特許第5685668号(P5685668)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】5685668
(24)【登録日】2015年1月23日
(45)【発行日】2015年3月18日
(54)【発明の名称】撮像装置及び撮像方法
(51)【国際特許分類】
   G03B 15/05 20060101AFI20150226BHJP
   G03B 15/03 20060101ALI20150226BHJP
   H04N 5/238 20060101ALI20150226BHJP
【FI】
   G03B15/05
   G03B15/03 V
   H04N5/238 Z
【請求項の数】4
【全頁数】7
(21)【出願番号】特願2014-130831(P2014-130831)
(22)【出願日】2014年6月25日
【審査請求日】2014年7月10日
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】514162450
【氏名又は名称】株式会社プラックス
(74)【代理人】
【識別番号】100142136
【弁理士】
【氏名又は名称】深澤 潔
(72)【発明者】
【氏名】土屋 聡
【審査官】 居島 一仁
(56)【参考文献】
【文献】 特開2010−072508(JP,A)
【文献】 特開2005−181801(JP,A)
【文献】 特開2000−050151(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03B15/04−15/05
H04N 5/222−5/257
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
フレームレートに同期したフレーム同期信号を出力する撮像装置と
該撮像装置とともに使用される閃光装置
を備え、
前記撮像装置が、
撮像素子と、
開閉して前記撮像素子の露光時間を調整するシャッター部と、
該シャッター部の開閉時間を制御するとともに、フレームレートに同期したフレーム同期信号を出力するカメラ制御部と、
を備え、
前記閃光装置が、
駆動信号が入力することによって閃光を照射する発光部と、
前記フレーム同期信号に応じて発光信号を出力する閃光制御部と、
前記発光信号が入力する都度、前記駆動信号を前記発光部へ出力する閃光駆動部と、
を備え、
前記閃光制御部が、一の前記フレーム同期信号が入力した後、次のフレーム同期信号が入力するまでの間に前記発光信号を複数回出力し、
一の前記発光信号が出力されて露光が開始され、次の発光信号が出力される前に露光が終了する撮像装置。
【請求項2】
前記閃光制御部が、前記発光信号を一定の時間間隔で出力する請求項1に記載の撮像装置。
【請求項3】
被写体の動きを検知する動体検出部を備え、
該動体検出部が前記被写体を検知した場合のみ、前記閃光制御部が前記発光信号を出力する請求項1又は2に記載の撮像装置。
【請求項4】
フレームレートに同期したフレーム同期信号を出力する第一ステップと、
一の前記フレーム同期信号の出力と、次のフレーム同期信号の出力との間に前記発光信号を複数回出力する第二ステップと、
一の前記発光信号が出力されて露光を開始し、次の発光信号が出力される前に露光を終了する第三ステップと、
を備えている撮像方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は撮像装置及び撮像方法に関する。
【背景技術】
【0002】
高速で移動する被写体をビデオカメラでぶれなく鮮明に撮影するために、撮像フレーム内で電子的又は機械的にシャッター動作を行ってビデオカメラの露光時間を短くする方法が知られている。
【0003】
しかし、シャッター動作により露光時間を短くする方法の場合、短い露光時間で十分な画質を得るためには、通常の照明で必要とされる光量よりも大きな光量を確保する必要がある。昼間や日光が当たる場所での撮影ならともかく、夜間等、照明が必要な場合に必要以上の光量で照明することは不経済であり、照明機器の寿命も短くなってしまう等の問題がある。
【0004】
そこで、例えば非特許文献1に記載のような瞬間的に閃光するストロボ光を光源とするとともに、ストロボ光の点滅に同期してシャッターを開閉させてストロボ光による発光時間のみ露光させる方法が提案されている(例えば、特許文献1参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2008−217303号公報
【0006】
【非特許文献1】日進電子工業株式会社画像処理用ストロボ、[平成26年6月19日検索]、インターネット〈URL:http://www.nissin-ele.co.jp/products/index.php〉
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、上記従来の撮像装置の場合、ストロボ光の閃光毎に露光するため、ストロボ光の発光間隔によっては激しい光の明滅により、人間が視認しにくくなってしまう。
【0008】
