【実施例】
【0013】
図1に示すように、プレハブ冷却貯蔵庫は、複数枚の断熱パネルを組み付けることで箱形に本体10が形成され、前面の扉11を開閉することで内部の貯蔵室12に出入りできるようになっている。貯蔵室12の天井面には、扉11から入って右側に寄った位置に取付部材13を介して冷却ユニット20が取り付けられており、該冷却ユニット20は、箱形をなすケース1によって外郭が形成されている。このケース1には、
図2に示すように一側面に庫内空気を吸い込むための吸込口2が設けられているとともに、
図3に示すように吸込口2に対向する面にはケース1内の空気を吹き出すための円形の吹出口3が2つ並んで設けられている。
【0014】
ケース1内の吹出口3側の位置には、
図4に示すように、送風ファン24が吹出口3の位置に合わせて設けられており、送風ファン24はモータ26により駆動されるようになっている。ケース1内の吸込口2側の位置には、冷却器28が配置されており、冷却器28は庫外に配置された図示しない圧縮機、凝縮器等からなる冷凍装置と冷媒配管によって循環接続されている。なお、送風ファン24の吹き出し方向の上方には、フード30が設けられている。
【0015】
冷却器28は、
図5に示すように、多数枚の板状のフィン32が並設される(図面上はフィンを簡略化して記載している)とともにその両面に板状のエンドプレート34A、34Bが配され、フィン32並びにエンドプレート34A、34Bを貫通して蒸発管36が両側を折り返すことで蛇行状に配管されており、全体としてブロック形状をなしている。そして、フィン32及びエンドプレート34A、34Bにおける吸込口2に対向する側の側面上部には、横方向に伸びる断面半円形状の溝38が2本上下に並んで設けられ、この溝38に側面ヒータ40が嵌合配置されるようになっている。
【0016】
前記側面ヒータ40は、金属パイプの中に発熱線を配した所謂シーズヒータと呼ばれているものであり、金属パイプを途中で折り曲げることで蛇行状に形成され、上から第一直線部42a、第一折返し部43a、第二直線部42b、第二折返し部43b、第三直線部42c、第三折返し部43c、第四直線部42dの順で構成されている。第一、第三折返し部43a、43cは、第一、第三直線部42a、42cの端部から下方へ向けて垂直に折り曲げられているが、第二折返し部43bは第二直線部42bの端部から吸込口2へ向けて斜め下方へ折り曲げられている。そして、第一直線部42aを上側の溝38に嵌合させ、第二直線部42bを下側の溝38に嵌合させることで側面ヒータ40は冷却器28に取り付けられ、第三、第四直線部42c、42dは、
図4に示すように吸込口2に向かって冷却器28の側面から離間した状態で配置される。更に、底面にも溝38と同様の溝44が2本並んで設けられており、底面ヒータ46が嵌合配置されている。また、
図2に示すように、第三、第四直線部42c、42dの周りには、金属製の線材で形成されたガード48が設けられており、冷却器28から突出した第三、第四直線部42c、42dに使用者が誤って触れないよう配慮がなされている。本実施例においては、第一、第二直線部42a、42b及び底面ヒータ46が特許請求の範囲における第一加熱部に、第三、第四直線部42c、42dが第二加熱部に相当しており、以下第一、第二直線部42a、42b及び底面ヒータ46を第一加熱部50と呼称し、第三、第四直線部42c、42dを第二加熱部52と呼称する。
【0017】
以上のように構成された実施例の冷却ユニット20の動作について説明する。冷却運転に際して前記送風ファン24を回転すると、吸込口2から吸込まれた庫内空気は冷却器28と熱交換して冷気となり、この冷気が吹出口3から庫内に向けて吹き出されて庫内が冷却される。このとき、送風ファン24からは冷気が放射状に吹き出されるが、吹き出された冷気が冷却ユニット20近傍の天井面に直接吹きつけられて天井面が局部的に冷却されることをフード30により防止している。天井面が局部的に冷却されると、除霜運転時に冷却ユニット20から漏れ出た暖かい空気や、扉11を開いたときに貯蔵室12内に入り込んだ暖かい空気が局部的に冷却された天井面に接触して霜となって付着してしまうことがあるため、これを防止している。
【0018】
