特許第5685557号(P5685557)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許5685557遠隔管理端末装置及び遠隔監視サービスシステム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5685557
(24)【登録日】2015年1月23日
(45)【発行日】2015年3月18日
(54)【発明の名称】遠隔管理端末装置及び遠隔監視サービスシステム
(51)【国際特許分類】
   H04Q 9/00 20060101AFI20150226BHJP
   H04M 11/00 20060101ALI20150226BHJP
【FI】
   H04Q9/00 301C
   H04Q9/00 311J
   H04Q9/00 321E
   H04M11/00 301
【請求項の数】3
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2012-76246(P2012-76246)
(22)【出願日】2012年3月29日
(65)【公開番号】特開2013-207654(P2013-207654A)
(43)【公開日】2013年10月7日
【審査請求日】2014年2月27日
(73)【特許権者】
【識別番号】000236056
【氏名又は名称】三菱電機ビルテクノサービス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001210
【氏名又は名称】特許業務法人YKI国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】田畠 広泰
【審査官】 松平 英
(56)【参考文献】
【文献】 特開2004−274675(JP,A)
【文献】 特開2004−180276(JP,A)
【文献】 米国特許第06973490(US,B1)
【文献】 特開2000−057091(JP,A)
【文献】 特開2001−357221(JP,A)
【文献】 特開2009−187201(JP,A)
【文献】 米国特許第06968356(US,B1)
【文献】 近藤 和彦,大解剖!Visual Studio 2010のテスト機能,ソフトウェア・テストPRESS,日本,(株)技術評論社,2010年 9月10日,Vol.10,p.110〜124
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F 9/30
9/305−9/308
9/315−9/34
9/35−9/355
9/40−9/42
9/44
9/45−9/455
12/08−12/12
H03J 9/00−9/06
H04M 3/00
3/16−3/20
3/38−3/58
7/00−7/16
11/00−11/10
H04Q 9/00−9/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
遠隔管理センタにより遠隔監視対象となる設備を利用する顧客であって外部からのアクセスが禁止されているローカルネットワークシステムを有する顧客側に設置される遠隔管理端末装置において、
複数のブラウザそれぞれに対応して作成され、当該ブラウザの仕様をエミュレートするブラウザエミュレーションソフトウェアが記憶された記憶手段と、
環境設定時に前記顧客のローカルネットワークシステムにおいて利用可能なブラウザを特定する情報を受け付ける受付手段と、
環境設定時に前記受付手段により受け付けられた情報により特定されるブラウザに対応するブラウザエミュレーションソフトウェアをインストールするインストール手段と、
環境設定によりインストールされたブラウザエミュレーションソフトウェアを実行することで、当該ブラウザの機能を実現するブラウザ機能処理手段と、
を有し、
前記ブラウザ機能処理手段は、前記設備を監視することによって得られた設備情報を当該ブラウザの仕様で前記顧客のローカルネットワークシステム及びインターネットを経由して前記遠隔管理センタへ送信することを特徴とする遠隔管理端末装置。
【請求項2】
遠隔管理センタに設置されるウェブサーバと、
前記遠隔管理センタにより遠隔監視対象となる設備を利用する顧客であって外部からのアクセスが禁止されているローカルネットワークシステムを有する顧客側に設置される遠隔管理端末装置と、
を有し、
前記遠隔管理端末装置は、
複数のブラウザそれぞれに対応して作成され、当該ブラウザの仕様をエミュレートするブラウザエミュレーションソフトウェアが記憶された記憶手段と、
