(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5685566
(24)【登録日】2015年1月23日
(45)【発行日】2015年3月18日
(54)【発明の名称】車両のピラー部構造
(51)【国際特許分類】
B62D 25/04 20060101AFI20150226BHJP
B60R 13/04 20060101ALI20150226BHJP
【FI】
B62D25/04 A
B60R13/04 Z
【請求項の数】4
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2012-215072(P2012-215072)
(22)【出願日】2012年9月27日
(65)【公開番号】特開2014-69607(P2014-69607A)
(43)【公開日】2014年4月21日
【審査請求日】2013年3月28日
(73)【特許権者】
【識別番号】000005348
【氏名又は名称】富士重工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000383
【氏名又は名称】特許業務法人 エビス国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】小島 直記
【審査官】
鹿角 剛二
(56)【参考文献】
【文献】
実開昭59−179154(JP,U)
【文献】
実開平02−040674(JP,U)
【文献】
特開2001−146141(JP,A)
【文献】
特開2009−248773(JP,A)
【文献】
実開昭62−065370(JP,U)
【文献】
実開昭57−200480(JP,U)
【文献】
実開昭52−016134(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B62D 25/04
B60R 13/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車室を形成するガラスと、車室の上面側に設けられたルーフパネルを支持するピラーと、ピラーの外面側に設けられたピラーアウタカバーと、を備えた車両のピラー部構造であって、
ピラーアウタカバーは、ガラス側の外面がガラスのピラーアウタカバーに隣接する部分の外面と略同一の高さとなるように形成され、
ピラーとピラーアウタカバーとの間には、車両の走行によってガラスの外面を流通した空気および雨水が流通可能な流通路が設けられ、
流通路には、空気および雨水を流入させる流入口と、流入口から流入した空気および雨水をそれぞれ空気と雨水とに分離する気水分離部と、気水分離部によって雨水と分離された空気を流出させる空気流出口と、気水分離部によって空気と分離された雨水をガラス部分以外の方向に排出する排出口と、が設けられ、
流入口は、ピラーとピラーアウタカバーとの間に車両の進行方向に対して前向きに開口して設けられ、
空気流出口は、車両の走行時における流入口近傍の圧力よりも低くなる位置に設けられている
ことを特徴とする車両のピラー部構造。
【請求項2】
空気流出口は、流出した空気が車両の空気流出口が設けられた面に位置するガラスの外面に沿って流通する方向に開口され、開口面積が流入口の開口面積よりも小さく形成されている
ことを特徴とする請求項1に記載の車両のピラー部構造。
【請求項3】
ピラーは、ルーフパネルの前側を支持するフロントピラーであり、
車両の前面側に設けられたフロントガラスの外面を流通した空気および雨水を流通路に流入させて気水分離部において空気と雨水とを分離し、雨水と分離した空気をフロントドアのガラスの外面に沿って流通させる
ことを特徴とする請求項2記載の車両のピラー部構造。
【請求項4】
気水分離部は、ピラーの長手方向に延びるように設けられ、流通路を流通する雨水が接触することで雨水と空気とを分離可能なリブを有している
