(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
本発明のリチウム二次電池用正極活物質粉体は、下記一般式(1):
xLi
2MO
3・(1−x)Li[Ni
1−y−zM
yMe
z]O
2 (1)
(式中、Mは、Mn、Ti及びZrから選ばれる金属元素を示す。MeはMn、Ti、Zr及び以外の原子番号11以上の元素を示す。xは0.4≦x≦
0.6、yは0≦y≦0.6、zは0≦z≦0.1を示す。)で表されるリチウムニッケル系複合酸化物からなり、L
*a
*b
*表色系における、L
*値が15.0〜25.0、a値
*が1.00〜15.0、b
*値が−5.0〜5.0であ
り、粒度分布測定値から求めた平均粒径(D50)が1μm以上30μm以下で、10%累積径(D10)が1μm以上10μm以下、90%累積径(D90)が15μm以上50μm以下で、且つD50の粒径における相対頻度が10%以下である。
【0015】
一般式(1)中のMは、Mn、Ti及びZrから選ばれる金属元素を示し、この中、Mnが高い放電容量が得られる観点から特に好ましい。
また、前記一般式(1)中のMeは必要により添加される元素であり、Mn、Ti、Zr及びNi以外の原子番号11以上の元素である。Me元素の好ましいものとしては、例えば、Ca、Mg、Al、Si、P、V、Cr、Fe、Co、Cu、Zn、Nb、Mo、AgおよびSr等が挙げられ、これらは1種であっても、2種以上であってもよい。
【0016】
一般式(1)中のxは
、好ましくは0.4≦x≦0.6であり、yは、0≦y≦0.6、好ましくは0.4≦y≦0.6であり、また、zは、0≦z≦0.1、好ましくは0≦z≦0.08である。
【0017】
本発明のリチウム二次電池用正極活物質粉体は、前記一般式(1)で表されるリチウムニッケル系複合酸化物のうち、従来のリチウム二次電池用正極活物質粉体として用いられてきたものとは、物体色が異なる。すなわち、本発明のリチウム二次電池用正極活物質粉体のL
*a
*b
*表色系における、L
*値は15.0〜25.0、好ましくは18.0〜22.0であり、a値
*が1.00〜15.0、好ましくは5.0〜10.0であり、b
*値が−5.0〜5.0、好ましくは0〜5.0である。本発明のリチウム二次電池用正極活物質粉体のL
*a
*b
*表色系におけるL
*値、a
*値及びb
*値が上記範囲にあることにより、リチウム二次電池に優れた電池性能を付与することができるので、高容量で、高電位での充放電での劣化を抑制したサイクル特性に優れたリチウム二次電池を得ることができる。
【0018】
一方、従来の一般式(1)で表されるリチウムニッケル系複合酸化物からなるリチウム二次電池用正極活物質粉体は、L
*a
*b
*表色系における、L
*値が22.0〜30.0、a値
*が0〜5.0、b
*値が0〜−10.0の範囲であるが、本発明者らが知る限り、L
*a
*b
*表色系における、本発明の範囲とするL
*値、a値
*及びb
*値の範囲の全てを満足するものはない。
【0019】
なお、本発明において、L
*a
*b
*表色系における、L
*値、a値
*及びb
*値は、色差計によって測定される色差であり、日本工業規格JIS Z 8730に規定されている。
L
*a
*b
*表色系におけるL
*値は明度を表し、値が大きいほど白く、100で完全な白となり、値が小さいほど黒く、0で完全な黒となる。また、a値及びb値は色相を表し、a値が大きいほど赤色が濃くなり、a値が小さいほど緑色が濃くなり、b値が大きいほど、黄色が濃くなり、b値が小さいほど青色が濃くなる。
【0020】
本発明のリチウム二次電池用正極活物質は、粉体であるが、粉体の色差測定は、粉体試料をスラリー化する方法、ペレット化する方法、専用のシャーレに充填して測定する方法等により行われるが、本発明のリチウム二次電池用正極活物質においては、シャーレに充填して測定する方法が好ましい。これは、リチウム二次電池用正極活物質をスラリー化する方法だと、スラリー中でのLiの脱離等による組成変化が生じ、色変化を引き起こしてしまうため好ましくなく、また、ペレット化する方法だと、ペレット表面での反射や加圧等による色変化が生じてしまうため好ましくないからである。
【0021】
本発明のリチウム二次電池用正極活物質粉体は、前記一般式(1)で表されるリチウムニッケル系複合酸化物の一次粒子が凝集して形成されいる二次粒子及び該二次粒子が崩れたか、又は凝集しきれないで存在する一次粒子を含む。本発明に係るリチウム二次電池用正極活物質は、レーザー回折・散乱法から求めた平均粒径が1μm以上30μm以下であり、且つ粒径が1.0μm以上5.0μm以下の微粒子分と、微粒分よりさらに粒径の大きい粗粒子分を特定の範囲で含む。
