特許第5687046号(P5687046)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ホシザキ電機株式会社の特許一覧

<>
  • 特許5687046-冷却ユニット 図000002
  • 特許5687046-冷却ユニット 図000003
  • 特許5687046-冷却ユニット 図000004
  • 特許5687046-冷却ユニット 図000005
  • 特許5687046-冷却ユニット 図000006
  • 特許5687046-冷却ユニット 図000007
  • 特許5687046-冷却ユニット 図000008
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5687046
(24)【登録日】2015年1月30日
(45)【発行日】2015年3月18日
(54)【発明の名称】冷却ユニット
(51)【国際特許分類】
   F25D 21/04 20060101AFI20150226BHJP
   F25D 21/08 20060101ALI20150226BHJP
【FI】
   F25D21/04 K
   F25D21/08 A
【請求項の数】1
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2010-284448(P2010-284448)
(22)【出願日】2010年12月21日
(65)【公開番号】特開2012-132612(P2012-132612A)
(43)【公開日】2012年7月12日
【審査請求日】2013年11月15日
(73)【特許権者】
【識別番号】000194893
【氏名又は名称】ホシザキ電機株式会社
(72)【発明者】
【氏名】勝部 和芳
【審査官】 西山 真二
(56)【参考文献】
【文献】 特開平11−063792(JP,A)
【文献】 特開2010−216680(JP,A)
【文献】 特開昭60−000265(JP,A)
【文献】 特開2007−024474(JP,A)
【文献】 特開2002−267332(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F25D 21/04 − 21/08
F25D 21/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
吹出口と吸込口とが形成されたケース内には、冷却器と、前記吸込口から吸込んだ空気を冷却器と熱交換させて冷気を生成し、吹出口から吹き出す送風ファンとが設けられるとともに、前記冷却器に除霜用の加熱手段が設けられた冷却ユニットにおいて、
前記加熱手段は、冷却器に密着配置された第一加熱部と、前記吹出口又は吸込口に向けて冷却器の側面から離間した位置で、且つ冷却器側面に沿ってケース内に配置された第二加熱部とを有することを特徴とする冷却ユニット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、プレハブ冷蔵庫等の冷却貯蔵庫内の天井面に配置される冷却ユニットの除霜技術に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、プレハブ冷蔵庫の庫内天井面には、庫内を冷却するために冷却ユニットが備えられ、該冷却ユニットの冷却運転により庫内を冷却するよう構成されている。この冷却ユニットは、図7に示すように、ケース1の対向する側面にそれぞれ吸込口2と吹出口3とが形成され、該ケース1内には、送風ファン4と冷却器5とが並んで収容されている。冷却器5は庫外に設置された図示しない冷凍装置と冷媒配管により循環接続されており、冷却運転時に冷凍装置から送られる冷媒により強制冷却されるようになっている。そして、冷却運転時には、送風ファン4が駆動されることで庫内空気が吸込口2から吸引されて冷却器5を通過する間に熱交換によって冷気が生成され、この冷気が吹出口3から吹き出されることで庫内が冷却されるようになっている。
【0003】
