(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下、本実施形態のRFIDタグ通信装置について図面を参照して説明する。
【0008】
<第1の実施形態>
図1は、一実施形態のRFIDタグ通信装置1の利用例を示す概略構成図である。
【0009】
例えば棚2に並べられた複数の物品3にはRFIDタグ5が付されている。RFIDタグ5には物品3の情報が記憶されている。
【0010】
携帯端末装置6は物品3のタグ情報を読み取り、物品を撮像し、管理する。携帯端末装置6は、例えば送信アンテナ15、受信アンテナ16、そして光学系であるカメラ20を備える。使用者は携帯端末装置6で、物品3を確認しながら撮像し、RFIDタグ5の情報を得る。
【0011】
図2は受信アンテナ16とカメラ20の構成の一例を表す。受信アンテナ16は、ほぼ中央部に放射器孔42を有する放射器41、ほぼ中央部に地板孔44を有する地板43、放射器41と地板43を固定するスペーサ45から成る。放射器41および地板43は、例えば鉄やアルミなどの金属板からなる。
【0012】
スペーサ45により隔てた放射器41と地板43の間隙は、例えば空気層46である。スペーサ45は例えば発泡スチロールのような、電気的作用を有さない素材で構成する。地板43は後述する
図4の受信アンテナ16のグランド(GND)と接続する。放射器41の給電点47は、アンテナ端子53の信号ラインに接続する。
【0013】
受信アンテナ16を保護するように筺体48が設けられる。放射器孔42および地板孔44を通る軸が筺体48と交差する部分に、筺体孔部49が形成される。
【0014】
放射器孔42、地板孔44、筺体孔部49を通る軸がカメラ20の中心光軸αと一致するようにカメラ20を設置する。3つの孔部である放射器孔42、地板孔44、筺体孔部49には、それぞれ透明部材を設けても良い。
【0015】
孔部の直径は地板孔44が最も小さく、放射器孔42、筐体孔部49の順に大きくすることが望ましい。カメラ20から離れるほど孔部の直径を大きくすることにより、カメラ20によって得る画像等の視野を広くできる。
【0016】
図3は受信アンテナ16の指向特性を表す図である。ここでは矢印Pで示すアンテナ10の中心軸の方向が受信アンテナ16の最大利得方向であるとして説明する。
【0017】
受信アンテナ16は
図3に示すようにSという指向特性を有し、その最大利得方向は、最大利得方向軸Pとなる。最大利得方向軸Pは、放射器孔42のほぼ中心及び地板孔44のほぼ中心と一致する。
【0018】
携帯端末装置6は例えば地板孔44の後方にカメラ20を配置する。カメラ20の中心光軸αをアンテナ10の最大利得方向軸Pと略一致させる。これによりRFIDタグ5の読取方向とカメラ20の撮像画像の中心とが略一致する。
【0019】
光学機器としてカメラ20を用いて説明したが、撮像機器に限らず、レーザポインタ22等の可視光照射機器であっても良い。また両者を隣接して併用しても良い。
【0020】
受信アンテナ16は、給電点47を2つ設け、一方の給電点に供給する信号を所定位相ずらして他方の給電点に供給したり、放射器41に摂動素子を設けてもよい。これにより受信アンテナ16の偏波特性を円偏波にすることができる。
【0021】
本実施形態は少なくとも受信アンテナ16の構成のみ
図3、
図2のようになっていれば良く、送信アンテナ15の構成は問わない。
【0022】
図4は第1の実施形態のRFIDタグ通信装置1の概略ブロック図である。使用者に状態などを通知するためのディスプレイ或いはブザーなどによる表示部11、使用者が操作入力するための入力部12、外部機器との通信を行うインタフェース部13、読み取り方向を把握するためのカメラ20、RFIDタグ5と通信を行う無線部14がある。表示部11、入力部12、インタフェース部13、無線部14およびカメラ20は、全て制御部19に接続される。無線部14は送信アンテナ15及び受信アンテナ16とも接続される。
【0023】
制御部19は、CPU、ROM、RAMなどで構成され、無線部14に電波を送信するための送信出力を設定する送信出力設定手段31、RFIDタグ5の応答信号を受信した時の受信信号レベルを保持する受信信号レベル保持手段32、複数のRFIDタグ5を読み取った際に対象としているRFIDタグ5を判別する対象判別保持手段33、読み取ったRFIDタグ5のID情報とカメラ20から得た画像情報などを保存する第1の記憶部34、撮像した画像を保持する撮像画像保持手段35を備える。
【0024】
