特許第5687208号(P5687208)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5687208
(24)【登録日】2015年1月30日
(45)【発行日】2015年3月18日
(54)【発明の名称】ラックハウジングの向上した圧入接続
(51)【国際特許分類】
   B62D 3/12 20060101AFI20150226BHJP
【FI】
   B62D3/12 503A
【請求項の数】14
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2011-549447(P2011-549447)
(86)(22)【出願日】2009年11月16日
(65)【公表番号】特表2012-517926(P2012-517926A)
(43)【公表日】2012年8月9日
(86)【国際出願番号】EP2009065239
(87)【国際公開番号】WO2010091749
(87)【国際公開日】20100819
【審査請求日】2012年11月9日
(31)【優先権主張番号】102009000900.0
(32)【優先日】2009年2月16日
(33)【優先権主張国】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】503136222
【氏名又は名称】フォード グローバル テクノロジーズ、リミテッド ライアビリティ カンパニー
(74)【復代理人】
【識別番号】100146374
【弁理士】
【氏名又は名称】有馬 百子
(74)【復代理人】
【識別番号】100129263
【弁理士】
【氏名又は名称】中尾 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100109634
【弁理士】
【氏名又は名称】舛谷 威志
(72)【発明者】
【氏名】クラウス ベトケ
(72)【発明者】
【氏名】ダニエル ビューニング
【審査官】 柳元 八大
(56)【参考文献】
【文献】 特開2001−018605(JP,A)
【文献】 実開昭57−091668(JP,U)
【文献】 特開2004−255988(JP,A)
【文献】 特開平08−268305(JP,A)
【文献】 特開2003−329047(JP,A)
【文献】 特公昭50−032369(JP,B1)
【文献】 実開昭60−034191(JP,U)
【文献】 英国特許第01010457(GB,B)
【文献】 米国特許第03825146(US,A)
【文献】 米国特許出願公開第2003/0167619(US,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2012/0087715(US,A1)
【文献】 特開2003−130072(JP,A)
【文献】 特開2005−126044(JP,A)
【文献】 実開昭62−080753(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B62D 3/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
管状ハウジング(1)と、少なくとも1つのリング(2、2’)とを含むアセンブリであって、
前記少なくとも1つのリング(2、2’)は、少なくとも部分的に前記ハウジング(1)内に設けられ、
前記少なくとも1つのリング(2、2’)は、前記リング(2、2’)の拡張時、前記ハウジング(1)に入され、
前記リング(2、2’)は、円錐状の内周面(5、5’)を備え、
前記ハウジング(1)に隣接する前記リング(2、2’)の外周面上に歯付き部(4、4’)が設けられる点において特徴付けられる、アセンブリ。
【請求項2】
前記ハウジングはラックハウジング(1)であり、ラック(10)を収容する機能を有する点において特徴付けられる、請求項1に記載のアセンブリ。
【請求項3】
前記歯付き部(4、4’)は、前記リングの軸方向に延びるねじ山として構成される点において特徴付けられる、請求項1から2のいずれか1つに記載のアセンブリ。
【請求項4】
前記ハウジング(1)に圧入された前記歯付き部(4、4’)は、前記ハウジング(1)の少なくとも1つの開口部から距離を空けて配置される点において特徴付けられる、請求項1から3のいずれか1つに記載のアセンブリ。
【請求項5】
前記リング(2、2’)は、少なくとも前記歯付き部(4、4’)の領域において、前記リング(2、2’)に隣接する前記ハウジング(1)の領域における材料よりも高い硬度の材料によって構成される、点において特徴付けられる、請求項1から4のいずれか1つに記載のアセンブリ。
【請求項6】
前記リング(2、2’)は、少なくとも前記歯付き部(4、4’)の領域において硬化されている点において特徴付けられる、請求項1から5のいずれか1つに記載のアセンブリ。
【請求項7】
前記リング(2、2’)は工具鋼から作製される点において特徴付けられる、請求項1から6のいずれか1つに記載のアセンブリ。
