(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記デマンドレスポンス部による前記デマンドレスポンス制御が終了した後、前記非デマンドレスポンス制御を実行する必要があるか否かを確認する確認部(36b,136b)
をさらに備え、
前記消費電力変動部は、前記確認部によって前記非デマンドレスポンス制御を実行する必要があることが確認された場合に、前記非デマンドレスポンス制御を実行する、
請求項1から4のいずれかに記載の制御装置。
前記非デマンドレスポンス制御は、前記設備機器が配置されている空間における人物の在/不在または日射量に基づく省エネ制御、スケジュール制御、および手動制御の少なくとも一つを含む、
請求項1から5のいずれかに記載の制御装置。
【発明を実施するための形態】
【0027】
<第1実施形態>
以下、
図1から
図7を参照して、第1実施形態に係るエネルギー管理システム100およびエネルギー管理システム100で用いられる制御装置30について説明する。
【0028】
(1)エネルギー管理システムの全体構成
図1に、本実施形態に係るエネルギー管理システム100を示す。エネルギー管理システム100は、物件2の消費電力を電力会社1が管理するシステムである。
【0029】
エネルギー管理システム100では、電力会社1から複数の物件2,2に対して電力を供給する。物件2は、複数の設備機器40〜60が設置される建物である。例えば、物件2は、オフィスビル、テナントビル、工場、および一般家庭等である。
図1では、電力会社1が電力を供給する物件2として、2つの物件A,Bを示すが、物件の数は2つに限定されるものではない。すなわち、物件の数は、1つであってもよいし、3つ以上であってもよい。
【0030】
電力会社1は、エネルギー管理装置10を有する。各物件2は、制御装置30と、複数の設備機器40〜60と、電源6と、電力メーター7とを有する。また、各物件2は、設備機器40〜60が設置された空間に、図示しない人検知センサを有する。電源6は、設備機器40〜60に電力を供給する。電力メーター7は、電源6から設備機器40〜60に供給される電力量を計測する。各物件2において、制御装置30と、設備機器40〜60とは、専用の制御線80bを介して接続されている。設備機器40〜60は、空調機40、照明50、および換気扇60を含む。空調機40は、マルチ式であっても、ペア式であってもよい。本実施形態では、説明を簡単にするため、物件A,Bのそれぞれに、空調機40、照明50、および換気扇60をそれぞれ一つずつ示しているが、各物件A,Bに設置される設備機器40〜60は、これらに限定されるものではない。また、物件Aに設置される設備機器の種類や数は、物件Bに設置される設備機器の種類や数と、異なるものであってもよい。
【0031】
電力会社1に配置されたエネルギー管理装置10と、各物件2に配置された制御装置30とは、インターネット80aを介して接続されている。エネルギー管理装置10は、電力会社1が、各物件2で消費される電力量を管理するための装置である。また、制御装置30は、各物件2に設置された設備機器40〜60の制御を行うための装置である。
【0032】
電力会社1は、各物件2との間で、デマンドレスポンス制御に関する契約を結ぶ。デマンドレスポンス制御とは、電力会社1(エネルギー管理装置10)から送られるデマンドに従って、各物件2(制御装置30)が設備機器40〜60の制御を行うことをいう。デマンドには、例えば、デマンドレスポンス制御を実行する時間帯(調整時間帯)および消費電力に関する条件が含まれる。具体的に、デマンドでは、所定の時間帯(例えば、午前11時から1時間)における消費電力の目標値(目標消費電力)kw/hが規定される。
【0033】
デマンドレスポンス制御に関する契約(デマンドレスポンス契約)では、各物件2においてデマンドに従った電力(電力量)が消費されることにより、電力会社1から各物件2に対して所定のインセンティブ(例えば、料金もしくは割引)が支払われることになっている。すなわち、各物件2は、デマンドに規定された調整時間帯に、目標消費電力と一致する電力を継続して消費した場合には、所定のインセンティブが得られる。
【0034】
一方、デマンドレスポンス契約では、各物件2において、デマンドに従った電力が消費されなかった場合には、物件2に対して、例えば、追加料金や違約金の支払いなどの所定のペナルティが科される。すなわち、各物件2は、調整時間帯に、目標消費電力と一致する電力量を継続して消費していない場合には、ペナルティが科される。
【0035】
言い換えると、各物件2は、デマンドレスポンス契約を遵守すると、電力会社1からの所定のインセンティブが得られ、デマンドレスポンス契約を遵守しないと、所定のペナルティが科される。
【0036】
以下、エネルギー管理システム100に含まれる、エネルギー管理装置10および制御装置30について説明する。
【0037】
(2)エネルギー管理装置の構成
図2に、エネルギー管理装置10の概略構成図を示す。エネルギー管理装置10は、上述したように、電力会社1において、各物件2で消費される電力量を管理するための装置である。エネルギー管理装置10は、通信部11、表示部12、入力部13、記憶部14、および制御部15を備える。
【0038】
(2−1)通信部
通信部11は、エネルギー管理装置10をインターネット80aに接続可能にするネットワークインターフェースである。
【0039】
(2−2)表示部
表示部12は、主として、ディスプレイから構成されている。
【0040】
(2−3)入力部
入力部13は、主として、操作ボタン、キーボード、およびマウス等から構成されている。
【0041】
(2−4)記憶部
記憶部14は、主として、ハードディスクから構成されている。記憶部14には、各物件2(制御装置30)に送信されたデマンドが、物件2毎に記憶されている。また、記憶部14には、各物件2で消費される電力量の管理に必要な各種プログラムが記憶されている。
【0042】
(2−5)制御部
制御部15は、主として、CPU、ROMおよびRAMから構成されている。制御部15は、上述の記憶部14に記憶されているプログラムを読み出して実行することにより、各物件2で消費される電力量の管理を行う。
【0043】
(3)制御装置の構成
図3に、制御装置30の概略構成図を示す。制御装置30は、上述したように、各物件2に設置された設備機器40〜60の制御を行うための装置である。制御装置30は、通信部31、時間管理部32、入力部33、出力部34、記憶部35、および制御部36を備える。
【0044】
(3−1)通信部
通信部31は、制御装置30をインターネット80aに接続可能にするネットワークインターフェースである。通信部31により、インターネット80aを介して、制御装置30とエネルギー管理装置10との間で双方向通信が行われる。また、通信部31は、制御装置30を専用の制御線80bに接続可能にするインターフェースでもある。
【0045】
(3−2)時間管理部
時間管理部32は、電力会社1に配置されたエネルギー管理装置10と略同期する時計を含む。時間管理部32は、制御装置30が実行する各種制御の時間管理を行う。
【0046】
(3−3)入力部
入力部33は、主として、操作ボタンおよび後述するディスプレイを覆うタッチパネルから構成されている。入力部33には、設備機器40〜60の発停信号、設定の変更、運転モードの変更など、設備機器40〜60に対するユーザからの各種指令が入力される。
【0047】
(3−4)出力部
出力部34は、主として、ディスプレイから構成されている。出力部34には、設備機器40〜60の運転状況を示す画面が表示される。ここで、運転状況とは、例えば、設備機器40〜60のON/OFF状態、運転モード(冷房モード/暖房モード)、吸込み温度、設定温度、照度、換気量、稼働時間、稼働率、および稼動時の運転能力(%)などが含まれる。
【0048】
また、出力部34は、現在の消費電力およびデマンドの内容もディスプレイに出力する。現在の消費電力には、各設備機器40〜60の消費電力と、全設備機器40〜60の消費電力の合計である総消費電力とが含まれる。さらに、出力部34は、記憶部35に記憶されている各種情報および制御部36によって実行された各種プログラムの結果等もディスプレイに出力する。
【0049】
(3−5)記憶部
記憶部35は、主として、ハードディスクから構成されている。記憶部35には、後述する制御部36が読み出して実行可能なプログラムが記憶されている。また、記憶部35には、エリア情報記憶領域35a、運転状況記憶領域35b、デマンド記憶領域35c、および基本情報記憶領域35dが含まれる。
【0050】
(3−5−1)エリア情報記憶領域