即ち、本発明のリチウム二次電池用正極活物質粉体に係る粒度分布は、レーザー回折・散乱法から求めた粒度分布測定値において平均粒径(D
50)が1μm以上30μm以下、好ましくは5.0μm以上25.0μm以下で、10%累積径(D
10)が1μm以上10μm以下、好ましくは1.0μm以上8.0μm以下、90%累積径(D
90)が15μm以上50μm以下、好ましくは15μm以上30μm以下であり、且つD
50の粒径における相対頻度が10%以下、好ましくは2%以上8%以下である。本発明のリチウム二次電池用正極活物質粉体は、上記範囲の粒度分布を有することにより、リチウム二次電池の電極密度が向上し、放電容量をより向上させることができる。
なお、本発明において、リチウム二次電池用正極活物質粉体の粒度分布が上記範囲であることにより、電極密度等のリチウム二次電池の性能をより向上させることができる理由については定かでないが、大きい粒子の隙間に小さい粒子が入り込み、充填性が向上するためと本発明者らは推測している。
【0022】
リチウム二次電池用正極活物質粉体に係る粒度分布は、レーザー回折・散乱法(測定装置:日機装社製、マイクロトラックMT3300EXII粒度分析計、MTEX−SDU、分散媒:水、超音波ホモジナイザーで1分前処理)により測定される、体積頻度粒度分布である。頻度粒度分布測定では、2000μmから0.023μmまでの間を132チャンネルの粒子径の分布帯に分割し、粒子の分布を求め、各分布帯の中間値をその分布帯の粒径「D(μm)」とし、粒子の総体積に対する各分布帯に占める粒子の体積の百分率を粒径D(μm)の粒子の頻度値「P(%)」とする。
【0023】
また、本発明のリチウム二次電池用正極活物質粉体の一次粒子の平均粒径は、走査型電子顕微鏡写真(SEM)観察により求められる平均粒径で、0.1〜10.0μm、好ましくは0.1〜5.0μmであることが高い放電容量が得られる観点から好ましい。
【0024】
また、本発明のリチウム二次電池用正極活物質粉体のタップ密度は0.5g/cm
3以上、好ましくは0.5〜2.5g/cm
3であることが電極密度が高いものが得られる観点から好ましい。
【0025】
なお、本発明におけるタップ密度とは、JIS−K−5101に記載された見掛密度又は見掛比容の方法に基づいて、タップ法により5mlのメスシリンダーにサンプル5gを入れ、500回タップし、静置後、容積を読み取り、下記計算式:
タップ密度(g/ml)=F/V
(式中、Fは、受器内の処理した試料の質量(g)を示し、Vは、タップ後の試料の容量(ml)を示す。)により求められた値である。
【0026】
また、本発明のリチウム二次電池用正極活物質粉体のBET比表面積は、0.5〜3.0m
2/g、好ましくは1.0〜3.0m
2/gである。リチウム二次電池用正極活物質粉体のBET比表面積が上記の範囲にあることにより、リチウム二次電池の安全性が高くなる。
【0027】
また、リチウム二次電池用正極活物質粉体に残存する炭酸リチウムの量は、0.5質量%以下、好ましくは0.4質量%以下である。また、リチウム二次電池用正極活物質粉体に残存する水酸化リチウムの量は、0.5質量%以下、好ましくは0.4質量%以下である。リチウム二次電池用正極活物質粉体に残存する炭酸リチウムと水酸化リチウムの量が上記範囲にあることにより、リチウム二次電池の膨れを抑えることができ、安全性を向上させることができる。
【0028】
本発明のリチウム二次電池用正極活物質粉体は、(1)ニッケル源及びM源、又は(2)ニッケル源、M源及びMe源を含有し、固形分の平均粒径が0.1〜2.0μmのスラリーを4流体ノズルを備えた噴霧乾燥装置にて、スラリーの供給速度が50〜150Kg/時間で、噴霧ガスの圧力が0.1MPa以上で、噴霧乾燥処理して噴霧乾燥品を得る噴霧乾燥工程、次に該噴霧乾燥品と、リチウム源とを混合して、焼成原料混合物を得る焼成原料混合工程と、
該焼成原料混合物を焼成し、前記一般式(1)で表されるリチウムニッケル系複合酸化物からなるリチウム二次電池用正極活物質粉体を得る焼成工程と、
を有することを特徴とするリチウム二次電池用正極活物質粉体の製造方法を行うことにより製造される。
【0029】
本発明のリチウム二次電池用正極活物質粉体に係る噴霧乾燥工程は、(1)ニッケル源及びM源、又は(2)ニッケル源、M源及びMe源を含有するスラリーを、噴霧乾燥して、噴霧乾燥品を得る工程である。
【0030】
噴霧乾燥工程において、噴霧乾燥されるスラリーは、(1)ニッケル源及びM源、又は(2)ニッケル源、M源及びMe源を含有するスラリーである。
