特許第5686959号(P5686959)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5686959
(24)【登録日】2015年1月30日
(45)【発行日】2015年3月18日
(54)【発明の名称】車両用ミラー装置
(51)【国際特許分類】
   B60R 1/074 20060101AFI20150226BHJP
【FI】
   B60R1/074
【請求項の数】4
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2009-150215(P2009-150215)
(22)【出願日】2009年6月24日
(65)【公開番号】特開2011-5915(P2011-5915A)
(43)【公開日】2011年1月13日
【審査請求日】2011年10月17日
【審判番号】不服2014-133(P2014-133/J1)
【審判請求日】2014年1月6日
(73)【特許権者】
【識別番号】000003551
【氏名又は名称】株式会社東海理化電機製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100079049
【弁理士】
【氏名又は名称】中島 淳
(74)【代理人】
【識別番号】100084995
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 和詳
(74)【代理人】
【識別番号】100099025
【弁理士】
【氏名又は名称】福田 浩志
(72)【発明者】
【氏名】吉田 茂樹
(72)【発明者】
【氏名】市川 貴茂
【合議体】
【審判長】 大熊 雄治
【審判官】 鳥居 稔
【審判官】 平田 信勝
(56)【参考文献】
【文献】 特開2005−178656(JP,A)
【文献】 特開平7−206495(JP,A)
【文献】 特開2007−230350(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60R 1/074
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両のミラーと一体回動可能にされた回動部材と、
前記回動部材に設けられ、本体部から出力軸が延出されたモータと、
前記出力軸に連絡され、前記モータが駆動された際に前記出力軸が回転されて作動されることで前記回動部材が回動されて前記ミラーが格納又は起立されると共に前記モータに作動力を作用させる回動機構と、
前記回動部材に設けられ、前記本体部に前記作動力の前記出力軸軸直角方向成分側への弾性力を作用させる弾性手段と、
前記回動部材に設けられ、前記弾性手段の弾性力による前記本体部の移動を制限する制限部と、
を備えた車両用ミラー装置。
【請求項2】
前記回動部材は、前記モータへの前記出力軸軸方向における前記作動力の作用を制限する請求項1記載の車両用ミラー装置。
【請求項3】
前記回動部材に設けられ、前記本体部に前記出力軸軸方向側への弾性力を作用させる追加弾性手段と、
前記回動部材に設けられ、前記追加弾性手段の弾性力による前記本体部の移動を制限する追加制限部と、
を備えた請求項1又は請求項2記載の車両用ミラー装置。
【請求項4】
前記追加制限部は、前記出力軸軸直角方向側へ弾性変形可能にされた請求項3記載の車両用ミラー装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両のミラーが格納又は起立される車両用ミラー装置に関する。
【背景技術】
【0002】
車両用ミラー装置としては、モータが駆動されることで、モータベースが回動されて、車両のミラーが格納又は起立されるものがある(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
この車両用ミラー装置では、モータベースの嵌合筒内にモータの本体部が嵌合されることで、モータベースにモータの本体部が固定されている。
【0004】