エリア情報記憶領域35aは、物件2内の各空間の情報(エリア情報)を記憶する。エリア情報には、人の在/不在情報が含まれる。すなわち、エリア情報記憶領域35aには、人検知センサによる検知結果が記憶される。エリア情報は、後述するエリア情報取得部36cによって取得される。エリア情報記憶領域35aでは、物件2内の各空間に配置された人検知センサと、人検知センサによって得られた情報(在/不在)とが関連付けて記憶されている。
【0051】
(3−5−2)運転状況記憶領域
運転状況記憶領域35bは、後述する運転状況監視部36bによって監視された運転状況に関する情報が記憶されている。運転状況に関する情報には、上述したように、設備機器40〜60のON/OFF状態、運転モード(冷房モード/暖房モード)、吸込み温度、設定温度、照度、換気量、稼働時間、稼働率、および稼動時の運転能力(%)などに関する情報が含まれる。
【0052】
また、運転状況に関する情報には、電力メーター7によって計測された消費電力に関する情報が含まれる。
【0053】
(3−5−3)デマンド記憶領域
デマンド記憶領域35cには、エネルギー管理装置10から送られたデマンドが記憶されている。すなわち、デマンド記憶領域35cには、消費電力を調整する時間帯(調整時間帯)と、目標消費電力twとが記憶される。
【0054】
調整時間帯として、具体的には、調整時間帯の開始時刻および終了時刻に関する情報が記憶されている。目標消費電力twとは、単位時間当たりに消費可能な電力(量)、あるいは、単位時間当たりで消費すべき電力(量)である。目標消費電力twは、特定の一の値を基準に幅を持たせた値である。言い換えると、デマンドでは、目標消費電力twとして、消費可能な、または消費すべき電力(量)の範囲が規定されている。すなわち、デマンドレスポンス制御では、デマンドで規定された時間帯において、消費する電力が、当該目標消費電力twとして規定される範囲内の値となるように、設備機器40〜60が制御される。
【0055】
(3−5−4)基本情報記憶領域
基本情報記憶領域35dには、物件2に設置されている設備機器40〜60についての基本情報が記憶されている。ここで、基本情報には、物件2に設置されている設備機器40〜60の種類・数、および各設備機器40〜60について、運転能力に応じた単位時間当たりの消費電力等が含まれる。
【0056】
また、基本情報には、物件2内の空間と、空間に配置された人検知センサおよび設備機器40〜60とを関連付けた関連付け情報が含まれる。
【0057】
さらに、基本情報には、設備機器40〜60に関する優先順位が含まれていてもよい。ここで、優先順位とは、デマンドレスポンス制御が実行される場合に、デマンドレスポンス制御開始前の運転状態を維持すべき設備機器40〜60の順位である。
【0058】
(3−6)制御部
制御部36は、主としてCPU、ROMおよびRAMから構成されている。制御部36は、上述の記憶部35に記憶されているプログラムを読み出して実行することにより、
図3に示すように、主として、消費電力変動部36a、運転状況監視部(確認部)36b、エリア情報取得部36c、受付部36d、設定切替部36e、およびデマンドレスポンス部36fとして機能する。
【0059】
(3−6−1)消費電力変動部
消費電力変動部36aは、デマンドとは関係なく、設備機器40〜60の消費電力を増減させる制御(非デマンドレスポンス制御)を実行する。具体的に、非デマンドレスポンス制御には、省エネ制御、スケジュール制御、および手動制御等が含まれる。
【0060】
より具体的に、省エネ制御とは、上述のエリア情報記憶領域35aに記憶された情報に基づいた制御である。詳細に、省エネ制御とは、物件2内の各空間における人の在/不在に基づく制御である。省エネ制御では、例えば、人検知センサが不在を検知した空間に配置された設備機器40〜60をOFFに設定する。ここで、設備機器をOFFに設定するタイミングは、任意で設定可能である。
【0061】
また、スケジュール制御とは、スケジュールに従った設備機器40〜60の制御である。スケジュールとは、設備機器40〜60のON/OFF設定のタイミングや、設備機器40〜60をONに設定する際の運転内容(設定温度、風量、照度等)に関する予定である。スケジュールでは、24時間をいくつかの時間帯に分け、各時間帯における制御内容を予め決めておいたスケジュールに基づいて、設備機器40〜60を制御する。スケジュールは、記憶部35に記憶されている。
【0062】
さらに、手動制御とは、ユーザが所望により設備機器40〜60を制御することを意味する。
【0063】
消費電力変動部36aは、入力部33に入力された指令、運転状況監視部36bにより生成された指令、およびスケジュールに基づく指令に基づいて、設備機器40〜60の消費電力を増減させる。
【0064】
なお、消費電力変動部36aは、後述する設定切替部36eによって変更受付設定が有効に設定されている場合に限り、各種指令に基づいて、設備機器40〜60を制御する。すなわち、設定切替部36eによって変更受付設定が無効に設定されている場合には、非デマンドレスポンス制御は実行されない。
【0065】
(3−6−2)運転状況監視部
運転状況監視部36bは、設備機器40〜60の運転状況を監視する。設備機器40〜60の運転状況には、上述したように、設備機器40〜60のON/OFF状態、運転モード(冷房モード/暖房モード)、吸込み温度、設定温度、照度、換気量、稼働時間、稼働率、および稼動時の運転能力(%)などに関する情報が含まれる。また、運転状況に関する情報には、電力メーター7によって計測された消費電力に関する情報が含まれる。ここで運転能力(%)とは、空調機40の定格能力に対して、空調機40がどの程度の能力で動作しているかを意味する。
【0066】
運転状況監視部36bは、時間管理部32から時刻の提示を受けて、所定時間間隔で設備機器40〜60および電力メーター7と通信して運転状況を監視し、各種情報を取得する。運転状況監視部36bは、デマンドレスポンス制御開始後も、所定の時間間隔で、設備機器40〜60の運転状況を監視する。運転状況監視部36bによって取得された各種情報は、情報の取得日時とともに、上述の運転状況記憶領域35bに記憶される。
【0067】
なお、運転状況監視部36bは、後述する受付部36dによってデマンドが受け付けられると、所定の時間間隔に関わらず、設備機器40〜60の運転状況を監視し、得られた情報を運転状況記憶領域35bに記憶する。すなわち、運転状況監視部36bは、デマンドが受け付けられたタイミングで、デマンドレスポンス制御開始直前の設備機器40〜60の運転状況を監視し、設備機器40〜60の情報を取得する。
【0068】
また、運転状況監視部36bは、省エネ制御を実行する必要があるか否かを確認する。具体的に、運転状況監視部36bは、エリア情報記憶領域35aに記憶されている情報と運転状況記憶領域35bに記憶されている情報とに基づいて、省エネ制御を実行する必要があるか否かを確認する。詳細には、運転状況監視部36bは、人検知センサによって不在が検知された空間の設備機器40〜60であって、駆動されている設備機器40〜60の有無を確認する。運転状況監視部36bは、人が不在の空間で駆動されている設備機器40〜60を確認した場合には、当該設備機器40〜60を停止させる旨の指令を生成し、当該指令を消費電力変動部36aに受け渡す。
【0069】
(3−6−3)エリア情報取得部
エリア情報取得部36cは、人検知センサによって検知された情報を、所定のタイミングで取得する。具体的に、エリア情報取得部36cは、人検知センサによって新たな状態が検知されると、その旨の情報を人検知センサから取得する。エリア情報取得部36cは、取得した情報を、上述したエリア情報記憶領域35aに記憶する。なお、エリア情報取得部36cは、デマンドレスポンス制御中にも、継続して、所定のタイミングで情報を取得する。
【0070】
(3−6−4)受付部
受付部36dは、エネルギー管理装置10から送られたデマンドを受け付ける。受付部36dによって受け付けられたデマンドは、上述したデマンド記憶領域35cに記憶される。
【0071】
(3−6−5)設定切替部
設定切替部36eは、非デマンドレスポンス制御の受付に関する設定(変更受付設定)について、有効/無効を切り替える。具体的に、設定切替部36eは、受付部36dによってデマンドが受け付けられると、変更受付設定を無効に切り替える。具体的に、設定切替部36eは、調整時間帯の開始時刻に、変更受付設定を無効に切り替える。
【0072】
このとき、設定切替部36eは、非デマンドレスポンスに関する指令が受け付けられないように、各部に指令を生成する。例えば、設定切替部36eは、入力部33に対して、いかなる入力も受け付けないような指令を生成したり、消費電力変動部36aに対して自動制御を受け付けないような指令を生成したりする。ここで、自動制御とは、省エネ制御およびスケジュール制御を含む。