【0031】
噴霧乾燥工程に係るニッケル源としては、特に制限されず、例えば、Ni(OH)
2、NiO、NiOOH等のニッケルの水酸化物や酸化物;NiCO
3・6H
2O、Ni(NO
3)
2・6H
2O、NiSO
4、NiSO
4・6H
2O、NiC
2O
4・2H
2O等のニッケルの無機塩;脂肪酸ニッケル等の有機ニッケル化合物などが挙げられる。これらのうち、ニッケル源としては、Ni(OH)
2が工業原料として安価に入手できる点、及び反応性が高いという点から好ましい。無論、ニッケル源として複数種のものを使用してもよい。噴霧乾燥工程に係るニッケル源は、分散媒に難溶性の化合物であることが好ましい。
【0032】
噴霧乾燥工程に係るM源は、M元素を有する化合物である。M元素としてはMn、Ti及びZrから選ばれる1種又は2種以上の金属元素であり、M源としてはM元素の酸化物、水酸化物、オキシ水酸化物、炭酸塩、硝酸塩、硫酸塩、有機酸塩等が挙げられる。
【0033】
また、噴霧乾燥工程において、噴霧乾燥されるスラリーは、リチウム二次電池の電池の安全性、放電容量、急速充放電等の性能をいっそう向上させることを目的として、必要に応じて、ニッケル源、M源以外の前述したMe源を含有させることができる。前記Me源はMe元素を有する化合物であり、Me元素の好ましいものとしては、例えば、Ca、Mg、Al、Si、P、V、Cr、Fe、Co、Cu、Zn、Nb、Mo、AgおよびSr等から選ばれる1種又は2種以上であり、Me源としてはMe元素の酸化物、水酸化物、オキシ水酸化物、炭酸塩、硝酸塩、硫酸塩、有機酸塩等が挙がられる。
【0034】
なお、本製造方法において、原料の前記ニッケル源、M源、Me源及び後述するリチウム源は、高純度の正極活物質を製造するために、可及的に不純物含有量が少ないものが好ましい。
【0035】
噴霧乾燥工程において、噴霧乾燥されるスラリーでは、分散媒に、ニッケル源、M源及び必要に応じて用いられるMe源が分散されている。分散媒としては、水、水に水溶性有機溶媒が配合されている水溶液が挙げられる。
【0036】
噴霧乾燥工程において、噴霧乾燥されるスラリー中のニッケル源及びM源の含有比並びに必要に応じて用いられるMe元素の含有比は、どのような組成比のリチウムニッケル系複合酸化物を製造するかにより、適宜選択されるが、ニッケル、M元素及びMe元素の原子換算の合計モル数(A)に対するニッケルの原子換算のモル数の比(Ni/A)が、好ましくは0.1〜0.5、特に好ましくは0.1〜0.3であり、また、ニッケル、M元素及びMe元素の原子換算の合計モル数(A)に対するM元素の原子換算のモル数の比(M/A)が、好ましくは0.5〜0.9、特に好ましくは0.6〜0.9である。また、スラリーがMe元素を有する化合物を含有する場合は、ニッケル、M元素及びMe元素の合計モル数(A)に対するMe元素の原子換算のモル数の比(Me/A)が、好ましくは0より大きく0.4以下、特に好ましくは0より大きく0.3以下である。なお、スラリーがMe元素を含有しない場合は、合計モル数(A)は、ニッケル及びM元素の原子換算の合計モル数であり、また、スラリーが2種以上のMe元素を含有する場合、Me元素の原子換算のモル数は、各Me元素の原子換算のモル数の合計モル数である。
【0037】
噴霧乾燥工程において、噴霧乾燥されるスラリーの固形分濃度は、スラリー全体に対する固形分の質量割合で、好ましくは10.0〜50.0質量%、特に好ましくは15.0〜50.0質量%、更に好ましくは20.0〜50.0質量%であことが生産性を向上させる観点から好ましい。
【0038】
噴霧乾燥工程において、噴霧乾燥されるスラリーは、他に、ポイズ2100(花王社製)、サンノプコ5468(サンノプコ社製)等の分散剤等の添加剤を含有させることができる。
【0039】
噴霧乾燥工程において、噴霧乾燥されるスラリー中の固形分の平均粒径は、0.1〜2.0μm、好ましくは0.1〜1.6μmである。スラリー中の固形分の平均粒径が上記範囲にあることにより、リチウム二次電池の放電容量が高くなる。スラリー中の固形分の平均粒径を上記範囲にする理由は、スラリー中の固形分の平均粒径が0.1μm未満ではスラリー粘性が高くなり、スプレー噴霧が難しくなる。また、スラリー中の固形分の平均粒径が2.0μmより大きくなると一次粒子が大きく、十分な充放電容量が得られなくなるからである。
【0040】
噴霧乾燥されるスラリーは、ニッケル源、M源及び必要に応じて用いられるMe源を、分散媒中で、湿式粉砕することにより得られる。この湿式粉砕では、レーザー回折・散乱法により求められるスラリー中の固形分の平均粒径が、0.1〜2μm、好ましくは0.1〜1.6μmとなるまで、湿式粉砕を行う。なお、湿式粉砕では、湿式粉砕の条件を適宜選択することにより、スラリー中の固形分の平均粒径を制御することができる。