前記冷却器5の側面及び底面には、冷却運転中に冷却器5に付着した霜を溶かすためのヒータ6が配置されており、冷却運転中の適宜タイミングで冷凍装置と送風ファン4が停止され、ヒータ6に通電して冷却器5を加熱する除霜運転が行われる。ヒータ6は除霜効率を向上させるため、冷却器5を切り欠いて設けられた溝7に嵌合配置されている。そして、除霜運転により冷却器5に付着していた霜が次第に融かされ、除霜水はドレンパン8で受けられたのち庫外の排水場所に排水されるようになっている。このような冷却ユニットは特許文献1に記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2007−24474号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記除霜運転では、冷却器の箇所によって温度上昇のスピードに差が出てしまうため、最も温度が上がり難い箇所に温度センサを配置し、該温度センサが所定温度まで温度上昇したら全ての霜が除去されたと判断して除霜運転を停止させるようにしている。そのため、最も温度が上がり難い箇所が所定温度に到達したころには、ヒータ近辺の冷却器は40度を超える温度にまで上昇しており、水分を蒸発させて冷却ユニットのケース外へ水蒸気を放出してしまい、放出された水蒸気は天井面に付着し、冷却運転のときに氷結してしまう。これが除霜運転と冷却運転を繰り返す度に成長し、やがて大きな氷塊となってしまったり、溶けて庫内に滴下したりするという問題があった。
【0006】
これを防止するため、従来は図7に示すように吸込口2の上方にカバー9を配置して吸込口2から水蒸気が放出され難いようにすることで天井面に水蒸気が行かないようにしていたが、一定の効果はあるもののカバー9の下端から漏れ出してしまい放出を遮ることはできなかった。また、特許文献1に示されるように、吸込口や吹出口に開閉式のシャッターを設けるようにしたものもあるが、隙間なくシャッターを配備することは難しく、ある程度は水蒸気が漏れてしまう上に、部品点数が増加してコストアップとなってしまうという問題点もあった。
【0007】
そこで本発明では、前述した従来の技術に内在している課題に鑑み、これを好適に解決するべく提案されたものであって、除霜運転時に庫内天井面に霜が付着することを抑制できる冷却ユニットを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記課題を克服し、所期の目的を好適に達成するため、本願の請求項1に係る冷却ユニットは、
吹出口と吸込口とが形成されたケース内には、冷却器と、前記吸込口から吸込んだ空気を冷却器と熱交換させて冷気を生成し、吹出口から吹き出す送風ファンとが設けられるとともに、前記冷却器に除霜用の加熱手段が設けられ、
前記加熱手段は、冷却器に密着配置された第一加熱部と、前記吹出口又は吸込口に向けて冷却器の側面から離間した位置で、且つ冷却器側面に沿ってケース内に配置された第二加熱部とを有することを特徴とする。
請求項1の発明によれば、除霜運転時に冷却器から離間した第二加熱部がいち早く温度上昇し、第二加熱部で暖められた空気は上昇気流によって吹出口又は吸込口から放出されて天井面に運ばれ滞留する。その後、第一加熱部によって暖められた冷却器から発生した水蒸気が天井面に流れ出たとしても、天井面付近に滞留する温度の高い空気中に取り込まれるため天井面に水蒸気が付着することが抑制できる。
【0009】
また、第二加熱部で暖められた空気の上昇気流により、第一加熱部の前方にエアーカーテンが形成され、第一加熱部から発生する水蒸気が冷却ユニットのケース外に放出されること自体を抑制できため、庫内天井面に水蒸気が付着することを更に抑制できる。
【発明の効果】
【0010】
本発明に係る冷却ユニットによれば、冷却ユニットが配置された庫内の天井面に冷却ユニットから放出された水蒸気が付着することを抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】実施例に係る冷却ユニットが配備されたプレハブ冷却貯蔵庫の概略構成を示す一部切欠正面図である。
図2】実施例に係る冷却ユニットを吸込口側から見た斜視図である。
図3】実施例に係る冷却ユニットを吹出口側から見た斜視図である。
図4】実施例に係る冷却ユニットの概略断面図である。
図5】実施例に係る冷却器の斜視図である。
図6】実施例に係る冷却器周辺の除霜運転中の状態を示す拡大断面図である。
図7】従来の冷却ユニットの断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明に係る冷却ユニットにつき、好適な実施例を挙げて、図面を参照しながら以下説明する。なお、図7で説明した冷却ユニットの構成要素と同一の要素については、同一の符号を使用して詳細な説明は省略する。
【実施例】
【0013】