図5は無線部14の構成を説明するためのブロック図である。バッテリを持たないRFIDタグ5の場合、送信アンテナ15が制御部19の制御により送信部36からの電磁波を出力して、RFIDタグ5を起動させる。RFIDタグ5の反射波信号を受信アンテナ16で受信する。検出した電磁波信号は、受信部37で復調され、制御部19に入力される。
【0025】
図6は第1の実施形態の概略フローチャートである。上記構成において使用者は、携帯端末装置6を物品の方向に向けて撮像する。表示部11に映し出された物品の画像と、その物品3に付されたRFIDタグ5の情報を確認し、一致した場合は第1の記憶部34に保存する。
【0026】
使用者がRFIDタグ通信装置1の電源をオンにすると(S101)、制御部19がカメラ20を動作させて撮像を開始する(S102)。
【0027】
所定間隔で静止画像を撮像し、表示部11或いはインタフェース部13を介して外部機器に送信する。送信された画像は表示部11によって表示される。使用者は表示部11の表示画像を見て、RFIDタグ通信装置1の読取り方向が、対象の物品3及びこれに貼付されたRFIDタグ5の方向になっているかを確認する。またレーザポインタ22を備えている場合、制御部19がレーザポインタ22を動作させて可視光照射を開始する。また使用者は可視光が照射された部分を見て、RFIDタグ通信装置1の読取り方向が対象の物品3及びこれに貼付されたRFIDタグ5の方向になっているかを確認する。
【0028】
使用者が入力部12に読取り開始の入力を行うと、制御部19が無線部14に所定の送信出力を設定する(S103)。
【0029】
ステップS104において、RFIDタグ5読取開始入力がある場合(S104でYes)、RFIDタグ5の読取回数iをリセットする(S105)RFIDタグ5読取開始入力が無い場合(S104でNo)、RFIDタグ5の読取開始入力を待ってRFIDタグ5の読み取りを開始する。
【0030】
ステップS106において、読取ったRFIDタグ5のID情報を保持し、受信信号レベル保持手段32に受信信号レベルを保持する。さらに撮像画像保持手段35に、カメラ20で撮像した画像を保持する。
【0031】
所定時間RFIDタグ5の読み取りを行なった後、電磁波出力を停止して読み取りを停止する(S107)。
【0032】
RFIDタグ5の読取個数が0個の場合には(S108でYes)読取回数iに1加算し(S109)、RFIDタグ5の読取回数iがn回に達していない場合は、ステップS106に戻る(S110でNo)。またはRFIDタグ5の読取回数iがn回に達したら(S110でYes)、ステップS111においてRFIDタグ5の読取個数と読取りを正しく行なった旨を表示し、一連の動作を終了する。
【0033】
RFIDタグ5の読取個数が0個ではなかった場合、ステップS112に進む(S108でNo)。
【0034】
RFIDタグ5の読取個数が1個のときステップS113に進む(S112でYes)。対象の物品3に貼付したRFIDタグ5の読取りを判定し、読取ったRFIDタグ5のID情報と撮像画像とを紐付けて第1の記憶部34に保存する。ステップS111においてRFIDタグ5の読取個数と読取りを正しく行なった旨を表示し、一連の動作を終了する。
【0035】
RFIDタグの読取個数が2個以上の場合、ステップS114へ進む(S112でNo)。制御部19は、受信信号レベル保持手段32に保持している中で、最も受信信号レベルが高いRFIDタグ5を抽出する。ステップS115において、抽出したRFIDタグ5から読み取ったID情報と撮像画像とを紐付けて第1の記憶部34に保存する。
【0036】
ステップS111においてRFIDタグ5の読取個数と読取りを正しく行なった旨を表示し、一連の動作を終了する。
【0037】
以上説明したように第1の実施形態においては、カメラ20の中心光軸αとアンテナ10の最大利得方向軸Pを一致させることにより、RFIDタグ読取方向を容易にかつ正確に知ることができ、使い勝手が飛躍的に向上する。また、RFIDタグを複数個読取った場合でも、対象のRFIDタグを判定・検出することができる。
【0038】
<第2の実施形態>
続いて第2の実施形態について
図7を参照して説明する。第1の実施形態との違いは、RFIDタグ5の読取個数に応じて、送信出力を増減する点である。送信出力を増減することにより、最適な送信出力を得られ、より正確に対象の物品3及びこの物品3に貼付されたRFIDタグ5を識別することができる。RFIDタグ5が読取れない場合でも、送信出力を増減し、最大n回まで読取りを行う。RFIDタグ5の読取個数が多数の場合は受信信号レベルが最大のものを選定することができる。
【0039】
