特許第5685512号(P5685512)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許5685512表示装置、タッチ検出装置、駆動方法、および電子機器
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5685512
(24)【登録日】2015年1月23日
(45)【発行日】2015年3月18日
(54)【発明の名称】表示装置、タッチ検出装置、駆動方法、および電子機器
(51)【国際特許分類】
   G06F 3/041 20060101AFI20150226BHJP
   G09G 5/00 20060101ALI20150226BHJP
   G09G 3/20 20060101ALI20150226BHJP
【FI】
   G06F3/041 512
   G06F3/041 410
   G09G5/00 550C
   G09G5/00 510H
   G09G3/20 691D
【請求項の数】15
【全頁数】28
(21)【出願番号】特願2011-214869(P2011-214869)
(22)【出願日】2011年9月29日
(65)【公開番号】特開2013-77042(P2013-77042A)
(43)【公開日】2013年4月25日
【審査請求日】2013年10月21日
(73)【特許権者】
【識別番号】502356528
【氏名又は名称】株式会社ジャパンディスプレイ
(74)【代理人】
【識別番号】100089118
【弁理士】
【氏名又は名称】酒井 宏明
(74)【代理人】
【識別番号】100118762
【弁理士】
【氏名又は名称】高村 順
(74)【代理人】
【識別番号】100092152
【弁理士】
【氏名又は名称】服部 毅巖
(72)【発明者】
【氏名】野口 幸治
(72)【発明者】
【氏名】木田 芳利
(72)【発明者】
【氏名】水橋 比呂志
(72)【発明者】
【氏名】安住 康平
【審査官】 藤原 拓也
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2011/106575(WO,A2)
【文献】 特表2008−535101(JP,A)
【文献】 特表2010−515193(JP,A)
【文献】 特開2013−065212(JP,A)
【文献】 特表2013−521548(JP,A)
【文献】 特開平09−152938(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F 3/041−3/047
G09G 3/00−3/08,3/12,3/16,
3/19−3/26,3/30,3/34,
3/38−5/36,5/377−5/42
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
表示素子と、
駆動電極と、
前記駆動電極との間に静電容量を形成するタッチ検出電極と、
複数のタッチ検出期間のそれぞれにおいて、1または複数の遷移タイミングペアが生じるように複数回遷移する交流駆動信号を前記駆動電極に対して印加する駆動部と
前記タッチ検出電極から出力される検出信号を、前記交流駆動信号の各遷移の前後のタイミングでサンプリングし、各遷移におけるサンプリング結果の変化分の和を求める検出部と
を備え、
前記交流駆動信号は、複数のタッチ検出期間にわたって、少なくとも第1の遷移間隔を空けた第1の遷移タイミングペアと、前記第1の遷移間隔と異なる第2の遷移間隔を空けた第2の遷移タイミングペアとを含み、
前記第1の遷移間隔または前記第2の遷移間隔の一方は、既知の外乱ノイズの周期に等しい
表示装置。
【請求項2】
前記交流駆動信号は、同じ前記タッチ検出期間に複数のパルスを含み、
前記第1の遷移タイミングペアは、前記パルスの立ち上がりの遷移と当該遷移から前記第1の遷移間隔を空けた立ち下がりの遷移とからなり、
前記第2の遷移タイミングペアは、前記立ち上がりの遷移と当該遷移から前記第2の遷移間隔を空けた立ち上がりの遷移とからなる
請求項1に記載の表示装置。
【請求項3】
一のタッチ検出期間における前記交流駆動信号のパルス幅およびパルス間隔は、他の一のタッチ検出期間におけるパルス幅およびパルス間隔と異なる
請求項2に記載の表示装置。
【請求項4】
前記第1の遷移タイミングペアおよび前記第2の遷移タイミングペアは、互いに異なるタッチ検出期間に存在する
請求項1に記載の表示装置。
【請求項5】
前記複数のタッチ検出期間の間隔が変化する
請求項1に記載の表示装置。
【請求項6】
前記駆動部は、所定本数の前記駆動電極ごとに前記交流駆動信号を印加する
請求項1に記載の表示装置。
【請求項7】
前記駆動部は、所定数のタッチ検出期間にわたり、同じ駆動電極に対して前記交流駆動信号を印加する
請求項に記載の表示装置。
【請求項8】
前記所定数のタッチ検出期間のうちの一のタッチ検出期間における前記交流駆動信号の各遷移タイミングは、前記所定数のタッチ検出期間のうちの他の一のタッチ検出期間における各遷移タイミングと異なる
請求項に記載の表示装置。
【請求項9】
前記タッチ検出期間は、表示動作の水平期間ごとに設けられている
請求項1に記載の表示装置。
【請求項10】
前記表示素子は、
液晶層と、
前記液晶層および前記駆動電極の間に形成され、もしくは前記駆動電極を挟んで前記液晶層と対向するように配置された画素電極と
を含んで構成される
請求項1に記載の表示装置。
【請求項11】
前記表示素子は、
液晶層と、
前記液晶層を挟んで前記駆動電極と対向するように配置された画素電極と
を含んで構成される
請求項1に記載の表示装置。
【請求項12】
前記駆動部は、前記駆動電極に対して、前記タッチ検出期間以外の期間において表示駆動信号を印加する
請求項1に記載の表示装置。
【請求項13】
駆動電極と、
前記駆動電極との間に静電容量を形成するタッチ検出電極と、
複数のタッチ検出期間のそれぞれにおいて、1または複数の遷移タイミングペアが生じるように複数回遷移する交流駆動信号を前記駆動電極に対して印加する駆動部と
前記タッチ検出電極から出力される検出信号を、前記交流駆動信号の各遷移の前後のタイミングでサンプリングし、各遷移におけるサンプリング結果の変化分の和を求める検出部と
を備え、
前記交流駆動信号は、複数のタッチ検出期間にわたって、少なくとも第1の遷移間隔を空けた第1の遷移タイミングペアと、前記第1の遷移間隔と異なる第2の遷移間隔を空けた第2の遷移タイミングペアとを含み、
前記第1の遷移間隔または前記第2の遷移間隔の一方は、既知の外乱ノイズの周期に等しい
タッチ検出装置。
【請求項14】
複数のタッチ検出期間のそれぞれにおいて、1または複数の遷移タイミングペアが生じるように複数回遷移する交流駆動信号を、タッチ検出電極との間に静電容量を形成する駆動電極に対して印加し、
前記タッチ検出電極から出力される検出信号を、前記交流駆動信号の各遷移の前後のタイミングでサンプリングし、各遷移におけるサンプリング結果の変化分の和を求め、
前記交流駆動信号は、複数のタッチ検出期間にわたって、少なくとも第1の遷移間隔を空けた第1の遷移タイミングペアと、前記第1の遷移間隔と異なる第2の遷移間隔を空けた第2の遷移タイミングペアとを含み、
前記第1の遷移間隔または前記第2の遷移間隔の一方は、既知の外乱ノイズの周期に等しい
駆動方法。
【請求項15】
表示装置と、
前記表示装置を利用した動作制御を行う制御部と
を備え、
前記表示装置は、
表示素子と、
駆動電極と、
前記駆動電極との間に静電容量を形成するタッチ検出電極と、
複数のタッチ検出期間のそれぞれにおいて、1または複数の遷移タイミングペアが生じるように複数回遷移する交流駆動信号を前記駆動電極に対して印加する駆動部と
前記タッチ検出電極から出力される検出信号を、前記交流駆動信号の各遷移の前後のタイミングでサンプリングし、各遷移におけるサンプリング結果の変化分の和を求める検出部と
を備え、
前記交流駆動信号は、複数のタッチ検出期間にわたって、少なくとも第1の遷移間隔を空けた第1の遷移タイミングペアと、前記第1の遷移間隔と異なる第2の遷移間隔を空けた第2の遷移タイミングペアとを含み、
前記第1の遷移間隔または前記第2の遷移間隔の一方は、既知の外乱ノイズの周期に等しい
電子機器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、タッチ検出機能を有する表示装置、タッチ検出装置、タッチ検出装置の駆動方法、およびタッチ検出機能を有する表示装置を備えた電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、いわゆるタッチパネルと呼ばれる接触検出装置を液晶表示装置等の表示パネル上に装着し、あるいはタッチパネルと表示パネルとを一体化し、その表示パネルに各種のボタン画像等を表示させることにより、通常の機械式ボタンの代わりとして情報入力を可能とした表示装置が注目されている。このようなタッチパネルを有する表示装置は、キーボードやマウス、キーパッドのような入力装置を必要としないため、コンピュータのほか、携帯電話のような携帯情報端末などでも、使用が拡大する傾向にある。
【0003】
