(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5685364
(24)【登録日】2015年1月23日
(45)【発行日】2015年3月18日
(54)【発明の名称】トリアゾール化合物による炎症性疾患の処置
(51)【国際特許分類】
A61K 31/428 20060101AFI20150226BHJP
A61P 17/02 20060101ALI20150226BHJP
A61P 17/04 20060101ALI20150226BHJP
A61P 17/06 20060101ALI20150226BHJP
A61P 17/08 20060101ALI20150226BHJP
A61P 43/00 20060101ALI20150226BHJP
【FI】
A61K31/428
A61P17/02
A61P17/04
A61P17/06
A61P17/08
A61P43/00 111
【請求項の数】13
【全頁数】21
(21)【出願番号】特願2008-551346(P2008-551346)
(86)(22)【出願日】2007年1月17日
(65)【公表番号】特表2009-523803(P2009-523803A)
(43)【公表日】2009年6月25日
(86)【国際出願番号】US2007001202
(87)【国際公開番号】WO2007084542
(87)【国際公開日】20070726
【審査請求日】2010年1月14日
【審判番号】不服2013-12126(P2013-12126/J1)
【審判請求日】2013年6月26日
(31)【優先権主張番号】60/759,027
(32)【優先日】2006年1月17日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】504452929
【氏名又は名称】スティーフェル・ラボラトリーズ・インコーポレーテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110001416
【氏名又は名称】特許業務法人 信栄特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】クールス、マリナ
(72)【発明者】
【氏名】ボルガース、マルセル
【合議体】
【審判長】
蔵野 雅昭
【審判官】
増山 淳子
【審判官】
穴吹 智子
(56)【参考文献】
【文献】
特表2000−503670号公報
【文献】
Drugs Future,2005年,Vol.30 No.8,pp.815−819,821−869
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 31/00-31/80
REGISTRY
CAPLUS
MEDLINE
BIOSIS
STN
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
哺乳動物における炎症を低減又は予防するための医薬の製造における、式I
【化1】
又は薬学的に許容されるその塩であるトリアゾール化合物の有効な量の使用であって、前記炎症が、乾癬、座瘡または皮膚炎により引き起こされるものである、使用
。
【請求項2】
前記トリアゾール化合物が経口的又は局所的に投与される、請求項1記載の使用。
【請求項3】
前記トリアゾール化合物が経口的に投与される、請求項2記載の使用。
【請求項4】
投与されるトリアゾール化合物の量が、1日あたり0.05mg〜1gの範囲である、請求項3記載の使用。
【請求項5】
前記範囲が、1日あたり0.5mg〜500mgの範囲である、請求項4記載の使用。
【請求項6】
前記範囲が、1日あたり1mg〜300mgの範囲である、請求項5記載の使用。
【請求項7】
前記トリアゾール化合物が局所的に投与される、請求項2記載の使用。
【請求項8】
投与されるトリアゾール化合物の濃度が、0.02パーセント〜1パーセントの範囲である、請求項7記載の使用。
【請求項9】
投与されるトリアゾール化合物の濃度が、0.05パーセント〜0.80パーセントの範囲である、請求項8記載の使用。
【請求項10】
投与されるトリアゾール化合物の濃度が0.07パーセントである、請求項9記載の使用。
【請求項11】
投与されるトリアゾール化合物の濃度が0.35パーセントである、請求項9記載の使用。
【請求項12】
前記哺乳動物がヒトである、請求項1記載の使用。
【請求項13】
前記有効な量が、IL−1の発現及び/又は活性を低減するために必要なトリアゾール化合物の量である、請求項1記載の使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(発明者) マリナ・クールスおよびマルセル・ボルガース
本発明は、炎症及び炎症関連疾患を処置するためのトリアゾール化合物及びトリアゾール化合物の使用方法に関する。
【背景技術】
【0002】
炎症は、傷害、刺激又は疾患に対する身体の最初の反応である。急性型においては、痛み、発熱、発赤、腫れ及び機能喪失からなる古典的徴候により特徴付けられる。刺激性皮膚炎は、例えば、刺激物質の直接的接触により引き起こされる皮膚の炎症であり、血流量の増大、発赤及び経表皮性水分喪失(TEWL)によって特徴付けられる。
【0003】
プロスタグランジンは炎症過程における主要な役割を担っており、プロスタグランジン産生、特に、PGG
