特許第5686131号(P5686131)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5686131
(24)【登録日】2015年1月30日
(45)【発行日】2015年3月18日
(54)【発明の名称】電力変換装置
(51)【国際特許分類】
   H02M 7/12 20060101AFI20150226BHJP
   H02M 3/155 20060101ALI20150226BHJP
   B60L 9/30 20060101ALN20150226BHJP
   B60L 11/14 20060101ALN20150226BHJP
【FI】
   H02M7/12 K
   H02M3/155 W
   H02M3/155 U
   !B60L9/30
   !B60L11/14
【請求項の数】12
【全頁数】28
(21)【出願番号】特願2012-500484(P2012-500484)
(86)(22)【出願日】2011年1月25日
(86)【国際出願番号】JP2011000391
(87)【国際公開番号】WO2011102082
(87)【国際公開日】20110825
【審査請求日】2012年8月3日
(31)【優先権主張番号】特願2010-32847(P2010-32847)
(32)【優先日】2010年2月17日
(33)【優先権主張国】JP
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】000005234
【氏名又は名称】富士電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105854
【弁理士】
【氏名又は名称】廣瀬 一
(74)【代理人】
【識別番号】100103850
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 秀▲てつ▼
(72)【発明者】
【氏名】岩堀 道雄
【審査官】 神山 貴行
(56)【参考文献】
【文献】 特開2009−201200(JP,A)
【文献】 特開2003−116280(JP,A)
【文献】 特開2000−217393(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02M 7/12
H02M 3/155
B60L 9/30
B60L 11/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
交流発電機からの交流電力を直流電力に変換する電圧形整流回路と、直流電源と、該直流電源の直流電圧を異なる直流電圧に変換する直流電圧変換回路と、電圧形整流回路の出力と直流電圧変換回路の出力のうち少なくとも一方の直流電力を交流電力に変換して交流負荷を駆動する負荷駆動回路とを有する電力変換装置であって、
前記直流電源を直流電圧変換回路へ接続し、前記直流電源の電圧を変換して前記負荷駆動回路へ供給するとともに、
前記直流電源を、直流電力供給路、スイッチ回路、前記交流発電機の中性点を介し、さらに当該交流発電機の巻線をインダクタンス素子として介して前記電圧形整流回路に接続し、
前記交流発電機が停止中であって、前記直流電圧変換回路の動作時に、前記スイッチ回路をオン状態として前記電圧形整流回路を直流チョッパとして制御し、前記直流電源の電圧を変換して前記負荷駆動回路へ前記直流電圧変換回路と並列に供給する
ことを特徴とする電力変換装置。
【請求項2】
前記直流電力供給路は、前記スイッチ回路と直列に補助インダクタンス素子が介挿された構成を有する
ことを特徴とする請求項1に記載の電力変換装置。
【請求項3】
前記直流電力供給路は、前記スイッチ回路と直列に前記直流電源とは異なる第2の直流電源が接続されている
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の電力変換装置。
【請求項4】
前記負荷駆動回路が電圧形インバータである
ことを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の電力変換装置。
【請求項5】
交流電源からの交流電力を直流電力に変換する電圧形整流回路と、直流電源と、該直流電源の直流電圧を異なる直流電圧に変換する直流電圧変換回路と、電圧形整流回路の出力と直流電圧変換回路の出力のうち少なくとも一方の直流電力を交流電力に変換して交流負荷を駆動する負荷駆動回路とを有する電力変換装置であって、
前記直流電源を直流電圧変換回路へ接続し、前記直流電源の電圧を変換して前記負荷駆動回路へ供給するとともに、
前記直流電源を、直流電力供給路及びインダクタンス素子を介して前記電圧形整流回路に接続し、前記直流電圧変換回路の動作時に、前記電圧形整流回路を直流チョッパとして制御し、前記直流電源の直流電圧を変換して前記負荷駆動回路へ前記直流電圧変換回路と並列に供給し、
前記電圧形整流回路の交流入力部を相ごとに前記交流電源に接続する第2のスイッチ回路を設け、
前記第2のスイッチ回路及び前記電圧形整流回路における交流入力部間に相ごとに第3のスイッチ回路を介して前記直流電力供給路の一端を接続し、当該直流電力供給路の他端を、前記直流電源に接続し、
前記第3のスイッチ回路の前記電圧形整流回路側及び直流電力供給路側の一方に前記インダクタンス素子を介挿した
ことを特徴とする電力変換装置。
【請求項6】
前記第2のスイッチ回路をオフ状態として前記電圧形整流回路を交流電源から切り離すとともに、前記第3のスイッチ回路をオン状態として前記直流電源を、前記インダクタンス素子を介して前記第2のスイッチ回路と前記電圧形整流回路における交流入力部との間に相ごとに接続し、
前記電圧形整流回路を直流チョッパとして制御し、前記直流電源の電圧を変換して前記負荷駆動回路へ供給する
ことを特徴とする請求項5に記載の電力変換装置。
【請求項7】
前記インダクタンス素子は、前記第3のスイッチ回路に共通に直列接続されている
ことを特徴とする請求項5または6に記載の電力変換装置。
【請求項8】
前記インダクタンス素子は、前記第3のスイッチ回路に個別に直列接続されている
ことを特徴とする請求項5または6に記載の電力変換装置。
【請求項9】
前記直流電力供給路は、前記第3のスイッチ回路と直列に前記直流電源とは異なる第2の直流電源が接続されている
ことを特徴とする請求項5乃至8のいずれか1項に記載の電力変換装置。
【請求項10】
交流電源からの交流電力を直流電力に変換する電圧形整流回路と、直流電源と、該直流電源の直流電圧を異なる直流電圧に変換する直流電圧変換回路と、電圧形整流回路の出力と直流電圧変換回路の出力のうち少なくとも一方の直流電力を交流電力に変換して交流負荷を駆動する負荷駆動回路とを有する電力変換装置であって、
前記直流電源を直流電圧変換回路へ接続し、前記直流電源の電圧を変換して前記負荷駆動回路へ供給するとともに、
前記直流電源を、直流電力供給路及びインダクタンス素子を介して前記電圧形整流回路に接続し、前記直流電圧変換回路の動作時に、前記電圧形整流回路を直流チョッパとして制御し、前記直流電源の直流電圧を変換して前記負荷駆動回路へ前記直流電圧変換回路と並列に供給し、
前記電圧形整流回路における交流入力部を相ごとに交流電源に接続する第2のスイッチ回路を設け、
前記電圧形整流回路における交流入力部と、前記直流電圧変換回路を構成するスイッチング素子の直列接続点との間に、相ごとに前記直流電力供給路を接続した
ことを特徴とする電力変換装置。
【請求項11】
前記直流電力供給路は、前記電圧形整流回路における交流入力部の各相と、前記直流電圧変換回路を構成するスイッチング素子の直列接続点との間を夫々第4のスイッチ回路を介して接続する構成を有する
ことを特徴とする請求項10に記載の電力変換装置。
【請求項12】
前記交流負荷は交流電動機であり、前記負荷駆動回路が電圧形インバータである
ことを特徴とする請求項5乃至11のいずれか1項に記載の電力変換装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、直流電源回路及び交流電力を直流電力に変換する電圧形整流回路の双方から電力供給が可能で交流負荷を駆動する負荷駆動回路を有する例えば電動機駆動装置、ハイブリッド電気車等に適用可能な電力変換装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の電力変換装置としては、例えば、直流電源から出力された第1の直流電圧を電圧レベルが前記第1の直流電圧と異なる第2の直流電圧に変換する直流チョッパと、前記第2の直流電圧により駆動される第1および第2の電気負荷とを備える電気負荷装置が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
この電気負荷装置の具体的構成は、図23に示すように、駆動輪を駆動する交流モータM1と、エンジンによって駆動され交流電力を発生する交流発電機M2とを有する。交流モータM1は電圧形インバータIV1によって駆動され、交流発電機M2で発電された交流発電電力は、電圧形整流回路IV2によって直流電力に変換される。電圧形インバータIV1および電圧形整流回路IV2を接続する正母線L1および負母線L2間には平滑用コンデンサCが接続されている。この平滑用コンデンサCが接続されている正母線L1および負母線L2間には、直流チョッパCVが接続されている。この直流チョッパCVは、直流電源Bの直流電力を昇圧して正母線L1および負母線L2間へ供給するとともに、電圧形インバータIV1および電圧形整流回路IV2から入力される直流電力を降圧して直流電源Bを充電する。
