(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【背景技術】
【0002】
従来、自動販売機等に適用される冷媒回路装置として次のようなものが知られている。すなわち、主経路と、高圧冷媒導入経路と、放熱経路と、戻経路とを有する冷媒回路を備えたものである。
【0003】
主経路は、庫内熱交換器、圧縮機、庫外熱交換器及び膨張機構が冷媒配管で順次接続されて環状に構成されている。庫内熱交換器は、自動販売機本体における各商品収容庫の内部にそれぞれ配設されている。圧縮機は、自動販売機本体の内部であるが、商品収容庫の外部となる機械室に配設されており、庫内熱交換器を通過した冷媒を吸引し、吸引した冷媒を圧縮して高温高圧の状態にして吐出するものである。庫外熱交換器は、圧縮機と同様に機械室に配設されており、圧縮機で圧縮した冷媒を導入して凝縮させるものである。膨張機構は、圧縮機及び庫外熱交換器と同様に機械室に配設されており、庫外熱交換器で凝縮した冷媒を減圧して断熱膨張させるものである。
【0004】
このような主経路においては、圧縮機で圧縮された冷媒が庫外熱交換器で凝縮し、凝縮した冷媒が膨張機構で断熱膨張され、庫内熱交換器で蒸発する。この庫内熱交換器で蒸発した冷媒は、圧縮機により吸引されて再び圧縮されて循環することになる。これにより庫内熱交換器が配設された商品収容庫の内部空気は冷却されることになる。
【0005】
高圧冷媒導入経路は、圧縮機で圧縮した冷媒を導入し、主経路を構成する庫内熱交換器のうち加熱対象となる商品収容庫に配設されたものに供給することにより該庫内熱交換器で冷媒を凝縮させるものである。これにより該庫内熱交換器が配設された商品収容庫の内部空気は加熱されることになる。
【0006】
放熱経路は、加熱対象となる商品収容庫の庫内熱交換器で凝縮した冷媒を導入して、上記庫外熱交換器に隣接する態様で配設された加熱側熱交換器に供給するものである。これにより加熱側熱交換器では、通過する冷媒が周囲空気と熱交換を行って放熱することになる。
【0007】
戻経路は、加熱側熱交換器で放熱した冷媒を導入して、主経路における膨張機構の上流側に戻すものである。これにより戻経路を通過した冷媒は、主経路に至り、その後に膨張機構を通過して所定の庫内熱交換器に送出されることになる。
【0008】
このような構成を有する冷媒回路装置においては、各商品収容庫に配設された庫内熱交換器は、内部に冷媒の流路を備えており、かかる流路の入口及び出口は、左右両側部のうち決められた一方、例えば左側部に設けられているのが一般的である(例えば、特許文献1参照)。つまり、従来の冷媒回路装置では、商品収容庫が左右に並設されている場合において、各商品収容庫に配設された庫内熱交換器の流路の入口及び出口は、すべて左右両側部の一方側(左側部)に設けられているのが一般的である。尚、「左側」とは、自動販売機を正面から見た場合の左方を示し、「右側」とは、自動販売機を正面から見た場合の右方を示すものとする。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下に添付図面を参照して、本発明に係る
自動販売機の好適な実施の形態について詳細に説明する。
【0018】
図1は、本発明の実施の形態であ
る自動販売機の内部構造を正面から見た場合を示す断面図である。ここで例示する自動販売機は、本体キャビネット1を備えている。
【0019】
本体キャビネット1は、前面が開口した直方状の形態を成すものである。この本体キャビネット1には、その内部に例えば2つの断熱仕切板2によって仕切られた3つの独立した商品収容庫(対象室)3が左右に並んだ態様で設けてある。この商品収容庫3は、缶入り飲料やペットボトル入り飲料等の商品を所望の温度に維持した状態で収容するためのもので、断熱構造を有している。
【0020】
図2は、
図1に示した自動販売機の内部構造を示すものであり、右側の商品収容庫3の断面側面図である。尚、ここでは右側の商品収容庫3(以下、適宜右庫3aとも称する)の内部構造について示すが、中央の商品収容庫3(以下、適宜中庫3bとも称する)及び左側の商品収容庫3(以下、適宜左庫3cとも称する)の内部構造も右庫3aと略同じような構成である。尚、本明細書における右側とは、自動販売機を正面から見た場合の右方を示し、左側とは、自動販売機を正面から見た場合の左方を示す。