しかしながら、この車両用ミラー装置では、モータベースの嵌合筒の寸法やモータの本体部の寸法に発生する公差が大きくなると、モータベースの嵌合筒に対してモータの本体部がガタ付いて、モータベースにモータの本体部を適切に固定できない可能性がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2002−274267公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、上記事実を考慮し、回動部材にモータの本体部を適切に固定できる車両用ミラー装置を得ることが目的である。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1に記載の車両用ミラー装置は、車両のミラーと一体回動可能にされた回動部材と、前記回動部材に設けられ、本体部から出力軸が延出されたモータと、前記出力軸に連絡され、前記モータが駆動された際に前記出力軸が回転されて作動されることで前記回動部材が回動されて前記ミラーが格納又は起立されると共に前記モータに作動力を作用させる回動機構と、前記回動部材に設けられ、前記本体部に前記作動力の前記出力軸軸直角方向成分側への弾性力を作用させる弾性手段と、前記回動部材に設けられ、前記弾性手段の弾性力による前記本体部の移動を制限する制限部と、を備えている。
【0008】
請求項2に記載の車両用ミラー装置は、請求項1に記載の車両用ミラー装置において、前記回動部材は、前記モータへの前記出力軸軸方向における前記作動力の作用を制限する。
【0009】
請求項3に記載の車両用ミラー装置は、請求項1又は請求項2に記載の車両用ミラー装置において、前記回動部材に設けられ、前記本体部に前記出力軸軸方向側への弾性力を作用させる追加弾性手段と、前記回動部材に設けられ、前記追加弾性手段の弾性力による前記本体部の移動を制限する追加制限部と、を備えている。
【0010】
請求項4に記載の車両用ミラー装置は、請求項3に記載の車両用ミラー装置において、前記追加制限部は、前記出力軸軸直角方向側へ弾性変形可能にされている。
【発明の効果】
【0011】
請求項1に記載の車両用ミラー装置では、車両のミラーと回動部材とが一体回動可能にされており、回動部材にモータが設けられている。さらに、モータでは本体部から出力軸が延出されており、出力軸には回動機構が連絡されている。これにより、モータが駆動された際に、出力軸が回転されて、回動機構が作動されることで、回動部材が回動されて、ミラーが格納又は起立される。
【0012】
また、モータが駆動された際に、回動機構がモータに作動力を作用させる。
【0013】
ここで、回動部材に設けられた弾性手段が、本体部に当該作動力の出力軸軸直角方向成分側への弾性力を作用させる。さらに、回動部材に設けられた制限部が、弾性手段の弾性力による本体部の移動を制限する。
【0014】
このため、回動部材の寸法や本体部の寸法に出力軸軸直角方向側への公差が発生していても、弾性手段の弾性力によって当該公差を吸収できると共に、本体部が当該作動力によって出力軸軸直角方向側へ移動されることを制限部が抑制できる。これにより、回動部材に対して本体部が出力軸軸直角方向側へガタ付くことを抑制でき、回動部材に本体部を適切に固定できる。
【0015】
請求項2に記載の車両用ミラー装置では、モータへの出力軸軸方向における当該作動力の作用を回動部材が制限する。このため、モータが当該作動力によって出力軸軸方向へ移動されることを抑制でき、回動部材に本体部を一層適切に固定できる。
【0016】
請求項3に記載の車両用ミラー装置では、回動部材に設けられた追加弾性手段が、本体部に出力軸軸方向側への弾性力を作用させる。さらに、回動部材に設けられた追加制限部が、追加弾性手段の弾性力による本体部の移動を制限する。
【0017】
このため、回動部材の寸法や本体部の寸法に出力軸軸方向側への公差が発生していても、追加弾性手段の弾性力によって当該公差を吸収できる。これにより、回動部材に対して本体部が出力軸軸方向側へガタ付くことを抑制でき、回動部材に本体部を一層適切に固定できる。
【0018】
請求項4に記載の車両用ミラー装置では、追加制限部が出力軸軸直角方向側へ弾性変形可能にされている。このため、追加制限部を一時的に出力軸軸直角方向側へ弾性変形させることで、回動部材に本体部を容易に組み付けることができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】本発明の実施の形態に係るドアミラー装置における格納機構の主要部を示す車両後斜め左方から見た斜視図である。
図2】本発明の実施の形態に係るドアミラー装置における格納機構を示す車両後方から見た断面図である。
図3】本発明の実施の形態に係るドアミラー装置における格納機構の主要部を示す上方から見た平面図である。
図4】本発明の実施の形態に係るドアミラー装置を示す車両後方から見た正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