そして、電圧形インバータIV1、電圧形整流回路IV2、直流チョッパCVが制御装置CDによって駆動制御される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2004−112883号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、図23に示す従来例にあっては、交流発電機M2が発電機として作用している状態では、この交流発電機M2の交流発電電力によって、交流モータM1を駆動する。しかし、交流発電機M2をエンジンで駆動しているシステムでは、省エネルギーやCO2削減のために、できる限り直流電源のみを用いて交流モータM1を駆動する傾向が高まっている。
【0006】
例えば、エンジンと電気駆動システムとを併用したハイブリッド自動車では、直流電源としてバッテリあるいは大容量のコンデンサを用い、この容量を増やして配電系統からも充電できるようにして、数十km程度の走行では、エンジンを動作させずに走行(電気自動車(EV)走行、回生制動時も含む)させるプラグイン・ハイブリッド自動車の実用化も間近に迫っている。
【0007】
このように、電気自動車(EV)走行する期間では、発電機として作用する交流発電機M2の出力電力は0であり、通常、この交流発電機M2に接続された電圧形整流回路IV2は停止したままである。この電圧形整流回路IV2が停止した状態では、停止している電圧形整流回路からの電力が供給されない。このため、エンジンが動作しているときと同等の電動機トルクを交流モータM1から得たい場合には、その電力を直流チョッパCVを通じて直流電源Bから供給しなければならない。このため、直流チョッパCVの通電電流を増加せざるを得ず、直流チョッパCVが大形化するという未解決の課題がある。
【0008】
そこで、本発明は、上記従来例の未解決の課題に着目してなされたものであり、直流チョッパ等の直流電力回路を大形化することなく、必要な通電電流を確保することができる電力変換装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するために、本発明の一の形態に係る電力変換装置は、交流発電機からの交流電力を直流電力に変換する電圧形整流回路と、直流電源と、該直流電源の直流電圧を異なる直流電圧に変換する直流電圧変換回路と、電圧形整流回路の出力と直流電圧変換回路の出力のうち少なくとも一方の直流電力を交流電力に変換して交流負荷を駆動する負荷駆動回路とを有する電力変換装置であって、前記直流電源を直流電圧変換回路へ接続し、前記直流電源の電圧を変換して前記負荷駆動回路へ供給するとともに、前記直流電源を、直流電力供給路、スイッチ回路、前記交流発電機の中性点を介し、さらに当該交流発電機の巻線をインダクタンス素子として介して前記電圧形整流回路に接続し、前記交流発電機が停止中であって、前記直流電圧変換回路の動作時に、前記スイッチ回路をオン状態として前記電圧形整流回路を直流チョッパとして制御し、前記直流電源の電圧を変換して前記負荷駆動回路へ前記直流電圧変換回路と並列に供給する。
【0010】
また、本発明の他の形態に係る電力変換装置は、前記直流電力供給路は、前記スイッチ回路と直列に補助インダクタンス素子が介挿された構成を有する。
【0011】
また、本発明の他の形態に係る電力変換装置は、前記直流電力供給路は、前記スイッチ
回路と直列に前記直流電源とは異なる第2の直流電源が接続されている。
また、本発明の他の形態に係る電力変換装置は、前記負荷駆動回路が電圧形インバータ
である。
【0012】
また、本発明のの形態に係る電力変換装置は、交流電源からの交流電力を直流電力に変換する電圧形整流回路と、直流電源と、該直流電源の直流電圧を異なる直流電圧に変換する直流電圧変換回路と、電圧形整流回路の出力と直流電圧変換回路の出力のうち少なくとも一方の直流電力を交流電力に変換して交流負荷を駆動する負荷駆動回路とを有する電力変換装置であって、前記直流電源を直流電圧変換回路へ接続し、前記直流電源の電圧を変換して前記負荷駆動回路へ供給するとともに、前記直流電源を、直流電力供給路及びインダクタンス素子を介して前記電圧形整流回路に接続し、前記直流電圧変換回路の動作時に、前記電圧形整流回路を直流チョッパとして制御し、前記直流電源の直流電圧を変換して前記負荷駆動回路へ前記直流電圧変換回路と並列に供給し、前記電圧形整流回路の交流入力部を相ごとに前記交流電源に接続する第2のスイッチ回路を設け、前記第2のスイッチ回路及び前記電圧形整流回路における交流入力部間に相ごとに第3のスイッチ回路を介して前記直流電力供給路の一端を接続し、当該直流電力供給路の他端を、前記直流電源に接続し、前記第3のスイッチ回路の前記電圧形整流回路側及び直流電力供給路側の一方に前記インダクタンス素子を介挿している。
【0013】
また、本発明の他の形態に係る電力変換装置は、前記第2のスイッチ回路をオフ状態として前記電圧形整流回路を交流電源から切り離すとともに、前記第3のスイッチ回路をオン状態として前記直流電源を、前記インダクタンス素子を介して前記第2のスイッチ回路と前記電圧形整流回路における交流入力部との間に相ごとに接続し、前記電圧形整流回路を直流チョッパとして制御し、前記直流電源の電圧を変換して前記負荷駆動回路へ供給する。
【0014】
また、本発明の他の形態に係る電力変換装置は、前記インダクタンス素子が、前記第3のスイッチ回路に共通に直列接続されている。
また、本発明の他の形態に係る電力変換装置は、前記インダクタンス素子が、前記第3のスイッチ回路に個別に直列接続されている。
また、本発明の他の形態に係る電力変換装置は、前記直流電力供給回路は、前記第3のスイッチ回路と直列に前記直流電源とは異なる第2の直流電源が接続されている。
【0015】
また、本発明のの形態に係る電力変換装置は、交流電源からの交流電力を直流電力に変換する電圧形整流回路と、直流電源と、該直流電源の直流電圧を異なる直流電圧に変換する直流電圧変換回路と、電圧形整流回路の出力と直流電圧変換回路の出力のうち少なくとも一方の直流電力を交流電力に変換して交流負荷を駆動する負荷駆動回路とを有する電力変換装置であって、前記直流電源を直流電圧変換回路へ接続し、前記直流電源の電圧を変換して前記負荷駆動回路へ供給するとともに、前記直流電源を、直流電力供給路及びインダクタンス素子を介して前記電圧形整流回路に接続し、前記直流電圧変換回路の動作時に、前記電圧形整流回路を直流チョッパとして制御し、前記直流電源の直流電圧を変換して前記負荷駆動回路へ前記直流電圧変換回路と並列に供給し、前記電圧形整流回路における交流入力部を相ごとに交流電源に接続する第2のスイッチ回路を設け、前記電圧形整流回路における交流入力部と、前記直流電圧変換回路を構成するスイッチング素子の直列接続点との間に、相ごとに前記直流電力供給路を接続した。
また、本発明の他の形態に係る電力変換装置は、前記直流電力供給路は、前記電圧形整流回路における交流入力部の各相と、前記直流電圧変換回路を構成するスイッチング素子の直列接続点との間を夫々第4のスイッチ回路を介して接続する構成を有する。
また、本発明の他の形態に係る電力変換装置は、前記交流負荷は交流電動機であり、前記負荷駆動回路が電圧形インバータである。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、交流発電機で発電した交流電力を直流電力に変換する電圧形整流回路を、交流発電機の停止時に、直流チョッパとして使用することにより、交流発電機で発電する交流電力が得られない状態でも、負荷が必要とする電流を直流電源から供給することができるという効果が得られる。また、1つの直流チョッパで負荷が必要とする電流を賄える場合には、直流チョッパ回路を小容量化することができるという効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本発明の第1の実施形態を示す電力変換装置の回路図である。
図2】制御装置の整流回路制御部の具体的構成を示すブロック図である。
図3】第1の実施形態の変形例を示す回路図である。
図4】第1の実施形態の他の変形例を示す回路図である。
図5】第1の実施形態のさらに他の変形例を示す回路図である。
図6】本発明の第2の実施形態を示す回路図である。
図7】第2の実施形態の変形例を示す回路図である。
図8】第2の実施形態の他の変形例を示す回路図である。
図9】本発明の第3の実施形態を示す回路図である。
図10】第3の実施形態の変形例を示す回路図である。
図11】第3の実施形態の他の変形例を示す回路図である。
図12】第3の実施形態のさらに他の変形例を示す回路図である。
図13】本発明の第4の実施形態を示す回路図である。
図14】第4の実施形態の変形例を示す回路図である。
図15】第4の実施形態の他の変形例を示す回路図である。
図16】第4の実施形態のさらに他の変形例を示す回路図である。