タッチパネルの方式としては、光学式や抵抗式などいくつかの方式が存在するが、比較的単純な構造をもち、かつ低消費電力が実現できる、静電容量式のタッチパネルが期待されている。例えば、特許文献1には、表示パネルにもともと備えられている表示用の共通電極を、一対のタッチセンサ用電極のうちの一方として兼用し、他方の電極(タッチ検出電極)をこの共通電極と交差するように配置した、いわゆるインセルタイプのタッチ検出機能付き表示装置が提案されている。また、表示パネルの表示面上にタッチパネルを形成した、いわゆるオンセルタイプのタッチ検出機能付き表示装置もいくつか提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2009−244958号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、タッチパネルにノイズが印加された場合には、タッチ検出動作が誤動作するおそれがある。特に、静電容量式のタッチパネルでは、インバータ蛍光灯やAM波、AC電源などに起因するノイズ(外乱ノイズ)がタッチパネルに伝播し、誤動作を引き起こす可能性がある。よって、ノイズによる誤動作のおそれを低減できるタッチパネルが望まれている。
【0006】
本開示はかかる問題点に鑑みてなされたもので、その目的は、ノイズによる誤動作のおそれを低減できる表示装置、タッチ検出装置、駆動方法、および電子機器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示の表示装置は、駆動電極と、タッチ検出電極と、駆動部とを備えている。タッチ検出電極は、駆動電極との間に静電容量を形成するものである。駆動部は、複数のタッチ検出期間のそれぞれにおいて、1または複数の遷移タイミングペアが生じるように複数回遷移する交流駆動信号を駆動電極に対して印加するものである。上記交流駆動信号は、複数のタッチ検出期間にわたって、少なくとも第1の遷移間隔を有する第1の遷移タイミングペアと、第1の遷移間隔と異なる第2の遷移間隔を有する第2の遷移タイミングペアとを含むものである。
【0008】
本開示のタッチ検出装置は、駆動電極と、タッチ検出電極と、駆動部とを備えている。タッチ検出電極は、駆動電極との間に静電容量を形成するものである。駆動部は、複数のタッチ検出期間のそれぞれにおいて、1または複数の遷移タイミングペアが生じるように複数回遷移する交流駆動信号を駆動電極に対して印加するものである。上記交流駆動信号は、複数のタッチ検出期間にわたって、少なくとも第1の遷移間隔を有する第1の遷移タイミングペアと、第1の遷移間隔と異なる第2の遷移間隔を有する第2の遷移タイミングペアとを含むものである。
【0009】
本開示の駆動方法は、複数のタッチ検出期間のそれぞれにおいて、1または複数の遷移タイミングペアが生じるように複数回遷移する交流駆動信号を、タッチ検出電極との間に静電容量を形成する駆動電極に対して印加するものである。上記交流駆動信号は、複数のタッチ検出期間にわたって、少なくとも第1の遷移間隔を有する第1の遷移タイミングペアと、第1の遷移間隔と異なる第2の遷移間隔を有する第2の遷移タイミングペアとを含むものである。
【0010】
本開示の電子機器は、上記表示装置を備えたものであり、例えば、テレビジョン装置、デジタルカメラ、パーソナルコンピュータ、ビデオカメラあるいは携帯電話等の携帯端末装置などが該当する。
【0011】
本開示の表示装置、タッチ検出装置、駆動方法、および電子機器では、タッチ検出期間において駆動電極に印加された交流駆動信号が、静電容量を介してタッチ検出電極に伝わり、その信号に基づいてタッチ検出が行われる。その際、この交流駆動信号は、複数のタッチ検出期間にわたって、互いに遷移間隔が異なる第1の遷移タイミングペアおよび第2の遷移タイミングペアを含んでいる。
【発明の効果】
【0012】
本開示の表示装置、タッチ検出装置、駆動方法、および電子機器によれば、1または複数のタッチ検出期間において、互いに遷移間隔が異なる第1の遷移タイミングペアおよび第2の遷移タイミングペアを含むように、交流駆動信号を構成したので、ノイズによる誤動作のおそれを低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本開示の表示パネルにおけるタッチ検出方式の基本原理を説明するための図であり、指が接触または近接していない状態を表す図である。
図2】本開示の表示パネルにおけるタッチ検出方式の基本原理を説明するための図であり、指が接触または近接した状態を表す図である。
図3】本開示の表示パネルにおけるタッチ検出方式の基本原理を説明するための図であり、駆動信号およびタッチ検出信号の波形の一例を表す図である。
図4】本開示の実施の形態に係る表示パネルの一構成例を表すブロック図である。
図5図4に示した選択スイッチ部の一構成例を表すブロック図である。
図6図4に示したタッチ検出機能付き表示デバイスの概略断面構造を表す断面図である。
図7図4に示したタッチ検出機能付き表示デバイスにおける画素配列を表す回路図である。
図8図4に示したタッチ検出機能付き表示デバイスにおける駆動電極およびタッチ検出電極の一構成例を表す斜視図である。
図9図4に示した表示パネルにおけるタッチ検出走査の一例を表す模式図である。
図10】第1の実施の形態に係る表示パネルの一動作例を表すタイミング図である。
図11】第1の実施の形態に係る交流駆動信号およびタッチ検出信号の波形例を表す波形図である。
図12】第1の実施の形態に係るタッチ検出走査を表すタイミング波形図である。
図13】第1の実施の形態に係るタッチ検出動作の一例を表す波形図である。
図14】第1の実施の形態の変形例に係る表示パネルの一動作例を表すタイミング図である。
図15】第2の実施の形態に係る交流駆動信号およびタッチ検出信号の波形例を表す波形図である。
図16】第2の実施の形態に係るタッチ検出動作の一例を表す波形図である。
図17】第2の実施の形態に係るタッチ検出動作の他の例を表す波形図である。
図18】第2の実施の形態の変形例に係るタッチ検出走査を表すタイミング波形図である。
図19】第3の実施の形態に係る交流駆動信号およびタッチ検出信号の波形例を表す波形図である。
図20】実施の形態を適用した表示パネルのうち、適用例1の外観構成を表す斜視図である。
図21】変形例に係る表示パネルにおけるタッチ検出走査の一例を表す模式図である。
図22】他の変形例に係る交流駆動信号およびタッチ検出信号の波形例を表す波形図である。
図23】他の変形例に係る交流駆動信号およびタッチ検出信号の波形例を表す波形図である。
図24】他の変形例に係るタッチ検出機能付き表示デバイスの概略断面構造を表す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本開示の実施の形態について、図面を参照して詳細に説明する。なお、説明は以下の順序で行う。
1.静電容量式タッチ検出の基本原理
2.第1の実施の形態
3.第2の実施の形態
4.第3の実施の形態
5.適用例
【0015】
<1.静電容量式タッチ検出の基本原理>
まず最初に、図1図3を参照して、本開示の表示パネルにおけるタッチ検出の基本原理について説明する。このタッチ検出方式は、静電容量式のタッチセンサとして具現化されるものであり、例えば図1(A)に示したように、誘電体Dを挟んで互いに対向配置された一対の電極(駆動電極E1およびタッチ検出電極E2)を用い、容量素子を構成する。この構造は、図1(B)に示した等価回路として表される。駆動電極E1、タッチ検出電極E2および誘電体Dによって、容量素子C1が構成される。容量素子C1は、その一端が交流信号源(駆動信号源)Sに接続され、他端Pは抵抗器Rを介して接地されると共に、電圧検出器(タッチ検出回路)DETに接続される。交流信号源Sから駆動電極E1(容量素子C1の一端)に所定の周波数(例えば数kHz〜数十kHz程度)の交流矩形波Sg(図3(B))を印加すると、タッチ検出電極E2(容量素子C1の他端P)に、図3(A)に示したような出力波形(タッチ検出信号Vdet)が現れる。なお、この交流矩形波Sgは、後述する交流駆動信号VcomACに相当するものである。
【0016】
指が接触(または近接)していない状態では、図1に示したように、容量素子C1に対する充放電に伴って、容量素子C1の容量値に応じた電流I0が流れる。このときの容量素子C1の他端Pの電位波形は、例えば図3(A)の波形V0のようになり、これが電圧検出器DETによって検出される。
【0017】
一方、指が接触(または近接)した状態では、図2に示したように、指によって形成される容量素子C2が容量素子C1に直列に追加された形となる。この状態では、容量素子C1、C2に対する充放電に伴って、それぞれ電流I1、I2が流れる。このときの容量素子C1の他端Pの電位波形は、例えば図3(A)の波形V1のようになり、これが電圧検出器DETによって検出される。このとき、点Pの電位は、容量素子C1、C2を流れる電流I1、I2の値によって定まる分圧電位となる。このため、波形V1は、非接触状態での波形V0よりも小さい値となる。電圧検出器DETは、検出した電圧を所定のしきい値電圧Vthと比較し、このしきい値電圧以上であれば非接触状態と判断する一方、しきい値電圧未満であれば接触状態と判断する。このようにして、タッチ検出が可能となる。
【0018】
<2.第1の実施の形態>
[構成例]
(全体構成例)
図4は、実施の形態に係る表示パネルの一構成例を表すものである。この表示パネル1は、液晶表示パネルと静電容量式のタッチパネルとを一体化した、いわゆるインセルタイプの表示装置である。