環境設定時に前記顧客のローカルネットワークシステムにおいて利用可能なブラウザを特定する情報を受け付ける受付手段と、
環境設定時に前記受付手段により受け付けられた情報により特定されるブラウザに対応するブラウザエミュレーションソフトウェアをインストールするインストール手段と、
環境設定によりインストールされたブラウザエミュレーションソフトウェアを実行することで、当該ブラウザの機能を実現するブラウザ機能処理手段と、
を有し、
前記ブラウザ機能処理手段は、前記設備を監視することによって得られた設備情報を当該ブラウザの仕様で前記顧客のローカルネットワークシステム及びインターネットを経由して前記遠隔管理センタへ送信することを特徴とする遠隔監視サービスシステム。
【請求項3】
前記遠隔管理端末装置は、前記ウェブサーバに対して通信要求の有無を問い合わせる問合せ要求を前記ブラウザ機能処理手段に送信させる問合せ手段を有し、
前記ウェブサーバは、前記問合せ要求に応じて情報を返信することを特徴とする請求項2に記載の遠隔監視サービスシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、遠隔管理端末装置及び遠隔監視サービスシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
遠隔管理センタからビルなどの顧客側施設に設置されたエレベータ等の設備を遠隔監視する遠隔監視サービスシステムが従来から知られている。遠隔監視サービスシステムでは、顧客側のビル設備システムの各種センサ等により検出された顧客の設備に関する遠隔監視に必要な情報を定期的に収集し、その収集した情報を解析など行うことで各設備を監視している。従来においては、遠隔管理センタと遠隔地にある顧客のビル設備システムとを当該用途専用のネットワークに接続してビル設備システムから遠隔監視に必要な情報を収集している。
【0003】
ところで、近年においては、顧客のビル内にローカルネットワークシステムが構築されている場合が少なくない。ローカルネットワークシステムに含まれるパーソナルコンピュータ(PC)等の各情報端末装置からは、LAN等のローカルネットワークを介してインターネットにアクセスできるようになっている。従って、遠隔監視サービスシステムにおいても、遠隔監視に必要な情報を収集するビル設備システムを顧客側のローカルネットワークに接続すれば、遠隔管理センタは、当該用途専用のネットワークを用意しなくても顧客側から遠隔監視に必要な情報を収集することは可能であると考えられる。つまり、インターネットを介して情報収集できれば、システム環境の構築、運用等のコストの面から好都合である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2000−151823号公報
【特許文献2】特開2007−133679号公報
【特許文献3】特開2010−39565号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、顧客となる企業では、ローカルネットワークシステムの利用に関し、インターネットへのアクセスに用いるブラウザやセキュリティ等について外部からのアクセスを禁止するなど運用上、何らかの制約を設けている場合が少なくない。従って、仮にビル設備システムを顧客のローカルネットワークに接続したとしても、外部から、すなわち遠隔管理センタからビル設備システムに対してアクセスすることは、運用上、許容されていない場合がほとんどである。このように、顧客のローカルネットワークシステム及びインターネットを経由して遠隔管理センタとビル設備システムとの間でデータ通信を行うために、顧客のローカルネットワークを利用したい場合でも、顧客側のシステム運用上、困難であった。
【0006】
本発明は、顧客のローカルネットワーク及びインターネットを経由して顧客側で収集された情報を遠隔管理センタへ送信可能とすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る遠隔管理端末装置は、遠隔管理センタにより遠隔監視対象となる設備を利用する顧客であって外部からのアクセスが禁止されているローカルネットワークシステムを有する顧客側に設置される遠隔管理端末装置において、複数のブラウザそれぞれに対応して作成され、当該ブラウザの仕様をエミュレートするブラウザエミュレーションソフトウェアが記憶された記憶手段と、環境設定時に前記顧客のローカルネットワークシステムにおいて利用可能なブラウザを特定する情報を受け付ける受付手段と、環境設定時に前記受付手段により受け付けられた情報により特定されるブラウザに対応するブラウザエミュレーションソフトウェアをインストールするインストール手段と、環境設定によりインストールされたブラウザエミュレーションソフトウェアを実行することで、当該ブラウザの機能を実現するブラウザ機能処理手段と、有し、前記ブラウザ機能処理手段は、前記設備を監視することによって得られた設備情報を当該ブラウザの仕様で前記顧客のローカルネットワークシステム及びインターネットを経由して前記遠隔管理センタへ送信することを特徴とする。