2、PGH
2及びPGE
2の産生の抑制は、抗炎症薬探索の一般的標的となっている。しかしながら、炎症過程と関連するプロスタグランジンによって引き起こされる痛みと腫れを低減させる際に活性を有する一般的な非ステロイド性抗炎症薬(NSAID)は、炎症過程とは関連しないその他のプロスタグランジンによって調節されている過程への影響にも活性を有する。すなわち、最も一般的なNSAIDのうちのいくつかの高用量での使用は、それらの治療可能性を制限する致死的な潰瘍等の重篤な副作用をもたらし得る。NSAIDの代替物はコルチコステロイドであるが、これはより激しい副作用を有し、特に、長期療法が関与する場合により激しい副作用を有する。
【0004】
腫瘍壊死因子(TNF)、インターロイキン−12(IL−12)及びインターロイキン−1(IL−1)は、総称的に炎症促進性サイトカインと呼ばれる重要な生物学的物質である。これらは、いくつかのその他の関連分子と一緒に、感染物質の免疫学的認識に関連する炎症反応を介在する。この炎症反応は、病原体の感染を制限及び調節する上で重要な役割を担っている。
【0005】
炎症促進性サイトカインのレベルの上昇は、毒素性ショック症候群、関節リウマチ、変形性関節炎、糖尿病及び炎症性腸疾患等のいくつかの自己免疫関連疾患とも関連している(Dinarello et al.,Rev.Infect.Disease 6,51(1984))。典型的には、炎症の慢性的上昇が、これらの疾患において観察される症候の多くを引き起こす又は悪化させる。例えば、炎症細胞はリウマチ滑膜組織を攻撃し、軟骨及び骨の破壊を生じさせる(Koch et al.,J.Invest.Med.43,28−38(1995))。TNF(その無細胞分泌形態はTFNαとも呼ばれる)及びIL−1β等の炎症促進性サイトカインの低減は、これらの疾患における創薬介入ための一般的に認められた治療的アプローチの代表である。いくつかの抗サイトカイン療法が現在、臨床試験中である。関節リウマチ、クローン病及び潰瘍性大腸炎等のいくつかの自己免疫疾患において、TFNαに対するモノクローナル抗体は有効性を示している(Rankin,E.C.C.,et al.,British J.Rheum.35,334−342(1997)及びStack et al.,Lancet 349,521−524(1997))。
【0006】
IL−1は多くの疾患過程における免疫学的エフェクタ分子に関係があるとされている。IL−1受容体アンタゴニストの有効性が、関節リウマチの治療について示されている(Antril,Amgen)。ヒトにおける臨床試験において、IL−1受容体アンタゴニストは敗血症性ショック症候群を有する患者の致死率を低減したことが示されている(Dinarello,Nutrition 11,492(1995))。変形性関節炎関節部の滑液中及び軟骨基質中で、IL−1が検出されている。IL−1のアンタゴニストは、様々な関節炎の実験モデルにおいて、軟骨基質成分の分解を減少させることが示されている(Chevalier,Biomed Pharmacother.51,58(1997))。
【0007】
ヒトインターフェロン誘導性タンパク質10(IP−10)は、ケモカインのCXCサブファミリーの一員であり、Tリンパ球及びナチュラルキラー細胞を誘引する。IP−10は乾癬においてアップレギュレートされている。特に、乾癬病変部における表皮角化細胞は、IP−10レベルの増大を示す。活性化角化細胞によるIP−10の発現及び分泌の抑制は、炎症性皮膚疾患の治療的介入のための新規標的を表し得る。
【0008】
IL−12は炎症性促進性サイトカインであり、活性化単球/マクロファージ及び樹状細胞等の免疫エフェクター細胞によって並びに角化細胞によって産生され、様々なタイプ1 Tヘルパー細胞(Th1)媒介性皮膚疾患の誘発及び維持における主要な役割を果たしている。したがって、活性化単球におけるその抑制は、治療的介入に対する新規標的を表す。
【0009】
COX−2の発現は、サイトカインによって増大することが示されており、それは炎症を担うシクロオキシゲナーゼのイソ型であると信じられている(O’Banion et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.U.S.A.,89,4888(1992))。したがって、IL−1等のサイトカインの阻害物質は、良く知られている非ステロイド性抗炎症薬(NSAID)等のCOX阻害剤で現在治療されている疾患に対して有効性を示すことが予想され得る。これらの疾患には、急性及び慢性の痛み並びに炎症症状及び循環器疾患が含まれる。
【0010】
いくつかのサイトカインの上昇が活動性の炎症性腸疾患(IBD)において示されている。腸管におけるIL−1及びIL−1受容体アンタゴニストの粘膜での不均衡が、IBDを有する患者に存在することが示されている。内在性IL−1受容体アンタゴニストの不十分な産生が、IBDの病変形成に寄与し得る(Cominelli et al.,Aliment.Pharmacol.Ther.10,49(1996))。IL−1受容体アンタゴニストは、急性炎症イベント並びにHIV感染の病態生理における様々な疾患ステージとの明らかな関係性が示されている(Kreuzer et al.,Clin.Exp.Immunol.109,54(1997))。
