(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5686816
(24)【登録日】2015年1月30日
(45)【発行日】2015年3月18日
(54)【発明の名称】複数のセルの構造高さが低減されたシステムの製造方法
(51)【国際特許分類】
H01M 2/20 20060101AFI20150226BHJP
【FI】
H01M2/20 A
【請求項の数】9
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2012-543565(P2012-543565)
(86)(22)【出願日】2010年11月17日
(65)【公表番号】特表2013-514611(P2013-514611A)
(43)【公表日】2013年4月25日
(86)【国際出願番号】EP2010067693
(87)【国際公開番号】WO2011072974
(87)【国際公開日】20110623
【審査請求日】2012年7月18日
(31)【優先権主張番号】102009058883.3
(32)【優先日】2009年12月18日
(33)【優先権主張国】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】508097870
【氏名又は名称】コンチネンタル オートモーティヴ ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング
【氏名又は名称原語表記】Continental Automotive GmbH
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【弁理士】
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100099483
【弁理士】
【氏名又は名称】久野 琢也
(72)【発明者】
【氏名】スィモン アブラハム
(72)【発明者】
【氏名】ネヴザト ギューナー
(72)【発明者】
【氏名】ハンス−ゲオルク シュヴァイガー
(72)【発明者】
【氏名】シュテファン ティルマン
【審査官】
▲高▼橋 真由
(56)【参考文献】
【文献】
国際公開第2006/109610(WO,A1)
【文献】
国際公開第2009/082957(WO,A1)
【文献】
特開2004−178860(JP,A)
【文献】
国際公開第2008/144994(WO,A1)
【文献】
特開2005−116434(JP,A)
【文献】
特開2007−242376(JP,A)
【文献】
特表2009−519565(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 2/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
出力点(3)にて突出する第1セル引出し導電部(2)を有する第1セル(1)と、出力点(7)にて突出する第2セル引出し導電部(6)を有する第2セル(5)と、を備えるシステム(100)を製造する方法において、
前記第1セル引出し導電部と前記第2セル引出し導電部は、上限(40;80)と下限(41;81)とを有するそれぞれ1つの端部(4;8)を有しており、
前記両端部(4;8)はそれぞれ、各セル引出し導電部のうち前記出力点とは反対の領域に設けられており、前記下限(41;81)は前記上限(40;80)よりも前記出力点に近く、
a)前記第1セルおよび前記第2セルを、前記第1セル引出し導電部と第2セル引出し導電部が第1軸(x)の方向に延在するように、かつ互いに間隔を置いているように配置し、
b)接続装置(10)の、第2軸(y)の方向に可動の第1コンポーネント(11)を、前記第1セル引出し導電部(2)に当接させ、前記接続装置の第2コンポーネント(12)を、前記第2セル引出し導電部(6)に当接させ、これによって前記第1セル引出し導電部と前記第2セル引出し導電部は、前記第2軸に沿って見た場合に前記第1コンポーネントと前記第2コンポーネントとの間に位置決めされ、
c)前記第1コンポーネント(11)によって前記第1セル引出し導電部(2)を前記第2セル引出し導電部(6)の方向に押圧し、前記第2コンポーネント(12)を動かすことによって、および/または、前記第1セルと前記第2セルとを前記第2コンポーネントの方向に動かすことによって、前記第2セル引出し導電部(6)を前記第1セル引出し導電部(2)の方向に押圧し、この際に前記第1セル引出し導電部と前記第2セル引出し導電部とは、前記出力点(3;7)の領域で前記第2軸(y)の方向に屈曲され、