【0019】
この表示パネル1は、制御部11と、ゲートドライバ12と、ソースドライバ13と、選択スイッチ部14と、駆動電極ドライバ16と、タッチ検出機能付き表示デバイス10と、タッチ検出部40とを備えている。
【0020】
制御部11は、映像信号Vdispに基づいて、ゲートドライバ12、ソースドライバ13、駆動電極ドライバ16、およびタッチ検出部40に対してそれぞれ制御信号を供給し、これらがお互いに同期して動作するように制御する回路である。
【0021】
ゲートドライバ12は、制御部11から供給される制御信号に基づいて、タッチ検出機能付き表示デバイス10の表示駆動の対象となる1水平ラインを順次選択する機能を有している。具体的には、ゲートドライバ12は、後述するように、走査信号線GCLを介して、走査信号Vscanを画素PixのTFT素子Trのゲートに印加することにより、タッチ検出機能付き表示デバイス10の液晶表示デバイス20にマトリックス状に形成されている画素Pixのうちの1行(1水平ライン)を表示駆動の対象として順次選択する。
【0022】
ソースドライバ13は、制御部11から供給される映像信号および制御信号に基づいて、画素信号Vsigを生成し出力するものである。具体的には、ソースドライバ13は、後述するように、1水平ライン分の映像信号から、タッチ検出機能付き表示デバイス10の液晶表示デバイス20の複数(この例では3つ)のサブ画素SPixの画素信号Vpixを時分割多重した画素信号Vsigを生成し、選択スイッチ部14に供給するようになっている。また、ソースドライバ13は、画素信号Vsigに多重化された画素信号Vpixを分離するために必要なスイッチ制御信号Vsel(VselR,VselG,VselB)を生成し、画素信号Vsigとともに選択スイッチ部14に供給する機能も有している。なお、この多重化は、ソースドライバ13と選択スイッチ部14との間の配線数を少なくするために行われるものである。
【0023】
選択スイッチ部14は、ソースドライバ13から供給された画素信号Vsigおよびスイッチ制御信号Vselに基づいて、画素信号Vsigに時分割多重された画素信号Vpixを分離し、タッチ検出機能付き表示デバイス10の液晶表示デバイス20に供給するものである。
【0024】
図5は、選択スイッチ部14の一構成例を表すものである。選択スイッチ部14は、複数のスイッチグループ17を有する。各スイッチグループ17は、この例では、3つのスイッチSWR,SWG,SWBを有しており、それぞれの一端は互いに接続されソースドライバ13から画素信号Vsigが供給され、他端はタッチ検出機能付き表示デバイス10の液晶表示デバイス20の画素信号線SGLを介して、画素Pixに係る3つのサブ画素SPix(R,G,B)にそれぞれ接続されている。この3つのスイッチSWR,SWG,SWBは、ソースドライバ13から供給されたスイッチ制御信号Vsel(VselR,VselG,VselB)によってそれぞれオンオフ制御されるようになっている。この構成により、選択スイッチ部14は、スイッチ制御信号Vselに応じてこの3つのスイッチSWR,SWG,SWBを時分割的に順次切り替えてオン状態にすることにより、多重化された画素信号Vsigから画素信号Vpix(VpixR,VpixG,VpixB)を分離するように機能する。そして、選択スイッチ部14は、これらの画素信号Vpixを、3つのサブ画素SPixにそれぞれ供給するようになっている。
【0025】
駆動電極ドライバ16は、制御部11から供給される制御信号に基づいて、タッチ検出機能付き表示デバイス10の駆動電極COML(後述)に駆動信号Vcomを供給する回路である。具体的には、駆動電極ドライバ16は、後述するように、表示期間Pdにおいて、駆動電極COMLに対して直流駆動信号VcomDCを印加する。また、駆動電極ドライバ16は、後述するように、タッチ検出期間Ptにおいて、タッチ検出動作の対象となる駆動電極COMLに対して交流駆動信号VcomACを印加し、それ以外の駆動電極COMLに対して直流駆動信号VcomDCを印加する。交流駆動信号VcomACは、この例では2つのパルスを有するものである。駆動電極ドライバ16は、後述するように、所定の数の駆動電極COMLからなるブロック(後述する駆動電極ブロックB)ごとに駆動電極COMLを駆動するようになっている。
【0026】
タッチ検出機能付き表示デバイス10は、タッチ検出機能を内蔵した表示デバイスである。タッチ検出機能付き表示デバイス10は、液晶表示デバイス20と、タッチ検出デバイス30とを有する。液晶表示デバイス20は、後述するように、ゲートドライバ12から供給される走査信号Vscanに従って、1水平ラインずつ順次走査して表示を行うデバイスである。タッチ検出デバイス30は、上述した静電容量式タッチ検出の基本原理に基づいて動作し、タッチ検出信号Vdetを出力するものである。このタッチ検出デバイス30は、後述するように、駆動電極ドライバ16から供給される交流駆動信号VcomACに従って順次走査してタッチ検出を行うようになっている。
【0027】
タッチ検出部40は、制御部11から供給される制御信号と、タッチ検出機能付き表示デバイス10のタッチ検出デバイス30から供給されたタッチ検出信号Vdetに基づいて、タッチ検出デバイス30に対するタッチの有無を検出し、タッチがある場合においてタッチ検出領域におけるその座標などを求める回路である。このタッチ検出部40はLPF(Low Pass Filter)部42と、A/D変換部43と、信号処理部44と、座標抽出部45と、検出タイミング制御部46とを有している。LPF部42は、タッチ検出デバイス30から供給されるタッチ検出信号Vdetに含まれる高い周波数成分(ノイズ成分)を除去し、タッチ成分を取り出してそれぞれ出力する低域通過フィルタである。LPF部42の入力端子のそれぞれと接地との間には、直流電位(例えば0V)を与えるための抵抗Rが接続されている。A/D変換部43は、交流駆動信号VcomACに同期したタイミングで、LPF部42から出力されるアナログ信号をそれぞれサンプリングしてデジタル信号に変換する回路である。信号処理部44は、A/D変換部43の出力信号に基づいて、タッチ検出デバイス30に対するタッチの有無を検出する論理回路である。座標抽出部45は、信号処理部44においてタッチ検出がなされたときに、そのタッチパネル座標を求める論理回路である。検出タイミング制御部46は、これらの回路が同期して動作するように制御する機能を有している。
【0028】
(タッチ検出機能付き表示デバイス10)
次に、タッチ検出機能付き表示デバイス10の構成例を詳細に説明する。
【0029】
図6は、タッチ検出機能付き表示デバイス10の要部断面構造の例を表すものである。このタッチ検出機能付き表示デバイス10は、画素基板2と、この画素基板2に対向して配置された対向基板3と、画素基板2と対向基板3との間に挿設された液晶層6とを備えている。
【0030】
画素基板2は、回路基板としてのTFT基板21と、駆動電極COMLと、画素電極22とを有している。TFT基板21は、各種電極や配線、薄膜トランジスタ(TFT;Thin Film Transistor)などが形成される回路基板として機能するものである。TFT基板21は例えばガラスにより構成されるものである。TFT基板21の上には、駆動電極COMLが形成される。駆動電極COMLは、複数の画素Pix(後述)に共通の電圧を供給するための電極である。この駆動電極COMLは、液晶表示動作のための共通駆動電極として機能するとともに、タッチ検出動作のための駆動電極としても機能するものである。駆動電極COMLの上には絶縁層23が形成され、その上に画素電極22が形成される。画素電極22は、画素信号Vpixを供給するための電極であり、透光性を有するものである。駆動電極COMLおよび画素電極22は、例えばITO(Indium Tin Oxide)により構成される。
【0031】
対向基板3は、ガラス基板31と、カラーフィルタ32と、タッチ検出電極TDLとを有している。カラーフィルタ32は、ガラス基板31の一方の面に形成されている。このカラーフィルタ32は、例えば赤(R)、緑(G)、青(B)の3色のカラーフィルタ層を周期的に配列して構成したもので、各表示画素にR、G、Bの3色が1組として対応付けられている。また、ガラス基板31の他方の面には、タッチ検出電極TDLが形成されている。タッチ検出電極TDLは、例えばITOにより構成され、透光性を有する電極である。このタッチ検出電極TDLの上には、偏光板35が配設されている。
【0032】
液晶層6は、表示機能層として機能するものであり、電界の状態に応じてそこを通過する光を変調するものである。この電界は、駆動電極COMLの電圧と画素電極22の電圧との電位差により形成される。液晶層6には、FFS(フリンジフィールドスイッチング)やIPS(インプレーンスイッチング)等の横電界モードの液晶が用いられる。
【0033】
なお、液晶層6と画素基板2との間、および液晶層6と対向基板3との間には、それぞれ配向膜が配設され、また、画素基板2の下面側には入射側偏光板が配置されるが、ここでは図示を省略している。
【0034】