ことを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の車両のピラー部構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車体のルーフパネルを支持するピラー部の構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、車両のピラー部構造としては、車体の前面側に設けられたフロントガラスと、車体の幅方向両側に設けられたフロントドアと、フロントガラスとフロントドアとの間に位置するフロントピラーと、フロントピラーの外面側に設けられたピラーアウタカバーと、を備え、フロントガラスとピラーアウタカバーとの間に段差を形成したものが知られている(例えば、特許文献1参照)。このピラー部構造では、車両の降雨時の走行中において、フロントガラスの前面を幅方向両側に向かって流れる雨水をフロントガラスとピラーアウタカバーとの段差に沿って流通させることによって、フロントドアのガラス部分への雨水の流通を規制し、車両の降雨時の走行中における側方の視界を保持している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2011−5939号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
前記ピラー部構造では、車両の走行中において、フロントガラスとピラーアウタカバーとの間の段差によって空気の流れが乱れるため、空気抵抗が大きくなるおそれがある。また、前記ピラー部構造では、車両の降雪時の走行中において、フロントガラスに付着した雪をワイパで払拭すると、ワイパによって払拭された雪がフロントガラスのピラーアウタカバーとの間の段差部分に堆積してしまい、必要な視界を確保することができなくなるおそれがある。さらに、前記ピラー部構造では、フロントガラスとピラーアウタカバーとの間の段差が、車両の意匠上の見栄えを悪くする原因となる場合がある。
【0005】
本発明の目的とするところは、車両の走行中における空気抵抗の低減、降雪時の排雪性の向上および車両の見栄えの向上を図ることが可能な車両のピラー部構造を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、前記目的を達成するために、車室を形成するガラスと、車室の上面側に設けられたルーフパネルを支持するピラーと、ピラーの外面側に設けられたピラーアウタカバーと、を備えた車両のピラー部構造であって、ピラーアウタカバーは、ガラス側の外面がガラスのピラーアウタカバーに隣接する部分の外面と略同一の高さとなるように形成され、ピラーとピラーアウタカバーとの間には、車両の走行によってガラスの外面を流通した空気および雨水が流通可能な流通路が設けられ、流通路には、空気および雨水を流入させる流入口と、流入口から流入した空気および雨水をそれぞれ空気と雨水とに分離する気水分離部と、気水分離部によって雨水と分離された空気を流出させる空気流出口と、気水分離部によって空気と分離された雨水をガラス部分以外の方向に排出する排出口と、が設けられ、
流入口は、ピラーとピラーアウタカバーとの間に車両の進行方向に対して前向きに開口して設けられ、空気流出口は、車両の走行時における流入口近傍の圧力よりも低くなる位置に設けられている。
【0007】
これにより、車両の降雨時の走行中において、ガラスの外面を流通した雨水が流通路を流通し、ガラス部分以外の方向に排出されることから、ピラーアウタカバーの外面を、ガラスの外面と同一の高さとすることが可能となる。
【0008】
また、車両走行時において、空気流出口近傍の圧力が流入口近傍の圧力よりも低くなることから、流通路を流通する空気および雨水の流量を増加させることが可能となる。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、ピラーアウタカバーの外面を、フロントガラスの外面と同一の高さとすることが可能となるので、車両の走行中における空気抵抗の低減が可能となるとともに、車両の降雪時における走行中にガラスに雪が堆積することを防止し、車両の見栄えを向上させることが可能となる。
【0010】
また、流通路を流通する空気および雨水の流量を増加させることが可能となるので、ガラスの外面をピラーに向かって流通する雨水を確実に流通路に導くことが可能となり、車室内におけるガラスを介した外部の視認性をより向上させることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】本発明の一実施形態を示す車両の全体斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
図1および
図2は、本発明の一実施形態を示すものである。
図1は、車両の全体斜視図である。
図2は、
図1のA−A´断面図である。
【0013】
本発明のピラー部構造を備えた車両1は、