【0021】
かかる
図2に示すように、本体キャビネット1の前面には、外扉4及び内扉5が設けてある。外扉4は、本体キャビネット1の前面開口を開閉するためのものであり、内扉5は、商品収容庫3の前面を開閉するためのものである。この内扉5は、上下に分割してあり、上側の扉5aは商品を補充する際に開閉するものである。
【0022】
上記商品収容庫3には、商品収納ラック6、搬出機構7及び搬出シュータ8が設けてある。商品収納ラック6は、商品を上下方向に沿って並ぶ態様で収納するためのものである。搬出機構7は、商品収納ラック6の下部に設けてあり、この商品収納ラック6に収納された商品群の最下位にある商品を1つずつ搬出するためのものである。搬出シュータ8は、搬出機構7から搬出された商品を外扉4に設けられた商品取出口4aに導くためのものである。
【0023】
図3は、
図1及び
図2に示した自動販売機に適用された冷媒回路装置を概念的に示す概念図である。ここで例示する冷媒回路装置は、主経路20、高圧冷媒導入配管31及び放熱配管32から成る冷媒回路10を備えて構成してある。冷媒回路10の内部には所定量の冷媒が封入してある。
【0024】
主経路20は、圧縮機21、庫外熱交換器22、膨張機構23及び庫内熱交換器24を冷媒配管25にて順次接続して構成してある。
【0025】
圧縮機21は、
図2にも示すように機械室9に配設してある。機械室9は、本体キャビネット1の内部であって商品収容庫3と区画され、かつ商品収容庫3の下方側の室である。この圧縮機21は、吸引口を通じて冷媒を吸引し、吸引した冷媒を圧縮して高温高圧の状態(高温高圧冷媒)にして吐出口より吐出するものである。
【0026】
庫外熱交換器22は、
図2にも示すように圧縮機21と同様に機械室9に配設してある。この庫外熱交換器22は、圧縮機21で圧縮された冷媒が自身の流路を通過する場合には該冷媒を周囲空気と熱交換させて凝縮させるものである。かかる庫外熱交換器22の構成については後述する。この庫外熱交換器22と圧縮機21とを接続する冷媒配管25には、三方弁26が設けてある。かかる三方弁26については後述する。
【0027】
膨張機構23は、例えばキャピラリーチューブのようなものであり、
図2にも示すように圧縮機21及び庫外熱交換器22と同様に機械室9に配設してある。この膨張機構23は、庫外熱交換器22を通過した冷媒を減圧して断熱膨張させるものである。
【0028】
庫内熱交換器24は、複数(図示の例では3つ)設けてあり、各商品収容庫3の内部低域であって、背面ダクトD(
図2参照)の前面側に配設してある。これら庫内熱交換器24と庫外熱交換器22とを接続する冷媒配管25は、その途中に配設された分配器27により3つに分岐され、右庫3aに配設された庫内熱交換器24(以下、右庫内熱交換器24aとも称する)、中庫3bに配設された庫内熱交換器24(以下、中庫内熱交換器24bとも称する)、並びに左庫3cの内部に配設された庫内熱交換器24(以下、左庫内熱交換器24cとも称する)に対し、各低圧冷媒入口241に連通する態様で接続してある。
【0029】
また、この冷媒配管25においては、分配器27から右庫内熱交換器24a、中庫内熱交換器24b及び左庫内熱交換器24cのそれぞれに至る途中に低圧側電磁弁281,282,283が設けてある。低圧側電磁弁281,282,283は、開閉可能な弁体であり、図示せぬ制御手段から開指令が与えられた場合には開成して冷媒の通過を許容する一方、閉指令が与えられた場合には閉成して冷媒の通過を規制するものである。
【0030】
上記庫内熱交換器24においては、低圧冷媒流路245(
図4参照)がそれぞれ設けてある。低圧冷媒流路245は、蛇行状に形成された冷媒の流路であり、低圧冷媒入口241を通じて流入し、かつ自身を通過した冷媒(低圧冷媒)を低圧冷媒出口242より流出させるものである。これら庫内熱交換器24においては、低圧冷媒流路245を通過する冷媒と、自身が配設された商品収容庫3の内部空気との間で熱交換を行うものであり、該低圧冷媒流路245を通過する冷媒が蒸発することにより該商品収容庫3の内部空気を冷却するものである。これら庫内熱交換器24の出口側には、各低圧冷媒出口242に連通する態様で冷媒配管25が接続されており、かかる冷媒配管25は途中の合流点P1で合流して圧縮機21に接続している。