【0073】
さらに、設定切替部36eは、調整時間帯の終了時刻になると、変更受付設定を有効に切り替える。
【0074】
(3−6−6)デマンドレスポンス部
デマンドレスポンス部36fは、デマンドレスポンス制御を実行する。デマンドレスポンス制御とは、デマンドに基づいて、設備機器40〜60の消費電力を調整する制御である。言い換えると、デマンドレスポンス部36fは、デマンドで規定された条件を満たすように、設備機器40〜60を制御する。
【0075】
具体的に、デマンドレスポンス部36fは、デマンドで規定された時刻(調整時間帯の開始時刻)になると、デマンドレスポンス制御を開始する。デマンドレスポンス制御では、物件2に設置された設備機器40〜60の単位時間当たりの消費電力の総量が、デマンドで規定された目標消費電力twと一致するように、設備機器40〜60が制御される。
【0076】
なお、デマンドレスポンス制御において、いずれの設備機器40〜60を動作させるか、あるいは、各設備機器40〜60をどの程度の運転能力で動作させるかは、どのように決めてもよい。例えば、駆動中の空調機40の運転能力を一律で下げたり、予め設備機器40〜60に対して決めておいた優先順位に基づいて優先順位の低い設備機器を停止させたりしてもよい。
【0077】
(4)制御装置における処理の流れ
次に、
図4を用いて、制御装置30におけるデマンドに係る処理の流れについて説明する。なお、制御装置30は、デマンドを受け付けるまでは、非デマンドレスポンス制御を実行している。すなわち、制御装置30は、デマンドレスポンス制御を開始するまでは、省エネ制御、スケジュール制御、および手動制御を適宜実施しているものとする。
【0078】
まず、ステップS11において、受付部36dによってデマンドが受け付けられたか否かが判断される。ステップS11では、デマンドが受け付けられるまで待機し、デマンドが受け付けられたら、当該デマンドをデマンド記憶領域35cに記憶して、ステップS12に進む。
【0079】
ステップS12では、設定切替部36eによって、変更受付設定が無効に切り替えられる。これにより、入力部33に対して、いかなる入力も受け付けないような指令が生成され、また、消費電力変動部36aに対して自動制御を受け付けないような指令が生成される。すなわち、ステップS12では、調整時間帯において、非デマンドレスポンス制御の指令が受け付けられないように設定される。なお、設定切替部36eによる設定の切替は、調整時間帯の開始時刻に行われるものとする。その後、ステップS13に進む。
【0080】
ステップS13では、デマンドレスポンス部36fによってデマンドレスポンス制御が実行される。デマンドレスポンス部36fは、デマンド記憶領域35cに記憶されたデマンドに基づいて、設備機器40〜60を制御する。具体的に、デマンドレスポンス部36fは、デマンドで規定された時間帯において、物件2内の設備機器40〜60の消費電力の総量が、デマンドで規定された目標消費電力twと一致するように、設備機器40〜60を制御する。その後、ステップS14に進む。
【0081】
ステップS14では、時間管理部32から得られる情報に基づいて、所定の時間が経過したかどうかが判定される。言い換えると、ステップS14では、調整期間の終了時刻に到達したかどうかが判定される。ステップS14では、所定の時間が経過するまで待機し、所定の時間が経過した場合には、ステップS15に進む。
【0082】
ステップS15では、デマンドレスポンス制御を終了し、運転状況記憶領域35bに記憶されている情報に基づいて、設備機器40〜60に対してデマンドレスポンス制御開始直前の制御を回復させる。その後、ステップS16に進む。
【0083】
ステップS16では、設定切替部36eによって、変更受付設定が有効に切り替えられる。すなわち、入力部33で入力が受け付け可能になり、また、消費電力変動部36aは、適宜自動制御を実行する。すなわち、ステップS16では、非デマンドレスポンス制御の指令が受け付けられるように設定される。その後、ステップS11に戻る。
【0084】
(5)特徴
(5−1)
上記実施形態に係る制御装置30は、受付部36dと、デマンドレスポンス部36fと、消費電力変動部36aと、設定切替部(設定部)36eと、を備える。受付部36dは、エネルギー管理装置10から送られた消費電力に関するデマンドを受け付ける。デマンドレスポンス部36fは、受付部36dによってデマンドが受け付けられると、デマンドレスポンス制御を実行する。デマンドレスポンス制御は、デマンドに応じて、物件に配置された設備機器の消費電力を調整する制御である。消費電力変動部36aは、非デマンドレスポンス制御を実行する。非デマンドレスポンス制御は、デマンドとは関係なく設備機器の消費電力を増減させる制御である。設定切替部36eは、非デマンドレスポンス制御の有効または無効を設定する。これにより、デマンドレスポンス制御下で、設備機器を効果的に制御することができる。
【0085】
上記実施形態に係るエネルギー管理システム100は、電力会社1と当該電力会社1から電力が供給される各物件2との間で構築されるシステムである。エネルギー管理システム100において、電力会社1に設置されたエネルギー管理装置10と、各物件2に設置された制御装置30とは、インターネット80aを経由して接続されており、情報の授受が行われる構成になっている。
【0086】
各物件2では、制御装置30を用いて、物件2内に設置された設備機器40〜60が制御されている。制御装置30は、人の在/不在や、ユーザによって設定されたスケジュール等に基づいて、設備機器40〜60の制御を実行している(非デマンドレスポンス制御)。エネルギー管理システム100では、制御装置30からエネルギー管理装置10に対して、定期的に情報が送信されるように構成されている。電力会社1では、各物件2に配置された制御装置30から定期的に送られる情報に基づいて、全管理対象物件2,2において消費される電力の総量を把握する。
【0087】
エネルギー管理システム100では、上述したように、電力会社1と各物件2とがデマンドレスポンス契約を結んでいる。デマンドレスポンス契約とは、各物件2においてデマンドに従った制御(デマンドレスポンス制御)が徹底されることにより、電力会社1から各物件2に対して所定のインセンティブ(例えば、料金もしくは割引)が支払われることを約束する契約である。また、デマンドレスポンス契約では、各物件2において、デマンドに従った制御が徹底できなかった場合には、物件2に対して、例えば、追加料金や違約金の支払いなどのペナルティが科される。デマンドとは、所定の条件に基づいた設備機器40〜60の制御を要求するものであり、上記実施形態において、所定の条件には、目標消費電力twと、目標消費電力twの範囲で設備機器40〜60を駆動させる時間帯(調整時間帯)とが含まれる。各物件2がデマンドレスポンス契約に従って設備機器40〜60を制御することにより、電力会社1は、エネルギー管理システム100全体で消費された電力の総量を調整することができる。
【0088】
ところで、各物件2では、物件2内の各空間で快適な環境を生成するために、電力会社1から送られるデマンドとは関係なく、設備機器40〜60が制御されうる。すなわち、制御装置30は、各物件2のニーズに応じた設備機器40〜60の制御(非デマンドレスポンス制御)を実行している。また、調整時間帯になると、各物件2においてデマンドレスポンス契約を遵守するために、制御装置30は、設備機器40〜60をデマンドに従って制御する。
【0089】
ここで、デマンドレスポンス制御中に、各物件2において、非デマンドレスポンス制御が実行されると、デマンドで規定された目標消費電力の条件を満たすことができない場合が生じる。例えば、
図5に示すように、調整時間帯において物件2内の空間の状態(在/不在の状態)が変化する場合が生じる。ここでは、例えば、物件2には、空間A,Bが含まれるものとし、空間Aに空調機Aが配置され、空間Bに空調機Bが配置されているものとする。また、調整時間帯の開始時には、空調機Aは運転能力を落とし(点P12a参照)、空調機Bは運転能力を維持させていたものとする。それによって、物件2内の消費電力の合計は、点P11aで示される値から、目標消費電力twに向かって減少する。
【0090】
ここで、調整時間帯に、例えば、空間Bの状態が在状態から不在状態に変化した場合、空間Bに配置された空調機Bは、停止される(点P13a参照,非デマンドレスポンス制御)。すると、物件2内の消費電力の合計と目標消費電力twとが一致しなくなる(点P11b参照)。言い換えると、
図5のグラフ中、色づけした部分(領域R0)の消費電力が、目標消費電力twに対して不足することになる。その結果、物件2は、インセンティブを得ることができなくなる。