冷却運転では送風ファン24と冷凍装置の駆動と停止とが制御されて、庫内はほぼ設定温度に維持される。冷却運転中には冷却器28に霜が付着するため、適宜タイミングで除霜運転が実行される。除霜運転は、冷凍装置と送風ファン24とが停止された状態で、冷却器28に装備された側面ヒータ40と底面ヒータ46に通電して発熱させることにより行われる。側面ヒータ40及び底面ヒータ46に通電されると、冷却器28から離間して配置されている第二加熱部52はフィン32と接触していないためにいち早く温度上昇する。このため、第二加熱部52周辺の空気は暖められて
図6に矢印で示すように上昇気流となり、冷却ユニット20の吸込口2近傍の天井面付近の空間A(
図4参照)に運ばれて滞留する。フィン32と接触する第一加熱部50は、第二加熱部52と比較してゆっくりと温度上昇するが、温度上昇するにつれて霜が溶かされていき次第に水蒸気を発生し始める。発生した水蒸気は、吸込口2に向けて流れ、吸込口2から放出されるが、第二加熱部52で暖められて空間Aに滞留している空気は、元々低温の空気が暖まったものであるため、水蒸気と比べると相対的に非常に湿度の低い空気である。そのため、吸込口2から放出された水蒸気が空間A付近に達すると、空間Aに滞留している乾燥した暖かい空気に取り込まれるので、天井面に直接接することは防止される。また、第二加熱部52から生じる上昇気流が言わばエアカーテンの役割を果たすため、
図6に矢印で示すように冷却器28から吸込口2に向けて流れ出た水蒸気は上昇気流に阻まれ、吸込口2から放出されること自体が抑制される。なお、実験した結果、除霜運転中において、最終的に第一加熱部50は約80℃、第二加熱部52は約280℃、空間Aに滞留する空気は約40℃まで温度上昇し、空間A上方の天井面の霜付きはほぼ見られなかった。
【0019】
除霜運転が進むと、冷却器28に付着した霜は融かされ、除霜水はドレンパン8で受けられたのち、庫外に排水される。そして、冷却器28の温度が図示しない温度センサによって所定温度まで上昇したことが検知されると除霜が完了したと見なされて側面ヒータ40及び底面ヒータ46への通電が遮断される。その後、所定の水切り時間を経て、冷凍装置のみを運転して冷却器28を先に冷却する予冷運転が行われ、そののち送風ファン24が駆動されて冷却運転が再開される。空間Aに滞留している暖かい空気は冷却運転の再開によって真っ先に吸われて冷却器28と熱交換が行われて冷却される。
【0020】
以上のように実施例に係る冷却ユニットによれば、冷却器の側面から離間して配置される第二加熱部を設けたことにより、除霜運転時に第二加熱部によっていち早く暖められた空気が天井面付近に滞留するため、後に発生する水蒸気が天井面に到達する前に暖められた空気中に取り込まれ、水蒸気が天井面に付着することを抑制できる。また、第二加熱部を
冷却器の側面に配置された第一加熱部の下方に配置することで、第二加熱部から生じる上昇気流がエアカーテンの役割を果たし、第一加熱部近辺のフィンから発生する水蒸気がユニット外に放出されることを減少させ、水蒸気が天井面に付着することをより抑制できる。更に、第二加熱部は側面ヒータの一部を利用して形成されているため、部品点数は増加しないためコストアップも最小限に抑えることができる。
【0021】
本発明では、前述の実施例に限定されず、以下の如く変更することも可能である。
(1)実施例においては、冷却器を吸込口側に配置し、送風ファンを吹出口側に配置したが、冷却器を吹出口側に配置し、送風ファンを吸込口側に配置するようにしてもよい。その場合、第二加熱部は冷却器の吹出口側の側面から離間して配置される。
(2)実施例において側面ヒータは冷却器の吸込口側の側面だけに設けたが、これは空気の吸込口側の方が霜が付着し易いという理由からであり、必要であれば吹出口側の面にヒータを設けるようにしてもよい。当然、吹出口側の面にも第二加熱部を設けてもよいが、冷却器の吹出口側は、
図4に示すように送風ファンが配置されるスペースがあるため、水蒸気はケース内に留まり易く吹出口から放出される量は少なく効果は低い。第二加熱部は、吸込口又は吹出口に近接する側の冷却器側面に沿って設けられた場合により有効となる。また、第一加熱部は、底面ヒータのみとしてもよい。
(3)第二加熱部は
冷却器の側面に配置された第一加熱部の上方に設けるようにしてもよい。エアカーテンの効果は減少するものの、水蒸気が天井面に付着することを十分に抑制できる。
(4)第一加熱部と第二加熱部は、シーズヒータ1本を折り曲げることで形成したが、第一加熱部と第二加熱部とを別々のヒータで形成するようにしてもよい。その場合、第二加熱部をシーズヒータではなくガラス管ヒータとし、第一加熱部をヒータではなく冷却器の蒸発管に冷凍装置からホットガスを供給することで除霜を行うようにすることで第一加熱部とするようにしてもよい。