濃度を、標準曲線に従い計算した。
【0126】
薬物:化合物1(H−HGEGTFTSDLSKQMEEEAVRLFIEWLKNGGPSSGAPPSK KKKKK−NH
2、Batch:ZP15.65-3A)を、Merifield技術を用いて、Zealand Pharma A/Sで生成した。
【0127】
統計:一方向の分類データを、事後比較分析のための一方向的差異分析およびフィッシャーのLSD検定を用いて、分析した。二方向の分類データを、2方向的差異分析を用いて分析した。無対のデータを、無対データについてのスチューデントt検定を用いて分析した。
【0128】
次の実施例は、化合物1が、強力な抗糖尿病効果を有する非常に有効なGLP−1アゴニストであることを示す。それは、GLP−1自体より4倍高い親和性でヒトGLP−1受容体と結合し、経口ブドウ糖負荷に応答して、インシュリンの分泌を増強し、そして糖尿病のdb/dbマウスの耐糖能を、低いnmol/kg範囲の用量で正常値化する。さらに、長期にわたる処置後、化合物1は、インシュリンmRNAレベルを増加し、そしてHbA
1cレベルを正常値化する。実施例は、長期にわたる化合物1での処置が、db/dbマウスのII型糖尿病の進行を低減することを示す。
【0129】
この実施例において、3つの用量全ての化合物1が、耐糖能、空腹時血糖、およびHbA
1Cの類似の改善を生じ、このことは、化合物1が、用量1〜100nmol/kgでの長期間の腹腔内投与中、最大の抗糖尿病性応答を生じることを示唆している。耐糖能の改善は、化合物1で処置したマウスにおける1日の飲料水の摂取の増加と密接に関連する。さらに、1日の飲料水の摂取は、ビークルで処置したマウス、および化合物1 1nmol/kgのみで処置した動物におけるものより、100nmol/kgを投与した動物で有意に低かった。この結果は、口渇および煩渇多飲が、糖尿病の対象の血糖レベルと密接に関連するという臨床的知見と一致する。
【0130】
ビークルで処置した動物は、化合物1で処置した群で見られる明確な用量依存性の増加と対照的に高レベルのHbA
1cを示した。理論と結びつけられることを望んではいないが、この実施例のデータは、ケトアシドーシスおよびdb/dbマウスの早期死亡と関連する重症の糖尿病の発症を延期し得る、膵臓に対する保護的効果を発揮する(直接的または間接的)化合物1と一致する。
【0131】
この疑問に実施例で取りかかった。具体的には、動物が化合物1からビークルの処置に変えられる、交差研究を設計した。24日間の研究において、100nmol/kgが最も有効な用量であると見出された。従って、100nmol/kgを、交差研究での1日1回の注射として用いた。この研究の主要な知見は、化合物1での3ヶ月間の処置が、db/dbマウスの糖尿病の進行性の発症を予防したことである。化合物1での90日の処置は、ビークルで処置した対照マウスと比較して、耐糖能を増大し、空腹時血糖を減少し、HbA
1Cを減少し、飲料水の摂取を減少し、そして膵臓のβ細胞のインシュリンmRNAの発現を増大した。
【0132】
理論と結びつけられることを望んではいないが、膵臓のインシュリンmRNAの発現の増加は、化合物1で処置したdb/dbマウスの耐糖能の改善が、経口ブドウ糖負荷に応答して、インシュリン放出する能力の改善と結びつくと示唆された。この知見は、上記の実施例、特に、血漿インシュリンレベルが、無処置の対照動物においてより化合物1で処置したマウスにおいて、経口ブドウ糖負荷に応答して2倍も増加するという発見により、支持されている。
【0133】
興味深いことに、研究期間の最初の50日間、化合物1で処置したマウスにおいて、化合物1での処置は、ビークルで処置した動物と比較して、耐糖能の持続的改善を生じ、空腹時血糖を減少し、飲料水の摂取を低減し、そしてインシュリンmRNAの発現を上昇した。この結果は、化合物1の1日1回の腹腔内投与が、db/dbマウスの糖尿病の進行を予防することを示す。理論と結びつけられることを望んではいないが、ブドウ糖代謝および膵臓のインシュリンmRNAの発現に対する持続的効果は、糖尿病のdb/dbマウスのβ細胞の機能を保護する化合物1と一致する。ビークル(プラセボ)にシフトした群のインシュリンmRNAに対する化合物1の持続的効果は、β細胞の控えめな機序および/または前駆細胞からのβ細胞の新生を示す。若年動物、および50日または90日間(群3および群4)化合物1で処置した動物のインシュリンmRNAレベル有意な差はなく、このことは、処置がβ細胞を保護し、そしてII型糖尿病の進行を有意に遅延さえることを示す。第1の処置期間中ビークルで、そして51日以降化合物1で処置したマウスにおいて、耐糖能、空腹時血糖、および飲料水の摂取は、化合物1での治療中改善した。化合物1での治療の後期開始は、処置を研究の途中で開始するため、膵臓のβ細胞のインシュリンmRNAレベルの発現を有意に改善しない。