図1に示すように、車室の上面側に設けられたルーフパネル2と、車室の前面側に設けられたフロントガラス3と、車室の幅方向両側に設けられたフロントドア4と、フロントガラス3とフロントドア4との間に設けられたフロントピラー部10と、を備えている。フロントガラス3の前面の下部には、ワイパ3aが設けられており、ワイパ3aによってフロントガラス3に付着した雨水や雪が払拭される。フロントドア4には、フロントピラー部10の下端近傍に対応する位置にドアミラー4aが設けられている。
【0014】
フロントピラー部10は、
図2に示すように、フロントピラー20と、フロントピラー20の車室内側に設けられたピラーインナカバー30と、フロントピラー20の車室外側に設けられたピラーアウタカバー40と、を備えている。
【0015】
フロントピラー20は、ピラーリンホースパネル21と、ピラーリンホースパネル21の車室内側に設けられたピラーインナパネル22と、ピラーリンホースパネル21の車室外側に設けられたピラーアウタパネル23と、を有し、これらの部材21,22,23を一体とすることによって強度が保持される。
【0016】
ピラーインナカバー30は、例えば合成樹脂製の部材からなり、フロントピラー20を車室内側から覆っている。
【0017】
ピラーアウタカバー40は、例えば合成樹脂製の部材からなり、フロントガラス3とフロントドア4との間に位置するピラーアウタパネル23を外側から覆っている。また、ピラーアウタカバー40は、フロントガラス3側の外面が、フロントガラス3のピラーアウタカバー40に隣接する部分の外面と略同一の高さとなるように形成されている。ピラーアウタカバー40とフロントピラー20との間には、車両1の走行中にフロントガラス3の外面を流通した空気や雨水が流通可能な流通路41をピラーアウタカバー40とフロントピラー20との間に形成するための流通路形成板42がフロントピラー20のピラーアウタパネル23の外面に沿って設けられている。ここで、ピラーアウタカバー40のフロントガラス3側の外面と、フロントガラス3のピラーアウタカバー40に隣接する部分の外面とが略同一の高さに形成されている、とは、厳密に同一の高さとなる場合だけでなく、例えば、2mm〜3mm程度の差を有する場合も含まれる。
【0018】
ピラーアウタカバー40には、流通路形成板42に向かって突出するとともに、ピラーアウタカバー40の長手方向に沿って延びる少なくとも1つのリブ40aが設けられている。また、流通路形成板42には、ピラーアウタカバー40に向かって突出するとともに、流通路形成板42の長手方向に延びる少なくとも1つのリブ42aが設けられている。これにより、流通路41は、リブ40a,42aによってフロントガラス3側からフロントドア4側に向かって蛇行して延びるように形成される。ここで、リブ40aは、先端側がピラーアウタカバー40から車両1の幅方向内側に向けて車両1の前後方向に対して斜めに突出している。また、リブ42aは、先端側が流通路形成板42から車両1の幅方向外側に向けて車両1の前後方向に対して斜めに突出している。
【0019】
また、流通路41には、フロントガラス3の外面を流通した空気や雨水を流入させる流入口41aと、流通路41に流入した雨水を分離して空気を流出させる空気流出口41bと、流通路41に流入して空気と分離された雨水を排出する図示しない排出口と、が設けられている。
【0020】
流入口41aは、フロントガラス3とピラーアウタカバー40との隙間部分に設けられ、フロントガラス3とピラーアウタカバー40との隙間部分を上下方向に渡って前方に向かって開口されている。流入口41aは、幅方向寸法としてのフロントガラス3とピラーアウタカバー40との隙間の寸法が、所定の幅寸法W1に形成されている。また、流通路41におけるリブ40a,42aの先端部と、リブ40a,42aの延長上に位置するピラーアウタカバー40または流通路形成板42との間の幅寸法は、流入口41aのフロントガラス3とピラーアウタカバー40との隙間の幅寸法W1と略同一に形成されている。
【0021】
空気流出口41bは、フロントドア4の近傍においてピラーアウタカバー40と流通路形成板42との隙間部分の上下方向に渡って後方に向けて開口されている。空気流出口41bは、ピラーアウタカバー40と流通路形成板42との隙間の寸法が、流入口41aの幅寸法W1よりも小さい所定の幅寸法W2(W2<W1)に形成されている。すなわち、空気流出口41bは、開口面積が流入口41aの開口面積と比較して小さくなるように形成されている。
【0022】
排出口は、フロントピラー20の下端部および上端部の近傍においてフロントドア4のガラス部分以外の方向の外部に向けて開口されている。