図2には、本発明の実施の形態に係るドアミラー装置10(車両用ミラー装置)の主要部が車両後方から見た断面図にて示されており、図4には、ドアミラー装置10が車両後方から見た正面図にて示されている。なお、図面では、車両前方を矢印FRで示し、車幅方向外方(車両右方)を矢印OUTで示し、上方を矢印UPで示している。
【0021】
本発明の実施の形態に係るドアミラー装置10は、車両のドアとしてのサイドドア(特にフロントサイドドア)の上下方向中間部かつ車両前側端に設けられて、車両外側に配置されている。
【0022】
図4に示す如く、ドアミラー装置10は、ステー12を備えており、ステー12の車幅方向内側端がサイドドアに固定されることで、ドアミラー装置10がサイドドアに固定されている。
【0023】
ステー12の車幅方向内側部分の上側には、格納機構14(電動格納機構)が支持されている。
【0024】
図2にも示す如く、格納機構14には、金属製の支持体16(スタンド)が設けられている。支持体16の下端には、固定部18が設けられており、固定部18がステー12に固定されることで、支持体16がステー12に固定されて、格納機構14がステー12に支持されている。固定部18の上側には、円筒状の支持軸20が設けられており、支持軸20は、固定部18と一体にされて、固定部18から上方に起立されている。
【0025】
支持軸20には、図2に詳細に示す回動体22が支持されている。
【0026】
回動体22の下側部分には、支持部材としての樹脂製で容器状のケース24(図3参照)が設けられており、ケース24の上面は、開放されている。ケース24の車幅方向内側部分には、支持軸20が貫通かつ嵌合されており、ケース24は、支持軸20に回動可能に支持されている。ケース24の下壁には、車幅方向外側部分において、円柱状の軸支孔26が形成されており、軸支孔26は、上側に開放されている。
【0027】
ケース24の上端内には、回動部材としての樹脂製で板状のモータベース28が嵌入(圧入)されており、モータベース28は、ケース24の上面を被覆している。モータベース28の車幅方向内側部分は、支持軸20の上端に回転可能に支持されており、モータベース28は、支持軸20に回動可能に支持されている。モータベース28の車幅方向外側部分には、組付部としての略矩形筒状の固定筒30が一体に設けられており、固定筒30は、モータベース28から上側に突出されている。また、モータベース28には、固定筒30内の中央において、円状の貫通孔32が貫通形成されている。
【0028】
図1に示す如く、モータベース28には、固定筒30内において、追加弾性手段としての一対の下弾性爪68(樹脂ばね)が形成されており、一対の下弾性爪68は、モータベース28を構成すると共に、貫通孔32を中心とした点対称位置に配置されている。下弾性爪68の基端は、モータベース28の他の部分と一体にされており、下弾性爪68の先端以外の部分は、長尺矩形板状の下弾性板68Aにされて、肉厚方向(撓み方向)への弾性を有する一方、長手方向へは延伸不能にされている。下弾性爪68の先端は、三角柱状にされて、上側に突出されており、下弾性爪68の先端は、弾性を有していない。
【0029】
固定筒30の車両後側壁及び車幅方向内側壁には、それぞれ弾性手段としての中弾性爪70(樹脂ばね)が形成されており、一対の中弾性爪70は、固定筒30を構成している。中弾性爪70の基端(上端)は、固定筒30の他の部分と一体にされており、中弾性爪70の先端(下端)以外の部分は、長尺矩形板状の中弾性板70Aにされて、肉厚方向(撓み方向)への弾性を有する一方、長手方向へは延伸不能にされている。中弾性爪70の先端は、三角柱状にされて、固定筒30の内側に突出されており、中弾性爪70の先端は、弾性を有していない。
【0030】
固定筒30の車両前側壁から車幅方向外側壁の部分は、制限部としての制限壁30Aにされている。
【0031】
固定筒30の車両前側壁及び車両後側壁には、それぞれ追加制限部としての上弾性爪72(樹脂ばね)が一体に形成されており、一対の上弾性爪72は、それぞれ固定筒30の車幅方向中央部から上側へ延出されると共に、車両前後方向において互いに対向している。上弾性爪72の基端(下端)は、固定筒30と一体にされており、上弾性爪72の先端(上端)以外の部分は、長尺矩形板状の上弾性板72Aにされて、肉厚方向(撓み方向)への弾性を有する一方、長手方向へは延伸不能にされている。上弾性爪72の先端は、三角柱状にされて、固定筒30の内側に突出されており、中弾性爪70の先端は、弾性を有していない。上弾性爪72の先端は、断面直角三角形状にされており、上弾性爪72の先端の下面(固定筒30側の面)は、上下方向に垂直にされている。
