【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、前記課題を、方法に関しては、請求項1の特徴により解決する。前記方法の有利な形態は、従属する請求項に記載されている。前記方法の使用について、請求項8に記載されている。装置に関しては、請求項9の特徴で課題が解決され、その有利な形態が従属する請求項に記載されている。
【0007】
本発明によれば、内燃機関を動かしたまま、点火栓の点火に特徴的な制御または操作パラメータの現在値が、定められた限界値に達したかを調べ、限界値に達していれば、報知機を作動させるように、内燃機関の点火栓の電極の摩耗を判定することが提案されている。
【0008】
したがって、本発明は、内燃機関の規定どおりの点火を生じるのに特徴的な1つまたは複数の制御または操作パラメータが定められた値の範囲にあるか、すなわち例えば最小値の上または最大値の下にあり、効果的に点火を実施できるかを検査する。この知見は、点火栓の摩耗限度に達したかを確認するのに利用される。
【0009】
限界値に達すれば、使用者に報知機で知らされる。
【0010】
本発明の好ましい実施形態によれば、特徴的な制御または操作パラメータとして、火花持続時間および/または規定どおりの点火に必要な点火エネルギーが用いられる。火花持続時間の値は、点火エネルギーの値とともに変化する。点火エネルギーが、増大すると、火花持続時間も増加し、逆もなりたつ。したがって、火花持続時間は点火エネルギーで調整することができる。
【0011】
したがって、点火過程に対して、火花持続時間の所望の目標値を設定することができ、つづいて点火エネルギーを変えることで、火花持続時間を目標値に調整することができる。点火過程における実際の火花持続時間は、操作パラメータの一例である。これにより、各点火過程において、操作パラメータとしての火花持続時間の現在値は、あらかじめ定められた火花持続時間の目標値、すなわち制御パラメータとしての火花持続時間に対応する。点火栓の電極間隔の変化は、したがって点火エネルギーの変化によって考慮に入れることができる。すなわち、火花持続時間は、点火エネルギーと電極間隔に依存する。
【0012】
点火栓の電極間隔が、定められた最小限界値を下回り、例えば点火コイルの制御値を変えて、規定どおりの点火に十分な短い火花持続時間をもたらすまで点火エネルギーを減少させることができないなら、点火栓を交換しなくてはならない。これにより、点火エネルギーの最小値範囲が達成される。
【0013】
これに対し、点火栓の電極間隔が、定められた最大限界値を超え、規定どおりの点火に十分な長い火花持続時間をもたらすまで点火エネルギーを増加させることができないならば、やはり点火栓を交換しなくてはならない。これらのパラメータの1つまたは両方は、したがって点火栓の摩耗限度への到達を検知するのに適当で、このように使用できる。
【0014】
点火栓の点火に特徴的な制御または操作パラメータの限界値は、少なくとも、内燃機関および/または内燃機関により駆動される装置の運転状態に特徴的な制御および/または操作パラメータに基づき定めることができる。使用することのできる、内燃機関の運転状態の操作パラメータは、例えば負荷である。ある特定の負荷に対して、ある点火エネルギーの限界値が設定される。負荷が大きくなると、運転のためにより長い火花持続時間が必要になる。すなわち、規定どおりの点火に必要な点火エネルギーの数値範囲が上昇するので、規定どおりの点火に必要な点火エネルギーの最小限界値も最大限界値も上昇する。負荷が減少すると、この数値範囲の窓が同様により低い点火エネルギー値にずれる。
【0015】
駆動される装置の例には、内燃機関で駆動されるタービンが挙げられ、その特徴的制御および/または操作パラメータは、点火の制御または操作パラメータの限界値窓に影響する。
【0016】
限界値に達したなら、好ましくは報知機を作動させ、内燃機関の使用者に点火栓が所定の摩耗限界値に達したことを報知する。このように、摩耗限度を調べるために内燃機関の運転を中断することなく、限界値への到達が分かり次第、点火栓を交換しなければならないことが使用者に直接伝えられる。とりわけこれは静置式エンジンにおいて、必要に即応した交換間隔に係る保守方針の顕著な改良となる。摩耗限界値を適切な値に設定すれば、限界値への到達が知らされても使用者にはまだ十分な時間があり、点火栓の交換のスケジュールを都合のよい時期に組込み諸事準備することができる。