d)前記第1コンポーネント(11)および前記第2コンポーネント(12)によって前記両端部(4;8)を互いに押し合わせ、前記両端部にエネルギを印加することによって接続(48)を形成し、前記両端部が接続される際に、前記第1セル引出し導電部と前記第2セル引出し導電部とは、それぞれの前記下限(41;81)の領域で前記第1軸(x)の方向に屈曲(42;82)され、前記第1軸(x)の方向と、前記第2軸(y)の方向とは互いに垂直をなす、
ことを特徴とする方法。
【請求項2】
前記第2軸(y)は水平成分を有している、
ことを特徴とする請求項1記載の方法。
【請求項3】
前記接続(48)は、素材結合による接続である、
ことを特徴とする請求項1または2記載の方法。
【請求項4】
前記接続装置(10)は超音波溶接装置であり、前記第1コンポーネント(11)はソノトロード(110)を含み、前記第2コンポーネント(12)はアンビル(120)を含む、
ことを特徴とする請求項1から3のいずれか一項記載の方法。
【請求項5】
前記第1セル引出し導電部と前記第2セル引出し導電部とを接続する前に、該第1セル引出し導電部と該第2セル引出し導電部との間に屈曲補助装置(9)を配置する、
ことを特徴とする請求項1から4のいずれか一項記載の方法。
【請求項6】
前記屈曲補助装置は、バー形状(90,90’)またはT字形(91)に構成されている、
ことを特徴とする請求項5記載の方法。
【請求項7】
前記第1セル引出し導電部の端部と前記第2セル引出し導電部の端部とを接続した後、これらの端部を前記下限に沿って折り畳む(49)、
ことを特徴とする請求項1から6のいずれか一項記載の方法。
【請求項8】
互いに接続された前記第1セル引出し導電部(2)と前記第2セル引出し導電部(6)とを、カバー(101)によって覆う、
ことを特徴とする請求項1から7のいずれか一項記載の方法。
【請求項9】
前記第1セルおよび前記第2セルはそれぞれ1つのバッテリセルまたはバッテリである、および/または、前記第1セル引出し導電部および前記第2セル引出し導電部は金属製の導体シートである、
ことを特徴とする請求項1から8のいずれか一項記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の対象は、請求項1に記載のセル引出し導電部を接続するための方法、ならびに、請求項10に記載の、第1セル引出し導電部と第2セル引出し導電部とを介して互いに接続された第1セルと第2セルを備えたシステムである。
【0002】
バッテリの容量を高めるために、種々のバッテリセルまたは例えば燃料電池セルのような別のセルが互いに直列または並列に接続される。このために、バッテリ、バッテリセル、燃料電池セル等として構成されたセルはセル引出し導電部を有する。セル引出し導電部は、セルの外側へと導かれ、別のセルと接続するために使用されるものである。引出し導電部は、例えば銅またはアルミニウムまたはこれらの合金からなる厚さ1cm未満の導体シートであることが多い。
【0003】
セル引出し導電部を互いに接続するために、素材結合による接続が行われることが多い。この場合、第1のセルのセル引出し導電部と隣接する第2のセルのセル引出し導電部とが、超音波溶接装置を用いて互いに素材結合によって接続される。超音波溶接装置は、大抵は位置固定されているアンビルと、可動のソノトロードと、超音波溶接工程を実施しかつソノトロードの動きを制御するための制御装置とを有する。
【0004】
超音波溶接装置ないし一般的には接続装置の形状に基づき、セル引出し導電部はセルから非常に長く突出しているか、または第1セルおよび第2セルからなるシステムの構造高さが高くなっている。なぜならアンビルは、第1セルおよび第2セルと単純に屈曲されたセル引出し導電部との間に動かされ、その後ようやく、第1セル引出し導電部と第2セル引出し導電部とを互いに接続するためにソノトロードがアンビルへと動かされるからである。
【0005】
アンビルがセルとセル引出し導電部との間に配置されない上述した第1の解決方法の場合には、セル引出し導電部の余分な材料が問題となり、この余分な材料は、構造高さを製品に適切な高さにするためにさらに処理しなければならない。アンビルがセルとセル引出し導電部との間に差し込まれる第2の解決方法においても同様のことが当てはまる。
【0006】
少なくとも1つの第1セルおよび第2セルからなるこのようなシステムにおける構造高さは、とりわけバッテリのエネルギ密度を高めるためには非常に重要である。
【0007】
