【実施例1】
【0017】
(1)電気転てつ機と転換鎖錠器との関係
図1は、本発明による背向割り出し機能を有する電気転てつ機(以下電気転てつ機という)の設置例を示す図である。
図1において、本線以外のヤードの仕分線や側線において、基本レール1a,1b間の枕木2の上には、転換鎖錠器3が据え付けられ、基本レール1a,1bの一側方に張り出した枕木2の張り出し部分には本発明による動作かん転換機構を備えた電気転てつ機4が設置されている。
【0018】
転換鎖錠器3の上部クランクの第1クランク5aには、第1リンク6aを介して一方のトングレール7aにつながれ、上部クランクの第2クランク5bは、第2リンク6bを介して他方のトングレール7bにつながれている。また、下部クランク8はオフセットリンク9を介して電気転てつ機4の動作かん10に連結されている点は従来と同じである。
【0019】
図1は定位転換時の状態を示している。
図1において、ポイントの定位位置では基本レール1bにトングレール7bが密着し、トングレール7aは基本レール1aから離れている。ポイントの転換は、電気転てつ機4の転換力で動作かん10を直線方向に駆動することによって行われる。すなわち、動作かん10が直線方向に変位すると、その直線方向の動きがオフセットリンク9を介して転換鎖錠器3の下部クランク8を転回させ、同軸上の上部クランクの第1リンク6a、第2リンク6bが一体転回し、トングレール7bを基本レール1bから引き離し、トングレール7aを基本レール1a側に押し付けることによってポイントは反位に転換される。
図2に反位転換時の状態を示す。
図2において、ポイントの反位位置では基本レール1aにトングレール7aが密着し、トングレール7bは基本レール1bから離れている。
【0020】
(2)動作かん転換機構の構成
図3に電気転てつ機4の器体に内蔵された転換機構、
図4にカム組立体12の構成、
図5−1にカム組立体12とガイドレール13、14との組み合わせ要領を示し、
図5−2にカム組立体12とガイドレール13、14の組み合わせの構造を示す。本発明による転換機構は、駆動軸11と、カム組立体12と、第1及び第2のガイドレール13、14と、第1及び第2のシャッター15a、15bとの組み合わせからなっている。
【0021】
図5−1、
図5−2において、駆動軸11は、例えば、電気転てつ機4の器体に据え付けられた電動機25にて駆動されるボールねじであり、ボールねじの回転により正逆方向に送り移動が与えられるナットをスライダー11aとして備えている。スライダー11aには駆動ローラ16が取り付けられている。駆動ローラ16は、駆動軸11の回転によって反位から定位方向あるいは定位から反位方向への送り移動が与えられるものである。
【0022】
動作かん10は、駆動ローラ16の正逆方向の進退動を受けて、直線方向に進退動し、ポイントを定位から反位へあるいは、逆に反位から定位への転換切り替えを行うものであり、カム組立体12は、動作かん10の拘束手段として動作かん10の一部に組み付けられたものである。
図4(a)、(b)において、動作かん10の一部には、その中心線O−Oを挟んでその上下方向に拡大したパネル部17が形成され、カム組立体12は、このパネル部17の板面に組み付けられているものである(
図5−1参照)。
【0023】
カム組立体12は、第1及び第2のガイドローラ18、19の対と、第1及び第2のアーム20、21の組と、第1及び第2の拘束カム22、23の組とを有し、第1及び第2のアーム20、21と、第1及び第2の拘束カム22、23とはそれぞれ枢軸P1、P2によってパネル部17の板面に支持され、第1及び第2のガイドローラ18、19は、動作かん10の移動ラインであるパネル部17の中心線O−O上でそれぞれ第1及び第2のアーム20、21の腕端のボスに枢軸A1、A2によって回転可能に支持させたものである。
【0024】
