(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記バルブ制御部は、前記バルブに対する前記開動作を指示後、所定期間経過後に前記バルブに対して閉動作を指示するように構成されている、請求項1または2記載の作業車両。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、本発明の実施形態について図に基づいて説明する。
<全体構成>
図1は、実施形態に基づく作業車両101の外観を説明する図である。
【0026】
図1に示されるように、実施形態に基づく作業車両101として、本例においては、主に油圧ショベルを例に挙げて説明する。
【0027】
作業車両101は、下部走行体1と、上部旋回体3と、作業機4とを主に有している。作業車両本体は、下部走行体1と上部旋回体3とにより構成される。下部走行体1は、左右1対の履帯を有している。上部旋回体3は、下部走行体1の上部の旋回機構を介して旋回可能に装着される。
【0028】
作業機4は、上部旋回体3において、上下方向に作動可能に軸支されており、土砂の掘削などの作業を行う。作業機4は、ブーム5と、アーム6と、バケット7とを含む。ブーム5は、基部が上部旋回体3に可動可能に連結されている。アーム6は、ブーム5の先端に可動可能に連結されている。バケット7は、アーム6の先端に可動可能に連結されている。また、上部旋回体3は、運転室8等を含む。
【0029】
<運転室の構成>
図2は、実施形態に基づく運転室8の内部構成を示す斜視図である。
【0030】
図2に示されるように、運転室8は、運転席9と、走行操作部10と、アタッチメント用ペダル15と、側方窓16と、計器盤17と、作業機レバー18,19と、ロックレバー20と、モニタ装置21と、前方窓22と、縦枠23とを有する。
【0031】
運転席9は、運転室8の中央部に設けられる。走行操作部10は、運転席9の前方に設けられる。
【0032】
走行操作部10は、走行レバー11,12と、走行ペダル13,14とを含む。走行ペダル13,14は、各走行レバー11,12と一体に可動する。下部走行体1は、操作者が走行レバー11,12を前方に押すことにより前進する。また、下部走行体1は、操作者が走行レバー11,12を後方に引くことにより後進する。
【0033】
アタッチメント用ペダル15は、走行操作部10の近傍に設けられる。また、計器盤17は、
図2の右方の側方窓16の近傍に設けられる。
【0034】
作業機レバー18,19は、運転席9の左右側部に設けられる。作業機レバー18、19は、ブーム5の上下動、アーム6およびバケット7の回動、ならびに上部旋回体3の旋回操作等を行うものである。
【0035】
ロックレバー20は、作業機レバー18の近傍に設けられる。ここで、ロックレバー20とは、作業機4の操作、上部旋回体3の旋回、および下部走行体1の走行等の機能を停止させるためのものである。ロックレバー20を垂直状態に位置させる操作(ここでは、ロックレバーの引き下げ操作)を行うことによって、作業機4等の動きをロック(規制)することができる。
【0036】
モニタ装置21は、運転室8の前方窓22と一方の側方窓16とを仕切る縦枠23の下部に設けられ、作業車両101のエンジン状態、ガイダンス情報、警告情報等を表示する。また、モニタ装置21は、作業車両101の種々の動作に関する設定指示を受け付け可能に設けられている。
【0037】
ここで、エンジン状態とは、例えば、エンジン冷却水の温度、作動油温度、燃料残量等である。ガイダンス情報とは、一例として作業車両のエンジン等の点検・整備を促す表示等である。種々の動作とは、例えば所定のモード(エア抜きモード)の設定等である。警告情報とは、操作者に注意を喚起する必要のある情報である。
【0038】
<制御システムの構成>
図3は、実施形態に基づく作業車両101の制御システムの構成を示す簡略図である。
【0039】
図3に示されるように、作業車両101の制御システムは、一例として、作業機レバー18,19、走行レバー11,12と、ロックレバー20と、モニタ装置21と、第1油圧ポンプ31Aと、第2油圧ポンプ31Bと、斜板駆動装置32と、コントロールバルブ34と、油圧アクチュエータ35と、エンジン36と、エンジンコントローラ38とを含む。また、制御システムは、燃料ダイヤル39と、回転センサ40と、作業機レバー装置41と、圧力スイッチ42と、バルブ43と、ポテンショメータ45と、スタータスイッチ46と、圧力センサ47と、メインコントローラ50と、ラジエータ71と、サーモスタット76と、水ポンプ61と、循環経路74と、分岐経路70と、センサ73と、LLC(Long Life Coolant)バルブ75とをさらに含む。
