(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5685544
(24)【登録日】2015年1月23日
(45)【発行日】2015年3月18日
(54)【発明の名称】マルチセルHSDPAを支援する移動通信システムのためのチャネル品質認識子伝送電力制御方法及び装置
(51)【国際特許分類】
H04W 52/34 20090101AFI20150226BHJP
H04W 52/50 20090101ALI20150226BHJP
【FI】
H04W52/34
H04W52/50
【請求項の数】8
【全頁数】18
(21)【出願番号】特願2011-537371(P2011-537371)
(86)(22)【出願日】2009年11月24日
(65)【公表番号】特表2012-510199(P2012-510199A)
(43)【公表日】2012年4月26日
(86)【国際出願番号】KR2009006946
(87)【国際公開番号】WO2010062099
(87)【国際公開日】20100603
【審査請求日】2012年8月28日
(31)【優先権主張番号】10-2008-0117215
(32)【優先日】2008年11月25日
(33)【優先権主張国】KR
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】503447036
【氏名又は名称】サムスン エレクトロニクス カンパニー リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100089037
【弁理士】
【氏名又は名称】渡邊 隆
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(72)【発明者】
【氏名】ヨン・ブム・キム
(72)【発明者】
【氏名】ヨン・エイチ・ホ
(72)【発明者】
【氏名】ジュ・ホ・イ
【審査官】
野元 久道
(56)【参考文献】
【文献】
特表2008−539667(JP,A)
【文献】
国際公開第2007/072828(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04W 52/34
H04W 52/50
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
異なる周波数を使用する複数のセルでパケットサービスを同時に支援するマルチセル(Multi Cell)移動通信システムの端末の制御情報伝送方法において、
前記複数のセル各々に対するチャネル品質情報を獲得して制御情報を生成する段階と;
前記生成された複数のセルに対する制御情報をあらかじめ定められた規則によってグループ化する段階と;
各グループに対する制御情報が基地局で同一の受信性能を有するように前記制御情報を補正する段階と;
前記補正された制御情報を前記基地局に伝送する段階と;を含むことを特徴とする端末の制御情報伝送方法。
【請求項2】
前記補正する段階は、
前記各グループのうち、エラー訂正能力が低いグループに対する伝送電力を残りのグループに対する伝送電力より大きく設定することを特徴とする請求項1に記載の端末の制御情報伝送方法。
【請求項3】
前記グループ化する段階は、
前記複数のセルのうち任意の1つのセルに対する第1グループにグループ化する段階と、
前記複数のセルのうち前記任意の1つのセルを除いた残りのセルに対する第2グループにグループ化する段階とを含むことを特徴とする請求項1に記載の端末の制御情報伝送方法。
【請求項4】
前記伝送する段階は、
前記各グループに対する制御情報が同一時点に前記基地局に伝送されることを特徴とする請求項1に記載の端末の制御情報伝送方法。
【請求項5】
異なる周波数を使用する複数(N)のセルでパケットサービスを同時に支援するマルチセル(Multi Cell)移動通信システムで制御情報を伝送する端末において、
前記複数のセル各々に対するチャネル品質情報を獲得して制御情報を生成するCQI測定器と;
前記生成された複数のセルに対する制御情報をあらかじめ定められた規則によってグループ化し、各グループに対する制御情報が基地局で同一の受信性能を有するように前記制御情報を補正するように制御するCQI制御機と;
前記補正された制御情報を前記基地局に伝送する制御チャネル送信機と;を含むことを特徴とする端末。
【請求項6】
前記CQI制御機は、
前記各グループのうち、エラー訂正能力が低いグループに対する伝送電力を残りのグループに対する伝送電力より大きく設定するように前記制御チャネル送信機を制御することを特徴とする請求項5に記載の端末。
【請求項7】
前記CQI制御機は、
前記複数のセルのうち任意の1つのセルに対する第1グループにグループ化し、