第1及び第2の拘束カム22、23は、そのいずれか一方が、ポイントの転換時に動作かん10を拘束しつつ、前記駆動ローラ16の動きを動作かん10に伝え、その移動送りの終端で動作かん10の拘束を解除するものである。本発明において、第1の拘束カム22は、ポイントを定位から反位へ転換させるときに動作かん10を拘束して駆動ローラ16の直線運動を動作かん10に伝え、第2の拘束カム23は、ポイントを反位から定位へ転換させるときに動作かん10を拘束して駆動ローラ16の直線運動を動作かん10に伝えるものである。第1の拘束カム22と第2の拘束カム23とは、パネル部17の中心線O−O上を中心として対称位置に配置されている。
【0025】
本発明において、第1の拘束カム22と第2の拘束カム23とは、枢軸P1、P2の軸間距離だけ位置をずらせ、且つパネル部17の中心線O−O上を中心として対称位置に配置されていて、構成は同じで動作方向を異にするだけの違いであるため、以下の説明では主として第1の拘束カム22及び第1の拘束カム22に関連する第1のガイドローラ18及び第1のアーム20について、その構成を説明し、第2の拘束カム23、及び第2の拘束カム23に関連す
る第2のガイドローラ19及び第2のアーム21の構成部分については、詳細な説明を省略する。なお、ガイドローラ、アーム、拘束カムなどについての第1、第2の区別は専ら説明の都合上の区別であって、いずれが第1であってもかまわない。
【0026】
図5−1において、パネル部17の一面で第1のアーム20を支える枢軸P1は、パネル部17の板面を通して他面に突出し、前記第1の拘束カム22は、パネル部17の他方の板面から突出した枢軸P1に回転可能に軸支されているものである。第1のガイドローラ18は第1のアーム20の腕端から下向きに伸びる枢軸A1に取り付けられている。同様に第2のアーム21、第2の拘束カム23は枢軸P2に支えられ、第2のガイドローラ19は第2のアーム21の枢軸A2に取り付けられている。
【0027】
第1の拘束カム22は、120°の角度をなす山形(
図5−1では上凸の山形)をなし、
図5−3に示すように山形の内側の一方の面を第1直線誘導面22a、他方の面を第2直線誘導面22bとし、両直線誘導面22a、22bが交差する中央部分は、駆動ローラ16の円周面の一定範囲を支える受入面22cとなっている。両直線誘導面22a、22bは、後述するように第1の拘束カム22のアンロック時(開錠時)に、定位方向又は反位方向に移動する駆動ローラ16を誘導して第1の拘束カム22を反転させるものであり、受入面22cは、第1の拘束カム22のロック時(施錠時)に定位方向又は反位方向に移動する駆動ローラ16を受け入れ、第1の拘束カム22を駆動ローラ16とともに一体に移動させるものである。第2の拘束カム23についても同じ要領でアンロック時(開錠時)に、駆動ローラ16を誘導する直線誘導面23a、23b及びロック時(施錠時)に駆動ローラ16を受け入れる受入面23cを有している。
【0028】
なお、第1又は第2の拘束カム22、23は、ロック区間においては、第1又は第2のガイドレール13、14に支えられた第1又は第2のアーム20、21に規制されてそれぞれパネル部17の板面の範囲内で一定の姿勢に保持される。
【0029】
一方、第1のガイドローラ18はパネル部17の中心線O−O上で枢軸A1に軸支され、第2のガイドローラ19は中心線O−O上で枢軸A2に軸支される。第1のガイドローラ18を取り付ける第1のアーム20のボスには、
図5−4に示すようにその外周面の一部に掬い部とし外方に突出する凸縁20aが形成されている。同様に第2のガイドローラ19を取り付ける第2のアーム21のボスには、その外周面の一部に掬い部とし外方に突出する凸縁21aが形成されている。
【0030】
本発明において、第1及び第2のアーム20、21の枢軸P1、P2間の軸間距離は、それぞれ第1及び第2のアーム20、21に支えられた第1及び第2の拘束カム22、23の転回運動の妨げにならないように一定距離を確保させることが必要である。枢軸P1、P2間の軸間距離を長く設定すれば第1及び第2の拘束カム22、23の転回運動の妨げにはならないが、軸間距離を増大させた分だけパネル部17に長さが必要となり、ひいては電気転てつ機4に大きな容量のケースを用いなければならない。