【0008】
本発明に係る遠隔監視サービスシステムは、遠隔管理センタに設置されるウェブサーバと、前記遠隔管理センタにより遠隔監視対象となる設備を利用する顧客であって外部からのアクセスが禁止されているローカルネットワークシステムを有する顧客側に設置される遠隔管理端末装置と、を有し、前記遠隔管理端末装置は、複数のブラウザそれぞれに対応して作成され、当該ブラウザの仕様をエミュレートするブラウザエミュレーションソフトウェアが記憶された記憶手段と、環境設定時に前記顧客のローカルネットワークシステムにおいて利用可能なブラウザを特定する情報を受け付ける受付手段と、環境設定時に前記受付手段により受け付けられた情報により特定されるブラウザに対応するブラウザエミュレーションソフトウェアをインストールするインストール手段と、環境設定によりインストールされたブラウザエミュレーションソフトウェアを実行することで、当該ブラウザの機能を実現するブラウザ機能処理手段と、有し、前記ブラウザ機能処理手段は、前記設備を監視することによって得られた設備情報を当該ブラウザの仕様で前記顧客のローカルネットワークシステム及びインターネットを経由して前記遠隔管理センタへ送信することを特徴とする。
【0009】
また、前記遠隔管理端末装置は、前記ウェブサーバに対して通信要求の有無を問い合わせる問合せ要求を前記ブラウザ機能処理手段に送信させる問合せ手段を有し、前記ウェブサーバは、前記問合せ要求に応じて情報を返信することを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、顧客のローカルネットワーク及びインターネットを経由して顧客側で収集された情報を遠隔管理センタへ送信することができる。
【0011】
また、遠隔管理センタ側から顧客のローカルネットワークに接続された遠隔管理端末装置へ情報を送信させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明に係る遠隔監視サービスシステムの一実施の形態を示した全体構成図である。
図2】本実施の形態における遠隔管理端末装置のハードウェア構成図である。
図3】本実施の形態における遠隔管理端末装置を示したブロック構成図である。
図4】本実施の形態におけるブラウザ情報のデータ構成の一例を示した図である。
図5】本実施の形態における設備情報の送信処理を示したフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、図面に基づいて、本発明の好適な実施の形態について説明する。
【0014】
図1は、本発明に係る遠隔監視サービスシステムの一実施の形態を示した全体構成図である。図1には、遠隔管理センタ10と顧客側システム20とが外部ネットワークであるインターネット8で接続された構成が示されている。
【0015】
遠隔管理センタ10は、顧客の遠隔監視対象となる設備を遠隔から監視する遠隔監視サービス提供側の施設であって、受信サーバ11と遠隔管理システム12とが設置されている。受信サーバ11は、遠隔管理端末装置30から送信されてくる設備情報を受信するウェブサーバである。遠隔管理システム12は、受信サーバ11により収集された各設備の設備情報を解析するなどして顧客に対して遠隔監視サービスを提供する。
【0016】
顧客側システム20は、顧客のビル等の施設に構築されたローカルネットワークシステムであり、顧客の従業員等が使用するPC等の顧客端末装置21と、顧客端末装置21が接続されるローカルネットワーク23と、ローカルネットワーク23をインターネット8と接続するためのファイアウォール22と、を有している。また、顧客側システム20には、エレベータ等のビル設備を管理するためのビル設備システム24と、このビル設備システム24から送られてくる情報を受信する、ローカルネットワーク23に接続された遠隔管理端末装置30と、が含まれている。
【0017】