【請求項8】
前記ハウジング(1)は実質的にスチール製である点において特徴付けられる、請求項1から7のいずれか1つに記載のアセンブリ。
【請求項9】
前記ラック(10)は、前記ハウジング(1)内に少なくとも部分的に配置される点において特徴付けられる、請求項2に記載のアセンブリ。
【請求項10】
前記リング(2、2’)には、前記ハウジング(1)の開口部の縁部上に支持されたカラー(7)が設けられる点において特徴付けられる、請求項1から9のいずれか1つに記載のアセンブリ。
【請求項11】
少なくとも1つのリング(2、2’)を管状ハウジング(1)内に少なくとも部分的に組み立てる方法であって、
配置工程であって、前記少なくとも1つのリング(2、2’)を前記ハウジング(1)内に少なくとも部分的に配置する、工程と、
拡張工程であって、前記リング(2、2’)を拡張する工程と、
を含み、
前記拡張工程は、前記リング(2、2’)の円錐状の内周面(5、5’)に作用する円錐状の押圧ツールによって実施され、
前記ハウジング(1)に隣接する前記リング(2、2’)の外周面上に配置される歯付き部(4、4’)が、前記ハウジング(1)に圧入される点において特徴付けられる、方法。
【請求項12】
前記配置工程に先行する硬化工程によって特徴付けられ、前記硬化工程において、少なくとも前記歯付き部(4、4’)の領域において前記リング(2、2’)が硬化される、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記歯付き部(4、4’)は、前記リングの軸方向において延びるねじ山として構成される点において特徴付けられる、請求項11又は12に記載の方法。
【請求項14】
前記拡張工程時において前記ハウジング(1)の拡張が防止される点において特徴付けられる、請求項11から13のいずれか1つに記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、管状ハウジングからなるアセンブリと、その組み立て方法とに関連する。このアセンブリは、例えば、ラック収容する機能を有し、少なくとも1つの保持リングおよび/または支持リングからなる。前記保持リングおよび/または支持リングは、前記ハウジング内に配置され、かつ、前記保持リングおよび/または支持リングが拡張している間、前記ラックハウジングに圧入される。
【背景技術】
【0002】
ラックアンドピニオンステアリング機構は、自動車において用いられ、ステアリングホイールを通じて付加されたステアリング回転運動を直線運動へと変換して、操舵対象である車両ホイールを旋回させる。操舵力をアシストするために、サーボ駆動が用いられる。サーボ駆動は、ステアリング伝動機構内の適切な領域に配置され得る。
【0003】
ラックアンドピニオンステアリング機構の場合、ステアリングコラムの端部は、ラックと係合するピニオンに接続され、ステアリング機構の回転時において、ピニオンを横方向に移動させる。1つのトラックロッドはそれぞれ、ボールジョイントを介して、ラックの2つの端部それぞれに接続される。ラックアンドピニオンステアリング機構は広範囲に用いられるため、摩耗量は極めて小さく抑えられている。ラックアンドピニオンステアリング機構は、フィードバックが高く、また極めて高弾性である。
【0004】
通常、ラックハウジングは、いわゆるサーボアシスト型ラックアンドピニオンステアリング機構に用いられており、ラックハウジングはラックを管状に収容し、また、ラックハウジングは、油圧領域と機械領域とに分割される。
【0005】
前記機械領域は、ラックの移動のための領域である。ラックには歯が設けられ、かつ、ステアリングホイールのステアリング運動に伴って回転するピニオンと係合する。そのため、ピニオン係合領域が、ラックハウジングの機械領域内に配置される。前記油圧領域は、同様にラックが内部に延びる領域であるが、前記油圧領域内においては、ラック内に歯は含まれないことが多い。前記油圧領域内において、ラックは、スライド可能に取り付けられたピストン部材にリジッド接続され、前記ピストン部材はそれぞれ、前記ラックハウジングの油圧領域内の1つのシリンダチャンバを画定する。車両のステアリングホイールが回転されると、前記シリンダチャンバの1つの中に油圧オイルが流入するように制御バルブが起動され、これにより、前記ピストンおよびよって前記ラックが前記シリンダ内において移動させられる。前記油圧オイルによって前記ピストンが移動させられることにより、ラック運動およびよってステアリング運動を可能にする力が拡大する。この目的のため、前記制御バルブおよび前記ラックハウジングが油圧ラインを通じて相互接続され、これにより、ステアリングホイールが回転する方向に応じて、シリンダチャンバのいずれかをオイルによって加圧してもよいし、あるいは、圧力を軽減してもよい。
【0006】