前記複数のセルのうち前記任意の1つのセルを除いた残りのセルに対する第2グループにグループ化することを特徴とする請求項5に記載の端末。
【請求項8】
前記CQI制御機は、
前記各グループに対する制御情報が同一時点に前記基地局に伝送されるように前記制御チャネル送信機を制御することを特徴とする請求項5に記載の端末。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、移動通信システムに関し、特に複数のセルでHSDPA(High SpeedDownlink Packet Access)サービスを同時に支援するマルチセルHSDPAシステムで全体セルに対して均一なCQI受信性能を保証するためにCQI伝送用制御チャネルの伝送電力を調節する方法及び装置に関する。
【背景技術】
【0002】
ヨーロッパ式移動通信システムであるGSM(Global System for Mobile Communications)とGPRS(General Packet Radio Services)を基盤とし、広帯域(Wideband)符号分割多重接続(Code Division Multiple Access:CDMA)を用いた第3世代移動通信システムであるUMTS(Universal Mobile Telecommunication Service)システムは、移動電話やコンピュータユーザが全世界どこにでもパケット基盤のテキスト、デジタル化された音声やビデオ及びマルチメディアデータを高速で伝送することができる一貫したサービスを提供する。
【0003】
特に、UMTSシステムでは、セル(Cell)からユーザ端末(User Equipment:UE)への順方向、すなわち下向きリンク(Downlink:DL)通信においてパケット伝送の性能をさらに向上させることができるように高速下向きリンクパケット接続(High Speed Downlink Pack Access:HSDPA)方式を支援する。HSDPAは、さらに安定した高速のデータ伝送を支援するために、適応的変調/符号化(Adaptive Modulation and Coding:AMC)、複合自動再伝送要求(Hybrid Automatic Retransmission Request:HARQ)などの技術を支援する。前記変調方式としては、QPSK、16QAM、64QAMのうち1つが適用される。適応的変調/符号化方式は、セル(cell)とユーザとの間のチャネル状態によってデータチャネルの変調方式とコーディング方式を決定し、セル全体の使用効率を高める。
【0004】
前記HARQは、速い再伝送及びソフト合成(Soft-combining)方式で具現されることができる。すなわち、エラーが発生したデータに対して、端末とセルとの間で再伝送が行われ、前記再伝送されたデータに対してソフト合成を行うことによって、全体的な通信効率を向上させる。
【0005】
端末とセルが交換する制御情報としては、任意の端末が使用するOVSF(Orthogonal Variable Spreading Factor)コード及び個数、伝送ブロック(Transport block;TB)の大きさ、変調方式とコーディング方式の組合を示す変調及び符号化方式(MCS;Modulation and Coding Scheme)、HARQを支援するために必要なチャネル番号情報、変調及び符号化方式をチャネル状況に適応的に決定するために必要なチャネル品質情報(CQI)、HARQの応答信号であるACK/NACK情報などがある。
【0006】
図1は、前記紹介された技術を適用してHSDPAを支援する端末102とセル101のパケット送受信手続を示す。まず、端末102は、セルがスケジューリングすることができるようにチャネル品質認識子(Channel Quality Indicator、以下、CQIという)を伝送する。端末102は、下向きリンクで伝送されるデータがいつ伝送されるか分からないので、前記CQI情報を周期的に伝送する(103)。セル101は、下向きリンクデータが発生した場合、端末102から報告されたCQIに基づいてスケジューリングする。スケジューリング時に、セル101は、割り当て可能なコードチャネル及びコードチャネルの個数、伝送ブロックの大きさ(Transport Block Size;TBS)、またMCSレベルなどを選択する。セル101は、HSDPAを支援するための下向きリンク制御チャネルであるHS−SCCH 105を使用して、端末102に前記情報を伝送する。端末102は、スケジューリング基本単位である各TTI(伝送時間間隔、Transmission Time Interval)ごとにHS−SCCHを受信し、当該端末102に伝送されるHS−SCCHを受信すれば、これに基づいてHSDPAデータチャネルであるHS−PDSCH 106を復調し、データを受信する。端末102は、HARQを行うためにCRCチェックを行い、ACK/NACKを決定する(103)。CRCチェックの結果、エラーとして判断されれば、データを正常に受信しない場合なので、再伝送を要求するために、端末102は、NACKを伝送し、CRCチェックの結果、エラーが存在しなければ、ACKを伝送する。前記情報は、CQIと同一のHS−DPCCHチャネル107を通じて伝送される。