【0011】
TFNα及びIL−1α等の炎症性促進性サイトカインは、敗血症性ショック及び関連する心肺機能不全、急性呼吸窮迫症候群(ARDS)及び多臓器不全の重要なメディエーターでもある。病院での敗血症を有する患者の研究において、TFNα及びIL−6レベルと感染性合併症との間で相関が見られた(Terregino et al.,Ann.Emerg.Med.35,26(2000))。
【0012】
IL−1は、ラットにおけるブドウ膜炎を引き起こすことも示されており、これは、IL−1ブロッカーによって阻害され得る(Xuan et al.,J.Ocular Pharmacol. and Ther.,14,31(1998))。刺激物質及びアレルゲンによる接触性皮膚炎の両方の発症に対して、IL−1は必須であることが示されている。アレルゲンの皮膚への接触前に、抗IL−1モノクローナル抗体を投与することにより、皮膚感作性は防がれ得る(Muller et al.,Am.J.Contact Dermat.7,177(1996))。
【0013】
トリアゾール化合物は治療薬として使用されている。例えば、米国特許第6,124,330号;同第6,265,425号及び同第6,486,187号を参照されたい。
【0014】
本発明は、ケモカインを含む1つ又は複数のサイトカインの発現及び/又は活性を変調し得る量のトリアゾール化合物を哺乳動物に投与することを含む、ヒトを含む哺乳動物における炎症関連疾患の低減のための方法に関する。いくつかの態様において、炎症関連疾患は炎症性皮膚疾患である。いくつかの態様において、発現及び/又は活性が抑制されている。別の態様において、サイトカインはIL−1及び/又はIL−12である。
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明の一局面は、炎症を低減するために有効な量で哺乳動物へトリアゾール化合物を投与することを含む、哺乳動物における炎症を予防又は低減するための方法である。
【0016】
本発明の別の局面は、病状を処置するために必要なサイトカインの発現及び/又は活性を低減させるために有効な量でそれを必要とする哺乳動物へトリアゾール化合物を投与することを含む、哺乳動物におけるサイトカインレベルの増大と関連する病状を処置するための方法である。例示的態様において、サイトカインはIL−1である。別の例示的態様において、サイトカインはIL−12である。
【0017】
本発明の別の局面は、哺乳動物において、1つ又は複数の炎症促進性サイトカインの発現及び/又は活性を変調し得る量のトリアゾール化合物を含む薬学的組成物を、ヒトを含む哺乳動物に投与することを含む、哺乳動物における炎症関連疾患の処置のための方法を含む。いくつかの態様において、炎症関連疾患は炎症性皮膚疾患である。別の態様において、サイトカインはIL−1又はIL−1と同じ活性を有するサイトカインである。いくつかの態様において、サイトカインはIL−12又はIL−12と同じ活性を有するサイトカインである。サイトカインの発現及び/又は活性の抑制及び/又は阻止は、かかるサイトカインの転写、翻訳、誘導等の抑制を含む様々な機構により生じ得る。
【0018】
本発明の別の局面は、疾患を処置するために有効な十分量のトリアゾール化合物を哺乳動物に投与することを含む、それを必要とする哺乳動物における炎症関連疾患を処置するための方法である。
【0019】
本発明の別の局面は、トリアゾール化合物を用いた、哺乳動物における炎症関連疾患の処置のための方法又は併用療法である。
【0020】
本発明の別の局面は、哺乳動物における炎症を予防又は低減するための、又は哺乳動物における、IL−1又はIL−12のレベルの増大と関連する病状を処置するための、トリアゾール化合物を含む組成物である。
【0021】
本発明の別の局面は、哺乳動物における炎症関連疾患の予防及び/又は処置のためのトリアゾール化合物を含む組成物である。
【0022】
本発明の一局面において、トリアゾール化合物は、式I
【0023】
【化1】
【0024】
(式中、
XはN、O又はSであり;
各R
1及び各R
3は、C
1−8アルキル、アミノ、アルキルアミノ、ハロゲン、ヒドロキシ、アルコキシ、アリール、アリールオキシ、−CF
3、−OCF
3、−COR
a、−COOR
a、−CONR
aR
b、−NHCOR
aR
b、−NHSO
2R
a、−SO
2R
a、−SO
3R
a又は−SO
2NR
aR
bからなる群よりそれぞれ独立して選択され、R
a及びR
bはそれぞれ独立して水素、アルキル、シクロアルキル、アリール又はアラルキルであり;
R
2は、H、C
1−6アルキル、−COR
a及び−SO
2R
aからなる群より選択され;及び
R
4は、アミノ、アルキルアミノ、ハロゲン、ヒドロキシ、アルコキシ、−CF
3、−OCF
3、−COR
a、−COOR
a及び−CONR
aR
bからなる群より選択される少なくとも1つの基により置換されていてもよいC
1−8アルキルからなる群より選択される)又は薬学的に許容されるその塩から選択される。
【0025】
本発明の別の局面は、式I
【0026】
【化2】
【0027】
(式中、
XはN、O又はSであり;
各R
1及び各R
3は、C
1−8アルキル、アミノ、アルキルアミノ、ハロゲン、ヒドロキシ、アルコキシ、アリール、アリールオキシ、−CF
3、−OCF
3、−COR