【0041】
湿式粉砕を行うための装置としては、メディアミルを用いることがスラリー中の固形分の平均粒径を前記範囲となるように制御する観点から好ましく、メディアミルとしては、ビーズミル、ボールミル、ペイントシェーカー、アトライタ、サンドミル等が挙げられる。
【0042】
例えば、ビーズミルを用いて湿式粉砕を行う場合、固形分濃度、分散剤の使用の有無や濃度、ビーズの粒径、ミル周波数、湿式粉砕の処理回数、投入速度等の湿式粉砕条件を、適宜選択することにより、湿式粉砕により得られるスラリー、すなわち、噴霧乾燥されるスラリー中の固形分の平均粒径を調節する。
【0043】
そして、噴霧乾燥工程では、固形分が所定の粒子性状となるように調節された上記スラリーを、噴霧乾燥することにより、噴霧乾燥品を得る。
【0044】
噴霧乾燥工程において、本発明では、該原料混合スラリーを4流体ノズルを備えた噴霧乾燥装置にて行う。
【0045】
スラリーの乾燥方法には4流体ノズルを備えた噴霧乾燥装置を用いる方法以外の方法も知られているが、本製造方法では4流体ノズルを備えた噴霧乾燥装置を用いることが有利であるとの知見に基づき、この乾燥方法を採用している。詳細には、4流体ノズルを備えた噴霧乾燥装置を用いると、他の噴霧乾燥方法を用いたものと比べて、固形分の原料粒子が密に詰まった状態のものが、より微粒で得られ、また、得られる噴霧乾燥品も噴霧乾燥の条件を適宜選択することで、後述する粒度分布のものが得られやすい。
【0046】
4流体ノズルは、原料と液体の混合物に、ノズル先端部分で気体を衝突させて霧状に微細化する装置である。
図1に4流体ノズルの一実施形態の模式図を示す。
図2に4流体ノズルを備えた噴霧乾燥装置の一実施形態の模式図を示す。
本製造方法で用いる4流体ノズルを備えた噴霧乾燥装置は、基本的には4流体ノズル(1)と乾燥室(7)とを具備する。4流体ノズルを備えた噴霧乾燥装置は、ノズル(1)に2つの液体流路(2a、2b)と2つの気体流路(3a、3b)を有し、気体流路から出る圧縮空気(4)によってスプレー液(5)を流体流動面(6)で薄く引き伸ばし、4流体ノズルのエッジ先端の焦点(4a)で生じる強い衝撃波によって微粒化した液滴(8)を生じさせ、熱風を内部に供給可能な乾燥室(7)で液滴(8)と熱風を接触させ、瞬時に乾燥して微粒子(9)を得る装置である。
なお、4流体ノズルを備えた噴霧乾燥装置は、すでに公知(例えば、特開平08−281155号公報、工業調査会発行「化学装置」2000年6月号、第60〜65頁、工業調査会発行「化学装置」2002年6月号、第85〜90頁等参照。)であり、また、市販されている。
また、
図1及び
図2では、4流体ノズルとして、ストレートエッジ型を示したが、サークルエッジ型のものであっても同様に用いることができる。
【0047】
噴霧乾燥工程では、噴霧乾燥して得られる噴霧乾燥品をレーザー回折・散乱法から求めた粒度分布測定値において平均粒径(D
50)が1μm以上30μm以下、好ましくは1.0μm以上20.0μm以下で、10%累積径(D
10)が1μm以上10μm以下、好ましくは5.0μm以上25μm以下、90%累積径(D
90)が15μm以上50μm以下、好ましくは15μm以上30μm以下であり、且つD
50の粒径における相対頻度が10%以下、好ましくは2%以上8%以上となるように調節する。噴霧乾燥品の粒度分布が上記範囲にあることにより、最終的に得られるリチウム二次電池用正極活物質は、前述した好ましい粒度分布の範囲のものが得られやすくなる。前記粒度分布を有する噴霧乾燥品を得るため、本発明に係る噴霧乾燥工程では、混合スラリーの供給速度と噴霧ガスの圧力を所定の範囲で行うことが特に重要である。
【0048】
なお、噴霧乾燥品の粒度分布は、レーザー回折・散乱法(測定装置:日機装社製、マイクロトラックMT3300EXII粒度分析計、MTEX−SDU、分散媒:水、超音波ホモジナイザーで1分前処理)により測定される、体積頻度粒度分布である。頻度粒度分布測定では、2000μmから0.023μmまでの間を132チャンネルの粒子径の分布帯に分割し、粒子の分布を求め、各分布帯の中間値をその分布帯の粒径「D(μm)」とし、粒子の総体積に対する各分布帯に占める粒子の体積の百分率を粒径D(μm)の粒子の頻度値「P(%)」とする。
【0049】
スラリーの供給速度は50〜150
kg/時間、好ましくは50〜100
kg/時間である。本製造方法では、このスラリーの供給速度が範囲内であることにより、上記範囲内の粒度特性を有する噴霧乾燥品を得やすくなる。一方、スラリーの供給速度が50