【0031】
このような主経路20において、
図3中の符号29は、内部熱交換器である。内部熱交換器29は、高圧冷媒と低圧冷媒との間で熱交換させるものである。
【0032】
高圧冷媒導入配管31は、三方弁26に連結してあり、かつ左庫内熱交換器24cに対しその高圧冷媒入口243に連通する態様で接続してある。この高圧冷媒導入配管31は、圧縮機21で圧縮された冷媒(高圧冷媒)を導入するものである。
【0033】
ここで三方弁26は、圧縮機21で圧縮した冷媒を庫外熱交換器22へ送出する第1送出状態と、圧縮機21で圧縮した冷媒を高圧冷媒導入配管31へ送出する第2送出状態との間で択一的に切り換え可能なバルブ手段である。かかる三方弁26の切換動作は、制御手段から与えられる指令に応じて行われる。
【0034】
また、左庫内熱交換器24cは、上記低圧冷媒流路245の他に、高圧冷媒流路246(
図4参照)が設けてある。高圧冷媒流路246は、蛇行状に形成した冷媒の流路であり、高圧冷媒入口243を通じて流入し、かつ自身を通過した冷媒(高圧冷媒)を高圧冷媒出口244より流出させるものである。この左庫内熱交換器24cは、高圧冷媒流路246を通過する冷媒と、左庫3cの内部空気との間で熱交換を行うものであり、該高圧冷媒流路246を通過する冷媒が凝縮することにより該左庫3cの内部空気を加熱するものである。
【0035】
放熱配管32は、一端が左庫内熱交換器24cの出口側に高圧冷媒出口244に連通する態様で接続しており、他端が庫外熱交換器22に接続してある。この放熱配管32は、左庫内熱交換器24cで凝縮した冷媒を庫外熱交換器22に供給するためのものである。
【0036】
尚、図中の符号H、F1及びF2は、それぞれヒータ、庫内送風ファン及び庫外送風ファンである。ヒータHは、中庫3b及び左庫3cに配設してあり、駆動して通電状態となることにより自身が配設された商品収容庫3の内部空気を加熱する加熱手段である。庫内送風ファンF1は、各商品収容庫3に配設してあり、駆動することにより庫内熱交換器24の周囲を通過した空気を商品収容庫3の内部で循環させるものである。庫外送風ファンF2は、庫外熱交換器22の後方側に配設してあり、駆動することにより、庫外送風ファンF2の周囲に外気を通過させ、通過した外気を後方に向けて送出する送出手段である。
【0037】
図4は、
図3に示した冷媒回路10の主要な構成の連結状態を右側上方より見た場合を示す斜視図である。この
図4に示すように、右庫内熱交換器24a及び中庫内熱交換器24bは、左側部に低圧冷媒入口241及び低圧冷媒出口242が設けてあり、左庫内熱交換器24cは、低圧冷媒入口241、低圧冷媒出口242、高圧冷媒入口243及び高圧冷媒出口244が右側部に設けてある。
【0038】
つまり、
上記冷媒回路装置においては、両側端の商品収容庫3(右庫3a及び左庫3c)に配設された庫内熱交換器24(右庫内熱交換器24a及び左庫内熱交換器24c)は、左右両側部のうち内方側に冷媒入口241(243)及び冷媒出口242(244)が設けてある。より詳細に説明すると、右庫3aに配設した右庫内熱交換器24aは、左右両側部のうち内方側となる左側部に低圧冷媒入口241及び低圧冷媒出口242が設けてあり、左庫3cに配設した左庫内熱交換器24cは、左右両側部のうち内方側となる右側部に低圧冷媒入口241、低圧冷媒出口242、高圧冷媒入口243及び高圧冷媒出口244が設けてある。
【0039】
尚、
図4中の符号RPはリードパイプである。リードパイプRPは、冷媒配管25や高圧冷媒導入配管31、放熱配管32を所定の組み合わせで束ねるものである。
【0040】
図5は、
図3に示した冷媒回路10の主要な構成の連結状態を左側上方より見た場合を示す斜視図であり、
図6は、
図5に示した連結状態を左方より見た場合を示す側面図である。これら
図5及び
図6に示すように、機械室9には、受皿部材41及び蒸発シート42が配設してある。受皿部材41は、