なお、遠隔管理センタ10は、複数の顧客側システムとインターネット8を介してアクセス可能に接続されているが、顧客側システムは、基本的に同等の構成で構築されているので、図1では、便宜的に1つのみを図示した。また、本実施の形態は、遠隔管理センタ10がインターネット8を経由して顧客側システム20から接続情報を受信することを特徴としており、例えば異常検出時に必要となる構成要素など本実施の形態の特徴の説明に関係のない構成要素については省略している。
【0018】
図2は、本実施の形態における遠隔管理端末装置30のハードウェア構成図である。本実施の形態における遠隔管理端末装置30は、ゲートウェイとして機能するサーバコンピュータにより実現してもよい。遠隔管理端末装置30は、図2に示したようにCPU1、ROM2、RAM3、ハードディスクドライブ(HDD)4を接続したHDDコントローラ5、通信手段として設けられたネットワークコントローラ6を内部バス7に接続して構成される。ローカルネットワーク23及びビル設備システム24はそれぞれ、ネットワークコントローラ6に接続される。なお、マウス、キーボード等の入力手段やディスプレイ等の表示手段を設けてもよいが、顧客側従業員等に操作されないようにユーザインタフェース手段は設けていない。
【0019】
図3は、本実施の形態における遠隔管理端末装置30を示したブロック構成図である。本実施の形態における遠隔管理端末装置30は、インストール部31、エミュレータ登録部32、設備情報収集部33、ブラウザ機能処理部34、制御部35、ブラウザ情報記憶部38及び設備情報記憶部39を有している。インストール部31は、受付手段として設けられ、顧客側システム20において利用可能なブラウザを特定する情報としてブラウザの名称及びそのバージョンを受け付ける。ブラウザ情報記憶部38には、後述するように複数のブラウザエミュレーションソフトウェアの圧縮版が記憶されているが、インストール部31は、更に、インストール手段として設けられ、受け付けた情報により特定されるブラウザに対応するブラウザエミュレーションソフトウェア(以下、「エミュレータ」とも称する)をブラウザ情報記憶部38から取り出し、解凍した後、インストールする。ブラウザ情報記憶部38には、後述するように複数のエミュレータの圧縮版が記憶されているが、エミュレータ登録部32は、ブラウザ情報記憶部38にまだ記憶されていないブラウザエミュレーションソフトウェアの圧縮版を登録する。設備情報収集部33は、ビル設備システム24に含まれる各種センサ等により検出されたセンサ情報等設備に関する設備情報を収集し、設備情報記憶部39に蓄積する。ブラウザ機能処理部34は、ブラウザ機能処理手段として設けられ、インストール部31によりインストールされたブラウザエミュレーションソフトウェアを実行することで、当該ブラウザの機能を実現する。エミュレータは、本実施の形態の場合、ブラウザ機能処理部34における処理機能を実現するソフトウェアにより実現されるが、遠隔管理端末装置30に入力された情報、本実施の形態の場合は設備情報があたかもブラウザにより表示された入力画面から入力された情報として取り扱うようエミュレートする。そして、本実施の形態におけるブラウザ機能処理部34は、設備情報を当該ブラウザの仕様で顧客側システム20におけるローカルネットワーク23、ファイアウォール22及びインターネット8を経由して遠隔管理センタ10へ送信する。制御部35は、各構成要素31〜34と連携動作して、遠隔管理端末装置30における処理の実行を制御する。特に、本実施の形態における制御部35は、問合せ手段として設けられ、受信サーバ11に対して通信要求の有無を問い合わせる問合せ要求をブラウザ機能処理部34に送信させる。
【0020】
一般に、「エミュレーション」とは、あるコンピュータや端末装置が他のコンピュータや端末装置の動作を模倣することをいうが、本実施の形態においては、情報があたかもブラウザにより表示された入力画面から入力された情報であるかのように取り扱うよう、データを当該ブラウザの仕様に合致させるよう変換することを「エミュレーション」と称している。また、エミュレーションをする動作を「エミュレート」、この機能を実現するもの(本実施の形態では、ソフトウェア)を「エミュレータ」と称している。
【0021】