kg/時間より小さくなると目的とする粒径のものが得られ難く、一方、スラリーの供給速度が150kg/分より大きくなると目的の粒子径よりも大きくなる傾向があるからである。
【0050】
また、噴霧ガスの圧力は、0.1MPa以上、好ましくは0.2〜0.5MPaである。この理由は、噴霧ガスの圧力が0.1MPaより小さくなると粒子径が大きくなりすぎるからである。なお噴霧ガスは、多くの場合、空気が用いられる。
【0051】
また、噴霧乾燥工程において、4流体ノズルから得られた液滴を乾燥する際の温度は、噴霧乾燥装置の入口温度で150〜400℃、好ましくは200〜400℃であることにより、上記粒度特性を持った噴霧乾燥品を得やすくなる。
【0052】
また、噴霧乾燥品はBET比表面積が50〜150m
2/g、好ましくは60〜90m
2/gであることが適度な凝集性のある製品を得る観点から好ましい。噴霧乾燥工程における乾燥温度、固形分濃度等の乾燥条件、湿式粉砕工程で得られるスラリー中の固形分の平均粒径等を、適宜選択することにより、噴霧乾燥して得られる噴霧乾燥品のBET比表面積を、上記範囲に調節することができる。
【0053】
焼成原料混合工程は、噴霧乾燥品とリチウム源とを混合して、焼成原料混合物を得る工程である。
【0054】
焼成原料混合工程に係るリチウム源としては、特に制限されず、例えば、LiOH、Li
2O、LiOH・H
2O等のリチウムの水酸化物や酸化物;Li
2CO
3、LiNO
3、LiSO
4等のリチウムの無機塩;アルキルリチウム、酢酸リチウム等の有機リチウム化合物などが挙げられる。これらのうち、リチウム源としては、LiOH、LiOH・H
2O、Li
2CO
3などが好ましい。
【0055】
リチウム源の平均粒径は、好ましくは1〜100μm、特に好ましくは5〜80μmである。リチウム源の平均粒径が上記範囲にあることにより、噴霧乾燥品との均一混合が可能になり、反応性が良好となる。
【0056】
噴霧乾燥品に対するリチウム源の混合量は、原子換算のモル比で、Li/Aが、1.20〜1.80、好ましくは1.30〜1.70、特に好ましくは1.35〜1.65となる量である。なお、Aは、ニッケル、M元素及び必要に応じて用いられるMe元素の原子換算の合計モル数を指す。
【0057】
噴霧乾燥工程を行い得られる本発明の噴霧乾燥品は、リチウム源との反応性に優れているため、電池膨れの原因となる炭酸リチウム及び水酸化リチウムの残存量が少ないリチウム二次電池用正極活物質粉体を得ることができる。
【0058】
焼成原料混合工程で、噴霧乾燥品とリチウム源とを混合する方法としては、例えば、ヘンシェルミキサー、ナウターミキサー及びリボンブレンダー、V型混合機等の装置等の機械的手段を用いて、噴霧乾燥品とリチウム源とを混合する方法が挙げられる。
【0059】
焼成工程は、焼成原料混合物を焼成して、リチウムニッケル系複合酸化物からなるリチウム二次電池用正極活物質粉体を得る工程である。
【0060】
焼成工程において、焼成原料混合物を焼成する際の焼成温度は、900〜1100℃、好ましくは950〜1100℃である。焼成原料混合物の焼成温度が、上記範囲にあることにより、リチウム二次電池の容量及び容量維持率が高くなる。焼成原料混合物を焼成する際の焼成時間は、2.0〜20時間、好ましくは5.0〜15.0時間である。焼成原料根混合物を焼成する際の焼成雰囲気は、特に制限されるものではなく、大気雰囲気又は酸素雰囲気が挙げられる。
【0061】
そして、焼成工程で、焼成原料混合物を焼成した後、適宜冷却し、必要に応じ解砕及び/又は粉砕すると、目的とするリチウムニッケル系複合酸化物からなるリチウム二次電池用正極活物質粉体が得られる。なお、必要に応じて行う解砕及び/又は粉砕は、焼成原料混合物を焼成して得られるリチウム二次電池用正極活物質粉体物が、もろく結合したブロック状のものである場合等に適宜行う。
また、本発明において、焼成は所望により何度行ってもよい。或いは、粉体特性を均一にする目的で、一度焼成したものを粉砕し、次いで再焼成を行ってもよい。
【0062】