【0007】
図2は、前述したHSDPA伝送手続を時間的に示す図である。まず、端末102は、205、206、207のように、あらかじめ設定された伝送時点にCQIを周期的に伝送する。前記CQIの伝送周期は、事前に上位シグナリングを通じて定められる。下向きリンクチャネルであるHS−SCCH 201とHS−PDSCH 202は、2スロットの差異をもって伝送され、これは、端末102がHS−SCCHで前方部に伝送されたチャネル情報をまず受信した後、復調を行うことができるように、2スロット以後に、HS−PDSCHを送信する。次に、ACK/NACK情報204は、HS−PDSCHで伝送されたデータの復調とデコーディングがすべて終了した後に伝送可能なので、端末102の処理時間を考慮して7.5スロット203後に伝送される。
【0008】
次は、現在論議されているDual−cell HSDPA機能について
図3を利用して説明する。従来の端末102は、様々なセルの信号を測定し、これらのうち最も適したセルを1つ選択して通信を行うのに対し、Dual−cell HSDPAでは、異なる周波数を利用して伝送する2つのセル301、302から同時にHSDPAサービスを提供する。端末308は、第1のセルから周波数f1 304でHSDPAを受信し、第2のセルからf2 303でHSDPAを同時に受信するようになる。WCDMAの1つのセルが伝送する周波数が5MHzであるが、2つのセルからHSDPAを同時に受信するためには、端末308は、10MHzを受信することができなければならない。上記のように、2つのセルから同時にHSDPAを受信すれば、一度に伝送可能なデータの大きさが約二倍増加する効果を有するようになる。
【0009】
但し、上向きリンクの場合は、Dual−cell伝送機能をまだ支援しないため、上向きリンクチャネルは、1つのセルにのみ伝送される。下向きリンクでも、HSDPA関連チャネル及びパイロット信号を伝送するCPICH(Common Pilot channel)を除いた残りの共通チャネルと専用チャネルは、第1のセルだけから受信するようになる。それで、通常、前記第1のセルをアンカーセル(anchor cell)と言い、第2のセルを付加セル(supplementary cell)と言う。
【0010】
2008年現在3GPP標準では、アンカーセルと付加セルを含めて、2つのセルだけをシステムで支援しているが、今後には、付加セルが2個以上、すなわちアンカーセルまで含めて3個以上のセルが存在することも可能である(これを“マルチセルHSDPA”と定義する。以下、同一である)。Dual−cell HSDPAサービスでHARQとAMCを支援するために、端末は、各々のセルに対するACK/NACKとCQIを伝送しなければならないが、上向きリンクチャネルは、アンカーセルにのみ伝送されるので、アンカーセルに2つのセルに対するACK/NACKとCQI情報を一緒に伝送する。CQI情報伝送方式は、アンカーセルに対するCQI情報5ビットと付加セルに対するCQI情報5ビットを連結させて、10ビットの制御情報を構成した後、(20、10)ブロックコーディングし、従来のCQI及びACK/NACK伝送用に定義された物理制御チャネルであるHS−DPCCHを通じて伝送する。また、もしdual−cell HSDPA動作が設定されていない場合、アンカーセルに対するCQI情報5ビットを(20、5)ブロックコーディングし、従来のCQI及びACK/NACK伝送用に定義された物理制御チャネルであるHS−DPCCHを通じて伝送する。Dual−cell HSDPA設定可否は、基地局が端末にシグナリングを通じて通知する。
【0011】
しかし、現在まではマルチセルHSDPAを支援する端末の制御情報伝送方法について具体的に論議されていない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
