特許第5686246号(P5686246)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5686246
(24)【登録日】2015年1月30日
(45)【発行日】2015年3月18日
(54)【発明の名称】空気調和機
(51)【国際特許分類】
   F24F 13/20 20060101AFI20150226BHJP
【FI】
   F24F1/00 401E
【請求項の数】1
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2011-8582(P2011-8582)
(22)【出願日】2011年1月19日
(65)【公開番号】特開2012-149816(P2012-149816A)
(43)【公開日】2012年8月9日
【審査請求日】2013年10月31日
(73)【特許権者】
【識別番号】000006611
【氏名又は名称】株式会社富士通ゼネラル
(72)【発明者】
【氏名】黄 伯平
【審査官】 佐藤 正浩
(56)【参考文献】
【文献】 特開2010−025550(JP,A)
【文献】 特開2004−101094(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F24F 13/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
本体前面に、文字あるいは図形を表示する表示部を備えた空気調和機において、
前記表示部は、透明材からなり前面に意匠層が設けられ、裏面に複数の係止爪と位置合わせ用突起とが設けられた表示板と、枠体状に形成され前記表示板を装着する光透過窓を備えた表示パネルと、前面に光を通過させる光通過孔を複数備えるとともに位置合わせ部を形成し、前記光通過孔の後側に、前記光通過孔に対応した複数の光源を搭載した基板モジュールを収納した基板ホルダとからなり、
前記表示板を前記係止爪により前記表示パネルに装着して前記表示部の表示パネル組を構成し、同表示パネル組を、前記表示板の裏面に設けられた位置合わせ用突起を前記位置合わせ部に当接させて位置合わせした後、前記基板ホルダに組み付けてなることを特徴とする空気調和機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、空気調和機に関わり、より詳細には表示部の構成に関するものである。
【背景技術】
【0002】
空気調和機は、例えば、フロントパネルの下部一側に、運転状態等を表示する表示部を設けている。同表示部は透明シートの裏面に、表示すべき文字や図形等の印刷を施した意匠層を設け、透明シートの裏面側に光源となるLEDを設けており、同LEDから発せられた光を多数の印刷箇所の中で表示したい印刷部位のみを通過させて運転状態等を筐体外に表示するようになっている(特許文献1参照)。
【0003】
しかしながら、透明シートの裏面に、表示すべき文字や図形等を構成する多層の印刷を施しているため、LEDから発せられ意匠層を通過した光は、透明シートを通過する際、拡散現象を起こし、表示すべき文字や図形等を鮮明に表示することができない。また、透明シートに透明な樹脂を用いるため、不透明な樹脂材からなるフロントパネルと比較して光の反射率、反射量が異なり、表示部とフロントパネルの色彩に微妙な相違が生じてしまい使用者に違和感を感じさせるという不具合があった。
【0004】
上記した問題に対処するため、透明シートの前面に印刷を施こすと、LEDと印刷面との距離が大きくなり、LEDと印刷面との設置位置にズレが生じた場合、LEDから発せられた光が印刷面に正確に照射されず、表示される文字や図形等の表示が不鮮明となる虞があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2006−91602号(4頁、図2
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、上記問題点に鑑み、表示部を構成する透明シートあるいは透明な表示板の前面に、多層の印刷による意匠層を設けても、LEDから発せられた光が的確に表示すべき文字や図形等を通過するようにして、表示すべき文字や図形等を鮮明に表示することができる表示部を備えた空気調和機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、上記課題を解決するため、本体前面に、文字あるいは図形を表示する表示部を備えた空気調和機において、
本体前面に、文字あるいは図形を表示する表示部を備えた空気調和機において、
前記表示部は、透明材からなり前面に意匠層が設けられ、裏面に複数の係止爪と位置合わせ用突起とが設けられた表示板と、枠体状に形成され前記表示板を装着する光透過窓を備えた表示パネルと、前面に光を通過させる光通過孔を複数備えるとともに位置合わせ部を形成し、前記光通過孔の後側に、前記光通過孔に対応した複数の光源を搭載した基板モジュールを収納した基板ホルダとからなり、