図1に示すように、プレハブ冷却貯蔵庫は、複数枚の断熱パネルを組み付けることで箱形に本体10が形成され、前面の扉11を開閉することで内部の貯蔵室12に出入りできるようになっている。貯蔵室12の天井面には、扉11から入って右側に寄った位置に取付部材13を介して冷却ユニット20が取り付けられており、該冷却ユニット20は、箱形をなすケース1によって外郭が形成されている。このケース1には、図2に示すように一側面に庫内空気を吸い込むための吸込口2が設けられているとともに、図3に示すように吸込口2に対向する面にはケース1内の空気を吹き出すための円形の吹出口3が2つ並んで設けられている。
【0014】
ケース1内の吹出口3側の位置には、図4に示すように、送風ファン24が吹出口3の位置に合わせて設けられており、送風ファン24はモータ26により駆動されるようになっている。ケース1内の吸込口2側の位置には、冷却器28が配置されており、冷却器28は庫外に配置された図示しない圧縮機、凝縮器等からなる冷凍装置と冷媒配管によって循環接続されている。なお、送風ファン24の吹き出し方向の上方には、フード30が設けられている。
【0015】
冷却器28は、図5に示すように、多数枚の板状のフィン32が並設される(図面上はフィンを簡略化して記載している)とともにその両面に板状のエンドプレート34A、34Bが配され、フィン32並びにエンドプレート34A、34Bを貫通して蒸発管36が両側を折り返すことで蛇行状に配管されており、全体としてブロック形状をなしている。そして、フィン32及びエンドプレート34A、34Bにおける吸込口2に対向する側の側面上部には、横方向に伸びる断面半円形状の溝38が2本上下に並んで設けられ、この溝38に側面ヒータ40が嵌合配置されるようになっている。
【0016】
前記側面ヒータ40は、金属パイプの中に発熱線を配した所謂シーズヒータと呼ばれているものであり、金属パイプを途中で折り曲げることで蛇行状に形成され、上から第一直線部42a、第一折返し部43a、第二直線部42b、第二折返し部43b、第三直線部42c、第三折返し部43c、第四直線部42dの順で構成されている。第一、第三折返し部43a、43cは、第一、第三直線部42a、42cの端部から下方へ向けて垂直に折り曲げられているが、第二折返し部43bは第二直線部42bの端部から吸込口2へ向けて斜め下方へ折り曲げられている。そして、第一直線部42aを上側の溝38に嵌合させ、第二直線部42bを下側の溝38に嵌合させることで側面ヒータ40は冷却器28に取り付けられ、第三、第四直線部42c、42dは、図4に示すように吸込口2に向かって冷却器28の側面から離間した状態で配置される。更に、底面にも溝38と同様の溝44が2本並んで設けられており、底面ヒータ46が嵌合配置されている。また、図2に示すように、第三、第四直線部42c、42dの周りには、金属製の線材で形成されたガード48が設けられており、冷却器28から突出した第三、第四直線部42c、42dに使用者が誤って触れないよう配慮がなされている。本実施例においては、第一、第二直線部42a、42b及び底面ヒータ46が特許請求の範囲における第一加熱部に、第三、第四直線部42c、42dが第二加熱部に相当しており、以下第一、第二直線部42a、42b及び底面ヒータ46を第一加熱部50と呼称し、第三、第四直線部42c、42dを第二加熱部52と呼称する。
【0017】
以上のように構成された実施例の冷却ユニット20の動作について説明する。冷却運転に際して前記送風ファン24を回転すると、吸込口2から吸込まれた庫内空気は冷却器28と熱交換して冷気となり、この冷気が吹出口3から庫内に向けて吹き出されて庫内が冷却される。このとき、送風ファン24からは冷気が放射状に吹き出されるが、吹き出された冷気が冷却ユニット20近傍の天井面に直接吹きつけられて天井面が局部的に冷却されることをフード30により防止している。天井面が局部的に冷却されると、除霜運転時に冷却ユニット20から漏れ出た暖かい空気や、扉11を開いたときに貯蔵室12内に入り込んだ暖かい空気が局部的に冷却された天井面に接触して霜となって付着してしまうことがあるため、これを防止している。
【0018】