a、−COOR
a、−CONR
aR
b、−NHCOR
aR
b、−NHSO
2R
a、−SO
2R
a、−SO
3R
a又は−SO
2NR
aR
bからなる群よりそれぞれ独立して選択され、R
a及びR
bはそれぞれ独立して水素、アルキル、シクロアルキル、アリール又はアラルキルであり;
R
2は、H、C
1−6アルキル、−COR
a及び−SO
2R
aからなる群より選択され;及び
R
4は、アミノ、アルキルアミノ、ハロゲン、ヒドロキシ、アルコキシ、−CF
3、−OCF
3、−COR
a、−COOR
a及び−CONR
aR
bからなる群より選択される少なくとも1つの基により置換されていてもよいC
1−8アルキルからなる群より選択され;
但し、R
1基及びR
3基が存在しない場合、R
2=Hであり、R
4=
【0028】
【化3】
【0029】
であり、X=O又はNである)又は薬学的に許容されるその塩から選択されるトリアゾール化合物である。
【0030】
例示的な態様において、式Iのトリアゾールは、以下の構造:
【0031】
【化4】
【0032】
を有するランバゾールである。
【0033】
図面は、説明する目的のためのものであり、本発明の例示的な態様を表す。したがって、図面は、記載される発明の範囲を限定することを意図していない。
【発明を実施するための最良の形態】
【0034】
定義
本明細書中に定義するとき、「有効量」とは、活性な薬剤の、所望の治療的効果を提供するために十分であるが毒性を有さない量を意味する。本発明の1態様において、有効量には、サイトカイン及び/又はケモカインレベルの上昇に関連する病状を処置するため、サイトカイン及び/又はケモカインの発現及び/又は活性を低減させるために必要とされる、式Iのトリアゾール化合物の量を含む。本発明の別の態様において、標的とされるサイトカインはIL−1又はIL−12である。
【0035】
本明細書中に定義するとき、「局所的投与」は、局所的薬剤又は医薬的に活性な薬剤を、患者の皮膚又は粘膜へ直接的に輸送することを意味する。
【0036】
本明細書中に定義するとき、「サイトカイン」は、細胞間の炎症メディエーターとして作用する、炎症性白血球及びいくつかの非白血球細胞により分泌される非抗体タンパク質を意味する。
【0037】
本明細書中に定義するとき、「ケモカイン」は、白血球を誘導し活性化する能力を有する、炎症促進性サイトカインに分類されるタンパク質を意味する。それらは、共有するシステインモチーフにおけるバリエーションによって、少なくとも3つの構造的な部門に分けられる:c(ケモカイン、c)、cc(ケモカイン、cc)、及びcxc(ケモカイン、cxc)。
【0038】
本明細書中に定義するとき、「IL−1」(インターロイキン−1)は、T−リンパ球及びB−リンパ球の両方の活性化に関与する単球、マクロファージ又はアクセサリー細胞により分泌される可溶性タンパク質(152アミノ酸を有する17kDa)を意味し、抗原又はマイトジェンに対するそれらの応答を増強する。その生物学的効果には、T細胞の活性化ならびに広範なその他の細胞に影響を及ぼすためにマクロファージ要求性を置き換える能力を含む。少なくとも2つのIL−1遺伝子が活性を有し、アルファ及びベータ形態のIL−1が認識されている。それは単球及びマクロファージによる免疫系応答における初期に遊離され、T細胞の増殖及びタンパク質合成を刺激する。
【0039】
本明細書中に定義するとき、「IL−12」(インターロイキン−12)は、もともとは、最適濃度未満のインターロイキン−2により相乗効果により細胞毒性エフェクター細胞を誘導する能力により同定された、ジスルフィド結合された40kD及び35kDのサブユニットからなる75kDのヘテロダイマーのサイトカインである。それは、感染に対する応答において、マクロファージにより放出され、細胞が媒介する免疫の活性化を促進する。具体的には、IL−12はThl CD4細胞の成熟、特異的な細胞毒性T−リンパ球の応答、及びNK細胞の活性増加を引き起こし、結果として、細胞が媒介する免疫のイニシエーターである。それはNK細胞の細胞溶解活性を促進し、インターフェロンの産生を誘導し、活性化T細胞及びNK細胞の増殖を刺激し、ヒトBリンパ芽球様細胞(NC37)により分泌される。それは(抗IFNモノクローナル抗体の存在下でさえも)IgE合成を阻害するので、イムノグロブリンのイソタイプ選択の調節に役割を果たし得、また、インターロイキン−2とは独立して活性化CD4+及びCD8+T細胞に関する成長因子として役割を果たし得、ならびに、静止した末梢血単核細胞又は静止したもしくは活性化された扁桃B−細胞ではない、CD56+NK細胞に関する成長因子として、役割を果たし得る。IL−12は、正式には、細胞毒性を有するリンパ球成熟因子として称された。
【0040】
本発明は、式Iで表される全ての化合物の鏡像異性、ジアステレオ異性及び互変異性、ならびにそれらのラセミ混合物を含むと考えられる。さらに、式Iで表されるいくつかの化合物は、プロドラッグ、すなわち、作用する薬剤と比較して優れた輸送性能及び治療的価値を有する、作用する薬剤の誘導体である。プロドラッグは、体内の酵素的工程又は化学的工程により、活性な薬剤へと変換される。
【0041】