支持リングは、油圧内力をラックハウジング内に伝達しかつシーリング部材(例えば、Oリング)も保持し、前記機械領域と、前記油圧領域との間に通常配置される。ラックハウジングの各端部においては、前記油圧領域または前記機械領域を制限する支持リングがさらに設けられる。この支持リングも、例えば、ボールジョイントに起因するラックの縦方向移動の停止部としても機能する。前記ボールジョイントは、前記ラックの端部上にそれぞれ取り付けられ、これによりこの支持リングに衝突する。
【0007】
ラックハウジングが同時拡張されている間、ラックガイディング部材をラックハウジングの両端部内に押圧することが、DE 100 33 305 C2から公知である。この押圧において、ラックハウジングの拡張時、ベローズ用のシートが生成される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明の目的は、強度および品質に関する高い要求を満たしつつ、支持リングおよび/または保持リングをハウジング(特に、ラックハウジング)に取り付ける際の製造努力およびコストを軽減することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
この目的は、請求項1に記載のアセンブリおよび独立請求項に記載の方法により、達成される。各場合における有利な実施形態は、従属請求項の内容である。特許請求項中に個別に記載されている特徴は、任意の技術的に実行可能な様態において、本発明の存在する他の実施形態と相互に組み合わせることが可能である点に留意されたい。上記記載は、特に図面と組み合わされた場合に、本発明をさらに特徴付けかつ特定する。
【0010】
本発明によれば、前記アセンブリは、ラックを収容する機能を有する少なくとも1つの管状ハウジング(好適には、ラックハウジング)と、少なくとも1つの保持リングおよび/または支持リングとを含む。前記少なくとも1つの保持リングおよび/または支持リングは、前記ラックハウジング内に少なくとも部分的に配置される。前記保持リングおよび/または支持リング(本明細書中以下リングとも呼ばれる)は、前記保持リングおよび/または支持リングが拡張されている間、前記ハウジング内に圧入される。前記保持リングおよび/または支持リングの拡張は、例えば実質的にそのラジアル方向において行われる。本発明によるアセンブリは、前記ハウジングに隣接する前記保持リングおよび/または支持リングの外周面上に歯付き部が設けられる点において、特徴付けられる。圧入により、前記保持リングおよび/または支持リングの歯付き部位が前記ハウジング内に(より正確には、その内壁内へと)スタンプされ、これにより、特に堅牢な接続が得られ、このような接続の耐久性は、特にハウジングの軸方向における負荷の場合において、単に平面接触面を共に押圧する場合よりも高く、高コストをかけて部品を相互溶接する必要も無い。さらに、溶接に起因する問題(すなわち、支持リングおよび/または保持リングがラックハウジング内にあるためアクセスが困難であることと、前記プロセスにおいて発生する熱応力に起因して、部品安定性に悪影響が出ること)が解消される。好適には、前記保持リングおよび/または支持リングが前記ハウジング内に配置される際、前記保持リングおよび/または支持リングのラジアル方向および軸方向が相互に平行となるように、配置される。
【0011】
本発明の文脈における「支持リングおよび/または保持リング」とは、広範に解釈されるべきである。本発明によれば、支持リングおよび/または保持リングは、保持機能および/または支持機能を備えた環状要素であり得る。支持リングおよび/または保持リングは、例えば、ラックハウジング内においてラックをガイドおよび支持するためのものである。さらに、支持リングおよび/または保持リングは、シーリング部材または別個のラックガイド部材を保持および/または支持するように機能し得るか、または、前記ハウジングが複数の部品を有する場合、2つの管状ハウジング部品を接続するように機能し得る。
【0012】
さらに、本発明の文脈における「歯付き部位」という用語は、広範に解釈されるべきである。本発明によれば、前記歯付き部位は、前記ハウジングに隣接する表面(詳細には、前記保持リングおよび/または支持リングの外周面)上の1つ以上の隆起部位である。例えば、前記歯付き部位は、前記保持リングおよび/または支持リングの外周面上の歯状の単一の隆起部位であるか、または、前記ハウジングに隣接する表面上に分散されたいくつかの隆起部位である。あるいは、別の実施形態において、前記歯付き部位は、前記外周面上に設けられた、1つ以上の均一形状の環状隆起部位である。
【0013】