図17】本発明の第5の実施形態を示すブロック図である。
図18】第5の実施形態の制御装置の整流回路制御部の具体的構成を示すブロック図である。
図19】第5の実施形態の変形例を示す回路図である。
図20】本発明の第6の実施形態を示す回路図である。
図21】第6の実施形態に適用し得るスイッチ部を示す図である。
図22】本発明の第7の実施形態を示す回路図である。
図23】従来例の電力変換装置を示す回路図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
図1は本発明の第1の実施形態の電力変換装置を示すブロック図であり、図中、1はハイブリッド電気自動車などに適用可能な電力変換装置である。この電力変換装置1は、電圧形整流回路4、直流電圧変換回路としての直流チョッパ6、負荷駆動回路としての電圧形インバータ8を有する。電圧形整流回路4は、エンジン等の内燃機関の出力軸から回転動力が伝達される交流電源としての交流発電機3から出力される3相交流電力を直流電力に変換する。
【0019】
電圧形整流回路4は、正極側ラインLp及び負極側ラインLn間に、上アーム部4Hと、下アーム部4Lとが接続されている。
上アーム部4Hは、例えば絶縁ゲートバイポーラトランジスタ(IGBT)で構成される3つのスイッチング素子Q11a〜Q13aと、各スイッチング素子Q11a〜Q13aのそれぞれに逆並列に接続されたダイオードD11a〜D13aとを有する。
【0020】
そして、各スイッチング素子Q11a〜Q13aのコレクタが正極側ラインLpに接続され、エミッタが下アーム部4Lに接続されている。
下アーム部4Lも、例えば絶縁ゲートバイポーラトランジスタ(IGBT)で構成される3つのスイッチング素子Q11b〜Q13bと、各スイッチング素子Q11b〜Q13bのそれぞれに逆並列に接続されたダイオードD11b〜D13bとを有する。
【0021】
また、各スイッチング素子Q11b〜Q13bのコレクタが上アーム部4Hのスイッチング素子Q11a〜Q13aのエミッタに接続され、エミッタが負極側ラインLnに接続されている。
そして、上アーム部4Hの各スイッチング素子Q11a〜Q13aと、下アーム部4Lの各スイッチング素子Q11b〜Q13bとの接続点である交流電力入力点に交流発電機3の交流電力が供給されている。
【0022】
また、電力変換装置1は、所要数のバッテリユニットで構成される直流電源としてのバッテリ5を有し、このバッテリ5の直流電力が直流チョッパ6でDC−DC変換されて正極側ラインLp及び負極側ラインLnに供給される。ここで、バッテリ5は、例えば、数Vの単位バッテリユニットを所要数(例えば数十個)直列に接続されて数百Vのバッテリ電圧Vbを出力する。
【0023】
この直流チョッパ6は、正極側ラインLp及び負極側ラインLn間に直列に接続された例えば絶縁ゲートバイポーラトランジスタ(IGBT)で構成される一対のスイッチング素子Q6a及びQ6bと、これら一対のスイッチング素子Q6a及びQ6bのそれぞれに逆並列に接続されたダイオードD6aおよびD6bを有する。また、直流チョッパ6は、負極側が負極側ラインLnに接続され、バッテリ5の正極側には直列に接続されたリアクトルL6を有する。このリアクトルL6のバッテリ5とは反対側がスイッチング素子Q6aのエミッタとスイッチング素子Q6bのコレクタとの接続点に接続されている。
【0024】
さらに、電力変換装置1は、正極側ラインLpおよび負極側ラインLn間に、直流チョッパ6のスイッチング素子Q6a及びQ6bと並列に接続された平滑用コンデンサCを有する直流部7を備えている。
さらにまた、電力変換装置1は、正極側ラインLpおよび負極側ラインLn間に、平滑用コンデンサCと並列に接続された負荷駆動装置としての電圧形インバータ8を有する。
【0025】
この電圧形インバータ8は、正極側ラインLp及び負極側ラインLn間に直列に接続された上アーム部8Hと下アーム部8Lとを有する。
上アーム部8Hは、例えば絶縁ゲートバイポーラトランジスタ(IGBT)で構成される3つのスイッチング素子Q21a〜Q23aと、各スイッチング素子Q21a〜Q23aのそれぞれに逆並列に接続されたダイオードD21a〜D23aとを有する。
【0026】
そして、各スイッチング素子Q21a〜Q23aのコレクタが正極側ラインLpに接続され、エミッタが下アーム部8Lに接続されている。
下アーム部8Lも、例えば絶縁ゲートバイポーラトランジスタ(IGBT)で構成される3つのスイッチング素子Q21b〜Q23bと、各スイッチング素子Q21b〜Q23bのそれぞれに逆並列に接続されたダイオードD21b〜D23bとを有する。
【0027】
また、各スイッチング素子Q21b〜Q23bのコレクタが上アーム部8Hのスイッチング素子Q21a〜Q23aのエミッタに接続され、エミッタが負極側ラインLnに接続されている。
そして、上アーム部8Hの各スイッチング素子Q21a〜Q23aと、下アーム部8Lの各スイッチング素子Q21b〜Q23bとの接続点である交流電力出力点に交流負荷としての交流電動機9が接続されている。
【0028】
なおさらに、電力変換装置1は、電圧形整流回路4の交流入力点と、バッテリ5およびリアクトルL6の接続点との間を接続する直流電力供給路10を有する。この直流電力供給路10は、一端が交流発電機3の中性点に接続され、他端がバッテリ5及びリアクトルL6の接続点に接続された直流電力供給線Ldを有し、この直流電力供給線Ldにスイッチ回路11が介挿されている。
そして、電圧形整流回路4、直流チョッパ6、電圧形インバータ8及びスイッチ回路11が制御装置12によって駆動制御される。
【0029】
この制御装置12は、電圧形整流回路4を駆動制御する整流回路制御部13と、直流チョッパ6を駆動制御するチョッパ制御部14と、電圧形インバータ8を駆動制御するインバータ制御部15と、電力変換装置1の全体的な動作、すなわち、整流回路制御部13、チョッパ制御部14、インバータ制御部15の連係を司るシステム制御部18とを備えている。
整流回路制御部13は、電圧形整流回路4を整流回路として駆動制御する機能と、電圧形整流回路4を直流チョッパとして動作させるチョッパ制御回路としての機能を併せ持つ。
【0030】
整流回路制御部13は、図2に示すように、交流発電機3の発電動作時に交流発電機3から入力される三相交流電力を整流して直流電力に変換するAC−DC変換制御部16と、電圧形整流回路4を直流チョッパとして動作させるDC−DC変換制御部17とを備えている。
ここで、AC−DC変換制御部16は、交流発電機3がエンジン等の内燃機関によって回転駆動されている発電状態で、交流発電機3から出力される交流電力の位相に応じて電圧形整流回路4の各スイッチング素子Q11a〜Q13a及びQ11b〜Q13bのゲートを制御して整流動作させるゲート駆動信号を形成する。
【0031】
また、DC−DC変換制御部17は、後述するチョッパ制御部14と同様に、バッテリ5のバッテリ電圧Vbを昇圧して直流部7に供給する場合に、上アーム部4Hのスイッチング素子Q11a〜Q13aをオフ状態とするゲート駆動信号と、下アーム部4Lのスイッチング素子Q11b〜Q13bを同時にオン・オフ制御するゲート駆動信号とを形成して、電圧形整流回路4を昇圧チョッパ動作させる。さらに、DC−DC変換制御部17は、直流部7の直流電力を降圧してバッテリ5を充電する場合に、下アーム部4Lのスイッチング素子Q11b〜Q13bをオフ状態とするゲート駆動信号と、上アーム部4Hのスイッチング素子Q11b〜Q13bを同時にオン・オフ制御するゲート信号とを形成して、電圧形整流回路4を降圧チョッパ動作させる。
【0032】
ここで、電圧形整流回路4を昇圧あるいは降圧チョッパ動作させるために、スイッチング素子をオン・オフ制御する際、所定デューティ比でオン・オフするパルス幅変調(PWM)制御としてもよいし、直流チョッパ回路の出力電圧を検出し、電圧の基準値との比較を行って、比較結果に基づいてスイッチング素子のオン・オフを行う制御としてもよい。以下の各実施形態においても同様であり、直流チョッパの制御方法は種々の制御方法を適用することができる。
【0033】
システム制御部18は、整流動作停止信号Stを発生させる整流動作停止信号発生部18aと、チョッパ動作信号Scを発生させるチョッパ動作信号発生部18bと、整流動作停止信号Stとチョッパ動作信号Scとが入力されるアンド回路19とを少なくとも有する。
整流動作停止信号Stは、論理値“1”であるときに、交流発電機3を停止させて電圧形整流回路4の整流動作を停止させることを示すものであり、チョッパ動作信号Scは、論理値“1”であるときに、電圧形整流回路4をチョッパ動作させることを示すものである。
【0034】
そして、アンド回路19の出力は、直接スイッチ回路11に供給されてスイッチ回路11の開閉を司るとともに、AC−DC変換制御部16の出力とDC−DC変換制御部17の出力とを選択する選択スイッチ20に選択信号として供給される。
