(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5686722
(24)【登録日】2015年1月30日
(45)【発行日】2015年3月18日
(54)【発明の名称】枠材の連結構造
(51)【国際特許分類】
F16B 7/04 20060101AFI20150226BHJP
F16B 7/18 20060101ALI20150226BHJP
E04B 1/343 20060101ALI20150226BHJP
E04B 7/00 20060101ALI20150226BHJP
【FI】
F16B7/04 301P
F16B7/18 E
E04B1/343 U
E04B7/00 Z
【請求項の数】3
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2011-285645(P2011-285645)
(22)【出願日】2011年12月27日
(65)【公開番号】特開2013-133901(P2013-133901A)
(43)【公開日】2013年7月8日
【審査請求日】2013年11月20日
(73)【特許権者】
【識別番号】000180302
【氏名又は名称】四国化成工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100089222
【弁理士】
【氏名又は名称】山内 康伸
(74)【代理人】
【識別番号】100134979
【弁理士】
【氏名又は名称】中井 博
(74)【代理人】
【識別番号】100175400
【弁理士】
【氏名又は名称】山内 伸
(72)【発明者】
【氏名】佐川 慎治
(72)【発明者】
【氏名】中所 邦晃
(72)【発明者】
【氏名】森川 智也
【審査官】
長谷井 雅昭
(56)【参考文献】
【文献】
実開平03−123003(JP,U)
【文献】
特開2001−214672(JP,A)
【文献】
実開平01−163603(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16B 7/04
E04B 1/343
E04B 7/00
F16B 7/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1枠材と第2枠材とを連結する連結構造であって、
前記第1枠材と前記第2枠材とを連結する連結具が、少なくとも該第1枠材の内部に挿入されており、
前記第1枠材には、内側に凹んだ凹板と、該凹板の開口部を塞ぐ表板とで囲まれた空洞部が形成されており、
前記空洞部は、前記第1枠材の長手方向に沿って形成されており、
前記表板は、前記第1枠材の表面に一体形成されており、
前記凹板と前記連結具とは、頭部が前記空洞部に収められたボルトで締結されている
ことを特徴とする枠材の連結構造。
【請求項2】
前記ボルトの頭部には、前記表板に形成された孔に挿入されたボルトキャップが被せられている
ことを特徴とする請求項1記載の枠材の連結構造。
【請求項3】
第1枠材と第2枠材とを連結する連結構造であって、
前記第1枠材と前記第2枠材とを連結する連結具が、少なくとも該第1枠材の内部に挿入されており、
前記第1枠材には、内側に凹んだ凹板と、該凹板の開口部を塞ぐ表板とで囲まれた空洞部が形成されており、
前記空洞部は、前記第1枠材の長手方向に沿って形成されており、
前記表板は、その両側縁が前記凹板の開口部に形成された嵌合溝にスライド嵌合された長尺の板部材であり、
前記凹板と前記連結具とは、頭部が前記空洞部に収められたボルトで締結されており、
前記ボルトの頭部には、前記表板に形成された孔に挿入されたボルトキャップが被せられており、
前記ボルトキャップの頭頂面が前記表板の表面よりも外側に出ている
ことを特徴とする枠材の連結構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、枠材の連結構造に関する。さらに詳しくは、例えば、駐車場に設置されるカーポートや、駐輪場に設置されるサイクルポート、屋外の通路や休憩所などに設置される屋根などの、支柱や梁など、雨除け構造物の枠組みを構成する枠材の連結構造に関する。
【背景技術】
【0002】
雨除け構造物として、複数本の支柱のそれぞれに梁を連結し、梁上に母屋を架設状に載置固定することによって屋根構造体を構成し、この屋根構造体に屋根パネルを固定したものが知られている。
【0003】
図9に示すように、特許文献1に記載のカーポートにおける支柱110と梁120との連結は、支柱110の上端および梁120の一端の内部にへ字形のジョイント金具130を挿入し、それぞれボルト140で締結することにより行われている。
【0004】
しかるに、ボルト140の頭が露出しているため、意匠性が悪いという問題がある。