本発明はまた、ハウジングの設計に限定されない。好適には、前記ハウジングは、ラックハウジングである。ラックハウジングは、例えば、ダイキャスティングによりアルミニウムから製造される。キャスティング後には、例えばピニオンユニットをラックハウジング上に取り付けることができるよう、機械加工が必要となる。取り付け対象となる部品内の接触面にも、フライス加工が施される。取り付け目的のための止まり穴および貫通孔も、製造される。好適には、ラックハウジングは、スチールから製造される。通常のアルミニウム製ステアリングギヤハウジングと比較して、スチール製ハウジングには多数の利点(例えば、材料のより高い剛性および靱性)がある。このようなより高剛性のスチールハウジングにより、得られたステアリング精度が向上する。別の利点として、スチールハウジングのケース内の油圧ラインの取り回しをコンパクトかつコスト効率良く行うことが可能となるため、ねじ界面を無くすことが可能になる。異なる種類の車両に柔軟に適合させることが可能なハウジングが、事前構成された精密スチールチューブから溶接構造として製造される。この精密スチールチューブの強度は、形成レベルに応じて、450〜650N/mm2である。例えば、特殊なガルバニックコーテイングを用いた場合、腐食防止が確実になる。溶接された油圧供給ラインにより、車両内の構造空間への最適な適合が可能となる。
【0014】
好適には、前記歯付き部は、前記保持リングおよび/または支持リングの軸方向に延びるねじ山として、構成される。前記ねじ山により、前記リングの分解を容易化することができる。すなわち、前記内壁内に圧入されることによりスタンプされた内部ねじ山に対して前記リングをねじ山と共に回転させることにより、前記分解を容易化させる。このように、分解が可能であることおよび分解の容易化が可能であるため、本発明によるアセンブリは、リサイクル時において特に有利に適しているだけでなく、特に容易かつコスト効率良く処分が可能である。さらに、分解ツールを適用する手段を設けると好適である。
【0015】
好適には、前記ハウジングに圧入された前記歯付き部は、前記ハウジングの少なくとも1つの開口部から距離を開けて配置される。これにより、損失からの保護が得られる。なぜならば、前記リングを除去可能とするために前記リングを前記歯付き部位から除去する際に、この距離範囲を乗り越えなければならないからである。ねじ山の場合、これは、以下のことを意味する。すなわち、前記リングを回転により除去する際に、この領域を前記ねじ山によって金属切削しなければならず、そのためには、より多くの力を付加する必要があり、これによっても、損失に対する保護が得られる。
【0016】
好適には、前記保持リングおよび/または支持リングは、少なくとも前記歯付き部の領域において、前記保持リングおよび/または支持リングに隣接するハウジングの領域の材料よりもより硬質の材料で構成され、これにより、前記ハウジングの部分において、前記歯付き部の領域内の塑性変形を達成し、これにより、特に耐久性が高くかつ強固な接続を達成する。例えば、前記リングは、前記ハウジングよりももより硬質の材料で構成される。
【0017】
好適には、前記保持リングおよび/または支持リングは、少なくとも前記歯付き部の領域内において硬化される。別の好適な実施形態によれば、前記保持リングおよび/または支持リングは、工具鋼(例えば、合金工具鋼または非合金工具鋼)によって構成される。
【0018】
別の有利な実施形態によれば、前記保持リングおよび/または支持リングには円錐状の内周面が設けられ、前記ハウジング内に拡張的に圧入できるようになっている。円錐状の内周面により、軸方向の力下における前記リングのラジアル拡張が特に容易に達成される。
【0019】
別の実施形態によれば、前記アセンブリは、前記ハウジング内に少なくとも部分的に配置されたラックを有する。
【0020】
好適には、前記保持リングおよび/または支持リングには、例えば拡張時において軸方向に固定された前記リングを保持するために、前記ハウジングの開口部の縁部において支持されたカラーが設けられる。前記カラーはさらに、前記ステアリングの移動時において前記ラックが停止部として前記保持リングおよび/または支持リングに対して移動された際、支持部として機能する。
【0021】
本発明は、好適にはラック収容機能を有する管状ハウジングの少なくとも部分的に内部の少なくとも1つの保持リングおよび/または支持リングの組立方法にさらに関する。前記方法は配置工程を含み、前記配置工程において、記少なくとも1つの保持リングおよび/または支持リングが、前記ハウジング内に少なくとも部分的に配置される。前記方法は、拡張工程をさらに含む。前記拡張工程において、前記保持リングおよび/または支持リングは、好適にはそのラジアル方向において拡張される。本発明による方法は、前記ハウジングに隣接する前記保持リングおよび/または支持リングの外周面上に配置された歯付き部が、前記ハウジングに圧入される点により、特徴付けられる。圧入により、前記保持リングおよび/または支持リングの歯付き部位は、前記ハウジング内に(より正確には、その内壁内に)スタンプされ、これにより、特に堅牢な接続が得られ、前記接続の耐久性(特に、軸負荷の場合における耐久性)は、平面の接触面を共に押圧するだけの場合よりも高く、また、高コストをかけて部品を相互溶接する必要も無い。さらに、溶接に起因する問題(すなわち、支持リングおよび/または保持リングがラックハウジング内にあるためアクセスが困難であることと、前記プロセスにおいて発生する熱応力に起因して、部品安定性に悪影響が出ること)が解消される。