本発明は、マルチセルHSDPAを支援する端末がアンカーセル(Anchorcell)のCQI(Channel Quality Indicator)と複数の付加セル(supplementary cell)のCQIを測定し、各々のCQIに対して均一なCQI受信性能を保証するためにCQIが伝送される物理制御チャネルの伝送電力を調節する方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明による異なる周波数を使用する複数のセルでパケットサービスを同時に支援するマルチセル(Multi Cell)移動通信システムの端末の制御情報伝送方法は、前記複数のセル各々に対するチャネル品質情報を獲得して制御情報を生成する段階と、前記生成された複数のセルに対する制御情報をあらかじめ定められた規則によってグループ化する段階と、各グループに対する制御情報が基地局で同一の受信性能を有するように前記制御情報を補正する段階と、前記補正された制御情報を前記基地局に伝送する段階とを含むことを特徴とする。
【0014】
また、本発明による端末は、前記複数のセル各々に対するチャネル品質情報を獲得し、制御情報を生成するCQI測定器と、前記生成された複数のセルに対する制御情報をあらかじめ定められた規則によってグループ化し、各グループに対する制御情報が基地局で同一の受信性能を有するように前記制御情報を補正するように制御するCQI制御機と、前記補正された制御情報を前記基地局に伝送する制御チャネル送信機とを含むことを特徴とする。
【0015】
また、本発明による異なる周波数を使用する複数(N)のセルでパケットサービスを同時に支援するマルチセル(Multi Cell)移動通信システムで基地局が端末から制御情報を受信する方法は、前記端末から伝送される制御情報受信時点であるか否かを判断する段階と、前記制御情報受信時点であれば、前記複数のセルに対してグループ化された制御情報を受信する段階と、前記受信した制御情報をデコーディングし、前記複数のセルに対するチャネル品質情報を獲得する段階とを含むことを特徴とする。
【0016】
また、本発明による基地局は、端末から伝送される制御情報受信時点で前記複数のセルに対してグループ化された制御情報を受信する上向きリンク制御チャネル受信機と、前記受信した制御情報をデコーディングし、前記複数のセルに対するチャネル品質情報を獲得するCQI情報検出器と、前記獲得されたチャネル品質情報を利用して前記複数のセルに対してスケジューリングを行うスケジューラとを含むことを特徴とする。
【発明の効果】
【0017】
本発明は、マルチセルHSDPAサービスを支援する移動通信システムで端末のCQI伝送用物理制御チャネル間の伝送電力を調節することによって、各々のセルに対するCQI受信要求事項を相互間に均等に維持するようになり、CQI伝送効率を高め、したがって、システム性能の低下を防止する。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】従来のHSDPA送受信手続を説明する図である。
【
図2】従来のHSDPA関連チャネルの送受信時点を示す図である。
【
図3】現在論議されているDual−cell HSDPAサービスを説明する図である。
【
図5】本発明の実施例によって端末のCQI伝送手続を示す図である。
【
図6】本発明の実施例によって基地局のCQI受信手続を示す図である。
【
図7】本発明の実施例による端末のCQI伝送装置を示す図である。
【
図8】本発明の実施例による基地局のCQI受信装置を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、添付の図面を参照して本発明の好ましい実施例に対する動作原理を詳しく説明する。下記で、本発明を説明するにあたって、関連された公知の機能または構成に対する具体的な説明が本発明の要旨を不明瞭にすることができると判断される場合には、その詳細な説明を省略する。また、後述する用語は、本発明での機能を考慮して定義された用語であって、これは、ユーザ、運用者の意図または慣例などによって変わることができる。したがって、その定義は、本明細書の全般にわたった内容に基づいて行われなければならない。
【0020】
後述する本発明は、具体的に複数(N個)のセルでHSDPA(High Speed Downlink Packet Access)サービスを同時に伝送するマルチセルHSDPA機能を支援するシステムで、端末のCQI伝送効率を高める方法及び装置を説明する。しかし、これと類似した他の通信システムの場合にも、本発明が適用可能であることは勿論である。
【0021】
本発明の主要要旨は、前記N=3に設定された場合、端末がアンカーセルに対する5ビット制御情報である第1のチャネル品質認識子(以下、CQI(1)という)と第1付加セルに対する5ビット制御情報である第2のチャネル品質認識子(以下、CQI(2)という)と、第2付加セルに対する5ビット制御情報である第3チャネル品質認識子(以下、CQI(3)という)を同一の時点に伝送しようとする時、均一なCQI受信性能を保証することである。このために、端末は、複数のCQIを一定の規則によってグループ化し、各グループに対する制御情報が基地局で同一の受信性能を有するように前記制御情報を補正する。