【0040】
さらに、作業車両101の制御システムは、排気ガス浄化装置60と、還元剤タンク69とをさらに含む。
【0041】
排気ガス浄化装置60は、排気浄化ユニット62と、中継接続管(ミキシング配管)64と、選択還元触媒装置65と、排気筒66と、還元剤噴射装置84とをさらに含む。
【0042】
還元剤噴射装置84は、還元剤供給経路83と、還元剤噴射弁68とを有する。
排気浄化ユニット62は、ディーゼル酸化触媒装置62Aと、ディーゼル微粒子捕集フィルター装置62Bとを含む。
【0043】
第1油圧ポンプ31Aは、作業機4等の駆動に用いる作動油を吐出する。
第2油圧ポンプ31Bは、作業機レバー18,19、走行レバー11,12の操作に応じた油圧(パイロット圧)を発生させるために利用される油を吐出する。第1油圧ポンプ31Aには、斜板駆動装置32が接続されている。
【0044】
斜板駆動装置32は、
メインコントローラ50からの指示に基づいて駆動し、第1油圧ポンプ31Aの斜板の傾斜角度を変更する。第1油圧ポンプ31Aには、コントロールバルブ34を介して油圧アクチュエータ35が接続される。油圧アクチュエータ35は、ブーム用シリンダ、アーム用シリンダ、バケット用シリンダ、旋回用油圧モータ、および走行用油圧モータ等である。
【0045】
コントロールバルブ34は、作業機レバー装置41と接続される。作業機レバー装置41は、作業機レバー18,19,走行レバー11,12の操作方向および/または操作量に応じたパイロット圧をコントロールバルブ34に出力する。コントロールバルブ34は、当該パイロット圧に従って油圧アクチュエータ35を制御する。
【0046】
第2油圧ポンプ31Bには、作業機レバー18,19、走行レバー11,12とロックレバー20とが接続される。
【0047】
作業機レバー装置41には、圧力センサ47が接続される。圧力センサ47は、作業機レバー18,19,走行レバー11,12の操作状態に応じたレバー操作信号をメインコントローラ50に出力する。
【0048】
メインコントローラ50は、作業量に従って設定されるポンプ吸収トルク、燃料ダイヤル39等で設定されるエンジン回転数、および実際のエンジン回転数等に応じて、第1油圧ポンプ31Aがエンジン36の各出力点でのベストマッチングのトルクを吸収するような制御を行う。
【0049】
エンジン36は、第1油圧ポンプ31Aおよび第2油圧ポンプ31Bと接続する駆動軸を有する。
【0050】
エンジンコントローラ38は、メインコントローラ50からの指示に従い、エンジン36の動作を制御する。エンジン36は、一例としてディーゼルエンジンである。エンジン36のエンジン回転数は、燃料ダイヤル39等によって設定され、実際のエンジン回転数は回転センサ40によって検出される。回転センサ40は、メインコントローラ50と接続される。
【0051】
燃料ダイヤル39にはポテンショメータ45が設けられ、ポテンショメータ45により燃料ダイヤル39の操作量が検出されてエンジンコントローラ38に対してエンジン36の回転数に関するダイヤル指令の値(ダイヤル指令値とも称する)が出力される。当該燃料ダイヤル39のダイヤル指令値に従ってエンジン36の目標回転数が調整される。
【0052】
エンジンコントローラ38は、メインコントローラ50からの指示に従いダイヤル指令値に基づいて燃料噴射装置が噴射する燃料噴射量等の制御を行いエンジン36の回転数を調節する。また、エンジンコントローラ38は、メインコントローラ50からの第1油圧ポンプ31Aに対する制御指示に従ってエンジン36のエンジン回転数を調節する。
【0053】
スタータスイッチ46は、エンジンコントローラ38と接続される。操作者がスタータスイッチ46を操作(スタートに設定)することにより、始動信号がエンジンコントローラ38に出力され、エンジン36が始動する。
【0054】