なお、噴霧乾燥されるスラリー中の固形分の平均粒径、噴霧乾燥工程を行い得られる噴霧乾燥品の平均粒径、焼成原料混合工程で混合されるリチウム源の平均粒径、及び本発明のリチウム二次電池用正極活物質粉体の製造方法により得られるリチウム二次電池用正極活物質粉体の平均粒径は、レーザー回折・散乱法により求められる平均粒径であり、例えば、社名:日機装製、品名:マイクロトラックMT3300EXII粒度分析計、型式:MTEX−SDUを用いて測定される平均粒径である。レーザー回折・散乱法とは、スラリー又は粉体を分散媒に分散させたものにレーザー光を照射し、粒子に入射されて散乱した散乱光をディテクタで検出する。検出された散乱光の散乱角は、大きな粒子の場合は前方散乱(0<θ<90°)となり、小さい粒子の場合は側方散乱又は後方散乱(90°<θ<180°)となる。測定された角度分布値から、入射光波長及び粒子の屈折率等の情報を用いて粒度分布を算出する。更に得られた粒度分布から平均粒子径を算出する。測定の際に用いる分散剤としては例えば、0.1質量%ヘキサメタリン酸ナトリウム水溶液を用いる。
【0063】
本発明に係るリチウム二次電池は、上記リチウム二次電池用正極活物質粉体を正極活物質として用いるリチウム二次電池であり、正極、負極、セパレータ、及びリチウム塩を含有する非水電解質からなる。正極は、例えば、正極集電体上に正極合剤を塗布乾燥等して形成されるものであり、正極合剤は正極活物質、導電剤、結着剤、及び必要により添加されるフィラー等からなる。本発明に係るリチウム二次電池は、正極に本発明のリチウム二次電池用正極活物質粉体が均一に塗布されている。このため本発明に係るリチウム二次電池は、高容量で、特にサイクル特性に優れる。
【0064】
正極合剤に含有される正極活物質の含有量は、70〜100質量%、好ましくは90〜98質量%が望ましい。
【0065】
正極集電体としては、構成された電池において化学変化を起こさない電子伝導体であれば特に制限されるものでないが、例えば、ステンレス鋼、ニッケル、アルミニウム、チタン、焼成炭素、アルミニウムやステンレス鋼の表面にカーボン、ニッケル、チタン、銀を表面処理させたもの等が挙げられる。これらの材料の表面を酸化して用いてもよく、表面処理により集電体表面に凹凸を付けて用いてもよい。また、集電体の形態としては、例えば、フォイル、フィルム、シート、ネット、パンチングされたもの、ラス体、多孔質体、発砲体、繊維群、不織布の成形体などが挙げられる。集電体の厚さは特に制限されないが、1〜500μmとすることが好ましい。
【0066】
導電剤としては、構成された電池において化学変化を起こさない電子伝導材料であれば特に限定はない。例えば、天然黒鉛及び人工黒鉛等の黒鉛、カーボンブラック、アセチレンブラック、ケッチェンブラック、チャンネルブラック、ファーネスブラック、ランプブラック、サーマルブラック等のカーボンブラック類、炭素繊維や金属繊維等の導電性繊維類、フッ化カーボン、アルミニウム、ニッケル粉等の金属粉末類、酸化亜鉛、チタン酸カリウム等の導電性ウィスカー類、酸化チタン等の導電性金属酸化物、或いはポリフェニレン誘導体等の導電性材料が挙げられ、天然黒鉛としては、例えば、鱗状黒鉛、鱗片状黒鉛及び土状黒鉛等が挙げられる。これらは、1種又は2種以上組み合わせて用いることができる。導電剤の配合比率は、正極合剤中、1〜50質量%、好ましくは2〜30質量%である。
【0067】
結着剤としては、例えば、デンプン、ポリフッ化ビニリデン、ポリビニルアルコール、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、再生セルロース、ジアセチルセルロース、ポリビニルピロリドン、テトラフロオロエチレン、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−プロピレン−ジエンターポリマー(EPDM)、スルホン化EPDM、スチレンブタジエンゴム、フッ素ゴム、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロエチレン共重合体、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体、テトラフルオロエチレン−パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体、フッ化ビニリデン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体、フッ化ビニリデン−クロロトリフルオロエチレン共重合体、エチレン−テトラフルオロエチレン共重合体、ポリクロロトリフルオロエチレン、フッ化ビニリデン−ペンタフルオロプロピレン共重合体、プロピレン−テトラフルオロエチレン共重合体、エチレン−クロロトリフルオロエチレン共重合体、フッ化ビニリデン−ヘキサフルオロプロピレン−テトラフルオロエチレン共重合体、フッ化ビニリデン−パーフルオロメチルビニルエーテル−テトラフルオロエチレン共重合体、エチレン−アクリル酸共重合体またはその(Na
+)イオン架橋体、エチレン−メタクリル酸共重合体またはその(Na
+)イオン架橋体、エチレン−アクリル酸メチル共重合体またはその(Na