【0134】
実施例はまた、化合物1の保護的作用が、治療を、糖尿病発症中の初期に開始した場合、最も有効であることを示す。化合物1での治療を、後期無処置の糖尿病の動物で開始すると、化合物1は、インシュリンmRNAの発現の変化の非存在下で耐糖能を改善した。ビークルで処置したマウスの検出可能なインシュリンmRNAの存在は、重症な病気の動物でさえインシュリンを産生可能であることを示唆する。
【0135】
実施例は、化合物1が、db/dbマウスの糖尿病の進行を予防する有効な抗糖尿病化合物であることをさらに示す。理論と結びつけられることを望んではいないが、化合物1での処置の中止後の糖代謝および膵臓のインシュリン発現に対する持続性効果は、化合物1が糖尿病のdb/dbマウスのβ細胞機能を保護することを示す。
【0136】
化合物1が、db/dbマウスの糖尿病の進行を予防する、有効な抗糖尿病化合物であることを見出した。化合物1での処置の中止後のブドウ糖代謝および膵臓のインシュリンmRNA発現に対する持続性効果は、化合物1が糖尿病のdb/dbマウスβ細胞の機能を保護することを示す。
【0137】
実施例は、以下のようにさらに要約され得る。
化合物1は、新規かつ合理的に設計されたGLP−1アゴニストである。化合物1は、インシュリン放出を増加し、かつ耐糖能を改善する、GLP−1受容体対する高親和性ペプチドである。化合物1の薬理学的効果を、それぞれ6週間および12週間継続する、II型糖尿病のdb/dbマウスでの2つの独立的長期研究で特徴決定した。6週間の研究において、化合物1を、毎日2回、6週間、用量0、1、10、または100mol/kgで投与した(n=10/群)。この研究は、化合物1が、空腹時血糖(FBG)を、対照動物での13.7±1.3mMから化合物1で処置した群での8.6±1.4mMまで有意に減少させることを示した。一方、耐糖能は、6週間の研究中、化合物1で処置した動物全てに対して無変化のままであったが、経口ブドウ糖負荷後の曲線下面積は、研究の終了時に、ビークルで処置した(プラセボ)マウスにおいて5〜6倍増加した。6週間後、グリコシル化ヘモグロビン(HbA
1C)は、対照動物での8.4±0.38%から化合物1 100nmol/kgで処置したマウスでの6.21±0.27%まで、用量に依存して増加した。化合物1(100nmol/kg、腹腔内投与:1日1回)の長期間の効果が、β細胞の保護機序により仲介されるかを評価するために、4つの群の動物(n=15/群)を、ビークル(V)または交差設計(50+40日;群:V+V、V+化合物1、化合物1+V、化合物1+化合物1)において化合物1で処置した。V+V群において、FBG、経口ブドウ糖負荷試験(OGTT)中の血糖、およびHbA
1cレベルは、ずっと化合物1で処置したマウスにおけるものより、有意に高かった。興味深いことに、研究の最初の50日間のみ処置したdb/dbマウスにおいて、FBG、OGTT応答性、およびHbA
1Cは、90日後に、V+Vにおけるものより依然として低かった。ZP10での初期治療の有益な効果は、無処置の糖尿病マウスと比較して、膵臓のインシュリンmRNA発現の増加と関連した(V+V:10.4±2.2、V+化合物1:12.7±2.4;化合物1+V:20.9±4.1;化合物1+化合物1:21.8±2.7pg/mg(全RNA))。この研究は、化合物1が、db/dbマウスの糖尿病の進行を予防する、有効な抗糖尿病化合物であることを示した。任意の理論と結びつられることを望んではいないが、化合物1での処置の中止後、ブドウ糖代謝および膵臓のインシュリン発現に対する持続性効果は、化合物1が糖尿病db/dbマウスにおいてβ細胞機能を保護することを示すと考えられる。
【0138】
本明細書に引用される全参考文献の記載は、引用により取り込まれる。次の参考文献は、特に引用により取り込まれる。
【0139】