メインコントローラ50は、作業車両101全体を制御するコントローラであり、CPU(Central Processing Unit)、不揮発性メモリ、タイマ等により構成される。メインコントローラ50は、エンジンコントローラ38およびモニタ装置21等を制御する。なお、本例においては、メインコントローラ50と、エンジンコントローラ38とがそれぞれ別々の構成について説明しているが共通の1つのコントローラとすることも可能である。
【0055】
ロックレバー20には、圧力スイッチ42が接続されている。圧力スイッチ42は、ロックレバー20がロック側へ操作されたときにその操作を検知し、バルブ(ソレノイドバルブ)43へ信号を送る。これによって、バルブ43は、油の供給を遮断するので、作業機4の操作、上部旋回体3の旋回、および下部走行体1の走行等の機能を停止させることが可能となる。また、圧力スイッチ42は、メインコントローラ50にも同様の信号を送る。
【0056】
水ポンプ61は、エンジン36の駆動により循環経路74内のエンジン冷却水を循環させる。循環経路74は、サーモスタット76を介してエンジン冷却水を冷却するラジエータ71と連結される。サーモスタット76は、エンジン冷却水が所定温度に到達した場合に開き、エンジン冷却水が所定温度未満である場合には閉じる。これにより、エンジン冷却水が所定温度に到達した場合、ラジエータ71内にエンジン冷却水が流れ込み、エンジン冷却水が所定温度未満である場合、ラジエータ71内にはエンジン冷却水が流れ込まない。
【0057】
また、循環経路74には、分岐経路70が設けられている。本例においては、分岐経路70は、分岐点Aを始点として還元剤タンク69内に挿通され、そして、分岐点Bを終点とする。
【0058】
分岐経路70は、還元剤タンク69内に挿通される。還元剤タンク69内では、分岐経路内を流れるエンジン冷却水と還元剤タンク69に蓄えられた還元剤との間で熱交換が行われる。
【0059】
また、分岐経路70には、分岐点A付近においてLLCバルブ75が設けられる。LLCバルブ75は、メインコントローラ50からの指示に従って開閉動作を実行する。メインコントローラ50からの開動作の指示に従って、LLCバルブ75は開放される。これにより、循環経路74の分岐点Aから分岐経路70を介して還元剤タンク69内にエンジン冷却水が供給され、エンジン冷却水は循環経路74の分岐点Bに戻る。
【0060】
また、循環経路74には、センサ73が設けられ、経路内のエンジン冷却水の状態を検出する。本例においては、エンジン冷却水の状態としてエンジン冷却水の温度を検出する。センサ73は、循環経路74から検出した検出結果をメインコントローラ50に出力する。
【0061】
ラジエータ71には、エンジン冷却水を補給する補給口が設けられている。また、当該補給口は、エンジン冷却水が循環される経路内に溜まっているエア(空気)のエア抜き口としても機能する。
【0062】
ディーゼル酸化触媒装置62Aは、エンジン36の排気ガス中の窒素酸化物(NOx)のうち一酸化窒素(NO)を低減させて二酸化窒素(NO
2)を増加させる機能を有する。
【0063】
ディーゼル微粒子捕集フィルター装置62Bは、エンジン36からの排気を処理する装置である。ディーゼル微粒子捕集フィルター装置62Bは、エンジン36の排気中に含まれる粒子状物質をフィルターによって捕集し、捕集した粒子状物質を焼却するよう構成されている。フィルターは、たとえばセラミックよりなっている。
【0064】
選択還元触媒装置65は、還元剤としてたとえば尿素水を加水分解して得られたアンモニア(NH
3)を用いて窒素酸化物NOxを還元するためのものである。選択還元触媒装置65は、原理的には、窒素酸化物(NOx)がアンモニア(NH
3)と化学反応することで窒素(N
2)と水(H
2O)とに還元されることを応用したものである。作業車両101には、たとえば尿素水を入れた還元剤タンク69が搭載されている。ただし還元剤は、尿素水に限定されるものではなく、窒素酸化物NOxを還元できるものであればよい。
【0065】
中継接続管(ミキシング配管)64は、ディーゼル微粒子捕集フィルター装置62Bと選択還元触媒装置65との間を接続している。このミキシング配管64では、ディーゼル微粒子捕集フィルター装置から選択還元触媒装置65へ向かう排気ガスに対して還元剤が噴射され混合される。
【0066】
還元剤噴射装置84は、還元剤タンク69から汲み上げた還元剤(尿素水)を還元剤供給経路83および還元剤噴射弁68を介して排気ガスに噴射する。
【0067】