【0091】
しかし、上記実施形態に係る制御装置30は、設定切替部(設定部)36eによって、変更受付設定の有効/無効が切替可能に設計されている。具体的に、制御装置30では、エネルギー管理装置10から送られたデマンドを受け付けると、デマンドレスポンス部36fによってデマンドレスポンス制御が実行される。また、設定切替部36eによって、デマンドレスポンスとは関係なく設備機器の消費電力を増減させる制御(非デマンドレスポンス制御)の有効または無効の設定が可能である。変更受付設定が無効に切り替えられると、非デマンドレスポンス制御に係る指令が受け付けられない状態に変更され、非デマンドレスポンス制御が実行不可能な状態に切り替えられる。その結果、調整時間帯において、非デマンドレスポンス制御を受け付けず、制御内容を一定に維持することができる(
図6参照)。すなわち、非デマンドレスポンス制御の有効および無効を適宜切り替えることができるため、デマンドレスポンス制御下で、設備機器40〜60を効果的に制御することができる。また、物件2は、確実にインセンティブを得ることができる。
【0092】
(5−2)
上記実施形態に係る制御装置30では、設定切替部(設定部)36eは、デマンドが受け付けられた後、非デマンドレスポンス制御を無効に設定する。これにより、デマンドレスポンス制御によって、目標消費電力に一致するように調整された消費電力が他の制御(非デマンドレスポンス制御)によって影響されない。調整時間帯において、目標消費電力を維持することができるため、インセンティブの減少を避けることができる。
【0093】
(5−3)
上記実施形態に係る制御装置30では、運転状況監視部(確認部)36bをさらに備える。運転状況監視部36bは、デマンドレスポンス部36fによるデマンドレスポンス制御が終了した後、非デマンドレスポンス制御を実行する必要があるか否かを確認する。運転状況監視部36bは、非デマンドレスポンス制御を実行する必要があると判断した場合に、非デマンドレスポンス制御に係る指令を生成し、消費電力変動部36aに受け渡す。消費電力変動部36aは、運転状況監視部36bから受け渡された指令に基づいて、非デマンドレスポンス制御を実行する。
【0094】
図7を用いて詳細に説明する。例えば、空調機Bが配置された空間Bの状態が、調整時間帯中に変化していたとする。この場合、調整時間帯終了後に空調機Bを停止する(点P23a参照)。これにより、調整時間帯終了後、早期に、物件2内の総消費電力が低減される(点P21a参照)。その結果、
図7の色付けした部分の電力が削減可能になる。
【0095】
このように、上記実施形態に係る制御装置30では、物件2内の空間の状態が、調整時間帯に省エネ制御を実行可能な状態に変化にしていた場合に、調整時間帯終了後直ぐ、省エネ制御を開始することができる。すなわち、調整時間帯終了後、早急に、設備機器40〜60を所望の条件で制御することができる。
【0096】
(5−4)
上記実施形態に係る制御装置30では、非デマンドレスポンス制御として、省エネ制御、スケジュール制御、および手動制御の少なくとも一つが実行される。省エネ制御とは、設備機器が配置されている空間における人物の在/不在に基づく制御である。これにより、各物件2の状況に適した設備機器40〜60の制御を行うことができる。
【0097】
(6)変形例
(6−1)変形例1A
上記実施形態に係る制御装置30では、調整時間帯において、非デマンドレスポンス制御を実行しないようにするために、デマンドレスポンス制御の開始時刻から終了時刻までは、非デマンドレスポンス制御に関する指令が受け付けられない構成となっている。
【0098】
ここで、設定切替部36eによって、非デマンドレスポンス制御を無効に設定する場合に、指令を受け付けない構成に代えて、指令を受け付けるが実行しない構成に変更してもよい。言い換えると、調整時間帯において、非デマンドレスポンスに関する指令を受け付けるが、無視するように構成されてもよい。
【0099】
具体的には、受付部36dによってデマンドが受け付けられると、非デマンドレスポンス制御の受付に関する設定が無効に切り替えられる。その後、非デマンドレスポンスに関する指令は受け付けられるが、デマンドレスポンス制御の終了時刻まで無視され、デマンドレスポンス制御の終了時刻に到達して変更受付設定が有効に切り替えられた後に、実行されるように構成されていてもよい。
【0100】
これにより、調整時間帯における消費電力には影響を与えることなく、所望する制御を適宜実行することが可能になる。
【0101】
(6−2)変形例1B
上記実施形態で説明したように、エネルギー管理システム100では、エネルギー管理装置10から制御装置30に対して、デマンドが送られる。
【0102】
ここで、デマンドは、各物件2から電力会社1に対して提示された複数の抑制可能情報に基づいて生成されたものであってもよい。抑制可能情報は、各物件2において抑制可能な電力量に関する情報であって、エネルギー抑制可能量と、当該エネルギー抑制可能量を継続できる時間の長さ(抑制可能時間の長さ)あるいは時間帯とを含む。すなわち、抑制可能情報は、各物件2において消費する電力量の総量を抑えることが可能である旨を申請するための情報である。電力会社1では、エネルギー管理装置10が、各物件2の制御装置30からそれぞれ送られる複数の抑制可能情報から、管理対象物件全体の消費電力の組合せとして好ましい抑制可能情報を選択し、選択した抑制可能情報に基づいて、各物件2に送るデマンドを生成する。
【0103】
これにより、エネルギー管理装置10において、予定した通りの電力量が各物件2で消費されるため、エネルギー管理システム100全体においても好適なエネルギー管理を行うことができる。
【0104】
(6−3)変形例1C
上記実施形態において、非デマンドレスポンス制御には、省エネ制御、スケジュール制御、および手動制御等が含まれる。また、省エネ制御とは、設備機器が配置されている空間における人物の在/不在に基づく制御であった。ここで、省エネ制御には、外的要因に基づく制御が含まれていてもよい。ここで、外的要因に基づく制御とは、例えば、物件2内の各空間における日射量の大小に基づき、設備機器40〜60の運転内容(設定温度、風量、照度等)を変更する制御を意味する。
【0105】
この場合、物件2に含まれる各空間には、日射量を測るための装置が配置されており、日射量に関する情報は、エリア情報記憶領域35aに記憶されているものとする。また、基本情報記憶領域35dには、各設備機器40〜60について、日射量に応じた設定能力および/または運転状態が記憶されているものとする。
【0106】
これにより、日射量が多い空間と日射量が少ない空間とに対して、それぞれ適した設備機器40〜60の制御を行うことにより、省エネ効果を高めることが可能になる。
【0107】
<第2実施形態>
次に、
図8〜
図12を参照して、第2実施形態に係るエネルギー管理システム200について説明する。なお、第2実施形態に係るエネルギー管理システム200のうち、制御装置130の構成を除き、第1実施形態に係るエネルギー管理システム100の構成と同様である。すなわち、エネルギー管理システム200の全体構成は、エネルギー管理システム100の全体構成と同様の構成を有し、第1実施形態における制御装置30が、制御装置130に置き換えられる(
図8参照)。また、電力会社1に配置されるエネルギー管理装置10、各物件2に配置される設備機器40〜60、電源6、および電力メーター7の構成も、第1実施形態に係るエネルギー管理装置10、各物件2に配置される設備機器40〜60、電源6、および電力メーター7の構成と同様である。
【0108】
したがって、以下、エネルギー管理システム200の全体構成、エネルギー管理装置10、各物件2に配置される設備機器40〜60、電源6、および電力メーター7の構成についての説明は省略し、制御装置130の構成について詳細に説明する。
【0109】
(1)制御装置の構成
図9に、制御装置130の概略構成図を示す。制御装置130は、各物件2に設置された設備機器40〜60の制御を行うための装置である。制御装置130は、通信部131、時間管理部132、入力部133、出力部134、記憶部135、および制御部136を備える。
【0110】
(1−1)通信部
通信部131は、制御装置130をインターネット80aに接続可能にするネットワークインターフェースである。通信部131により、インターネット80aを介して、制御装置130とエネルギー管理装置10との間で双方向通信が行われる。また、通信部131は、制御装置130を専用の制御線80bに接続可能にするインターフェースでもある。
【0111】
(1−2)時間管理部