【0023】
また、ピラーアウタカバー40の外面の短手方向中央部には、ピラーアウタカバー40の外面に付着した雨水をフロントピラー20の下端側または上端側に案内するための溝40bが長手方向に延びるように形成されている。
【0024】
以上のように構成されたピラー部構造において、走行中の車両1のフロントガラス3の幅方向両側の空気は、大部分がピラーアウタカバー40の外面側に沿って流通するとともに(
図2の一点鎖線)、一部が流入口41aから流通路41に流入して、流通路41を蛇行しながら流通し(
図2の二点鎖線)、空気流出口41bから流出してフロントドア4のガラス部分の外面側を沿うようにして車両1の後方に向かって流通する。
【0025】
車両1の走行時において、空気流出口41bが設けられた車両1側面のフロントピラー部10近傍は、流入口41aが設けられた車両1前面のフロントピラー部10近傍の圧力よりも低い圧力となる。流通路41を流通する空気は、流入口41aと空気流出口41bとの圧力差によって、所定の流量が確保される。
【0026】
また、空気流出口41bの幅寸法W2は、流入口41aの幅寸法W1よりも小さく形成されているため、流通路41に流入する空気の流速よりも流通路41から流出する空気の流速が速くなる。
【0027】
また、車両1の降雨時の走行において、フロントガラス3に付着した雨水は、ワイパ3aによって払拭され、一部の雨水がフロントガラス3の幅方向両側に向かって流通する。このとき、フロントガラス3の幅方向両側の雨水は、フロントガラス3とピラーアウタカバー40との間に設けられた流入口41aから空気と共に流通路41に流入し、リブ40a,42aに接触することによって、空気と分離される。空気と分離された雨水は、リブ40a,42aに沿って流通し、フロントピラー20の下端部または上端部の排出口からフロントドア4のガラス部分以外の方向の外部に放出される。このため、流通路41において分離された雨水は、フロントドア4のガラス部分を流れることなく、フロントドア4の下側やルーフパネル2の上面を流通する。また、雨水と分離された空気は、流通路41を蛇行しながら流通して空気流出口41bから流出してフロントドア4のガラス部分の外面側を沿うようにして車両1の後方に向かって流通する。このため、フロントドア4のガラス部分に向かって落ちる雨水は、空気流出口41bから流出される空気によって吹き飛ばされるため、フロントドア4のガラス部分への雨水の付着が抑制される。
【0028】
また、車両1の降雪時の走行において、フロントガラス3に付着した雪は、ワイパ3aによって払拭され、一部の雪がフロントガラス3の幅方向両側に向かって移動する。このとき、ピラーアウタカバー40のフロントガラス3側の外面は、フロントガラス3のピラーアウタカバー40に隣接する部分の外面と略同一の高さであるため、フロントガラス3の幅方向両側に雪が溜まることなく、車両1の側方に落下させることが可能となる。
【0029】
このように、本実施形態の車両のピラー部構造によれば、フロントピラー20とピラーアウタカバー40との間には、車両1の走行によってフロントガラス3の前面を流通した空気および雨水が流通可能な流通路41が設けられ、流通路41には、フロントガラス3の前面を流通した空気および雨水を流入させるための流入口41aと、流入口41aから流入した雨水を接触させることによって空気と雨水とを分離するリブ40a,42aと、リブ40a,42aによって雨水と分離された空気をフロントドア側に流出させる空気流出口41bと、リブ40a,42aによって空気と分離された雨水をフロントドア4のガラス部分以外の方向に排出する排出口と、が設けられている。これにより、ピラーアウタカバー40のフロントガラス3側の外面を、フロントガラス3のピラーアウタカバー40と隣接する部分の外面と同一の高さとなるように形成することが可能となるので、車両1の走行中における空気抵抗の低減が可能となるとともに、車両1の降雪時における走行中にフロントガラス3の幅方向両側に雪が堆積することを防止し、車両1の見栄えを向上させることが可能となる。
【0030】
また、空気流出口41bは、車両1の走行時において、流入口41aが設けられた車両1前面のフロントピラー部10近傍の圧力よりも低い圧力となる車両1側面のフロントピラー部10近傍に設けられている。これにより、流通路41を流通する空気および雨水の流量を増加させることが可能となるので、フロントガラス3の外面をフロントピラー部10に向かって流通する雨水を確実に流通路41に導くことが可能となり、車室内におけるフロントドア4のガラス部分を介した外部の視認性をより向上させることが可能となる。