本明細書中に定義するとき、用語「アルキル」は、別に示されない限り、12炭素原子までの直鎖状及び分岐鎖ラジカルをいい、限定するものではないが、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、ペンチル、イソペンチル、ヘキシル、イソヘキシル、ヘプチル、オクチル、2,2,4−トリメチルペンチル、ノニル、デシル、ウンデシル、及びドデシルを含む。例示的な実施形態において、「アルキル」はC
1−6基であり、1つの炭素単位(すなわち、メチル)から6つの炭素単位(すなわち、ヘキシル)までを含む。別の例示的実施形態において、「アルキル」は、C
1−8基であり、1つの炭素単位(すなわち、メチル)から8つの炭素単位(すなわち、ヘキシル)までを含む。
【0042】
本明細書中に定義するとき、用語「アミノ」はNH
2をいう。
【0043】
本明細書中に定義するとき、用語「アミノアルキル」は、アルキル鎖に沿った任意の炭素原子に結合した少なくとも1つの一級又は二級アミノ基をいう。
【0044】
本明細書中に定義するとき、用語「ハロゲン」は、フッ素、塩素、臭素及びヨウ素をいう。
【0045】
本明細書中に定義するとき、「ヒドロキシ」はOHをいう。
【0046】
本明細書中に定義するとき、「アルコキシ」は、別に示されない限り、酸素原子に結合した12炭素原子までの直鎖又は分岐鎖のラジカルをいう。例としては、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、イソプロポキシ及びブトキシが挙げられる。
【0047】
本明細書中に定義するとき、「アリール」は、アルコキシ、アルキル、ハロゲン及びヒドロキシから選択される1〜3個の置換基で任意に置換された、環の中に6〜12炭素を含む単環式又は二環式の芳香環系である。例としては、フェニル、ビフェニル及びナフタレンが挙げられる。
【0048】
本明細書中に定義するとき、用語「アリールオキシ」は、酸素原子に結合したアリール基をいう。例としてはフェノキシが挙げられる。
【0049】
本明細書中に定義するとき、用語「アラルキル」は、アリール置換基を含むC
1−6アルキル基をいう。例としては、ベンジル、フェニルエチル又は2−ナフチルメチルが挙げられる。
【0050】
本明細書中に定義するとき、用語「シクロアルキル」は、3〜8炭素原子からなる環をいう。アルキル置換基は任意に環上に存在していてもよい。例としては、シクロプロピル、1,1−ジメチルシクロブチル、1,2,3−トリメチルシクロペンチル及びシクロヘキシルが挙げられる。
【0051】
他に特定されない場合、全てのその他の化学官能基の記載又は列挙は、当該技術分野で当業者によって共通的に認識される意味を有するものと考えられる。
【0052】
本発明の1態様において、本発明のトリアゾール化合物は、限定するものではないが、ケトコナゾール、イトラコナゾール、アゾリン、ミコナゾール、メトロニダゾール、リアロゾール、ベンズイミダゾール、ベンゾチアゾール、ビフォナゾール、ブタコナゾール、ニトレート、クリンバゾール、クロトリマゾール、クロコナゾール、エベルコナゾール、エコナゾール、エルビオール、フェンチコナゾール、フルコナゾール、フルチマゾール、イソコナゾール、ラノコナゾール、ネチコナゾール、オモコナゾール、オキシコナゾールニトレート、セルタコナゾール、スルコナゾールニトレート、チオコナゾール、チアゾール、テルコナゾール及びイトラコナゾール等の治療的アゾールと組み合わせて用いることができる。
【0053】
炎症に関連する病状としては、限定するものではないが、炎症性サイトカイン及び/又はケモカインの発現増大に関連する疾患、例えば、炎症性皮膚疾患、関節炎、毒素性ショック症候群、糖尿病及び炎症性腸疾患等が挙げられる。炎症性皮膚疾患には、限定するものではないが、アトピー性皮膚炎、接触性皮膚炎、脂漏性皮膚炎、酒さ、湿疹、乾癬、座瘡及びじんましんが挙げられる。乾癬には、限定するものではないが、プラーク性乾癬(尋常性乾癬又は慢性尋常性乾癬)が挙げられる。関節炎には、限定するものではないが、関節リューマチ、乾癬性関節炎、骨関節炎、痛風、狼瘡及び線維筋痛が挙げられる。糖尿病には、限定するものではないが、糖尿病タイプIIが挙げられる。炎症性腸疾患には、限定するものではないが、クローン病が挙げられる。
【0054】
図2に示すように、ランバゾールは、予期せぬことに、IL−1の発現を低減させることが観察された。対照的に、レチノイン酸は、ヒト表皮におけるIL−1発現を増加させることが先に示されている(Bernard et al.,Exp Dermatol.11(1),59−74(2002))。従って、レチノイン酸の投与(市販のトレチノイン含有クリームであるレタクニル(Retacnyl)の形態)及び同様のその他のレチノイドの投与は炎症を増大させ、一方、本発明のトリアゾール化合物の投与は炎症を低減させた。同じく予期せぬことに、ランバゾールで処置した病変(例えば乾癬病変等)は連続して改善し、処置の中止後少なくとも3ヶ月にわたり炎症パターンの低減を示している。さらに、イソトレチノイン等のレチノイドとは対照的に、ランバゾールで処置した炎症性病変は、処置の最初の4週間から迅速に応答した。この発見は、増殖分化における典型的な効果に加えて、ランバゾールに関する抗炎症作用を支持する。
【0055】
治療的目的に関する本発明の方法および組成物は、通常はヒト、ヒツジ、ウマ、ウシ、ブタ、イヌ、ネコ、ラット及びマウス等の哺乳動物において生体内(in vivo)で、又は生体外(ex vivo)において、使用することができる。本発明は特に、ヒト対象の処置において有用である。