本発明の課題は、上述した欠点を有さず、それぞれ1つのセル引出し導電部を備えた第1セルおよび第2セルからなるシステムの構造高さを低減することができる方法を提供することである。本発明のさらなる課題は、構造高さが低減されたシステムを提供することである。
【0008】
これらの課題は、請求項1の特徴部分に記載の方法、ならびに、請求項10の特徴部分に記載のシステムによって解決される。
【0009】
有利には本発明の方法によって製造されたシステムであって、出力点にて突出する第1セル引出し導電部を備えた第1セルと、出力点にて突出する第2セル引出し導電部を備えた第2セルとからなるシステムにおいて、前記第1セル引出し導電部と前記第2セル引出し導電部は、上限と下限によって画定されているそれぞれの端部領域に沿って互いに接続されており、前記端部領域はそれぞれ、各セル引出し導電部のうち前記出力点とは反対の領域に設けられており、前記下限は前記上限よりも前記出力点に近い、システムは、前記第1セル引出し導電部および前記第2セル引出し導電部を少なくとも2回屈曲することによって、より低い構造高さを達成することができる。この場合屈曲部は、一方は出力点の領域に、他方は端部の下限の領域に位置している。
【0010】
このためにまず第1セルおよび第2セルは、第1セル引出し導電部と第2セル引出し導電部が第1軸に沿って、または第1軸の方向に伸長するように、かつ互いに間隔を置いているように配置される。
【0011】
その後、接続装置の第1コンポーネントが、有利には第1軸に対して垂直である第2軸の方向に向かって、第1セル引出し導電部に当接される。さらに接続装置の第2コンポーネントが第2セル引出し導電部に当接され、したがって第1セル引出し導電部と第2セル引出し導電部は、第2軸に沿って見た場合に第1コンポーネントと第2コンポーネントとの間に位置決めされている。この場合前記当接は、第1セルおよび第2セルが接続装置へと動かされるようにして行うことも可能である。その後、第1コンポーネントによって第1セル引出し導電部が第2セル引出し導電部の方向に押圧される。つまり接続装置の第1コンポーネントは、後々に接続を形成するためだけに使用されるのではなく、第1セル引出し導電部を位置決めするための形状を形成する役割も有している。第1コンポーネントの押圧に加えて、第2コンポーネントを第1コンポーネントの移動方向と逆方向に動かすことによって、および/または、第1セルと第2セルとを第2コンポーネントの方向に動かすことによって、第2セル引出し導電部が第1セル引出し導電部の方向に押圧される。第1セルと第2セルとを第2コンポーネントの方向に動かす場合には、セル引出し導電部のうち、第2コンポーネントと第2セルの間で部分的に挟まれ、かつ、セルから突出する構成部材も同様に押圧される。第2コンポーネントによる能動的な押圧と、第2コンポーネントの方向への第1セルおよび第2セルの移動(または受動的な押圧でもある)とは、時間的に同時に行うことができる。
【0012】
第1コンポーネントと第2コンポーネントは互いの方に向かって移動し、この際に第1セル引出し導電部と第2セル引出し導電部とが互いに接するように動く。ここで第1セル引出し導電部と第2セル引出し導電部は、それぞれ出力点の領域において屈曲される。ここでの屈曲は、若干カーブされた屈曲だけでなく、セル引出し導電部のうちセルの中に配置されている部分に対してセル引出し導電部の方向を変化させることであるとも理解することができる。
【0013】
屈曲は、セル引出し導電部が各セルと押圧された各コンポーネントとの間で挟まれ、出力点を支点として行われる回転運動を強いられることによって実現することができる。したがってこのことから、第1コンポーネントおよび第2コンポーネントないし第1セルおよび第2セルは、第1セル引出し導電部ないし第2セル引出し導電部が出力点の領域で損傷することがないよう高速で動き過ぎないように注意すべきである。このことは有利には、平坦なセル引出し導電部を使用することによって阻止することができる。第1コンポーネントおよび第2コンポーネントが、第1セル引出し導電部および第2セル引出し導電部を互いの方に向かって動かした後、第1コンポーネントと第2コンポーネントとの間で端部領域が互いに押し合わされる。この場合有利には、第1セル引出し導電部の端部と第2セル引出し導電部の端部とが、上限と下限の間の部分において表面接続される。この接続は有利には素材結合による接続であり、第1コンポーネントと第2コンポーネントとの間でこれらの端部にエネルギ(熱エネルギ、摩擦エネルギ)が印加され、これによって最終的に接続される、ないし素材結合によって接続される。
【0014】