前記表示板を前記係止爪により前記表示パネルに装着して前記表示部の表示パネル組を構成し、同表示パネル組を、前記表示板の裏面に設けられた位置合わせ用突起を前記位置合わせ部に当接させて位置合わせした後、前記基板ホルダに組み付けてなる構成となっている。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、意匠層を前面に設けた表示板と、同表示板を装着した表示パネルが位置合わせ用突起により左右方向及び上下方向において位置合わせを行なった後、複数の光源を備えた基板ホルダの適正な位置に組み付けられることにより、表示板の前面に意匠層を設けても、光源からの光が意匠層の表示箇所を正確に通過することになり、表示部での表示を鮮明に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明による空気調和機を示す外観斜視図である。
図2】本発明による空気調和機を示す側断面図である。
図3】本発明による空気調和機の内部構成を示す外観斜視図である。
図4】本発明による空気調和機に設けられた表示部の構成を示す分解斜視図である。
図5】本発明による表示部の表示板と、表示パネルの構成を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施の形態を、添付図面に基づいた実施例として詳細に説明する。
【実施例1】
【0011】
本発明による空気調和機は、図1の外観斜視図及び図2の側断面図で示すように、前面パネル1aと左側パネル1b及び右側パネル1cとから構成された本体1の前面に開閉可能なオープンパネル2を備えている。本体1の上面には上面吸込口3を備え、オープンパネル2の裏面側となる前面パネル1aには格子状に形成された前面吸込口4を備えており、前面パネル1aの下部には、複数の左右風向板8と上下風向板9とを備えた吹出口5が備えられている。上下風向板9は運転停止時、塵埃等の侵入を防ぐため、吹出口5を閉鎖するようになっており、前面一側には、室内温度及び運転状態等を表示する表示部10が右側パネル1cに設けられている。
【0012】
上面吸込口3及び前面吸込口4と吹出口5とを結ぶ空気流路には、塵埃を捕集する図示しないフィルタが備えられるとともに、並設された多数のフィンと、同フィンを直交するように蛇行状に配設された伝熱管とからなり、前面上部熱交換器6aと前面下部熱交換器6bと後面上部熱交換器6cとで逆V字状に形成された熱交換器6が備えられ、また、同熱交換器6に囲まれるように送風ファン7が備えられている。
【0013】
本体1内部には、図3で示すように、上記した前面上部熱交換器6aと前面下部熱交換器6bが前面側に備えられ、右側パネル1cの裏面には電源基板及び制御基板等を収納した電装品箱11が備えられている。表示部10を構成する後述する基板ホルダ10bは、内蔵する基板モジュール17を制御基板と配線接続し、電装品箱11の前面下部に取付けられており、右側パネル1cの前面下部に取付けられた後述する表示パネル組10aが組付けられて表示部10となり、複数のLED素子の発光により室内温度及び運転状態等を表示するようになっている。
【0014】
次に、表示部10の構成について説明する。同表示部10は図4の分解斜視図で示すように、
表示パネル組10aと基板ホルダ10bと、同基板ホルダ10b内に収納される基板モジュール17とからなり、表示パネル組10aは、多数の印刷を施した意匠層12aを備えた意匠プレート12と、透明材からなる表示板13と、同表示板13が組付けられる表示パネル14とから構成され、基板ホルダ10bは、樹脂材からなる基板ホルダ前面板15と、同基板ホルダ前面板15に被着される基板ホルダ後面板16とから構成されている。また、基板モジュール17は表示板13に向け発光する後述するLED素子を搭載している。上記したように、表示パネル組10aは右側パネル1cの前面下部に取付けられるようになっており、基板ホルダ10bは電装品箱11の前面下部に取付けられるようになっており、本体1に右側パネル1cを取付ける際、表示パネル組10aは基板ホルダ10bに組み付けられるようになっている。
【0015】
意匠プレート12は、図示はしていないが、前面側に配置されたPET(ポリエチレンテレフタレート)シートと、後面側に配置されたバインダ層との間に、印刷文字及び印刷数字を施した印刷層と、色彩が異なる複数の色彩層とを交互に積層して意匠層12aを形成している。同意匠プレート12にLED素子からの光が後面から出射されると、出射された部位に対応する印刷文字及び印刷数字が高輝度で表示板13に表示されるようになっている。
【0016】
透明な表示板13の前面には意匠プレート12がインモールド成型により一体となって設けられるようになっている。印刷層及び色彩層を積層した意匠層12aを備えた意匠プレート12を表示板13の前面に一体に設けることにより、オープンパネル2あるいは本体1の色彩と、表示板13の色彩とを一致させることができ、使用者に対し違和感を与えることがない。尚、本発明では、表示板13の前面に意匠層12aをインモールド成型により一体に設けているが、これに限定されるものではなく、表示板13の前面に印刷処理により意匠層を設けるようにしても良い。
【0017】
基板ホルダ前面板15は、平板状に形成された基部15aと、同基部15aから段差状に突設された光源部15bとからなり、基部15aと光源部15bとの間には、段差を構成する上壁15eと左右の中間壁15f及び左右の下壁15gとが形成され、これらにより光源部15bは正面視で台形状に突設されており、また、光源部15の下端には、斜面となった下面壁15hが形成されている。また、中間壁15fと下壁15gとが接する左右の角部には、表示板13の裏面に形成された後述する左右一対の係止爪14cが当接する位置合わせ部15jが形成されている。
【0018】