センサ72は、還元剤タンク69に設けられ、還元剤タンク69に蓄えられた還元剤の状態を検出する。本例においては、還元剤の状態として還元剤の温度を検出する。そして、センサ72は、還元剤タンク69から検出した検出結果をメインコントローラ50に出力する。
【0068】
排気筒66は、選択還元触媒装置65に接続されており、選択還元触媒装置65を通過した後の排気を大気中に排出するためのものである。
【0069】
なお、エンジン36、排気ガス浄化装置60、還元剤タンク69、水ポンプ61および循環経路74、分岐経路70、LLCバルブ75、メインコントローラ50は、それぞれ本発明の「エンジン」、「排気ガス浄化装置」、「還元剤タンク」、「エンジン冷却水回路」、「分岐経路」、「バルブ」、「バルブ制御部」の一例である。
【0070】
<分岐経路の構成>
図4は、本実施形態に基づく還元剤タンク69に接続される経路を説明する図である。
【0071】
図4を参照して、まず、排気処理ユニットについて説明する。エンジン36と排気処理ユニットとは互いに独立して車体フレーム95に支持されている。
【0072】
具体的には、排気処理ユニットをフレームに支持するための支持体の構成として、2つのプレート板91と、4つの縦フレーム(柱部材)92と、横フレーム93と、ブラケット94とを有している。
【0073】
2つのプレート板91の各々は平板形状を有し、かつ車体フレーム95に取付けられている。4つの縦フレーム92の各々は柱形状を有し、かつプレート板91に取付けられている。4つの縦フレーム92の各々は、プレート板91への取付け位置から上方へ延びている。
【0074】
横フレーム93は、縦フレーム92に取付けられている。横フレーム93は、排気浄化ユニット62および選択還元触媒装置65を支持するための部分である。
【0075】
ブラケット94は平板形状を有している。横フレーム93に取付けられている。中継接続管(ミキシング配管)64と還元剤タンク69とが尿素水配管(還元剤供給経路)により接続された構成が示されている。
【0076】
選択還元触媒装置65は、たとえば尿素水を加水分解して得られるアンモニアを利用して、選択的に窒素酸化物NOxを還元するためのものである。このため、選択還元触媒装置65に尿素水を供給する装置が必要となる。
【0077】
この還元剤噴射装置84は、還元剤噴射弁68と、還元剤供給経路83とを主に有している。
【0078】
還元剤タンク69は、尿素水を蓄えることができるよう構成されている。この還元剤タンク69は、たとえばエンジンルーム外に配置されており、車体フレーム95に支持されている。
【0079】
還元剤供給経路83は、この還元剤タンク69とミキシング配管64とを接続している。この還元剤供給経路83により還元剤タンク69に蓄えられた尿素水をミキシング配管64に導くことが可能になる。
【0080】
還元剤タンク69内に貯えられた尿素水が還元剤供給経路83を通じて還元剤噴射弁68からミキシング配管64の内部に噴射供給される。
【0081】
また、上記の還元剤噴射装置84においては、還元剤供給経路83はミキシング配管64の長手方向(X方向)の排気浄化ユニット62との接続部と同じ側(図中手前側)から接続されている。還元剤供給経路83のミキシング配管64への接続部は、ミキシング配管64内における排気経路の上流側である。これにより、ミキシング配管64に噴射供給された尿素水は、ミキシング配管64内の上流側から下流側へ至る間に排気と満遍なく混ざる。
【0082】
また、エンジン36に隣接して水ポンプ61が設けられ、水ポンプ61は循環経路74と接続される。そして、循環経路74の分岐点Aおよび分岐点Bと分岐経路70とが接続される。循環経路74の分岐点AおよびBに対する分岐経路70は、着脱可能な状態で設けられる。
【0083】
ここで、車体フレーム95には作業機4が装着される縦枠フレーム96Aおよび96Bが設けられており、還元剤供給経路83は、縦枠フレーム96Aに沿う(X方向)ように配置されている。
【0084】
また、分岐経路70についても還元剤供給経路83と同様に縦枠フレーム96Aに沿う(X方向)ように配置されている。
【0085】
また、還元剤タンク69に対して、還元剤供給経路83および分岐経路70は、ともに還元剤タンク69付近において還元剤タンク69の下面部から上面部の方向(Z方向)に沿って配置される。
【0086】