図4は、本実施の形態におけるブラウザ情報記憶部38に記憶されるブラウザ情報のデータ構成の一例を示した図である。ブラウザ情報では、ブラウザIDと、エミュレータと利用の有無を示す「利用」フラグと、が対応付けてられている。ブラウザIDには、ブラウザを識別するための情報が設定される。図4では“BR1”などと示しているが、実際には、ブラウザの名称及びそのバージョンとの組み合わせで識別してもよい。エミュレータには、当該ブラウザをエミュレートするブラウザエミュレーションソフトウェアの圧縮版が登録される。当該ソフトウェアを別途格納する場合には、その格納場所を特定する情報を設定すればよい。「利用」フラグには、顧客側システム20において利用可能なブラウザを特定するフラグ情報であり、またインストールされたエミュレータを特定するフラグ情報でもある。ブラウザ情報記憶部38には、現時点において存在するブラウザのエミュレータの圧縮版が予め登録される。
【0022】
遠隔管理端末装置30における各構成要素31〜35は、遠隔管理端末装置30に含まれるコンピュータと、コンピュータに搭載されたCPU1で動作するプログラムとの協調動作により実現される。また、各記憶部38,39は、遠隔管理端末装置30に搭載されたHDD4にて実現される。
【0023】
また、本実施の形態で用いるプログラムは、設定用端末40から提供されることを想定しているが、通信手段により提供することはもちろん、CD−ROMやDVD−ROM等のコンピュータ読み取り可能な記録媒体に格納して提供することも可能である。通信手段や記録媒体から提供されたプログラムはコンピュータにインストールされ、コンピュータのCPUがプログラムを実行することで各種処理が実現される。
【0024】
次に、本実施の形態における動作について説明するが、本実施の形態における遠隔管理端末装置30を作動させるには環境設定を事前に行う必要があるので、まず最初にこの環境設定について説明する。
【0025】
遠隔管理端末装置30は、図1に示したように設備に関する情報を収集できるようにビル設備システム24と接続され、また、顧客のネットワークシステムのローカルネットワーク23とも接続される。更に、本実施の形態において環境設定を行うには設定用端末40を用いる必要があるので、図3に示したように設定用端末40が接続される。設定用端末40は、保守作業員によって携帯されるPC等の携帯型情報端末装置である。設定用端末40には、現時点で存在するエミュレータの圧縮版が格納されている。そこで、保守作業員による所定の操作に応じて、遠隔管理端末装置30のエミュレータ登録部32は、遠隔管理端末装置30のブラウザ情報記憶部38に登録されているエミュレータに対応するブラウザのリストを取得し、その取得したブラウザのリストと、設定用端末40に保存されているエミュレータに対応しているブラウザのリストと、を比較する。そして、ブラウザ情報記憶部38に登録されていないブラウザのエミュレータが存在する場合、エミュレータ登録部32は、そのエミュレータの圧縮版を設定用端末40から読み出して、そのブラウザのブラウザIDを対応付けてブラウザ情報記憶部38に登録する。このようにして、現時点において存在するブラウザに対応するエミュレータの圧縮版を遠隔管理端末装置30に保存させておく。圧縮版を用いることでHDD4の記憶容量の消費を抑えている。なお、遠隔管理端末装置30にあって設定用端末40にないエミュレータが存在する場合には、対応するブラウザは用いられなくなったとしてブラウザ情報記憶部38から削除してもよい。
【0026】
また、保守作業員は、所定の操作を行うことで、遠隔管理端末装置30のブラウザ情報記憶部38に登録されているエミュレータに対応するブラウザのリストを設定用端末40のディスプレイに表示させ、その表示されたブラウザのリストの中から顧客側システム20において利用可能なブラウザを選択する。保守作業員には、顧客側システム20において利用可能なブラウザの種類が顧客から知らされている。保守作業員によるブラウザの選択操作及びインストール実行指示に応じて、遠隔管理端末装置30のインストール部31は、選択されたブラウザに対応したエミュレータの圧縮版をブラウザ情報記憶部38から読み出し、解凍した後、インストールを行う。このようにして、選択されたブラウザのエミュレータを実行可能な状態にする。また、インストールされたエミュレータに対応する利用フラグをセット(図4では“○”で図示)する。
【0027】
なお、顧客側システム20において利用可能なブラウザが複数種類ある場合でも、その中から1つのブラウザを選択してインストールすればよい。
【0028】
以上の環境設定は、遠隔管理端末装置30を顧客側システム20に設置したときや、顧客側において利用可能なブラウザが変更されたときなどに実施すればよい。なお、エミュレータのインストールとエミュレータの登録とは、独立した処理なので必ずしもセットで処理する必要はない。
【0029】
以上のようにして環境設定が行われると、遠隔管理端末装置30は、次の処理を実行する。この処理について図5に示したフローチャートを用いて説明する。