時間管理部132は、電力会社1に配置されたエネルギー管理装置10と略同期する時計を含む。時間管理部132は、制御装置130が実行する各種制御の時間管理を行う。
【0112】
(1−3)入力部
入力部133は、主として、操作ボタンおよび後述するディスプレイを覆うタッチパネルから構成されている。入力部133には、設備機器40〜60の発停信号、設定の変更、運転モードの変更など、設備機器40〜60に対するユーザからの各種指令が入力される。
【0113】
(1−4)出力部
出力部134は、主として、ディスプレイから構成されている。出力部134には、設備機器40〜60の運転状況を示す画面が表示される。ここで、運転状況とは、例えば、設備機器のON/OFF状態、運転モード(冷房モード/暖房モード)、吸込み温度、設定温度、照度、換気量、稼働時間、稼働率、および稼動時の運転能力(%)などが含まれる。
【0114】
また、出力部134は、現在の消費電力およびデマンドの内容もディスプレイに出力する。現在の消費電力には、各設備機器40〜60の消費電力と、全設備機器40〜60の消費電力の合計である総消費電力とが含まれる。さらに、出力部134は、記憶部135に記憶されている各種情報および制御部136によって実行された各種プログラムの結果等もディスプレイに出力する。
【0115】
(1−5)記憶部
記憶部135は、主として、ハードディスクから構成されている。記憶部135には、後述する制御部136が読み出して実行可能なプログラムが記憶されている。また、記憶部135には、エリア情報記憶領域135a、運転状況記憶領域135b、デマンド記憶領域135c、基本情報記憶領域135d、インセンティブ記憶領域135e、および推定変動量記憶領域135fが含まれる。
【0116】
(1−5−1)エリア情報記憶領域
エリア情報記憶領域135aは、物件2内の各空間の情報(エリア情報)を記憶する。エリア情報には、人の在/不在情報が含まれる。すなわち、エリア情報記憶領域135aには、人検知センサによる検知結果が記憶される。エリア情報は、後述するエリア情報取得部136cによって取得される。エリア情報記憶領域135aでは、物件2内の各空間に配置された人検知センサと、人検知センサによって得られた情報(在/不在)とが関連付けて記憶されている。
【0117】
(1−5−2)運転状況記憶領域
運転状況記憶領域135bは、後述する運転状況監視部136bによって監視された運転状況に関する情報が記憶されている。運転状況に関する情報には、上述したように、設備機器40〜60のON/OFF状態、運転モード(冷房モード/暖房モード)、吸込み温度、設定温度、照度、換気量、稼働時間、稼働率、および稼動時の運転能力(%)などに関する情報が含まれる。
【0118】
また、運転状況に関する情報には、電力メーター7によって計測された消費電力に関する情報が含まれる。
【0119】
(1−5−3)デマンド記憶領域
デマンド記憶領域135cには、エネルギー管理装置10から送られたデマンドが記憶されている。すなわち、デマンド記憶領域135cには、消費電力を調整する時間帯(調整時間帯)と、目標消費電力twとが記憶される。
【0120】
調整時間帯として、具体的には、調整時間帯の開始時刻および終了時刻に関する情報が記憶されている。目標消費電力twとは、単位時間当たりに消費可能な電力(量)、あるいは、単位時間当たりで消費すべき電力(量)である。目標消費電力twは、特定の一の値を基準に幅を持たせた値である。言い換えると、デマンドでは、目標消費電力twとして、消費可能な、または消費すべき電力(量)の範囲が規定されている。すなわち、デマンドレスポンス制御では、デマンドで規定された時間帯において、消費する電力が、当該目標消費電力twとして規定される範囲内の値となるように、設備機器40〜60が制御される。
【0121】
(1−5−4)基本情報記憶領域
基本情報記憶領域135dには、物件2に設置されている設備機器40〜60についての基本情報が記憶されている。ここで、基本情報には、物件2に設置されている設備機器40〜60の種類・数、および各設備機器40〜60について、運転能力に応じた単位時間当たりの消費電力等が含まれる。
【0122】
また、基本情報には、物件2内の空間と、空間に配置された人検知センサおよび設備機器40〜60とを関連付けた関連付け情報が含まれる。
【0123】
さらに、基本情報には、設備機器40〜60に関する優先順位が含まれていてもよい。ここで、優先順位とは、デマンドレスポンス制御が実行される場合に、デマンドレスポンス制御開始前の運転状態を維持すべき設備機器40〜60の順位である。
【0124】
(1−5−5)インセンティブ記憶領域
インセンティブ記憶領域135eは、デマンドレスポンス契約によって得られるインセンティブに関する情報を記憶する。インセンティブに関する情報とは、インセンティブにより得られる価格P1である。具体的に、インセンティブ記憶領域135eには、調整時間帯において、設備機器40〜60の消費電力を目標消費電力で維持できた場合に得られる価格P1が記憶されている。
【0125】
(1−5−6)推定変動量記憶領域
推定変動量記憶領域135fは、後述する変動量推定部136gによって推定された消費電力の変動量(推定変動量)と、推定変動量に対応する価格P2とを記憶する。
【0126】
推定変動量とは、非デマンドレスポンス制御を実行した場合に、非デマンドレスポンス制御を実行する前の消費電力に対して変動する消費電力の推定値である。言い換えると、推定変動量とは、非デマンドレスポンス制御を実行する前の単位時間当たりの消費電力と、非デマンドレスポンス制御を実行した後の単位時間当たりの消費電力との差である。
【0127】
また、推定変動量に対応する価格P2とは、目標消費電力に対して、推定変動量に係る電力量が増減した場合に、必要となる、あるいは、得られる料金である。
【0128】
(1−6)制御部
制御部136は、主としてCPU、ROMおよびRAMから構成されている。制御部136は、上述の記憶部135に記憶されているプログラムを読み出して実行することにより、
図9に示すように、主として、消費電力変動部136a、運転状況監視部(確認部)136b、エリア情報取得部136c、受付部136d、設定切替部136e、変動量推定部136g、判定部136h、およびデマンドレスポンス部136fとして機能する。
【0129】
(1−6−1)消費電力変動部
消費電力変動部136aは、デマンドとは関係なく、設備機器40〜60の消費電力を増減させる制御(非デマンドレスポンス制御)を実行する。具体的に、非デマンドレスポンス制御には、省エネ制御、スケジュール制御、および手動制御等が含まれる。
【0130】
より具体的に、省エネ制御とは、上述のエリア情報記憶領域135aに記憶された情報に基づいた制御である。詳細に、省エネ制御とは、物件2内の各空間における人の在/不在に基づく制御である。省エネ制御では、例えば、人検知センサが不在を検知した空間に配置された設備機器40〜60をOFFに設定する。ここで、設備機器をOFFに設定するタイミングは、任意で設定可能である。
【0131】
また、スケジュール制御とは、スケジュールに従った設備機器40〜60の制御である。スケジュールとは、設備機器40〜60のON/OFF設定のタイミングや、設備機器40〜60をONに設定する際の運転内容(設定温度、風量、照度等)に関する予定である。スケジュールでは、24時間をいくつかの時間帯に分け、各時間帯における制御内容を予め決めておいたスケジュールに基づいて、設備機器40〜60を制御する。スケジュールは、記憶部135に記憶されている。
【0132】
さらに、手動制御とは、ユーザが所望により設備機器40〜60を制御することを意味する。
【0133】
消費電力変動部136aは、入力部133に入力された指令、運転状況監視部136bにより生成された指令、およびスケジュールに基づく指令に基づいて、設備機器40〜60の消費電力を増減させる。
【0134】
なお、消費電力変動部136aは、後述する設定切替部136eによって変更許容設定が有効に設定されている場合に限り、各種指令に基づいて、設備機器40〜60を制御する。すなわち、設定切替部136eによって変更許容設定が無効に設定されている場合には、非デマンドレスポンス制御は実行されない。
【0135】
(1−6−2)運転状況監視部
運転状況監視部136bは、設備機器40〜60の運転状況を監視する。設備機器40〜60の運転状況には、上述したように、設備機器40〜60のON/OFF状態、運転モード(冷房モード/暖房モード)、吸込み温度、設定温度、照度、換気量、稼働時間、稼働率、および稼動時の運転能力(%)などに関する情報が含まれる。また、運転状況に関する情報には、電力メーター7によって計測された消費電力に関する情報が含まれる。ここで運転能力(%)とは、空調機40の定格能力に対して、空調機40がどの程度の能力で動作しているかを意味する。