また、本例において、還元剤タンク69は、車体フレーム95の長手方向(X方向)の前方端部(図中手前側)に配置されており、一方、エンジン36は、車体フレーム95の長手方向(X方向)の後方端部(図中奥側)に配置されている。このように還元剤タンク69をエンジン36から離して配置することにより、エンジン36等の熱源の影響により還元剤タンク69内の還元剤の品質が劣化することを抑制することが可能である。なお、還元剤タンク69をエンジン36から離間させることにより、分岐経路70の経路長は長くなる。
【0087】
図5は、本実施形態に基づく還元剤タンク69の内部状態を説明する図である。
図5を参照して、還元剤タンク69内には、分岐経路70が導かれている。分岐経路70は、還元剤タンク69付近において還元剤タンク69の下面部から上面部の方向に沿って配置され、還元剤タンク69の上面側から挿通され、還元剤タンク69内の底部に到達した後、折り返して再び還元剤タンク69の上面側から抜き出される。
【0088】
したがって、当該分岐経路70は、その経路途中に低いところから高いところへの高低差が設けられた領域を有する。分岐経路70は、エンジン冷却水が流れる経路途中に設けられる低領域と、低領域よりも下流側に設けられた高領域とを有する。
【0089】
例えば、分岐経路70は、還元剤タンク69付近の下面部である低領域と、還元剤タンク69の上面側である高領域と、還元剤タンク69内の底部である低領域とが連続した構成を有する。分岐経路70の高領域は、還元剤タンク69手前の低領域と還元剤タンク69内の低領域との間に設けられている。
【0090】
それゆえ、分岐経路70の経路途中に還元剤タンク69の高さ分の低いところから高いところへの高低差が少なくとも設けられている。
【0091】
<モニタ装置>
次に、モニタ装置21の構成を説明する。
【0092】
図6は、実施形態に基づくモニタ装置21の構成を説明する図である。
図6に示されるように、モニタ装置21は、入力部211と、表示部212と、表示制御部213とを含む。
【0093】
入力部211は、各種情報の入力を受け付ける。モニタ装置21は、メインコントローラ50と接続され、入力部211で受け付けられた入力は、メインコントローラ50に出力される。
【0094】
表示部212は、液晶画面等を用いて実現される。
表示制御部213は、表示部212の表示内容を制御する。具体的には、表示制御部213は、メインコントローラ50からの指示に従って作業車両101の動作に関する情報を表示する。当該情報には、エンジン状態の情報あるいはガイダンス情報、警告情報等が含まれる。
【0095】
入力部211について具体的に説明する。入力部211は、複数のスイッチによって構成されている。入力部211は、ファンクションスイッチF1〜F6を有する。
【0096】
ファンクションスイッチF1〜F6は、表示部212の下方に位置し、「F1」〜「F6」とそれぞれ表示されており、各スイッチの上方で表示部212が表示するアイコン(一例としてガイダンスアイコンI1〜I3)に対応した信号を入力するためのスイッチである。
【0097】
また、入力部211は、ファンクションスイッチF1〜F6の下方に設けられた、デセルスイッチ111と、動作モード選択スイッチ112と、走行速度段選択スイッチ113と、ブザーキャンセルスイッチ114と、ワイパスイッチ115と、ウオッシャスイッチ116と、エアコンスイッチ117とを有する。
【0098】
デセルスイッチ111は、作業機レバー18,19が中立位置に戻ってから所定時間後にエンジン36のエンジン回転数を所定の回転数まで低下させるデセル制御を実行させるスイッチである。「中立位置」とは、作業機レバー18,19が操作されていない状態(無作業状態)であることを意味する。
【0099】
動作モード選択スイッチ112は、作業車両101の動作モードを複数の動作モードから選択するスイッチである。走行速度段選択スイッチ113は、作業車両101の走行速度段を複数の走行速度段から選択するスイッチである。ブザーキャンセルスイッチ114は、作業車両101が所定の警告状態になると発生するブザー音をキャンセルするスイッチである。ワイパスイッチ115は、作業車両101の運転室8(