図7はフローチャートである。第1の実施形態と同一部分については同一符号を付してその説明を省略する。
【0040】
RFIDタグ5読取開始入力がある場合(S104でYes)、RFIDタグ5の出力増加回数i1および出力減少回数i2をリセットし(S204)、RFIDタグ5の読み取りを開始する(S205)。RFIDタグ5読取開始入力が無い場合(S104でNo)、RFIDタグ5読取開始入力を待ってRFIDタグ5の読み取りを開始する(S205)。
【0041】
RFIDタグ5の出力増加回数i1、出力減少回数i2はRFIDタグ5の読取個数に応じて送信出力を増減した回数である。出力増加回数i1はRFIDタグ5を読取れないときに、順次送信出力を増加した回数を表し、出力減少回数i2はRFIDタグ5を複数読取ったときに、順次送信出力を減少した回数を表す。
【0042】
ステップS205において、電磁波を出力してRFIDタグ5の読取りを開始し、読み取った受信信号レベルと撮像画像を保持する。
【0043】
ステップS206において、所定時間読取りを行った後、電磁波の出力を停止する。
【0044】
RFIDタグ5の読取個数が0個の場合、ステップS208に進むS207でYes)。RFIDタグ5の読取個数が1個以上の場合、ステップS215に進む(S207でNo)。
【0045】
ステップS208において出力増加回数i1に1を加算し、ステップS209に進む。RFIDタグ5の出力増加回数i1がRFIDタグ5の最大読取個数n1に達したらステップS210へ進み(S209でYes)、ステップS210において対象のRFIDタグ5の読取個数と読取りを正しく行なった旨を表示する。
【0046】
RFIDタグ5の出力増加回数i1がn回に達していない場合、ステップS211に進む(S209でNo)。RFIDタグの読取個数を表示部11に表示し(S211)、送信出力を上げるか否かを使用者に問う旨の表示をする(S212)。送信出力の上昇を希望する旨の入力があった場合(S213でYes)、送信出力を上げ(S214)、再びステップS205に戻る。送信出力設定手段31により、制御部19が送信出力を所定値上げて再度RFIDタグ5の読取りを行う。送信出力の増加は最大n1回行う。
【0047】
RFIDタグ5の読取個数が1個以上の場合、ステップS215へ進む(S207でNo)。RFIDタグ5の読取個数が1個である場合、ステップS216に進む(S215でYes)。
【0048】
RFIDタグ5の出力増加回数i1がn1回に達したら、ステップS210において対象のRFIDタグ5の読取個数と読取りを正しく行なった旨を表示する。
【0049】
RFIDタグ5の読取個数が1個のときステップS216に進む(S215でYes)。ステップS216において、読取ったRFIDタグ5のID情報と画像情報とを紐付けて第1の記憶部34に保存し、ステップS210において、表示部11にRFIDタグ5の読取個数を表示し、対象のRFIDタグ5の読取個数と読取りを正しく行なった旨を表示して、一連の動作を終了する。
【0050】
RFIDタグ5の読取個数が2個以上であった場合、ステップS217に進み(S215でNo)、RFIDタグ5の出力減少回数i2に1を加算してステップS218に進む。RFIDタグ5の出力減少回数i2が最大n2回に達したら、ステップS219へ進む(S218でYes)。
【0051】
ステップS219において、受信信号レベル保持手段のなかで受信信号レベルが最大のRFIDタグ5を抽出する。ステップS220において、抽出したRFIDタグ5から読み取ったID情報と撮像画像とを紐付けて第1の記憶部34に保存する。ステップS210において、表示部11にRFIDタグ5の読取個数を表示する。また対象のRFIDタグ5の読取りを正しく行なった旨を表示し、一連の動作を終了する。
【0052】
RFIDタグ5の出力減少回数i2が最大n2回に達していない場合(S218でNo)、RFIDタグ5の読取個数を表示する(S221)。ステップS222において、表示部11に、送信出力を下げるか否かを問う旨の表示をする。
【0053】
ステップS223において、送信出力を下げる旨の入力が入力部12からある場合、ステップS224に進む(S223でYes)。
【0054】
制御部19は送信出力設定手段31により送信出力を所定値下げて、再度RFIDタグ5の読み取りを行う(S224)。送信出力の減少は最大n2回行う。
【0055】
送信出力を下げる旨の入力が入力部12から無い場合(S223でNo)、送信出力を下げずに再度読み取りを開始する(S205)。
【0056】
図7では送信出力の変更を使用者に対して問合せるようになっているが、自動で変更するようにしてもよい。
【0057】