+)イオン架橋体、エチレン−メタクリル酸メチル共重合体またはその(Na
+)イオン架橋体、ポリエチレンオキシドなどの多糖類、熱可塑性樹脂、ゴム弾性を有するポリマー等が挙げられ、これらは1種または2種以上組み合わせて用いることができる。なお、多糖類のようにリチウムと反応するような官能基を含む化合物を用いるときは、例えば、イソシアネート基のような化合物を添加してその官能基を失活させることが好ましい。結着剤の配合比率は、正極合剤中、1〜50質量%、好ましくは5〜15質量%である。
【0068】
フィラーは正極合剤において正極の体積膨張等を抑制するものであり、必要により添加される。フィラーとしては、構成された電池において化学変化を起こさない繊維状材料であれば何でも用いることができるが、例えば、ポリプロピレン、ポリエチレン等のオレフィン系ポリマー、ガラス、炭素等の繊維が用いられる。フィラーの添加量は特に限定されないが、正極合剤中、0〜30質量%が好ましい。
【0069】
負極は、負極集電体上に負極材料を塗布乾燥等して形成される。負極集電体としては、構成された電池において化学変化を起こさない電子伝導体であれば特に制限されるものでないが、例えば、ステンレス鋼、ニッケル、銅、チタン、アルミニウム、焼成炭素、銅やステンレス鋼の表面にカーボン、ニッケル、チタン、銀を表面処理させたもの及びアルミニウム−カドミウム合金等が挙げられる。また、これらの材料の表面を酸化して用いてもよく、表面処理により集電体表面に凹凸を付けて用いてもよい。また、集電体の形態としては、例えば、フォイル、フィルム、シート、ネット、パンチングされたもの、ラス体、多孔質体、発砲体、繊維群、不織布の成形体などが挙げられる。集電体の厚さは特に制限されないが、1〜500μmとすることが好ましい。
【0070】
負極材料としては、特に制限されるものではないが、例えば、炭素質材料、金属複合酸化物、リチウム金属、リチウム合金、ケイ素系合金、錫系合金、金属酸化物、導電性高分子、カルコゲン化合物、Li−Co−Ni系材料等が挙げられる。炭素質材料としては、例えば、難黒鉛化炭素材料、黒鉛系炭素材料等が挙げられる。金属複合酸化物としては、例えば、Sn
P(M
1)
1-p(M
2)
qO
r(式中、M
1はMn、Fe、Pb及びGeから選ばれる1種以上の元素を示し、M
2はAl、B、P、Si、周期律表第1族、第2族、第3族及びハロゲン元素から選ばれる1種以上の元素を示し、0<p≦1、1≦q≦3、1≦r≦8を示す。)、Li
xFe
2O
3(0≦x≦1)、Li
xWO
2(0≦x≦1)、チタン酸リチウム等の化合物が挙げられる。金属酸化物としては、GeO、GeO
2、SnO、SnO
2、PbO、PbO
2、Pb
2O
3、Pb
3O
4、Sb
2O
3、Sb
2O
4、Sb
2O
5、Bi
2O
3、Bi
2O
4、Bi
2O
5等が挙げられる。導電性高分子としては、ポリアセチレン、ポリ−p−フェニレン等が挙げられる。
【0071】
セパレータとしては、大きなイオン透過度を持ち、所定の機械的強度を持った絶縁性の薄膜が用いられる。耐有機溶剤性と疎水性からポリプロピレンなどのオレフィン系ポリマーあるいはガラス繊維あるいはポリエチレンなどからつくられたシートや不織布が用いられる。セパレータの孔径としては、一般的に電池用として有用な範囲であればよく、例えば、0.01〜10μmである。セパレータの厚みとしては、一般的な電池用の範囲であればよく、例えば5〜300μmである。なお、後述する電解質としてポリマーなどの固体電解質が用いられる場合には、固体電解質がセパレータを兼ねるようなものであってもよい。
【0072】
リチウム塩を含有する非水電解質は、非水電解質とリチウム塩とからなるものである。非水電解質としては、非水電解液、有機固体電解質、無機固体電解質が用いられる。非水電解液としては、例えば、N−メチル−2−ピロリジノン、プロピレンカーボネート、エチレンカーボネート、ブチレンカーボネート、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、γ−ブチロラクトン、1,2−ジメトキシエタン、テトラヒドロキシフラン、2−メチルテトラヒドロフラン、ジメチルスルフォキシド、1,3−ジオキソラン、ホルムアミド、ジメチルホルムアミド、ジオキソラン、アセトニトリル、ニトロメタン、蟻酸メチル、酢酸メチル、リン酸トリエステル、トリメトキシメタン、ジオキソラン誘導体、スルホラン、メチルスルホラン、3−メチル−2−オキサゾリジノン、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン、プロピレンカーボネート誘導体、テトラヒドロフラン誘導体、ジエチルエーテル、1,3−プロパンサルトン、プロピオン酸メチル、プロピオン酸エチル等の非プロトン性有機溶媒の1種または2種以上を混合した溶媒が挙げられる。