【0022】
具体的に説明すれば、端末は、まず、CQI(1)を第1グループとして、CQI(2)とCQI(3)を第2グループとしてグループ化する。また、第1グループに対するCQI(1)を、第1チャネルコーディングを利用してブロックコーディングする。本発明の一実施例によれば、前記第1チャネルコーディングは、(20、5)ブロックコーディングであることができ、以下では、これを仮定し、記述する。端末は、CQI(1)を(20、5)ブロックコーディングし、従来のCQIあるいはACK/NACK伝送用に定義された物理制御チャネルであるHS−DPCCH(以下、他のHS−DPCCHと区分するためにHS−DPCCH1という。以下、同一である)を通じて伝送する。
【0023】
また、端末は、残りのCQI(2)とCQI(3)を相互連結させて、第2グループとして10ビット制御情報を構成した後、第2チャネルコーディングを利用してブロックコーディングする。本発明の一実施例によれば、前記第2チャネルコーディングは、(20、10)ブロックコーディングであることができ、以下では、これを仮定し、記述する。端末は、相互連結されたCQI(2)及びCQI(3)の制御情報を(20、10)ブロックコーディングし、他の物理制御チャネルであるHS−DPCCH2を通じて伝送する。
【0024】
前記CQI(1)、CQI(2)、CQI(3)のうちいずれの制御情報を(20、5)ブロックコーディングし、いずれの制御情報を(20、10)ブロックコーディングすべきかは、あらかじめ定められた規則による。前記HS−DPCCH1とHS−DPCCH2は、直交コードにより区分される。
【0025】
チャネルコーディングの性能を示す尺度であるminimum distance(d_min)が大きいほど、あるいはコーディングレートが低いほど、優れたエラー訂正能力を示すが、(20、5)ブロックコーディングと(20、10)ブロックコーディングを比較すれば、相対的に(20、5)ブロックコーディングに優れたエラー訂正能力を有する特徴がある。文献上に現われる(20、5)ブロックコーディングの最小d_min=9であり、(20、10)ブロックコーディングの最小d_min=6である。したがって、端末が前記(20、5)ブロックコーディングされたビットが伝送されるHS−DPCCH1と、(20、10)ブロックコーディングされたビットが伝送されるHS−DPCCH2に対して追加的な補正なしにそのまま伝送するようになれば、基地局では、前記HS−DPCCH1を通じて受信するCQI(1)の受信性能が前記HS−DPCCH2を通じて受信するCQI(2)とCQI(3)の受信性能より優れた状況が発生する。
【0026】
したがって、本発明の端末は、特定セルに偏ることなく、マルチセルHSDPAシステムが動作する全体セルに対して均等なCQI受信性能を保証するために、前記HS−DPCCH2の伝送電力を前記HS−DPCCH1より相対的に高く設定するように前記制御情報を補正することができる。前記相対的な伝送電力増加量は、あらかじめ定義された値を使用するか、またはシグナリングを通じて基地局が端末に通知するようにする。以下、具体的な実施例を通じて本発明の具体的な動作を説明する。一方、以下では、Nが3の場合、CQI伝送方法について記述するが、同一の原理によってNが3以上の場合にも適用されることができることは勿論である。
【0027】
以下で記述する本発明の実施例は、複数(N個)のセルでHSDPA(High Speed Downlink Packet Access)サービスを同時に伝送するマルチセルHSDPA機能を支援するシステムで、N=3に設定された場合、各セルに対するCQI情報を伝送する方法に関する。
【0028】
図4を参照して本発明の実施例の概念を説明する。端末がアンカーセルに対する5ビット制御情報であるCQI(1)と第1付加セルに対する5ビット制御情報であるCQI(2)、また第2付加セルに対する5ビット制御情報であるCQI(3)を同一の時点に伝送しようとすることを仮定する。この場合、端末機は、CQI(1)を(20、5)ブロックコーディングし、従来のCQIあるいはACK/NACK伝送用に定義された物理制御チャネルであるHS−DPCCH1を通じて伝送する。これと同時に前記端末は、残りのCQI(2)とCQI(3)を相互連結させて10ビット制御情報を構成した後、(20、10)ブロックコーディングし、さらに他の物理制御チャネルであるHS−DPCCH2を通じて伝送する。すなわち、前記HS−DPCCH1は、相対的にエラー訂正能力に優れたチャネルコーディングが適用され、HS−DPCCH2は、相対的にエラー訂正能力が良くないチャネルコーディングが適用される。前記CQI(1)、CQI(2)、CQI(3)のうちいずれの制御情報を(20、5)ブロックコーディングし、いずれの制御情報を(20、10)ブロックコーディングすべきかは、あらかじめ定められた規則による。前記HS−DPCCH1とHS−DPCCH2は、直交コードにより区分される。前記CQIは、あらかじめ設定されたCQIフィードバック周期(参照番号402)ごとに伝送される。