【0031】
この実施例においては、第1及び第2の拘束カム22、23が互いに干渉することがないようにそれぞれアームの一部に切欠きを設けて枢軸P1、P2間の軸間距離を可能な限り接近させて第1及び第2の拘束カム22、23を設置した例を示している。駆動軸11は、
図4(c)、(d)及び
図5−1に示すように、ボールねじの回転により正逆方向の直線送りが与えられるナットをスライダー11aとして備えている。前記駆動ローラ16は、スライダー11aに取り付けられたものである。
【0032】
前記第1及び第2のガイドレール13、14は、
図4(e)、(f)に示すように、動作かん10の正方向、逆方向の移動に際し、それぞれ第1又は第2の拘束カム22、23のロック制御及びアンロック制御を行う。
【0033】
ロック制御は、駆動ローラ16の押圧力を受けた拘束カム22または23に一定の姿勢を保持させて一定の区間に渡り動作かん10を拘束する制御であり、アンロック制御は、駆動ローラ16の押圧力を受けた第1又は第2の拘束カム22または23の保持を開放して動作かん10の拘束を解除する制御である。
【0034】
したがって、ロック時は、第1又は第2の拘束カム22、23を一定の姿勢に保持して動作かん10を拘束し、アンロック時では、第1又は第2の拘束カム22、23の保持を開放して動作かん10の拘束を解除する。第1のガイドレール13には、一定間隔をおいて、湾曲凹面の凹所13aと13bとが反位側および定位側に形成されている。反位側に形成された凹所13aは、反位から定位又は定位から反位への通常転換の際にガイドローラ18を受け入れて第1のアーム20を転回させるためのものであり、定位側に形成された凹所13bは、ポイントが反位時において、背向割り出しがあった後、定位方向への掬い動作の際にガイドローラ18を受け入れて第1のアーム20を転回させるためのものである。
【0035】
凹所13bは、常時はスプリング24aで押圧されたシャッター15aによって塞がれており、シャッター15aは、背向割り出しの掬い動作の際に動作かん10が反位側から定位側に向けて移動する際に、第1のアーム20のボスに設けた掬い部の凸縁20aに押されて開かれる。同様に第2のガイドレール14には、一定間隔をおいて湾曲凹面の第1の凹所14aが反位側に、第2の凹所14bが定位側に形成されている。
【0036】
定位側に形成された第2の凹所14bは、反位から定位又は定位から反位への通常転換の際にガイドローラ19を受け入れて第2のアーム21を転回させるためのものであり、反位側に形成された第1の凹所14aは、背向割り出しがあった後の反位から定位転換の際にガイドローラ19を受け入れて第2のアーム21を転回させるためのものである。第1の凹所14aは、常時はスプリング24bで押圧されたシャッター15bによって塞がれており、シャッター15bは、背向割り出しの掬い動作の際に第2のアーム21のボスに設けた掬い部の凸縁21aに押されて開かれる。
【0037】
すなわち、第1又は第2のアーム20、21がスプリング24a又は24bが付勢する方向からシャッター15a又は15bに向けて移動してきたときには、シャッター15a又は15bは開かれず、第1のガイドレール13の第2の凹所13b又は第2のガイドレール14の第1の凹所14a内へのガイドローラ18又は19の受け入れが不能となり、その結果第1又は第2のアーム20又は21は一定の姿勢に保たれるのである。
【0038】
逆に第1又は第2のアーム20、21がスプリング24a又は24bの付勢方向に対し反対方向から移動してきたときには、シャッター15a又は15bの先端が第1又は第2のアーム20又は21のボスに設けた凸縁20a又は21aに押され、スプリング24a又は24bが押し縮められ、シャッター15a又は15bが開き、第1のガイドレール13の第2の凹所13b又は第2のガイドレール14の第1の凹所14a内にガイドローラ18又は19が受け入れられて第1又は第2のアーム20又は21の転回が可能となる(拘束カム22、23のロックが解除される)。
