(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
光源からの光の光路上に配置された液晶パネルと、この液晶パネルに冷却風を押込むためのファンと、このファンを駆動する駆動回路と、前記冷却風を前記液晶パネルまで導くダクトと、前記液晶パネルを通過した光を合成する光合成プリズムと、合成された光の光路上に配置された投射レンズとを有した投射型液晶映像装置において、
前記投射レンズの光入射部と平行な位置に設置された前記液晶パネルを通過した前記冷却風を、前記投射レンズの光入射部と前記光合成プリズムとの間に導くための整流壁を設け、
該整流壁は、前記液晶パネルが配置されていない側の前記光合成プリズムの面上において、前記投射レンズの光入射部側を向く形で傾斜して設置したことを特徴とする投射型液晶映像装置。
【背景技術】
【0002】
ビデオ映像やパソコン等のコンピュータで作成した文章や画像を大型の画面に表示するものとしては、一般的に投射型液晶映像装置が用いられる。
この投射型液晶映像装置では、光源として高輝度の超高圧水銀ランプが主に使用されている。そのため液晶パネルや偏光板といった光学部品の過度の発熱による変色を防止するための適切な冷却構造が必要となる。また、これら光源や光学部品の周りにはその駆動制御を行うための電子部品が設置されている。そのため、筐体内部には光源、光学部品、電子部品といった複数の発熱源が存在することになる。
【0003】
一般的な投射型液晶映像装置の冷却構造としては、装置の筐体内部に設置されたファンの回転によって装置の筐体外部から吸気口を介して空気を取り込み、対象物に冷却風を当てることで強制的に冷却している。
【0004】
上記吸気口には筐体の外部から空気を取り込む際に空気に含まれている塵埃が筐体内部へと侵入することを防ぐために防塵フィルタが設置されている。しかしながら、防塵フィルタにより除去しきれなかった微小な塵埃については筐体内部に侵入することになる。そのため侵入した塵埃は、時に液晶パネルや偏光板といった光学部品やレンズに付着して堆積してしまう。その結果塵埃の影響により光学部品を通過する光が遮られるため、映像の劣化に繋がっていた。
【0005】
このことから、従来投射型液晶映像装置では筐体内の光学部品やレンズへの塵埃の付着を防ぐことを目的として、冷却風の強度調整や筐体の密封による塵埃の侵入を防ぐことで対応してきた。
【0006】
例えば特許文献1では、ファンの回転数を一時的に強風モードにすることで液晶パネル等の光学部品に付着した塵埃を強風により吹き飛ばす機能を有した液晶プロジェクター装置が開示されている。
【0007】
また特許文献2では、冷却の必要な液晶パネルや偏光板の周りのみに冷却風を導き、冷却のあまり必要でない光学部品については密封することで塵埃の付着を防止する構造を有した画像投射装置が開示されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、上記特許文献1に開示された液晶プロジェクター装置では、強風を光学部品に当てることで塵埃を吹き飛ばしているため、冷却風が均一に流れていない場合や構造上均一に流れにくい設置条件であった場合には効果を奏さない。特に、筐体の組み付け誤差による影響が塵埃除去性能を大きく左右してしまう。
【0010】
また、付着した塵埃を吹き飛ばすためにファンの回転数を上昇させるため、一時的とはいえ騒音の増加にもつながる。また、一度付着した塵埃は静電気等の影響で貼りつく場合もあるため、本当に強風のみで塵埃を除去できるかは疑問が残る。
【0011】
さらに、あまり冷却の必要としない投射レンズ光入射部といった領域にはそもそも通風がなされていないことも多く、塵埃を除去することができない。
【0012】
特許文献2に開示された画像投射装置では、密封構造を有する領域では塵埃の付着を防ぐことが可能であるものの、冷却の必要な領域に関しては防塵フィルタでは除去しきれない微小な塵埃が流入するため、液晶パネル等への塵埃の付着を防ぐことは不可能である。
【0013】
また、製品組み立ての都合上完全密封構造は不可能であり、微小な塵埃の侵入を防ぐことはできないといえる。
【0014】