【0032】
図2に示す如く、ケース24及びモータベース28の上側には、固定部材としての樹脂製で容器状のカバー34が設けられており、カバー34の下面は、開放されている。カバー34の下端は、ケース24の上端外周に固定されており、カバー34は、ケース24及びモータベース28の上側を被覆している。カバー34の車幅方向内側部分は、モータベース28の車幅方向内側部分を下側に押圧しており、これにより、ケース24とカバー34との間にモータベース28が挟持されて、モータベース28が回動体22内に固定されている。
【0033】
モータベース28の固定筒30部分には、モータ36が固定されている。
【0034】
図1に示す如く、モータ36には、略矩形柱状の本体部38が設けられており、本体部38が固定筒30内に上側から挿入されることで、本体部38が固定筒30内に略嵌合されて、本体部38の軸周りの回転が制限(係止)されている。本体部38が固定筒30内に上側から挿入される際には、少なくとも一方の上弾性爪72の上弾性板72Aが固定筒30の外側へ弾性変形されることで、一対の上弾性爪72の先端が本体部38の固定筒30内への挿入を制限することが防止される。また、本体部38が固定筒30内に挿入された後には、一対の上弾性爪72の上弾性板72Aの弾性変形が解除される。
【0035】
本体部38の周面には、一対の中弾性爪70の先端が当接されており、一対の中弾性爪70の中弾性板70Aが弾性変形されることで、一対の中弾性爪70が、本体部38に車両前側かつ車幅方向外側へ向かう水平方向(図1の矢印Fの方向)の弾性力(付勢力)を作用させて、本体部38の周面を固定筒30の制限壁30A(車両前側壁から車幅方向外側壁の部分)に当接させている。これにより、一対の中弾性爪70の弾性力による本体部38の水平方向への移動が制限(係止)されている。
【0036】
本体部38の下面には、一対の下弾性爪68の先端が当接されており、一対の下弾性爪68の下弾性板68Aが弾性変形されることで、一対の下弾性爪68が、本体部38に上側への弾性力(付勢力)を作用させて、本体部38の上面を一対の上弾性爪72の先端下面に当接させている。これにより、一対の下弾性爪68の弾性力による本体部38の上側への移動が制限(係止)されている。
【0037】
図2に示す如く、本体部38からは、金属製の出力軸40(シャフト)が下方へ延出されており、モータ36が駆動されることで、出力軸40が回転される。出力軸40は、モータベース28の貫通孔32を貫通されており、出力軸40は、ケース24内に挿入されている。出力軸40は、全周において貫通孔32との間に隙間が形成されており、出力軸40は、モータベース28に軸支されていない。
【0038】
出力軸40には、回動機構(ギア機構)を構成するギア部材(初段ギア)としての樹脂製のウォームギア46が設けられている。ウォームギア46には、軸心に沿って、挿入孔48が形成されており、挿入孔48には、上側から出力軸40が挿入されている。これにより、出力軸40が回転されることで、ウォームギア46が出力軸40と一体回転可能にされている。
【0039】
ウォームギア46の上端は、モータベース28に当接されており、これにより、ウォームギア46の上側への移動がモータベース28によって制限(係止)されている。なお、出力軸40は、挿入孔48の下端まで挿入されておらず、出力軸40とウォームギア46との間では、出力軸40に対するウォームギア46の上側(本体部38側)への移動が許容される構成にされている。
【0040】
ウォームギア46の下部には、円筒状の軸支部46Aが形成されており、軸支部46Aは、ケース24下壁の軸支孔26に嵌入されている。これにより、軸支部46Aが軸支孔26に回転自在に軸支されると共に、ウォームギア46の下側への移動がケース24の下壁によって制限(係止)されている。
【0041】
軸支部46A内には、挿入孔48の下部が形成されて、出力軸40の下部が挿入されており、軸支部46Aの軸支孔26による軸支位置と出力軸40下部の挿入孔48下部への挿入位置とは、ウォームギア46及び出力軸40の軸方向(上下方向)において一致(ラップ)している。これにより、出力軸40の下部が、ウォームギア46の軸支部46Aを介して、ケース24(軸支孔26)に回転自在に軸支されている。