【0029】
本発明の実施例による端末は、特定セルに偏ることなく、マルチセルHSDPAシステムが動作する全体セルに対して均等なCQI受信性能を保証するために、前記HS−DPCCH2の伝送電力を前記HS−DPCCH1より相対的にΔPだけ高く設定する。すなわち、HS−DPCCH1の伝送電力をPとすれば、HS−DPCCH2の伝送電力は、P+ΔPとなる。前記相対的な伝送電力増加量ΔPは、あらかじめ定義された値を使用するか、またはシグナリングを通じて基地局が端末に通知するようにする。
【0030】
3GPP標準規格TS25.212に定義されているHSDPAで適用される(20、5)ブロックコーディング及び(20、10)ブロックコーディングについてさらに詳しく説明すれば、次の通りである。まず、HSDPAのCQIを符号化するための(20、5)符号は、下記表1が示す基底符号列(basis sequence)を使用する。
【0032】
下記数式1を使用して前記表1で例示している長さ20の5個の基底符号列と5ビットで構成される入力情報の線形組合によって(20、5)チャネル符号化を適用することができるようになる。
【0034】
(i=0、…、19)
ここで、a
nは、符号化しようとするn番目情報ビットであって、a
0がLSB(Least Significant Bit)であり、a
4がMSB(Most Significant Bit)である。前記b
iは、情報ビットに対するチャネル符号化が行われたi番目出力ビット、すなわち符号化されたビットである。したがって、5ビットの入力情報から20ビットの符号化されたビットを生成する。
【0035】
また、(20、10)符号は、下記表2が示す基底符号列(basis sequence)を使用する。
【0037】
下記[数式2]を使用して前記[表2]で例示している長さ20の10個の基底符号列と10ビットで構成される入力情報の線形組合によって(20、10)チャネル符号化を適用することができるようになる。
【0039】
(i=0、…、19)
ここで、a
nは、符号化しようとするn番目情報ビットであって、a
0がLSB(Least Significant Bit)であり、a
9がMSB(Most Significant Bit)である。前記biは、情報ビットに対するチャネル符号化が行われたi番目出力ビット、すなわち符号化されたビットである。したがって、10ビットの入力情報から20ビットの符号化されたビットを生成する。
【0040】
図5は、本発明の実施例による端末の動作手順を示すフローチャートである。
502段階で、端末は、アンカーセル、第1付加セル、第2付加セルのCPICHから各セルのチャネル状態あるいはMCSレベルを示す制御情報であるCQI(1)、CQI(2)、CQI(3)を各々測定する。これと同時に、端末は、前記複数のセルに対する制御情報をあらかじめ定められた規則によってグループ化することができる。また、端末は、504段階で、事前に設定されたチャネルコーディング方式によって1つのセルに対する(第1グループ)CQI情報を(20、5)ブロックコーディングし、残りの2つのセルに対する(第2グループ)CQI情報を連結して構成した制御情報を(20、10)ブロックコーディングする。あるセルのCQI情報をどのようにチャネルコーディングすべきかは、あらかじめ約束された規則による。
【0041】
例えば、各セルに対して一連番号を1、2、3の順に付与し、一連番号が小さい最初2つのセルに対するCQIは、互いに連結して(20、10)ブロックコーディングし、その次の一連番号に該当するセルのCQIは、(20、5)ブロックコーディングする方式が可能である。または、アンカーセルに対するCQIは、(20、5)ブロックコーディングし、残りの付加セルに対するCQIは、互いに連結して(20、10)ブロックコーディングする方式も可能である。
【0042】
また、本発明の他の実施例によれば、端末は、前記グループ化時に、前記複数のセルのうち任意の1つのセルに対する第1グループと、前記複数のセルのうち前記任意の1つのセルを除いた残りのセルに対する第2グループとに分類することもできる。
【0043】