本発明の目的は、塵埃の付着の原因となる光合成プリズム上に生じる流れの淀みを防ぎ、特にあまり冷却を必要としていない投射レンズ光入射部の塵埃付着を防止することが可能な投射型液晶映像装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0015】
上記目的は、光源からの光の光路上に配置された液晶パネルと、この液晶パネルに冷却風を押込むためのファンと、このファンを駆動する駆動回路と、前記冷却風を前記液晶パネルまで導くダクトと、前記液晶パネルを通過した光を合成する光合成プリズムと、合成された光の光路上に配置された投射レンズとを有した投射型液晶映像装置において、前記投射レンズの光入射部と前記光合成プリズムとの間に前記液晶パネルを通過した前記冷却風を導くための整流壁を設けたことにより達成される。
【0016】
また上記目的は、前記整流壁は前記投射レンズの光入射部と平行な位置に設置された前記液晶パネルを通過した前記冷却風を導くことが好ましい。
【0017】
また上記目的は、前記整流壁は前記投射レンズの光入射部と、この光入射部の左右側に設置された前記液晶パネルのうち右側の液晶パネルとの間を通過した前記冷却風を導くことが好ましい。
【0018】
また上記目的は、前記整流壁は前記投射レンズの光入射部と、この光入射部の左右側に設置された前記液晶パネルのうち左側の液晶パネルとの間を通過した前記冷却風を導くことが好ましい。
【0019】
また上記目的は、光源からの光の光路上に配置された液晶パネルと、この液晶パネルに冷却風を押込むためのファンと、このファンを駆動する駆動回路と、前記冷却風を前記液晶パネルまで導くダクトと、前記液晶パネルを通過した光を合成する光合成プリズムと、合成された光の光路上に配置された投射レンズを有した投影型液晶映像装置において、前記光合成プリズム上に前記液晶パネル毎に整流壁によって区切られた流路を形成したことにより達成される。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、塵埃の付着の原因となる光合成プリズム上に生じる流れの淀みを防ぎ、特にあまり冷却を必要としていない投射レンズ光入射部の塵埃付着を防止することが可能な投射型液晶映像装置を提供できる。
【発明を実施するための形態】
【0022】
本発明の実施例について詳細に説明する前に、一般的な投射型液晶映像装置について説明する。
【0023】
図1は一般的な投射型液晶映像装置の投射光学系を上側から見た概略構成図である。
図2は
図1の投射型液晶映像装置の内部構成を説明する斜視図である。
図3は一般的なプリズムユニットの構成を説明する斜視図である。
図4は
図3のプリズムユニット部分の空気の流れを示す左右方向平面視図である。
図5は
図3のプリズムユニット部分の空気の流れを示す前後方向平面視図である。
【0024】
まず
図1を用いて、実施例1に係る投射型液晶映像装置に搭載された投射光学系の概略構成について説明する。
【0025】
図1において、投射型液晶映像装置は大きく分けると光源ユニット3と、この光源ユニット3からの光の照度分布の一様化を測るとともに、色を分離し液晶パネル6(6R、6G、6B)に照射する光学ユニット4と、各液晶パネル6(6R、6G、6B)で形成された光像を光合成プリズム8で合成して投射レンズ9で投射するプリズムユニット5とで構成されている。
【0026】
前記光源ユニット3は超高圧水銀ランプ、LEDランプ、キセノンランプ、ハロゲンランプなどのランプ3aと、ランプ3aからの光を反射させて出射させるランプリフレクタ3bと紫外線をカットするランプレンズ3cから構成されている。
【0027】
前記ランプ3aから出射した光束は、ランプレンズ3cで紫外線がカットされ、インテグレータとしての一対のマルチレンズアレイ401、402へ入射する。マルチレンズアレイ401、402には凸レンズが二次元状に配置されており、マルチレンズアレイ401に入射した光束は、マルチレンズアレイ402の各セルに光源像を二次元状に形成する。それぞれ集光した光源像は、偏光変換素子403で自然光は振動方向が一定方向の直線偏光に変換される。これは、液晶パネル6R、6G、6Bが振動方向が一定方向の直線偏光のみしか通過させないからである。
【0028】