【0042】
図2及び図3に示す如く、ケース24内には、回動機構を構成する連絡ギア(中間ギア)としてのウォームシャフト54が設けられている。ウォームシャフト54には、金属製で円軸状のギア軸56が設けられており、ギア軸56は、両端において、ケース24内に回転自在に軸支されている。ギア軸56の一端側部分には、樹脂製のヘリカルギア部58(ウォームホイールギア)が固定されており、ギア軸56の他端側部分には、樹脂製のウォームギア部60が固定されている。ヘリカルギア部58は、ウォームギア46の軸方向中間部に噛合されており、ウォームギア46が回転されることで、ヘリカルギア部58、ギア軸56及びウォームギア部60が一体回転されて、ウォームシャフト54が回転される。
【0043】
ケース24内には、回動機構を構成する固定ギア(最終ギア)としての金属製のギアプレート62が設けられている。ギアプレート62には、支持軸20が貫通されており、ギアプレート62は、支持軸20と同軸上に配置されると共に、支持軸20に対して回転不能に保持されている。ギアプレート62には、ウォームギア部60が噛合されており、ウォームギア部60が回転されることで、ウォームギア部60がギアプレート62の回りを回動される。これにより、回動体22がウォームギア部60と一体に支持軸20の回りを回動可能にされている。
【0044】
図4に示す如く、回動体22は、被覆部材としての略直方体形容器状のバイザ64の車幅方向内側部分内に収容されており、バイザ64の車両後側面は、開放されている。バイザ64内には、車両後側面(開放部分)近傍において、略矩形板状のミラー66が配置されており、バイザ64は、ミラー66の全周及び車両前側面を被覆している。ミラー66の鏡面は、車両後側へ向けられており、ミラー66によって車両の乗員(特に運転手)が車両後側を視認可能にされている。
【0045】
バイザ64及びミラー66は、回動体22に連結されており、バイザ64及びミラー66は、回動体22と一体に支持軸20の回りを回動可能にされている。このため、モータ36が駆動されて出力軸40が一方向へ回転されることで、バイザ64及びミラー66が回動体22と一体に車両後側かつ車幅方向内側へ回動される。これにより、バイザ64及びミラー66が、サイドドアに対する突出を解除されて、格納される。一方、モータ36が駆動されて出力軸40が他方向へ回転されることで、バイザ64及びミラー66が回動体22と一体に車両前側かつ車幅方向外側へ回動される。これにより、バイザ64及びミラー66が、サイドドアに対して突出されて、起立(展開、復帰)される。
【0046】
次に、本実施の形態の作用を説明する。
【0047】
以上の構成のドアミラー装置10では、格納機構14において、モータ36が駆動されて、出力軸40が回転されることで、出力軸40と一体にウォームギア46が回転されて、ウォームシャフト54が回転される(ヘリカルギア部58、ギア軸56及びウォームギア部60が一体回転される)。これにより、ウォームギア部60がギアプレート62の回りを回動されることで、回動体22がウォームギア部60と一体に支持軸20の回りを回動されて、バイザ64及びミラー66が回動体22と一体に回動される。
【0048】
このため、モータ36が駆動されて出力軸40が一方向へ回転されることで、バイザ64及びミラー66が、回動体22と一体に車両後側かつ車幅方向内側へ回動されて、格納される。一方、モータ36が駆動されて出力軸40が他方向へ回転されることで、バイザ64及びミラー66が、回動体22と一体に車両前側かつ車幅方向外側へ回動されて、起立される。
【0049】
また、モータ36が駆動されて出力軸40が一方向へ回転される際及びモータ36が駆動されて出力軸40が他方向へ回転される際には、ヘリカルギア部58からウォームギア46に車両前側かつ車幅方向外側へ向かう上側方向又は下側方向への作動力が作用する。すなわち、この作動力の水平方向(出力軸40軸直角方向)成分は、車両前側かつ車幅方向外側へ向かう水平方向(図1の矢印Fの方向)である。
【0050】
ここで、モータベース28の固定筒30内にモータ36の本体部38が挿入されており、固定筒30の一対の中弾性爪70が、本体部38に車両前側かつ車幅方向外側へ向かう水平方向(図1の矢印Fの方向)の弾性力を作用させている。さらに、本体部38の周面が固定筒30の制限壁30A(車両前側壁から車幅方向外側壁の部分)に当接されて、一対の中弾性爪70の弾性力による本体部38の水平方向への移動が制限されている。