また、端末は、505段階でチャネルコーディング方式を判断し、(20、5)ブロックコーディングされた場合、506段階に分岐し、チャネルコーディングされたビットをスプレディング(spreading)し、CQI伝送用物理制御チャネルであるHS−DPCCH1を構成する。また、端末は、508段階で、前記HS−DPCCH1に対する伝送電力をPに設定する。
【0044】
もし前記505段階で、(20、10)ブロックコーディングされた場合、端末は、510段階に分岐し、チャネルコーディングされたビットをスプレディングし、他のCQI伝送用物理制御チャネルであるHS−DPCCH2を構成する。また、端末は、512段階で、前記HS−DPCCH2に対する伝送電力をP+ΔPに設定する。前記HS−DPCCH1とHS−DPCCH2は、異なる直交符号により区分される。最後に、514段階で、前記端末は前記HS−DPCCH1とHS−DPCCH2を伝送する。
【0045】
表3は、現在HSDPAに定義されている31種類のCQIとそれに相当するTBS(Transport block size)、変調方式、データ伝送用物理制御チャネルであるHS−PDSCHのコード個数を示す一例である。例えば、端末は、各セルから測定したチャネル状態を各々表1のCQI値のうち1つに換算し、上述した手続によって基地局に伝送する。
【0047】
図6は、本発明の実施例の基地局のCQI受信手続を示す図である。マルチセルHSDPAシステムで通常的にアンカーセルと付加セルは、1つの基地局に属するようになる。
【0048】
602段階で、基地局は、CQI受信時点が渡来したか否かを判断する。基地局は、もしまだCQI受信時点でなければ、次回CQI受信時点まで待機し、もしCQI受信時点なら、段階604で、HS−DPCCH1とHS−DPCCH2を各々の直交符号を使用してデスプレディングする。606段階で、HS−DPCCH1であるか、またはHS−DPCCH2であるかによって、もしHS−DPCCH1なら、608段階で、前記CQI伝送時に適用した(20、5)コーディング方式に相当するデコーディングを行う。もし前記段階606で、HS−DPCCH2の場合、段階610で、前記CQI伝送時に適用した(20、10)コーディング方式に相当するデコーディングを行う。最後に、基地局は、段階612で、前記デコーディング結果からすべてのCQIを獲得する。
【0049】
図7は、本発明の実施例による端末の内部構造を示すブロック図である。
まず、本発明の実施例による端末は、3個のセルからHSDPAサービスを受けるために、3個のHS−SCCHチャネル受信機716、728、750と3個のHS−PDSCHチャネル受信機718、730、752を備える。
【0050】
各々のHS−SCCHチャネル受信機716、728、750は、各セルから受信したHS−SCCHをデスプレディング、復調及びデコーディングする。
【0051】
HS−SCCH制御情報検出器722、734、748は、前記HS−SCCHチャネル受信機のデコーディング結果からHS−PDSCHに対するTBS、チャネルコード情報及び個数、MCS、HARQ情報などを獲得し、HS−PDSCH受信機718、730、752のHS−PDSCH受信動作を支援する。
【0052】
HS−PDSCH受信機718、730、752は、HS−PDSCHをデスプレディング、復調及びデコーディングし、各セルからのパケットデータを獲得し、受信されたパケットデータに対してCRC検査を通じてエラー可否をACK/NACK制御機738に提供する。
【0053】
CPICH受信機714、726、746は、各セルからCPICH信号を受信し、CQI測定器720、732、742に出力する。
【0054】
CQI測定器720、732、742は、複数のセル各々に対するチャネル品質情報を獲得し、制御情報を生成する。このために、CQI測定器720、732、742は、前記CPICH受信機714、726、746から出力されるCPICH信号の受信信号品質を測定し、CQI制御機740に提供する。
【0055】
マルチセルHSDPA制御機736は、ACK/NACK制御機738とCQI制御機740を含む。
【0056】
ACK/NACK制御機738は、各セルから受信したパケットデータのエラー可否から各セルに対するACK/NACK伝送可否を判断する。
【0057】
CQI制御機740は、各セルから受信したCQI(1)、CQI(2)、CQI(3)を同一の時点に伝送するようにHSDPA制御チャネル送信機700、710を制御する。また、CQI制御機740は、HSDPA制御チャネル送信機700、710を制御し、生成された複数のセルに対する制御情報をあらかじめ定められた規則によってグループ化し、各グループに対する制御情報が基地局で同一の受信性能を有するように制御情報を補正する。