冷却運転では送風ファン24と冷凍装置の駆動と停止とが制御されて、庫内はほぼ設定温度に維持される。冷却運転中には冷却器28に霜が付着するため、適宜タイミングで除霜運転が実行される。除霜運転は、冷凍装置と送風ファン24とが停止された状態で、冷却器28に装備された側面ヒータ40と底面ヒータ46に通電して発熱させることにより行われる。側面ヒータ40及び底面ヒータ46に通電されると、冷却器28から離間して配置されている第二加熱部52はフィン32と接触していないためにいち早く温度上昇する。このため、第二加熱部52周辺の空気は暖められて図6に矢印で示すように上昇気流となり、冷却ユニット20の吸込口2近傍の天井面付近の空間A(図4参照)に運ばれて滞留する。フィン32と接触する第一加熱部50は、第二加熱部52と比較してゆっくりと温度上昇するが、温度上昇するにつれて霜が溶かされていき次第に水蒸気を発生し始める。発生した水蒸気は、吸込口2に向けて流れ、吸込口2から放出されるが、第二加熱部52で暖められて空間Aに滞留している空気は、元々低温の空気が暖まったものであるため、水蒸気と比べると相対的に非常に湿度の低い空気である。そのため、吸込口2から放出された水蒸気が空間A付近に達すると、空間Aに滞留している乾燥した暖かい空気に取り込まれるので、天井面に直接接することは防止される。また、第二加熱部52から生じる上昇気流が言わばエアカーテンの役割を果たすため、図6に矢印で示すように冷却器28から吸込口2に向けて流れ出た水蒸気は上昇気流に阻まれ、吸込口2から放出されること自体が抑制される。なお、実験した結果、除霜運転中において、最終的に第一加熱部50は約80℃、第二加熱部52は約280℃、空間Aに滞留する空気は約40℃まで温度上昇し、空間A上方の天井面の霜付きはほぼ見られなかった。
【0019】
除霜運転が進むと、冷却器28に付着した霜は融かされ、除霜水はドレンパン8で受けられたのち、庫外に排水される。そして、冷却器28の温度が図示しない温度センサによって所定温度まで上昇したことが検知されると除霜が完了したと見なされて側面ヒータ40及び底面ヒータ46への通電が遮断される。その後、所定の水切り時間を経て、冷凍装置のみを運転して冷却器28を先に冷却する予冷運転が行われ、そののち送風ファン24が駆動されて冷却運転が再開される。空間Aに滞留している暖かい空気は冷却運転の再開によって真っ先に吸われて冷却器28と熱交換が行われて冷却される。
【0020】
以上のように実施例に係る冷却ユニットによれば、冷却器の側面から離間して配置される第二加熱部を設けたことにより、除霜運転時に第二加熱部によっていち早く暖められた空気が天井面付近に滞留するため、後に発生する水蒸気が天井面に到達する前に暖められた空気中に取り込まれ、水蒸気が天井面に付着することを抑制できる。また、第二加熱部を冷却器の側面に配置された第一加熱部の下方に配置することで、第二加熱部から生じる上昇気流がエアカーテンの役割を果たし、第一加熱部近辺のフィンから発生する水蒸気がユニット外に放出されることを減少させ、水蒸気が天井面に付着することをより抑制できる。更に、第二加熱部は側面ヒータの一部を利用して形成されているため、部品点数は増加しないためコストアップも最小限に抑えることができる。
【0021】
本発明では、前述の実施例に限定されず、以下の如く変更することも可能である。
(1)実施例においては、冷却器を吸込口側に配置し、送風ファンを吹出口側に配置したが、冷却器を吹出口側に配置し、送風ファンを吸込口側に配置するようにしてもよい。その場合、第二加熱部は冷却器の吹出口側の側面から離間して配置される。
(2)実施例において側面ヒータは冷却器の吸込口側の側面だけに設けたが、これは空気の吸込口側の方が霜が付着し易いという理由からであり、必要であれば吹出口側の面にヒータを設けるようにしてもよい。当然、吹出口側の面にも第二加熱部を設けてもよいが、冷却器の吹出口側は、図4に示すように送風ファンが配置されるスペースがあるため、水蒸気はケース内に留まり易く吹出口から放出される量は少なく効果は低い。第二加熱部は、吸込口又は吹出口に近接する側の冷却器側面に沿って設けられた場合により有効となる。また、第一加熱部は、底面ヒータのみとしてもよい。
(3)第二加熱部は冷却器の側面に配置された第一加熱部の上方に設けるようにしてもよい。エアカーテンの効果は減少するものの、水蒸気が天井面に付着することを十分に抑制できる。
(4)第一加熱部と第二加熱部は、シーズヒータ1本を折り曲げることで形成したが、第一加熱部と第二加熱部とを別々のヒータで形成するようにしてもよい。その場合、第二加熱部をシーズヒータではなくガラス管ヒータとし、第一加熱部をヒータではなく冷却器の蒸発管に冷凍装置からホットガスを供給することで除霜を行うようにすることで第一加熱部とするようにしてもよい。
【符号の説明】
【0022】
1 ケース、 2 吸込口、
3 吹出口、 20 冷却ユニット、
28 冷却器、 40 側面ヒータ、
46 底面ヒータ、 50 第一加熱部、
52 第二加熱部、
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7