マルチレンズアレイ401、402にて二次元状に分割された光源像は、重畳作用を有する集光レンズ404により液晶パネル6(6R、6G、6B)に重畳される。
【0029】
なお、集光レンズ404と液晶パネル6の間にある色分解光学系で、赤色、緑色、青色の三色に分解される。
【0030】
集光レンズ404を通った偏光方向が一定の光束はダイクロイックミラー408により、例えばR光(赤色帯域の光)は反射され、G光(緑色帯域の光)とB光(青色帯域の光)は透過されて2色の光に分離され、更にG光とR光はダイクロイックミラー409によりG光とR光に分離される。G光はダイクロイックミラー409で反射され、B光はダイクロイックミラー409を透過して3色に光に分離される。
【0031】
この光の分離の仕方には様々な方法があり、ダイクロイックミラー408でB光を反射させてR光、G光を透過させてもよいし、G光を反射させてR光、B光を透過させる手法でもよい。
【0032】
ここでは、R光はダイクロイックミラー408を反射して、反射ミラー405で反射され、コンデンサレンズ413を通してプリズムユニット5に入射する。またダイクロイックミラー408で透過されたG光及びB光のうち、G光はダイクロイックミラー409で反射され、コンデンサレンズ414を通してプリズムユニット5に入射する。さらに、B光はダイクロイックミラー409を透過し、第一リレーレンズ415で集光され、反射ミラー406で反射され、第二リレーレンズ416で集光され、反射ミラー407で反射され、第三リレーレンズ417にて集光されてプリズムユニット5へ入射する。
【0033】
プリズムユニット5は、光合成プリズム8の相隣接する3面にR光用液晶パネル6R、G光用液晶パネル6G、B光用液晶パネル6B、がそれぞれ入射偏光板7a(R、G、B)、出射偏光板7b(R、G、B)に装着され、残りの面に投射レンズ9が装着されたものである。
【0034】
プリズムユニット5に入射したB光、G光、R光は、各色光の入射偏光板7a(R、G、B)、液晶パネル6(6R、6G、6B)、出射偏光板7b(R、G、B)を通過する過程で、それぞれ映像信号に応じた光学像に変換され、光合成プリズム8によってカラー映像へと合成された後、カラー映像へと合成された光学像は投射レンズ入射部9a(
図3に示す)へ入射して投射レンズ出射部9b(
図2に示す)より拡大投影され図示しないスクリーンに表示される。
【0035】
入射偏光板7a(R、G、B)、出射偏光板7b(R、G、B)、液晶パネル6(6R、6G、6B)は透過または反射できなかった光を吸収し発熱する。これらの光学部品は許容温度が低いため、冷却ファン70を用いて冷却風72を吹き付けて冷却している。
【0036】
また、光源ユニット3はランプ3aで電力を光に変換する際、ランプ3aにて熱損失を生じ、また、ランプ3aから射出する可視光成分以外の例えば赤外線のふく射成分を吸収するため非常に高温となる。そこで冷却ファン10を用いて雰囲気の流れを生じさせ、温度が上がった高温の空気の流れを筐体外へ放出させて冷却するようにしている。
【0037】
次に、上記した投射光学系を筐体に搭載した投射型液晶映像装置について
図2を用いて説明する。
【0038】
図2において、投射型液晶映像装置1では、投射光学系の平面構成図である
図1の配置に基づいて投射光学系が配置されている。
【0039】
投射型液晶映像装置1では、
図2中左側側面前面に配置された電源ユニット2からの電源供給を受けて、
図2中左側側面奥に配置された光源ユニット3より光が出射し、
図2中背面後部に配置された光学ユニット4に入射する。この光学ユニット4は光源ユニット3から入射した白色光の照度分布を一様化し、偏光方向を所定偏光方向にそろえ、更に3つの色光に分離し、
図1に示した液晶パネルへ6(6R、6G、6B)へと照射する。
図2中中央右に配置されたプリズムユニット5に入射したR、G、B光はそれぞれ各液晶パネル6(6R、6G、6B)で各色光の光学像が形成され、入射偏光板7a(R、G、B)、出射偏光板7b(R、G、B)で色純度やコントラストが高められ、光合成プリズム8で合成され、投射レンズ光入射部9aに入射して投射レンズ光出射部9bより出射、拡大投影される。
【0040】