図7にも示すように、例えば樹脂材から形成された皿状のものである。この受皿部材41は、機械室9における冷媒回路10の低圧配管33の下方域、すなわち膨張機構23から圧縮機21までに至る経路に相当する低圧部位の下方域に配設してある。かかる受皿部材41は、低圧配管33の表面に生じて滴下した結露水を貯留するものである。
【0041】
蒸発シート42は、水分を毛管現象により吸水可能な吸水性材料から成るシート体である。この蒸発シート42は、
図7に示すように、適宜屈曲された形状を成しており、受皿部材41の底面上に配置された基部421と、該基部421の端部から上方に向けて延在する上延部422とを有して受皿部材41に立設してある。蒸発シート42の上延部422は、機械室9において庫外送風ファンF2の後方側であって、低圧配管33よりも前方側に位置している。この上延部422は、庫外送風ファンF2の駆動により庫外熱交換器22の周囲を通過した空気(外気)がすべて該上延部422を通過するのに十分な大きさを有している。つまり、蒸発シート42は、庫外熱交換器22の周囲を通過した空気が自身を通過して低圧配管33に至るよう受皿部材41に立設している。
【0042】
図8及び
図9は、それぞれ
図3に示した庫外熱交換器22を示すものであり、
図8は庫外熱交換器22を左側上方より見た場合を示す斜視図であり、
図9は庫外熱交換器22を左方から見た場合を示す側面図である。これら
図8及び
図9に示すように、庫外熱交換器22は、第1冷媒流路22a及び第2冷媒流路22bを備えて構成してある。
【0043】
第1冷媒流路22aは、蛇行状に形成してあり、第1冷媒入口22a1を通じて冷媒を流入し、かつ冷媒出口22a2を通じて自身を通過した冷媒を流出させるものである。ここで、第1冷媒入口22a1を有する部位221には、三方弁26に連結された冷媒配管25が接続してあり、冷媒出口22a2を有する部位222には、膨張機構23(内部熱交換器29)に連結された冷媒配管25が接続してある。つまり、第1冷媒流路22aは、第1冷媒入口22a1を通じて圧縮機21で圧縮した冷媒を流入し、かつ冷媒出口22a2を通じて自身を通過した冷媒を膨張機構23に向けて流出させるものである。
【0044】
第2冷媒流路22bは、第1冷媒流路22aの途中に合流する態様で設けてある。この第2冷媒流路22bは、第2冷媒入口22b1を通じて冷媒を流入し、かつ合流個所P2を通じて自身を通過した冷媒を該第1冷媒流路22aに進入させるものである。ここで、第2冷媒入口22b1を有する部位223には、放熱配管32が接続してある。つまり、第2冷媒流路22bは、第2冷媒入口22b1を通じて左庫内熱交換器24cから供給された冷媒を流入し、かつ合流個所P2を通じて自身を通過した冷媒を該第1冷媒流路22aに進入させて冷媒出口22a2より流出させるものである。
【0045】
このような第1冷媒流路22a及び第2冷媒流路22bを備えた庫外熱交換器22は、第1冷媒流路22aに冷媒が通過する場合は、該冷媒と周囲空気とを熱交換させ、該冷媒を凝縮させるものである一方、第2冷媒流路22bに冷媒が通過する場合は、該冷媒と周囲空気とを熱交換させ、該冷媒を放熱させるものである。
【0046】
以上のような構成を有する冷媒回路装置は、次のようにして商品収容庫3に収容された商品を冷却、あるいは加熱する。
【0047】
まず、CCC運転(すべての商品収容庫3の内部空気を冷却する運転)を行う場合について説明する。この場合、制御手段は、三方弁26を第1送出状態にさせ、低圧側電磁弁281,282,283に対して開指令を与える。これにより圧縮機21で圧縮された冷媒は、
図10に示すように循環する。
【0048】
すなわち、圧縮機21で圧縮された冷媒は、第1送出状態にある三方弁26を経由して庫外熱交換器22の第1冷媒入口22a1に至る。第1冷媒入口22a1に至った冷媒は、
図11に示すように、第1冷媒流路22aを通過する(