本発明は上記事情に鑑みて成されたものであり、ストロボ光の明滅の影響を感じさせずに通常の照明を利用するように撮像可能な撮像装置及び撮像方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、上記課題を解決するため、以下の手段を採用する。
本発明に係る撮像装置は、フレームレートに同期したフレーム同期信号を出力する撮像装置と、該撮像装置とともに使用される閃光装置を備え、前記撮像装置が、撮像素子と、開閉して前記撮像素子の露光時間を調整するシャッター部と、該シャッター部の開閉時間を制御するとともに、フレームレートに同期したフレーム同期信号を出力するカメラ制御部と、を備え、前記閃光装置が、駆動信号が入力することによって閃光を照射する発光部と、前記フレーム同期信号に応じて発光信号を出力する閃光制御部と、前記発光信号が入力する都度、前記駆動信号を前記発光部へ出力する閃光駆動部と、を備え、前記閃光制御部が、一の前記フレーム同期信号が入力した後、次のフレーム同期信号が入力するまでの間に前記発光信号を複数回出力し、一の前記発光信号が出力されて露光が開始され、次の発光信号が出力される前に露光が終了する
【0010】
この発明は、1フレーム内で発光部が複数回発光するので、発光部の閃光による明滅の影響を目立たなくすることができる。また、発光部の明滅を目立たなくするだけでなく、高速で移動する被写体でもぶれのない画像を取得することができる。
【0011】
また、本発明に係る撮像装置は、前記閃光制御部が、さらに前記発光信号を一定の時間間隔で出力する。そのため、発光部の発光ムラを抑えてより好適に明滅を目立たなくすることができる。
【0013】
また、本発明に係る撮像方法は、フレームレートに同期したフレーム同期信号を出力する第一ステップと、一の前記フレーム同期信号の出力と、次のフレーム同期信号の出力との間に前記発光信号を複数回出力する第二ステップと、一の前記発光信号が出力されて露光を開始し、次の発光信号が出力される前に露光を終了する第三ステップと、を備えている。
【0014】
この発明は、発光部の明滅を目立たなくするだけでなく、高速で移動する被写体でもぶれのない画像を取得することができる。
【0015】
また、本発明に係る撮像装置は、被写体の動きを検知する動体検出部をさらに備え、該動体検出部が前記被写体を検知した場合のみ、前記閃光制御部が前記発光信号を出力する。そのため、動きのある被写体を撮影したいときにのみ発光部を閃光させて被写体を撮影することができる。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、ストロボ光の明滅の影響を感じさせずに通常の照明を利用するように撮像することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本発明の一実施形態に係るストロボ照明付ビデオカメラを示す機能ブロック図である。
図2】本発明の一実施形態に係るストロボ装置及びストロボ照明付ビデオカメラの各信号のタイミングチャートを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本発明に係る一実施形態について、図1及び図2を参照して説明する。
本実施形態に係るストロボ照明付ビデオカメラ(撮像装置)10は、図1に示すように、レンズ11と、カメラ本体12と、モニタ部13と、ストロボ装置(閃光装置)15と、を備えている。
【0019】
レンズ11は、カメラ本体12と接続して配されている。カメラ本体12は、撮像素子16と、露光時間を調整するシャッター部17と、カメラ制御部18と、を備えている。
【0020】
撮像素子16は、レンズ11で集光された光を光電変換する。シャッター部17は、不図示の開閉機構を備え、露光時には開いて撮像素子16に光を通すとともに、それ以外では閉じて光を遮るよう構成されている。なお、開閉機構は機械式でも電子式でも構わない。カメラ制御部18は、撮像素子16からの出力を画像信号に変換するとともに、フレームレートに同期したフレーム同期信号を出力する。
【0021】
モニタ部13は、カメラ本体12と有線又は無線によって接続されて、カメラ本体12から出力された画像信号が入力される。なお、通信規格は画像信号の伝送に関するものであれば、どのような規格であっても構わない。
【0022】
ストロボ装置15は、発光部20と、ストロボ制御部(閃光制御部)21と、ストロボ駆動部(閃光駆動部)22と、を備えている。発光部20は、LED等で構成されて閃光を照射する。ストロボ制御部21は、カメラ制御部18から出力されるフレーム同期信号に応じて発光信号を出力する。ストロボ駆動部22は、発光信号が入力する都度、発光部20の駆動信号を発光部20へ出力する。
【0023】
ストロボ制御部21は、一つのフレーム同期信号が入力した後、次のフレーム同期信号が入力するまでの間に、発光信号を複数回出力する。この際、発光信号は一定の時間間隔で出力されるのが好ましく、より好適には、60Hz以上で出力される。
【0024】
次に、本実施形態に係るストロボ照明付ビデオカメラ10の作用について、このストロボ照明付ビデオカメラ10による撮像方法とともに説明する。