図7は、液晶表示デバイス20における画素構造の構成例を表すものである。液晶表示デバイス20は、マトリックス状に配列した複数の画素Pixを有している。各画素Pixは、3つのサブ画素SPixにより構成される。この3つのサブ画素SPixは、図6に示したカラーフィルタ32の3色(RGB)にそれぞれ対応するように配置されている。サブ画素SPixは、TFT素子Trおよび液晶素子LCを有している。TFT素子Trは、薄膜トランジスタにより構成されるものであり、この例では、nチャネルのMOS(Metal Oxide Semiconductor)型のTFTで構成されている。TFT素子Trのソースは画素信号線SGLに接続され、ゲートは走査信号線GCLに接続され、ドレインは液晶素子LCの一端に接続されている。液晶素子LCは、一端がTFT素子Trのドレインに接続され、他端が駆動電極COMLに接続されている。
【0035】
サブ画素SPixは、走査信号線GCLにより、液晶表示デバイス20の同じ行に属する他のサブ画素SPixと互いに接続されている。走査信号線GCLは、ゲートドライバ12と接続され、ゲートドライバ12より走査信号Vscanが供給される。また、サブ画素SPixは、画素信号線SGLにより、液晶表示デバイス20の同じ列に属する他のサブ画素SPixと互いに接続されている。画素信号線SGLは、選択スイッチ部14と接続され、選択スイッチ部14より画素信号Vpixが供給される。
【0036】
さらに、サブ画素SPixは、駆動電極COMLにより、液晶表示デバイス20の同じ行に属する他のサブ画素SPixと互いに接続されている。駆動電極COMLは、駆動電極ドライバ16と接続され、駆動電極ドライバ16より駆動信号Vcom(直流駆動信号VcomDC)が供給される。
【0037】
この構成により、液晶表示デバイス20では、ゲートドライバ12が走査信号線GCLを時分割的に線順次走査するように駆動することにより、1水平ラインが順次選択され、その1水平ラインに属する画素Pixに対して、ソースドライバ13および選択スイッチ部14が画素信号Vpixを供給することにより、1水平ラインずつ表示が行われるようになっている。
【0038】
図8は、タッチ検出デバイス30の一構成例を斜視的に表すものである。タッチ検出デバイス30は、画素基板2に設けられた駆動電極COML、および対向基板3に設けられたタッチ検出電極TDLにより構成されている。駆動電極COMLは、図の左右方向に延在する帯状の電極パターンを有している。タッチ検出動作を行う際は、後述するように、各電極パターンには、所定の数の駆動電極COMLからなるブロック(後述する駆動電極ブロックB)ごとに交流駆動信号VcomACが順次供給され、時分割的に順次走査駆動が行われるようになっている。タッチ検出電極TDLは、駆動電極COMLの電極パターンの延在方向と直交する方向に延びる帯状の電極パターンを有している。タッチ検出電極TDLの各電極パターンは、タッチ検出部40のLPF部42の入力にそれぞれ接続されている。駆動電極COMLとタッチ検出電極TDLにより互いに交差した電極パターンは、その交差部分に静電容量を形成している。
【0039】
この構成により、タッチ検出デバイス30では、駆動電極ドライバ16が駆動電極COMLに対して交流駆動信号VcomACを印加することにより、タッチ検出電極TDLからタッチ検出信号Vdetを出力し、タッチ検出が行われるようになっている。つまり、駆動電極COMLは、図1図3に示したタッチ検出の基本原理における駆動電極E1に対応し、タッチ検出電極TDLは、タッチ検出電極E2に対応するものであり、タッチ検出デバイス30はこの基本原理に従ってタッチを検出するようになっている。図8に示したように、互いに交差した電極パターンは、静電容量式タッチセンサをマトリックス状に構成している。よって、タッチ検出デバイス30のタッチ検出面全体にわたって走査することにより、外部近接物体の接触または近接が生じた位置の検出も可能となっている。
【0040】
図9は、タッチ検出走査を模式的に表すものである。図9では、タッチ検出面が20個の駆動電極ブロックB1〜B20により構成される場合の、各駆動電極ブロックB1〜B20に対する交流駆動信号VcomACの供給動作を示している。駆動電極ブロックBは、例えば、操作するユーザの指の大きさに対応する幅(例えば5mm程度)に設定される。駆動電極ドライバ16は、駆動電極COMLに対して、駆動電極ブロックBごとに交流駆動信号VcomACを印加する。斜線部は、交流駆動信号VcomACが供給された駆動電極ブロックBを示しており、その他の駆動電極ブロックBには、直流駆動信号VcomDCが供給されるようになっている。駆動電極ドライバ16は、図9に示したように、タッチ検出動作の対象となる駆動電極ブロックBを順次選択して、その駆動電極ブロックBに属する駆動電極COMLに交流駆動信号VcomACを印加することにより、全ての駆動電極ブロックBにわたって走査する。なお、この例では、説明の便宜上、駆動電極ブロックBの個数を20個としているが、これに限定されるものではない。
【0041】
[動作および作用]
続いて、本実施の形態の表示パネル1の動作および作用について説明する。
【0042】
(全体動作概要)
まず、図4を参照して、表示パネル1の全体動作概要を説明する。制御部11は、映像信号Vdispに基づいて、ゲートドライバ12、ソースドライバ13、駆動電極ドライバ16、およびタッチ検出部40に対してそれぞれ制御信号を供給し、これらがお互いに同期して動作するように制御する。ゲートドライバ12は、液晶表示デバイス20に走査信号Vscanを供給し、表示駆動の対象となる1水平ラインを順次選択する。ソースドライバ13は、画素信号Vpixが多重化された画素信号Vsigと、それに対応したスイッチ制御信号Vselを生成し、選択スイッチ部14に供給する。選択スイッチ部14は、画素信号Vsigおよびスイッチ制御信号Vselに基づいて画素信号Vpixを分離生成し、その画素信号Vpixを、1水平ラインを構成する各画素Pixに供給する。駆動電極ドライバ16は、表示期間Pdにおいて、全ての駆動電極COMLに対して直流駆動信号VcomDCを印加する。また、駆動電極ドライバ16は、タッチ検出期間Ptにおいて、タッチ検出動作の対象となる駆動電極ブロックBに属する駆動電極COMLに対して、交流駆動信号VcomACを印加するとともに、その他の駆動電極COMLに対して直流駆動信号VcomDCを印加する。タッチ検出機能付き表示デバイス10は、表示期間Pdにおいて表示動作を行うとともに、タッチ検出期間Ptにおいてタッチ検出動作を行い、タッチ検出電極TDLからタッチ検出信号Vdetを出力する。
【0043】
タッチ検出部40は、タッチ検出信号Vdetに基づいて、タッチ検出面におけるタッチを検出する。具体的には、LPF部42は、タッチ検出信号Vdetに含まれる高い周波数成分(ノイズ成分)を除去し、タッチ成分を取り出して出力する。A/D変換部43は、LPF部42から出力されるアナログ信号をデジタル信号に変換する。信号処理部44は、A/D変換部43の出力信号に基づいて、タッチ検出面におけるタッチの有無を検出する。座標抽出部45は、信号処理部44においてタッチ検出がなされたときに、そのタッチパネル座標を求める。検出タイミング制御部46は、LPF部42、A/D変換部43、信号処理部44、座標抽出部45が同期して動作するように制御する。
【0044】
(詳細動作)
次に、いくつかの図を参照して、表示パネル1の動作を詳細に説明する。
【0045】
図11は、表示パネル1のタイミング波形例を表すものであり、(A)は走査信号Vscanの波形を示し、(B)は画素信号Vsigの波形を示し、(C)はスイッチ制御信号Vselの波形を示し、(D)は画素信号Vpixの波形を示し、(E)は駆動信号Vcomの波形を示し、(F)はタッチ検出信号Vdetの波形を示す。
【0046】
表示パネル1では、各1水平期間(1H)において、タッチ検出動作を行うタッチ検出期間Ptと、表示動作を行う表示期間Pdとが設けられる。表示動作では、ゲートドライバ12が、走査信号線GCLに対して走査信号Vscanを順次印加することにより表示走査を行う。タッチ検出動作では、駆動電極ドライバ16が、駆動電極ブロックBごとに交流駆動信号VcomACを順次印加することによりタッチ検出走査を行い、タッチ検出部40が、タッチ検出電極TDLから出力されるタッチ検出信号Vdetに基づいてタッチを検出する。以下にその詳細を説明する。
【0047】
まず、タイミングt1において、1水平期間(1H)が開始するとともに、タッチ検出期間Ptが開始する。
【0048】
駆動電極ドライバ16は、タイミングt1〜t2の期間(タッチ検出期間Pt)において、駆動電極COMLに対して交流駆動信号VcomACを印加し、タッチ検出部40が、サンプリングタイミングtsにおいて、タッチ検出信号Vdetをサンプリングする。具体的には、駆動電極ドライバ16は、タッチ検出期間Ptにおいて、タッチ検出動作に係るk番目の駆動電極ブロックB(k)を構成する駆動電極COMLに対して、交流駆動信号VcomACを印加する(図10(E))。この交流駆動信号VcomACは、静電容量を介してタッチ検出電極TDLに伝わり、タッチ検出信号Vdetが変化する(図10(F))。そして、タッチ検出部40は、このタッチ検出信号Vdetに基づいて、タッチ検出を行う。
【0049】
次に、ゲートドライバ12は、タイミングt2において、表示動作に係るn行目の走査信号線GCL(n)に対して、走査信号Vscanを印加し、走査信号Vscan(n)が低レベルから高レベルに変化する(図10(A))。これにより、ゲートドライバ12は、表示動作の対象となる1水平ラインを選択する。