【0039】
なお、第1又は第2の拘束カム22、23は、それぞれロックされた区間においては、第1又は第2のガイドレール13、14に支えられた第1又は第2のアーム20又は21によって、パネル部17の板面の範囲内で一定の姿勢に保持されている。
【0040】
以下に本発明による動作かん転換機構による転てつ器のポイント転換動作を説明する。
【0041】
(3)通常転換の場合
(a)反位から定位への転換
図6−1(a)は、ポイントが
図2の状態、すなわちポイントが反位に転換された状態を示している。このとき、駆動ローラ16は、カム組立体12の基端であるパネル部17の図上左端(反位側)に位置し、動作かん10は、軸方向を自由に移動でき、ポイントの背向割り出しが可能となっている。
【0042】
反位にあるポイントが定位に転換される場合には、電動機25の駆動により駆動ローラ16を定位方向に押し出して
図6−1(b)の矢印方向に移動させると、駆動ローラ16は、まず第1の拘束カム22の一辺の直線誘導面22aに沿って移動し、ついで
図6−1(c)に示すように湾曲誘導面22cを経て、そのまま更に山形の他辺の直線誘導面22bを押しながら移動を続ける。第1の拘束カム22が引き続き駆動ローラ16に押されると、ガイドローラ18が第1のガイドレール13の第1の凹所13a内に進入して第1のアーム20の転回が可能となる(第1の拘束カム22のロックが解かれる)。
【0043】
第1のアーム20が枢軸P1を中心に転回することによって第1の拘束カム22は駆動ローラ16に押されながら枢軸P1を中心に反時計方向に転回する(
図6−1(d))。駆動ローラ16が更に正方向に移動すると、駆動ローラ16は第1の拘束カム22の他辺の直線誘導面22bに沿って移動を続け、ついで第2の拘束カム23の一方の直線誘導面23bに乗り上げ(
図6−1(e))、第1の拘束カム22を最初から60°転回させて第1の拘束カム22を抜け、同時に第2の拘束カム23の一方の直線誘導面23bに沿って移動を続ける(
図6−1(e)参照)。
【0044】
続いて駆動ローラ16は、第2の拘束カム23の湾曲誘導面23cに受け入れられ(
図6−1(f))、その後も移動を続けると、第2の拘束カム23は駆動ローラ16に押されて転回しようとするが、第2のガイドレール14の第1の凹所14aは、スプリング24bの押圧力を受けたシャッター15bによって塞がれているため、第2のアーム21のガイドローラ19が第2のガイドレール14の第1の凹所14a内に進入することができず、したがって、第2の拘束カム23はロックされて転回することができず、動作かん10を拘束したまま駆動ローラ16に押されて定位方向に移動を続ける(
図6−2(g))。
【0045】
そして、第2のアーム21のガイドローラ19が第2のガイドレール14の第2の凹所14bの直前位置に達したときに、動作かん10は反位から定位位置に転換が終了する(
図6−2(h))。その後、駆動ローラ16がさらにその延長方向に移動を続けると、第2のアーム21のガイドローラ19が第2のガイドレール14の第2の凹所14b内に受け入れられて第2のアーム21の転回が可能となる。
【0046】
駆動ローラ16が更に同方向に移動することによって第2の拘束カム23のロックが解かれて時計方向に転回し(
図6−2(i))、最初から60°回転させたのち、駆動ローラ16は、第2の拘束カム23の湾曲誘導面23cから他方の直線誘導面23aに誘導されて第2の拘束カム23を抜け、その結果、動作かん10の拘束が解かれ(
図6−2(j))、そのまま駆動ローラ16が送り終端に達し、ポイントは
図1に示す定位に転換され、定位位置での背向割り出しが可能となる(
図6−2(k)参照)。
【0047】
ポイントの定位から反位への転換は、
図6−2(k)の状態から、
図6−1(a)の状態に戻る転換動作である。その動作は、第1の拘束カム22と第2の拘束カム23との動作が逆転するだけの違いであるため、具体的な動作の説明は省略する。