【0056】
本トリアゾール化合物の局所的適用に関する好適な薬学的処方には、例えば、軟膏(ointment)、軟膏(salve)、クリーム、ジェル、ローション、包帯剤(doressing)、シャンプー、チンキ剤、ペースト及び粉末が挙げられる。本発明の組成物の適用は、例えば、窒素、二酸化炭素、フロン等の推進剤を用いたエアロゾル、又は、ポンプ、スプレー、滴下、ローション等の推進剤を用いないエアロゾルにより、または綿球により適用され得る濃厚組成物等の半固体によるものでもある。さらに、本トリアゾール組成物は経皮パッチとして適用することができる。
【0057】
その他の好適な処方には、化粧水、パック、乳液(スキンミルク)又は乳液(ミルキーローション)等が挙げられる。かかる処方にはしばしば、治療的には不活性な成分、例えば、油、油脂、ワックス、界面活性剤、保湿剤、増粘剤、抗酸化剤、粘度安定剤、キレート剤、緩衝剤、保存料、香料、染料、低級アルコール等を含むことが多い。所望であれば、抗炎症性剤、抗微生物剤、抗真菌剤、殺菌剤、ビタミン、日焼け止め剤、抗生物質又はにきび抑制剤等のさらなる成分を、本発明の組成物中に組み入れることができる。
【0058】
本発明の薬学的組成物は、任意に別の担体、安定化剤、保存料又はアジュバントを含んでもよい。典型的なこれらの分類の化合物の例としては、Remington:The Science and Practice of Pharmacy, Lippincott, Williams & Wilkins (2005)を参照されたい、その全文を参照により組み入れるものとする。
【0059】
例示的実施形態において、トリアゾール化合物はゲルとして形成される。別の実施形態において、ゲルは無水ゲルである。ゲルはアルコール及びポリオールを含むことができる。好適なアルコールには、限定するものではないが、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、イソブタノール又はそれらの組み合わせが挙げられる。好適なポリオールには、限定するものではないが、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、エチレングリコール、糖類又はそれらの組み合わせが挙げられる。アルコールは、約10〜約50重量%等のように、約5〜約70重量%の量で存在し得る。同様に、ポリオールは、約25〜約65重量%等のように、約15〜約80重量%の量で存在し得る。例示的実施形態において、トリアゾール化合物は、経口ゲルであって局所的ゲルではないものとして製剤化される。例示的実施形態において、経口ゲル製剤は、ポリエチレングリコール400と組み合わせて、0.20mg又は0.5mg又は0.75mg又は1.0mg又は1.5mg又は2.0mgのランバゾールを含む。いくつかの実施形態において、経口ゲル形成は、ソフトゲルカプセルの形態をとり得る。
【0060】
併用療法の組成物中の、又は単独で投与される有効量のトリアゾール化合物は、約0.01重量%〜約25重量%の範囲である。トリアゾール化合物を、単独又は併用療法のいずれかにおいて、1日1回、又は、2回、3回、4回又はそれ以上のサブ投与量(sub−dose)として、1日を通じ、適当な間隔をおいて投与することが適当であり得る。サブ投与量は、例えば単位剤形あたり0.001mg〜500mgの活性成分を含む単位剤形として製剤化され得る。
【0061】
トリアゾール化合物はまた、経口投与することができる。経口投与のためには、トリアゾールを、当該技術分野でよく知られた薬学的に許容可能な担体と組み合わせることによって迅速に製剤化し得る。かかる担体は、処置される患者によって経口的に摂取されるために、本発明の化合物を錠剤、ピル、糖衣錠、カプセル、液体、ジェル、シロップ、スラリー、懸濁液等へと製剤化することを可能にする。経口的使用のための薬学的調製物は、トリアゾール化合物を固体の賦形剤と組み合わせて、得られる混合物を任意にすりつぶし、好適な助剤を添加した後で顆粒混合物を処理し、所望であれば、錠剤又は糖衣錠を得ることができる。好適な賦形剤には、例えば、ラクトース、ショ糖、マンニトール、又はソルビトールを含む糖類等の充填剤;トウモロコシでんぷん、小麦でんぷん、米でんぷん、ジャガイモでんぷん、ゼラチン、トラガカントガム、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム及びポリビニルピロリドン(PVP)等のセルロース調製物を含む。所望であれば、架橋ポリビニルピロリドン、寒天、アルギン酸又は、アルギン酸ナトリウム等のそれらの塩類等の崩壊剤を加えることもできる。
【0062】
本トリアゾール化合物の薬学的に許容可能な塩には、無機又は有機の酸又は塩基から形成される従来の非毒性の塩又は四級アンモニウム塩を含む。かかる酸の例には、酢酸塩、アジピン酸塩、安息香酸塩、ベンゼンスルホンサン塩、クエン酸塩、樟脳塩、ドデシル硫酸塩、塩酸塩、臭化水素塩、乳酸塩、マレイン酸塩、メタンスルホンサン塩、硝酸塩、シュウ酸塩、ピバル酸塩、プロピオン酸塩、コハク酸塩、硫酸塩及び酒石酸塩が挙げられる。塩基性塩には、アンモニウム塩、ナトリウム塩及びカリウム塩等のアルカリ金属塩、カルシウム及びマグネシウム塩等のアルカリ土類金属塩、ジシクロヘキシルアミン塩等の有機塩基を有する塩、及びアルギニン等のアミノ酸を有する塩が挙げられる。また、塩基性の窒素含有基は、例えば、ハロゲン化アルキルにより四級化することができる。