また、支柱110および梁120の内寸とジョイント金具130と間にはクリアランスがあるため、ボルト140の締結により支柱110および梁120のボルト140の周囲が窪むという問題がある。
さらに、露出したボルト140が腐食しやすいという問題がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平6‐88443号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は上記事情に鑑み、腐食しにくく意匠性に優れた枠材の連結構造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
第1発明の枠材の連結構造は、第1枠材と第2枠材とを連結する連結構造であって、前記第1枠材と前記第2枠材とを連結する連結具が、少なくとも該第1枠材の内部に挿入されており、前記第1枠材には、内側に凹んだ凹板と、該凹板の開口部を塞ぐ表板とで囲まれた空洞部が形成されており、
前記空洞部は、前記第1枠材の長手方向に沿って形成されており、前記表板は、前記第1枠材の表面に一体形成されており、前記凹板と前記連結具とは、頭部が前記空洞部に収められたボルトで締結されていることを特徴とする。
第2発明の枠材の連結構造は、
第1発明において、前記ボルトの頭部には、前記表板に形成された孔に挿入されたボルトキャップが被せられていることを特徴とする。
第3発明の枠材の連結構造は、第1枠材と第2枠材とを連結する連結構造であって、前記第1枠材と前記第2枠材とを連結する連結具が、少なくとも該第1枠材の内部に挿入されており、前記第1枠材には、内側に凹んだ凹板と、該凹板の開口部を塞ぐ表板とで囲まれた空洞部が形成されており、前記空洞部は、前記第1枠材の長手方向に沿って形成されており、前記表板は、その両側縁が前記凹板の開口部に形成された嵌合溝にスライド嵌合された長尺の板部材であり、前記凹板と前記連結具とは、頭部が前記空洞部に収められたボルトで締結されており、前記ボルトの頭部には、前記表板に形成された孔に挿入されたボルトキャップが被せられており、前記ボルトキャップの頭頂面が前記表板の表面よりも外側に出ていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
第1発明によれば、
次の効果を奏する。
a)ボルトの頭部が空洞部に収められているので、外観においてボルトが目立たずに、意匠性に優れている。また、第1枠材の内側に形成された凹板と連結具とがボルトで締結されているので、ボルトの締結による第1枠材の窪みが表面に表れず、意匠性に優れている。さらに、ボルトが露出していないので腐食しにくい。
b)空洞部が第1枠材の長手方向に沿って形成されているので、第1枠材を押出成形で形成でき、安価に製造できる。
c)表板が第1枠材に一体形成されているので、外観において段差がなく意匠性に優れている。
第2発明によれば、ボルトの頭部にボルトキャップが被せられているので、外観においてボルトが目立たずに、意匠性に優れている。また、ボルトが露出していないので腐食しにくい。
第3発明によれば、次の効果を奏する。
a)表板が第1枠材とは別部材であるので、第1枠材に開口面積の小さい空洞部を形成する必要がなく、寸法精度の安定した第1枠材を製造することができる。
b)表板が凹板の開口部にスライド嵌合されているので、第1枠材が撓んでも表板が外れる恐れがない。
c)ボルトキャップを取り外すことで、ボルトの頭部が露出するので、ボルトの増し締めなどのメンテナンスや、解体を容易に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本発明の第1実施形態に係る枠材の連結構造を適用したカーポートの支柱と梁との連結部の展開図である。
【
図3】(a)は
図2におけるIIIa-IIIa線矢視断面図、(b)は
図2におけるIIIb-IIIb線矢視断面図である。
【
図5】本発明の第2実施形態に係る枠材の連結構造を適用したカーポートの支柱と梁との連結部の展開図である。
【
図6】(a)は同連結部のボルト位置以外の位置の断面図、(b)は同連結部のボルト位置の断面図である。
【
図7】本発明の第3実施形態に係る枠材の連結構造を適用したカーポートの支柱と梁との連結部の正面図である。
【
図8】(a)は
図7におけるVIIIa-VIIIa線矢視断面図、(b)は
図7におけるVIIIb-VIIIb線矢視断面図である。
【
図9】従来のカーポートの支柱と梁との連結部の正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
つぎに、本発明の実施形態を図面に基づき説明する。
本発明に係る枠材の連結構造は、例えば、駐車場に設置されるカーポートや、駐輪場に設置されるサイクルポート、屋外の通路や休憩所などに設置される屋根などの、支柱や梁など、雨除け構造物の枠組みを構成する枠材の連結構造である。また、支柱と梁の連結の他、支柱同士や梁同士など、枠材同士の連結であればいかなる部分にも適用することができる。