端部の形状と第1および第2コンポーネントの形状に基づき、接続される直前またはその最中に、それぞれの下限の領域においてもさらなる屈曲がおこなわれる。したがって第1セルおよび第2セルとセル引出し導電部とからなるシステムは、第1セル引出し導電部ならびに第2セル引出し導電部にて、それぞれ出力点の領域における屈曲部と、下限の領域における屈曲部とを有する。
【0015】
上述したように接続装置、とりわけ接続装置の第1および第2コンポーネントは、一方では第1および第2セル引出し導電部の位置決めのため、つまり、セル引出し導電部を互いの方に向かって動かすために使用されると同時に、接続を形成するためにも使用される。これはとりわけ第1コンポーネントを可動に構成して、第2コンポーネントも同様に可動に構成することによって、および/または、第1セルと第2セルとを第2コンポーネントの方向へ可動にすることによって実施される。
【0016】
このことを例を挙げて詳細に説明する。第1コンポーネントは、速度V
1でy方向に移動する。そして、一方では第2コンポーネントを速度V
1で−y方向に移動させることができるか、または他方では、第1セルおよび第2セルを、0.5×V
1の速度で同様にy方向に移動させることができる。これによって両セルと第1コンポーネントとの間の相対速度はy方向に0.5V
1となり、両セルと第2コンポーネントとの間の相対速度は−y方向に0.5V
1となる。第1軸と第2軸は異なる方向に延在しているので、第1コンポーネントと第2コンポーネントは、セル引出し導電部の方向に見て側方のコンポーネントによってセル引出し導電部へ向かって動かされ、第1セル引出し導電部と第2セル引出し導電部が接続されるまで、互いの方に向かって動かされた後押圧される。
【0017】
したがってもはや、バッテリとセル引出し導電部との間にアンビルを配置する必要はなくなる。しかしながら第1セルおよび第2セルが同様に機能する。なぜなら第1セルおよび第2セルはセル引出し導電部を保持し、これによって出力点の領域においてセル引出し導電部を屈曲するための支点ないし回転点を規定するからである。
【0018】
上述した方法によって、それぞれ1つの第1セル引出し導電部を備えた第1セルおよび第2セル引出し導電部を備えた第2セルからなる特に平坦なシステムを形成することができ、この際第1セル引出し導電部と第2セル引出し導電部はそれぞれ2つの屈曲部を有している。
【0019】
さらなる実施例は従属請求項に記載されている。第1実施例においては第2軸は水平方向に延在している、ないしは水平成分を有する。このことは特に、バッテリを地面に配置することができ、例えばコンベアベルトによって動かすことができるか、または、第1コンポーネントと第2コンポーネントを有利には水平線に対して平行に互いの方に向かって移動させることができるという利点を有する。
【0020】
別の1つの実施例においては接続は、上述したように素材結合による接続である。素材結合による接続は、例えばセル引出し導電部の溶接によって、または、セル引出し導電部の機械的な摩擦によって形成することができる。第1セル引出し導電部と第2セル引出し導電部とが機械的な摩擦によって接続される方法は、超音波溶接である。この場合には接続装置は超音波溶接装置であり、第1コンポーネントはソノトロードを含み、第2コンポーネントはアンビルを含む。第1コンポーネントと第2コンポーネントの間に、それぞれの第1セル引出し導電部と第2セル引出し導電部の端部全体を位置決めすることができる。この際下限は、第1および第2コンポーネントの下側の縁部である。
【0021】
別の1つの実施例においては、第1セル引出し導電部と第2セル引出し導電部とを接続する前に、これらの間に屈曲補助装置が配置される。屈曲補助装置は出力点の領域における屈曲を改善し、端部の本来の接続の前に、この端部の領域において屈曲部を成形させるために使用される。これによって一方では屈曲の幾何形状が予め定められ、したがってその後の接続の際には、2つの端部はすでに互いに平行に配向されるようになる。屈曲補助装置は、例えばバー形状またはT字形形状として構成することができる。
【0022】
別の1つの実施例においては、互いに接続された第1セル引出し導電部と第2セル引出し導電部の端部が、再度下限に沿って折り畳まれる。これによって構造高さをさらに低減することができる。
【0023】
別の1つの実施例においては、第1セル引出し導電部と第2セル引出し導電部とがさらにカバーによって覆われており、このカバーは一方では保護機能のため、他方では構造高さを付加的に低減する役割のために適当なものである。
【0024】
以下、本発明を実施例に基づいてより詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【