【0030】
まず、遠隔管理端末装置30においては、設備情報収集部33がビル設備システム24から送られてくる設備に関する情報を受け取り、設備情報記憶部39に逐次蓄積していくが、制御部35は、ブラウザ機能処理部34(エミュレータ)を定期的に起動して設備情報の送信を指示する(ステップ101)。すなわち、ブラウザ機能処理部34は、起動されると、前回の送信から現時点までに収集された情報を設備情報記憶部39から取り出し(ステップ102)、その情報をそのまま、あるいは適宜集計等の計算をして設備情報を生成する。そして、設備情報を顧客側システム20で利用可能なブラウザの仕様にエミュレートする(ステップ103)。なお、本実施の形態では、顧客側システム20で利用可能なブラウザの仕様にエミュレートするためのエミュレータがインストールされ実行されているので、ブラウザ機能処理部34(エミュレータ)は、プログラムされた通りに動作するだけでよい。そして、ブラウザ機能処理部34は、顧客側システム20で利用可能なブラウザの仕様に合致する形式に変換した設備情報を、ローカルネットワーク23、ファイアウォール22及びインターネット8を経由して遠隔管理センタ10へ送信する(ステップ104)。設備情報は、顧客側システム20で利用可能なブラウザの仕様に合致しているので、運用上、問題なくローカルネットワーク23及びファイアウォール22を経由して遠隔管理センタ10の受信サーバ11に向けて送出される。
【0031】
遠隔管理センタ10において、受信サーバ11は、顧客側システム20から送られてきた設備情報を受信すると、遠隔管理システム12へ送る。そして、遠隔管理システム12では、受け取った設備情報に基づいて顧客側に設置のビル設備の状況を認識する。なお、遠隔管理システム12が提供する遠隔監視サービス自体は、本発明の要旨ではないので説明を省略する。
【0032】
ところで、ビル設備の管理上、遠隔管理センタ10側から顧客側システム20に設置された遠隔管理端末装置30に対して、何らかの指示や情報を送信したい場合がある。しかし、本実施の形態において例示したように、顧客側システム20にファイアウォール22が設置され、セキュリティ上、外部からのアクセスが制限されている場合、遠隔管理センタ10からの主導的に情報を送信できない。そこで、本実施の形態においては、制御部35に、問合せ要求をブラウザ機能処理部34に送信するよう定周期的に指示を出させるようにした。
【0033】
ブラウザ機能処理部34は、この送信指示に応じて問合せ要求を遠隔管理センタ10へ送信する。遠隔管理センタ10における受信サーバ11は、顧客側システム20から送信されてきた問合せ要求を受信すると、遠隔管理システム12に送信する情報の有無を問い合わせる。送信する情報がある場合、受信サーバ11は、その情報を遠隔管理システム12から受け取り、問合せ要求に対する返答として送信する。このようにして、遠隔管理端末装置30は、遠隔管理センタ10からの情報を受け取ることができる。一方、送信する情報がない場合、受信サーバ11は、その旨を問合せ要求に対する返答として送信すればよい。
【0034】
本実施の形態によれば、以上のようにして顧客側システムのローカルネットワーク23を利用して、遠隔管理端末装置30から遠隔管理センタ10へ設備情報を送信することができる。これにより、ビル設備システム24と遠隔管理センタ10との間に当該用途専用のネットワークを設置することなくインターネット8を利用して設備情報を収集できるので、遠隔監視サービスの提供に要するコストを削減することができる。
【0035】
また、遠隔管理端末装置30から遠隔管理センタ10へ問合せをさせることで、遠隔管理センタ10側から遠隔管理端末装置30へ情報を送信することができる。
【0036】
なお、本実施の形態では、ビル設備を遠隔監視するサービスシステムを例にして説明したが、他のサービスシステムに適用してもよい。
【符号の説明】
【0037】
1 CPU、2 ROM、3 RAM、4 ハードディスクドライブ(HDD)、5 HDDコントローラ、6 ネットワークコントローラ、7 内部バス、8 インターネット、10 遠隔管理センタ、11 受信サーバ、12 遠隔管理システム、20 顧客側システム、21 顧客端末装置、22 ファイアウォール、23 ローカルネットワーク、24 ビル設備システム、30 遠隔管理端末装置、31 インストール部、32 エミュレータ登録部、33 設備情報収集部、34 ブラウザ機能処理部、35 制御部、38 ブラウザ情報記憶部、39 設備情報記憶部、40 設定用端末。
図1
図2
図3
図4
図5