【0050】
そして、ソースドライバ13が、画素信号Vsigとして、赤色のサブ画素SPixのための画素電圧VRを選択スイッチ部14に供給するとともに(図10(B))、その画素電圧VRを供給している期間において高レベルとなるスイッチ制御信号VselRを生成する(図10(C))。そして、選択スイッチ部14は、このスイッチ制御信号VselRが高レベルとなる期間においてスイッチSWRをオン状態にすることにより、ソースドライバ13から供給された画素電圧VRを画素信号Vsigから分離し、画素信号VpixRとして、画素信号線SGLを介して、赤色のサブ画素SPixに対して供給する(図10(D))。なお、スイッチSWRがオフ状態になった後には、この画素信号線SGLがフローティング状態になるために、この画素信号線SGLの電圧は保持される(図10(D))。
【0051】
同様に、ソースドライバ13は、緑色のサブ画素Spixのための画素電圧VGを、対応するスイッチ制御信号VselGとともに選択スイッチ部14に供給し(図10(B),(C))、選択スイッチ部14は、スイッチ制御信号VselGに基づいて、この画素電圧VGを画素信号Vsigから分離して、画素信号VpixGとして、画素信号線SGLを介して、緑色のサブ画素SPixに供給する(図10(D))。
【0052】
その後、同様に、ソースドライバ13は、青色のサブ画素Spixのための画素電圧VBを、対応するスイッチ制御信号VselBとともに選択スイッチ部14に供給し(図10(B),(C))、選択スイッチ部14は、スイッチ制御信号VselBに基づいて、この画素電圧VBを画素信号Vsigから分離して、画素信号VpixBとして、画素信号線SGLを介して、青色のサブ画素SPixに供給する(図10(D))。
【0053】
次に、ゲートドライバ12は、タイミングt3において、n行目の走査信号線GCLの走査信号Vscan(n)を高レベルから低レベルに変化させる(図10(A))。これにより、表示動作に係る1水平ラインのサブ画素Spixは、画素信号線SGLから電気的に切り離される。
【0054】
そして、タイミングt4において1水平期間(1H)が終了するとともに、新たな1水平期間(1H)が開始する。
【0055】
これ以降、上述した動作を繰り返すことにより、表示パネル1では、線順次走査により、表示面全体における表示動作が行われるとともに、以下に示すように駆動電極ブロックBずつ走査することにより、タッチ検出面全体におけるタッチ検出動作が行われる。
【0056】
(タッチ検出動作)
次に、タッチ検出動作について、詳細に説明する。
【0057】
図11(A)は交流駆動信号VcomACの波形を表し、図11(B)はタッチ検出信号Vdetの波形を表すものである。交流駆動信号VcomACは、2つのパルスからなるものである。これらの2つのパルスのパルス幅およびパルス間隔は、この例では、互いに等しい時間twに設定されている。この時間twは、例えば2[usec]である。この交流駆動信号VcomACが、静電容量を介してタッチ検出電極TDLに伝わることにより、図11(B)に示したようなタッチ検出信号Vdetが生じる。
【0058】
タッチ検出部40のA/D変換部43は、この交流駆動信号VcomACにおける各遷移の前後のタイミング(サンプリングタイミングts1〜ts8)において、このタッチ検出信号Vdetが入力されたLPF部42の出力信号をA/D変換して(図11(B))、データD(ts1)〜D(ts8)を求める。
【0059】
そして、タッチ検出部40の信号処理部44は、これらのデータD(ts1)〜D(ts8)に基づいて、各遷移におけるタッチ検出信号Vdetの変化量R1(=D(ts2)−D(ts1)),F1(=D(ts4)−D(ts3)),R2(=D(ts6)−D(ts5)),F2(=D(ts8)−D(ts7))を求める。すなわち、変化量R1,R2は正の値を有し(R1,R2>0)、変化量F1,F2は負の値を有する(F1,F2<0)。
【0060】
次に、信号処理部44は、これらの変化量R1,F1,R2,F2に基づいて、次式を用いて、そのタッチ検出期間Ptにおける検出データDDを求める。
DD=R1−F1+R2−F2 ・・・(1)
【0061】
そして、信号処理部44は、以下に説明するように、複数の水平期間において検出データDDを収集し、それらの検出データDDに基づいてタッチ検出を行う。
【0062】
図12は、タッチ検出走査の動作例を表すものであり、(A)は駆動信号Vcomの波形を示し、(B)はタッチ検出信号Vdetの波形を示す。
【0063】
駆動電極ドライバ16は、図12に示したように、駆動電極COMLに対して、駆動電極ブロックBごとに交流駆動信号VcomACを順次印加してタッチ検出走査を行う。その際、駆動電極ドライバ16は、各駆動電極ブロックBに対して、所定の複数(例えば30個)の水平期間にわたり、交流駆動信号VcomACを印加する(図12(A))。タッチ検出部40は、各1水平期間において、この交流駆動信号VcomACに基づくタッチ検出信号Vdetをサンプリングして検出データDDを求める。そして、信号処理部44は、30個の検出データDDを、例えば、30タップのFIR(Finite Impulse Response)フィルタにより平均化して、その駆動電極ブロックBに対応する領域におけるタッチの有無などを検出する。このように、複数のサンプリング結果に基づいてタッチ検出を行うようにしたので、サンプリング結果を統計的に解析することが可能となり、サンプリング結果のばらつきに起因するS/N比の劣化を抑えることができ、タッチ検出の精度を高めることができる。
【0064】
(タッチ検出動作の誤動作の防止について)
静電容量式のタッチパネルでは、インバータ蛍光灯やAM波、AC電源などに起因するノイズ(外乱ノイズ)がタッチパネルに伝播し、誤動作を引き起こす可能性がある。この誤動作は、タッチの有無に関する信号(タッチ信号)と外乱ノイズとを区別できないことに起因する。表示パネル1では、交流駆動信号VcomACの周波数を容易に変化させることができるため、そのような誤動作を抑えることができる。以下に、詳細に説明する。
【0065】
図13は、外乱ノイズが印加された場合のサンプリング動作を模式的に表すものであり、(A)は交流駆動信号VcomACの波形を示し、(B)〜(D)はその外乱ノイズに起因してタッチ検出信号Vdetに重畳されるノイズ信号の一例をそれぞれ示している。
【0066】
まず、図13(B)に示したノイズ信号VN1の場合について説明する。ノイズ信号VN1は、時間twを周期とする信号であり、時間twが2[usec]の場合には、その周波数は500[kHz]である。
【0067】
図13(B)に示したように、ノイズ信号VN1は、交流駆動信号VcomACの各遷移の前後において、全て同じ変化分(ノイズn1)となる。よって、タッチ検出信号Vdetにノイズ信号VN1が重畳された場合には、検出データDDは、次式のようになる。
DD=(R1+n1)−(F1+n1)+(R2+n1)−(F2+n1)
=R1−F1+R2−F2 ・・・(2)
すなわち、例えば、交流駆動信号VcomACの1パルス目の立ち上がりに係るノイズn1と立ち下がりに係るノイズn1とが打ち消し合い、同様に、交流駆動信号VcomACの2パルス目の立ち上がりに係るノイズn1と立ち下がりに係るノイズn1とが打ち消し合うため、式(2)に示したように、検出データDDにはノイズn1は現れない。言い換えれば、ノイズ信号VN1では、交流駆動信号VcomACにおける反対極性の遷移タイミングペアPAに、同極性のノイズn1(ペアP1)が生じるため、互いに打ち消し合うこととなる。よって、ノイズ信号VN1は、タッチ検出動作に影響を与えることはない。
【0068】
なお、ノイズ信号VN1の整数倍の周波数をもつノイズ信号も、同様の原理により打ち消されるため、タッチ検出動作に影響を与えることはない。
【0069】
次に、図13(C)に示したノイズ信号VN2の場合について説明する。ノイズ信号VN2は、時間twの4/3倍を周期とする信号であり、時間twが2[usec]の場合には、その周波数は375[kHz]である。
【0070】
図13(C)に示したように、ノイズ信号VN2は、交流駆動信号VcomACの1パルス目の立ち上がりの前後においてノイズn2だけ変化し、2パルス目の立ち上がりの前後においてノイズ(−n2)だけ変化する。よって、タッチ検出信号Vdetにノイズ信号VN2が重畳された場合には、検出データDDは、次式のようになる。
DD=(R1+n2)−F1+(R2−n2)−F2
=R1−F1+R2−F2 ・・・(3)
すなわち、この例では、交流駆動信号VcomACの1パルス目の立ち上がりに係るノイズn2と、交流駆動信号VcomACの2パルス目の立ち上がりに係るノイズ(−n2)とが打ち消し合うため、式(3)に示したように、検出データDDにはノイズn2は現れない。言い換えれば、ノイズ信号VN2では、交流駆動信号VcomACにおける同極性の遷移タイミングペアPBに、反対極性のノイズn2,−n2(ペアP2)が生じるため、互いに打ち消し合うこととなる。よって、ノイズ信号VN2は、タッチ検出動作に影響を与えることはない。
【0071】