【0063】
式Iのトリアゾール化合物において、ゼロ個のR
1基、又は1個のR
1基、又は2個のそれぞれ独立して選択されるR
1基、又は3個のそれぞれ独立して選択されるR
1基、又は4個のそれぞれ独立して選択されるR
1基であり得る。
【0064】
式Iのトリアゾール化合物において、ゼロ個のR
3基、又は1個のR
3基、又は2個のそれぞれ独立して選択されるR
3基、又は3個のそれぞれ独立して選択されるR
3基、又は4個のそれぞれ独立して選択されるR
3基であり得る。
【0065】
式Iのトリアゾール化合物において、ゼロ個のR
3基、又は1個のR
3基、又は2個のそれぞれ独立して選択されるR
3基、又は3個のそれぞれ独立して選択されるR
3基、又は4個のそれぞれ独立して選択されるR
3基であり得る。
【0066】
トリアゾール化合物の正確な投与量、頻度及び持続期間は、当業者によく知られているように、用いられる特定のアゾール、処置される特定の病状、処置される病状の重篤度、特定の患者の年齢、体重及び一般的な身体的状態並びにその患者が受けているであろう別の投薬等に依存する。さらに、併用療法における有効な投与頻度は、処置を受ける患者の応答に依存して、及び/又は、使用される治療薬物を処方する医師の評価に依存して、減らされ又は増やされ得ることは明らかである。
【0067】
トリアゾール化合物は、その他の治療薬物、例えば、限定するものではないが、抗炎症剤(例えば、イブプロフェン、フェノプロフェン、ケトプロフェン、ナプロキセン、ジクロフェナク、エトドラク、メクロフェナメートソディウムフェニルブタゾン、インドメタシン、ピロキシカム、スリンダク及びトルメチン)、抗増殖剤(例えば、ミコフェノール酸モフェチル及びエボジアミン)、抗座瘡剤(例えば、トレチノイン、イソトレチノイン、サリチル酸、過酸化ベンゾイル及びアゼライン酸)、抗掻痒剤(例えば、アゼラスチン、セチリジンペルメトリン及びリンダン)、老化防止剤及びそれらの組み合わせと共に使用することができる。
【0068】
さらなる記述を行うことなく、当業者であれば、先の記述及び以下の説明的な実施例を用いて、本発明の化合物を作製し、利用して、クレームされた方法を実践することができることが確信される。以下の実際に使える実施例は、本発明の実施形態を記述するが、その開示における残りの部分をなんらかの方法によって限定するものと解釈されるものではない。
【実施例1】
【0069】
ランバゾールによる乾癬の治療
【0070】
乾癬の面積と重症度の指数(Psoriasis Area and Severity Index)(PASI)スコアが少なくとも5(中程度から重度の尋常性乾癬)である17名の患者が、毎日経口的に1mgのランバゾールの投与を受けた。PASIスコアの評価を、治療1、2、4及び8週後、及び、2週間のフォローアップ期間の終了時点でモニターした。全体を通じ、処置8週間を終えた患者のPASIスコアの平均減少は、51.4%であった。副作用は軽度から中程度である傾向を示し、処置は十分に許容されると思われる。病変からの生検を行い、表面マーカーを分析した。表2参照。
【実施例2】
【0071】
経口的ランバゾールによる尋常性座瘡の治療
【0072】
顔面に中程度から重度の尋常性座瘡を有する16名の患者が、毎日経口的に1mgのランバゾールの投与を12週間受けた。表1に示す通り、この試験における全ての患者(100%)は、12週間の治療後に、50%相当又はそれ以上に優れた炎症性病変の減少を示した。平均的な病変の減少は79%であった。さらなる個別のデータは表3〜7を参照されたい。非炎症性病変と炎症性病変の治療への応答の比較のために、
図5及び6をそれぞれ参照されたい。深刻な副作用は報告されなかった。
図7参照。
【0073】
【表1】
【実施例3】
【0074】
局所的ランバゾールによる尋常性座瘡の治療
【0075】
軽度から中程度の尋常性座瘡を有する50名の患者が、毎日局所的に0.35%のランバゾールの投与を12週間受けた。
図9(a)に示す通り、この試験における患者は、12週間の治療後に、約40%に相当する包括的アセスメントスコアの減少を示した。
図9(b)は、ランバゾール及びビヒクル(すなわち、試験されたランバゾール製剤における賦形剤成分)のそれぞれの成功率の比較を示す。
図9(c)は、ランバゾール及びビヒクルのそれぞれの炎症性病変の減少の比較を示す。
【実施例4】
【0076】
UVBにおける局所的な0.35%ランバゾールの効果
【0077】
研究者には盲検である(Investigator−blinded)プラセボ対照試験において、局所的な0.35% ランバゾールをボランティアの皮膚に対し9日間適用し、その後、UVBによる炎症の誘導を5日間行った。標準的な抗炎症剤として、研究にアダパレンを使用した。クロマメトリー(chromametry)により評価される結果は、光毒性がないことを示した。
図8参照。
【実施例5】
【0078】
刺激性皮膚炎における局所的な0.35%ランバゾールの効果
【0079】