プリズムユニット5の冷却には冷却ファン70(a、b)を用いている。例えば冷却ファン70aはB光の入射する側の光学部品を冷却し、冷却ファン70bはR光とG光の入射する光学部品を冷却している。
【0041】
この構成は様々考えられる。例えば、冷却ファン70aでB光とG光が入射する光学部品を冷却してもよいし、冷却ファン70bでR光の入射する光学部品を冷却しても構わない。
【0042】
パネルダクト71の内部に設置された冷却ファン70を用いて外気を取り入れる。パネルダクト71の吸気口71aから防塵フィルタ11を介して取り込まれた冷却風72はパネルダクト71により整流され、入射偏光板7a、出射偏光板7b、液晶パネル6(6R、6G、6B)に吹き付けられて冷却される。
【0043】
次にこのような構成の投射型液晶映像装置1における投射レンズ光入射部9aへの塵埃が付着する要因について
図3、4、5を用いて説明する。
【0044】
図3、
図4、
図5において、上記構造では、光合成プリズム8と投射レンズ光入射部9aの間は冷却上特に重要ではなかったため、冷却風72を導いてはいなかった。冷却が必要な液晶パネル6(6R、6G、6B)、入射偏光板7a、出射偏光板7bを通過した冷却風72は
図4と
図5に示すように光合成プリズム8の上部で合流し、光合成プリズム8上部に主に設けられ、液晶パネル6(6R、6G、6B)と接続されるドライブ基板80に衝突するため光合成プリズム8上で流れが淀んでいた。この淀み領域に塵埃が堆積し、投射レンズ光入射部9aに塵埃が付着するという問題が生じていた。
【0045】
つまり、光合成プリズム6の上部にドライブ基板80があるがために、流れ込んできた空気がドライブ基板80の面に衝突してしまって光合成プリズム6の上部で空気が淀んでしまうことになる。光合成プリズム上部で空気が淀むということは空気の流れ方向が定まらないということになり、その結果、空気とともに持ち込まれた塵埃が近辺の投射レンズ光入射部9aに付着してしまうものである。
【0046】
そこで、本発明の発明者らはこのような問題に省み、空気の淀み防止を種々検討した結果、以下のごとき実施例を得た。
【0047】
以下、本発明に係る実施例を図を使って説明する。
【実施例1】
【0048】
図6は実施例1に係るプリズムユニット5の構成を説明する斜視図である(ここではより分かり易く図示するためにR光、B光の入射する偏光板7、液晶パネル6は図示していない)。
図7は
図6の筐体左右方向断面を見た平面視図である。
図8は
図6の筐体前後方向断面を見た平面視図である。
【0049】
図6、
図7、
図8において、淀み領域を取り除くため、本実施例では光合成プリズム8上部に整流壁101(R、G、B)を設けた。この整流壁101(R、G、B)によって、前記液晶パネル6を通過後の前記冷却風72が区切られ、前記光合成プリズム8a上で生じていた前記淀み領域が生じることを防止している。
【0050】
また、この整流壁101(R、G、B)のうち、投射レンズ光入射部9aと平行となる位置に設置されている液晶パネル6Gを通過した前記冷却風のみを前記整流壁101Gにより前記投射レンズ光入射部9aと前記光合成プリズム8との間へと導く構造となる。そのため、前記整流壁101は
図8に示すように液晶パネル6と平行に設けられるものと、
図7に示すように投射レンズ光入射部9a側を向けて傾斜させたものとがある。
【0051】
本実施例では
図8に示すようにR光の通過する液晶パネル6Rの面の整流壁101RとB光の通過する液晶パネル6Bの面の整流壁101Bは液晶パネル6R、6Bと平行になるように設置されており、
図7に示すようにG光の通過する液晶パネル6Gの面の整流壁101Gが投射レンズ光入射部9a側を向く形で傾斜させて設置されている。
【0052】
したがって、G光の通過する液晶パネル6G側に設置された整流壁101Gにより前記投射レンズ光入射部9aと前記光合成プリズム8間に導かれた前記冷却風72は、塵埃が前記投射レンズ光入射部9aへ付着するのを防ぎ、また仮に塵埃が付着しても吹き飛ばすことができる。
【0053】
これにより、本実施例では前記冷却ファン70からの風量を塵埃付着防止のためだけに前記投射レンズ光入射部9aと前記光合成プリズム8の間へと導く必要がないため、風量の有効活用ができ、冷却ファン70の回転数を下げることで騒音を低減することも可能である。