図2を参照)のフロントガラスに設けられるワイパ(図示せず)を動作させるスイッチである。ウオッシャスイッチ116は、フロントガラスへ洗浄水を噴射するウォッシャ(図示せず)を作動するスイッチである。エアコンスイッチ117は、運転室8内のエアコンの各種機能を操作するスイッチである。
【0100】
なお、入力部211として、抵抗膜方式等のタッチパネルを適用することも可能である。本例においては、表示部212が表示している画面として、作業車両101が通常動作中に表示する標準画面301を表示している場合が示されている。
【0101】
当該標準画面301は、図示しないメモリに予め格納された画面データに基づいて表示制御部213により生成されたものである。他の画面についても同様である。
【0102】
標準画面301には、エンジン水温ゲージG1、作動油温ゲージG2および燃料レベルゲージG3が並べて表示されており、それぞれに対応するセンサからのセンサ信号に基づいてゲージの針が変化する。また、燃料レベルゲージG3の右側には、燃料消費ゲージG4が表示されている。
【0103】
表示部212の上方の中央部には時計Wが表示されている。時計Wの右側には、設定されている動作モードを示す動作モードアイコンIU、および設定されている走行速度段を示す走行速度段アイコンISが表示されている。
【0104】
標準画面301では、動作モードアイコンIUとして文字「P」が表示されている。これは、動作モードが通常の掘削作業などの際に利用されるパワーモードに設定されている場合の表示である。
【0105】
これに対して、作業車両101がエコノミーモードに設定されている場合、動作モードアイコンIUとして文字「E」が表示されるものとする。
【0106】
標準画面301の下方の位置であってファンクションスイッチF4〜F6の上方の位置には、ファンクションスイッチF4〜F6にそれぞれ対応するガイダンスアイコンI1〜I3が表示されている。
【0107】
ガイダンスアイコンI1は、表示部212が表示する画面をカメラ画面へ切り換えることを意味するアイコンである。カメラ画面とは、作業車両101の外装部に設置され、作業車両101の外界を撮影するCCDカメラ等(図示せず)により取得された画像信号が出力された画面である。ガイダンスアイコンI2は、時計Wの表示をサービスメータの表示へ切り換えることを意味するアイコンである。ガイダンスアイコンI3は、表示部212が表示する画面をユーザモード画面へ切り換えることを意味するアイコンである。したがって、例えばガイダンスアイコンI1に対応するファンクションスイッチF4が押されると、表示部212が表示している画面がカメラ画面に切り替わる。
【0108】
図7は、実施形態に基づくエア抜きモード選択画面の一例を説明する図である。
図7に示されるように、エア抜きモード選択画面302は、一例として所定のファンクションスイッチを選択することにより標準画面301から遷移して表示される。当該エア抜きモード選択画面
302は、分岐経路70を利用する前に操作される。
【0109】
本例においては、エア抜きモード選択画面302において、LLCバルブを開状態あるいは閉状態にする入力の指示を受け付け可能な画面が示されている。
【0110】
本例においては、LLCバルブ開閉に関して、「開」項目303、「閉」項目304が設けられている場合が示されている。
【0111】
操作者が当該「開」項目303を選択して実行を指示することによりLLCバルブ75は開状態に設定される。なお、「閉」項目304の位置にカーソルを合わせて実行を指示することによりLLCバルブ75を閉状態に設定することも可能である。このように、モニタ装置21は、操作者の操作指示を受け付ける受付部としての役割を果たす。
【0112】
また、LLCバルブ75を開状態にした後、エア抜きが終了したと判断されるのに十分な所定期間経過後に自動的にLLCバルブ75を閉状態に設定するようにしても良い。当該処理により、操作者の利便性を高めることが可能である。
【0113】
本実施形態においては、還元剤タンク69内の還元剤との間で熱交換するために分岐経路70を設ける。
【0114】
本実施形態においては、分岐経路70を利用する前にエア抜きモード選択画面302において「開」項目303を選択することにより、LLCバルブ75が開放され、分岐経路70にエンジン冷却水が供給される。これにより、分岐経路70の経路内のエア(空気)が循環経路74に押し出される。そして、循環経路74と連結されたラジエータ71において外気中に当該経路内のエア(空気)が放出される。