上述した第2の実施形態においても、カメラ20の中心光軸αとアンテナ10の最大利得方向軸Pを一致させることにより、RFIDタグ読取方向を容易にかつ正確に知ることができ、使い勝手が飛躍的に向上する。また、RFIDタグを複数個読取った場合でも、対象のRFIDタグを判定・検出することができる。
【0058】
またこのように送信出力を最適にすることによって、より正確に対象の物品3及びこの物品3に貼付されたタグを識別することができる。
【0059】
<第3の実施形態>
続いて第3の実施形態について
図8乃至
図11を参照して説明する。第3の実施形態は、アンテナの構造と、アンテナ及びカメラ20を移動させるという2つの点で、第1の実施形態と異なる。
【0060】
図8は第3の実施形態のRFIDタグ通信装置1の構成の一例を示す図である。
図8と
図4の相違点は、アンテナが送受信アンテナ51であり、第1回転部62と第2回転部63及び第2の記憶部71を備えているという点である。第2の記憶部71は、読取ったRFIDタグ5のID情報と受信信号レベルと撮像画像を保存する。
【0061】
無線部14は方向性結合器52を介して送受信アンテナ51と接続する。
【0062】
図9は回転部の一例を示す図である。第1回転部62は、送受信アンテナ51の垂直軸qを中心に、送受信アンテナ51を回転する。第2回転部63は、送受信アンテナ51とカメラ20の水平軸rを中心に、送受信アンテナ51とカメラ20を回転する。第1回転部62と第2回転部63は、目的の物品を検出するためにモータにより回転駆動を行う。また回転角度検出などの機能を有する。
【0063】
図10は第3の実施形態のフローチャートの一例を示す図である。第1および第2の実施形態と同一部分については同一符号を付してその説明を省略する。第1回転部62と第2回転部63の読取り角度をそれぞれφ1、φ2と表記する。
【0064】
ステップS103において送信出力を設定した後、ステップS304において、読取り角度をそれぞれφ1=0、φ2=0にリセットする。
【0065】
ステップS305において、電磁波を出力し、φ1、φ2が共に0度のときからRFIDタグ5の読み取りを開始する。RFIDタグ5を読取った場合には、読取ったRFIDタグ5のID情報と受信信号レベルと撮像画像を第2の記憶部71に保存する。
【0066】
ステップS306において、RFIDタグ5の読取り動作を所定時間行なった後、電磁波出力を停止する。
【0067】
ステップS307ないしステップS310において、読取り角度φ1、φ2をどちらも5度ずつ変更し、φ1、φ2共に180度までRFIDタグ5の読み取りを行う。第2の記憶部71には、
図11の例のようなデータが保存される。なお、図示しないが、撮像画像は、読取り動作を行う角度の半分の角度でも取り込みを行ってもよい。
【0068】
φ1が180度に達したら(S307でYes)、φ1をリセットする(S308)。
【0069】
φ2が180度に達したら(S309でYes)、φ2をリセットする(S310)。
【0070】
ステップS307においてφ1が180度に達するまで(S307でNo)、φ1を5度増加させる(S313)。その後ステップS305に戻る。
【0071】
ステップS309においてφ2が180度に達するまで(S309でNo)、φ2を5度増加させる(S314)。その後ステップS305に戻る。
【0072】
φ1およびφ2が共に180度以上になるまで、ステップS313およびステップS314を繰り返し行う。φ1およびφ2が共に180度以上のとき、ステップS311に進む。
【0073】
ステップS311において、制御部19は読取った各RFIDタグ5毎に第2の記憶部71に保存されている受信レベルの中から最大受信レベルを検出し、最大受信レベルの時のφ1、φ2を第1の記憶部34に保存する。最大受信レベルを検出した角度が複数ある場合は、中心の角度を算出して保存する。例えば
図11でRFIDタグID=ID1のRFIDタグに関しては、制御部19は第2の記憶部71のデータから、φ1=φ1a、φ2=φ2aの時に、受信信号レベルが最大値であることを検出し、ID=ID1のRFIDタグはこの方向にあると判定する。更にカメラ20で撮像し、φ1=φ1a、φ2=φ2aの時の画像とID=ID1のRFIDタグとを紐付ける。ID=ID1のRFIDタグおよびこのRFIDタグが貼付された物品3は、この画像の中心付近の画像の物品3であると判定する。これらの情報を第2の記憶部71に保存する。
【0074】
同様に、