光源部15bは上部に、後述するセブンセグメント用LED素子18aからの光を通過させる前後に貫通した複数の光通過孔15cを穿設し、同光通過孔15cの周辺に、後述する文字表示用LED素子18bからの光を通過させる前後に貫通した複数の光通過孔15dを穿設している。
基板ホルダ前面板15に被着される基板ホルダ後面板16には、複数の電子部品を搭載した基板モジュール17が収納される基板モジュール収納部16aが形成されている。
【0019】
基板ホルダ前面板15と基板ホルダ後面板16とからなる基板ホルダ10bに収納される基板モジュール17は、裏面に、図示しない複数の電子部品を搭載するとともに、前面中央部に複数のセブンセグメント用LED素子18aを搭載し、前面下部に複数の文字表示用LED素子18bを搭載しており、これらセブンセグメント用LED素子18aと文字表示用LED素子18bから発せられた光は上記した光通過孔15c及び光通過孔15dを通過して表示板13前面に数字や文字を表示させるようになっている。
【0020】
意匠プレート12と一体となった、透明材からなる表示板13は、図5(A)に示すように、表示パネル14に組付られるようになっている。表示板13は、図5(B)に示すように、上下方向に緩い湾曲状に形成され透明性を有した基材13aからなり、同基材13aの裏面下部には、U字状に形成された位置合わせ用突起13bが設けられるとともに、裏面上部と裏面略中央部と裏面下部には、左右一対の係止爪13cと係止爪13dと係止爪13fとが設けられ、また、中央部には、基板ホルダ前面板15との位置合わせを行う台形状に形成された位置合わせ用突起13eが左右一対に設けられている。
【0021】
表示パネル14は、図5(B)に示すように、枠体状に形成された樹脂材からなる基材14aからなり、内側には矩形状の光透過窓14bが形成されている。基材14aの上部には、表示板13の係止爪13cに対応する左右一対の横長状の係止孔14dが穿設され、同係止孔14dの上方には、右側パネル1cに係止する左右一対のL字状に形成された係止爪14cが設けられている。
【0022】
表示パネル14の光透過窓14bの左右両端部には、表示板13の係止爪13dに対応する係止用突起14eが形成され、光透過窓14bの下端縁両端部にも、表示板13の係止爪13fに対応する係止用突起14fが形成されている。また、同係止用突起14fの内方には、右側パネル1cに係止する係止爪14gが設けられている。
【0023】
表示板13を表示パネル14に組み付ける際は、表示板13の位置合わせ用突起13bを表示パネル14に形成された光透過窓14bの下端縁及び左右端縁に合わせ、表示板13の裏面上部に設けられた係止爪13cを表示板ホルダ14の横長状の係止孔14dに挿入して係止させるとともに、係止爪13dと係止爪13fを光透過窓14bの左右両端部に設けられた係止用突起14eと、下端縁両端部に設けられた係止用突起14fに夫々係止させる。これにより、表示板13は表示パネル14の適正な位置に位置合わせを行いながら図5(A)に示すように、容易に組み付けられ表示パネル組10aとなる。
【0024】
また、右側パネル1cを前面側から本体1に装着することで、右側パネル1cの前面下部に取付けられた表示パネル組10aは基板ホルダ10bに取付けられる。この際、表示板13の裏面に形成された左右一対の位置合わせ用突起13eを、基板ホルダ前面板15の中間壁15fと下壁15gとが接する左右の角部に形成された位置合わせ部15jに夫々合わせるとともに、表示板13の係止爪13fの上端面を基板ホルダ前面板15下端の下面壁15hに突き当てることにより、表示パネル組10aは左右方向及び上下方向において適正な位置に位置合わせを行いながら基板ホルダ10bに組み付けられ、また、係止爪13f前面を下面壁15hに突き当てることにより、基板ホルダ10bに対し上方へのズレを防ぐようになっている。
【0025】
表示パネル14に組み付けられた表示板13と、基板ホルダ10bの基板ホルダ前面板15とが左右方向及び上下方向において適正な位置に組み付けられることにより、表示板13の前面に意匠プレート12を設けても、基板ホルダ前面板15の光通過孔15aに対応して配置されたセブンセグメント用LED素子18aからの光及び光通過孔15bに対応して配置された文字表示用LED素子18bからの光が意匠プレート12の表示箇所を正確に通過することができ、表示部10での表示をより鮮明に行うことができるようになっている。尚、本発明においては、表示パネル14を前面パネル1aとは別体に形成し、右側パネル1cに取付けるようにしているが、表示パネル14を前面パネル1aと一体に形成しても良い。
【符号の説明】
【0026】
1 本体
1a 前面パネル
1b 左側パネル
1c 右側パネル
2 オープンパネル
3 上面吸込口
4 前面吸込口
5 吹出口
6 熱交換器
7 送風ファン
8 左右風向板
9 上下風向板
10 表示部
10a 表示パネル組
10b 基板ホルダ
11 電装品箱
12 意匠プレート
12a 意匠層
13 表示板
13a 基材
13b 位置合わせ用突起
13c、13d、13f 係止爪
13e 位置合わせ用突起
14 表示パネル
14a 基材
14b 光透過窓
14c、14d 係止爪
14e、14f 係止用突起
14g 係止爪
15 基板ホルダ前面板
15a 基部
15b 光源部
15c 光通過孔
15d 光通過孔
15e 上壁
15f 中間壁
15g 下壁
15h 下面壁
15j 位置合わせ部
16 基板ホルダ後面板
16a 基板モジュール収納部
図1
図2
図3
図4
図5