【0031】
また、空気流出口41bは、開口面積が流入口41aの開口面積よりも小さく形成されている。これにより、空気流出口41bから流出される空気の流速を流入口41aから流入する空気の流速よりも速めることができるので、フロントドア4のガラス部分に向かって落ちる雨水を、空気流出口41bから流出される空気によってより確実に吹き飛ばすことができ、車室内におけるフロントドア4のガラス部分を介した外部の視認性をより向上させることが可能となる。
【0032】
なお、前記実施形態では、ピラーアウタカバー40のフロントガラス3側の外面を、フロントガラス3のピラーアウタカバー40と隣接する部分の外面と同一の高さとするための構成としてフロントピラー部10を示したが、これに限られるものではない。例えば、車両1の後部の側面に位置するガラスと車室の後面側に位置するリアガラスとの間に設けられたリアピラー部において、リアピラー部の車両の側面に位置する外面を、車両1の側面の後部に位置するガラスのリアピラー部側の外面と同一の高さとするための構成に適用可能である。この場合、車両1の側面の後部に位置するガラスとリアピラー部との間に流入口を設け、車両1の走行時において流入口近傍の圧力よりも低い圧力となる車両1後面に空気流出口を設けることによって、車両1の側面の後部を流通する雨水の車両1の後面のリアガラス部分への流通を規制することが可能である。
【0033】
また、前記実施形態では、車両1の走行時において、流入口41aが設けられた車両1前面のフロントピラー部10近傍の圧力よりも低い圧力となる車体の部分として車両1側面のフロントピラー部10の近傍に空気流出口41bを設けたものを示したが、これに限られるものではない。車両1の走行時において、流入口41aが設けられた部分近傍の圧力よりも低い圧力となる車両1の部分に流通路41を連通させて空気流出口を設ければよく、例えば、車両1のルーフパネル2の前端側に空気流出口を設けるようにしてもよい。
【0034】
また、前記実施形態では、空気流出口41bを、流入口41aの幅寸法W1よりも小さい幅寸法W2に形成し、フロントドア4の近傍においてピラーアウタカバー40と流通路形成板42との隙間部分の上下方向に渡って後方に向けて開口するようにしたものを示したが、これに限られるものではない。空気流出口41bの開口面積が流入口41aの開口面積よりも小さく形成されるものであれば、空気流出口41bを、幅寸法を流入口41aと同一に形成して長手方向寸法を流入口41aの長手方向寸法よりも短くするようにしてもよい。この場合、空気流出口41bの位置は、車両1の走行中において、フロントピラー部10の上下方向の位置で最も圧力が低くなる部分とすることが望ましい。
【0035】
また、前記実施形態では、ピラーアウタカバー40に1つのリブ40aを設け、流通路形成板42に2つのリブ42aを設けるようにしたものを示したが、これに限られるものではない。例えば、ピラーアウタカバー40および流通路形成板42の一方に1つのリブが設けられているものでもよいし、ピラーアウタカバー40および流通路形成板42の両方に複数のリブが設けられているものでもよい。
【0036】
また、前記実施形態では、ピラーアウタカバー40および流通路形成板42にリブ40a,42aを設けることによって、流通路41に流入した空気と雨水とを分離するようにしたものを示したが、これに限られるものではない。例えば、流通路41に雨水を接触させることによって空気と分離可能な網状の部材を設けるようにしてもよいし、流通路41に気体のみを透過可能な気液分離膜を設けるようにしてもよい。
【0037】
また、前記実施形態では、ピラーアウタカバー40とフロントピラー20との間に、流通路41を形成するための流通路形成板42を設けるようにしたものを示したが、これに限られるものではない。流通路形成板42を用いることなくピラーアウタカバー40とフロントピラー20との間に、流通路を形成するようにしてもよい。この場合、フロントピラー20に直接リブを形成すれば前記実施形態と同様の効果を得ることが可能となる。
【符号の説明】
【0038】
1…車両、3…フロントガラス、10…フロントピラー部、20…フロントピラー、40…ピラーアウタカバー、40a…リブ、41…流通路、41a…流入口、41b…空気流出口、42…流通路形成板、42a…リブ。