ここで、スイッチ回路11は、アンド回路19の出力が低レベルすなわち論理値“0”であるときには開き、アンド回路19の出力が高レベルすなわち論理値“1”であるときには閉じる。また、選択スイッチ20は、アンド回路19の出力が低レベルすなわち論理値“0”であるときにはAC−DC変換制御部16の出力を選択し、アンド回路19の出力が高レベルすなわち論理値“1”であるときにDC−DC変換制御部17の出力を選択する。そして、選択スイッチ20の出力が電圧形整流回路4の各スイッチング素子Q11a〜Q13a及びQ11b〜Q13bのゲートに供給される。
【0035】
チョッパ制御部14は、上述の電圧形整流回路4をチョッパ動作させる場合と同様に、昇圧チョッパ動作時にスイッチング素子Q6aをオフ状態とするゲート駆動信号と、スイッチング素子Q6bをオン・オフ制御するゲート駆動信号とを形成する。また、チョッパ制御部14は、直流部7の直流電力を降圧してバッテリ5を充電する降圧チョッパ動作時に、スイッチング素子Q6bをオフ状態とするゲート駆動信号と、スイッチング素子Q6aをオン・オフ制御するゲート信号とを形成する。
【0036】
インバータ制御部15は、交流電動機9を電動機として動作させる力行状態では、必要とするモータトルクに応じて電圧形インバータ8の上アーム部8Hを構成するスイッチング素子Q21a〜Q23aと、下アーム部8Lを構成するスイッチング素子Q21b〜Q23bとをオン・オフ制御するDC−AC変換用のゲート駆動信号を形成する。また、交流電動機9による回生制動状態では、電圧形インバータ8を整流回路として動作させるAC−DC変換用のゲート駆動信号を形成して、各スイッチング素子Q21a〜Q23aおよびQ21b〜Q23bのゲートに供給する。
【0037】
次に、上記第1の実施形態の動作を説明する。
今、交流発電機3がエンジン等の内燃機関によって回転駆動されている状態では、システム制御部18の整流動作停止信号Stが論理値“0”となっており、アンド回路19の出力が論理値“0”となっている。このため、選択スイッチ20では、AC−DC変換制御部16の出力が選択されて、このAC−DC変換制御部16で形成されるゲート駆動信号が電圧形整流回路4の各スイッチング素子Q11a〜Q13a及びQ11b〜Q13bに出力される。また、スイッチ回路11はオフ状態に制御される。
【0038】
したがって、電圧形整流回路4で、整流動作が行われて交流発電機3から出力される交流発電電力が直流電力に変換され、この直流電力が平滑用コンデンサCで平滑化されて電圧形インバータ8に供給される。
この電圧形インバータ8は、制御装置12のインバータ制御部15で、必要とするモータトルクに応じたモータ電圧,モータ電流が得られるゲート駆動信号が形成され、交流出力点から出力される3相交流電力が交流電動機9に出力される。これによって交流電動機9が回転駆動され、交流電動機9に動力伝達機構を介して連結された駆動輪を駆動して車両を走行させることができる。
【0039】
この交流発電機3の回転駆動状態から交流発電機3を停止させて、交流電動機9を制動する回生制動状態となると、交流電動機9の回生電力が電圧形インバータ8に入力される。この回生制動状態では、インバータ制御部15によって、電圧形インバータ8が電圧形整流回路4と同様の整流動作に制御されて、回生電力を直流電力に変換する。この直流電力は平滑用コンデンサCで平滑化されて直流チョッパ6及び電圧形整流回路4に供給される。
【0040】
このとき、チョッパ制御部14からスイッチング素子Q6bをオフ状態とするゲート信号が出力されるとともに、スイッチング素子Q6aをオン・オフ制御するゲート信号が出力され、直流チョッパ6が降圧チョッパ制御されて、バッテリ5を充電する。同時にシステム制御部18では、整流動作停止信号Stを論理値“1”とし、交流発電機3が停止状態になる。
そして、直流チョッパ6の負担を減らしたい場合には、電圧形整流回路4をチョッパ動作させるチョッパ動作信号Scを論理値“1”とする。これにより,アンド回路19の出力が論理値“1”となる。このため、スイッチ回路11がオン状態となるとともに、選択スイッチ20でDC−DC変換制御部17の出力が選択される。
【0041】
このDC−DC変換制御部17では、電圧形整流回路4の下アーム部4Lの各スイッチング素子Q11b〜Q13bをオフ状態に制御するゲート信号を出力するとともに、上アーム部4Hの各スイッチング素子Q11a〜Q13aが同時にオン・オフ制御するゲート信号を出力して、電圧形整流回路4が交流発電機3の巻線をインダクタンス素子とする降圧チョッパとして制御される。したがって、直流チョッパ6経由とは別に、電圧形整流回路4、交流発電機3の巻線及びスイッチ回路11を経由してもバッテリ5が充電される。ここで、電圧形整流回路4は、DC−DC変換制御部17によって、チョッパ制御部14とは独立して降圧チョッパ制御することができる。
【0042】
一方、エンジン等の内燃機関からの回転駆動力が交流発電機3に伝達されていない交流発電機3の停止状態で、交流電動機9を回転駆動するには、バッテリ5の電力のみによって交流電動機9を回転駆動する所謂電気自動車(EV)に相当する駆動制御を行う。この場合には直流チョッパ6がチョッパ制御部14によって昇圧チョッパ制御される。このとき、直流チョッパ6の負担を減らしたい場合には、電圧形整流回路4を整流回路制御部13によって昇圧チョッパ制御する。
この昇圧チョッパ制御状態では、通常のハイブリッド自動車と同様に、直流チョッパ6からバッテリ5のバッテリ電圧Vbが昇圧された直流電力が平滑用コンデンサCに供給され、この平滑用コンデンサCで平滑化されて電圧形インバータ8に供給することが可能である。
【0043】
この際には、システム制御部18は、整流動作停止信号Stを論理値“1”とするとともに、チョッパ動作信号発生部18bから供給されるチョッパ動作信号Scも論理値“1”とする。このため、アンド回路19の出力が論理値“1”となって、これが直接スイッチ回路11に供給されることにより、スイッチ回路11がオン状態となる。したがって、バッテリ5の直流電力がスイッチ回路11、交流発電機3の巻線を介して電圧形整流回路4の交流入力点に供給される。このため、交流発電機3の巻線のインダクタンスと後述する電圧形整流回路4の上アーム部4Hの各スイッチング素子Q11a〜Q13aをオフ状態とし、下アーム部4Lの各スイッチング素子Q11b〜Q13bを同時にオン・オフ制御することによって昇圧チョッパ回路が構成される。
【0044】
また、アンド回路19の出力が選択スイッチ20に供給されるので、この選択スイッチ20でDC−DC変換制御部17の出力が選択される。このDC−DC変換制御部17で形成されたゲート駆動信号が電圧形整流回路4の上アーム部4Hの各スイッチング素子Q11a〜Q13a及び下アーム部4Lの各スイッチング素子Q11b〜Q13bのゲートに供給される。
【0045】
これにより、電圧形整流回路4の上アーム部4Hを構成するスイッチング素子Q11a〜Q13aがオフ状態に制御され、下アーム部4Lを構成するスイッチング素子Q11b〜Q13bが同時にオン・オフ制御される昇圧チョッパ制御が行われる。この昇圧チョッパ制御によって、バッテリ5のバッテリ電圧Vbが昇圧されて平滑用コンデンサCを介して電圧形インバータ8に直流電力として供給される。
【0046】
したがって、電圧形インバータ8には、バッテリ5のバッテリ電圧Vbを直流チョッパ6および電圧形整流回路4の双方で昇圧した直流電力が供給される。このため、直流チョッパ6のみで電圧形インバータ8に直流電力を供給する場合に比較して、より多くの電流を電圧形インバータ8へ供給することが可能となる。
電圧形整流回路4を構成するスイッチング素子Q11a〜Q13a,Q11b〜Q13bを用いて直流チョッパ制御することで、同容量の素子を3並列にした直流チョッパを直流チョッパ6に並列に接続することになるので、直流チョッパ6のみで電圧形インバータ8に直流電力を供給する場合に比べ、より多くの電流を流すことが可能となる。また、直流チョッパ6の電流容量の選定の自由度が高くなる。
【0047】
この結果、電圧形インバータ8で交流電動機9を駆動する場合の駆動電流を従来例に比較して大幅に増加させることができ、電力変換装置1をハイブリッド電気自動車に適用した場合、EV走行での発進時や急加速時等の大きなモータトルクが必要となる場合に、電力不足となることなく、確実に駆動力を確保することができる。
しかも、交流電動機9に対して大きな駆動電流を確保するために、電圧形整流回路4をチョッパとして利用するので、新たな直流チョッパ回路を設けたり、直流チョッパ6自体を大形化したりする必要もなく、全体の構成を簡易化することができる。
【0048】
ハイブリッド電気自動車などの電気車駆動回路では、限られたスペースに回路を搭載する必要があり、上記第1の実施形態の回路構成を適用すると、電圧形インバータ8の必要電流を据え置くと、直流チョッパ6の通電電流を抑制することができ、直流チョッパ6の小形化が図れる。逆に、直流チョッパ6の通電電流を抑制しない場合には、電圧形整流回路4を使用してより大きな出力を出す回路を搭載することが可能になるため、電気車の加減速性能を大幅に向上させることができる。
【0049】
また、上述したように、第1の実施形態では、直流チョッパ6と並列に交流発電機3の巻線および電圧形整流回路4で構成する直流チョッパ回路が形成されている。このため、直流チョッパ6に異常が発生した場合には、直流チョッパ6のチョッパ制御部14による駆動を停止させ、交流発電機3の巻線および電圧形整流回路4で構成する直流チョッパ回路で昇圧した直流電力を電圧形インバータ8に供給することができ、直流チョッパ6が異常状態となってもバッテリ5による交流電動機9の駆動を継続することができる。