【0115】
したがって、分岐経路70を利用する前に還元剤タンク69内へのエンジン冷却水を供給する分岐経路70のエア抜きを十分に実行することが可能である。これにより熱交換の効率の低下を抑制することが可能である。
【0116】
なお、本例においては、モニタ装置21においてLLCバルブ開閉の指示を受け付ける場合について説明したが、特にモニタ装置21に限られず、LLCバルブ開閉の指示を受け付けるボタン等の部材をモニタ装置21と独立して設けて、当該ボタン等の部材を用いてLLCバルブ開閉の指示を受け付けるようにしても良い。
【0117】
次に、還元剤タンク内へのエンジン冷却水を供給する経路のエア抜きをより効果的に実行することが可能な方式について説明する。
【0118】
図8は、本実施形態に基づくエンジン回転数とエンジン冷却水温度ならびにエア抜きモードの開始タイミングについて説明する図である。
【0119】
図8に示されるように、ここで、左縦軸はエンジン回転数であり、横軸は時刻tである。また、右縦軸は、エンジン冷却水温度である。ここで、ラインL1はエンジン回転数、ラインL2は冷却水温度を指し示している。
【0120】
エンジン36の始動後、エンジン36のエンジン回転数は低アイドリング状態であるエンジン回転数F1に設定される。エンジン冷却水の温度は、エンジン36の始動に伴い上昇する。エンジン冷却水温度は、センサ73により検出される。そして、エンジン冷却水温度は、時刻T1においてX℃に到達した場合が示されている。
【0121】
時刻T1においてエンジン冷却水温度がX℃に到達した場合にエンジン回転数を高アイドリング状態であるエンジン回転数F2に設定する。エンジン冷却水温度が低温の場合にエンジン回転数を上昇させるとエンジン36への負荷が大きくなるからである。なお、本例においては、初期状態としてエンジン冷却水温度がX℃未満の場合について説明したが、初期状態がX℃である場合には、最初からエンジン回転数を高アイドリング状態であるエンジン回転数F2に設定するようにしても良い。
【0122】
そして、エンジン回転数を高アイドリング状態に設定した後、エア抜きモードをオン(開)に設定する場合が示されている。
【0123】
本実施形態においては、エンジン回転数F2の高アイドリング状態でエア抜きモードをオン(開)にして、循環経路74のエア抜きを実行する。本実施形態の水ポンプ61は、エンジン36から駆動力を得てエンジン冷却水を循環経路74に供給する。したがって、エンジン36の回転数の上昇に伴い水ポンプ61の循環経路74へのエンジン冷却水の供給圧が高くなる。これに伴い、エンジン回転数F2の高アイドリング状態の際に循環経路74のLLCバルブ75を開にした際には、分岐経路70への供給圧が高い状態でエンジン冷却水が供給される。そのため分岐経路70内のエア抜きが供給圧が高いエンジン冷却水により実行され、分岐経路70内のエア(空気)が循環経路74に押し出されてエア抜きを効果的に実行することが可能である。
【0124】
<フロー処理>
図9は、実施形態に基づく作業車両101のメインコントローラ50におけるエア抜きモード処理を説明するフロー図である。
【0125】
図9に示されるように、まず、エンジンが始動したかどうかを判断する(ステップS1)。メインコントローラ50は、エンジンコントローラ38により、エンジン36が始動されたかどうかを判断する。
【0126】
そして、次に、エンジン冷却水温度を検出する(ステップS2)。メインコントローラ50は、センサ73からのエンジン冷却水温度を検出する。
【0127】
そして、エンジン冷却水温度はQ℃未満か否かを判断する(ステップS3)。メインコントローラ50は、センサ73から取得した検出結果に基づいてエンジン冷却水温度がQ℃未満か否かを判断する。
【0128】
ステップS3において、エンジン冷却水温度がQ℃未満であると判断した場合(ステップS3においてYES)には、当該状態を維持し、エンジン冷却水温度がQ℃未満で無いと判断した場合(ステップS3においてNO)には、高回転数に設定する(ステップS4)。メインコントローラ50は、エンジン冷却水温度がQ℃未満で無いと判断した場合には、エンジン回転数が高回転数となるようにエンジンコントローラ38に指示する。
【0129】
次に、エア抜きモードを有効に設定する(ステップS5)。メインコントローラ50は、エア抜きモード選択画面302におけるLLCバルブの開閉指示を受け付け可能に設定する。例えば、