【0017】
本発明の好ましい実施形態によれば、点火栓の点火に特徴的な制御または操作パラメータの現在値と限界値の差が求められ、内燃機関の使用者に報知機により、特定の時点で、または連続的に伝達される。これにより電極間隔の変化の傾向を、使用者に知らせることができる。
【0018】
最大限界値の場合、差を求めるには、例えば現在値を限界値から引く。この差がプラスとなるなら、限界値にはまだ達していない。差がほとんどないかマイナスとなるなら、限界値に達したことを報知する。逆に、最小限界値の場合、限界値を現在値から引き、この差がプラスとなるなら、やはり限界値にはまだ達していないことを示す。本発明は、上述した差の作成の変形形態も含む。その利点は、使用者が定められた時点で、または連続的に、点火栓が限界値への到達からまだどの程度離れているかを知らされるところにある。
【0019】
使用者はこれにより決められた時点または常時、点火栓の品質を正確に監視することができる。これにより、点火栓の交換の時期が使用者に長期的に明らかとなる。この追加情報は、内燃機関の長期使用計画に反映できる。したがって、請求項の方法を取り入れることで、内燃機関の使用効率が高められる。故障のリスクをより良く見積もることができ、点火栓をより長く使用できるので、操業コストが低くなり競争上極めて有利になる。
【0020】
好ましい実施形態によれば、火花持続時間および/または点火エネルギーの最小さらに最大限界値が与えられる。火花持続時間および/または点火エネルギーの現在値が、各点火過程の前または最中に測られ、前記現在値が、最小または最大限界値に達したことが判明すれば、報知機を作動させる。このようにして、点火栓の電極間隔が摩耗により減少しうるという事実、さらに運転することで電極間隔が増大するという可能性が考慮される。したがって点火栓は、プラスまたはマイナスの摩耗限界に到る可能性があり、この両方の差の極限値を前記方法により監視する。
【0021】
火花持続時間の現在値は、好ましくは、規定どおりの点火に好適な目標値になるように、測定された二次側電流により、直接または間接的に、点火コイルの一次側電流および/または必要な点火エネルギーを制御することで、制御される。間接的な制御とは、例えば、電流でなく、関係したパラメータ、例えば電圧、を制御することを意味する。火花持続時間の現在値が、最大または最小限界値を超え、あるいは下回ると、報知機を作動させ、内燃機関の使用者に点火栓を交換するように指示する。請求項の方法は、格段の困難なしに既存の内燃機関に適用できるので有利である。
【0022】
本発明の方法は、点火栓を2つ以上有する内燃機関の点火栓の摩耗を点火栓ごとに判定するのにも使用できる。これは、1つのシリンダに複数の点火栓が付けられている場合にも該当する。これにより、複点火栓を有する単筒機関にも、多くの点火栓を有する多筒機関にも適している。このように、前記方法は、全ての強制点火を有する内燃機関に使用することができる。この汎用性により、内燃機関の個々のまたは全ての点火栓の監視が可能となる。
【0023】
前記方法の実施には、好ましくは制御機構を用いる。そうした制御機構の典型例は、機関制御機器である。前記制御機構は、内燃機関の運転中に、点火栓の点火に特徴的な制御または操作パラメータの現在値が定められた限界値に達したか否かを判定する。限界値への到達が判明すると、制御機構は、報知機を作動する。このように、前記方法を実施する装置をコストと場所を取らずに内燃機関に適用できる。
【0024】
前記制御機構は、燃焼サイクルの火花持続時間および/または点火エネルギーを測定し、例えば、測定した二次側電流によって点火コイルの一次側電流を変化させることで、制御パラメータとしての点火エネルギーを変化させる、そして規定どおりの変化が、制御パラメータの範囲外であるならば、報知機を作動させる。
【0025】
本発明を、以下に添付図面を用いて例示的に、さらに詳細に説明する。