ランバゾール(0.35%)ゲルを、4日間の間前処置として適用した。12名の健康なボランティアの腕に、5日間に渡って1日に1回、リングを置いて該リング内に2% SLSを2時間適用することにより、炎症を引き起こした。引き起こされた炎症に対し、ランバゾール(0.35%)ゲルをその5日間適用した。未処理及びランバゾールゲル処理した皮膚部位における皮膚反応を、SLSの各適用後24時間及び、最後のSLS適用後72時間に調べた(視覚的赤みスコア、クロマメトリー、TEWL)。
図12(a)〜(c)に示される結果は、ランバゾールゲルがSLSの適用により引き起こされる炎症性応答を阻害することを示す。
【実施例6】
【0080】
インターロイキン12レベルの分泌におけるランバゾールの効果
【0081】
末梢血単核細胞(PBMC)を、Ficoll−Hypaque Plusにおける密度勾配遠心分離によって健康なドナーから単離し、付着性によって単球を選択した。刺激されたFBSを補充したRPMI1640中で一晩培養後、単球をザイモサン又は19kDaのリポプロテインにより18時間活性化し、ELISAにより、上清中のIL−12p40を測定した。
図3に示される結果は、ランバゾールが投与量依存的にIL−12の分泌を抑制することを示す。
【実施例7】
【0082】
IP−10レベルの分泌におけるランバゾールの効果
【0083】
四代の正常ヒト表皮角化細胞を低Ca
2+のKSFM中、2,000 cell/wellでプレーティングした。60%コンフルエンスとなるまで3日間のインキュベート後、培地を除去し、細胞を50U/mLのIFNγにて刺激し、10
−5M〜3×10
−8Mの範囲のランバゾールとともに18時間インキュベートした。インターフェロンで誘導可能なタンパク質(IP−10)の培地中での発現を、IP−10サンドイッチタイプELISAを用いて調べ、全てのデータを細胞計数のために収集した。値は、薬剤溶媒対照に対する平均パーセンテージ±SD(n=4)として表される。
図4に示される結果は、ランバゾールが投与量依存的にIP−10の発現及び分泌を下方制御することを示す。
【実施例8】
【0084】
健康なボランティアの皮膚中IL−1発現におけるランバゾールの効果
【0085】
この、ランダム化された、二重盲検の、左右による、プラセボ対照試験で、15名の健康な対象の皮膚に、無傷の皮膚上にランバゾールゲルを2つの異なる濃度(0.35%又は0.07%)で1日1回、9日間適用した後におけるインターロイキン−1(IL−1)の発現を評価した。IL−1バイオマーカーを、リアルタイムPCRによって分析した。ランバゾールによる処置はIL−1の発現を投与量依存的に減少させることが観察された。
図1参照。0.35%のランバゾールにより処置して8日後のある日に、軽度のかゆみを訴えた1名の対象を除いては、9日間の処置の間、かゆみ、刺激、ちくちくする痛み、熱又は小水疱形成は生じなかった。
【0086】
別に規定しない限り、本明細書中の全ての技術的及び科学的な用語は本発明が属する技術分野の当業者により共通的に理解されるのと同様の意味を有する。本明細書中に記載のものに類似のまたは均等の任意の方法及び材料が、本発明の実践又は試験において使用され得るが、好ましい方法及び材料は本明細書中に記載されている。本明細書中に引用される全ての特許、出版物及び特許出願を、参照により本明細書中に組み入れるものとする。
【0087】
【表2】
【0088】
【表3】
【0089】
【表4】
【0090】
【表5】
【0091】
【表6】
【0092】
【表7】
【図面の簡単な説明】
【0093】
【
図1】プラセボと比較した、バイオマーカーであるインターロイキン−1a(IL−1)の発現における、ランバゾール(例示的なRAMBAとして)の局所的ゲル製剤の効果を示す。
【
図2】IL−1αの発現におけるレチノイン酸の効果と比較した、IL−1αの発現におけるランバゾールの効果を示す。
【
図3】ザイモサン又は19kDa リポタンパク質によって活性化された単球培養物における、各種濃度のランバゾールの効果を示す。これらの結果は、ランバゾールの投与によるIL−12の抑制を示す。
【
図4】IFNγによって活性化された正常ヒト表皮角化細胞におけるIP−10の発現及び分泌における、各種濃度のランバゾールの効果を示す。
【
図5】経口投与されるランバゾールの12週間の投与過程時における炎症性病変の出現頻度の結果を示す。
【
図6】経口投与されるランバゾールの16週間の投与過程時における非炎症性病変の出現頻度の結果を示す。
【
図7】中度から重度の顔部尋常性座瘡を有する対象に経口投与されるランバゾールの16週間の投与時における、皮膚を冒すレチノイン酸に関連する副作用の発生率を示す。
【
図8】研究者等には盲検であるプラセボ対照試験において、UVBにおける局所的ランバゾールの効果を示す。
【
図9】軽度から中程度の尋常性座瘡を罹患している患者における局所的ランバゾールの効果を示す。
【
図10】尋常性座瘡を有するボランティアに局所的なランバゾールの単回及び複数回の適用後、及び、健常なボランティアに経口投与後における、ランバゾールの血漿濃度を示す。
【
図11】尋常性座瘡を罹患する患者に単回及び複数回のランバゾールの局所的な適用後、及び、健常ボランティアに経口投与後における、レチノイン酸の血漿濃度を示す。
【
図12】視覚的赤みスコア(12a)、クロマメトリー(12b)及びTEWL(12c)によって測定された、ラウリル硫酸ナトリウム(SLS)によって引き起こされた刺激性皮膚炎におけるランバゾールの効果を示す。