以下、雨除け構造物であるカーポートの支柱と梁との連結を例に説明する。
【0011】
(第1実施形態)
図1に示すように、本発明の第1実施形態に係る枠材の連結構造は、カーポートの支柱10と梁20とをL字形に連結する構造である。支柱10は駐車場の地面に立設され、梁20は支柱10に連結された後に屋根枠材が取り付けられ、その屋根枠材に屋根パネルが固定される。なお、通常は、一つのカーポートにこの支柱10と梁20の組み合わせが複数備えられている。
【0012】
支柱10および梁20は、アルミの押出成形などで形成された中空の棒状部材である。そのため、支柱10および梁20を安価に製造できる。支柱10の上端および梁20の一端にはL字形の連結金具30が挿入されており、この連結金具30と支柱10および梁20とがボルト40で締結されることにより、支柱10と梁20とが連結されている(
図2参照)。
【0013】
図3(a)に示すように、支柱10には、その内側に凹んだ凹板11と、凹板11の開口部を塞ぐ表板12とで囲まれた空洞部13が形成されている。この空洞部13は、支柱10のボルト40が挿入される面(
図3における左右両面)に形成されている。また、支柱10は押出成形品であるので、空洞部13は、支柱10の長手方向(
図3における紙面に対して垂直方向)に沿って長手方向の全域に形成されている。また、表板12は支柱10の表面と一体となっており、外観において段差なく形成されている。
なお、支柱10を押出成形以外の方法で形成する場合には、空洞部13を長手方向の全域に形成する必要はなく、ボルト40が挿入される位置にのみ形成してもよい。
【0014】
一方、連結金具30は中空の部材であり、支柱10に挿入された状態において、連結金具30と凹板11とが多少のクリアランスを有して近接するような寸法を有している。
また、
図3(b)に示すように、連結金具30の凹板11と近接する部分には、ボルト40の軸部41が螺合するネジ穴14が形成されている。そして、そのネジ穴14と同位置において、凹板11にはボルト40の軸部41が挿入可能な孔15が形成されており、表板12にはボルト40の頭部42が挿入可能なボルト孔16が形成されている。
【0015】
ボルト40は、ボルト孔16から挿入され、軸部41が凹板11の孔15を通り連結金具30のネジ穴14に螺合されている。これにより凹板11と連結金具30とが締結され、支柱10と連結金具30とが固定されている。なお、ボルト40の頭部42と凹板11との間には、軸部41に挿入されたワッシャおよびバネワッシャが挟まれている。
【0016】
上記ボルト40は、その頭部42が空洞部13に収められ、支柱10の表面から突出しないようになっている。また、頭部42には、ボルトキャップ43が被せられている。このボルトキャップ43は樹脂で形成されており、摩擦で頭部42に止められるものである。このボルトキャップ43は、ボルト孔16に挿入されており、
その頭頂面43aは支柱10の表面からほとんど突出しないようになっている。また、
図4に示すように、ボルト孔16の内径はボルトキャップ43の直径に対して若干大きく形成されており、それらの隙間が小さくなっている。
【0017】
以上のように、ボルト40の頭部42が空洞部13に収められ、ボルトキャップ43が被せられているので、外観においてボルト40が目立たずに、意匠性に優れている。
また、支柱10の内側に形成された凹板11と連結金具30とがボルト40で締結されているので、ボルト40の締結による支柱10の窪みが支柱10の表面に表れず、意匠性に優れている。
また、ボルト40が露出していないので腐食しにくい。
さらに、ボルトキャップ43を取り外すことで、ボルト40の頭部42が露出するので、ボルト40の増し締めなどのメンテナンスや、解体を容易に行うことができる。
【0018】
なお、梁20にも、支柱10と同様に凹板と表板とで囲まれた空洞部が形成されており、梁20と連結金具30とを締結するボルト40が外観において目立たないようになっている。そのため、カーポートの支柱10と梁20との連結部の意匠性を向上できる。
【0019】
(第2実施形態)
図5に示すように、本発明の第2実施形態に係る枠材の連結構造は、第1実施形態において、支柱10および梁20の表板12が、支柱10および梁20とは別部材として形成された構造である。
【0020】
より詳細には、
図6(a)に示すように、支柱10のボルト40が挿入される面(
図6における左右両面)には、その内側に凹んだ凹板11が、支柱10の長手方向(
図6における紙面に対して垂直方向)に沿って長手方向の全域に形成されている。この凹板11の開口部の両側縁には嵌合溝17が形成されており、この嵌合溝17に長尺の板部材である表板12の両側縁がスライド嵌合されている。そして、凹板11および表板12により空洞部13が形成されている。