【0136】
運転状況監視部136bは、時間管理部132から時刻の提示を受けて、所定時間間隔で設備機器40〜60および電力メーター7と通信して運転状況を監視し、各種情報を取得する。運転状況監視部136bは、デマンドレスポンス制御開始後も、所定の時間間隔で、設備機器40〜60の運転状況を監視する。運転状況監視部136bによって取得された各種情報は、情報の取得日時とともに、上述の運転状況記憶領域135bに記憶される。
【0137】
なお、運転状況監視部136bは、後述する受付部136dによってデマンドが受け付けられると、所定の時間間隔に関わらず、設備機器40〜60の運転状況を監視し、得られた情報を運転状況記憶領域135bに記憶する。すなわち、運転状況監視部136bは、デマンドが受け付けられたタイミングで、デマンドレスポンス制御開始直前の設備機器40〜60の運転状況を監視し、設備機器40〜60の情報を取得する。
【0138】
また、運転状況監視部136bは、省エネ制御を実行する必要があるか否かを確認する。具体的に、運転状況監視部136bは、エリア情報記憶領域135aに記憶されている情報と運転状況記憶領域135bに記憶されている情報とに基づいて、省エネ制御を実行する必要があるか否かを確認する。詳細には、運転状況監視部136bは、人検知センサによって不在が検知された空間の設備機器40〜60であって、駆動されている設備機器40〜60の有無を確認する。運転状況監視部136bは、人が不在の空間で駆動されている設備機器40〜60を確認した場合には、当該設備機器40〜60を停止させる旨の指令を生成し、当該指令を消費電力変動部136aに受け渡す。
【0139】
(1−6−3)エリア情報取得部
エリア情報取得部136cは、人検知センサによって検知された情報を、所定のタイミングで取得する。具体的に、エリア情報取得部136cは、人検知センサによって新たな状態が検知されると、その旨の情報を人検知センサから取得する。エリア情報取得部136cは、取得した情報を、上述したエリア情報記憶領域135aに記憶する。なお、エリア情報取得部136cは、デマンドレスポンス制御中にも、継続して、所定のタイミングで情報を取得する。
【0140】
(1−6−4)受付部
受付部136dは、エネルギー管理装置10から送られたデマンドを受け付ける。受付部136dによって受け付けられたデマンドは、上述したデマンド記憶領域135cに記憶される。
【0141】
(1−6−5)設定切替部
設定切替部136eは、非デマンドレスポンス制御の許容に関する設定(変更許容設定)について、有効/無効を切り替える。具体的に、設定切替部136eは、受付部136dによってデマンドが受け付けられると、変更許容設定を無効に切り替える。具体的に、設定切替部136eは、調整時間帯の開始時刻に、変更許容設定を無効に切り替える。
【0142】
変更許容設定が無効に切り替えられると、その後、非デマンドレスポンスに関する指令が受け付けられた場合に、当該非デマンドレスポンスに関する指令は、一時的に記憶部135に記憶される。
【0143】
さらに、設定切替部136eは、その後、後述する判定部136hによって、非デマンドレスポンス制御の実行が可能であると判定された場合に、変更許容設定を一時的に有効に切り替える。すなわち、設定切替部136eは、非デマンドレスポンス制御が実行される前に変更許容設定を有効に切り替え、非デマンドレスポンス制御が実行されると、また、変更許容設定を無効に切り替える。
【0144】
さらに、設定切替部136eは、調整時間帯の終了時刻になると、変更許容設定を有効に切り替える。
【0145】
(1−6−6)変動量推定部
変動量推定部136gは、調整時間帯の開始時刻以降に非デマンドレスポンス制御に係る指令が受け付けられた場合に、当該非デマンドレスポンス制御に係る指令の実行により変動する消費電力(推定変動量)を推定する。
【0146】
推定変動量とは、上述したように、非デマンドレスポンス制御を実行した場合に、非デマンドレスポンス制御を実行する前の消費電力に対して変動する消費電力の推定値である(
図12の領域R1参照)。言い換えると、推定変動量とは、非デマンドレスポンス制御を実行する前の単位時間当たりの消費電力と、非デマンドレスポンス制御を実行した後の単位時間当たりの消費電力との差である。
【0147】
具体的に、変動量推定部136gは、非デマンドレスポンス制御が開始される時刻から調整時間帯の終了時刻までの時間長さL1と、基本情報記憶領域135dに記憶されている基本情報とに基づき、推定変動量を算出する。言い換えると、変動量推定部136gは、非デマンドレスポンス制御の対象となっている設備機器40〜60の基本情報を参照し、非デマンドレスポンス制御が開始される時刻から調整時間帯の終了時刻までに変動する消費電力を推定する。
【0148】
さらに、変動量推定部136gは、非デマンドレスポンス制御によって削減しうるコストを推定する。具体的に、変動量推定部136gは、推定変動量に対応する価格P2を判定する。推定変動量に対応する価格P2とは、非デマンドレスポンス制御によって消費電力が増減した場合に、必要となる、あるいは、削減可能な料金である。すなわち、変動量推定部136gは、非デマンドレスポンス制御の内容と、非デマンドレスポンス制御が開始される時刻から調整時間帯の終了時刻までの時間長さL1とに基づき、変動により必要となる料金あるいは削減可能な料金を算出する。
【0149】
例えば、非デマンドレスポンス制御が省エネ制御であり、非デマンドレスポンス制御に関する指令が、60分の調整期間のうちの10分経過後に受け付けられたものと仮定する。この場合、非デマンドレスポンス制御が開始される時刻から調整時間帯の終了時刻までの時間長さL1は、50分となる。したがって、変動量推定部136gは、省エネ制御を50分間実行した場合に削減される消費電力(変動量)を推定し、推定した変動量に基づいて得られる利益(価格)P2をさらに推定する。変動量推定部136gによって得られた推定変動量と、推定変動量に対応する価格P2とは、上述した推定変動量記憶領域135fに記憶される。
【0150】
(1−6−7)判定部
判定部136hは、非デマンドレスポンス制御の許容の是非を判定する。具体的に、判定部136hは、非デマンドレスポンス制御を許容した場合と非デマンドレスポンス制御を許容しなかった場合とで、いずれの場合にメリットが大きいかを判定し、判定結果に基づいて非デマンドレスポンス制御の許容の是非を判定する。
【0151】
具体的に、判定部136hは、インセンティブ記憶領域135eに記憶されているインセンティブに関する情報と、推定変動量記憶領域135fに記憶されている推定変動量に関する情報とに基づいて、非デマンドレスポンス制御の許容の是非を判定する。
【0152】
より具体的に、判定部136hは、インセンティブとして得られる価格P1と、推定変動量に対応する価格P2とを比較して、非デマンドレスポンス制御の実行可否を判定する。言い換えると、判定部136hは、非デマンドレスポンス制御の実行を許可せずに調整時間帯における消費電力が目標消費電力で維持された場合に得られる価格P1と、非デマンドレスポンス制御の実行を許可して調整時間帯に消費電力が目標消費電力から外れた場合に、非デマンドレスポンス制御(例えば、省エネ制御)によって得られる価格P2とを比較する。
【0153】
ここで、インセンティブとして得られる価格P1と、推定変動量に対応する価格P2とを比較した結果、インセンティブとして得られる価格P1が、推定変動量に対応する価格P2より多い場合には、判定部136hは、非デマンドレスポンス制御の実行を不可能と判定する。一方、推定変動量に対応する価格P2が、インセンティブとして得られる価格P1より多い場合には、判定部136hは、非デマンドレスポンス制御の実行を可能と判断する。言い換えると、調整時間帯に非デマンドレスポンス制御(省エネ制御)によって消費した電力に対して支払う価格が、デマンドレスポンス契約を遵守した場合に支払う価格よりも多い場合には、判定部136hは、非デマンドレスポンス制御を許容しない。一方、調整時間帯に非デマンドレスポンス制御(省エネ制御)を実行することによって消費した電力に対して支払う価格が、デマンドレスポンス契約を遵守した場合に支払う価格よりも少ない場合には、判定部136hは、非デマンドレスポンス制御を許容する。
【0154】
判定部136hによって非デマンドレスポンス制御が許容された場合には、上述したように、設定切替部136eによって変更許容設定が有効に切り替えられ、その後、消費電力変動部136aによって非デマンドレスポンス制御が実行される。
【0155】
(1−6−8)デマンドレスポンス部