【0073】
有機固体電解質としては、例えば、ポリエチレン誘導体、ポリエチレンオキサイド誘導体又はこれを含むポリマー、ポリプロピレンオキサイド誘導体又はこれを含むポリマー、リン酸エステルポリマー、ポリホスファゼン、ポリアジリジン、ポリエチレンスルフィド、ポリビニルアルコール、ポリフッ化ビニリデン、ポリヘキサフルオロプロピレン等のイオン性解離基を含むポリマー、イオン性解離基を含むポリマーと上記非水電解液の混合物等が挙げられる。
【0074】
無機固体電解質としては、Liの窒化物、ハロゲン化物、酸素酸塩、硫化物等を用いることができ、例えば、Li
3N、LiI、Li
5NI
2、Li
3N−LiI−LiOH、LiSiO
4、LiSiO
4−LiI−LiOH、Li
2SiS
3、Li
4SiO
4、Li
4SiO
4−LiI−LiOH、P
2S
5、Li
2S又はLi
2S−P
2S
5、Li
2S−SiS
2、Li
2S−GeS
2、Li
2S−Ga
2S
3、Li
2S−B
2S
3、Li
2S−P
2S
5−X、Li
2S−SiS
2−X、Li
2S−GeS
2−X、Li
2S−Ga
2S
3−X、Li
2S−B
2S
3−X、(式中、XはLiI、B
2S
3、又はAl
2S
3から選ばれる少なくとも1種以上)等が挙げられる。
【0075】
更に、無機固体電解質が非晶質(ガラス)の場合は、リン酸リチウム(Li
3PO
4)、酸化リチウム(Li
2O)、硫酸リチウム(Li
2SO
4)、酸化リン(P
2O
5)、硼酸リチウム(Li
3BO
3)等の酸素を含む化合物、Li
3PO
4-xN
2x/3(xは0<x<4)、Li
4SiO
4-xN
2x/3(xは0<x<4)、Li
4GeO
4-xN
2x/3(xは0<x<4)、Li
3BO
3-xN
2x/3(xは0<x<3)等の窒素を含む化合物を無機固体電解質に含有させることができる。この酸素を含む化合物又は窒素を含む化合物の添加により、形成される非晶質骨格の隙間を広げ、リチウムイオンが移動する妨げを軽減し、更にイオン伝導性を向上させることができる。
【0076】
リチウム塩としては、上記非水電解質に溶解するものが用いられ、例えば、LiCl、LiBr、LiI、LiClO
4、LiBF
4、LiB
10Cl
10、LiPF
6、LiCF
3SO
3、LiCF
3CO
2、LiAsF
6、LiSbF
6、LiB
10Cl
10、LiAlCl
4、CH
3SO
3Li、CF
3SO
3Li、(CF
3SO
2)
2NLi、クロロボランリチウム、低級脂肪族カルボン酸リチウム、四フェニルホウ酸リチウム、イミド類等の1種または2種以上を混合した塩が挙げられる。
【0077】
また、非水電解質には、放電、充電特性、難燃性を改良する目的で、以下に示す化合物を添加することができる。例えば、ピリジン、トリエチルホスファイト、トリエタノールアミン、環状エーテル、エチレンジアミン、n−グライム、ヘキサリン酸トリアミド、ニトロベンゼン誘導体、硫黄、キノンイミン染料、N−置換オキサゾリジノンとN,N−置換イミダゾリジン、エチレングリコールジアルキルエーテル、アンモニウム塩、ポリエチレングルコール、ピロール、2−メトキシエタノール、三塩化アルミニウム、導電性ポリマー電極活物質のモノマー、トリエチレンホスホンアミド、トリアルキルホスフィン、モルフォリン、カルボニル基を持つアリール化合物、ヘキサメチルホスホリックトリアミドと4−アルキルモルフォリン、二環性の三級アミン、オイル、ホスホニウム塩及び三級スルホニウム塩、ホスファゼン、炭酸エステル、イオン性液体等が挙げられる。また、電解液を不燃性にするために含ハロゲン溶媒、例えば、四塩化炭素、三弗化エチレンを電解液に含ませることができる。また、高温保存に適性を持たせるために電解液に炭酸ガスを含ませることができる。
【0078】
本発明に係るリチウム二次電池は、電池性能、特にサイクル特性に優れたリチウム二次電池であり、電池の形状はボタン、シート、シリンダー、角、コイン型等いずれの形状であってもよい。
【0079】
本発明に係るリチウム二次電池の用途は、特に限定されないが、例えば、ノートパソコン、ラップトップパソコン、ポケットワープロ、携帯電話、コードレス子機、ポータブルCDプレーヤー、ラジオ、液晶テレビ、バックアップ電源、電気シェーバー、メモリーカード、ビデオムービー等の電子機器、自動車、電動車両、ゲーム機器等の民生用電子機器が挙げられる。