【0051】
このため、固定筒30の寸法や本体部38の寸法に水平方向への公差が発生していても、一対の中弾性爪70の弾性力によって当該公差を吸収できると共に、本体部38が上記作動力によって水平方向へ移動されることを制限壁30Aが防止できる。これにより、モータベース28(固定筒30)に対して本体部38が水平方向へガタ付くことを抑制でき、モータベース28(固定筒30)に本体部38を適切に固定できる。
【0052】
さらに、ウォームギア46の上端がモータベース28に当接されることで、ウォームギア46からモータ36(本体部38及び出力軸40)に上記作動力が上側(出力軸40軸方向)へ作用することをモータベース28が制限する。このため、モータ36が上記作動力によって上側へ移動されることを防止でき、モータベース28(固定筒30)に本体部38を一層適切に固定できる。
【0053】
また、モータベース28(固定筒30内)の一対の下弾性爪68が、本体部38に上側への弾性力を作用させている。さらに、本体部38の上面が一対の上弾性爪72の先端下面に当接されて、一対の下弾性爪68の弾性力による本体部38の上側への移動が制限されている。
【0054】
このため、モータベース28(固定筒30及び一対の上弾性爪72を含む)の寸法や本体部38の寸法に上下方向(出力軸40軸方向)への公差が発生していても、一対の下弾性爪68の弾性力によって当該公差を吸収できる。これにより、モータベース28に対して本体部38が上下方向へガタ付くことを抑制でき、モータベース28(固定筒30)に本体部38を一層適切に固定できる。
【0055】
さらに、一対の上弾性爪72(上弾性板72A)が水平方向へ弾性変形(弾性撓み変形)可能にされている。このため、モータベース28の固定筒30内に本体部38を上側から挿入する際には、少なくとも一方の上弾性爪72を一時的に固定筒30の外側へ弾性変形させることで、一対の上弾性爪72の先端が固定筒30内への本体部38の挿入を制限することを防止できる。これにより、モータベース28(固定筒30)に本体部38を容易に組み付けることができる。
【0056】
また、上述の如く、モータベース28(固定筒30内)に本体部38を適切に固定できるため、モータ36が駆動される際には、出力軸40の軸心を安定させることができる。これにより、格納機構14の作動音を安定させることができる。
【0057】
さらに、上述の如く、別部品を使用しなくても、モータベース28(固定筒30)に適切に本体部38を固定できる。このため、部品点数を低減できると共に、モータベース28(固定筒30)に本体部38を一層容易に組み付けることができる。
【0058】
なお、本実施の形態では、ウォームギア46の上端をモータベース28に当接させた構成としたが、ウォームギア46の上端とモータベース28との間に隙間を設けた構成としてもよい。この場合でも、モータ36の駆動時にウォームシャフト54(ヘリカルギア部58)からウォームギア46に上側へ作動力が入力されても、ウォームギア46の上端がモータベース28に当接することで、モータ36(出力軸40)にウォームギア46から上側への作動力が作用しないと共に、軸支部46Aの軸支孔26への軸支が解除されない構成にされる。
【0059】
また、本実施の形態では、モータベース28(固定筒30内)に下弾性爪68を一対設けた構成としたが、モータベース28(固定筒30内)に下弾性爪68を1個又は3個以上設けた構成としてもよい。
【0060】
さらに、本実施の形態では、モータベース28(固定筒30の車両後側壁から車幅方向内側壁の部分)に中弾性爪70を一対設けた構成としたが、モータベース28(固定筒30の車両後側壁から車幅方向内側壁の部分)に中弾性爪70を1個又は3個以上設けた構成としてもよい。
【0061】
また、本実施の形態では、モータベース28(固定筒30の上側)に上弾性爪72を一対設けた構成としたが、モータベース28(固定筒30の上側)に上弾性爪72を1個又は3個以上設けた構成としてもよい。
【符号の説明】
【0062】
10 ドアミラー装置(車両用ミラー装置)
22 回動体
28 モータベース(回動部材)
30A 制限壁(制限部)
36 モータ
38 本体部
40 出力軸
46 ウォームギア(回動機構)
54 ウォームシャフト(回動機構)
62 ギアプレート(回動機構)
66 ミラー
68 下弾性爪(追加弾性手段)
70 中弾性爪(弾性手段)
72 上弾性爪(追加制限部)
図1
図2
図3
図4