次に、図13(D)に示したノイズ信号VN3の場合について説明する。ノイズ信号VN3は、時間twの4倍を周期とする信号であり、時間twが2[usec]の場合には、その周波数は125[kHz]である。
【0072】
図13(D)に示したように、ノイズ信号VN3は、交流駆動信号VcomACの1パルス目の立ち上がりの前後においてノイズn3だけ変化し、2パルス目の立ち上がりの前後においてノイズ(−n3)だけ変化する。よって、タッチ検出信号Vdetにノイズ信号VN3が重畳された場合には、検出データDDは、次式のようになる。
DD=(R1+n2)−F1+(R2−n2)−F2
=R1−F1+R2−F2 ・・・(4)
すなわち、この例では、交流駆動信号VcomACの1パルス目の立ち上がりに係るノイズn3と、交流駆動信号VcomACの2パルス目の立ち上がりに係るノイズ(−n3)とが打ち消し合うため、式(4)に示したように、検出データDDにはノイズn3は現れない。言い換えれば、ノイズ信号VN3では、ノイズ信号VN2の場合と同様に、交流駆動信号VcomACにおける同極性の遷移タイミングペアPBに、反対極性のノイズn3,−n3(ペアP3)が生じるため、互いに打ち消し合うこととなる。よって、ノイズ信号VN3は、タッチ検出動作に影響を与えることはない。
【0073】
なお、ノイズ信号VN2の周波数は、ノイズ信号VN3の周波数の3倍であり、上述したように、ノイズ信号VN2,VN3は、同様の原理により打ち消されるものである。このように、ノイズ信号VN3の奇数倍の周波数をもつノイズ信号は、同様の原理により打ち消されるため、タッチ検出動作に影響を与えることはない。
【0074】
以上に説明したように、表示パネル1は、ノイズ信号VN1〜VN3のような様々な周波数のノイズ信号を打ち消すことができる。これらの周波数は、例えば時間twなどを調整することにより変更することができる。これにより、表示パネル1では、外乱ノイズの周波数が既知の場合において、そのノイズを打ち消すように、交流駆動信号VcomACのパルス幅およびパルス間隔を調整することにより、その外乱ノイズに対する耐性を向上することができる。
【0075】
このように、表示パネル1では、交流駆動信号を複数のパルスにより構成したので、複数の周波数(この例では125[kHz]、375[kHz]、500[kHz]等)のノイズに対する耐性を高めることができる。これにより、表示パネル1では、単一の周波数の外乱ノイズが印加される場合だけでなく、例えば複数の周波数の外乱ノイズや、幅の広いスペクトラムを有する外乱ノイズが印加される場合などにおいても、外乱ノイズに対する耐性を向上することができる。
【0076】
[効果]
以上のように本実施の形態では、交流駆動信号を複数のパルスにより構成したので、周波数が互いに異なる複数のノイズ信号を打ち消すことができ、ノイズによる誤動作のおそれを低減することができる。
【0077】
[変形例1−1]
上記実施の形態では、交流駆動信号VcomACを2つのパルスにより構成したが、これに限定されるものではなく、これに代えて、例えば、3つ以上のパルスにより構成してもよい。これにより、より多くのノイズ成分を打ち消すことができ、それらの外乱ノイズに対する耐性を向上することができる。
【0078】
[変形例1−2]
上記実施の形態では、交流駆動信号VcomACのパルス幅およびパルス間隔を互いに等しくしたが、これに限定されるものではなく、これに代えて、例えば、各パルスのパルス幅およびパルス間隔を互いに異なるようにしてもよい。
【0079】
[変形例1−3]
上記実施の形態の構成に加え、さらに、1水平期間(1H)の時間幅を可変に構成してもよい。これにより、例えば、水平期間の時間の逆数に相当する周波数の整数倍付近の外乱ノイズに対する耐性をさらに高めることができる。以下に、本変形例に係る表示パネルの詳細を説明する。
【0080】
図14(A)〜(D)は1水平期間(1H)の時間幅が短い場合における動作のタイミング図を表すものであり、 図14(E)〜(H)は1水平期間(1H)の時間幅が長い場合における動作のタイミング図を表すものである。図14において、(A),(E)は走査信号Vscanの波形を示し、(B),(F)は画素信号Vsigの波形を示し、(C),(G)はスイッチ制御信号Vselの波形を示し、(D),(H)は駆動信号Vcomの波形を示す。
【0081】
本変形例に係る表示パネルでは、図14に示したように、1水平期間(1H)の時間幅を変化させることができる。これにより、外乱ノイズに起因するタッチ検出動作の誤動作のおそれを低減することができる。
【0082】
すなわち、外乱ノイズの周波数が、1水平期間の時間の逆数に相当する周波数の整数倍付近である場合において、その外乱ノイズがA/D変換部43においてA/D変換されると、その外乱ノイズは、周波数0の近傍にいわゆる折り返しノイズとして現れてしまう。これにより、周波数0の近傍のタッチ信号に、この折り返しノイズが混ざり合うため、タッチ信号とノイズ信号とを区別することができない。本変形例に係る表示パネルでは、1水平期間の時間幅を変化させることができるため、外乱ノイズの影響を受けない条件を選択して、タッチ検出を行うことができる。
【0083】
<3.第2の実施の形態>
次に、第2の実施の形態に係る表示パネル2について説明する。本実施の形態は、交流駆動信号VcomACを1つのパルスにより構成するとともに、そのパルス幅を可変に構成したものである。すなわち、上記第1の実施の形態(図11)では、交流駆動信号を複数のパルスにより構成することにより、周波数が互いに異なる複数のノイズに対する耐性を高めるようにしたが、これに代えて、本実施の形態では、パルス幅を変化させることにより、同様の効果を得るものである。なお、上記第1の実施の形態に係る表示パネル1と実質的に同一の構成部分には同一の符号を付し、適宜説明を省略する。
【0084】
表示パネル2は、駆動電極ドライバ56を備えている(図4)。駆動電極ドライバ56は、1つのパルスからなる交流駆動信号VcomACを生成する。その際、駆動電極ドライバ56は、そのパルスのパルス幅を変化させることができるようになっている。
【0085】
図15(A),(B)は、パルス幅を狭めた場合(ケースC1)の交流駆動信号VcomACおよびタッチ検出信号Vdetの波形を表し、図15(C),(D)は、パルス幅を広げた場合(ケースC2)の交流駆動信号VcomACおよびタッチ検出信号Vdetの波形を表す。ケースC1におけるパルス幅tw2(図15(A))は、例えば4[usec]であり、ケースC2におけるパルス幅tw3(図15(C))は、例えば6[usec]である。これらの交流駆動信号VcomAC(図15(A),(C))は、上記第1の実施の形態の場合と同様に、静電容量を介してタッチ検出電極TDLに伝わることにより、図15(B),(D)に示したようなタッチ検出信号Vdetが生じる。
【0086】
タッチ検出部40のA/D変換部43は、この交流駆動信号VcomACにおける各遷移の前後のタイミング(サンプリングタイミングts1〜ts4)において、このタッチ検出信号Vdetが入力されたLPF部42の出力信号をA/D変換して(図15(B),(D))、データD(ts1)〜D(ts4)を求める。
【0087】
そして、タッチ検出部40の信号処理部44は、これらのデータD(ts1)〜D(ts4)に基づいて、各遷移におけるタッチ検出信号Vdetの変化量R1(=D(ts2)−D(ts1)),F1(=D(ts4)−D(ts3))を求める。すなわち、変化量R1は正の値を有し(R1>0)、変化量F1は負の値を有する(F1<0)。
【0088】
次に、信号処理部44は、これらの変化量R1,F1に基づいて、次式を用いて、そのタッチ検出期間Ptにおける検出データDDを求める。
DD=R1−F1 ・・・(5)
【0089】
そして、信号処理部44は、上記第1の実施の形態の場合と同様に、複数の水平期間において収集したこの検出データDDに基づいて、タッチ検出を行う。
【0090】
次に、外乱ノイズが印加された場合の動作を、パルス幅を狭めた場合(ケースC1)およびパルス幅を広げた場合(ケースC2)のそれぞれについて順に説明する。
【0091】
図16は、パルス幅を狭めた場合(ケースC1)のサンプリング動作を模式的に表すものであり、(A)は交流駆動信号VcomACの波形を示し、(B),(C)はタッチ検出信号Vdetに重畳されるノイズ信号の一例をそれぞれ示している。
【0092】
ノイズ信号VN4(図16(B))は、時間tw2の半分を周期とする信号であり、時間tw2が4[usec]の場合には、その周波数は500[kHz]である。図16(B)に示したように、ノイズ信号VN4は、交流駆動信号VcomACの各遷移において、同じ変化分(ノイズn4)となる。よって、タッチ検出信号Vdetにノイズ信号VN1が重畳された場合には、検出データDDは、次式のようになる。
DD=(R1+n4)−(F1+n4)
=R1−F1 ・・・(6)
すなわち、交流駆動信号VcomACの立ち上がりに係るノイズn4と立ち下がりに係るノイズn4とが打ち消し合うため、式(6)に示したように、検出データDDにはノイズn4は現れない。
【0093】
ノイズ信号VN5(図16(C))は、時間tw2を周期とする信号であり、時間tw2が4[usec]の場合には、その周波数は250[kHz]である。図16(C)に示したように、ノイズ信号VN5は、交流駆動信号VcomACの各遷移において、同じ変化分(ノイズn5)となる。よって、ノイズ信号VN4の場合と同様に、検出データDDにはノイズn5は現れない。