図11でRFIDタグID=ID2のRFIDタグに関しては、制御部19は第2の記憶部71のデータから、φ1=φ1b1、φ2=φ2b、および、φ1=φ1b2、φ2=φ2b、の時に、受信信号レベルが最大値であることを検出し、ID=ID1のRFIDタグは、φ1=(φ1b1+φ1b2)/2、φ2=φ2bの方向にあると判定し、この時の画像とID=ID2のRFIDタグと紐付ける。φ1=(φ1b1+φ1b2)/2、φ2=φ2bの角度の画像を撮像していない場合には、φ1=φ1b1、φ2=φ2bの角度の画像、或いは、φ1=φ1b2、φ2=φ2bの角度の画像を紐付けても良い。
【0075】
ステップS312において、RFIDタグ5読取個数と、読み取ったRFIDタグ5のID情報と、検出した最大受信レベルのときのφ1、φ2と、を表示部11に表示するか、またはインタフェース部13から外部機器に送信し、一連の動作を終了する。
【0076】
この結果各φ1、φ2の角度毎に、読み取りを行なったRFIDタグ5のID情報と受信信号レベル及び撮像画像が第1の記憶部34に保存される。なお図示しないが、撮像画像の取り込みは読取り動作を行う角度の半分の角度で行なってもよい。
【0077】
制御部19は、読取った各RFIDタグ5毎に、第2の記憶部71に保存されている受信レベルから、最大受信レベルを検出し、最大受信レベルの時のφ1、φ2を第1の記憶部34に保存する。最大受信レベルを検出した角度が複数あった場合には、中心の角度を算出して、保存する。
図11は、IDがID1のRFIDタグ5について、表の縦の項目をφ1、表の横の項目をφ2として、各角度の時のID=ID1のRFIDタグ5の受信信号レベルを表したものである。受信信号レベル値は相対値で単位はなく、大きいほど受信信号レベルが大きいことを表す。
図11において、ID=ID1のRFIDタグ5を読み取ることができなかった角度の欄は空白(或いは0)としている。
図11では、ID=ID2のRFIDタグ5、ID=ID3のRFIDタグ5についても、同様に例を示している。
【0078】
図11において、RFIDタグ5のIDがID1である場合、制御部19は、φ1=φ1a、φ2=φ2aの時に受信信号レベルが最大値であることを第2の記憶部71のデータから検出する。ステップS312において、検出結果からID=ID1のRFIDタグ5がφ1=φ1a、φ2=φ2aの角度となる方向にあると判定し、φ1=φ1a、φ2=φ2aの時の画像とID=ID1のRFIDタグ5との紐付けを行う。ID=ID1のRFIDタグ5およびこのRFIDタグ5が貼付された物品3が、この画像の中心付近の画像の物品3であると判定し、これらの情報を第1の記憶部34に保存する。
【0079】
上記説明では、φ1、φ2の角度毎に送受信アンテナ51でRFIDタグ5を読み取ると共にカメラ20で撮像画像の取り込みを行う例を示したが、各IDのRFIDタグ5の方向、すなわち最大受信レベルの時のφ1とφ2を検出した後で、RFIDタグ5の方向にカメラ20を回転させ、画像を撮像して撮像画像の取り込みを行なっても良い。
【0080】
このように第3の実施形態は、読取ったRFIDタグ毎に、φ1、φ2の角度における受信レベルを検出することができ、RFIDタグの位置を知ることができると共に、RFIDタグが付された物品3の画像と紐付けることができ、使い勝手が格段に向上する。
【0081】
また、検出したRFIDタグ5に関して、制御部19は第1回転部62と第2回転部63により角度をφ1、φ2に設定し、RFIDタグ5のID情報、φ1、φ2、およびカメラ20で撮像した画像を表示部11に表示することでRFIDタグ5のID情報に加えて、方向、位置、RFIDタグ5を貼付した物品3の画像を使用者に知らせることができる。表示部11に表示するほか、インタフェース部13を介してこれらの情報を外部機器に送信し、外部機器に表示してもよい。また、レーザポインタ22により可視光を照射し、方向や位置を使用者に通知しても良い。
【0082】
以上説明したように撮像或いは可視光照射の光軸とアンテナの最大利得方向軸Pを一致させることにより、離れた場所からでも、目的の商品と商品に付されたRFIDタグを容易かつ確実に一致させることができ、使い勝手が飛躍的に向上する。また、複数個のRFIDタグを読取った場合でも、対象のRFIDタグを判定・検出することができる。
【0083】
以上、幾つかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。この新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行なうことができる。これらの実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。