【0050】
さらに、上記第1の実施形態では、直流チョッパ6と交流発電機3の巻線および電圧形整流回路4の上アーム部4H及び下アーム部4Lによって構成される直流チョッパ回路との2つの直流チョッパ回路を備えている。そして、両直流チョッパ回路をチョッパ制御部14と整流回路制御部13のDC−DC変換制御部17との異なる制御部でチョッパ制御するので、両チョッパ回路のスイッチング素子のスイッチングタイミングをずらすことが可能となる。このように、両チョッパ回路のスイッチングタイミングをずらすことにより、平滑用コンデンサCの電圧リップルを低減することができる。逆に、同じ幅の電圧リップルを許容する場合には、直流チョッパ6や電圧形整流回路4のチョッパ動作のスイッチング周波数を下げることができ、直流チョッパ6および電圧形整流回路4のスイッチング損失を低減できるため、小形化や高効率化を図ることができる。
【0051】
なお、上記第1の実施形態においては、バッテリ5の正極側にリアクトルL6を接続する場合について説明したが、これに限定されるものではなく、図3に示すように構成することもできる。すなわち、バッテリ5の負極側とスイッチング素子Q6aおよびQ6bの接続点との間にリアクトルL6を介挿して直列回路を構成し、バッテリ5の正極側を正極側ラインLpに接続しても上記第1の実施形態と同様の作用効果を得ることができる。
【0052】
この場合、バッテリ5とリアクトルL6との接続点を、直流電力供給線Ldを介して交流発電機3の中性点に接続する。この際、スイッチング素子Q6bをオフ状態にして、スイッチング素子Q6aをオン・オフさせることにより、直流チョッパ6で昇圧動作させ、バッテリ5から正極側ラインLpと負極側ラインLnとの間へ直流電力を供給できる。この動作と同様に、電圧形整流回路4の下アーム部4Lを構成するスイッチング素子Q11b〜Q13bをオフ状態とし,上アーム部4Hを構成するスイッチング素子Q11a〜Q13aを同時にオン・オフさせることにより、昇圧チョッパとして動作させ、電圧形整流回路4を用いても、バッテリ5から正極側ラインLpと負極側ラインLnとの間へ直流電力を供給できる。
【0053】
また、上記第1の実施形態においては、交流発電機3の巻線のインダクタンスをリアクトルとして利用する場合について説明したが、これに限定されるものではなく、交流発電機の巻線のインダクタンスが不足する場合には、図4に示すように、スイッチ回路11とバッテリ5との間に補助インダクタンス素子としてリアクトルL10を介挿して不足するインダクタンスを補うようにしてもよい。
なお、リアクトルL10は、図4に示すように、スイッチ回路11とバッテリ5との間に接続してもよいし、スイッチ回路11と交流電動機3の巻線の中性点との間に接続してもよい。
【0054】
さらに、上記第1の実施形態の構成を利用してハイブリッド電気自動車を構成する場合には、図5に示すように、交流発電機3をエンジン等の内燃機関21に連結して内燃機関21の回転駆動力を交流発電機3に伝達する一方、交流電動機9の出力軸を必要に応じて減速機構22を介してディファレンシャルギヤ23に連結し、このディファレンシャルギヤ23に左右の駆動輪24を連結するようにすればよい。ここで、内燃機関21と交流電動機9とは直結してもよく、例えば遊星歯車機構で構成される動力分割機構に内燃機関21と交流電動機9とを並列に接続し、動力分割機構に交流発電機3を連結するようにしてもよい。
【0055】
次に、本発明の第2の実施形態を図6について説明する。
この第2の実施形態は、交流発電機3の巻線および電圧形整流回路4で構成する直流チョッパの直流電源としての専用の直流電源を設けるようにしたものである。
この第2の実施形態では、図6に示すように、前述した第1の実施形態における図1の構成において、直流電力供給線Ldの第1の直流電源としてのバッテリ5とリアクトルL6との直列回路側の接続点をバッテリ5とリアクトルL6との接続点から取り外し、バッテリ5の負極側と負極側ラインLnとの接続点に接続している。これに加えて、直流電力供給線Ldのスイッチ回路11とバッテリ5の負極側との間に専用の第2の直流電源としての第2のバッテリ30が介挿されている。
【0056】
この第2の実施形態によると、交流発電機3の停止時に、直流チョッパ6はバッテリ5のバッテリ電圧Vbを昇圧する昇圧チョッパ動作を行い、交流発電機3の巻線および電圧形整流回路4で構成される直流チョッパ回路については専用の第2のバッテリ30のバッテリ電圧Vb2を昇圧する昇圧チョッパ動作を行う。これにより、バッテリ5と第2のバッテリ30の双方から直流電力の供給が可能となる。
【0057】
前述した第1の実施形態においては、電気自動車(EV)走行時の走行距離を伸ばすためには,バッテリ5の容量を増やす必要がある。バッテリ5の容量を増加させる場合には、単純にバッテリ5を構成するユニットバッテリの並列数を増加させると、ユニットバッテリの個体差による充電状態や劣化状態のバラツキが、数が増えた分だけ大きくなる。このため、充電や劣化状態が悪いユニットバッテリに合わせて、バッテリあるいはコンデンサ全体を充放電制御することが必要になり、状態が良いバッテリあるいはコンデンサの蓄積エネルギーが有効に活用できないという未解決の課題が生じる。
【0058】
しかしながら、上記第2の実施形態においては、直流チョッパ6の第1のバッテリ5のバッテリ容量を増加させることなく、交流発電機3の巻線および電圧形整流回路4で構成される直流チョッパ回路に専用の第2のバッテリ30を設けたので、第1のバッテリ5及び第2のバッテリ30の双方から直流電力を供給することが可能となる。第1のバッテリ5の容量や直流チョッパ6の通電電流を増やすことなく、電圧形インバータ8に供給する直流電力を増やすことができる。さらに、直流チョッパ6で制御する第1のバッテリ5の出力とは独立に第2のバッテリ30の出力を制御できる。第1の直流電源及び第2の直流電源をバッテリで構成したときには、それぞれを独立に充放電制御することができるので、第1の直流電源の容量を単純に増やすよりも、バッテリの充電や劣化のバラツキを小さくすることができ、蓄積ネルギーの有効活用が可能となる。
【0059】
この第2の実施形態おいては、第2のバッテリ30を適用した場合について説明したが、この第2のバッテリ30に代えて充放電用コンデンサの構成を有する小容量のユニットコンデンサを複数直並列に接続して直流電源とするか大容量の1つ以上の充放電用コンデンサを直流電源とすることができる。
なお、上記第2の実施形態においても、交流発電機3の巻線インダクタンスだけでは、インダクタンスが不足する場合には、チョッパ動作させる電圧形整流回路4の各スイッチング素子Q11a〜Q13aおよびQ11b〜Q13bのスイッチング周波数を高くする必要がある。このような場合には、図7に示すように、スイッチ回路11と直列に補助インダクタンス素子としてリアクトルL10を介挿すればよい。このリアクトルL10を介挿することにより、必要以上の高周波で電圧形整流回路4の各スイッチング素子Q11a〜Q13aおよびQ11b〜Q13bをスイッチングさせる必要がなくなり、電圧形整流回路4のスイッチング損失を低減することができ、小形化することができる。
【0060】
なお、リアクトルL10は、図7に示すように、スイッチ回路11と第2のバッテリ30との間に接続してもよいし、スイッチ回路11と交流電動機3の巻線の中性点との間に接続してもよい。
また、上記第2の実施形態の構成を利用してハイブリッド電気自動車を構成する場合には、図8に示すように、交流発電機3をエンジン等の内燃機関21に連結して内燃機関21の回転駆動力を交流発電機3に伝達する一方、交流電動機9の出力軸を必要に応じて減速機構22を介してディファレンシャルギヤ23に連結し、このディファレンシャルギヤ23に左右の駆動輪24を連結するようにすればよい。
【0061】
次に、本発明の第3の実施形態を図9について説明する。
この第3の実施形態は、交流発電機3の巻線のインダクタンスを使用することなく2系統の直流チョッパ回路を構成するようにしたものである。
すなわち、第3の実施形態では、図9に示すように、前述した第1の実施形態における図3の構成において、直流電力供給路10を、電圧形整流回路4の交流入力点Piu〜Piwに個別に接続する接続線Lu1〜Lw1を設けている。
【0062】
これら接続線Lu1〜Lw1には、第1のスイッチ回路31を構成する交流発電機3の相数に応じた数のスイッチ部31a〜31cと、リアクトルL10a〜L10cとが直列に接続されて介挿される。このスイッチ部31a〜31cとリアクトルL10a〜L10cの直列回路の一端は交流入力点Piu〜Piwに接続される。また、直列回路の他端は互いに接続されてバッテリ5とリアクトルL6との接続点に接続されている。この直列回路の接続順は、図9に示すように、リアクトルL10a〜L10cをスイッチ部31a〜31cのバッテリ5側としてもよいし、スイッチ部31a〜31cの交流入力点Piu〜Piw側としてもよい。
【0063】