デマンドレスポンス部136fは、デマンドレスポンス制御を実行する。デマンドレスポンス制御とは、デマンドに基づいて、設備機器40〜60の消費電力を調整する制御である。言い換えると、デマンドレスポンス部136fは、デマンドで規定された条件を満たすように、設備機器40〜60を制御する。
【0156】
具体的に、デマンドレスポンス部136fは、デマンドで規定された時刻(調整時間帯の開始時刻)になると、デマンドレスポンス制御を開始する。デマンドレスポンス制御では、物件2に設置された設備機器40〜60の単位時間当たりの消費電力の総量が、デマンドで規定された目標消費電力twと一致するように、設備機器40〜60が制御される。
【0157】
なお、デマンドレスポンス制御において、いずれの設備機器40〜60を動作させるか、あるいは、各設備機器40〜60をどの程度の運転能力で動作させるかは、どのように決めてもよい。例えば、駆動中の空調機40の運転能力を一律で下げたり、予め設備機器40〜60に対して決めておいた優先順位に基づいて優先順位の低い設備機器を停止させたりしてもよい。
【0158】
(2)制御装置における処理の流れ
次に、
図10および
図11を用いて、制御装置130におけるデマンドに係る処理の流れについて説明する。なお、制御装置130は、デマンドを受け付けるまでは、非デマンドレスポンス制御を実行している。すなわち、制御装置130は、デマンドレスポンス制御を開始するまでは、省エネ制御、スケジュール制御、および手動制御を適宜実施しているものとする。
【0159】
まず、ステップS21において、受付部136dによってデマンドが受け付けられたか否かが判断される。ステップS21では、デマンドが受け付けられるまで待機し、デマンドが受け付けられたら、当該デマンドをデマンド記憶領域135cに記憶して、ステップS22に進む。
【0160】
ステップS22では、設定切替部136eによって、変更許容設定が無効に切り替えられる。これにより、入力部133で受け付けられた指令および消費電力変動部136aで受け付けられた指令は、一時的に記憶部135に記憶される。また、デマンドレスポンス部136fによって、デマンドレスポンス制御が実行される。デマンドレスポンス部136fは、デマンド記憶領域135cに記憶されたデマンドに基づいて、設備機器40〜60を制御する。具体的に、デマンドレスポンス部136fは、デマンドで規定された時間帯(調整時間帯)において、物件2内の設備機器40〜60の消費電力の総量が、デマンドで規定された目標消費電力twと一致するように、設備機器40〜60を制御する。なお、設定切替部136eによる設定の切替およびデマンドレスポンス部136fによるデマンドレスポンス制御の実行は、調整時間帯の開始時刻に行われるものとする。その後、ステップS23に進む。
【0161】
ステップS23では、非デマンドレスポンス制御の指令が受け付けられたか否かが判定される。ステップS23において、非デマンドレスポンス制御の指令が受け付けられなかった場合には、ステップS27に進み、ステップS23において、非デマンドレスポンス制御の指令が受け付けられた場合には、ステップS24に進む。
【0162】
ステップS24では、変動量推定部136gによって消費電力の変動量が推定される。具体的に、変動量推定部136gは、非デマンドレスポンス制御をした場合に、非デマンドレスポンス制御を実行する前の消費電力に対して変動する消費電力の推定値を算出する。また、変動量推定部136gは、推定変動量に対応する価格P2を判定する。推定変動量に対応する価格P2とは、推定変動量に係る電力量が増減した場合に、必要となる、あるいは、削減可能な料金である。推定変動量と推定変動量に対応する価格P2とは、推定変動量記憶領域135fに記憶される。その後、ステップS25に進む。
【0163】
ステップS25では、判定部136hによって、非デマンドレスポンス制御を許容した場合と許容しなかった場合とで、いずれの場合にメリットが大きいかが判定される。具体的に、判定部136hは、インセンティブ記憶領域135eに記憶されたインセンティブにより得られる価格P1と、推定変動量記憶領域135fに記憶された推定変動量に対応する価格P2とを比較する。すなわち、判定部136hは、非デマンドレスポンス制御の実行を許可せず、調整時間帯における消費電力が目標消費電力で維持された場合に得られる価格P1と、非デマンドレスポンス制御の実行を許可して、調整時間帯に消費電力が目標消費電力から外れた場合に、非デマンドレスポンス制御(例えば、省エネ制御)によって得られた価格P2とを比較する。ステップS25において、インセンティブにより得られる価格P1が推定変動量に対応する価格P2よりも小さい場合には、ステップS26aに進み、インセンティブにより得られる価格P1が推定変動量に対応する価格P2よりも大きい場合には、ステップS26bに進む。
【0164】
ステップS26aでは、設定切替部136eによって変更許可設定が一時的に有効に切り替えられる。また、ステップS26aでは、消費電力変動部136aによって非デマンドレスポンス制御が実行される。その後、ステップS27に進む。
【0165】
一方、ステップS26bでは、非デマンドレスポンス制御が無視され、その後、ステップS27に進む。
【0166】
ステップS27では、時間管理部132から得られる情報に基づいて、所定の時間が経過したかどうかが判定される。言い換えると、ステップS27では、調整期間の終了時刻に到達したかどうかが判定される。ステップS27において、所定の時間が経過していない場合にはステップS23に戻り、所定の時間が経過した場合には、ステップS28に進む。
【0167】
ステップS28では、デマンドレスポンス制御を終了し、運転状況記憶領域135bに記憶されている情報に基づいて、設備機器40〜60に対してデマンドレスポンス制御開始前の制御を回復させる。その後、ステップS29に進む。
【0168】
ステップS29では、設定切替部136eによって、変更許容設定が有効に切り替えられる。すなわち、ステップS29では、非デマンドレスポンス制御の指令が適宜実行可能になるように設定される。その後、ステップS21に戻る。
【0169】
(3)特徴
(3−1)
上記実施形態に係る制御装置130は、受付部136dと、デマンドレスポンス部136fと、消費電力変動部136aと、設定切替部(設定部)136eと、を備える。受付部136dは、エネルギー管理装置10から送られた消費電力に関するデマンドを受け付ける。デマンドレスポンス部136fは、受付部136dによってデマンドが受け付けられると、デマンドレスポンス制御を実行する。デマンドレスポンス制御は、デマンドに応じて、物件2に配置された設備機器40〜60の消費電力を調整する制御である。消費電力変動部136aは、非デマンドレスポンス制御を実行する。非デマンドレスポンス制御は、デマンドとは関係なく設備機器の消費電力を増減させる制御である。設定切替部136eは、非デマンドレスポンス制御の有効または無効を設定する。さらに、制御装置130は、判定部136hを備える。判定部136hは、デマンドレスポンス制御が実行される所定の時間帯(調整時間帯)における非デマンドレスポンス制御の実行の可否を判定する。設定切替部136eは、判定部136hによる結果に基づいて、非デマンドレスポンス制御の有効または無効を設定する。
【0170】
この制御装置130では、判定部136hによって、調整時間帯における非デマンドレスポンス制御の実行の可否が判定される。また、判定部136hによる判定結果に基づいて、設定切替部136eによって、非デマンドレスポンス制御の有効または無効が設定される。これにより、非デマンドレスポンス制御に関する指令を受け付けた状況に応じて、好ましい制御を実行することができる。
【0171】
第1実施形態について説明したように、デマンドレスポンス制御中に、各物件2において、非デマンドレスポンス制御(例えば、省エネ制御)が実行されると、デマンドで規定された目標消費電力の条件を満たすことができない場合が生じる。その結果、物件2は、インセンティブを得ることができなくなる(
図5参照)。
【0172】
しかし、第2実施形態に係る制御装置130では、判定部136hによって、調整時間帯における非デマンドレスポンス制御の実行の可否が判定される。また、判定部136hによる判定結果に基づいて、設定切替部136eによって、非デマンドレスポンス制御の有効または無効が設定される。
【0173】
具体的に、制御装置130では、エネルギー管理装置10から送られたデマンドを受け付けると、デマンドレスポンス部136fによってデマンドレスポンス制御が実行される。また、デマンドレスポンス制御実行中に非デマンドレスポンス制御に係る指令が受け付けられると、判定部136hによって、非デマンドレスポンス制御の可否が判定される。すなわち、状況に応じて、デマンドレスポンス制御下での非デマンドレスポンス制御の可否が判定されるため、設備機器40〜60の効果的な制御を選択することができる。