【0048】
要するに、定位から反位転換時には、駆動ローラ16は定位から反位方向(逆方向)に移動して最初に第2の拘束カム23を押したときに第2のアーム21のガイドローラ19は、第2のガイドレール14の第2の凹所14b内に進入し、第2のアーム21を転回させつつ、第2の拘束カム23を転回させ、駆動ローラ16は動作かん10を拘束することなく第2の拘束カム23を抜けて移動するが、駆動ローラ10が第1の拘束カム22の湾曲誘導面22cに受け入れられた後は、第1のアーム20のガイドローラ18は第1のガイドレール13の第2の凹所13b内に進入することができず、したがって、第1の拘束カム22は転回しないまま、駆動ローラ16に押され、動作かん10を拘束しつつ反位方向に移動するということである。
【0049】
(4)背向割り出しに対する対応
ポイントに背向割り出しがあったときの動作要領を
図7に示す。
図7(a)は、ポイントが反位にあるときの駆動ローラ16と、動作かんのカム組立体12との関係を示している。例えばポイントが反位位置にあるときには、
図7(a)に示したように駆動ローラ16は、パネル部17の一端(図上左端、反位側)に位置し、動作かん10の拘束は解かれている。
【0050】
この状態で列車が背向側からポイントに進入したとき、したがって
図2における基本レール1aと、トングレール7b間に列車の車輪が入り込むと、トングレール7bには矢印Fに示す方向に力がかかり、トングレール7bを基本レール1bの方向に押し広げてゆく。このときに第2リンク6bがトングレール7bにより引っ張られ、上部クランクの第2クランク5bを回転させることにより、転換鎖錠器3を定位方向に転換させ、この力を受けて動作かん10が電気転てつ機4内に押し込まれる。
【0051】
ポイントの割り出しによって、
図7(b)のように動作かん10が反位から定位転換の途中までd1の距離を移動する場合と、
図7(c)のように動作かん10が反位転換までd2の距離(d1<d2)まで移動する場合とがある。いずれの場合でも背向割り出し後の動作かん10は、通常の転換動作によって復元できる。
【0052】
図8(a)において、駆動ローラ16を反位位置から定位側に移動させると、動作かん10が
図7(b)に示す反位から定位転換の途中までd1の距離を移動した場合には、駆動ローラ16は、その移動途中で第1の拘束カム22に突き当たり、そのまま定位転換位置まで移動する。また、
図7(c)に示すように動作かん10が定位転換位置まで最初からd2の距離を移動したときには、第1のアーム20のボスに突設された掬い部の凸縁20aが第1のガイドレール13の第2の凹所13bに達する。
【0053】
このとき、第1のガイドレール13の第2の凹所13bは、常時はシャッター15aで塞がれているが、第1のアーム20の転回方向がシャッター15aを押圧するスプリング24aの押圧方向と反対のため、第1の拘束カム22は、駆動ローラ16に押されるにしたがって、第1のアーム20の凸縁20aがシャッター15aを押し、スプリング24aを押し縮めてシャッター15aを開き(
図8(b))、第1のガイドレール13の第2の凹所13b内への第1のアーム20のガイドローラ18の受け入れが可能となる(第1の拘束カム22のロックが解除される)。
【0054】
これによって第1のアーム20が枢軸P1を中心に反時計回りに転回し、第1のアーム20の転回に伴って第1の拘束カム22も枢軸P1を中心に同方向に転回し(
図8(c))、駆動ローラ16は第1の拘束カム22を潜り抜けて第2の拘束カム23に向けてさらに移動する(
図8(d))。第1のアーム20のガイドローラ18が第1のガイドレール13の第2の凹所13bを抜けると、シャッター15aはスプリング24aに押し戻されて該第2の凹所13bを塞ぐ(
図8(e))。
【0055】