図11中矢印参照)。かかる第1冷媒流路22aを通過中に、周囲空気(外気)と熱交換を行って凝縮する。第1冷媒流路22aを通過中に凝縮した冷媒は、冷媒出口22a2を通じて流出され、内部熱交換器29を通過した後、膨張機構23で断熱膨張する。膨張機構23で断熱膨張した冷媒は、分配器27で3つに分岐され、右庫内熱交換器24a、中庫内熱交換器24b及び左庫内熱交換器24cの各低圧冷媒入口241に至る。各低圧冷媒入口241に至った冷媒は、各庫内熱交換器24の低圧冷媒流路245を通過中に蒸発して商品収容庫3の内部空気から熱を奪い、該内部空気を冷却する。冷却された内部空気は、各庫内送風ファンF1の駆動により内部を循環し、これにより各商品収容庫3に収容された商品は、循環する内部空気に冷却される。各庫内熱交換器24の低圧冷媒流路245を通過中に蒸発した冷媒は、各低圧冷媒出口242より流出して冷媒配管25を通過し、合流点P1で合流した後、内部熱交換器29を介して圧縮機21に吸引され、圧縮機21に圧縮されて上述した循環を繰り返す。
【0049】
次に、HCC運転(左庫3cの内部空気を加熱し、かつ右庫3a及び中庫3bの内部空気を冷却する運転)を行う場合について説明する。この場合、制御手段は、三方弁26を第2送出状態にさせ、低圧側電磁弁283に対して閉指令を与え、低圧側電磁弁281,282に対して開指令を与える。これにより圧縮機21で圧縮された冷媒は、
図12に示すように循環する。
【0050】
すなわち、圧縮機21で圧縮された冷媒は、第2送出状態にある三方弁26を経由して高圧冷媒導入配管31を通過し、左庫内熱交換器24cの高圧冷媒入口243に至る。高圧冷媒入口243に至った冷媒は、左庫内熱交換器24cの高圧冷媒流路246を通過中に、左庫3cの内部空気と熱交換し、該内部空気に放熱して凝縮する。これにより、左庫3cの内部空気を加熱する。加熱された内部空気は、庫内送風ファンF1の駆動により、左庫3cの内部を循環し、これにより左庫3cに収容された商品は、循環する内部空気に加熱される。
【0051】
左庫内熱交換器24cの高圧冷媒流路246を通過中に凝縮した冷媒は、高圧冷媒出口244より流出して放熱配管32を通過し、庫外熱交換器22の第2冷媒入口22b1に至る。第2冷媒入口22b1に至った冷媒は、
図13に示すように、第2冷媒流路22bを通過した後、合流個所P2より第1冷媒流路22aに進入して通過する(
図13中矢印参照)。かかる第1冷媒流路22aを通過中に、周囲空気(外気)と熱交換を行って放熱する。第1冷媒流路22aを通過中に放熱した冷媒は、冷媒出口22a2を通じて流出され、内部熱交換器29を通過した後、膨張機構23で断熱膨張する。膨張機構23で断熱膨張した冷媒は、分配器27で2つに分岐され、右庫内熱交換器24a及び中庫内熱交換器24bの各低圧冷媒入口241に至る。各低圧冷媒入口241に至った冷媒は、右庫内熱交換器24a及び中庫内熱交換器24bの低圧冷媒流路245を通過中に蒸発して右庫3a及び中庫3bの内部空気から熱を奪い、該内部空気を冷却する。冷却された内部空気は、各庫内送風ファンF1の駆動により内部を循環し、これにより右庫3a及び中庫3bに収容された商品は、循環する内部空気に冷却される。右庫内熱交換器24a及び中庫内熱交換器24bの低圧冷媒流路245を通過中に蒸発した冷媒は、各低圧冷媒出口242より流出して冷媒配管25を通過し、合流点P1で合流した後、内部熱交換器29を介して圧縮機21に吸引され、圧縮機21に圧縮されて上述した循環を繰り返す。
【0052】
上記冷媒回路装置において、両側端の商品収容庫3(右庫3a及び左庫3c)に配設された庫内熱交換器24(右庫内熱交換器24a及び左庫内熱交換器24c)には、左右両側部のうち内方側に冷媒入口241(243)及び冷媒出口242(244)が設けてあるので、従来のように商品収容庫の底面に冷媒配管を左右に向けて這わせる必要がなく、該冷媒配管25を保護するための保護材を必要としない。
【0053】
従って、
上記冷媒回路装置によれば、保護材を必要としないので、部品点数の削減によりコストの低減化を図ることができる。
【0054】
また、両側端の商品収容庫3(右庫3a及び左庫3c)に配設された庫内熱交換器24(右庫内熱交換器24a及び左庫内熱交換器24c)の左右両側部のうち内方側に冷媒入口241(243)及び冷媒出口242(244)が設けたことにより、