【0025】
この撮像方法は、フレームレートに同期したフレーム同期信号を出力する第一ステップ(S01)と、一つのフレーム同期信号の出力と、次のフレーム同期信号の出力との間に発光信号を複数回出力する第二ステップ(S02)と、一つの発光信号の出力と同時に露光を開始し、次の発光信号が出力される前に露光を終了する第三ステップ(S03)と、を備えている。
【0026】
第一ステップ(S01)では、撮像素子16からの画像信号が入力されたカメラ制御部18が、フレームレートに同期したフレーム同期信号を出力する。第二ステップ(S02)では、ストロボ制御部21に一つのフレーム同期信号が入力した後、次のフレーム同期信号が入力するまでの間に、ストロボ制御部21が発光信号を複数回出力する。
【0027】
ここで、より好適に人間が明滅を感じないよう発光信号の出力周波数を60Hz以上にするために、例えば、フレーム周波数が15Hzの場合に、1フレーム中に発光部20が4回閃光するように発光信号が4回出力され、このうち最初の1回の発光時のみ露光される状態を図2に示す。なお、例えば、フレーム周波数が30Hzの場合は、1フレーム中に発光部20が2回閃光するように発光信号が2回出力される。
【0028】
ストロボ制御部21から発光信号が出力されると、カメラ制御部18にも発光信号が入力される。第三ステップ(S03)では、発光信号の入力と同時にシャッター部17を開とする信号がシャッター部17へ出力され、露光が開始される。そして、次の発光信号が出力される前にシャッター部17を閉とする信号がシャッター部17へ出力されて、露光が終了する。
【0029】
なお、予め、シャッター部17の開閉時間が発光信号の出力間隔よりも短くなるように決められたシャッター部17の開閉信号が出力されるものとしても構わない。また、発光信号が出力されている間にシャッター部17を開とする信号がシャッター部17へ出力されるものでも構わない。
【0030】
このストロボ照明付ビデオカメラ10によれば、1フレーム内で発光部20が複数回発光するので、発光部20の閃光による明滅を目立たなくすることができ、通常照明のように使用することができる。
【0031】
特に、発光信号を一定の時間間隔で出力するので、発光部20の発光ムラを抑えてより好適に明滅を目立たなくすることができる。この際、好ましくは、出力周波数が60Hz以上となるように出力することにより、より好適に明滅を目立たなくすることができる。
【0032】
また、発光信号が出力されるのと同時に露光が開始され、次の発光信号が出力される前に露光が終了するようにすることにより、発光部20の閃光による明滅を目立たなくするだけでなく、高速で移動する被写体でもぶれのない画像を取得することができる。
【0033】
なお、本発明の技術範囲は上記実施の形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることが可能である。
例えば、上記実施形態ではストロボ照明付ビデオカメラ10がシャッター部17を備えているとしたが、シャッター部17がなく1回の発光時のみ露光する構造で、発光信号が例えば60Hz以上の周波数で出力されるものでも構わない。
【0034】
また、ストロボ照明付ビデオカメラ10がモニタ部13を備えているとしたが、必ずしも備えておらず、撮像された画像信号をハードディスク装置や半導体メモリ等の記憶媒体に記録するようにしたものでも構わない。
【0035】
また、ストロボ照明付ビデオカメラが、被写体の動きを検知する不図示の動体検出部を備えているとしても構わない。この場合、動体検出部が被写体を検知した場合のみ、ストロボ制御部21が発光信号を出力するようにすることによって、動きのある被写体を撮影したいときにのみ発光部20を閃光させて被写体を撮影することができる。
【0036】
一方、ストロボ照明付ビデオカメラが、照度を計測する不図示の照度測定部を備えているとしても構わない。この場合、撮影に充分な照度が得られない場合にストロボ制御部21が発光信号を出力することによって、十分な照度の下では、発光部20の使用を抑えて発光部20の寿命を延ばすことができる。
【符号の説明】
【0037】
10 ストロボ照明付ビデオカメラ(撮像装置)
15 ストロボ装置(閃光装置)
17 シャッター部
18 カメラ制御部
20 発光部
21 ストロボ制御部(閃光制御部)
22 ストロボ駆動部(閃光駆動部)
【要約】
【課題】ストロボ光の明滅の影響を感じさせずに通常の照明を利用するように撮像可能な閃光装置、これを備える撮像装置、及び撮像方法を提供すること。
【解決手段】ストロボ照明付ビデオカメラ10のストロボ装置15は、駆動信号が入力することによって閃光を照射する発光部20と、フレームレートに同期して出力されるフレーム同期信号に応じて発光信号を出力するストロボ制御部(閃光制御部)21と、この発光信号が入力する都度、駆動信号を発光部20へ出力するストロボ駆動部(閃光駆動部)22と、を備え、ストロボ制御部21が、一のフレーム同期信号が入力した後、次のフレーム同期信号が入力するまでの間に発光信号を複数回出力する。
【選択図】図1
図1
図2