図1】
図1A〜Iは、本発明の方法の1つの実施例のフローを例として概略的に示す図である。
【
図2】
図2は、2つ以上のセルからなるシステムの1つの実施例を示す図である。
【0026】
図1Aには、金属製の導体シートとして形成されたセル引出し導電部2を備えた第1セル1が図示されており、第1セル1はバッテリセルである。セル引出し導電部2は、出力点3において第1セル1から出ている。セル引出し導電部2のx方向に見た上端には、上限40と下限41によって画定されている端部4が位置している。この際下限41の方が出力点3により近い。第1セル1と同様に、同じくバッテリセルである第2セル5が図示されている。第2セル5も同じく第2セル引出し導電部6を含み、第2セル引出し導電部6は出力点7において第2セル5から出ている。端部8は、端部4に対称の上限80と下限81とを有する。バッテリとして、例えば、アルミニウムおよび選択的にニッケルメッキされた銅からなるフラット引出し導電部(TABS:Thermoactive component systems)を備えるアルミニウム複合シート(パウチセル)におけるフラットセルを使用することができる。一般的にリチウムイオン、NiCd、NiMH、鉛、ニッケル/亜鉛、亜鉛/空気、リチウム/空気、アルミニウムバッテリのようなバッテリを使用することができるだけでなく、スーパーキャパシタおよび燃料電池も使用することができる。
【0027】
第1セル引出し導電部2と第2セル引出し導電部6は、x軸に平行な第1軸に沿って伸長している。これに加えて第1セル引出し導電部2と第2セル引出し導電部6は、y軸によって規定される第2軸に沿って互いに間隔を置いている。
【0028】
第1セル引出し導電部2の左側には、接続装置10の第1コンポーネント11が配置されている。これと同様に第2セル引出し導電部6の右側には、接続装置の第2コンポーネント12が配置されている。第1コンポーネント11も第2コンポーネント12も、y方向の第2軸に沿って互いの方に向かって移動させることができる。この移動は、マイクロプロセッサ制御装置を使用する制御装置13によって制御される。
【0029】
図示した接続装置は、超音波溶接装置である。第1コンポーネント11はソノトロード110を含み、ソノトロード110はx方向に見て第1コンポーネント11の下縁に位置する。x方向に見て同じ高さに、第2コンポーネント12に割り当てられたアンビル120が配置されている。
【0030】
ソノトロード110とアンビル120は、各セル引出し導電部2,6の端部の下限41,81よりもさらに下に位置決めされている。後続の図面に図示された押圧工程によって初めて、端部領域4ないし8はソノトロード110ないしアンビル120の領域に移動し、後続の成形後に互いに接続される。
【0031】
図1Bでは、第1セル引出し導電部2と第2セル引出し導電部6との間に位置決め用の補助装置9が設けられている。位置決め用の補助装置はT字形に構成されており、ここでは第1セル1ないし第2セル5の上にバー90ないし90’が載置されており、中央バー91がx方向に伸長している。さらに第1コンポーネント11と第2コンポーネント12が第1セル引出し導電部ないし第2セル引出し導電部に接近するよう動かされ、現在はそれぞれ接触している様子が明らかに見て取れる。
【0032】
その後第1コンポーネント11と第2コンポーネント12は、y方向に見てさらに互いの方に向かって動かされる。このことは
図1Cに図示されている。第1コンポーネント11をy方向に動かし、第2コンポーネント12を−y方向に動かすことによって、第1セル引出し導電部2ないし第2セル引出し導電部6はそれぞれの出力点の領域で屈曲される。この屈曲部は、第1セル引出し導電部2に関しては参照符号30で、第2セル引出し導電部6に関しては参照符号70で示している。
【0033】
第1コンポーネントないし第2コンポーネントの下縁はx方向に持ち上げられることなくy方向に沿って動かされ、かつ、セル引出し導電部2,6は出力点の領域で屈曲されるだけで端部と出力点との間における自身の形状を維持することができるので、上記屈曲が実施できる。
【0034】
屈曲の形状は、屈曲補助装置9によって補助される。屈曲補助装置9は、とりわけ、曲げられる屈曲部30ないし70の所期の幾何形状のために使用される。
【0035】
図1Cに図示された状態に引き続き、第1コンポーネント11と第2コンポーネント12は、端部領域4と端部領域8が屈曲補助装置9の中央バーに当接するまで互いの方に向かって動かされる。このことは