【0174】
(3−2)
上記実施形態に係る制御装置130は、インセンティブ情報記憶領域135eと、変動量推定部(削減可能コスト推定部)136gとをさらに備える。インセンティブ情報記憶領域135eは、デマンドで規定される条件を満たした場合に得られるインセンティブに関する情報を記憶する。変動量推定部136gは、非デマンドレスポンス制御によって削減しうるコストを推定する。また、判定部136hは、インセンティブに関する情報と、変動量推定部136gによって推定された価格P2とを比較して、デマンドレスポンス制御が実行されている間の非デマンドレスポンス制御の実行の可否を判定する。
【0175】
具体的に、
図12を用いて詳細に説明する。例えば、物件2には、空間A,Bが含まれるものとし、空間Aに空調機Aが配置され、空間Bに空調機Bが配置されているものとする。調整時間帯開始時に空調機Aの消費電力を抑制している(点P32a)。その結果、調整時間帯における総消費電力は、点P31aで示す値から、目標消費電力twと一致するように変化する。その後、調整時間帯中に、空間Bの状態が変化したとする。このとき、まず、変動量推定部136gは、非デマンドレスポンス制御を実行した場合に、非デマンドレスポンス制御を実行する前の消費電力に対して変動する消費電力の推定値(推定変動量)を算出する(
図12の領域R1参照)。すなわち、空調機Bの消費電力が0に変化した場合(点P33a参照)の、消費電力の変化量が算出される。また、変動量推定部136gは、推定変動量に対応する価格P2を判定する。推定変動量に対応する価格P2とは、推定変動量に係る電力量(
図12の領域R1)が増減した場合に、必要となる、あるいは、削減可能な料金である。判定部136hは、デマンド契約を遵守した場合に得られる利益(価格)P1と、非デマンドレスポンス制御を実行した場合に得られる利益(価格)P2とを比較して、得られる利益が大きい制御を判定する。判定結果に応じて、デマンドレスポンス制御あるいは非デマンドレスポンス制御が実行される。
【0176】
例えば、非デマンドレスポンス制御として省エネ制御を実行する場合であって、省エネによるメリットが大きい場合には、デマンド契約を遵守するよりも省エネ制御をした方が、得られるメリットが大きい場合が生じる。すなわち、インセンティブを放棄しても省エネ制御を実行した場合の方が、利益が大きい場合がある。このような場合には、必ずしもデマンドに従う必要はない。
【0177】
上記実施形態に係る制御装置130では、インセンティブとして得られる価格P1と、削減可能コスト(価格)P2とを比較して、非デマンドレスポンス制御の実行の可否が判定される。これにより、デマンドレスポンス契約を遵守できずインセンティブが得られなくなった場合であっても、省エネにより得られる利益によって、結果的に利益を得ることが可能になる。また、全体として必要なコストを抑えることができる。
【0178】
(3−3)
上記実施形態に係る制御装置130では、デマンドには、デマンドレスポンス制御を実行させる所定の時間帯(調整時間帯)に関する条件を含む。また、非デマンドレスポンス制御は、省エネ制御である。変動量推定部136gは、省エネ制御が開始される時刻から調整時間帯の終了時刻までの時間長さL1に基づき、非デマンドレスポンス制御によって削減しうるコストを推定する(
図12参照)。
【0179】
所定の省エネ制御が実行される場合に、デマンドレスポンス制御の開始直後に実行される場合と、デマンドレスポンス制御終了直前に実行される場合とでは、省エネ制御によって得られる利益は異なる。すなわち、省エネ制御の内容が同じ場合、調整時間帯において省エネ制御が実行される時間長さL1によって、省エネ制御によって得られる利益は変化する。省エネ制御によって得られる利益が、インセンティブにより得られる利益よりも大きい場合には、インセンティブにより得られる利益を放棄してもよいが、省エネ制御によって得られる利益が、インセンティブにより得られる利益よりも小さい場合には、インセンティブにより得られる利益を放棄すべきではない。
【0180】
上記実施形態に係る制御装置130では、省エネ制御の内容(省エネの程度)と共に、省エネ制御が開始される時刻から調整時間帯の終了時刻までの時間長さL1に基づいて、非デマンドレスポンス制御によって削減しうるコストが推定される。これにより、省エネ制御により得られるメリットを十分に考慮して、非デマンドレスポンス制御の可否を判定することができる。
【0181】
(3−4)
また、上記実施形態に係る制御装置130でもまた、運転状況監視部(確認部)136bが、デマンドレスポンス部136fによるデマンドレスポンス制御が終了した後、非デマンドレスポンス制御を実行する必要があるか否かを確認する。運転状況監視部136bは、非デマンドレスポンス制御を実行する必要があると判断した場合に、非デマンドレスポンス制御に係る指令を生成し、当該指令を消費電力変動部136aに受け渡す。消費電力変動部136aは、運転状況監視部136bから受け渡された指令に基づいて、非デマンドレスポンス制御を実行する。
【0182】
このように、上記実施形態に係る制御装置130においても、物件2内の空間の状態が、調整時間帯に省エネ制御を実行可能な状態に変化にしていた場合に、調整時間帯終了後直ぐ、省エネ制御を開始することができる。すなわち、調整時間帯終了後、早急に、設備機器40〜60を所望の条件で制御することができる。
【0183】
(4)変形例
(4−1)変形例2A
エネルギー管理システム200においても、エネルギー管理装置10から制御装置130に対して送られるデマンドが、各物件2から電力会社1に対して提示された複数の抑制可能情報に基づいて生成されたものであってもよい。これにより、エネルギー管理装置10において、予定した通りの電力量が各物件2で消費されるため、エネルギー管理システム200全体においても好適なエネルギー管理を行うことができる。
【0184】
(4−2)変形例2B
また、本実施形態でも、第1実施形態と同様、省エネ制御に、外的要因に基づく制御が含まれていてもよい。これにより、日射量が多い空間と日射量が少ない空間とに対して、それぞれ適した設備機器40〜60の制御を行うことにより、省エネ効果を高めることが可能になる。
【0185】
(4−3)変形例2C
上記実施形態に係る変動量推定部136gは、推定変動量を算出した後、推定変動量に対応する価格P2を判定する。このとき、推定変動量に対応する価格P2には、推定変動量に係る電力量が増減した場合に、必要となる、あるいは、削減可能な料金が含まれる。
【0186】
ここで、まず、変動推定部136gによって、非デマンドレスポンス制御が、現在の消費電力を増加方向に変化させるものであるのか、減少方向に変化させるものであるのかを判断するように構成されていてもよい。言い換えると、変動量推定部136gは、非デマンドレスポンス制御によって現在の消費電力が目標消費電力を上回るのか、目標消費電力を下回るのかを判断するように構成されてもよい。
【0187】
さらに、判定部136hは、変動量推定部136gの判定結果に基づいて、非デマンドレスポンス制御の許容の是非を判定するように構成する。すなわち、変動量推定部136gによって、非デマンドレスポンス制御が、現在の消費電力を増加方向に変化させるものであると判定された場合、判定部136hは、非デマンドレスポンス制御の実行を不可能と判定してもよい。また、変動量推定部136gによって、非デマンドレスポンス制御が、現在の消費電力を減少方向に変化させるものである場合には、判定部136hは、非デマンドレスポンス制御の実行を可能と判定し、その後、変動消費量に対応する価格P2を推定する構成としてもよい。
【0188】
これによっても、デマンドレスポンス契約の遵守により得られるメリットと、非デマンドレスポンス制御により得られるメリットとを比較し、最終的に得られるメリットを大きくすることができる。
【0189】
(4−4)変形例2D
上記実施形態では、判定部136hは、調整時間帯における消費電力が目標消費電力で維持された場合に得られる価格P1と、非デマンドレスポンス制御の実行を許可して、調整時間帯に消費電力が目標消費電力から外れた場合に、非デマンドレスポンス制御によって得られた価格P2とを比較する。ここで、非デマンドレスポンス制御によって得られた価格P2の例として、省エネ制御によって得られた価格P2を挙げた。
【0190】
ここで、省エネ制御とは、上述した、人検知センサによって検知された空間の在/不在に基づく制御に代えて、あるいは、この制御に加え、省エネになる制御全般を含んでもよい。
【0191】
この場合であっても、各物件2では、結果的にメリットを得られる制御を選択的に実施することができる。