また、交流発電機3の出力側と接続線Lu1〜Lw1および交流入力点Piu〜Piwの接続点との間に第2のスイッチ回路32を構成する交流発電機3の相数に応じた数のスイッチ部32a〜32cが介挿されている。
そして、制御装置12のシステム制御部18は、第1のスイッチ回路31の各スイッチ部31a〜31cをオン状態に制御する際に、第2のスイッチ回路32の各スイッチ部32a〜32cをオフ状態に制御する。逆に、第1のスイッチ回路31の各スイッチ部31a〜31cをオフ状態に制御する際に、第2のスイッチ回路32の各スイッチ部32a〜32cをオン状態に制御する。
【0064】
この第3の実施形態によると、交流発電機3が回転駆動されている状態では、第1のスイッチ回路31の各スイッチ部31a〜31cがオフ状態に制御され、第2のスイッチ回路32の各スイッチ部32a〜32cがオン状態に制御される。このため、交流発電機3で発電された交流電力が電圧形整流回路4の交流入力点Piu〜Piwに入力される。この電圧形整流回路4の上アーム部4H及び下アーム部4Lの各スイッチング素子Q11a〜Q13aおよびQ11b〜Q13bがAC−DC変換制御部16で形成されるゲート駆動信号によって制御されることにより整流動作が行われる。この電圧形整流回路4から出力される直流電力が平滑用コンデンサCで平滑化されて電圧形インバータ8に供給されることにより、この電圧形インバータ8の交流出力点から出力される交流電力が交流電動機9に供給され、交流電動機9が回転駆動される。
【0065】
交流電動機9を制動する際に、交流電動機9が回生制動状態となると、交流電動機9から出力される交流電力が電圧形インバータ8で直流電力に変換され、直流チョッパ6で降圧チョッパ制御されてバッテリ5が充電される。このとき、交流発電機3は回転駆動状態から停止状態となる。
この際、電圧形整流回路4をチョッパ動作させる場合には、第1のスイッチ回路31の各スイッチ部31a〜31cがオン状態に制御され、第2のスイッチ回路32の各スイッチ部32a〜32cがオフ状態に制御される。この状態で、電圧形整流回路4の下アーム部4Lの各スイッチング素子Q11b〜Q13bをオフ状態に制御し、上アーム部4Hの各スイッチング素子Q11a〜Q13aをオン・オフ制御することによって、降圧チョッパ制御が行われて、電圧形整流回路4側からもバッテリ5に充電される。
【0066】
さらに、交流発電機3の停止状態では、前述した第1の実施形態と同様に、直流チョッパ6を昇圧チョッパ動作させることにより、バッテリ5のバッテリ電圧Vbを昇圧して平滑用コンデンサCに供給することもできる。このときに、電圧形整流回路4をチョッパ動作させたいときには、前述した第1の実施形態と同様に、第1のスイッチ回路31の各スイッチ部31a〜31cがオン状態に制御され、第2のスイッチ回路32の各スイッチ部32a〜32cがオフ状態に制御される。
【0067】
この状態で、電圧形整流回路4の上アーム部4Hの各スイッチング素子Q11a〜Q13aがオフ状態に制御され、下アーム部4Lの各スイッチング素子Q11b〜Q13bをオン・オフ制御することにより昇圧チョッパ制御が行われて、バッテリ5のバッテリ電圧Vbが昇圧されて平滑用コンデンサCに供給される。
このため、バッテリ5のバッテリ電圧Vbが、直流チョッパ6とリアクトルL10a〜L10cおよび電圧形整流回路4で構成される直流チョッパ回路との双方で昇圧されて電圧形インバータ8に供給される。
したがって、前述した第1の実施形態と同様の作用効果を得ることができる。
【0068】
さらに、図9に示す構成においては、電圧形整流回路4を直流チョッパとして使用する際には、交流発電機3に電流を流さないため、この際の交流発電機の発熱が防げられる。また、昇降圧用リアクトルL10a〜L10cが電圧形整流回路4の相ごとに設けられているので、リアクトルL10a〜L10cと電圧形整流回路4の下アーム部4Lの各スイッチング素子Q11b〜Q13bとで行う昇圧チョッパ制御は、相ごとに独立して制御することができる。この場合、スイッチング素子Q11b〜Q13bのスイッチングの位相をずらせることで、直流出力のリップルを抑制することもできる。また、必要電流量に応じてスイッチング素子Q11a及びQ11b、Q12a及びQ12b並びにQ13a及びQ13bの組の1つ又は2つ以上を選択して昇圧チョッパ動作させることができる。
【0069】
同様に、リアクトルL10a〜L10cと電圧形整流回路4の上アーム部4Hの各スイッチング素子Q11a〜Q13aとで行う降圧チョッパ制御も、相ごとに独立して制御することができる。
なお、上記第3の実施形態においては、バッテリ5の正極側にリアクトルL6を接続した場合について説明したが、これに限定されるものではなく、図10に示すように構成してもよい。すなわち、バッテリ5の負極側とスイッチング素子Q6aおよびQ6bの接続点との間に昇降圧用リアクトルL6を介挿して直列回路を構成し、バッテリ5の正極側を正極側ラインLpに接続するようにしても、上記第1の実施形態と同様の作用効果を得ることができる。この場合、バッテリ5の負極側と昇降圧用リアクトルL6との接続点に直流電力供給線Ldの一端を接続する。
【0070】
図10に示す構成は、図9と同様に、電圧形整流回路4を直流チョッパとして使用する際に、交流発電機3を第2のスイッチ回路32によって電圧形整流回路4から切り離し、リアクトルL10a〜L10cが電圧形整流回路4の相ごとに設けられている。このため、リアクトルL10a〜L10cと電圧形整流回路4の下アーム部4Lの各スイッチング素子Q11b〜Q13bとで行う昇圧チョッパ制御は、相ごとに独立して制御することができる。この場合も、スイッチング素子Q11b〜Q13bのスイッチングの位相をずらせることで、直流出力のリップルを抑制することができる。また、必要電流量に応じてスイッチング素子Q11a及びQ11b、Q12a及びQ12b並びにQ13a及びQ13bの組の1つ又は2つ以上を選択して昇圧チョッパ動作させることができる。
【0071】
また、上記第3の実施形態においては、交流発電機3の出力相数に応じた昇降用リアクトルL10a〜L10cを設けた場合について説明したが、これに限定されるものではなく、図11に示すように、第1のスイッチ回路31の各スイッチ部31a〜31cの昇降用リアクトルL10a〜L10c側を互いに接続し、1つの昇降用リアクトルL10を介してバッテリ5及び昇降用リアクトルL6の接続点に接続するようにしてもよい。
【0072】
さらに、上記第3の実施形態の構成を利用してハイブリッド電気自動車を構成する場合には、図12に示すように、交流発電機3をエンジン等の内燃機関21に連結して内燃機関21の回転駆動力を交流発電機3に伝達する一方、交流電動機9の出力軸を必要に応じて減速機構22を介してディファレンシャルギヤ23に連結し、このディファレンシャルギヤ23に左右の駆動輪24を連結するようにすればよい。また、内燃機関21と交流電動機9との連結関係は前述した図5と同様に構成することができる。
【0073】
次に、本発明の第4の実施形態を図13について説明する。
この第4の実施形態は、前述した第2の実施形態と同様に、リアクトルL10a〜L10cおよび電圧形整流回路4で構成する直流チョッパの直流電源としての専用の直流電源を設けるようにしたものである。
この第4の実施形態では、図13に示すように、前述した第3の実施形態における図10の構成において、各リアクトルL10a〜L10cとスイッチ部31a〜31cとの直列回路の一端を相互に接続し、この相互接続点とバッテリ5の負極側との間に、リアクトルL10a〜L10cと電圧形整流回路4とで構成される直流チョッパ回路の専用の第2の直流電源としての第2のバッテリ30を介挿した構成を有する。
【0074】
この第4の実施形態によれば、バッテリ5のバッテリ電圧Vbを直流チョッパ6で昇圧して電圧形インバータ8に供給するともに、バッテリ30のバッテリ電圧Vb2を昇降圧用リアクトルL10a〜L10cと電圧形整流回路4とで構成される直流チョッパ回路で昇圧して電圧形インバータ8に供給する。
このため、前述した第2の実施形態と同様の作用効果を得ることができる。
【0075】
図13に示す構成は、図9と同様に、電圧形整流回路4を直流チョッパとして使用する際に、交流発電機3を第2のスイッチ回路32によって電圧形整流回路4から切り離し、リアクトルL10a〜L10cが電圧形整流回路4の相ごとに設けられている。このため、昇降圧用リアクトルL10a〜L10cと電圧形整流回路4の下アーム部4Lの各スイッチング素子Q11b〜Q13bとで行う昇圧チョッパ制御は、相ごとに独立して制御することができる。この場合、スイッチング素子Q11b〜Q13bのスイッチングの位相をずらせることで、直流出力のリップルを抑制することができる。また、必要電流量に応じてスイッチング素子Q11a及びQ11b、Q12a及びQ12b並びにQ13a及びQ13bの組の1つ又は2つ以上を選択して昇圧チョッパ動作させることができる。更に,バッテリ30を3つに分割し、リアクトルL10a〜L10cにそれぞれ個別に接続することも可能である。
【0076】
なお、上記第4の実施形態では、直流チョッパ6のリアクトルL6をバッテリ5の正極側に直列に接続したが、図14に示すように、バッテリ5の負極側に直列に接続することできる。この場合には、直流チョッパ6の接続は、図3図10の構成と同様であり、バッテリ5の負極側とスイッチング素子Q6aおよびQ6bの接続点との間にリアクトルL6を介挿して直列回路を構成し、バッテリ5の正極側を正極側ラインLpに接続する。