なお、表板12は支柱10の一端から嵌合溝17に挿入することにより、支柱10に組み合わされる。また、表板12は、支柱10に組み合わされた状態において、支柱10の表面と面一となっており、外観においてほとんど段差がないように構成されている。
【0021】
このように、表板12は支柱10とは別部材であるので、支柱10に開口面積の小さい空洞部13を形成する必要がなく、寸法精度の安定した支柱10を製造することができる。
【0022】
図6(b)に示すように、本実施形態においても、ボルト40は、表板12に形成されたボルト孔16から挿入され、軸部41が凹板11の孔15を通り連結金具30のネジ穴14に螺合されている。これにより凹板11と連結金具30とが締結され、支柱10と連結金具30とが固定されている。そして、上記ボルト40は、その頭部42が空洞部13に収められ、支柱10の表面から突出しないようになっている。また、頭部42には、ボルトキャップ43が被せられている。
【0023】
以上のような構成であるから、外観においてボルト40が目立たず、ボルト40の締結による支柱10の窪みが支柱10の表面に表れず、意匠性に優れている。また、ボルト40が露出していないので腐食しにくい。さらに、ボルトキャップ43を取り外すことで、ボルト40の頭部42が露出するので、ボルト40の増し締めなどのメンテナンスや、解体を容易に行うことができる。
【0024】
なお、梁20にも、支柱10と同様に凹板が形成されており、その凹板の開口部に表板がスライド嵌合されている。そして、梁20と連結金具30とを締結するボルト40が外観において目立たないようになっている。そのため、カーポートの支柱10と梁20との連結部の意匠性を向上できる。
【0025】
なお、支柱10や梁20は、風圧などにより長手方向に撓む性質がある。そのため、単に表板12の両側縁を弾性変形させて空洞部13に嵌め込んだ構成であれば、撓みによって表板12が外れる恐れがある。しかし、本実施形態においては、支柱10や梁20の長手方向に沿って形成された嵌合溝15に、表板12の両側縁をスライド嵌合しているので、支柱10や梁20が撓んでも表板12が外れる恐れがない。
【0026】
(第3実施形態)
図7に示すように、本発明の第3実施形態に係る枠材の連結構造は、カーポートの支柱10の上端に梁20をT字形に連結する構造である。
図8(a)に示すように、連結金具50は、梁20の底面に突出して設けられる逆U字型の第1金具51と、梁20の内部に挿入される平板の第2金具52とから構成されている。これら第1金具51と第2金具52はボルトで締結されており、梁20の底面に固定されている。また、第1金具51は支柱10の上端に挿入されており、第1金具51と支柱10とがボルト40で締結されることにより、支柱10と梁20とが連結されている。
【0027】
図8(b)に示すように、本実施形態においても、支柱10のボルト40が挿入される面(
図8(b)における左右両面)には、その内側に凹んだ凹板11が、支柱10の長手方向(
図8(b)における紙面に対して垂直方向)に沿って長手方向の全域に形成されている。ただし、上記実施形態とは異なり、凹板11の幅寸法が支柱10の幅寸法と同一となっている。また、表板12は、支柱10の幅寸法と同一の幅寸法を有する長尺の板部材であり、支柱10とは別部材として形成されている。表板12の左右両側縁には、嵌合溝18が形成されており、この嵌合溝18に、凹板11の開口部の両側縁がスライド嵌合されている。そして、凹板11および表板12により空洞部13が形成されている。
【0028】
本実施形態においても、ボルト40は、表板12に形成されたボルト孔から挿入され、軸部41が凹板11の孔15を通り第1金具51のネジ穴14に螺合されている。これにより凹板11と連結金具50とが締結され、支柱10と連結金具50とが固定されている。そして、上記ボルト40は、その頭部42が空洞部13に収められ、表板12から突出しないようになっている。また、頭部42には、ボルトキャップ43が被せられている。
【0029】
ここで、本実施形態では空洞部13が幅広に形成されているため、2本のボルト40が支柱10の短尺方向に並べて締結されている。このように、複数のボルトを枠材の長尺方向に並べて締結する以外に、枠材の短尺方向に並べて締結してもよい。
【0030】
なお、本実施形態においても、外観においてボルト40が目立たず、ボルト40の締結による支柱10の窪みが支柱10の表面に表れず、意匠性に優れている。また、ボルト40が露出していないので腐食しにくい。さらに、ボルトキャップ43を取り外すことで、ボルト40の頭部42が露出するので、ボルト40の増し締めなどのメンテナンスや、解体を容易に行うことができる。
【符号の説明】
【0031】
10 支柱
11 凹板
12 表板
13 空洞部
20 梁
30 連結金具
40 ボルト
41 軸部
42 頭部
43 ボルトキャップ
43a ボルトキャップの頭頂面