1.Holst,JJ (1999) Glucagon-like peptide-1, a gastrointestinal hormone with a pharmaceutical potential. Curr Med Chem. 6:1005-1017
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【0140】
3.Lopez-Delgado,MI, Morales,M, Villanueva-Penacarrillo,ML, Malaisse,WJ, Valverde,I (1998) Effects of glucagon-like peptide 1 on the kinetics of glycogen synthase a in hepatocytes from normal and diabetic rats. Endocrinology 139:2811-2817
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【0141】
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【0142】
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【0143】
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11.Chen,H, Charlat,O, Tartaglia,LA, Woolf,EA, Wang,X, Ellis,SJ, Lakey,ND, Culpepper,J, Moore,KJ, Breitbart,RE, Duyk,GM, Tepper,RI, Morgenstern,JP (1996) Evidence that the diabetes gene encodes the leptin receptor: identification of a mutation in the leptin receptor gene in db/db mice. Cell 84:491-495
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【0145】
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16.USSN 60/393,917 by E. Steiness entitled "Method For Treating diabetes and Related Disorders" as filed on July 4, 2002.
【0147】
本発明は、その好ましい実施態様に言及して記載されているが、当該技術分野の技術者が、本記載を考慮して、本発明の精神および範囲に修飾および改善をすることは考慮されている。本明細書に引用される文献全てが、引用により取り込まれる。
【図面の簡単な説明】
【0148】
【
図1】
図1は、ビークル(対照)および化合物1 100nmol/kgを投与した後の血漿インシュリンレベルを示すグラフである。
【
図2】
図2は、一晩(17時間)絶食した後の血糖レベル(nM)を示すグラフである。
【
図3】
図3は、経口ブドウ糖負荷試験(OTT)の結果を示すグラフである。結果は、1日当たりのAUC
0〜240分(mM×分)として表される。
【
図4】
図4は、ビークルまたは変動させた濃度の化合物1に曝露された群における、グリコシル化ヘモグロビン(HbA
1c)の量を示す。
【
図5】
図5は、ビークルまたは様々な投与ストラテジーの化合物1で処置した後の空腹時血糖を示すグラフである。
【
図6】
図6は、ビークルまたは様々な投与ストラテジーの化合物1で処置した後の経口ブドウ糖負荷試験(OGTT)の結果を説明するグラフである。
【
図7】
図7は、ビークルまたは様々な投与ストラテジーの化合物1で処置した後の膵臓のインシュリンmRNAレベル(pg/μg 全RNA)を示すグラフである。
【
図8】
図8は、ビークルまたは様々な投与経路の化合物1に曝露された群のHbA
1c(全ヘモグロビンに対する%)の量を示すグラフである。
【配列表】
[この文献には参照ファイルがあります.J-PlatPatにて入手可能です(IP Forceでは現在のところ参照ファイルは掲載していません)]