第2のバッテリ30は、バッテリ5とは切り離して、その正極側を直接正極側ラインLnに接続すればよいものである。
【0077】
図14に示す構成は、図9と同様に、電圧形整流回路4を直流チョッパとして使用する際に、交流発電機3を第2のスイッチ回路32によって電圧形整流回路4から切り離し、リアクトルL10a〜L10cが電圧形整流回路4の相ごとに設けられている。このため、リアクトルL10a〜L10cと電圧形整流回路4の下アーム部4Lの各スイッチング素子Q11b〜Q13bとで行う昇圧チョッパ制御は、相ごとに独立して制御することができる。この場合、スイッチング素子Q11b〜Q13bのスイッチングの位相をずらせることで、直流出力のリップルを抑制することができる。また、必要電流量に応じてスイッチング素子Q11a及びQ11b、Q12a及びQ12b並びにQ13a及びQ13bの組の1つ又は2つ以上を選択して昇圧チョッパ動作させることができる。
【0078】
また、上記第4の実施形態では、3つのリアクトルL10a〜L10cを適用した場合について説明したが、これに限定されるものではなく、図15に示すように、第1のスイッチ回路31の各スイッチ部31a〜31cのリアクトル側を互いに接続し、その接続点と第2のバッテリ30との間に1つのリアクトルL10を接続するようにしても良い。この場合には1つのリアクトルL10を設けるだけで良いので、リアクトルとチョッパ制御する制御回路を簡素化することができる。
【0079】
さらに、上記第4の実施形態の構成を利用してハイブリッド電気自動車を構成する場合には、図16に示すように、交流発電機3をエンジン等の内燃機関21に連結して内燃機関21の回転駆動力を交流発電機3に伝達する一方、交流電動機9の出力軸を必要に応じて減速機構22を介してディファレンシャルギヤ23に連結し、このディファレンシャルギヤ23に左右の駆動輪24を連結するようにすればよい。また、内燃機関21と交流電動機9との連結関係は前述した図5と同様に構成することができる。
【0080】
次に、本発明の第5の実施形態を図17について説明する。
この第5の実施形態では、リアクトルを共有して、直流チョッパ6のスイッチング素子Q6a及びQ6bの素子サイズを低減できるようにしたものである。
すなわち、第5の実施形態では、図17に示すように、前述した第3の実施形態における図9の第1のスイッチ回路31及びリアクトルL10a〜L10cの直列回路を介挿した直流電力供給路10が省略されている。そして、直流チョッパ6のリアクトルL6とスイッチング素子Q6a及びQ6bの接続点との間と、電圧形整流回路4の交流入力点Piu〜Piwとの間に、直流電力供給路10が形成されている。この直流電力供給路10には、電圧形整流回路4の交流入力点Piu〜Piwにそれぞれ一端が接続された交流発電機3の相数と同数のスイッチ部31a〜31cを有する第1のスイッチ回路31が介挿されている。各スイッチ部31a〜31cの交流入力点Piu〜Piwとは反対側は互いに接続されてリアクトルL6とスイッチング素子Q6a及びQ6bの接続点との間に接続されている。
【0081】
また、制御装置12は、図17に示すように、チョッパ制御部14から出力されるゲート信号が整流回路制御部13に供給されている。そして、整流回路制御部13は、図18に示すように、前述した第1の実施形態における図2の構成において、DC−DC変換制御部17が省略され、これに代えてチョッパ制御部14から入力されるゲート信号が直接選択スイッチ20の固定接点に供給されていることを除いては図2と同様の構成を有し、図2との対応部分には同一符号を付し、その詳細説明はこれを省略する。また、システム制御部18では、アンド回路19の出力が直接第1のスイッチ回路31に供給されているとともに、反転論理回路19aを介して第2のスイッチ回路32に供給されていることを除いては、図2と同様の構成を有し、図2との対応部分には同一符号を付し、その詳細説明はこれを省略する。
【0082】
この第5の実施形態によると、交流発電機3が動作している状態では、システム制御部18のアンド回路19の出力が論理値“0”となって、第1のスイッチ回路31の各スイッチ部31a〜31cがオフ状態で、第2のスイッチ回路32の各スイッチ部32a〜32cがオン状態に制御される。このため、前述した第1〜第4の実施形態と同様に、交流発電機3で発電された交流電力が電圧形整流回路4で整流されて直流電力に変換され、これが電圧形インバータ8に供給される。この電圧形インバータ8によって交流電動機9で必要とするモータトルクに応じた三相交流電力が形成され、交流電動機9に供給されて、交流電動機9が回転駆動される。
【0083】
一方、交流電動機9が回生制動状態となったときには、電圧形インバータ8がインバータ制御部15によって整流回路として動作されて、交流電動機9から入力される交流電力を直流電力に変換する。この際、直流チョッパ6のスイッチング素子の通電電流を低減したい場合には、制御装置12のシステム制御部18でチョッパ動作信号Scと整流動作停止信号Stをともに“1”とする。これにより、アンド回路19の出力が論理値“1”となって、第1のスイッチ回路31の各スイッチ部31a〜31cがオン状態に制御され、第2のスイッチ回路32の各スイッチ部32a〜32cがオフ状態に制御される。これと同時に選択スイッチ20でチョッパ制御部14から入力されるチョッパ制御用のゲート信号が選択され、このチョッパ制御用のゲート駆動信号が、電圧形整流回路4の上アーム部4Hの各スイッチング素子Q11a〜Q13aおよび下アーム部4Lの各スイッチング素子Q11b〜Q13bのゲートとに同時に供給される。
【0084】
この回生制動状態では、チョッパ制御部14から例えば直流チョッパ6のスイッチング素子Q6bと電圧形整流回路4の下アーム部4Lの各スイッチング素子Q11b〜Q13bとをそれぞれオフ状態に制御するゲート信号が出力されるとともに、直流チョッパ6のスイッチング素子Q6aと電圧形整流回路4の上アーム部4Hの各スイッチング素子Q11a〜Q13aを同時にオン・オフ制御するゲート信号が出力される。このため、電圧形整流回路4及び直流チョッパ6の双方で降圧チョッパ制御が行われて、電圧形インバータ8から出力される直流電力がバッテリ5の充電電圧まで降圧されてバッテリ5が充電される。
【0085】
さらに、交流発電機3が停止した状態で、交流電動機9を駆動する際に電圧形整流回路4もチョッパ動作させる場合には、チョッパ動作信号Scと整流動作停止信号Stを”1”とすることにより、システム制御部18のアンド回路19の出力が論理値“1”となって、第1のスイッチ回路31の各スイッチ部31a〜31cがオン状態に制御され、第2のスイッチ回路32の各スイッチ部32a〜32cがオフ状態に制御される。さらに、整流回路制御部13の選択スイッチ20でチョッパ制御部14から出力されるゲート信号が選択される。
【0086】
これと同時に、チョッパ制御部14から昇圧チョッパ制御用のゲート駆動信号が出力され、このゲート駆動信号が直接直流チョッパ6のスイッチング素子Q6aおよびQ6bのゲートに供給されるとともに、選択スイッチ20を介して電圧形整流回路4の上アーム部4Hの各スイッチング素子Q11a〜Q13aおよび下アーム部4Lの各スイッチング素子Q11b〜Q13bのゲートに同時に供給される。
【0087】
したがって、直流チョッパ6のスイッチング素子Q6aと電圧形整流回路4の上アーム部4Hの各スイッチング素子Q11a〜Q13aとをそれぞれオフ状態に制御した状態で、直流チョッパ6のスイッチング素子Q6bと電圧形整流回路4の下アーム部4Lの各スイッチング素子Q11b〜Q13bを同時にオン・オフ制御することにより、昇圧チョッパ制御が行われる。このため、バッテリ5のバッテリ電圧Vbが直流チョッパ6及び電圧形整流回路4でそれぞれ昇圧されて、電圧形インバータ8に供給される。この電圧形インバータ8を構成する各スイッチチング素子Q21a〜Q23aおよびQ21b〜Q23bを制御装置12のインバータ制御部15で必要とするモータトルクに応じてオン・オフ制御することにより、直流電力を交流電力に変換して交流電動機9に交流電力を供給して駆動する。
【0088】
このように、上記第5の実施形態でも、バッテリ5の直流電力を直流チョッパ6及び電圧形整流回路4の2つのスイッチング部でチョッパ制御するので、直流チョッパ6のスイッチング素子の通電電流を抑制することができ、直流チョッパ6を小形化することができる。さらには、直流チョッパ6の通電電流を抑制しない場合には、電圧形インバータ8に供給する電流量を増加させることができ、高モータトルク駆動が可能となる。
さらには、リアクトルL6を共有するので、リアクトルL6の構成とチョッパ制御する制御装置12の整流回路制御部13の構成とを簡略化することができる。
【0089】
なお、上記第5の実施形態の構成を利用してハイブリッド電気自動車を構成する場合には、図19に示すように、交流発電機3をエンジン等の内燃機関21に連結して内燃機関21の回転駆動力を交流発電機3に伝達する一方、交流電動機9の出力軸を必要に応じて減速機構22を介してディファレンシャルギヤ23に連結し、このディファレンシャルギヤ23に左右の駆動輪24を連結するようにすればよい。また、内燃機関21と交流電動機9との連結関係は前述した図5と同様に構成することができる。