【0094】
このように、ノイズ信号VN4,VN5では、交流駆動信号VcomACにおける反対極性の遷移タイミングペアPCに、同極性のノイズが生じるため、互いに打ち消し合うこととなる。同様に、ノイズ信号VN5の整数倍の周波数をもつノイズ信号は、同様の原理により打ち消されるため、タッチ検出動作に影響を与えることはない。
【0095】
図17は、パルス幅を広げた場合(ケースC2)のサンプリング動作を模式的に表すものであり、(A)は交流駆動信号VcomACの波形を示し、(B)〜(D)はタッチ検出信号Vdetに重畳されるノイズ信号の一例をそれぞれ示している。
【0096】
ノイズ信号VN6(図17(B))は、時間tw3の1/3を周期とする信号であり、時間tw3が6[usec]の場合には、その周波数は500[kHz]である。図17(B)に示したように、ノイズ信号VN6は、交流駆動信号VcomACの各遷移において、同じ変化分(ノイズn6)となる。よって、タッチ検出信号Vdetにノイズ信号VN1が重畳された場合には、検出データDDは、次式のようになる。
DD=(R1+n6)−(F1+n6)
=R1−F1 ・・・(7)
すなわち、交流駆動信号VcomACの立ち上がりに係るノイズn6と立ち下がりに係るノイズn6とが打ち消し合うため、式(7)に示したように、検出データDDにはノイズn6は現れない。
【0097】
ノイズ信号VN7(図17(C))は、時間tw3の半分を周期とする信号であり、時間tw3が6[usec]の場合には、その周波数は333[kHz]である。図17(C)に示したように、ノイズ信号VN7は、交流駆動信号VcomACの各遷移において、同じ変化分(ノイズn7)となる。よって、ノイズ信号VN6の場合と同様に、検出データDDにはノイズn7は現れない。
【0098】
ノイズ信号VN8(図17(D))は、時間tw3を周期とする信号であり、時間tw3が6[usec]の場合には、その周波数は166[kHz]である。図17(D)に示したように、ノイズ信号VN8は、交流駆動信号VcomACの各遷移において、同じ変化分(ノイズn8)となる。よって、ノイズ信号VN6の場合と同様に、検出データDDにはノイズn8は現れない。
【0099】
このように、ノイズ信号VN6〜VN8では、交流駆動信号VcomACにおける反対極性の遷移タイミングペアPDに、同極性のノイズが生じるため、互いに打ち消し合うこととなる。同様に、ノイズ信号VN8の整数倍の周波数をもつノイズ信号は、同様の原理により打ち消されるため、タッチ検出動作に影響を与えることはない。
【0100】
このように、表示パネル2では、パルス幅を狭めた場合(ケースC1)には、この例では250[kHz],500[kHz]等のノイズを打ち消し、パルス幅を広げた場合(ケースC2)には、この例では166[kHz],333[kHz],500[kHz]等のノイズを打ち消すことができる。よって、表示パネル2では、パルス幅を変更することにより、様々な周波数のノイズに対する耐性を高めることができる。
【0101】
具体的には、例えば、パルス幅を変更することによりノイズの影響が少ない設定(パルス幅)を求めた後、その設定にてタッチ検出動作を行うようにしてもよいし、例えば、所定の期間(例えば1フレームごと)に常にパルス幅を変更しながらタッチ検出動作を行い、ノイズが多い条件での検出結果のみを破棄するようにしてもよい。また、例えば、通常は所定のパルス幅でタッチ検出動作を行い、ノイズが観測された場合において、パルス幅を変更してタッチ検出動作を続けるようにしてもよい。なお、ノイズを測定する方法としては、例えば、タッチ検出動作により得られたタッチ検出面全面の検出データを利用する方法や、ノイズを測定するための専用フレームを設ける方法がある。
【0102】
以上のように本実施の形態では、パルス幅を変化させるようにしたので、周波数が互いに異なる複数のノイズ信号を打ち消すことができ、ノイズによる誤動作のおそれを低減することができる。
【0103】
[変形例2−1]
上記実施の形態では、パルス幅を2つのパルス幅tw2,tw3(ケースC1,C2)の間で切り換えたが、これに限定されるものではなく、これに代えて、3つ以上のパルス幅の間で切り換えてもよい。
【0104】
[変形例2−2]
上記実施の形態でも、上記第1の実施の形態の変形例1−3と同様に、1水平期間(1H)の時間幅を可変に構成してもよい。
【0105】
[変形例2−3]
上記実施の形態では、同じパルス幅の交流駆動信号VcomACを用いて得られた検出データDDに基づいて、例えばFIRフィルタなどによりタッチ検出動作を行ったが、これに限定されるものではなく、これに代えて、例えば、図18に示したように、水平期間ごとにパルス幅を切り換え、互いに異なるパルス幅の交流駆動信号VcomACを用いて得られた検出データDDに基づいてタッチ検出動作を行ってもよい。
【0106】
<4.第3の実施の形態>
次に、第3の実施の形態に係る表示パネル3について説明する。本実施の形態は、交流駆動信号VcomACを、上記第1の実施の形態と同様に複数のパルスにより構成するとともに、そのパルス幅およびパルス間隔を、上記第2の実施の形態と同様に可変に構成したものである。なお、上記第1および第2の実施の形態に係る表示パネル1,2と実質的に同一の構成部分には同一の符号を付し、適宜説明を省略する。
【0107】
表示パネル3は、駆動電極ドライバ66を備えている(図4)。駆動電極ドライバ66は、複数のパルスからなる交流駆動信号VcomACを生成する。その際、駆動電極ドライバ66は、そのパルス幅およびパルス間隔を変化させることができる。
【0108】
図19(A),(B)は、交流駆動信号VcomACおよびタッチ検出信号Vdetの波形の一例を表し、図19(C),(D)は、パルス周期を維持したままパルス幅を狭めた場合の交流駆動信号VcomACおよびタッチ検出信号Vdetの波形を表し、図19(E),(F)は、パルス幅を維持したままパルス間隔を狭めた場合の交流駆動信号VcomACおよびタッチ検出信号Vdetの波形を表す。
【0109】
タッチ検出部40のA/D変換部43は、上記第1の実施の形態の場合と同様に、この交流駆動信号VcomACにおける各遷移の前後のタイミング(サンプリングタイミングts1〜ts8)において、このタッチ検出信号Vdetが入力されたLPF部42の出力信号をA/D変換して(図19(B),(D),(F))、データD(ts1)〜D(ts8)を求める。そして、タッチ検出部40の信号処理部44は、これらのデータD(ts1)〜D(ts8)に基づいて、検出データDDを求め、それに基づいてタッチ検出を行う。
【0110】
表示パネル3では、上記第2の実施の形態に係る表示パネル2の場合と同様に、例えば、パルス幅やパルス間隔を変更することによりノイズの影響が少ない設定(パルス幅)を求めた後、その設定にてタッチ検出動作を行うことにより、様々な周波数のノイズに対する耐性を高めることができる。
【0111】
以上のように本実施の形態では、パルス幅およびパルス間隔を変化させるようにしたので、ノイズによる誤動作のおそれを低減することができる。その他の効果は、上記第1の実施の形態の場合と同様である。
【0112】
[変形例3−1]
上記実施の形態でも、上記第1の実施の形態の変形例1−1と同様に、交流駆動信号VcomACを例えば3つ以上のパルスにより構成してもよいし、上記第1の実施の形態の変形例1−3と同様に、1水平期間(1H)の時間幅を可変に構成してもよい。
【0113】
[変形例3−2]
上記実施の形態でも、上記第2の実施の形態の変形例2−3と同様に、例えば水平期間ごとにパルス幅を切り換えながらタッチ検出動作を行ってもよい。
【0114】
<5.適用例>
次に、上記実施の形態および変形例で説明した表示パネルの適用例について説明する。
【0115】
図20は、上記実施の形態等の表示パネルが適用されるテレビジョン装置の外観を表すものである。このテレビジョン装置は、例えば、フロントパネル511およびフィルターガラス512を含む映像表示画面部510を有しており、この映像表示画面部510は、上記実施の形態等に係る表示パネルにより構成されている。
【0116】
上記実施の形態等の表示パネルは、このようなテレビジョン装置の他、デジタルカメラ、ノート型パーソナルコンピュータ、携帯電話等の携帯端末装置、携帯型ゲーム機、あるいはビデオカメラなどのあらゆる分野の電子機器に適用することが可能である。言い換えると、上記実施の形態等の表示パネルは、映像を表示するあらゆる分野の電子機器に適用することが可能である。
【0117】
以上、いくつかの実施の形態および変形例、ならびに電子機器への適用例を挙げて本技術を説明したが、本技術はこれらの実施の形態等には限定されず、種々の変形が可能である。
【0118】
例えば、上記の各実施の形態では、タッチ検出動作の際、所定の本数の駆動電極COMLからなる駆動電極ブロックBごとに駆動電極COMLを駆動し走査したが、これに限定されるものではなく、これに代えて、例えば、所定の本数の駆動電極COMLを同時に駆動するとともに、その駆動する駆動電極COMLを1本ずつシフトすることにより走査してもよい。以下に、その詳細を説明する。
【0119】