【0054】
また、光合成プリズム8上で生じる淀みがなくなるため、液晶パネル6、入射偏光板7a、出射偏光板7bを通過する流れを妨げることがなくなる。このため、液晶パネル6、入射偏光板7a、出射偏光板7bに均一な通風が可能となり、冷却効率の向上、冷却風72の片寄りにより生じる塵埃の堆積を防ぐことが可能となる。
【0055】
なお、投射レンズ光入射部9aと光合成プリズム8の間へ液晶パネル6G通過後の冷却風を導く整流壁101Gは、投射レンズ光入射部9aと平行な面に設置された液晶パネル6Gからの冷却風72ではなく、前記投射レンズ光入射部9aと垂直に設置された液晶パネル6R、6Bからの冷却風72を整流壁101B、101Rで導く構造であっても構わない。
【実施例2】
【0056】
次に投射型液晶映像装置1における実施例2における投射レンズ光入射部9aへの塵埃付着防止構造を図を使って説明する。
【0057】
図9は実施例2に係るプリズムユニット5の構成を説明する斜視図である(ここではより分かり易く図示するためにR光、B光の入射する偏光板7、液晶パネル6は図示していない)。
図10は
図9の筐体左右方向断面を見た平面視図である。
図11は
図9の筐体前後方向断面を見た平面視図である。
【0058】
図9、
図10、
図11において、本発明の実施例1では、液晶パネル6(6R、6G、6B)の周りを通過した冷却風72のうち1つの液晶パネル6G間を通過する冷却風72を前記整流壁101Gを用いて投射レンズ光入射部9aと光合成プリズム8間へ導いていた。
【0059】
しかしながらランプ3aの発光を抑えた機種の場合、液晶パネル6(6R、6G、6B)や入射偏光板7a、出射偏光板7bの冷却風量をあまり多く必要としないケースも存在する。その際、液晶パネル6間を通過する冷却風量が少ないと、整流壁101Gを介して投射レンズ光入射部9aと光合成プリズム8間に流れ込む風量も減少する。その場合、冷却風72により導かれた塵埃が吹き飛ばされることなく投射レンズ光入射部9aに付着し、結果的に塵埃の付着量が増える可能性もある。
【0060】
そこで実施例2の発明では、整流壁102をすべて液晶パネル6(6R、6G、6B)と平行に設けることで、実施例1の形態とは逆に冷却風72を投射レンズ光入射部9aと光合成プリズム8の間に全く導くことのない構成となっている。
【0061】
これにより、液晶パネル6(6R、6G、6B)周り通過後の前記冷却風72の通過風量が少ない場合であっても投射レンズ光入射部9aへの塵埃の付着を防ぐことが可能である。
【0062】
このように、実施例1によれば、光合成プリズム下部に各液晶パネル、偏光板へ冷却風を導くパネルダクト吹出口を有する投射型液晶映像装置において光合成プリズム上部に整流壁を設け、前記整流壁により光合成プリズム上で液晶パネル毎に領域を区切ることで前記光合成プリズム上に生じる淀みを防いでいる。また、複数の液晶パネルのうちのひとつの液晶パネルを通過した冷却風を投射レンズ光入射部と光合成プリズムの間へ導く整流壁を設けることで、積極的に通風を設け、塵埃の付着を防ぐ。
【0063】
また、実施例2によれば、光合成プリズム上部領域に各液晶パネル通過後の冷却風を整流壁により区切り、光合成プリズム上での流れの淀みを防止するだけでなく、投射レンズ光入射部と光合成プリズム間への通風を防ぐ構造を有することを特徴とし、流れによる塵埃の侵入を防ぐことで投射レンズ光入射部への塵埃の付着を防いでいる。
【0064】
以上のごとく、本発明によれば、塵埃付着防止構造は各液晶パネル通過後の流れを区切ることで、プリズム上部で発生する淀みを抑制する。また、積極的に投射レンズ光入射部と光合成プリズムに間に通風をもうけることによる投射レンズ光入射部への塵埃の付着を減らすことができ、照度維持率が向上する。
【0065】
さらに、プリズム上部の淀みを抑制することで、ファンの個体差による風量変化や形状の個体差に関わらずに投射レンズ後玉部や偏光板周りへの塵埃の堆積を防ぐことができる。
さらに、パネル間出口の流れの干渉が減少するため、設計次第ではパネル間の風速の均一化を図ることが可能となり、パネル間冷却効率の向上も期待できる。