駆動ローラ16がさらに定位方向に移動すると、先の通常転換時の動作と同様に駆動ローラ16が第2の拘束カム23を押し、これを時計方向に最初から60°回転させて第2の拘束カム23を抜け、そのまま駆動ローラ16が送り終端に達し、動作かん10の拘束が解かれて定位転換終了時の位置になり、駆動ローラ16を逆方向に移動させると、通常転換時の動作により反位位置に移動し、背向割り出しの前の状態に戻すことができる(
図8(f)参照)。
【0056】
(5)途中逆転の場合
途中逆転は、ポイントの転換途中で転換前の位置に戻す場合である。ポイントが反位にあるときには、
図9(a)に示すように駆動ローラ16は、カム組立体12の基端であるパネル部17の図上左端に位置している。この状態で電気転てつ機4を扱って手動操作で定位方向に転換を開始したのち、転換途中で反位位置に戻す場合を説明する。もっとも、電動機25の駆動による転換途中で逆転を行っても動作は同じである。
【0057】
駆動ローラ16を定位方向に移動させると、その移動途中で第1の拘束カム22を転回させ、これを抜けたのち、駆動ローラ16は第2の拘束カム23の湾曲誘導面23cに受け入れられる(
図9(b))。その後も移動を続けると、第2の拘束カム23は駆動ローラ16に押されて転回しようとするが、第2のガイドレール14の第1の凹所14aは、スプリング24bの押圧力を受けたシャッター15bによって塞がれているため、第2のアーム21のガイドローラ19が第2のガイドレール14の第1の凹所14a内に進入することができず、したがって、第2の拘束カム23はロックされて転回しないまま、駆動ローラ16に押され、動作かん10が拘束されて定位方向に駆動ローラ16と一体に移動する。ここまでの動作は、反位から定位へ向けての通常転換時の動作と同じである。
【0058】
途中逆転は、動作かん10を転換途中で移動方向を反転して元に戻す場合である。例えば、
図9(c)に示す位置で動作かん10の移動方向を反転して元に戻すときには、駆動ローラ16を逆方向(反位方向)に向けて移動させると、駆動ローラ16は第1の拘束カム22を押しながら一体に移動して動作かん10を反位側に移動させる(
図9(d))。そして動作かん10が反位位置に戻された時には第1アーム20のガイドローラ18が第1のガイドレール13の第1凹所13aに達する(
図9(e))。
【0059】
駆動ローラ16がさらに反位方向に移動を続けると、第1のアーム20のガイドローラ18が第1のガイドレール13の第1の凹所13a内に受け入れられ、第1のアーム20の転回が可能となり、駆動ローラ16が更に反位方向に移動することによって第1の拘束カム22のロックが解除されて、時計方向に転回し、駆動ローラ16は、第1の拘束カム22を抜け、動作かん10の拘束が解かれ、そのまま駆動ローラ16が送り終端に達して動作前の状態になる。また背向割り出しが可能となる(
図9(f)参照)。
【0060】
動作かん10を転換途中で移動方向を反転して元にもどすという操作は万一の場合に備えてのものであって、実際には動作かん10を定位又は反位方向への移動途中でその移動方向を逆転させる必要性はほとんどない。しかし本発明によればこのような特殊な動作に対しても対応が可能である。
【0061】
以上実施例ではポイントが反位位置にあるときに手動操作で動作かん10を定位側に移動させ、その移動途中で再び反位位置に戻す場合を説明した。ポイントが定位位置にあるときに手動操作で動作かん10を反位側に移動させ、その移動途中で再び定位位置に戻す場合においても同じである。
【0062】
本発明によれば、通常のポイントの転換動作はもとより、ポイントへの背向割り出しその他の状況によって、駆動ローラ16とカム組立体12との関係位置がどのようにずれていても、駆動ローラ16を定位位置から反位位置あるいは逆に反位位置から定位位置に移動させる間に上記関係位置のずれは、自ら正規の位置に矯正され、ポイントの転換動作にはまったく影響を与えることがない。本発明は、使用により定位から反位へあるいは反位から定位への移動途中は、動作かん10を拘束して移動させ、転換後は動作かん10の拘束を開放することによって背向割り出しを可能にするものである。