【0090】
ここで、上記第1〜第5の実施形態においては、電圧形整流回路を2レベル変換回路の例で説明したが、多レベル変換回路を適用することもできる。
すなわち、図20は、電圧形整流回路4として3レベル電圧形整流回路を適用した第6の実施形態を示す回路図であり、例えば、前述した第1の実施形態である図1に示す構成において、コンデンサCが、2分割されたコンデンサC1,C2の直列接続回路に変更されている。そして、これらコンデンサC1,C2の接続中点と、電圧形整流回路4の交流入力点Piu〜Piwとの間に個別にスイッチ回路41の双方向スイッチング素子Q41a〜Q41cを接続している。
【0091】
双方向スイッチング素子Q41a〜Q41cには、図21(a)に示すように、逆阻止能力のあるIGBTa及びIGBTbを逆並列に接続したものや、図21(b)に示すように、逆阻止能力のないIGBTc及びIGBTdとダイオードDc及びDdとを直列に組み合わせたものや、図21(c)に示すように、逆阻止能力のないIGBTe及びIGBTfのコレクタ同志を接続し、これと並列にダイオードDe及びDfのアノード同志を接続し、IGBTe及びIGBTfの接続点及びダイオードDe及びDfの接続点間を接続して組み合わせたものなどが適用可能である。
【0092】
また、上記第6の実施形態においては、第1の実施形態に3レベル電圧形整流回路を適用した場合について説明したが、これに限定されるものではなく、前述した第2〜第4の実施形態に3レベル電圧形整流回路を適用することもできる。
さらに、図22は、3レベル電圧形整流回路を前述した第5の実施形態である図17に適用した第7の実施形態を示す回路図である。この第7の実施形態では、第1のスイッチ回路31におけるスイッチ部31a〜31cの一部の機能を3レベル電圧形整流回路の双方向スイッチング素子Q41a〜Q41cで兼用することができる。
【0093】
すなわち、図22に示すように、電圧形整流回路4の交流入力点Piu〜Piwには個別に双方向スイッチング素子Q41a〜Q41cの一端が接続され、双方向スイッチング素子Q41a〜Q41cの他端は互いに接続されて第3のスイッチ回路33に接続されている。この第3のスイッチ回路33はスイッチ部33a,33bを有し、スイッチ部33a,33bの一端はそれぞれ双方向スイッチング素子Q41a〜Q41cの他端に接続されている。スイッチ部33aの他端は直流チョッパ6を構成するスイッチング素子Q6aとQ6bの接続点へ接続されている。また、スイッチ部33bの他端は2分割されたコンデンサC1とC2の接続点へ接続されている。
【0094】
スイッチング素子Q11a〜Q13aと各スイッチング素子Q11a〜Q13aのそれぞれに逆並列に接続されたダイオードD11a〜D13a、スイッチング素子Q11b〜Q13bと各スイッチング素子Q11b〜Q13bのそれぞれに逆並列に接続されたダイオードD11b〜D13b、さらに双方向スイッチング素子Q41a〜Q41cによって3レベル電圧形整流回路を構成する。
【0095】
この第7の実施形態によると、交流発電機3がエンジン等の内燃機関によって駆動されている状態では、システム制御部18の整流動作停止信号Stを論理値“0”としており、アンド回路19の出力が論理値“0”となっている。このため、選択スイッチ20では、AC−DC変換制御部16の出力が選択されて、このAC−DC変換制御部16で形成されるゲート駆動信号が電圧形整流回路4の各スイッチング素子Q11a〜Q13a,Q11b〜Q13b,Q41a〜Q41cに出力される。このときスイッチ部33aは開いており、スイッチ部33bは閉じている。
【0096】
したがって、3レベル電圧形整流回路4で、整流動作が行われて交流発電機3から出力される交流発電電力が直流電力に変換されて平滑用コンデンサC1,C2で平滑化されて電圧形インバータ8に供給される。
さらに、交流発電機3の回転が停止された状態で、交流電動機9を駆動しており、整流回路も含めてチョッパ動作させる場合には、制御装置12のシステム制御部18で、双方向スイッチング素子Q41a〜Q41cを双方向ともオン状態とし、スイッチ部33aをオン、スイッチ部33bをオフ状態にする。これは、図17において、各スイッチ部31a〜31cがオン状態に制御されるのと同様の動作となる。
【0097】
また、第2のスイッチ回路32の各スイッチ部32a〜32cがオフ状態に制御される。
そのほかは、図17における制御と同様に、チョッパ制御部14で、昇圧チョッパ制御用のゲート駆動信号が形成され、このゲート駆動信号が直接直流チョッパ6のスイッチング素子Q6aおよびQ6bのゲートに供給されるとともに、選択スイッチ20を介して電圧形整流回路4の上アーム部4Hの各スイッチング素子Q11a〜Q13aおよび下アーム部4Lの各スイッチング素子Q11b〜Q13bのゲートに同時に供給される。
【0098】
したがって、例えば直流チョッパ6のスイッチング素子Q6aと電圧形整流回路4の上アーム部4Hの各スイッチング素子Q11a〜Q13aとをそれぞれオフ状態に制御した状態で、直流チョッパ6のスイッチング素子Q6bと電圧形整流回路4の下アーム部4Lの各スイッチング素子Q11b〜Q13bとを同時にオン・オフ制御することにより、昇圧チョッパ制御が行われる。このため、バッテリ5のバッテリ電圧Vbが直流チョッパ6及び電圧形整流回路4でそれぞれ昇圧されて、電圧形インバータ8に供給される。この電圧形インバータ8を構成する各スイッチチング素子Q21a〜Q23aおよびQ21b〜Q23bを制御装置12のインバータ制御部15で必要とするモータトルクに応じてオン・オフ制御することにより、直流電力を交流電力に変換して交流電動機9に交流電力を供給して駆動する。
【0099】
また、上記第1〜第7の実施形態においては、直流電源としてバッテリを適用した場合について説明したが、これに限定されるものではなく、充電用コンデンサを適用することもできる。
さらに、上記第1〜第7の実施形態においては、交流電源として交流発電機3を適用した場合について説明したが、これに限定されるものではなく、交流電源として商用交流電源を適用することもできる。
【0100】
また、上記第1〜第7の実施形態においては、電圧形インバータ8として2レベルインバータを適用した場合について説明したが、これに限定されるものではなく、3レベル以上の多レベルインバータを適用することもできる。
さらに、上記第1〜第7の実施形態においては、インダクタンス素子としてリアクトルを適用した場合について説明したが、これに限定されるものではなく、配線となるバスバー等のインダクタンス成分を利用する等の任意のインダクタンス素子を適用することができる。
【0101】
また、上記帯1〜第7の実施形態においては、電圧形整流回路4、直流チョッパ6および電圧形インバータ8のスイッチング素子として絶縁ゲートバイポーラトランジスタ(IGBT)を適用する場合について説明したが、これに限定されるものではなく、パワーMOSFET等の任意の電圧制御形スイッチング素子を適用することができる。
【0102】
さらに、上記第1〜第7の実施形態においては、本発明をハイブリッド電気自動車に適用した場合について説明したが、これに限定されるものではなく、交流負荷を駆動する任意の負荷駆動装置に本発明を適用することができる。
また、上記第1〜第7の実施形態においては、交流発電機3及び交流電動機9が3相交流を使用する場合について説明したが、これに限定されるものではなく、ブラシレスモータのように4相以上の多相交流を使用することもできる。
【産業上の利用可能性】
【0103】
以上のように本発明は、交流発電機で発電した交流電力を直流電力に変換する電圧形整流回路を、交流発電機の停止時に、直流チョッパとして使用することにより、交流発電機で発電する交流電力が得られない状態でも、負荷が必要とする電流を直流電源から供給することができ、ハイブリッド自動車や交流負荷を駆動する任意の負荷駆動装置に適用することができる。
【符号の説明】
【0104】
1…電力変換装置、3…交流発電機、4…電圧形整流回路、5…バッテリ、6…直流チョッパ、Q6a,Q6b…スイッチング素子、L6…昇降圧用リアクトル、7…直流部、C…平滑用コンデンサ、8…電圧形インバータ、9…交流電動機、10…直流電力供給路、Ld…直流電力供給線、11…スイッチ回路、L10…リアクトル、12…制御装置、13…整流回路制御部、14…チョッパ制御部、15…インバータ制御部、16…AC−DC変換制御部、17…DC−DC変換制御部、18…システム制御部、19…アンド回路、20…選択スイッチ、30…第2のバッテリ、31…第1のスイッチ回路、31a〜31c…スイッチ部、32…第2のスイッチ回路、32a〜32c…スイッチ部、41…スイッチ回路、Q41a〜Q41c…双方向スイッチング素子
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
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図23