図1Dに図示されている。しかしながらここで注意すべきことに、端部4ないし端部8は、屈曲補助装置9を取り離すことができなくなるほど屈曲補助装置9に対して強く動かされるわけではない。
【0036】
図1Eには、屈曲補助装置9が、例えば図平面に対して垂直に手前に引き出すことによって取り離された時点が図示されている。屈曲部30ないし70に加えて、端部4,8の下限にさらなる屈曲部42ないし82が設けられている様子が明らかに見て取れる。
【0037】
その後、第1コンポーネント11と第2コンポーネント12は、第1セルおよび第2セル引出し導電部のそれぞれの端部が互いに当接するまで、さらに互いの方に向かって接近するよう動かされる。第1セル引出し導電部と第2セル引出し導電部とが互いに当接するとすぐに、ソノトロード110にエネルギが印加され、機械的な摩擦に基づいて第1セル引出し導電部と第2セル引出し導電部とが素材結合によって接続される。
【0038】
この方法ステップは、
図1Fに図示されている。上に説明した方法によって製造されたシステム100は、
図1Gに図示されている。システム100は、第1セル1および第2セル5と第1セル引出し導電部2および第2セル引出し導電部6とを含み、第1セル引出し導電部2は第1屈曲部30と第2屈曲部42を有する。第2セル引出し導電部6は第1屈曲部70と第2屈曲部82を有する。
図1A〜Eでは見ることができた端部4および8は、接続されて1つの共通の接続部48となっている。
【0039】
構造高さをさらに低減するために、
図1Hに図示されるように接続部48を、さらなる折り畳み49によって屈曲することができる。折り畳み49はこの場合、x軸からy軸方向への時計回りの回転運動を表す。
【0040】
構造高さを低減するための別の択一的手段は、カバー101によって達成することができる。カバー101は接続部48を押圧し、したがって第1セル引出し導電部2と第2セル引出し導電部6の2つの出力点の間に位置する構造全体をさらに下へと押圧する。もちろん、
図1Hおよび1Iに図示した特徴を共に組み合わせることができる。つまり、まず折り畳み49を実施し、その後互いに接続されたセル引出し導電部をカバー101によって覆うことができる。
【0041】
このように、
図1A〜Iに図示した方法によって特に平坦に互いに接続された導体シートないしセル引出し導電部を製造することが可能となる。
【0042】
図2に基づき、システム100を形成する1つ以上の第1セルおよび第2セルを互いに接続するのに適当な方法を説明する。システム100に対して左隣のシステム100’ないし右隣のシステム100’’が図示されており、ここではシステム100’およびシステム100’’は完全には図示されていない。システム100’は完全には図示されておらず、該システム100’の第2セル引出し導電部6’を備える第2セルだけが図示されている。
図1A〜Iにて説明したような方法が適用された場合、第2セル引出し導電部6’は反時計回りに屈曲され、図示されていないシステム100’の第1セルと接続されることとなる。これと同様にシステム100’’の第1セル1’’の第1セル引出し導電部2’’は、時計回りに屈曲されることとなる。第1セル1と第2セル5’との間の接続は、第1セル引出し導電部2ないし第2セル引出し導電部6’とは別個に形成された、図平面において図示のセル引出し導電部2ないし6’の後方に位置するセル引出し導電部によって行われる。同様のことが、第2セル5と第1セル1’’との間の接続にも当てはまる。
【0043】
本発明の方法および本発明のシステムないしこれらの実施例によれば、個々のセルのどの極を互いに接続するかに応じて、複数のセルを互いに直列にも並列にも接続することができる。2つのセルを有するシステムの場合には、それぞれ並列に接続されたセルのブロックを互いに直列に接続することができる。これによって電圧源のための計算規則に基づいて望みの容量または電圧を実施できる。
【0044】
システムにおいて互いに直列および/または並列に接続されるセルの数は、2と百ないし千の間とすることができる。例えば数千個の並列に接続されたセルを備えるシステムは、とりわけ定置用途のために重要である。
【符号の説明】
【0045】
1、1’’ 第1セル
2、2’’ 第1セル引出し導電部
3 出力点
4 端部
5、5’’ 第2セル
6、6’’ 第2セル引出し導電部
7 出力点
8 端部
9 屈曲補助装置
10 接続装置
11 第1コンポーネント
12 第2コンポーネント
13 制御装置
30、70、42、82 屈曲部
40、80 上限
41、81 下限
90、90’、90’’ バー
100、100’、100’’ システム
110 ソノトロード
120 アンビル