【0058】
HSDPA制御チャネル送信機700、710は、各々ACK/NACK及びCQI情報生成器702、706とHS−DPCCH送信機704、708とで構成される。本実施例では、HS−DPCCH1は、1つのセルからの5ビットCQIに対して(20、5)ブロックコーディングし、HS−DPCCH2は、2つのセルからのCQIを連結して10ビット制御情報を構成し、これを(20、10)ブロックコーディングする。また、前記HSDPA制御チャネル送信機700、710は、前記HS−DPCCH1及び前記HS−DPCCH2の伝送電力を異なるように設定する。例えば、前記HSDPA制御チャネル送信機700、710は、前記HS−DPCCH1の伝送電力をPに設定し、HS−DPCCH2の伝送電力をP+ΔPに設定することができる。
【0059】
図8は、本発明の実施例の好ましい具現のための基地局のCQI受信装置の内部構造を示すブロック図である。本発明では、マルチセルHSDPA機能支援を容易にするために、3個のセルに対して共通バッファーと共通スケジューラを使用することを仮定した。
【0060】
HSDPA上向きリンク制御チャネル受信機836、838は、端末から各セルに対するACK/NACK及びCQI情報を受信し、各々HS−DPCCH受信機802、806とACK/NACK及びCQI情報検出器804、808とで構成される。端末は、HS−DPCCH1の送信電力よりHS−DPCCH2の送信電力を大きく設定し、HS−DPCCH1のブロックコーディング方式がHS−DPCCH2のブロックコーディング方式より優れているので、結局基地局は、各々の物理制御チャネルから均一なCQI受信性能を保証されることができる。
【0061】
HS−DPCCH受信機802、806は、各セルに対するHS−DPCCHをデスプレディング、復調、デコーディングし、ACK/NACK及びCQI情報検出器804、808に入力する。
【0062】
ACK/NACK及びCQI情報検出器804、808は、前記HS−DPCCH受信機802、806で入力されたデコーディング信号から各セルに対するACK/NACK及びCQI情報を検出し、ACK/NACKは、HSDPAスケジューラ828に入力し、CQIは、CQI判断器810に入力する。CQI判断器810は、入力されたCQIから各セルに対する最終CQI値を計算し、HSDPAスケジューラ828に入力する。
【0063】
HSDPAスケジューラ828は、入力されたACK/NACK及びCQIとその他制御情報から伝送可能な伝送ブロック大きさ、HS−PDSCHのチャネルコード及びチャネルコード個数、MCS、HARQ情報などを決定する。HSDPAスケジューラ828は、バッファー834からパケットデータを生成し、これを各セルのHS−PDSCH送信機818、826、846を利用して伝送する。伝送に必要な伝送ブロック大きさ、HS−PDSCHのチャネルコード及びチャネルコード個数、MCS、HARQ情報などをHSDPAスケジューラから伝達される。
【0064】
端末がHS−PDSCHを復調することができるように、前記制御情報は、各セルのHS−SCCH制御情報生成器814、822、842で伝送形式に合うように構成され、HS−SCCH送信機816、824、844を通じて伝送される。前記HS−SCCH制御情報生成器814、822、842とHS−SCCH送信機816、824、844は、各セル別に存在する。
【0065】
一方、本発明の詳細な説明では、具体的な実施例について説明したが、本発明の範囲を逸脱しない範囲内で様々な変形が可能であることは勿論であり、したがって、本発明の範囲は、説明された実施例に限定されず、後述する特許請求範囲だけでなく、この特許請求の範囲と均等なものなどによって定められるべきである。
【符号の説明】
【0066】
700、710 HSDPA制御チャネル送信機
702、706 ACK/NACK及びCQI情報生成器
704、708 HS−DPCCH送信機
714、726、746 CPICH受信機
716、728、750 HS−SCCHチャネル受信機
718、730、752 HS−PDSCHチャネル受信機
720、732、742 CQI測定器
722、734、748 HS−SCCH制御情報検出器
736 マルチセルHSDPA制御機
738 ACK/NACK制御機
740 CQI制御機
802、806 HS−DPCCH受信機
804、808 ACK/NACK及びCQI情報検出器
810 CQI判断器
814、822、842 HS−SCCH制御情報生成器
816、824、844 HS−SCCH送信機
818、826、846 HS−PDSCH送信機
828 HSDPAスケジューラ
834 バッファー
836、838 HSDPA上向きリンク制御チャネル受信機