【0022】
好適には、前記方法は、前記配置工程に先行する硬化工程を含む。前記硬化工程において、少なくとも前記歯付き部の領域において、前記保持リングおよび/または支持リングが硬化される。
【0023】
別の有利な実施形態によれば、前記拡張工程は、前記支持および/または保持リングの円錐状の内周面上に作用する円錐状の押圧ツールにより、実施される。
【0024】
上述した理由により、前記歯付き部は好適には、本発明による方法において、前記保持リングおよび/または支持リングの軸方向に延びるねじ山として、構成される。
【0025】
本発明による方法によれば、前記拡張工程時において前記ハウジングの拡張が好適には回避される。前記回避は、例えば、拡張時にアンビルの収容部位内に閉口様態で収容された前記リングの領域内の前記ハウジングにより、達成される。
【図面の簡単な説明】
【0026】
図1】本発明による、支持リングを備えたラックハウジングセグメントの断面図である。
【0027】
図2】本発明による保持リングを備えた別のラックハウジングセグメントの断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
本発明およびその技術的環境について、図面を参照しつつより詳細に説明する。図中、本発明の特に好適な実施形態を示すが、本発明はこのような実施形態に限定されない点に留意されたい。図中、以下のものが模式的に示される。
図1は、本発明による、支持リングを備えたラックハウジングセグメントの断面図であり、前記ラックハウジングセグメント内にラックが配置されている。
図2は、本発明による保持リングを備えた別のラックハウジングセグメントの断面図である。
【0029】
本発明によるラックハウジング1はスチール製であり、その一部のみを図1中に示す。図1は、ラックハウジング1の端部の1つを示す。関連付けられた開口部が、支持リング2と共にシールされる。スチール製の支持リング2は、ラックハウジング1の開口部の縁部上にそのカラー(7)が設けられている。一方、支持リング2は、クロスジョイントの停止部として機能する。このクロスジョイントは図示されていないが、ラックハウジング1内に配置されたラック10の端部上に取り付けられる。一方、支持リング2は、ラック支持ベアリング8をスライダーリング11と共に支持する機能を有する。スライダーリング11は、ラック10をガイドする機能を有する。ラック支持ベアリング9は、サークリップ9により、任意選択的にさらに支持される。サークリップ9は、ラックハウジング1の内壁内の周囲溝に挿入される。さらに、環状ガスケット3が設けられる。環状ガスケット3は、ラック支持ベアリング9上において支持される。支持リング2をラックハウジング1上に取り付けるために、押圧ツールにより、支持リング2をそのラジアル方向において拡張した。この拡張は、支持リング2の円錐状内壁5と軸方向において係合している押圧ツールの円錐状係合面と、押圧ツールからリング2へと付加される力とにより行われ、これにより、ラジアル方向における拡張が得られる。支持リング2は、ねじ山部4を含む。ねじ山部4は、硬化処理により、ラックハウジング1のスチールよりも高い硬度を有する。そのため、ねじ山部4はがラックハウジング1内にスタンプされると、ラックハウジング1は塑性変形し、これにより、支持リング2とラックハウジング1との間の接続が特に高耐久性となる。支持リング2をラックハウジング1から分解するには、ねじ山部4により、支持リング2をラックハウジング1に対して適切な方向に回転させればよい。ねじ山部4が回転によって除去される際、ラックハウジング1の開口部とねじ山部4との間の距離範囲6(ねじ山部4は、ラックハウジング1の部分上において、圧入時にねじ込まれていない状態である)をねじ山部4によって乗り越える(すなわち、切削する)必要がある。そのためには、より大きな力を付加する必要があるため、距離範囲6は、損失に対する保護として機能する。
【0030】
図2は、本発明によるラックハウジング1の別のセグメントを示し、保持リング2’が内部に配置されている。保持リング2’は、ラックハウジング1のシーリングリング3を内部に(すなわち、油圧領域内に)保持する機能を有する。保持リング2’をラックハウジング1上に取り付けるために、押圧ツールにより、保持リング2’をそのラジアル方向において拡張した。この拡張は、支持リング2’の円錐状内壁5と軸方向において係合している押圧ツールの円錐状係合面と、押圧ツールから保持リング2’へと付加される力とにより行われ、これにより、ラジアル方向における拡張が得られる。支持リング2’は、ねじ山部4’を含む。ねじ山部4’は、硬化処理により、ラックハウジング1のスチールよりも高い硬度を有する。そのため、歯付き部4’がラックハウジング1内にスタンプされると、ラックハウジング1は塑性変形し、これにより、保持リング2’とラックハウジング1との間の接続が特に高耐久性となる。実質的に管状に構成される。
図1
図2