図6で説明した所定のファンクションスイッチの選択を有効に設定するようにしても良い。
【0130】
なお、本例においては、エンジン回転数が高回転に設定された後に、エア抜きモードを有効に設定する場合について説明するが、当該方式に限られず、エア抜きモードの指示の受付に関してはエンジン回転数が高回転に設定される前でも可能にし、エア抜きモードの指示の実行に関してはエンジン回転数が高回転に設定された後に実行するようにしても良い。
【0131】
次に、開指示があるかどうかを判断する(ステップS6)。メインコントローラ50は、エア抜きモード選択画面302において「開」項目303における選択が有ったかどうかを判断する。
【0132】
ステップS6において、開指示が有るまで待機し、開指示が有ると判断した場合(ステップS6においてYES)には、LLCバルブ75を開状態に設定する。メインコントローラ50は、「開」項目303における選択が有った場合には、LLCバルブ75に対して開状態となるように指示する。
【0133】
次に、所定期間が経過したかどうかを判断する(ステップS8)。メインコントローラ50は、LLCバルブ75を開状態にした後、所定期間が経過したかどうかを判断する。
【0134】
所定期間は、エンジン36が始動した時点から、エンジン冷却水の温度が上昇してサーモスタット76が開くまでの時間以上の期間に設定されることが望ましい。
【0135】
このように、エンジン36の始動時点から、サーモスタット76が開くまでの時間を基準にして決定することにより、エンジン冷却水経路(循環経路74+分岐経路70)全体のエアを抜くことが可能となる。
【0136】
所定期間としては、例えば、15分程度に設定することができる。なお、当該期間は、一例でありエア抜き処理が可能な時間であればどのような長さに設定しても良い。
【0137】
ステップS8において、所定期間が経過したと判断した場合(ステップS8においてYES)には、LLCバルブ75を閉状態に設定する(ステップS9)。メインコントローラ50は、LLCバルブ75を開状態にした後、所定期間が経過した場合にLLCバルブ75に対して閉状態となるように指示する。
【0138】
そして、処理を終了する(エンド)。
当該処理により、エンジンを高回転数に設定した状態でLLCバルブ75を開状態に設定して分岐経路70のエア抜きを実行することが可能である。
【0139】
例えば、分岐経路70の経路長が長い場合または、分岐経路70の経路途中に高低差(例えば、還元剤タンク69の高さ分等の高低差)が設けられている場合には、分岐経路70内の空気(エア)を分岐経路70から循環経路74に押し出すための圧力が必要となる。水ポンプ61のポンプ圧が低い場合に十分にエア抜きを実行することができない可能性があるが、本実施形態の方式により、当該構成であっても水ポンプ61のポンプ圧を高めてエンジン冷却水を分岐経路70に供給することが可能であるため十分にエア抜きを実行することが可能である。
【0140】
なお、本例においては、作業車両として、油圧ショベルを例に挙げて説明したが、ブルドーザ、ホイールローダ等の作業車両にも適用可能であり、エンジン36が設けられた作業用の機械であればどのようなものにも適用可能である。
【0141】
以上、本発明の実施形態について説明したが、今回開示された実施形態は全ての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は請求の範囲によって示され、請求の範囲と均等の意味および範囲内での全ての変更が含まれることが意図される。
作業車両は、エンジンと、排気ガス浄化装置と、還元剤タンクと、エンジン冷却水回路と、分岐経路と、バルブと、受付部と、バルブ制御部とを備える。排気ガス浄化装置は、エンジンから排出される排気ガス中の窒素酸化物を浄化する。還元剤タンクは、排気ガス浄化装置に供給する還元剤を蓄える。エンジン冷却水回路は、エンジンの駆動によりエンジンを冷却するための冷却水を循環経路に循環させる水ポンプを含む。分岐経路は、エンジン冷却水により還元剤タンク内の還元剤との間で熱交換するために設けられる。バルブは、分岐経路に対してエンジン冷却水への供給を制御する。受付部は、操作者の操作指示を受け付ける。バルブ制御部は、操作者の操作指示に従ってバルブに対する開動作を指示する。