図14に示すように受金50の下方域にスペースSを形成することができる。ここで受金50は、両側端の商品収容庫3(右庫3a及び左庫3c)の搬出シュータ8に設けられるものである。この受金50は、商品取出口4aが外扉4の中央域下部に設けられていることから、商品を中央側に寄せるためのものである。このように受金50の下方域にスペースSを形成することができるので、庫内送風ファンF1の駆動により送出される内部空気が該スペースSを通過して前方に流れることができ、内部空気の循環を良好に行うことができる。内部空気の循環を良好に行うことで、商品を所望の温度状態にする時間の短縮化を図ることができ、各商品収容庫3での商品温度のバラツキの発生を抑制することができる。更に、冷媒配管25(高圧冷媒導入配管31、放熱配管32)が両側端の商品収容庫3(右庫3a及び左庫3c)の外壁面(右庫3aであれば右壁面、左庫3cであれば左壁面)に配置する必要がないので、熱リークを抑制することができる。また更に、配管構成を中央寄りに集約させることができるので、メンテナンス作業等において、装置の取り外し等を容易に行うことができる。
【0055】
上記冷媒回路装置においては、受皿部材41が、機械室9における冷媒回路10の低圧配管33の下方域に配設して該低圧配管33で生じた結露水を貯留し、蒸発シート42が、受皿部材41に貯留した結露水を毛管現象により吸水するとともに、庫外熱交換器22の周囲を通過した空気が自身の上延部422を通過して低圧配管33に至るよう受皿部材41に立設してある。これにより、低圧配管33に生じた結露水を良好に集めることができ、しかも集めた結露水を蒸発シート42で蒸発させることができる。しかも、庫外熱交換器22の周囲を通過した空気は、蒸発シート42の上延部422を通過してから低圧配管33に至るので、該空気が低圧配管33の周囲を通過する際には十分に低温となっており、低圧配管33を通過する冷媒を必要以上に加熱してしまうこともない。
【0056】
従って、
上記冷媒回路装置によれば、良好に結露水を蒸発させるとともに、庫内熱交換器24の冷却能力の低減化を抑制することができる。
【0057】
また、低圧配管33を通過する冷媒を必要以上に加熱してしまうこともないので、低圧配管33に断熱材を巻回する必要はなく、これにより部品点数の削減によりコストの低減化を図ることができるとともに、装置の組立を容易なものとすることができる。
【0058】
また、上記冷媒回路装置においては、庫外熱交換器22が、第1冷媒入口22a1を通じて圧縮機21で圧縮した冷媒を流入し、かつ冷媒出口22a2を通じて自身を通過した冷媒を膨張機構23に向けて流出させる第1冷媒流路22aと、第1冷媒流路22aの途中に合流する態様で設けてあり、第2冷媒入口22b1を通じて左庫内熱交換器24cから供給された冷媒を流入し、かつ合流個所P2を通じて自身を通過した冷媒を該第1冷媒流路22aに進入させて冷媒出口22a2より流出させる第2冷媒流路22bとを備えている。これによりCCC運転やHCC運転を行う場合に、庫外熱交換器22の冷媒流路の共通化を図ることができ、従来のように冷媒流路が完全に独立していたものと比較して小さくすることが可能である。
【0059】
従って、
上記冷媒回路装置によれば、庫外熱交換器22の小型化を図ることができる。
【0060】
また、庫外熱交換器22の小型化を図ることができることで、CCC運転やHCC運転等を行う場合において、冷媒回路10に封入された冷媒における未使用量、いわゆる寝込み量を低減させることができる。しかも、冷媒回路10に十分な量の冷媒を封入させておくことにより、電磁弁等を必要以上に設置しなくても十分な冷却能力及び加熱能力を発揮することができ、コストの低減化を図ることもできる。
【0061】
以上、本発明の好適な実施の形態について説明したが、本発明これに限定されるものではなく、種々の変更を行うことができる。
【0062】
上述した実施の形態では、CCC運転とHCC運転とを行う場合について説明したが、本発明においては、ヒータを駆動させることでHHC運転を行うようにしてもよい。
【0063】
また、上述した実施の形態では、左庫内熱交換器24cだけにしか高圧冷媒流路246を設けていなかったが、中庫内熱交換器にも高圧冷媒流路を設けるようにしてもよい。この場合には、高圧冷媒導入配管及び放熱配管が途中で分岐して中庫内熱交換器に接続されることになる。