図21は、本変形例に係るタッチ検出動作の一例を模式的に表すものである。本変形例に係る駆動電極ドライバは、所定の本数の駆動電極COMLに対して同時に交流駆動信号VcomACを印加する。具体的には、この駆動電極ドライバは、所定の本数(この例では5本)の駆動電極COMLに対して同時に交流駆動信号VcomACを印加し(斜線部)、交流駆動信号VcomACを印加する駆動電極COMLを1本ずつシフトすることによりタッチ検出走査を行う。なお、この例では、5本の駆動電極COMLに対して同時に交流駆動信号VcomACを印加したが、これに限定されるものではなく、これに代えて4本以下もしくは6本以上の駆動電極COMLに対して同時に交流駆動信号VcomACを印加してもよい。また、この例では交流駆動信号VcomACを印加する駆動電極COMLを1本ずつシフトするようにしたが、これに限定されるものではなく、これに代えて、2以上の本数ずつシフトしてもよい。
【0120】
また、例えば、上記実施の形態等では、交流駆動信号VcomACは、例えば図11に示したように、直流駆動信号VcomDCを基準とした正の電圧のパルスを用いて構成したが、これに限定されるものではなく、これに代えて、負の電圧のパルスを用いて構成してもよい。また、上記第1の実施の形態等において、例えば図22,23に示したように、正の電圧のパルスと負の電圧のパルスの両方を用いて構成してもよい。図22に示した交流駆動信号VcomACは、1パルス目を正の電圧のパルスで構成し、2パルス目を負の電圧のパルスで構成したものである。図23に示した交流駆動信号VcomACは、図22に示した2つのパルスのパルス間隔を0(ゼロ)にしたものである。
【0121】
また、例えば、上記実施の形態等では、図6に示したように、TFT基板21の上に駆動電極COMLを形成し、その上に絶縁膜23を介して画素電極22を形成したが、これに限定されるものではなく、これに代えて、例えば、TFT基板21の上に画素電極22を形成し、その上に絶縁膜23を介して駆動電極COMLを形成してもよい。
【0122】
また、例えば、上記各実施の形態等では、FFSやIPS等の横電界モードの液晶を用いた液晶表示デバイスとタッチ検出デバイスとを一体化したが、これに代えて、TN(ツイステッドネマティック)、VA(垂直配向)、ECB(電界制御複屈折)等の各種モードの液晶を用いた液晶表示デバイスとタッチ検出デバイスとを一体化してもよい。このような液晶を用いた場合には、タッチ検出機能付き表示デバイスを、図24に示したように構成可能である。図24は、本変形例に係るタッチ検出機能付き表示デバイス10Eの要部断面構造の一例を表すものであり、画素基板2Bと対向基板3Bとの間に液晶層6Bを挟持された状態を示している。その他の各部の名称や機能等は図6の場合と同様なので、説明を省略する。この例では、図6の場合とは異なり、表示用とタッチ検出用の双方に兼用される駆動電極COMLは、対向基板3Bに形成されている。
【0123】
なお、本技術は以下のような構成とすることができる。
【0124】
(1)表示素子と、
駆動電極と、
前記駆動電極との間に静電容量を形成するタッチ検出電極と、
複数のタッチ検出期間のそれぞれにおいて、1または複数の遷移タイミングペアが生じるように複数回遷移する交流駆動信号を前記駆動電極に対して印加する駆動部と
を備え、
前記交流駆動信号は、複数のタッチ検出期間にわたって、少なくとも第1の遷移間隔を有する第1の遷移タイミングペアと、前記第1の遷移間隔と異なる第2の遷移間隔を有する第2の遷移タイミングペアとを含む
表示装置。
【0125】
(2)前記第1の遷移タイミングペアおよび前記第2の遷移タイミングペアは、同じタッチ検出期間に存在する
前記(1)に記載の表示装置。
【0126】
(3)一のタッチ検出期間における前記交流駆動信号のパルス幅およびパルス間隔は、他の一のタッチ検出期間におけるパルス幅およびパルス間隔と異なる
前記(2)に記載の表示装置。
【0127】
(4)前記第1の遷移タイミングペアおよび前記第2の遷移タイミングペアは、互いに異なるタッチ検出期間に存在する
前記(1)に記載の表示装置。
【0128】
(5)前記前記タッチ検出電極から出力される検出信号を、前記交流駆動信号の各遷移の前後のタイミングでサンプリングし、各遷移におけるサンプリング結果の変化分の和を求める検出部を備えた
前記(1)から(4)のいずれかに記載の表示装置。
【0129】
(6)前記複数のタッチ検出期間の間隔が変化する
前記(1)から(5)のいずれかに記載の表示装置。
【0130】
(7)前記駆動部は、所定本数の前記駆動電極ごとに前記交流駆動信号を印加する
前記(1)から(6)のいずれかに記載の表示装置。
【0131】
(8)前記駆動部は、所定数のタッチ検出期間にわたり、同じ駆動電極に対して前記交流駆動信号を印加する
前記(7)に記載の表示装置。
【0132】
(9)前記所定数のタッチ検出期間のうちの一のタッチ検出期間における前記交流駆動信号の各遷移タイミングは、前記所定数のタッチ検出期間のうちの他の一のタッチ検出期間における各遷移タイミングと異なる
前記(8)に記載の表示装置。
【0133】
(10)前記タッチ検出期間は、表示動作の水平期間ごとに設けられている
前記(1)から(9)のいずれかに記載の表示装置。
【0134】
(11)前記表示素子は、
液晶層と、
前記液晶層および前記駆動電極の間に形成され、もしくは前記駆動電極を挟んで前記液晶層と対向するように配置された画素電極と
を含んで構成される
前記(1)から(10)のいずれかに記載の表示装置。
【0135】
(12)前記表示素子は、
液晶層と、
前記液晶層を挟んで前記駆動電極と対向するように配置された画素電極と
を含んで構成される
前記(1)から(10)のいずれかに記載の表示装置。
【0136】
(13)前記駆動部は、前記駆動電極に対して、前記タッチ検出期間以外の期間において表示駆動信号を印加する
前記(11)または(12)に記載の表示装置。
【0137】
(14)駆動電極と、
前記駆動電極との間に静電容量を形成するタッチ検出電極と、
複数のタッチ検出期間のそれぞれにおいて、1または複数の遷移タイミングペアが生じるように複数回遷移する交流駆動信号を前記駆動電極に対して印加する駆動部と
を備え、
前記交流駆動信号は、複数のタッチ検出期間にわたって、少なくとも第1の遷移間隔を有する第1の遷移タイミングペアと、前記第1の遷移間隔と異なる第2の遷移間隔を有する第2の遷移タイミングペアとを含む
タッチ検出装置。
【0138】
(15)複数のタッチ検出期間のそれぞれにおいて、1または複数の遷移タイミングペアが生じるように複数回遷移する交流駆動信号を、タッチ検出電極との間に静電容量を形成する駆動電極に対して印加し、
前記交流駆動信号は、複数のタッチ検出期間にわたって、少なくとも第1の遷移間隔を有する第1の遷移タイミングペアと、前記第1の遷移間隔と異なる第2の遷移間隔を有する第2の遷移タイミングペアとを含む
駆動方法。
【0139】
(16)表示装置と、
前記表示装置を利用した動作制御を行う制御部と
を備え、
前記表示装置は、
表示素子と、
駆動電極と、
前記駆動電極との間に静電容量を形成するタッチ検出電極と、
複数のタッチ検出期間のそれぞれにおいて、1または複数の遷移タイミングペアが生じるように複数回遷移する交流駆動信号を前記駆動電極に対して印加する駆動部と
を備え、
前記交流駆動信号は、複数のタッチ検出期間にわたって、少なくとも第1の遷移間隔を有する第1の遷移タイミングペアと、前記第1の遷移間隔と異なる第2の遷移間隔を有する第2の遷移タイミングペアとを含む
電子機器。
【符号の説明】
【0140】
1,2,3…表示パネル、2,2B…画素基板、3,3B…対向基板、6,6B…液晶層、10…タッチ検出機能付き表示デバイス、11…制御部、12…ゲートドライバ、13…ソースドライバ、14…選択スイッチ部、16,56,66…駆動電極ドライバ、17…スイッチグループ、20…液晶表示デバイス、21…TFT基板、22…画素電極、23…絶縁層、30…タッチ検出デバイス、31…ガラス基板、32…カラーフィルタ、35…偏光板、40…タッチ検出部、42…LPF部、43…A/D変換部、44…信号処理部、45…座標抽出部、46…検出タイミング制御部、B…駆動電極ブロック、DD…検出データ、GCL…走査信号線、LC…液晶素子、Out…出力信号、Pd…表示期間、Pt…タッチ検出期間、P1〜P8…ペア、R1,F1,R2,F2…変化量、SGL…画素信号線、SWR,SWG,SWB…スイッチ、Tr…TFT素子、ts,ts1〜ts8…サンプリングタイミング、tw…時間、tw2,tw3…パルス幅、Pix…画素、SPix…サブ画素、TDL…タッチ検出電極、Vcom…駆動信号、VcomAC…交流駆動信号、VcomDC…直流駆動信号、Vdet…タッチ検出信号、Vdisp…映像信号、Vpix,VpixR,VpixG,VpixB,Vsig…画素信号、Vscan…走査信号、Vsel, VselR,VselG,VselB…スイッチ制御信号。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
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図18
図19
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図21
図22
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図24